タイトル スムーズな連携を図るために

便り
スムーズな連携を図るために
スムーズな連携を図るために
タイトル
∼画像診断部門
放射線治療部門
サブタイトル
小野 晋、夏堀雅宏(日本動物高度医療センター放射線科
画像診断部門)
小野 晋、夏堀
著者
雅宏(日本動物高度医療センター 放射線科)
1
Vol. 2
■ はじめに
■ JARMeC における放射線治療の概要
日本動物高度医療センター(JARMeC)放射線科放射線治
現在、当センターでは月、水、金を標準的に放射線治療日
療部門では 2007 年 12 月 24 日よりメガボルテージ放射線治
としている。放射線治療の基本プロトコールとして、根治的
療装置を用いた放射線治療を開始し、これまでに 36 例の腫
治療の場合は週3回(月、水、金)
、PTV(計画的腫瘍体積:
瘍症例に対して放射線治療を実施してきた(表1、写真1)
。
Planning Target Volume)に対する吸収線量として1回線量3
前回(本誌9月号)に引き続き、「一次診療施設と二次診
∼4Gy、総線量 36 ∼ 48Gy(12 回)
、緩和治療の場合には週1
療施設のスムーズな連携」について、まずは症例の紹介元と
回(月、水、金のいずれか)
、1回線量8∼ 10Gy、総線量 32
なる一次病院の先生方に JARMeC における放射線治療につい
∼ 40Gy(4回)を基本としている。このため、治療期間は原
て概説し、その後、JARMeC の現行の放射線治療の概要とと
則4週間となる。根治的照射の場合には、原則として月∼金
もに、一次診療施設との連携を取る際に重要な点について述
曜日を入院加療とし、週末には一時退院、もしくは飼い主の
べたい。
病院への送迎が可能な場合には通院での治療にも対応してい
る。緩和的照射の場合、基本的には通院での治療を行う。
放射線治療の費用は、目安として根治的治療で約 80 万円
表1 JARMeCにおけるこれまでの放射線治療症例
(2007年12月以降)
犬
口腔悪性黒色腫
皮膚肥満細胞腫
鼻腔腺癌
皮膚扁平上皮癌
骨肉腫
単骨性骨髄腫
鼻腔軟骨肉腫
鼻腔扁平上皮癌
扁桃扁平上皮癌
前立腺癌
上皮系悪性腫瘍
(入院費、麻酔料、検査料等を含む)
、緩和的治療の場合
猫
7例
3例
3例
2例
2例
1例
1例
1例
1例
1例
2例
鼻腔リンパ腫
鼻腔腺癌
下顎扁平上皮癌
皮下線維肉腫
乳腺癌
には1回当たり約 15 万円(麻酔料、検査料等を含む)で
4例
2例
2例
2例
1例
写真1 放射線治療装置 (Precise Treatment/ELEKTA)
高エネルギーの放射線(X 線4MV、電子線4MeV/6MeV)を用
いることにより、皮膚障害を最小限にしつつ深部の腫瘍に放射線
を集中させることが可能である
ある。放射線治療装置は、4mm 幅の MLC(マルチリーフ
コリメータ、写真2)搭載の高エネルギー放射線治療装置
(Precise Treatment/ELEKTA)であり、付属の治療計画ソフ
ト(PrecisePlan/ELEKTA)との組み合わせにより、高精度の
3次元放射線治療計画が可能である。治療計画ソフトで作成
された治療計画は、院内 LAN を通して放射線治療装置へ送
られ、ガントリー角度、MLC の形状、照射線量の設定等は
すべて治療計画と連動して自動的に設定される。
写真2 4mm MLC ( マルチリーフコリメータ )
マルチリーフコリメータは放射線治療装置および付属の3次元治
療計画ソフト(PresicePlan)と連動しており、腫瘍の形状に合わ
せて照射野の形状を自由に変えることが可能である。正常組織へ
の障害を最小限にしつつ、腫瘍への線量を最大限に高めることが
できる
infoVets 2008. 11
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便り
■ 紹介病院からの患者の受け入れ
全身麻酔の後、CT 撮影時に作成した固定具に患者を固定
JARMeC での放射線治療症例の受け入れは原則として当セ
し、固定具上のマークをもとに照射野位置を決める。マーク
位置決めと放射線照射
ンター腫瘍科の受付となる。しかしながら、すでに病理組織
学的診断がなされて、胸腹部X線検査および腹部検査、もし
くは CT/MRI 検査等と偽陽性部位の FNA/ バイオプシーによっ
て腫瘍の進展範囲の評価ならびにステージングがほぼ終了し
ている場合には、放射線科でも直接患者を受け入れ、放射線
治療計画および放射線治療を実施している。
■ JARMeC における放射線治療の流れ
放射線治療計画
初めに治療計画のための CT 撮影を実施する。CT 撮影時の
体位にて、それ以降最長1カ月間の治療を継続することか
ら、安定性の高い各種固定具(吸引式固定バッグ、サーモ
プラスチックマスク、頭頸部支持用固定クッション)を組み
合わせて用いることで患部の固定に再現性を持たせている
(写真3)。撮影された CT 画像をもとに治療計画ソフトを用
いて放射線治療計画を立案・設計する(写真4)。この際に
写真4 放射線治療計画
撮影された CT 画像をもとに3次元的な放射線治療計画を立てる。
周囲の重要臓器を避けつつ、腫瘍に十分な線量が照射されている
かを確認しながら計画を実施し、複数の計画から最適なものを選
択している
照射する線種(X線・電子線)、照射ビーム形状とガントリー
アングルの設定、照射回数および総線量が決定したら、実際
に GTV(gross tumor volume:肉眼的腫瘍体積)にどれだけ
線量が集中しているのか、逆に照射を避けたい正常臓器組織
にもどれだけ照射されているのかについて、3次元線量分布
(DVH)を用いて評価する(図1)。具体的には、何通りか
の線量分布の結果が最適であれば、治療計画の作成は終了と
なる。
写真3 放射線治療用の固定具利用による位置決め
メッシュ状のサーモプラスチックマスク、水に濡らすと固まる頭
頸部支持用固定クッション、吸引式固定バッグ(バキュームピ
ロー)および硬質段ボール製の寝台を組み合わせることにより、
治療中の照射野の精度を高くし、また再現性が維持されることに
なる。毎回の治療時にはアイソセンターをマスクに記した赤い線
の交点に照射野を合わせるだけで、正確なガントリー角度で、腫
瘍の形状に合わせて加工して放射線を照射できる
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図1 DVH(dose volume histogram) による対象臓器の3次元線
量分布
DVH は設定した臓器組織の領域内における総線量を表すものであ
り、縦軸は組織の累積体積(%)、横軸は総線量の割合(%)で、
グラフの曲線下の占める面積が大きいほど線量が集中しているこ
とを表す。赤線のグラフがGTV(この症例では鼻腔内腫瘍)であり、
その他は周囲の各組織(左眼球、脳、右眼球)を指す。この図よ
り、95%線量を満たしている領域は GTV の全体積の約 80%である
と読み取れる。これを 100%に近づけるように、再度照射方法が
練り直され、再検討されることになる。同時に、青線の組織(こ
の症例では左眼球)にも相当の線量が集中していることがわかる。
このように、DVH を利用することで、GTV への線量集中の程度や、
周囲組織への線量分布の程度が事前に予想値として評価できる
に照射野を合わせた状態で放射線治療装置を用いて照合写真
を撮影し、計画上の画像と照合する。照合後に照射がなされ
る。以降の照射も同様に実施する。
治療後のフォローアップ(経過観察)
継続治療は一次病院にて行われるが、必要に応じて眼科も
しくは皮膚科で放射線障害のケアを実施する。また JARMeC
では現在、治療直後、1カ月後、3カ月後、6カ月後および
12カ月後にフォローアップのためのCT検査料を無料にて
(麻
酔料、薬剤料などは除く)行っており、適切な予後評価およ
び生存日数の把握とその記録を実施し、照射プロトコールの
最適化を常に検討している。
■ 放射線治療実施例
Pre
Post
写真5 症例1(鼻腔内腫瘍:軟骨肉腫)の治療前(Pre:左)お
よび治療直後(Post:右)の CT 画像。鼻腔内の腫瘍による占拠領
域はわずかに縮小している
症例1 鼻腔軟骨肉腫。雑種犬、10 歳齢、去勢雄。
右外鼻孔からの鼻出血を主訴に近医を受診した。内科療法
にて改善を認めなかったことから別の動物病院を紹介受診
し、MRI 検査および生検にて鼻腔軟骨肉腫と診断された。そ
の後、放射線治療を目的に当センターを受診した。
腫瘍は鼻腔内に限局しており、リンパ節転移および肺転移
の証拠が認められなかったことから根治的放射線治療を選
択。週3回、1回線量4Gy、総線量 48Gy(12 回)の放射線
治療を実施した。治療終了直後の CT 画像では腫瘍サイズの
わずかな縮小を認めた(写真5)。現在、治療前と比較して
鼻出血の頻度および量は減少しており、一般状態は良好であ
る。治療終了直前より認められた中等度の皮膚炎については、
近医ならびに飼い主と連絡をとりながら経過観察を行い、現
在は脱毛と色素沈着を認め、掻痒は軽度である。近日中に治
療1カ月後のフォローアップおよび効果判定のための CT 検
写真6 症例2(椎体原発性骨肉腫)の放射線治療前の CT 画像。
腫瘍は L5∼ L6の神経孔より脊柱管内へ浸潤して脊髄を圧迫して
いる。治療2カ月後の CT 画像では腫瘍サイズに明らかな変化はな
いものの、現在、疼痛のコントロールは良好である。後肢のふら
つきは緩徐に進行しつつあるが、日常生活に大きな支障は認めら
れず、良好な QOL を維持している
査を予定している。
症例2 椎体骨肉腫。雑種犬、13 歳齢、未避妊雌。
腰痛を主訴に当センターを紹介受診。CT 検査および CT ガ
イド下での tru - cut 生検によって腰椎に発生した骨肉腫と診
断された(写真6)。
腰部の疼痛緩和を目的として週1回、1回線量8Gy、総
線量 32Gy(4回)の緩和的放射線治療を実施した。放射線
増感剤としてカルボプラチン 60mg/m2 を治療と合わせて投
与した。1回目の照射の翌週より疼痛が顕著に緩和され、現
在、最後の放射線治療より2カ月が経過したが、疼痛の再発
は認められず、良好な経過をたどっている。
Pre
症例3 口腔悪性黒色腫
ウェルシュ・コーギー、11 歳齢、未避妊雌。鼻汁、鼻出
血および鼻の異常呼吸音を主訴に近医を受診。CT 検査にて
Post
写真7 症例3(口腔悪性黒色腫)の CT 画像。化学放射線治療お
よび培養樹状細胞の局所注入による免疫細胞前(Pre)の CT 画像
では腫瘍は左鼻腔内,鼻咽頭および硬口蓋−軟口蓋領域を完全に
占拠し腫瘤化しているが、治療後(Post)の画像ではこれら腫瘤
の著明な縮小と鼻腔内含気量の増加が認められた
infoVets 2008. 11
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便り
したものの、治療終了1週間後の胸部X線検査では明らかな
肺野内多発性腫瘤サイズの劇的な縮小効果が観察された(写
真8)
。現在、皮下注射による免疫療法に切り替えて経過観
察中であるが、呼吸状態ならびに一般状態は良好であり、鼻
出血は認められず非常に良好なQOLを維持している。
■ 放射線治療の観点から一次診療施設と
の連携に必要なもの
高エネルギー放射線治療の獣医療への利用に関し、現在獣
医療法施行規則が見直され、改正される予定にある。この改
正によって、初めてわが国における動物に対する高エネル
ギー放射線治療が明文化・合法化されるとともに、そのため
の施設基準を含めた技術的基準が定められることになる。し
たがって、これからの獣医学教育上、これら放射線治療に関
わる知識、技術とともに人と動物の腫瘍とその治療に関する
知識・技術も獣医師に要求されることが予想される。
放射線治療は、その実施にあたり放射線生物学的な理論的
根拠はもとより、経験的なエビデンスの蓄積が要求される分
野でもあるために、すでにある程度明らかにされている放射
線治療の適用例、不適用例をさらに明らかにしていくととも
に、その品質管理と品質保証体制(QA/QC)も継続的に実
施することが要求される。
JARMeC における高エネルギーX線および電子線による放
射線治療はまだまだ始まったばかりであり、一次診療施設と
の密接な連携について、現在のところシステム化された方法
は実施されていない。しかしながら、これまでの連携診療施
設からの紹介症例に対し放射線治療を実施してきたことを踏
まえ、筆者が日ごろ留意していることを以下に述べたいと思
う。
放射線治療は腫瘍の制御に対して非常に有効な治療法の1
つである。また、これまでの大きくなった巨大マスを、切っ
た貼ったの外科的切除による治療に対し、
「放射線は切らず
写真8 ウェルシュ・コーギー、11 歳齢、未避妊雌の口腔悪性黒
色腫に対する化学放射線治療および免疫療法2週目(上)と放射
線治療終了1週間後の胸部X線画像(下)では、肺転移の急速で
明らかな縮小効果が観察された。メラノーマに対する放射線治療
では、高い確率で原発巣のコントロールが可能な一方、肺転移の
進行により放射線治療の継続が困難となることが少なくない。し
かしながら、免疫療法との併用によりメラノーマの転移性増殖の
進行を有意に遅らせることが今後可能となるかもしれない
に治す」という、外科とは相反する対極的な位置にある治療
法である。しかし、高エネルギー放射線治療はその治療期間
が一般に4∼6週間と長期にわたり、その装置を設置および
維持するための費用も高額であることから、ほかの治療法に
比べ高額とならざるを得ない。このことから、放射線治療の
適用・不適用も含め、あらかじめその治療目的(根治療法、
緩和療法、予防的照射、緊急照射)
、予測される治療効果と
肺転移を伴う鼻腔腫瘍と診断されたため、放射線治療を目的
期待される延命効果、化学療法や免疫療法、外科的切除や対
に当センターに来院した。
症療法などとの併用の有無を含めた費用の総額見積りなどに
放射線治療計画を兼ねた頭部 CT 検査では、左右の鼻腔か
ついて、紹介病院および飼い主に事前に十分説明同意を得た
ら口腔内にかけて広範囲に浸潤する占拠性病変が観察され
うえで実施することが重要である。
た。tru - cut 生検の結果は悪性黒色腫であり、硬口蓋に発生
また、皮膚障害など、放射線治療の副作用は治療期間終了
した腫瘍が左右の鼻腔へ浸潤しているものと判断された。週
後に一時的にさらに悪化することが多い。このため、飼い主
1回、1回線量8Gy、総線量 32Gy(4回)の放射線治療なら
と紹介医には可能な限り、あらかじめ予測される効果および
びに放射線増感剤としてカルボプラチン 60mg/ ㎡を実施。さ
その副作用と最適な対処法について十分に説明し、文書や画
らに原発巣および肺転移に対する縮小効果を期待して免疫療
像を直接渡したうえで、退院後も電話でこまめに飼い主に家
法(培養した樹状細胞の局注)を併用した。治療開始2週間
での様子(副作用の程度、食欲など)を聞き取り、何か異常
後には呼吸状態の著明な改善を認め、放射線治療終了時の CT
な変化があればただちに紹介病院へその都度報告し、有効な
画像では原発巣の顕著な縮小が観察された(写真7)
。肺転
対策について話し合うようにしている。
移は治療開始2週間でいったん 10mm を超えるサイズに増大
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■ 連携のための今後の課題
信頼関係の構築
最適な放射線治療プロトコールの模索
現在、JARMeC では根治的治療として週3回プロトコール
(12 回分割照射)を実施しているが、将来的には早期の段
階で診断できた一定サイズ未満の腫瘍については、腫瘍の病
放射線治療に限ったことではないが、二次診療専門施設と
理組織学的分類に応じて1∼4回以内の少分割照射による根
紹介施設との連携の基本は、相互的な信頼関係に基づいて構
治療法を、または限局性腫瘍ではあるが一定サイズを越えて
築されることが前提である。そのために、この信頼関係に裏
ステージが進行した腫瘍については週5回プロトコール(20
打ちされた友好的な連携関係は互いに積極的なコミュニケー
回の多分割照射)の実施を目指し、これら週5回および週1
ションを図ることが大前提となるが、それにも増して重要な
∼3回照射による治療との効果判定比較を行い、最適プロト
ことは、事前に互いに顔の見える関係を比較的早期に構築す
コールの検証を目指している。また、外科手術、化学療法お
ることであると考えられる。このために JARMeC では日中の
よび免疫療法との併用についてより詳細な検討を行っていき
診療時間帯はすべての連携病院に対し基本的に診療の公開を
たい。
原則としている。一度でもよいので、上京の際には、あるい
は施設の近くに立ち寄られた場合には、高エネルギー放射線
情報の共有と統計的データの公開
治療が実施できるようになった JARMeC を訪問し、そこで放
1施設が1年間で対応できる放射線治療頭数は年間で最大
射線治療に関わる獣医師、診療放射線技師、動物看護師とと
100∼200頭程度と考えられる。わが国では私立大学
(北里大、
もに放射線治療の実際の現場に立ち会っていただきたい。こ
麻布大、日獣大、日大)
4施設および民間病院
(神奈川、三重、
うしたことで、さまざまな疑問や疑念を払拭し、放射線治療
鹿児島)3施設、計7施設で放射線治療が実施されている。
の適用・不適用の判断、早期診断・治療の重要性、費用総額、
このことから、これらの施設で実施される放射線治療に関わ
治療後のサポート体制について理解していただくことは難し
る情報が共有され、互いに利用できるようになることによる
くないと思われる。
恩恵は計り知れない。したがって、よりよい放射線治療プロ
合同カンファレンスの開催
トコールや安全で確実性の高い放射線治療ガイドライン策定
のためには、大学と民間施設での情報の共有化ができるシス
問題となっているか、または問題になる可能性のある症例
テムづりが必要になると予想される。これら高エネルギー放
について、JARMeC では腫瘍科および放射線科での院内の合
射線治療担当者による合同カンファレンスや共同研究会の開
同カンファレンスを毎週開催している。このカンファレンス
催によって、JARMeC でもよりよい診療の提案と実現に向け
では放射線治療対象の可否の検討、化学放射線療法および付
てのヒントと情報発信を提供できる場となることが期待され
加的免疫療法の適用の可否と治療効果および予後判定も含
る。
め、飼い主と紹介獣医師へのインフォームド・コンセントの
内容も吟味している。診療内容に関わる説明責任が重要視さ
れる昨今、このカンファレンスの重要性は増す一方である。
勤務医のみならず研修医および診療スタッフへの教育効果も
あるために、今後とも継続していく不可欠な作業と考えられ
る。この合同カンファレンスは基本的には対外的にオープン
であるため、参加希望の獣医師はその旨を事務局に連絡する
ことで症例検討の内容を知ることができる。今後は近郊地域
の獣医師や JARMeC を訪問した獣医師にも、症例の情報につ
いて気軽に持ち込んでいただき、診断および治療の観点から
セカンドオピニオンとして第三者の意見を参考にできる環境
を築き上げたいと考えている。
現在はスタッフの多忙な診療業務状況のため、脳神経科、
整形外科、循環・呼吸器科、消化器科、泌尿器科、皮膚科を
含む全診療科についての合同カンファレンスは開催できてい
ない状況だが、協力関係にある獣医師会、近郊の獣医師、大
参考文献:
1)熊谷孝三編著:医療安全のための放射線治療計画装置の運用マニュ
アル̶受け入れから試験から日常管理まで̶. 日本放射線技術学会出
版会 , 2007.
2)熊谷孝三編著:日本放射線技術学会監修、放射線治療技術学オーム社,
2006.
3)澁谷均、晴山雅人、平岡眞寛編著:エビデンス放射線治療.中外医学社,
2007.
4)Donald E.T.、Deborah A.M.,et al.:A review of treatment planning
and dose caluculation in veterinary Radiation Oncology, Veterinary
Radiology. Vol. 30, No. 5, 194 - 221, 1989.
5)Jessica A. L., Lisa J. F.:Intensity - modulated radiation therapy and
helical tomotherapy:Its origin, benefits, and potential applications
in veterinary medicine. Vet Clin Small Anim 37, 1151 - 1165, 2007
6)Elizabeth A. B., Lisa J. F., Robert J., et al.:PET/CT following intensity
- modulated radiation therapy for primary lung tumor in a dog.
Veterinary Radiology & Ultrasound, Vol. 47, No. 2, 228 - 233, 2006.
7)木村信治、夏堀雅宏:JARMeC の RT.Clinic note, Vol.35, 30 - 38, 2008.
学等、アドバイザーの獣医師の方々の協力の基に、それぞれ
の診療分野または合同での定期的なカンファレンスの開催の
実現に向けて環境を整備する必要を感じている。取り急ぎ、
合同カンファレンスの開催案内と参加申し込みはホームペー
ジを通じて案内する予定である。
日本動物高度医療センターの連絡先
〒 213 - 0032 神奈川県川崎市高津区久地2-5-8
TEL:044 - 850 - 1320 FAX:044 - 850 - 1321
URL:http://www.jarmec.jp
infoVets 2008. 11
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