農家レストラン「もろや」訪問記

農家レストランに行こう!2013 年晩秋編
農 家 レストラン「もろや」訪 問 記
山 田 佳 奈(地域構想学科 1 年)
1.はじめに
2013 年 11 月 23 日に若林区荒井の仙台東 IC 近く
にある農家レストラン「もろや」
(萱場家)を,1 年
生 1 人、2 年生 1 人、3 年生 4 人、4 年生 2 人、OG2
人の計 10 人と高野先生とで訪れました。このように
1 年生から OG まで揃うというのは初めての試みと
のことです。1 年生の私としては、なかなか同じ学
科の先輩とお話しする機会がないため、大変貴重な
体験をさせていただきました。1 年生には先生の授
写真2
業で紹介があり,私がそれに応えて今回参加するこ
とを決めたのは、食文化に感心をもっていて,5 月
続いて,メインの炊き込みご飯,煮物,お汁が登
の「ちょっこら」訪問に参加して農家レストランへ
場(写真2)
。中央の煮物の構成は,左上がコンブ,
の関心を強くしたことと,様々な学年の先輩方とお
仙台白菜,鮭の信太巻,右上がふっくらとした里芋
話しすることができると思ったからです。高野先生
の煮っ転がし,下が高野豆腐,その右の野菜はアス
の「もろや」訪問は 2007 年の実習以来とのことで,
パラ菜。どれも味がしみこんで、絶妙のおいしさ。
今回の訪問では萱場さんから震災後の貴重なお話を
左がジャコとひじきの炊き込みご飯で,ミルキーク
聞くことが目的の 1 つとのことでした。初めにメニ
イーンにもち米を混ぜたおこわ風。右はけんちん汁
ューを紹介し,秋・冬の野菜を中心に食材を知り尽
で,ダイコン,ねぎ,人参,油揚げが入ったやさし
くした農家の知恵にふれてみることにします。1 人
い風味の吸い物。隠し味のように振られた七味がさ
1,600 円のメニューです。
わやかなピリ辛風味を醸し出して,おいしさを引き
立てていました。
野菜サラダ(写真3)は,赤・白 2 種類のダイコ
2.メニュー紹介
まずは「前菜」として季節の温野菜(写真1)
。左
ンとレタス、パセリ。しゃきしゃきした野菜の歯ご
が,カブの中に紫サツマイモと紫ジャガイモ,中に
たえにアンチョビドレッシングの甘み,そして揚げ
はゴマだれのドレッシングが入っています。中央が
た線切りジャガイモのトッピングがさらに食感のア
ボイルしたピーナッツ,固いピーナッツがやわらか
クセントになっていました。
な食感に変身。右が曲がりネギ,紅芯大根,キノコ
のソテー。これだけで満足気分。
写真1
写真3
1
ダイコンと白菜の季節の漬物(写真4)は他では
最後に、母屋近く,地下鉄駅建設現場の目の前に
味わえない風味で,おかわりが出る人気。
ある畑とビニールハウスを案内していただきました。
畑(写真7)にはネギ,小松菜,ブロッコリ(右か
ら)
,ハウス内(写真8)では春菊(左端)やアスパ
ラ菜(中央)
,ハウス間ではニラ,アスパラガスなど,
たくさんの野菜が育てられていました。
写真4
写真5
締めのデザート(写真5)は,紅玉リンゴのキャ
ラメルソテー・かぶアイスのせ。かぶアイスは,か
ぶの味わいが生かされた甘さ控えめのアイスでした。
震災後の萱場家
味わいの余韻にしばし浸った後は、ご主人の萱場
哲男さんにお話しを伺いました。萱場さんの農地は,
写真7
東高速道の西側の母屋近くに農家レストランで出す
野菜類の畑があるほか,海側に水田や伝統白菜の農
地が広く分散しており,それらは津波で被災した。
農地の多くは借地であったため,震災後は被災を免
れた農地を借りて営農を再開した。水田経営は息子
さんが地区の 10 人と「中央アグリビジネス」という
会社を組織して,30~40ha 程度の規模で育苗から
行っている。
高速道の東側では,
現在の 30a から 1ha
写真8
の大圃場化の事業が被害の大きかった地区から始ま
ったが,荒井周辺ではこれからで,所有権の調整な
おわりに
どの難しい問題が残されているとのことでした。
1 年生 1 人だけの参加で最初はとても不安でした
また,萱場さんのお宅の目の前では仙台市地下鉄
が、いざ参加してみると、
「もろや」の萱場哲男・市
東西線の終点駅と車両基地の建設が進められていて
子さん夫妻の農業に対する強い思いにふれることが
(写真6)
、若林警察署やホテル、病院、駅前広場な
でき、先輩たちも優しく接していただき,参加して
どができるということでした。そのため,萱場家の
本当によかったと思いました。
「もろや」も地下鉄駅前に 6 階建てのビルとして移
転する予定とのことで,5・6 年後には景色が全く違
うものになってしまうだろうというお話でした。
写真6
写真9 最後にみんなで記念写真
2