投資環境ウィークリー

Kokusai Asset Management Co., Ltd.
投資環境ウィークリー : 200
9/ 7
/ 27
2009/
7/
◇◇ 今週の主要経済指標と政治スケジュール ◇◇
月
火
7/26
(米)
バーナンキFRB議長、テレビ番組収録
(放映は7/27∼7/29の3日間)
27
(日)
6月 企業向けサービス価格指数
(前年比)
5月:▲3.0% 、6月:▲3.2%
(米)
6月 新築住宅販売(年率)
5月:34.2万件、6月:(予)35.5万件
20年物価連動国債入札(60億ドル)
米中戦略経済対話
(∼28日、ワシントン)
(米)
(米)
水
木
金
28
29
30
31
(米) 5月 S&P/ケース・シラー住宅価格指数
(20大都市圏、前年比)
4月:▲18.1%
5月:(予)▲17.9%
(米) 7月 消費者信頼感指数
(カンファレンス・ボード)
6月:49.3、7月:(予)49.3
(米) 2年利付国債入札(420億ドル)
(日) 6月 商業販売額(小売業、前年比)
5月:▲2.7%
6月:(予)▲2.4%
(日) 2年利付国債入札(2兆4,000億円)
(日) 6月 鉱工業生産(速報、前月比)
5月:+5.7%、6月:(予)+2.3%
(米) 6月 耐久財受注(前月比)
5月:+1.8%
6月:(予)▲0.5%
(米) ベージュブック
(地区連銀経済報告)
(米) 5年利付国債入札(390億ドル)
(米) 7年利付国債入札(280億ドル)
(米) メットライフ 09年4-6月期決算
(日) 6月 完全失業率
5月:5.2%、6月:(予)5.3%
(日) 6月 有効求人倍率
5月:0.44倍、6月:(予)0.44倍
(日) 消費者物価指数(除く生鮮、前年比)
全国 5月:▲1.1%、6月:(予)▲1.7%
(米) 4-6月期 実質GDP
(1次速報、前期比年率)
1-3月期:▲5.5%
4-6月期:(予)▲1.5%
(米) 7月 シカゴ購買部協会景気指数
6月:39.9、7月:(予)42.0
(欧) 7月 ユーロ圏 消費者物価(前年比)
6月:▲0.1%、7月:(予)▲0.4%
(独) ドイツ銀行 09年4-6月期決算
(他) ニュージーランド 金融政策決定会合
キャッシュレート:2.5%⇒(予)2.5%
(欧) サンタンデール銀行(スペイン)
09年4-6月期決算
(*)は、発表日未定
出所)Bloomberg等、各種資料より当社経済調査部作成
◇◇ 今週の焦点 ◇◇
今週の注目点は、米中戦略経済対話、米国実質GDP、日本鉱工業生産です。
①米国: 27-28日の米中戦略経済対話は、米国としては①米国債の大量発
行を前に、中国による円滑な購入を希望、②米国経済が貯蓄志向を強めるた
め、中国には消費主導への構造転換を求める見通しです。そのため、今回は
人民元切り上げ圧力を控える可能性もあります。31日の4-6月期実質GDPは
小幅マイナスが予想されますが、昨年10-12月期の前期比年率▲6.3%、今
足元の株高は、①懸念された欧米企業の4-6月期決算が、予想より総じて良
年1-3月期の同▲5.5%と比べ、最悪期を脱したことが確認されましょう。27-30
好だったこと、②7月2日に発表された米雇用統計の悪化が重石となったものの、 日に総計1150億ドルの国債入札があることや、27-28日の住宅関連指標など
その後の経済指標が概ね堅調であったこと(先週発表された景気先行指数と 経済指標の改善が予想され、長期金利上昇が見込まれます。
中古住宅販売は共に3ヵ月連続で改善)、③チャート上の抵抗線を突破したこと
②日本: 29日の商業販売は消費の弱さ、31日の雇用関連統計は雇用悪化
(S&P500は逆三尊のネックラインを上抜け)などに支えられ腰が入ってきました。
の継続、31日の消費者物価は下落幅拡大が確認されましょう。しかし反面、
株価反発と平仄を合わせ、為替市場では円全面安が進行しています。対ドル 輸出数量が6月は前月比+6.1%(季調済)増加しており、30日の鉱工業生産
でも1ドル91.74円(7月13日)→1ドル94.92円(7月23日)へと円じり安ですが、その は4ヵ月連続の回復基調となりましょう(経産省予測は6月+3.1%、7月+0.9%)。
他通貨に対しては円安が顕著です(7月8日と7月23日の比較:1ユーロ127.02円 ③ユーロ圏: 28-29日の銀行決算では、証券化商品や住宅ローン関連の不
→1ユーロ134.30円、1ポンド146.78円→1ポンド156.42円、1豪ドル70.96円→1豪ド 良資産の規模が焦点です。31日の消費者物価は下落幅拡大が予想され、英
ル77.09円)。実質ゼロ金利の円は、他通貨に対し今後も軟化が見込まれます。 米と比べ、金融政策の出口戦略が後ずれする可能性があります。 (荒武)
主要国株価は、①今年3月10日頃から6月10日頃まで急反発→②6月10日頃
から7月10日頃まで一時調整→③7月10日頃から再び反発となっています。日
経平均株価は、今年6月12日の高値10,170円が視野に入りますが、米国株価
は6月高値を既に抜いており、昨年9月のリーマンショック後の戻り高値のNYダ
ウは9,794ドル(08年10月14日)、S&P500は1,044ポイント(同)が次の目標です。
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
1
: 投資環境ウィークリー
<最近の金融市場・商品市場動向>
<株式> 今年6月中旬から続いた一時的調整を終え、再び上値を試す展開へ
日本株
日経平均
日経ジャス
TOPIX
株価
ダック平均
(ポイント)
(円)
(ポイント)
先々週末
7 月17日
先週末
7 月24日
差
9,395.32
878.29
NY
ダウ
(ドル)
1,181.23
8,743.94
先週末
7 月24日
差
1,886.61
4,978.40
920.48
1,202.25
9,093.24
979.26
1,965.96
5,229.36
4,576.61
+549.23
+42.19
+21.02
+349.30
+38.88
+79.35
+250.96
+187.86
米国
ドル円
ドイツ
商品市況:先物価格
ユーロ円
( 円/ドル) (ドル/ ユーロ) ( 円/ユーロ)
9,000
07/7/16 07/7/9
18,261
8,105
8,000
18,000
7,000
02/10/9
7,286
WTI原油
金
( ドル / バレル )
( ドル / オンス)
6,000
日経平均株価
( 左軸)
14,000
為替相場
ユーロドル
(DAX®、ポイント)
欧 州
4,388.75
9,944.55
日本
7 月17日
940.38
主要国株式: 日経平均株価、NYダウ、DAX®
20,000
16,000
長期金利:10年国債利回り(%)
先々週末
米国株
欧州株
S&P500
ナスダック
ドイツ
英国
種指数
指数
DAX®
FT100
(ポイント) (ポイント) (ポイント) (ポイント)
(日経平均、円)
(NYダウ、ドル)
22,000
09年7月24日
03/4/28
7,607
12,000
10,000
1.320
3.645
3.400
94.19
1.4102
132.85
63.56
937.50
8,000
1.380
3.660
3.477
94.79
1.4202
134.63
68.05
953.10
6,000
+0.060
+0.015
+0.077
+0.60
+0.0100
+1.78
+4.49
+15.60
4,000
N Yダウ
( 左軸)
09/3/10
7,054
03/3/12
2,202
02
03
04
05
06
07
4,000
9944円
9093
ドル
09/3/9
3,692
D A X®
( 右軸)
5,000
5229
ポイント
07/10/9
14,164
3,000
09/3/9
6,547
08
09
2,000
10
注)使用しているデータの値は、引値ベースによる。
出所)Bloomberg、Deutsche Boerse AG
<金利> 米国の国債大量発行・世界的株高に合わせ、長期金利もじり高へ
(%)
6.0
5.0
主要国金利: 日米独の1 0 年国債利回り
02/4/1
5.425%
02/5/17
5.258%
06/6/28
5.245%
07/7/13
168.95
160
03/6/13
3.114%
3.660%
07/7/9
4.669%
05/9/23
3.060%
2.0
3.477%
09/1/15
07/6/13 2.890%
1.960%
日本
ド ル安 120
ユーロ安
円高 110
08/12/30
2.055%
04
02/3/7
111.30
02/1/31
0.8593
80
05
06
07
08
09
02
10
出所)Bloomberg
03
04
05
注)使用しているデータは引値、値表示はザラバベースによる。
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
06
1.6
09年7月24日
1.4202
ト ゙ル /ユ ー ロ
05/11/15
1.1640
ユ ー ロ ト ゙ル 相場
(右軸)
90
0.0
注)使用しているデータの値は、引値ベースによる。
ユ ー ロ 円相場
(左軸)
134.63
円/ユ ー ロ
08/10/28
1.2331
100
08/12/30
1.165%
03/6/12
0.435%
02/1/31
135.20
1.7
08/7/15
1.6038
130
1.380%
1.0
ド ル高 150
ユーロ高
円安 140
04/12/30
1.3670
(ドル/ユーロ)
1.8
08/7/23
169.96
米国
ドイツ
03
主要為替相場
170
09年7月24日
02
<為替> リスク選好で円借り取引が復活し、円は対ユーロ対ドルで全面安に
(円/ドル、円/ユーロ)
180
07/6/12
5.295%
4.0
3.0
出所)Bloomberg、Deutsche Boerse AG
09/1/21
112.10
94.79
円/ト ゙ル
ト ゙ル 円相場
(左軸)
08
1.4
1.3
1.2
07/6/22
124.14
07
1.5
09/1/21
87.12
09
1.1
ユーロ高
ドル安
ユーロ安
ドル高
1.0
0.9
0.8
10
出所)Bloomberg
2
: 投資環境ウィークリー
◇◇
各 国 経 済 ・ 金 融 市 場 の 視 点
◇◇
欧 州
◇◇ 日本 ◇◇
【図1】
【図2】
輸出数量と鉱工業生産指数
180
(2005年=100)
消費者態度指数と有効求人倍率
(2005年=100)
160
輸出数量
140
140
80
120
70
100
(右軸)
120
改善
(倍)
(ポイント)
1.2
1.0
有効求人倍率(右軸)
60
0.8
80
鉱工業生産
100
(耐久消費財)
50
09年5月
0.44倍
60
悪化
40
80
(左軸)
鉱工業生産
40
60
(資本財)
20
30
0
20
0.4
09年6月
38.1
消費者態度指数(一般世帯)
(左軸)
(左軸)
40
06
07
08
09
出所)財務省、経済産業省
0.2
0.0
95
注)輸出数量の直近値は09年6月、鉱工業生産指数の直近値は09年5月。
0.6
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
注)消費者態度指数は公表頻度が変更されたため、
04年3月までは四半期ベース、04年4月からは月次ベース。
06
07
08
09
出所)内閣府、厚生労働省
◇◇ 先行きの国内景気に対する不安は残るが、米金融不安の後退を背景に堅調続く国内株式 ◇◇
6月貿易収支は、アジア向け中心に輸出が回復したこともあり、5ヵ月連続の
黒字となりました。8月17日に4-6月期の実質GDPが発表されますが、外需寄
与度(前期比ベース)は、4四半期ぶりのプラス寄与となる見通しです。
今週発表の6月鉱工業生産は、輸出持ち直しを背景に4ヵ月連続の増加が
予想されます。但し、これまでは外需底打ちや景気対策により、自動車や家
電など耐久消費財の回復が鮮明となる一方、設備投資に関連する資本財は
低迷しています(図1)。経済の本格回復には設備投資の持ち直しが不可欠
ですが、設備投資の先行指標である機械受注に下げ止まりの兆しが見られ
ないことから、資本財生産の底打ちが明確になる可能性は低いでしょう。
設備投資と同様に、個人消費の動向も、国内経済が本格回復に向かうか
どうかの鍵を握ると見られます。定額給付金を始めとする景気対策効果もあり、
消費者心理は改善傾向にあります。しかしながら、03年9月以来となる水準ま
で上昇した失業率(09年5月:5.2%)に加え、調査開始以来の最低水準にあ
る有効求人倍率(09年5月:0.44倍)など(図2)、厳しい雇用情勢が続く中、マ
インド面に比べ、個人消費の回復ピッチは緩慢に留まると考えられます。
国内経済に目を向けると、設備投資や個人消費の先行きに対する慎重な
見方に変わりはないと見られます。但し目先は、米国の金融不安後退を受け、
強含む米国株式に追随し、国内株式も堅調を維持しそうです。(小林)
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
3
: 投資環境ウィークリー
◇◇
各 国 経 済 ・ 金 融 市 場 の 視 点
◇◇
欧 州
◇◇ 米国 ◇◇
【図1】
8
7
6
5
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
-5
-6
-7
-8
-9
-10
(%)
【図2】
米国 実質GDP(需要項目別寄与度、前期比年率)
政府支出
S&P500株価指数と一株当たり利益(総合)
(ドル)
60
(2008年1月2日=100)
120
当社経済調査部
予想
実質GDP
110
100
50
90
40
80
情報通信(右軸)
70
S&P500総合(右軸)
30
20
個人消費
設備投資
60
エネルギー(右軸)
08/1-3
+16.6
08/4-6
+17.0
50
金融(右軸)
08/7-9
+16.0
40
30
住宅投資
20
在庫投資
09年1-3月期
(確報値)
▲5.5%
純輸出
10
10
0
0
08/10-12
▲0.1
一株当たり利益
(総合、左軸)
01
02
03
04
05
06
注)09年4-6月期∼10年4-6月期は当社経済調査部の予想値
07
08
09
10
出所)米商務省
-10
08/1 2
09/1-3
+10.1
09/4-6
+14.2
09/7-9
+15.0
09/10-12
+16.3
10/1-3
+16.6
-10
10/4-6
+18.0
-20
(予想)
-30
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 09/1 2
3
4
5
6
7
8
注1)一株当たり利益は09年1-3月期まではS&P社発表の実績値、それ以降はS&P社の予想値(09年7月21日時点)に基づく
注2)株価の直近値は09年7月24日
9 10 11 12 10/1 2
3
4
5
6
7
8
出所)S&P、Bloomberg
◇◇ 好決算を織り込む動きに、テクニカル面での妙味も加わり、株価は上昇する見通し ◇◇
S&P500採用銘柄204社のうち153社が、市場予想に対して良好な4-6月期
景気後退による企業売上の減少から、在庫/売上高比率が高止まっており、
決算を発表しており(7月24日時点)、企業業績への明るい見方が広がってい
在庫・設備投資の削減が続いています。一方で、減税等による可処分所得
ます。先週の株式市場では、収益見通しの強含みを織り込む形で、株価は
増を背景に、GDPの約7割を占める個人消費が底堅い展開です。今週発表
好業績の銘柄を中心に上昇基調が続きました(図2)。
の4-6月期GDP成長率(速報、前期比年率)は、1-3月期と比較してマイナス
幅縮小が見込まれ、景気は最悪期を脱した公算が高いと考えられます(図1)。
今週も強めの業績発表が相次ぐと見られるほか、先週発表の6月中古住宅
販売に続き、今週発表の6月新築住宅販売も改善が見込まれ、マクロ面での
7-9月期は、製造業受注が持ち直していることから、生産が底入れする可
株価下支え効果が期待されます。さらに、S&P500株価指数が逆三尊のネッ
能性が高いと考えられます。また、急激な在庫調整が行われたことから、在
クラインを上抜け、チャート上の抵抗線を突破してきました。ミクロ・マクロの好
庫削減の動きは一服する見通しです。個人消費も改善傾向が継続すると見
材料にテクニカル面での妙味も加わり、株価は上昇する見通しです。(布浦)
られ、7-9月期以降のGDP成長率は回復基調に向かうと予想されます。
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
4
: 投資環境ウィークリー
◇◇
各 国 経 済 ・ 金 融 市 場 の 視 点
◇◇
欧 州
◇◇ 欧州 ◇◇
【図1】
【図2】
ユーロ圏GDP成長率とPMI(購買担当者指数)
(%)
60
2
5
ドイツの名目・実質金利と期待インフレ率
%
ユーロ圏製造・サービス業PMI
(右軸)
名目金利
<ドイツ国債(2016年6月償還)利回り>
55
1
4
前月比
業況改善
50
0
09/7
45.8
-1
前月比
業況悪化
45
3.15%
期待インフレ率
(=名目金利−実質金利)
3
1.73%
2
ユーロ圏実質GDP成長率
(前期比、左軸)
40
-2
09/1-3月期
▲2.5%
* ユーロ圏製造・サービス業PMIは、製造業、サービス業の各指数を
合算し平均化して当社経済調査部が算出
-3
02/1
35
03/1
04/1
05/1
06/1
07/1
08/1
09/1
10/1
出所)Bloomberg
1.42%
1
実質金利
<ドイツ物価連動国債(2016年4月償還)利回り>
0
08/1
08/4
08/7
08/10
09/1
09/4
注)直近は09年7月24日
09/7
出所)Bloomberg
◇◇ 4-6月期に続き、7-9月期もGDPのマイナス成長が見込まれるユーロ圏では、金利上昇余地は限られる見通し ◇◇
先週発表されたフランスの6月消費者支出、7月INSEE景況感指数、ドイツの
7月IFO景況感指数はともに市場予想を上回る改善を見せ、足元でのユーロ
圏景気の持ち直しを示唆する結果となりました。
また、ユーロ圏のGDP成長率を考える上で重要となるユーロ圏の製造業、サ
ービス業PMI7月速報値も先週発表されました。数字は各々46.0、45.6で、両
指数を平均化した製造・サービス業PMIは45.8となり、4-6月期の平均42.2か
ら改善しています。製造・サービス業PMIから推察される圏内のGDP成長率は、
4-6月期は前期比▲1∼1.5%程度に対し、7-9月期は同▲1%弱と、依然マイ
ナスの伸びながら景気後退の度合いは徐々に緩和する見通しです(図1)。
日本では4-6月期から、米国でも7-9月期からGDP成長率はプラスとなる見
通しに対し、ユーロ圏では7-9月期もマイナス成長が見込まれ、相対的に景
気の戻りは鈍いと予想されます。こうした景気回復の遅れなどにより、ユーロ
圏ではインフレ率の抑制が続く見通しです。今週発表予定の7月ユーロ圏消
費者物価速報値でも、統計開始以来初めて前年比マイナスとなった6月に続
き、同▲0.4%程度のマイナスの伸びとなる見込みです。
図2に示すように、足元のドイツ国債市場では市場のインフレ期待は安定し
インフレ懸念による金利押し上げ圧力も限定的です。物価上昇率のマイナス
継続を受け、ドイツ国債利回りの上昇余地は限られる見通しです。(渡部)
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
5
: 投資環境ウィークリー
◇◇
各 国 経 済 ・ 金 融 市 場 の 視 点
◇◇
欧 州
◇◇ アジア・新興国 ◇◇
【図1】
【図2】
主要新興国の対ドル直物為替相場(左)と株価(右)
150
株価指数
直物為替相場(対ドル)
(05年1月=100)
ドル高
新興国通貨安 インドネシア
140
インドネシア:低下する政府債務(左)と対外純債務の水準(右)
500
120
(05年1月=100)
(%)
政府債務のGDP比
450
ロシア
100
400
130
ドル安
インド 新興国通貨高
120
110
350
ロシア
100
80
インド
300
1,800
ルピア建て国債(a)
(SBI金利連動)
ルピア建て国債(b)
(右記以外)
1,600
08年末
総政府債務
(a+b+c)
32.8%
60
250
80
60
中国
50
ブラジル
外貨建債務(c)
0
50
05
06
07
08
09
200
06
07
08
09
注)株価は、ブラジル:ボベスパ指数、ロシア:RTS指数(米ドル)、インド:ムンバイSENSEX30種指数、
インドネシア:ジャカルタ総合指数、中国:上海総合指数。最新値は09年7月24日。 出所) Bloomberg
150
外 貨 準 備 プラス
銀行の対外資産
100
外貨準備
50
短期債務
0
0
0
05
長期債務
600
20
インドネシア
250
200
1,000
400
100
70
(% )
対 外 純 債 務 /輸 出 (右 軸 )
08年 末 時 点 :58.2%
1,200
800
40
ブラジル
150
中国
対外 債務と対外 資産
1,400
200
90
(億 ドル)
91 93 95 97 99 01 03 05 07 09
91 93 95 97 99 01 03 05 07 09
注)右図の対外純債務は、対外総債務から外貨準備と銀行部門の対外資産を差し引いて計算。
対外純債務/輸出の「輸出」は財サービス輸出。
出所) 財務省、中央銀行、IMF
◇◇ 爆破テロの影響を払拭、アジア域内最大の通貨高となったインドネシア ◇◇
米国の企業業績や住宅市況の改善期待等から投資家のリスク選好度が高
まる中、主要な新興国の通貨と株価は、先週まで2週連続で上昇しました。
こうした中、インドネシアのルピア相場は、前週末比1.7%と主要アジア通貨
最大の上昇を見せました。同国では、今月17日に首都ジャカルタの米系ホテ
ル2軒で同時爆破テロがありました。しかし、通貨の対ドル相場と株価指数は、
事件直後に前日比1.2%と2.7%ずつ下落したものの、同0.7%と0.5%安の水
準まで値を戻して日を終えるなど、市場への影響は軽微でした。同国では、
02年から05年までバリ島かジャカルタで毎年大規模な爆破テロがあったため、
首都での爆破テロそのものに対する大きな意外感はなかったと見られます。
また、過去4回のテロ経験を通じて、事件が経済に与える影響は限定的とい
う認識が共有されていたと考えられます。加えて、経済が堅調な成長を続けて
いること、政府債務と対外純債務の水準が低下を続け(図2)、対外ショックへ
の抵抗力が高まっていたことも、投資家の安心感につながったと思われます。
昨年10月からの国際金融混乱に伴い、民間対外債務の返済懸念などから
同国通貨は急落したものの、政府が外貨調達を進め返済懸念が拭われる中
で3月半ばより回復しています。今後は堅調な内需下の輸入増加で貿易黒字
が縮小するものの、大統領再選に伴う経済改革の進展や経済成長を期待す
る株式投資が流入し、為替相場は安定的に推移すると期待されます。(入村)
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
6
: 投資環境ウィークリー
◇◇ 主要経済指標と政治スケジュール ◇◇
先
月
火
水
木
金
7/20
21
22
23
24
(日) 「海の日」で休日
(日) 衆院解散
(8月18日公示ー8月30日投開票)
(日) 20年利付国債入札(1兆1,000億円)
(日) 6月 貿易収支(通関ベース、原数値)
5月:+2,982億円、 6月:+5,080億円
(米) 6月 中古住宅販売(年率)
(日) 5月 全産業活動指数(前月比)
4月:+2.6%、 5月:+0.7%
(日) 内閣府「年次経済財政報告書」
(米) 6月 景気先行指数(前月比)
5月:+1.3%
6月:+0.7%
(他) SEB(スウェーデン)
09年4-6月期決算
(日) 日銀金融政策決定会合議事要旨
(6月15日∼16日分)
(日) 山口日銀副総裁講演(函館市)
5月:472万件、 6月:489万件
(米) マイクロソフト 09年4-6月期決算(N)
(米) アマゾン 09年4-6月期決算(N)
(米) アメリカン・エキスプレス
09年4-6月期決算(N)
(米) 7月 ミシガン大学
消費者信頼感指数(確報)
6月:70.8、7月:66.0
(欧) 7月 ユーロ圏 製造業PMI(速報)
6月:42.6、7月:46.0
(欧) 7月 ユーロ圏 サービス業PMI(速報)
6月:44.7、7月:45.6
(独) 7月 ifo景況感指数(総合)
6月:85.9、7月:87.3
(英) 4-6月期 実質GDP(1次速報、前期比)
1-3月期:▲2.4%
4-6月期:▲0.8%
週
(米) バーナンキFRB議長 半期定例議会証言 (仏) 6月 消費者支出(前月比)
5月:▲0.2%
(上院、銀行委員会)
6月:+1.4%
(下院、金融サービス委員会)
(英) 英中銀 金融政策委員会(MPC)
議事録(7/8・9開催分)
(米) キャタピラー 09年4-6月期決算(P)
(米) アップル 09年4-6月期決算(P)
(他) カナダ 金融政策決定会合
翌日物金利誘導目標:
0.25%⇒0.25%
26
28
29
30
31
(米) バーナンキFRB議長、テレビ番組収録
(放映は7/27∼7/29の3日間)
(米) 5月 S&P/ケース・シラー住宅価格指数
(20大都市圏、前年比)
4月:▲18.1%、5月:(予)▲17.9%
(米) 7月 消費者信頼感指数
(カンファレンス・ボード)
6月:49.3、7月:(予)49.3
(米) 2年利付国債入札(420億ドル)
(日) 6月 商業販売額(小売業、前年比)
5月:▲2.7%
6月:(予)▲2.4%
(米) 6月 耐久財受注(前月比)
5月:+1.8%、6月:(予)▲0.5%
(米) ベージュブック
(地区連銀経済報告)
(米) 5年利付国債入札(390億ドル)
(日) 2年利付国債入札(2兆4,000億円)
(日) 6月 家計調査(消費支出、前年比)
5月:+0.3%、 6月:(予)+0.1%
(日) 6月 完全失業率
5月:5.2%、6月:(予)5.3%
(日) 6月 有効求人倍率
5月:0.44倍、6月:(予)0.44倍
(日) 消費者物価指数(除く生鮮、前年比)
全国 5月:▲1.1%、6月:(予)▲1.7%
東京 6月:▲1.3%、7月:(予)▲1.7%
(米) 4-6月期 実質GDP(1次速報、前期比年率)
1-3月期:▲5.5%
4-6月期:(予)▲1.5%
(米) 7月 シカゴ購買部協会景気指数
6月:39.9、7月:(予)42.0
(米) ワシントン・ポスト 09年4-6月期決算
(欧) 7月 ユーロ圏 消費者物価
(速報、前年比)
6月:▲0.1%、7月:(予)▲0.4%
27
今
週
(日) 6月 企業向けサービス価格指数
(前年比)
5月:▲3.0%、6月:▲3.2%
(米) 6月 新築住宅販売(年率)
5月:34.2万件、6月:(予)35.5万件
(米) 20年物価連動国債入札(60億ドル)
(米) 米中戦略経済対話
(∼28日、ワシントン)
(米) ベライゾン・コミュニケーションズ
09年4-6月期決算
(欧) 6月 ユーロ圏 マネーサプライ
(M3、前年比)
5月:+3.7%、6月:(予)+4.0%
8/3
来
週
(米) ヤフー 09年4-6月期決算(P)
(米) ウェルズ・ファーゴ
09年4-6月期決算(P)
(米) モルガン・スタンレー
09年4-6月期決算(N)
(仏) 7月 INSEE景況感指数
6月:76
7月:78
(英) 6月 小売売上高(前月比)
5月:▲0.9%
6月:+1.2%
(他) クレディスイス 09年4-6月期決算
(独) ドイツ銀行 09年4-6月期決算
(日) 6月 鉱工業生産(速報、前月比)
5月:+5.7%、6月:(予)+2.3%
(米)
(米)
(米)
(米)
7年利付国債入札(280億ドル)
メットライフ 09年4-6月期決算
ウォルト・ディズニー 09年4-6月期決算
マスターカード 09年4-6月期決算
(米) アフラック 09年4-6月期決算
(伊) 7月 ISAE景況感指数
6月:69.3、7月:(予)70.0
(欧) サンタンデール銀行(スペイン)
09年4-6月期決算
(英) 7月 ネーションワイド住宅価格(*)
(前月比)
6月:+0.9%、7月:(予)+0.3%
4
(欧) 7月 ユーロ圏 経済信頼感指数
6月:73.3、7月:(予)75.0
(欧) 6月 ユーロ圏 失業率
6月:9.5%、7月:(予)9.7%
(他) ニュージーランド 金融政策決定会合
キャッシュレート:2.5%⇒(予)2.5%
(英) 6月 住宅ローン承認件数
5月:4.3万件、 6月:(予)4.7万件
5
6
7
(日) 6月 現金給与総額
(日) 10年利付国債入札
(米) 7月 米供給管理協会(ISM)
非製造業景気指数
(日) 30年利付国債入札
(日) 7月 新車登録台数
(米) 7月 新車販売台数
(米) 6月 製造業受注
(日) 6月 景気動向指数
(米) 7月 米供給管理協会(ISM)
製造業景気指数
(米) 6月 個人所得・消費
(米) 5月 雇用統計
(米) シスコシステムズ 09年度本決算
(米) 6月 中古住宅仮契約指数
(米) プロクター・アンド・ギャンブル
09年4-6月期決算
(米) クラフトフーヅ 09年4-6月期決算
(欧) 6月 ユーロ圏 小売売上
(欧) 6月 ユーロ圏 生産者物価
(欧) 7月 ユーロ圏 サービス業PMI(確報)
(伊) ウニクレディト 09年4-6月期決算
(英) 7月 HBOS住宅価格(*)
(英) 6月 鉱工業生産
(独) 6月 製造業受注
(米) 6月 建設支出
(欧) 7月 ユーロ圏 製造業PMI(確報)
(欧) 欧州中銀(ECB)理事会
トリシェECB総裁 記者会見
(独) 6月 鉱工業生産
(伊) 4-6月期 GDP(1次速報)
(英) 金融政策委員会(MPC)
(発表は6日)
注1)赤の字体は日本、青の字体は米国、緑の字体はユーロ圏とEU全体に関するイベント、黒の字体はその他を表す。
注2)決算発表済企業の(P)はポジティブサプライズ(実績が市場予想を上回った)、(N)はネガティブサプライズ(実績が市場予想を下回った)を表す。
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
(*)は、発表日未定
出所)Bloomberg等、各種資料より当社経済調査部作成
7
: 投資環境ウィークリー
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商号等:
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金融商品取引業者
東海財務局長(金商)第 140 号
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お客様へのお知らせ
z
2010 年 4 月 5 日、トヨタファイナンシャルサービス証券株式会社は、東海東京証券
株式会社と合併しました。
z
合併により、トヨタファイナンシャルサービス証券株式会社の登録番号等は、以下の
通り変更となりました。
2010 年 4 月 5 日以降
商号等
登録
番号
東海東京証券株式会社
金融商品取引業者
東海財務局長(金商)第 140 号
加入
日本証券業協会
協会
(社)金融先物取引業協会
2010 年 4 月 4 日以前
トヨタファイナンシャルサービス証券
株式会社
金融商品取引業者
東海財務局長(金商)第 16 号
日本証券業協会
以上