園だより 2016.4.8 NO.1 麻生明星幼稚園 「おめでとう、恵まれた方。主があなたと 共におられる。」(ルカによる福音書1章28節) ○ご入園・ご進級おめでとうございます。 今年は雪どけも早く、心地よい日が続いています。子ども たちも4月からの新しい生活を夢見て、きらきらした瞳で幼 稚園への登園を楽しみにしていることでしょう。 ところで最近、幼児教育について学ぶうちに宮崎駿監督の作品から色々なことを 学んでいます。「魔女の宅急便」のテーマ曲の一節「小さい頃は 神様がいて 不 思議に夢を かなえてくれた」二番は「小さい頃は 神様がいて 不思議に夢を かなえてくれた」「毎日愛を 届けてくれた」と続きます。とてもよい歌詞です。 大人も子どもも引きつけるものがあります。それで注目したいのはこの映画が公開 されたのが1989年ということです。牧師園長として思うのは、今から約30年 前に思春期を迎えた者たちが小さな頃には心の中に神様がいて、夢と愛を届けてく れた。親の愛も十全に子に注がれている。その結果、子どもは非常に元気で前向き。 目に映るものはすべてがきらきらしていたという事実です。それに対して、同じジ ブリ作品の「千と千尋の神隠し」という作品があります。この映画の封切りは20 01年です。ここでは、あまりのびのびとしていない。何か不安をかかえている一 人の少女が主人公です。世界がおどろおどろしく見えています。父・母は子どもに 目をかけるというよりも「自分本位」な様子がみられます。そして何より「魔女の 宅急便」や「トトロ」の主人公の少女たちとは違って元気がないように見えます。 昭和30年代から平成に入るまでのかつての日本と現代の日本。その違いはどこ にあるのか。その解を宮崎駿は題名に仕込んだのだろうと思います。つまり「千と 千尋の神隠し」ですから、神が隠された現代日本。大いなる存在から愛や夢や希望 といったものが子どもたちの心に注がなくなった時代、さらに親が子ども中心では なく、「自分本位」。親中心。自分を中心に考えるようになった時代の子どもが抱え る課題を描いているようにも見えるのです。日本の国から神や仏の姿が隠れてしま ったその結果、子どもたちは「自分本位」で「愛がなく」誰も助けてはくれない世 界を生きている。さらにはトトロや魔法のようなきらきらした世界を失い、おどろ おどろしい世界を見ている。あまつさえ、親が豚に見えてしまう。それで子どもが まっすぐに果たして育つのだろうか。考えさせられているのです。 しかしながら、麻生明星幼稚園での教育の中心は「愛」です。神さまから愛され て、教師や友達や保護者の皆さん、地域が協力して子どもを愛し、助け、育んでい くことが教育目標です。明星幼稚園の子どもはたちは十全な愛の中で元気にまっす ぐに育っていくことでしょう。ご入園・ご進学おめでとうございます。皆さんの新 しい1年の出発の上に神さまの祝福を祈ります。麻生明星幼稚園 園長 久保哲哉
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