人工ふ化技術者 (IV) 人工ふ化放流事業の 効果があ ら われ, さげ資源は近年急激に 増加 し ,来遊状況も 種卵確保の時期に 変化してきた。 今回は来遊牧 況の推移と種卵の 適正な収容時期 について考えてみる。 540 ∼58 年度までの 会道におけ 奈良和イ覆 るさげ来遊 量 ( 図一 1) をみる S4lW モー 前半は 200-500 40 年後半は 500-1,000 万層であ っ 550 年前半は 1,000 ∼ 1,500 万 尾 , 万尾, S50 年後半には 2,000 万尾と 次第に増如し , S58 年度は 2,300 万屋 で毎年史上 最高の記録を 更新し続けている。 2000 1000 ら 40 4l 42 43 44 45 図 次に 549-58 度までは 9 月 ド @ 47 4 品 49 Ⅵ Ⅱ ㌍ ㏄ 54 元 56 町 甜 年度 さけ来遊 量 (合 道 ) 年度まで 旬 別に来遊状況の 推移 (図一 2) をみると, 554 年 卜旬 に小さな山はあ るが, 10 月 ド旬∼ 11 月上旬に大きな 山を持 つ傾向となっている。 旬∼ 9 月 46 しかし, S55 年度以降は双期の 来遊量が増大し 9 月中 旬に大きな山を 持ち, 10 戸上旬∼ 10 月中旬は減少し , 10 月下旬 - 11 月中旬にかけ 再び大きな山がくるという 完全に二つのピークを 持つ来遊 状 3.3 一 況 となっている 0 さ けは採卵受精した 時期により,その 稚魚が親になっで 河川 そヒ する時期 が決まる。 つまり,前期に 河川 そ Ⅱした親魚から 生産された稚魚は , 親にな って回帰する 時期もやはり 前期となる。 前期 群 の親 魚からは前期群の 資源し か造れず,後期 群 の親 魚からは後期群の 資源しか造れない。 同 - 年 級 でも 回 隔年齢が異なるので ,採卵受精された 時期の回帰を 4 年魚を主として 考える と, 5 年魚はそれよりも 1 旬程早 く, 3 年魚 は 1 旬程 遅く回帰することがあ る程度 確 められている。 S54 年以前の資源構造は , さけ定置漁業が終了した 後期になってから 主に種卵確保し ,再生産を繰り 返えしたため ,後期偏重ぎ みの傾向となっている。 S55 年度以降に双期の 来遊量が急増した 理由は, S 52 年度からさげ 定置漁業の双期における 自主規制を実施して 河川 そ ピさせ, それらの闘魚から 前期卵を多く 確保したのが 回帰したためであ ・ (図一 3 後期群の卵は 一般に成績が 悪く, 旬別 回帰率も前中期 群 に比べ著しく 低 卜 る。 4) することが調査課から 報告され,効率の 良い資源管理をするため , 計固 採卵 数に達した場合, 12 月中旬以降の 卵は確保しない 方針がとられた。 これは, S50 年度 河ハl内で再生産用以覚の 目的で親魚を 取り揚げる 特 々採の措置で , は 12 月 12H から金海区で 実施され 383,298 尼が取り揚げられた 0 551-54 度までは,採卵 数 が計画まで達していないため 行 なわれなかったが , 度は 12 月 21 宅, 日 以降 斜里 ・ 年 S55 年 藻琴 ・網走,寓目・ 湧別 ・十勝の 6 河川で 174,083 S55 年度は 12 月 5 口以降, 日本・ え りも以西海区・ 12 月 21 日 以降,オホ ーツク・根室・ え りも以東海区で 120 , 360 尾, S57 年度は 12 月 11 日以降, 日 本・根室・ え りも以東海区, 12 月 18 日以降オホーツク・ え りも以西海区で 15 4,121 尾, 558 年度は 12 月 1 日以降,日本,えりも以東・ え りも以西, 12 月 5 日以降,オホーツク・ 根室海区で 263,877 尾が取り揚げられた。 同一年の 旬別 捕獲数と旬 別 採卵数の変動は ,前期においては 捕獲のピーク 時を らせたも 採靭弛のノく ターン と ほぽ 一致してい 、 1 旬遅 ての パタ ーンが合わないのは 特 々採によるためであ る。 ふ化場に最終収容されたパターンは 図一 4 に示した 旬別 採卵数の他に 海産 卵 が加わり,本州・ 外国への移植 卵 が差し引かれたものが 最終となる。 また ふ化 室 ・養魚油・飼育 池 で生じる 卵 仔魚 ・稚魚の段階での 減耗があ るた ・ .3:4 一 2 サケ旬刊 棚来違 Ⅰ (全 Ⅰ ) 3 旬 図サ 田 @ 別 . 可 川棚 荻技 ( ) 金浦 35 図 4 サケ 句別 河川 桂弗穏 (全通 ) め ,実際に放流された 稚魚、 の採卵時期 別 パターンはさらに 変わったものとな 0 555 年度は 12月 J:旬 以降 778,375千粒を採卵したが ,そのうち 230,066千 粒を増収対策として 仮 収容施設等に 収容し,無給餌放流を 行なったため 歩留 りも 50.5% と悪く,後期における 実質の有効な 放流数は極めて 少ない。 る 具体例として 図一 5 に示したように , 556 年度の河川捕獲数は 9 月 ド 同- 10月 L 旬に大きな山のあ る前期に片寄った 傾向になっている。 また後期の 12 月中旬にも小さな 山はあ るが, 特 々採の措置がとられているので ,この時期 の採卵数は捕獲数に 比べ少ない。 この年の仮収容 卵 数は,河川卵 1,449,490 千粒,海産卵65,855千粒の計 1,515,345千粒であ り,そのうち 本州移植に 20 6.210 千粒・外国移植 に 2,813 千粒が移出と 口は特 々 採分 月 芯部分は放流数 M ト一 9 月一十一 l 月一 -◆ -.一 11 月 -一 ト一 12 月一Ⅰ 図 5 「 なり,最終収容は 1,30 6,322 千粒となってい る。卵から稚魚、 までの 歩留りが 82.7% であ り,放流数は 1,079,89 3 千 尾 であ る。 ニの放流数を採卵時 期別に整理した 調査課 の資料によると ,前期 は捕獲の " ターンをⅠ 旬遅らせたものとほ ぽ 一致するが, 遣 外核 殖 を後期卵から主として だしているため ,前期に比べ 後期の割合がさらに 低くなっている。 この採卵 時期 別 稚魚放流数は ,各事業場から 報告される年度ふ 化放流成績を 河川別に 整理し直し,飼育成績・ 稚魚輸送成績等を 参考にしながら 作られるもので , 現在調査課で 旬別 来遊量 予報値をだすための 貴重な資料となっている。 図一 4 に示した採卵 " ターンは全道一本に 取りまとめたものであ り,各地 区によっては 前期あ るいは後期のみに 片寄っている 所もあるので,直後 卵 あ るいは 発眼卵で ,バランスがとれるように 道内でも移植による 調整を行なっ ている。 3f 一 558 年度のさげ最終収容 卵 数は 1,419,541 千粒で う ち 245,942 千粒が,前期 卵の多い H 本 海中部・根室地区から 前期卯の少ないオホーツク・ 道南地区へ 均衡を保つため 移植された。 最終収容卯の 採卵時期別の 比率は前期 卵 (10 月 中旬以前 ) 55.2%, 旬以後 ) 7.6% 01,146,763 ・ 仮 収容施設 ¥A ケ 所の計 143 ケ 所で行なわれた。 ト ・ で 史 Ⅱ最高 食 道の施設能力 3 , 31 現在 ) は,ふ化窒で1,945,900 千粒・養魚油 で 1,329.200 千里 であ るが,飼育池は 727,100 千 尾と 不足であ - 後期 卵 (11 月 千尾を放流した。 卯の収容は, 回営 36 事業場・道管 6 文場・民 営 87 収容 場 (559, 中期 卵 (10 月 卜旬 ∼ 11 月中旬 ) 37.2%, となっている。 卵から稚魚、までの歩留りは 80.8% るため, 仮 収容施設や河川内を 部仕切って飼育場所として 利用するなどの 補充がとられている。 前期卵を多くかかえることに よ り,当然放流適期まで 長期間の飼育が 必要 となり,限られた 用水と施設能力の 中では,稚魚の 成長につれ飼育環境が 悪 化しないように ,放流適期前に 間引きを伴 ば ならない。 前期 卵は , う 調整放流も一部行なって ゆかね さけ定置漁業の操業開始時期の 規制であ る程度調整 は可能であ るが,操業中期の 規制は漁業者の 協力が得られにくいため ,一番 必要な中期卯の 確保は難しい。 さ けの品質 向 」こを図る銀位対策のため,後期 群を少なくし 前期群の稚魚を 多く生産する 傾向にあ るが,中期に 来遊ピーク のあ る正規分布地の 資源構造にすることが 望ましく,そのためには ,今後中 期卵を確保する 手段を講じて ゆ か れば ならない。 あ るふ化場でのふ 化・飼育用水の 水温水量・飼育池の 面積・またその 地区 における放流適期間はすでに 決まっている。 よって卵の収容時期と 量により, いつから飼育が 始まり,飼育密度が 限界になる時期も 予測がつくので ,片寄 った収容をすると ,無理な飼育管理や 調整放流をやむを 得ず行なって ゆかね はならない。 ふ化場が求めるものは 単に施設能力の 増 づ 放流 数 の増 づ回帰島 の増という流れではな さけの自然界での 生活史のごく 一期間をいかに 効 率良く人工管理し ,あとは自然界の 力を充分生かし 最大の回帰量を 得る,い わ ぱ 回帰率を高める 技術であ ろうと思 う 。 (事業第二課 317 一 )
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