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欧州議会が欧州単一特許に関する欧州規則案を採決
2012 年 12 月 11 日、欧州議会は欧州単一特許規則案、同特許の翻訳言語規則案、及び
EU の特許裁判所 (統一特許裁判所) に関する協定案を採択した。
欧州単一特許、あるいは単一的効果を持つ特許とも称される、は、(単一特許に最初か
ら不参加を表明し、反対している)イタリアとスペインは今回の案も拒否しているので
、その他の EU 加盟国 25 カ国で等しく有効となる特許である。従って、同特許の譲渡、
減縮、取り消し、消滅の効果は 25 カ国に等しく及ぶ。
単一特許の交付手続きは欧州特許庁(EPO)で行われる。欧州特許庁で行われる手続きは
従来通りの EP 特許に関する手続きであって、EP 特許交付の段階で、特許権者は、従来
の国別の移行のほかに単一特許として EP 特許を登録する可能性を新たに与えられる。
将来的には単一特許は欧州特許庁から交付されたままの形で翻訳の必要なく有効となる。
しかし、最初の数年間(過渡期間)は、英語で交付された単一特許に対してはフランス語
かドイツ語への翻訳が必要となる。ただしスペインとイタリアは今のところこの取り決
めに参加しないはずので、現行どおり EP 特許をイタリア語、スペイン語に翻訳し、EP
特許の移行を行う必要がある。
単一特許の維持年金は欧州特許庁に支払う。維持年金額は現在のところ未定。これから
決められる維持年金額が、単一特許 (25 カ国で有効) を選択するか、従来どおり EP 特
許を必要な国にのみ移行するか、を特許権者が選択するときの重要な決定要素になるこ
とが予想される。
統一特許裁判所は創設される単一特許だけでなく、従来の EP 特許、及び共同体補足保
護証明書(SPC)に関する紛争について管轄権を持つ。当事者は従来のように国ごとに訴
えを起こすかわりに統一特許裁判所に訴えることでその特許または SPC が有効な国にお
いて等しく有効な判決を受けることができるようになる。(ただし EP 特許については
、統一特許裁判所協定が批准されてから 7 年間の過渡期間中は統一特許裁判所の管轄を
選択しなくてもよい権利が与えられる/協定案 58 条)
統一特許裁判所の一審はその中央執行部をパリに、さらに支部をロンドンとミュンヘン
に置く。その他に協定加盟国の要請により国または地域に一審裁判所を設けることが認
められる。控訴審はルクセンブルグに設置される。統一特許裁判所は侵害訴訟と無効訴
訟を取り扱う。統一特許裁判所協定案は裁判手続き、管轄権、言語について取り決めて
いる。
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統一特許裁判所協定案は 2014 年 1 月 1 日、若しくは英国、ドイツ、フランスを含む 13
カ国による批准がなされてから 4 ヵ月後のいずれか遅いほうの日付に発効し、その際に
単一特許に関する EU 規則及び翻訳言語に関する EU 規則も正式に発効する。(13 カ国
の批准が 2014 年 1 月 1 日に実現する可能性については疑問があろう)
Jean-Jacques JOLY © Cabinet Beau de Loménie - 2013 年 1 月
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