公衆衛生医師のやりがいについて

公衆衛生医師のやりがいについて
このページを開いてくださった方に、お伝えしたいことがあります。
東大阪市保健所で働く医師 5 人に聞いてみました。
◇公衆衛生医師になったきっかけは?
大阪府から、東大阪市へ出向中の保健師長さんに、誘われたことがきっかけです。
◇どんなことがやりがいになりましたか?
当時の母子保健は
母と子の健康を守る制度と
言い換えられていました。子どもは未来から
の使者、という言葉が大好きで、小児科を選んだので、母と子の健康を守るという言葉は魅力的
でした。保健所の中に居ると、医療だけでなく、親の生育歴、家族構成、育児・家事という文化、
趣味、嗜好、教育、経済力、社会性、地域性などいろいろな要素が
子どもを形成していくとい
う様子が、まざまざとわかります。
◇公衆衛生に関心を持つ医師にお伝えしたいことは?
保健所・保健センターの現場には 現場の智恵と工夫があります。一度のぞいてみませんか?
◇公衆衛生医師のやりがいは?
医学生の頃、大学の公衆衛生学の中川米蔵教授の書物を読み、古代中国の言葉に「小医は病を
癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す」に感銘をおぼえました。国や地方自治体の政策によっ
て国民の健康状態は大きな影響を受けます。最近の話題では予防接種での麻疹風疹の排除に向け
た全国的な取り組みの中で、
「わが市の接種率をいかに上げていくか?」医師会・教育委員会の協
力を得ながら、未受診者へのダイレクトメールによる呼びかけに取り組み、成果を上げることが
できました。
◇公衆衛生医師になったきっかけは?
大学および関連病院での 20 数年間臨床医としての業務以外に、保健所業務にも少し関心があっ
たためです。
◇どんなことがやりがいになりましたか?
当初は、行政組織の担う業務とりわけ保健所業務に慣れるまで、戸惑いの日々の連続でした。
そういった中、結核研究所での研修は、ある意味、感染症に対する心構えをリセットされたよう
な強いインパクトがありました。また、疫学関係の研修にも参加させていただき、外来診療の場
ではなかなか意識できていなかった疾患に対する諸種の解析手段についても体得する機会となり
ました。現在、保健センターでの管理医師としての役割を担って日々業務に従事していますが、
これまでの臨床経験を無駄にせず、健診業務に活かせるように心がけています。その中で市民の
方から感謝していただけることを励みにこれからも日々精進していきたい所存です。
◇公衆衛生に関心を持つ医師にお伝えしたいことは?
臨床医にはできない公衆衛生医師ならではの魅力を是非実感してください。やる気があれば、
その魅力は何倍にも広がります。
◇公衆衛生医師になったきっかけは?
元気な子どもが元気な大人になるための仕事をしたいと思ったからです。
◇どんなことがやりがいになりましたか?
専門外来において大阪府下でいち早くクラミジア抗原検査を採用していただけたことです。そ
れまでは抗体検査が主流でした。HIV の検査で採血をするので同じ検体でできるという点で採用
されていたのですが、クラミジア抗原検査は現在感染しているかどうかをみるので治療につなげ
やすい。また、尿を検体とするので検査を受ける方が苦痛を伴わずにすむという利点がありまし
た。専門職としてエビデンスに基づいた対策を市民に提供できたということがやりがいにつなが
りました。
◇公衆衛生に関心を持つ医師にお伝えしたいことは?
医師の目で質の高いサービスを市民に提供できる仕事なので、ぜひ関心を持ってほしいです。
では最後に真打登場!わが市の歯科医師からも熱いメッセージをいただきたいと思います。
◇公衆衛生医師を思案中の医師の方へ
古くから医師の仕事といえば、普通は聴診器やメスを持つことが一番に考えられてきました。
確かに、目の前に患っている人がおられる場合に、その人が回復するようにしてあげたいという
思いは大切ですが、社会全体を見ると、人々の健康上の問題は、それだけでは解決しにくい場合
があることも事実です。
例えとして、川の下流で水に溺れかかっている人が助けを求めていて、さらにそういう人が上
流から次々に流されて来ているとしたら、目の前の人の手当てだけではなく、上流で何が起きて
いるのか考えて対応することも必要なのだと、言われます。
総じて言えば、公衆衛生の医師は地域全体の健康課題の解決に向けて手筈を整える仕事に携わ
っていると考えられます。患者さんが回復されて、直接「ありがとう」の声が聴ける診療部門と
は、また違った達成感に浸れる分野なのです。
私自身は歯科医師であり、医師とは少し違うポジションですが、大学卒業後、母校の歯学部付
属病院・予防歯科(当時)に数年勤務して、
「むし歯の洪水時代」あるいは 8005(ハチマル・マルゴ、80
歳の人の自前の歯が平均 5 本)だった頃に、歯の修復・補綴も大切だが、それだけでは埒が明か
ないと感じ、予防歯科的な仕事ができる職場として、保健所を選びました。公衆衛生医師の方の
視点と相通ずるものがあると思うのです。
東大阪市は、大阪府からの保健所移管を受けて既に 30 年余りが経過し、先輩公衆衛生医師が積
み上げてこられた数々の手法だけでなく、スピリットを継承してくださる医師の方を求めていま
す。
東大阪市では、歯科医師を含む 5 人の医師が、医療技術系、事務系職員とともに、仲良く業務
に励んでいます!
公衆衛生医師を目指す方は、是非東大阪市の門をたたいてください!