電子ビーム露光による3次元ナノ構造構築支援

東工大による文部科学省ナノテクノロジー
総合支援プロジェクト
“電子ビーム露光による3次元ナノ構造構築支援”
宮本恭幸†、荒井滋久††
†
東京工業大学 電子物理工学専攻
東京工業大学 量子効果エレクトロニクス研究センター
††
はじめに
ブイオンエッチング装置(サムコインターナ
支援事業に用いる装置
ショナルRIE-10NR 3台)
、構造観察用に高解
最近、産業界における新しいブレークスルー
東工大では、1977年に日本電子製電子ビーム
像度走査型電子顕微鏡(日立製作所製S-5200
としてナノテクノロジーが注目されている。
露光装置JBX-5Aを導入して電子ビームによる
1台、S-5000 2台)
、触針式段差計(KLAテン
ナノテクノロジーの研究は、広範な研究分野
微細加工を開始し、半導体レーザ内に仕込ま
コール社製アルファステップ500)、原子間力
に広がっている一方、研究者個人では整備や
れた位相シフトを組み込んだ周期構造による
顕微鏡(デジタルインスツルメント社製ナノ
維持の難しい大型・特殊な施設・設備を要求
波長フィルタ2)などを報告してきた。その後、
スコープII)などの作製・評価装置も利用可能
されることがあるのも事実である。そこで文
1988年に文部科学省特別設備費として日本電
である。
部科学省は、そのような大型・特殊な施設・
子製電子ビーム露光装置JBX-5DIIを導入し、
設備とその活用経験を有する機関が最先端の
周期70nmのInPグレーティング3)や量子細線を
ナノテクノロジー研究に携わる産学官の外部
活性層とするレーザ4)などを報告してきた。
研究者に対して施設・設備の利用の機会を提
JBX-5DIIは、1994年には電子銃を電界放射型
供することで、潜在的アイデアの実現を支援
に変更し、1996年には測長系を従来の5nmの
電子ビーム露光による微細パターンの形成
するナノテクノロジー総合支援プロジェクト1)
分解能から0.6nm(λ/1024)に改善するなどの
は、電子照射によって化学的性質の変わるレ
を平成14年度から発足させ、公募を行った。
部分的更新をくり返し、最小ビーム径4nmを
ジストという薄膜を試料上に塗布した後、電
具体的に提示された支援事業は以下の4つで
ビーム電流20pAで実現できる加速電圧50keV
子ビーム露光、化学薬品による現像を行い、
ある。
の露光装置としては世界最高水準の性能を保
さらにそのレジストパターンを蒸着やエッチ
超高圧透過型電子顕微鏡を活用した解析支
っている。また、1996年に文部科学省施設整
ングによって金属や半導体、絶縁物などへ転
援
備 費 に よ り 同 じ 基 本 性 能( 最 小 ビ ー ム 径 4
写していく。
●
ナノレベルでの極微細加工・造形支援
nm@ビーム電流20pA、位置分解能0.6nm)を
ここで、微細レジストパターンのサイズがそ
●
放射光を活用した解析支援
持つ日本電子製JBX-6000FSがJBX-5Aの更新
の後の微細構造のサイズを決定することは言
分子・物質総合合成・解析支援
として導入され、世界最高水準の直接露光用
うまでもない。ただ細線幅自身はその後エッ
ポイントビーム露光装置を二台持つという、
チングなどを追加するなどプロセスによって
他に例を見ない我々の機関の特徴が形づくら
狭められる可能性があることから、細線を描
れた。
く能力として重要なのは周期構造の場合の周
ただし、ナノレベルでの造形支援を行うと言
期や線幅の均一性等になりつつある。周期の
うことは、ただ単にレジストパターンの形成
限界としては、無機レジストでは周期10nm以
だけでなく、後に示すように薄膜への転写技
下5)も実現されているが、通常用いられる有機
術および観察も含んでいる。薄膜成長装置と
レジストの場合、高分子の大きさや密着性な
して、InP系横型減圧有機金属気相成長装置
どの電子ビームのサイズ以外の要因で決まっ
(日本酸素製HR-3246)、シリコン酸化膜形成
ているところが大きく、レジストの選択が重
用のプラズマCVD装置(サムコインターナシ
要である。現時点でもっとも細いパターンが
ョナル PD-240 1台)
、ロードロックチャン
描画できる有機レジストは、NECが開発した
バ付き6連電子銃蒸着器(エイコーエンジニア
ネガ型レジストであるカリックスアレーンレ
リング製)、エッチング装置としてリアクテ
ジスト6)であろう。そこで、我々はカリックス
●
●
東京工業大学量子効果エレトロニクス研究セ
ンターは、 電子ビーム露光を用いた微細加工
技術の実績を元に、ナノレベルでの極微細加
工・造形支援事業に“電子ビーム露光による3
次元ナノ構造構築支援 ”と題する支援を提案
し、支援機関として選定された。ここでは、
この支援事業を支える我々の微細加工技術
と、どのような支援が実際に行われるかにつ
いて説明したい。
〒152-8552
東京都目黒区大岡山2-12-1
E-mail : [email protected]
支援を支える極微細パターン構造
作製技術
日本電子ニュース Vol.35 No.1 11(2003)
(11)
Fig. 2 周期50nmのアスペクト比2以上のレジストパターン
Fig. 1 周期25nmのカリックスアレーン・レジストパターン
真7)をFig. 3に示す。また、Fig. 2で示したレ
る。このとき2本の細線を合わせた実効コレ
た。Fig. 1 に、25nm周期 の場合のレジスト
ジスト構造に金属蒸着を行い、その後有機レ
クタ幅は0.3μmである。
パターンの走査型電子顕微鏡写真を示す。
ジストを溶液中で溶解させて、その上につい
我々の知る限り、高分子レジストパターンと
た金属ごと取り除くリフトオフプロセスを使
しては世界最小周期である。一方、描くパタ
えば、周期50nmでアスペクト比約1の微細金
ーンによっては電子線の照射した部分が残る
属周期構造を形成可能である。このような微
ネガ型レジストではなく、照射部分がとれる
細構造でも電子ビーム露光では任意の形状を
微細構造を実際に半導体レーザへ応用した例
ポジ型レジストの方が好ましい。典型的なポ
描かせることが当然可能である。引き出し電
として、20nm程度の幅の活性層により効率な
ジ型電子線レジストであるPMMAでも、周期
極用のパッドと共にメサ上に形成された周期
どの特性改善が行える量子細線レーザ 12)や、
アレーンレジストを周期構造へ応用してみ
7)
8)
デバイスへの応用経験
を基にしたアドバイスの提供
30nmのレジストパターン形成 を我々は確認
80nmの微細電極構造をFig. 4 に示す。一方、
半導体を深くエッチングした周期構造をミラ
している。ただ、一般的に周期を微細にした
エッチング後に高いアスペクト比を持った構
ーとする単一モードレーザの実現10)などを行
場合は、レジストの膜厚も薄くなるのが通常
造を形成しようとした場合、ドライエッチン
ってきた。電流注入による室温でのレーザ発
であり、その後の転写に問題が起こる場合も
グが必要となる。半導体レーザの反射鏡を構
振動作を確認しており、量子細線レーザでは
多い。アスペクト比(パターンの高さ対横幅
成するための異方性の高いドライエッチング
量子効果による波長シフトも確認している。
の比)優先として50nm周期(25nmのライン&
条件を用いて形成したGaInAsP/InPピラー構
これらの光通信用光デバイスの中核である半
スペース)のレジストパターンを作製した場
造をFig. 5 に示す。図に示すように、周期
導体レーザへの応用を元に、光デバイス関係
合は、Fig. 2に示すようにアスペクト比2以上
240nmにおいて、3.5μmというアスペクト比
への幅広いアドバイスも作製支援時に提供可
9)
のパターンが作製可能である。さらに、ドラ
約30の構造形成 が可能である。
能である。
イエッチング耐性や露光時間短縮のための感
さらに、微細パターン形成を一回行うだけで
微細構造を実際に電子デバイスへ応用した例
度などを含めてZEP-520、SAL-601など様々な
なく、多数回繰り返すことで、任意の形状を
として、半導体中の電子を波としてとらえる
電子線レジストなどを使い分けて使用してい
持つ3次元ナノ構造の形成が可能となる。半
ための複雑な微細構造の形成13)、世界最小幅
る。
導体の極微細構造形成においては、埋込み再
のヘテロ接合バイポーラトランジスタ14)、先
先に述べた様にレジストパターンの膜厚が微
成長を行うことで量子細線構造などの形成が
に示した微細な金属細線を埋め込むことで世
細構造では薄くなることから、その後の転写
可能となる。多数回の極微細露光を繰り返す
界最小のベースコレクタ総容量を持つヘテロ
プロセスもナノ構造作製においてはキープロ
場合、相互の位置合わせが必要であるが、電
接合バイポーラトランジスタ 11) 、ゲート幅
セスとなる。現時点で我々が得ているもっと
子ビーム露光での位置合わせのためのマーク
25nmのショットキーMOSFET構造15)や、チャ
も微細周期のパターンである周期25nmの構造
などに関して、結晶成長を間に挟んで形状劣
ネル幅5nmの縦型ショットキーMOSFET16)、
では、レジストと半導体とのエッチング選択
化しない構造に関する米国特許10)を有するな
100nm程度の窓内に結晶成長した共鳴トンネ
比の高いウェットエッチングと異種の半導体
ど、様々な経験を有している。例えば、その
ル構造ダイオード17)、単電子トランジスタ18)な
間の高い選択性と結晶面に対して強い異方性
ような繰り返しを経て、半導体中に埋め込ま
ど、様々な応用を行っている。全てのトラン
を持ったウェットエッチングの二種類の異な
れたタングステン細線をコレクタ電極とする
ジスタ/ダイオードで電圧-電流特性の測定を
るエッチングを組み合わせることで半導体へ
トランジスタ11)をFig. 6に示す。ヘテロ構造の
行っており、ヘテロ接合バイポーラトランジ
の転写を行っている。作製した高さ10nm、周
下に埋め込まれた金属細線がエミッタと位置
スタでは高周波特性も確認している。これら
期25nmのInP周期構造の走査型電子顕微鏡写
合わせされて作製されていることが観察でき
の電子デバイスへの応用を元に、アドバイス
(12)日本電子ニュース Vol.35 No.1 12(2003)
Fig. 3 周期25nmのInP周期構造の断面像
を含む広い範囲の作製支援が可能である。
支援の枠組
ナノテクノロジー総合支援プロジェクトで
は、事業経費が文部科学省から支援機関へ交
付されることから、無料で高度なナノテクノ
ロジー技術支援を行うことが基本原則であ
る。“潜在的アイデアを採り上げ、その実現
を機動的に支援し、その結果生じる知的財産
やさらにその先に期待される製品開発などを
通じて、国民生活を豊かにすること”を事業
全体での究極目標としており、学術的研究の
みならず、民間企業における新しい製品開発
を支援することも目的である。そこで、申込
み側のアイデア・知的財産権の保護にできる
だけ配慮した支援枠組を採ることとした。具
体的には以下の三つの支援形態がある。
技術代行
Fig. 4 周期80nmの微細電極構造。InPメサ上に形成され、電極引出し用パ
ッドと一体で構成されている
現に我々の知的寄与が必須となる。そのよう
子(株)で長い経験を持った電子顕微鏡関係の
な研究のための支援形態が共同研究である。
退職者を中心として5名を電子光学調整系研
ただし、我々の研究遂行能力には限りがある
究支援者として雇用することで、精度高い電
ことから、本支援事業のアドバイザーとなっ
子光学系の調整を可能としている。
ている教官の承諾が必須である。
一方、真空蒸着やドライエッチング/有機金
属気相成長法等の幅広い薄膜作製/加工技術
外部研究者の直接使用
が、3次元的構造作製には必要である、しか
電子ビーム露光装置の充分な知識を有する者
しながら、たとえば有機金属気相成長装置で
が直接装置を使用することを希望する場合、
は、メンテナンスには製造会社への依頼が可
および技術代行にも共同研究にも該当しない
能であるものの、歴史的に実用化が行われて
支援要請の場合は、利用時間のみ提供する。
から20年以下の歴史しかないことから、習熟
後者に関しては我々の研究分野外であるナノ
した技術者を雇用できる可能性が低い。また
バイオ分野などを想定している。この場合、
博士研究員などは研究を行えない支援事業と
導入材料系の装置への損傷可能性が無いこと
両立するのが難しい。そこで研究室の学生を
を確認の上、電子ビーム露光装置による描画、
非常勤で雇用する形にすることで研究支援体
電子顕微鏡による観察の両者のサービスのみ
制を構成している。これらの薄膜作製/加工
の提供となる。ただし、外部研究者が使用す
技術のみの支援事業受け入れは、学生による
る場合も、電子光学調整系などの装置操作に
非常勤支援者に過度の負担をかける可能性が
関しては後述の研究支援者が操作する。
あること、国費により無料で提供する業務が
民業圧迫などを引き起こす可能性があること
現在使用可能な電子線ビーム露光装置と加工
支援を要請する場合は、支援事業コーディネ
などから、行っていない。あくまでも電子ビ
装置を用いて、一般的に知られた手法により
ーターとなっている宮本恭幸宛に問い合わせ
ーム露光による微細加工とその転写を組み合
申込み者の要求に沿った微細パターンを形
/申込みを行う。申込み後、支援内容に応じ
わせた支援のみを扱うこととしている。
成・提供する。材料・形状などの変更に伴う
てセンターおよび関係教官7名から適切なプ
電子光学調整系研究支援者が電子ビーム露光
軽微な露光条件探索は本技術代行の一部とす
ロセス/デバイスのアドバイスを行うアドバ
および電子顕微鏡による観察を中核として支
る。知的所有権に関しては、覚書を交わすこ
イザーが選定され、支援内容の検討を担当す
援事業を行うためのフローチャートなどは本
とで我々の側からの知的所有権を主張しない
る。支援内容検討後、課題として採択されれ
支援事業のホームページ19)に掲載されている。
ことを確認する。同時に研究の秘密保守も確
ば、アドバイザーの指示/指導の下で、研究
認する。
支援者が実際の支援実務を行う。
共同研究
電子ビーム露光装置の電子光学系調整には熟
練度が必要なのは事実であり、特に10nm程度
申込みへの条件と現時点での
支援状況
ナノ構造を用いた新しいアイデアはあるが、
までビームを絞り込む場合には相当の熟練が
申込への制限は基本的には無い。また、先に
その具象化へのプロセスは明瞭でなく、我々
必要である。幸い、電子光学系に関しては日
も述べたように使用料などは発生せずに無料
が有する既存の技術でも難しい場合、その実
本の工業界は長い歴史を有しており、日本電
である。消耗品なども一般的なものは支援事
日本電子ニュース Vol.35 No.1 13(2003)
(13)
GalnAs 50nm
InP 50nm
GalnAs 110nm
InP 200nm
3.5m
Tungsten
500 nm
(a)
1.5m
Fig. 5 半導体を深くエッチングした周期構造によるレーザ用ミラー構造
周期240nm。ピラーの高さは3.5μmある
Base
Emitter
Wiress
Collector
Dummy mesa
4 m
(b)
Fig. 6 周期0.2μmの金属細線をコレクタとするHBT構造 (a)金属細線埋め込み後の断面像。金属上に平坦なヘテロ界面
が確認できる
(b)金属細線が2本の場合の電極形成後のSEM観察像。エミッタ
構造が金属細線と位置あわせされ形成されている
Table 1 平成14年度の支援先一覧表
支援申込者
申込課題
支援形態
日本電気
ドライエッチ回折格子を有する光集積デバイスの研究
技術代行
東工大・理工・電子物理工学専攻・真島研
電子ビーム露光を用いたナノ分子デバイスの試作に関する研究
共同研究
松下電器産業
電子ビーム露光による次世代光デバイス用微細パターンの作製支援
技術代行
富士電機
大面積・微細構造体の作製技術の研究
技術代行
産総研
微小ギャップFETパターンの形成
外部研究者の直接使用
東工大・総理工・青柳研
量子相関素子をめざしたナノ構造の形成
技術代行
通信総研
共鳴トンネル型量子効果サブミリ波デバイスの作製とその性能評価 共同研究
群馬大学・電気電子工学科・大畠昭子
単一電子効果を用いたデジタルイメージセンサ
共同研究
東工大・理工・物性物理学専攻・南研
低密度量子ドット顕微分光スペクトル測定の為のマスク作製
技術代行
三菱ガス化学
新規電子線レジストの開発
技術代行
三洋電機株式会社
微細パターンの形状評価
技術代行
ソニー
電子ビーム用レジストの微細パターン形成
共同研究
(14)日本電子ニュース Vol.35 No.1 14(2003)
9.
J. Wiedmann, M. M. Raj, K. Ebihara, K.
業側が負担する。数少ない条件は、大学院学
ジーの潜在的なアイデアが具象化や実用化に
生の場合は指導教官の、会社などの研究員の
結びつくこと、ひいては日本全体のナノテク
Matsui, S. Tamura and S. Arai, "Deeply
場合は上司の承認は確認すること程度であ
ノロジーが活性化されることを望んで本支援
etched semiconductor/benzocyclobutene
る。現時点では申込み頂き、遂行できそうな
事業を進めている。電子ビーム露光を使った
distributed Bragg reflector laser com-
ほとんど全ての課題に関して採択させて頂い
極微細構造を取り込んだアイデアを具象化す
bined with multiple cavities for 1.5-μm-
ている。ただ、国費による支援という事業形
るために本支援事業を活用していただければ
wavelength single-mode operation," Jpn. J.
態との整合性から、同じ学内や国外への支援
幸いである。
Appl. Phys., 40,. 4031 (2001).
10. "Alignment mark for electron beam
の割合が非常に多くならない様に量的な自主
lithography" US Patent, 6,424,052
規制は設けている。
11. Y. Miyamoto, T. Arai, S. Yamagami, K.
支援形態、支援申込み/修了後の報告書など、
必要な書類は本支援事業のホームページ19)か
Matsuda and K. Furuya, "Evaluation of
らダウンロードが可能である。またホームペ
base-collector capacitance in submicron
ージには申込時での『よくある質問とその回
buried metal heterojunction bipolar tran-
答集』
(電子ビーム露光法の制約などの説明も
sistors", Int. Conf. on Solid State Devices
含む)なども掲載しており、支援申込みに興
and Materials, E-1-4, Nagoya, Sept., (2002).
味のある方は参照していただけるとありがた
12. H. Yagi, K. Muranushi, N. Nunoya, T.
い。
Sano, S. Tamura and S. Arai, "Low-Damage
本支援事業の提供を受けた場合の義務は、支
Etched/Regrown Interface of Strain-
援結果の公開である。各年度の事業修了後、
参考文献
Compensated GaInAsP/InP QuantumWire Laser Fabricated by CH4/H2 Dry
速やかに結果が公開することを原則としてい
る。さらに研究成果などの発表/実用化時に
1. 詳しくは文部科学省 ナノテクノロジー総
は、本支援事業を利用した成果である旨の記
合支援プロジェクトセンターのホームペ
述が必須であり、特許出願時にも連絡してい
ージ(http://www.nanonet.go.jp/japanese/
Etching and Regrowth," Appl. Phys. Lett., ,
81, 966, (2002)
13. Y. Miyamoto, H. Nakamura, Y. Ninomiya,
ただく。ただ、先にも述べたように、共同研
aboutus/project.html)を参照のこと。
H. Oguchi, N. Machida and K. Furuya,
究以外の支援事業では、申請者側の知的財産
2. S. Koentjoro, N. Eda, K. Furuya, Y.
"Current modulation in fine electrode by
権などはできるだけ保護する体制を作ってお
Suematsu, F. Koyama, T. Tanbun-Ek : 1.5
hot electron passing through GaInAs/InP
り、民間企業の技術開発にもお手伝いができ
μm phase-shifted DFB lasers for single
double slits", Int. Conf. on Indium
るように配慮したつもりである。年度末の公
mode operation", Electron. Lett., 20, 391,
Phosphide and Related Materials, PII-24,
開についても、保護が必要な場合などは、題
(1984).
Stockholm, Sweden, May (2002).
名と支援申込者名のみの公開により詳細公開
3. E. Inamura, S. Tamura, Y. Miyamoto, K.
を一年間猶予する制度がある。なお、支援に
Furuya and Y. Suematsu, "Very fine cor-
Miyamoto and K. Furuya, "Fabrication of
よって作製した試料そのものを販売すること
rugations formed on InP by wet chemical
InP/GaInAs Double Heterojunction Bipolar
は、本事業の性質上、禁止している。
etching and electron beam lithography",
Transistors with 0.1-μm-Wide Emitter"
平成14年度は、12件の支援を実施した。支援
Electron. Lett., 25, 238, (1989).
M. Cao, Y. Miyake, S. Tamura, H. Hirayama,
S. Arai, Y. Suematsu and Y. Miyamoto,
"Lasing action in GaInAs/GaInAsP quantum-wire structure", Trans. IEICE of
Japan, E73, 63, (1990).
W. Langheinrich, and H. Beneking,
"Fabriction of metallic structures in the 10
nm region using an inorganic electron
beam resist", Jpn. J. Appl. Phys. , 32,
6218(1993).
J. Fujita, Y. Ohnishi, Y. Ochial and S.
Matsui, "Ultrahigh resolution of calixarene
negative resist in electron beam lithography", Appl. Phys. Lett., 68, 1297, (1996)
Y. Miyamoto, A. Kokubo, T. Hattori, H.
Hongo, M. Suhara and K. Furuya, "25 nm
pitch GaInAs/InP buried structure:
Improvement by calixarene as EB resist
and TBP as P-source in OMVPE regrowth",
J. Vac. Sci. Technol. B, 16, 3894, (1998).
H. Hongo, Y. Miyamoto, J. Suzuki, M.
Funayama, T. Morita and K. Furuya
"Ultrafine fabrication technique for hot
electron interference/diffraction devices",
Jpn. J. Appl. Phys., 33, 925, (1994).
実施対象機関は、大学が4件(内3件は東工大
4.
学内)
、公的研究機関が2件、企業が6件である。
また、支援形態は共同研究が4件、装置直接
利用が1件、技術代行が7件であった。平成14
年度の支援状況をTable 1に示す。平成15年は
未だ始まってから3ヶ月に満たない執筆時点
5.
で、既に11件の支援を修了/遂行中であり、さ
らに3件の新たな申込みを頂いている。支援
事業そのものも、初年度であった平成14年度
は、各種契約、雇用後のトレーニング・支援
の流れの具象化などに大きな時間が割かれ、
6.
当初予定していたほどの支援ができなかった
部分があるが、今年度は軌道に乗り、順調に
支援事業が行われている。本支援事業は5年
間の予定であり、今後平成18年度まで今の形
7.
態で続けられる予定である。
まとめ
平成14年度から発足した東京工業大学による
文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジ
ェクト“電子ビーム露光による3次元ナノ構造
構築支援”に関して、その支援事業を支える
我々のナノ構造作製技術と支援形態などにつ
いての説明を行った。研究者のナノテクノロ
8.
14. T. Morita, T. Arai, H. Nagatsuka, Y.
Jpn. J. Appl. Phys., 41, L121 (2002).
15. A. Itoh, M. Saitoh and M. Asada, "A 25nm-long Channel Metal-Gate p-Type
Schottky Source/Drain Metal-OxideSemiconductor Field Effect Transistor on
Separation-by-Implanted-Oxygen Substrate",
Jpn. J. Appl. Phys., 39, 4757, (2000).
16. M. Tsutsui and M. Asada: "Dependence of
Drain Current on Gate Oxide Thickness
of p-type Vertical PtSi Schottky Source/
Drain MOSFETs", Jpn. J.Appl. Phys., 41,
54, (2002).
17. M. Watanabe, T. Ishikawa, M. Matsuda, T.
Kanazawa and M. Asada, "Room
Temperature Negative Differential
Resistance of CdF2/CaF2 Resonant
Tunneling Diode grown on Si(100) substrate using Nanoarea Local Epitaxy," 44th
Electronic Materials Conf. Z5, Santa
Barbara, U. S. A., June (2002)
18. K. Nishiguchi and S. Oda,"Self-aligned double-gate single-electron transistor derived
from 0.12-μm-scale electron-beam lithography", Appl. Phys. Lett., 78, 2070 (2001).
19. http://www.pe.titech.ac.jp/rcqee/nano_
support/index-j.html
日本電子ニュース Vol.35 No.1 15(2003)
(15)