原田智弘/アレックスインターナショナル ヨーロッパ

原田智弘/アレックスインターナショナル
ヨーロッパ研修ツアー
(平成 16 年4月 14 日∼4月 24 日)
訪問国:ドイツ、イギリス(利用航空会社 KE)
主な訪問都市:フランクフルト、ミュンヘン、ベルリン、ウインダミア(英国湖水地方)
旅行の趣旨:今回訪問しているところは、いわゆる一般的な観光コースとしてすでに多く
のツアーが作られているが、そうした一般的な観光ツアーではなく今回はハ
イキングを目的としたツアーを想定している。単に列車、バス、船に乗って
観光するだけではなく、その中で自分の足で極力歩いていかに楽しめるか、
新しい発見ができるかがテーマとなっている。また、Hotel Train 等を利用し
た快適な旅と時間の節約がどのように実感でき、ツアーに生かすことができ
るかが、もう一つのテーマでもある。
4月 14 日(水)
フランクフルト空港へ到着。すでに 17 時を過ぎているので、すぐに空港駅 DB 窓口でユー
レイルパスの Validate を済ませて、空港駅から中央駅に移動する(10 分弱)。このわずか
な区間でパスを利用するのももったいなかったが、今回の旅行期間が 11 日間であり、頂い
たユーレイルフレキシーパスが15日間有効のものであったので、使わせて頂いた。DB 窓
口でベルリンまでとベルリンからパリ間のホテルトレインの予約を済ませる。どちらもシ
ングルのシャワー付スリーパーを難なく予約できた。19 時頃ホテルにチェックイン。今回
は時間を節約するため行程中のすべてのホテルを事前に予約していった。荷物の移動をス
ムーズにするため、極力駅に近いホテルを予約している。
4月 15 日
今日は、ライン川クルーズを含めたハイキングが目的である。通常時間に余裕のないツ
アーで利用するリューデスハイム∼ザンクト・ゴアルスハウゼン間のライン川遊覧船にも
乗るがあくまでもおまけ的な感覚。
まずは、フランクフルト中央駅から列車でザンクト・ゴアルスハウゼンまで移動する(途
中ヴィスバーデンで乗り換え、ここで列車はスイッチバックして座席の左右が逆となる)。
列車は貨物が主な右岸線を走る。リューデスハイムが近づくと、右手にワイン畑が延々と
続き、左手を見るとライン川に平行して走っているのが良くわかる。しばらくライン川を
眺めていると、まもなく右手頂上に2本の旗がたつローレライの岩が見えてくる。対岸に
バーゼルからの距離を示す 554 の番号があるが、列車内からはその数字を確認するのは容
易ではない。ローレライの岩を過ぎるとすぐに川の中州に“ローレライ伝説”の人魚の像
が見えてくる。列車のスピードは速く、うっかりしていると見逃してしまいそうである。
そしてすぐにザンクト・ゴアルスハウゼンの駅に到着する。
駅から5分程歩くとザンクト・ゴアルスハウゼンのライン川観光船船着場がある。通常
の観光ツアーは、ここまでバスで来て遊覧船に乗ることになる(またはその逆)。しばらく
川沿いを行き、途中で山道に入りローレライの岩の頂上を目指す。頂上にはビジターセン
ターやユースホステル、駐車場などもあり、かなり広い敷地である。ローレライクリフに
向かって小さな遊歩道が設けられており、ちょっとしたハイキングが楽しめる。崖のふち
辺りから下を見ると、ライン川を往来する観光船が見渡すことができ、川面からの景色と
はまったく違うすばらしい雄大な眺めである。丁度このローレライの岩付近でライン川は
左にカーブしており(浅瀬であることも手伝ってあの伝説ができた)、右岸にザンクト・ゴ
アルスハウゼンの町とその対岸のザンクト・ゴアの町も見渡せる。右手の崖の中腹には有
名な「ネコ城」もはっきりと見ることができる。
観光船から見上げるローレライの岩から、逆にライン川を見下ろすと、こんなにも違っ
たすばらしい景色に出会えるとは思ってもみなかった。しばらくライン川を見渡せる遊歩
道を歩いた後、すぐ下の車道まで階段を下り、ライン川沿いをザンクト・ゴアルスハウゼ
ンの船着場まで歩いて戻る。30 分ほど待って、リューデスハイム行きの遊覧船に乗る。こ
の区間はユーレイルパスを持っているとフリーパスとなる。船の手前で写真を撮っている
と、係員から出発するので早く乗るように促され、パスを見せることなくあわてて乗船し
た(パスを使って 悠々と乗船しようと思っていたが、これではまるで無賃乗船ではない
か!?)。天気も良く、2階のデッキは、白いチェアに座りのんびりと景色を楽しむ人で賑
わっていたが、4月ということもありそれほど混み合っているわけではない。風がまとも
に当たる2階のデッキでも寒さは感じず、むしろちょうどよい心地良さである。ある程度
の人数のグループで来ても好きなところに椅子を出して座れるだ。1階のレストランで食
事をしながら、周辺の町や古城の説明を聞いていると(ドイツ、フランス、イタリア、ス
ペイン語などの後に日本語での案内もある)、あっという間にリューデスハイムに到着した。
これで、往路は列車の車窓から、またローレライの岩山からライン川を見下ろし、そし
て復路は遊覧船で下り、さまざまな角度からライン川の観光を楽しむことができた。列車
の出発まで少し時間があるので、つぐみ横丁の店をのぞきながら通りの突き当りまで出て、
そのまま左折してリューデスハイムの駅まで歩く。通りはかなりの人で賑わっていたが、
この時期は日本人の観光客はまばらである。
シーズンは夏から秋と決めこまずに、比較的空いていて、さわやかなこの時期に訪れて
みてはどうだろう。ゴンドラに乗ってニーダーバルト記念碑まで行ってみようと思ったが、
時間があまりなく、すでにローレライの岩山からの眺望も楽しんだので今回はパスするこ
とにする。
リューデスハイム駅から列車に乗り、ヴィスバーデンで S バーンに乗り換えフランクフ
ルトへ戻る。S バーンはフランクフルト中央駅の地下に入り、そのまま中央駅を抜けて市内
中心部から郊外へ向かう列車もある。ヨーロッパの中央駅というと、終着駅で行き止まり
というイメージがあるが、そのまま乗車していれば地下鉄感覚で市内中心部へ移動できて
とても便利であった。この日もそのまま中央駅から2駅乗り、ハウプトヴァッヘまで出て
ショッピングストリートを見学する。デパートも 20 時ごろまで開いている。1996 年の閉
店法の改正で、祝日営業や平日も遅くまで営業できることになり、観光客にもありがたい
状況になった。
4月 16 日(金)
この日は、ヨーロッパバスでフランクフルトからミュンヘンまで終日ロマンティック街
道を巡る。
前日にヨーロッパバス発着所の前にある Deutsch Touring 社でバスの予約をしようとし
たが、予約の必要はなく、明日8時にここへ来れば良いということであった。しかし、6
∼8月は事前予約しておいた方が無難だと思う。乗車料金はユーレイルパス(ジャーマン
レイルパス)をもっていると 60%引きとなり、フランクフルト∼ミュンヘン間で 29 ユーロ
であった。
8時にフランクフルト駅前を出発。乗客は 12∼13 名といったところで国籍はさまざま。
出発前にバスのドライバーがある程度資料を配ってくれるが、これは日本の観光局でも手
に入るものであり、特に目新しいものはない(ヨーロッパバスの時刻表は日本では手に入
りにくいので数部貰っておく)。車内には水、清涼飲料水、ワイン等が販売されており、ド
ライバーに言えばいつでも買うことができる。また、車内の中ほどにトイレもあるが、ト
イレ休憩が頻繁にあるのでこれは非常時用と考えたほうがよいと思う。座席はどちらかと
言えば少し狭めで、座席そのものもデラックスとはいい難い。もし隣の席が空いていなく
て、一人一席で長時間座っていると、苦痛を覚えそうな感じであるが、4月は空いていて、
一人2席は十分に確保できる。
基本的にバスは南に向かっているため、午前中は左側席が完全に日光側となる。4月と
いえども日差しは結構強く、車窓からの景色を楽しむ旅であるため全面的にカーテンを閉
めるわけにもいかず、長時間の旅では日焼けしてしまうほどであるため、これは注意した
い。
経由地および停車、小休止、観光地を Touring 社の時刻表から抜粋。
FRANKFURT/WURZBURG/TAUBERBISCHOFSHEIM/LAUDA-KONIGSHOFEN/
BAD MERGENTHEIM/WEIKERSHEIM/ROTTINGEN/CREGLINGEN/ROTENBURG
O.D.T/SCHILINGSFURST/FEUCHTWANGEN/DINKELSBUHL/WALLERSTEIN/
NORDLINGEN/HARBURG/DONAUWARTH/AUGSBURG/MUNCHEN
12 時少し前に、バスはクレクリンゲンのヘルゴット教会に立ち寄る。ここはあのリーメ
ンシュナイダー作「聖母マリアの祭壇」があることで有名な場所であるが、このヨーロッ
パバスで立ち寄るとは、事前に気がつかなかった。後で時刻表を良く見ると CREGLINGEN
の横に小さく Herrgottskirche と記されていた。入場料を払って(ヨーロッパバスのチケ
ットを見せると、通常 155 ユーロが団体料金の1ユーロとなる)、中に入るとすぐ目の前に
「聖母マリアの祭壇」が飛び込んでくる。そして数十センチまで近づいて見ることができ、
その細部に渡る繊細な作りに本当に驚かされる。
12 時 50 分にローテンブルクに到着後、1 時間 40 分の休憩。この間、ローテンブルク旧
市街周辺のホテル視察と、周辺を軽く歩いてみる。城壁周辺やドッペル橋からブルク公園
までの道は景色がよく、ミニハイキングを楽しめるルートがいくつかある。あまり時間が
なかったので、マルクト広場にある市庁舎のマイスタートルンクの仕掛け時計は、今回は
見なかったが、通常は 11、12、1、2、3時などに見ることができる。マルクト広場は人
で混雑していたが、ここも日本人の姿はまばらである。そのすぐ側にある聖ヤコブ教会で
は、もう一つのリーメンシュナイダーの作品「聖血の祭壇」を見ることができる。広場の
階段に腰かけて、フランクフルト駅で買ったパンと果物で昼食を済ませて、バスに戻るこ
とにする。
フランクフルトから乗車したバスはフッセン行きで、ミュンヘンへ行く場合、昨年まで
はこのローテンブルクでの乗り換えであったが、今年からはアウグスブルクに変更になっ
ている。14 時 30 分に再びバスは出発。ディケンスビュールとネルトリンゲンで小休止した
後、17 時 30 分にアウグスブルク駅に到着。ここで先に来ていたミュンヘン行きのバスに乗
り換える。20 分後バスは出発し、19 時 20 分にミュンヘン駅に到着。
ミュンヘンでのホテルは、このヨーロッパバスが到着するミュンヘン駅の南側の道を挟
んだ、すぐ目の前にあるホテルルードヴィッヒを予約している。バスを降りて道を渡れば、
ものの1分ほどの距離である。外観はあまりパッとしないが、建物の中は、ロビーは広め
でソファーも多く、その奥にレストランがある。部屋も広めで、調度品も新しく全体的に
明るい感じがする。ビュフェスタイルの朝食は卵料理やソーセージなど、いわゆるホット
ミールもあり、このクラスのホテルにすれば、まあまあ良いほうの部類に入る。席数も多
くツアーで利用しても問題ないと感じる。
4月 17 日
この日は、ミュンヘン市内視察と午後からはブンデスリーガのサッカーを観戦する。昨
今、本場ヨーロッパの多くのチームに日本人選手が移籍していることもあり、ヨーロッパ
のサッカー観戦ツアー参加者も増えてきたと思われるので、通常の観光ツアーでも 1 日余
分に時間を設けて、サッカー観戦を OP でも取り入れてみるのも、おもしろいのではないか。
特にドイツの競技場は広く、ここミュンヘンのオリンピックスタジアムも6万 9000 人収
容で、優勝がかかる試合やダービーマッチ以外は当日券も十分あるので、予約の必要はな
く手軽に本場のサッカーを楽しむことができる。現在、バイエルンミュンヘンは、2006 年
ドイツワールドカップに向けて、新スタジアムを建設中とのこと(2005 年完成予定)。
7時 30 分ホテル発、ミュンヘン中央駅を視察する。ホームの辺りはフランクフルト中央
駅よりはシンプルな印象だか、裏側に店が多く、コインロッカーは数え切れないほどある。
大きさによって料金が異なり、1.5 ユーロ、3ユーロ,4ユーロ。一番大きなロッカーにはど
んな大きなスーツケースでも入りそうである。駅の2階に DB ラウンジがあるが、ジャー
マンレイルパスやユーレイルパス所持者はお断りとなっていて、パスでは利用できない。
どうしても利用したい場合は 10 ユーロ支払えば OK。
その後、駅前のインターネットカフェ(イージーインターネット)でメールをチェック
する。ここは、日本語表示にはなるが、日本語入力できないので閲覧のみとなる。自販機
で2ユーロを入れると、1時間 20 分の利用で、1度ログオフしても、再度来店して残存時
間があれば何度でも利用することができる。
その後、ノイハウザー通りをマリエン広場まで歩く。左手の路地を見ると双塔のあるフ
ラウエン教会が見えた。近くまで行ってみるとその大きさに驚かされる。まるでビルディ
ングを横に倒したような巨大さである。すぐその先に新市庁舎がある。ここはドイツ最大
の仕掛け時計で有名であるが、まだそれ(11 時)まで少し時間があるので、周辺の店を見
て回る。刃物で有名なヘンケルや鞄のアイグナー、ティファニーやプラダといったブラン
ドの店などが多くあり、半日くらいはショッピングでつぶれそうなほどである。三越の目
の前があの王室御用達の醸造所ホーフブロイハウスである。
そろそろ仕掛け時計の動き始める時間になったので、新市庁舎前の広場に行ってみると、
そこはすでに観光客で溢れており、ほとんどの人がカメラやビデオの用意をしている。時
間になると鐘の音が響き、しばらくすると二段になっている上側の人形が回り始め見物客
が一斉にカメラとビデオを構える。
仕掛け時計を見終えた後(10 分以上動いていた)、メール返信の必要があったので、S バ
ーンで2駅乗り、日本語入力ができるインターネットハウス「テイク・イン」へ立ち寄っ
た後、いったんマリエン広場まで戻りそこから U バーン(地下鉄)でオリンピックスタジ
アムへ移動する。
この間 S バーンの片側線路が何やら事故らしく不通になってしまったが、しばらくする
ともう片方の線路を使い交互に反対方向行きの列車を運行させていた。アナウンスも再三
あり、待たされたという気がしなかった。その手際の良さから何かあった時のシミュレー
ションが普段からきっちりできているなという印象を持った。何か問題が起こってもすぐ
に対処できないどこかの国の鉄道会社とは大きな違いで、是非見習ってもらいたいもので
ある。
キックオフまで 2 時間以上あるが、スタジアム周辺はすでに熱気をおびており、テラス
レストランでは、それぞれのサポーターがビールジョッキを片手に談笑している。日本と
は違ったこういう試合前の雰囲気を楽しめるのも海外サッカーの見所の一つではないかと
思う。試合中の応援風景も独特の雰囲気があり、本場のサッカーの試合と雰囲気を十分に
楽しめた。
帰りも U バーンを利用してミュンヘン駅まで戻ったが、ドイツの地下鉄は鉄道と同じく
改札がまったくなく、自由に乗り降りができるので(もちろん乗車前に自販機で切符を購
入する必要がある)、一見、皆、切符を持たずに乗っているのではと考えてしまうが、車内
で突然切符の抜き打ち検査があり、その時に切符を所持していなければ、普通運賃の 40 倍
程の罰金を払わされることになるようである。それにしても、地下鉄に改札がないという
のは本当に不思議な感じがする。
4月 18 日(日)
今日は、ドイツ最高峰ツークシュピッツェ(2964m)へ行く。本日の目的はハイキング
コースの視察である。夜は、DB ナハトツークでベルリンへ移動するため、ホテルをチェッ
クアウトし、荷物を駅のコインローカーに保管する。
8時09分、ミュンヘン駅発。
9時31分、ガルミッシュ・パルテンキルヘン着。
そこから登山電車でツークシュピッツェへ。登山電車駅ホームの端に大きな桜の木があ
り、今まさに満開を迎え大変きれいである。この登山電車は毎時 15 分に出発するが、途中
のアイブ湖駅で下車しゴンドラで頂上まで上がる方法と、登山電車終点のツークシュピッ
ツェ駅まで行き、そこからゴンドラで頂上へ行く 2 通りがある。時間的には前者の方が早
いが、登山電車に乗る時には天気は生憎曇っており、頂上付近もガスがかかっていたので、
まずはアイブ湖周辺を歩くことにする。
一周7kmのコースはほぼ平坦で、時計回りに行くと後半右手側からはツークスピッツ
ェをはじめ白い頂の山々が湖のすぐ上に聳え、湖面に映ったその姿と合わせ大変美しい。
これほど湖と山のコントラストがすばらしい景色が見える場所もなかなかないと思うので、
ここはゆっくりとハイキングを楽しみながら写真を撮る時間も十分に設けたい。山の頂き
付近に雪がまだたくさん残っていて山が大変美しく、この点も前述の桜とともに4月とい
う時期の良いところではないかと思う。
アイブ湖からゴンドラでツークシュピツェ山頂へ。展望レストランで昼食。昼食時はい
つもメニューに悩むことになるが(ソーセージやスパゲティばかりになりがちなので)、ど
こでも必ずパン付きスープがあるので、それを頼むことにする。これだと、それぞれの店
でスープの種類が違ってくるし、スープだけのメニューより量も多く、これにビールを注
文すれば十分な昼食となる。
その後、登山電車終点のツークシュピッツェ駅へゴンドラで下る(この間3分ほど)。こ
こはまだ多くの人がスキーを楽しんでおり、レストランにもスキーウエアを着た人でいっ
ぱいである。すぐに登山電車が出発し、二両連結の車両はほぼ満員であった。20 分ほどで
トンネルを抜け、さらに 20 分でアイブ湖へ到着。ここでほとんどの人が、下車していった
(駅のすぐ側にある駐車場に車を止めているためと思われる)。
そのままガルミッシュ・パルテンキルヘンへ。(所要 1 時間 20 分)。
16 時 10 分、ガルミッシュ・パルテンキルヘン発。
17 時 49 分、ミュンヘン駅着。
往路もそうであったが、列車の1等席は一見6人掛けのコンパートメントのようになっ
ているが、隣のコンパートメントとの仕切りはなく、通路側のみ一部ガラス張りになって
いて、あとは柱があるだけのかなりオープンなコンパートメントタイプと言える。
夜行列車出発までまだかなり時間があるので、S バーンでミュンヘン空港へ行ってみる。
ミュンヘン空港駅到着後、エスカレーターで2階へ。すぐにモニターがあり、出発便の
ターミナルへ移動できる。ちなみに LH は Terminal2 で、S バーンは Terminal1 に着くの
で、表示に従い T2へ移動する(結構距離がある)。再び S バーンでミュンヘン駅に戻り、
荷物をコインロッカーから取り出し、駅のレストラン(CHEKE INN)で夕食。
出発までまだ2時間ほどあるので、DB ラウンジの向かいにある待合所で休憩する。こう
いうときにパソコンを持っていると時間を有効に使えて便利である。また今回はヨーロッ
パ鉄道電子時刻表 CD-ROM 版を日本出発前にパソコンにインストールしていたので、すぐ
に乗り継ぎ列車の時間等を調べることができた。この時刻表はドイツが中心であるが、他
のヨーロッパ諸国もほとんど網羅しており、大変便利である。区間によってはトーマスク
ックの時刻表より詳しく出ていて、出発地と目的地を入れるだけで、表示もすこぶる早い。
出発 15 分前に NZ が入ってきたので、自分の車両番号を確認して乗車する。シングルの
スリーパーを予約しているが、部屋はダブルルームの一人利用で、すでに下段にベッドが
作られている。すぐに車掌が来て、ドイツ語でまくし立てる。チケットを預かることと明
日の朝食のことを言っているはわかるが、朝食の時間とウエイクアップコールの話になる
と、英語がまったくといっていいほど通じず、ようやく部屋に備え付けの電話が鳴り、6
時に朝食ということで納得(スリーパークラスは朝食付き)。車掌は出発まで 15 分しかな
く、すでに 23 時を過ぎているので一人ひとりの部屋を回って前述のようなことを確認する
のも大変だと思うが、列車をもう少し早くホームに入れればよいのに・・・、とも思う。
部屋の広さは一坪といったところか。プラス洗面・シャワールームがあるが、もし2人
利用でベッドの脇にスーツケースなど大きな荷物を2つ置くとなるとかなりスペースが厳
しい状況である。ベッドの幅は 50cmぐらいで、これだと丁度身体一つ分という感じで不
満はないが、以前6人用クシェットを利用したときには、上向きに寝ると右手が下に落ち
てしまい、しかも最上段の3段目で転落防止用の柵がなにもないという恐ろしい状況であ
った。
ツアーで利用する場合はスリーパークラスが必須ではないかと思う。洗面所にはコンセ
ントも付いているので電気製品を利用することもできる。また、同じシングル(ツイン)
でも洗面のみと洗面とシャワーが付いている部屋とでは、部屋全体の広さが明らかに後者
の方が広い。といっても面積でいえばごくわずかだと思うが、元がこれだけ狭いとこのわ
ずかな差が、実際に利用するときの使い勝手に大きな差となってくると思う。
4月 19 日(月)
今日はベルリン到着後、ザクセンスイスを訪れる。ここはやはりハイキングツアーとし
ては外せないところであるが、どの程度のコースがあるかしっかりと歩いて確認したい。
7時 34 分、ベルリンオスト駅着。荷物をコインロッカーに預けて再びホームへ。
7時 49 分、ベルリンオスト駅発、ドレスデン経由でクロルト・ラーテンへ。今日は天気
があまり良くなく、外は小雨が降っている。
10 時 49 分クロルト・ラーテン着後、エルベ川の方へ歩いていくと、向こう岸にまで往復
している渡し船が運航されている。地元の人の足としても利用されているようで、自転車
に乗った人が乗り込んでくる。船を降り、道をしばらく進んでいくと左手に観光局がある。
資料を貰い説明を聞くと、奇岩群があるバスタイは少し戻って山の方に入って行くようで
ある。雨がかなり大粒になってきたが、山道をどんどん登っていくと展望箇所があり、そ
こからすぐ下にエルベ川とバスタイの奇岩群が見える。さらに登っていくと右手に有料の
岩の庭園があり、そこから見える奇岩群とバスタイ橋の景色はすばらしかった。
すぐそばにある Berghotel Basti で昼食。ここのレストランからは遥か下を流れるエルベ
川とバスタイの奇岩群が見渡せる。もと来た道を戻り、列車でドレスデンへ。町を少し歩
きたかったが、乗り換え時間があまりなく駅を少し見る程度となった。この駅はかなり古
く全体的に補修工事をしていた。S バーンに乗り換えベルリン東駅へ戻る。
ベルリンでのホテルは DB 系列のインターシティーホテル。このホテルはフランクフル
トやミュンヘンでも視察したが、駅構内または駅に隣接しており、列車で移動するときに
は大変便利なホテルである。どのホテルも比較的新しく部屋もきれいで、朝食のメニュー
も結構豊富で、フランクフルトではフロントに頼んで朝食のレストランも見せてもらった
が広々とした空間で、このクラスのホテルではメニュー内容もよく感じの良いホテルであ
る。
ベルリンのホテルでは、部屋のカードキーが宿泊中、市内交通機関に乗り放題のパスに
なっている。
4月 20 日(火)
今日は、終日ベルリン市内視察で、夜はホテルトレインでパリへ移動となる。
まずはベルリンテーゲル空港を視察。列車でベルリンオスト駅からツォー駅へ移動。こ
こから X9または 109 番バスがテーゲル空港へ向かう。丁度 109 番のバスが来たので、こ
れに乗って空港へ(市内各所に止まり所要 40 分)。空港内の構造はとてもシンプルで到着
後バス乗り場までスムーズに移動できる。帰りは X9 に乗ってみると、ツォー駅まで 20 分
で到着した(109 番バスとは経路がまったく違う)。歩いてカイザーベルヘルム教会とオイ
ローパセンターを視察。ここはショッピングにどうかと思ったが、あまり見るものはなく
期待はずれ。
ツォー駅から 100 番バスで戦勝記念塔を通り、連邦会議事堂へ。ここは重厚な建物の国
会議事堂の上に透明の展望ドームを作り、そこを観光客などに開放している。これだけ歴
史のある建物の上に、このような近代的な建造物を乗せるという発想は、ドイツの伝統を
守っていくだけでなく、新しいものも取り入れようという前向きな姿勢が見受けられ関心
してしまう。
1階入口の階段にはすでに数十人の列ができている。入場するまでに 30 分以上待たされ
た。入口すぐのところで空港とまったく同じセキュリティーチェックがある。エレベータ
ーで最上階まで上がると、そこから回廊を歩いてドームの頂上へ上がる。透明ドームなの
でベルリン市内が一望できる。ドームから議事堂の屋上へ出ることもできる。
エレベーターで1階まで下り、歩いてすぐそばのブランデンブルク門へ。この辺りにベ
ルリンの壁があったかと思うと感慨深く、写真を撮ってからそのまま歩いてポツダム広場
へ。途中左手に広大な敷地に大きさの違う四角い石(一つ何十トンもある程の大きさ)を
クレーンで並べているところがあり何か異様な感じがしたが、その光景を見て涙する人も
見受けられる。これは現在進行中のユダヤ人犠牲者慰霊碑建設地であった。日本も毎年首
相がお参りをする、しないという問題を繰り返すだけでなく、戦争の犠牲になった他国の
人のための慰霊碑のようなものも必要ではないかと考えさせられてしまう。
ポツダム広場から U バーンでフリードリッヒストリートへ出て、市電を利用して最近ベ
ルリンで話題という異色のショッピングビル「ハッケンシャーホフ」へ。ここは何棟かあ
るアパート群の1階を店舗として改装し、いわゆるショッピングアーケードのような感じ
にしている。靴や鞄、服などのおしゃれな店舗があり、ショッピング場所の一つとしてツ
アーに取り入れても面白いのではと思う。但し、敷地内にトイレがないのでレストランな
どを利用するしかない。
出発までツォー駅の DB ラウンジを利用しようと思い行ってみると、ここでも鉄道パス
では入れないとのこと。ここはミュンヘンとは違いお金を支払っても不可。要するに1等
のチケットを所持している人だけが利用できる。出発まで時間があるので、一旦オスト駅
に戻り、駅構内のレストランで軽く夕食を済ませ、コインロッカーから荷物を出して少し
まだ早いがホームで待つことにする。
出発の15分程前にパリーベルリンホテルトレインがホームに入ってくる。前7両がパ
リ行きで後ろにチューリッヒ行きシティーナイトラインの8両編成列車が連結されていた。
今回もシャワー付きシングルルームを予約したが、実際はトリプルルーム(3段ベッド)
の一人利用であった。部屋の広さは DB ナハトツークのそれとほぼ同じ程度。すでに2段
目のベッドが設えてあり、1階は3人掛け座席がそのままになっている。1階の座席はベ
ッドにしたときの半分くらいのスペースなので、空いているスペースに荷物を置いた後も、
まだかなり広い空間を確保できる。
窓の上には緊急時にガラスを割るためのハンマーのような器具が取り付けられている。
そういえば、これまで乗った列車の座席側のほとんどの窓ははめ殺しになっていて開ける
ことができなかったが、2cm 幅の黒いラバーが窓の端をぐるり一周取り巻いており、その
上部にラバーの取手が付いていて、それを手前に引くとラバーがすべて取れて、窓がはず
れるようになっている。ふと、日本の電車は非常時の出口はどうなっていたか、と思う。
車掌が入ってきて、チケットとユーレイルパスを預かる。途中でフランスへ入国するこ
とになるが、パスポートは預からないとのこと。到着 1 時間 30 分前ぐらいに朝食になるの
で、そのころに起こしに来ると言う。21 時 24 分、定刻にベルリン東駅を出発する。今日も
12 時間ほど行動したので、シャワーを浴びて早めに就寝する。
4月 21 日(水)
今日はベルリンからホテルトレインでパリ・北駅に到着後、すぐにユーロスターに乗り
換えてイギリス・湖水地方まで行くため終日移動となる。
8時に車掌がドアをノックする。その後すぐに、部屋まで朝食を運んでくれる。昨日そ
んな話であったかな、と思いながら朝食(クロワッサン、ハム、チーズ、コーヒー、オレ
ンジジュース等)を済ませ、身支度を整えるとまもなくパリ北駅に定刻(09:14)に到着。
構内はかなり広く、人ですごく混雑している。ユーロスターの表示が見当たらず、とりあ
えずホームの端まで行き右方向に行くと、ホームの右端にユーロスターが止まっていた。
しかし、一階には入口がなく、エスカレーターで2階に上がるとユーロスター専用の改札
口があった。
切符を通して中へ入ると、今度は荷物のセキュリティーチェック(空港にある荷物検査
と同じ)があり、その奥に待合室がある。待合室のさらに奥に1等乗客用の「 The Launge」
があった。カウンターに行くとまず、会員がどうか聞かれ「ノー」と答えると今度はチケ
ットを見て、
「これは Educational Ticket なのでこのラウンジには入れません」と言われた。
確かにチケットの上部に「Educational」と書かれていた。
一般待合室を素通りして、さも 1 等の客であるという風に気取った顔で入っていったの
にとてもはずかしい思いをした。しかし、Education であるが故に、今後のためにも利用し
てみたかった。定刻になっても列車はなかなか出発しない。車内アナウンスで、病人が出
て救急車を待っているので、もうしばらく出発できないようである。ロンドンウォーター
ルー駅到着後、地下鉄に乗り換えユーストン駅に移動しなければならず、定刻についたと
しても 35 分程しかないところを、結局 10 分遅れで発車した。
車内は片側2席(又は4席)、反対側は一人用座席となっている。一等車両の割には座席
の作りや設備がいま一つである。座席で電源が取れたりするドイツの ICE2等にも及ばな
い気がする(革張り座席でテレビモニター付き、ユーレイルパスでフリーの ICE1等とは
比べ物にならない)。
出発後、しばらくして飲み物、そして食事が提供される。パンやコーヒーの後にメイン
料理(この日は Poched Chicken)が運ばれてくるが、別々に持ってくる程の事はなく一緒
で良いのではと思う。出発後 20 分でユーロトンネルに入り、さらに 20 分でトンネルを抜
ける。12 時 06 分にロンドンウォータールー駅到着。出発が遅れたためユーストン駅発列車
時間まで 24 分しかない。荷物を引っ張りながら地下鉄の駅へ一目散に駆け出し、切符を買
って長い通路を通り、地下鉄ホームに出るとすぐに電車が入ってきた。残り 20 分足らずで
6駅目のため 12 時 30 分の列車はあきらめかけたが、地下鉄ユーストン駅に5分前に到着
したので、階段を駆け上がり鉄道駅へ出て電光掲示板で列車のホームを探して3番線に行
くとホームに列車が止まっていた。切符を買っている時間はなく、列車に飛び乗った途端
に扉がしまって発車した。この列車に乗らないと2時間後しかなく、そうなると観光局や
スーパーなどがすべて閉まってしまい、明日の予定が立てにくくなるため何とか間に合っ
て良かった。切符は後で座席に来た車掌に事情を説明して、車内で購入。
16 時 Oxenholm 到着後、乗り換えて Windemere 駅へ。17 時到着。駅前のスーパー
「BOOTHS」で食料購入後、観光案内所で湖水地方周辺のハイキング地図を数冊購入する。
18 時、駅そばのホテルにチェックインし、観光案内所で購入したハイキング地図で、明日
のコースを検討する。
4月 22 日(木)
湖水地方では実質1日しかないため今日は 1 日で見所をめいっぱい回りたい。まずは朝
食前にウインダミアから手軽に行けるオレストヘッドへ。駅近くの教会を右折しフットパ
スを歩いて頂上へ行くと(約 30 分)、ウインダミア湖の全貌と 360 度の絶景が楽しめる。
今日のハイキングコースは、ホークスヘッドからニアソーリーあたりを考えていたが、
昨日購入したガイドブックを見ていると、アンブルサイドに面白そうなコースがあったの
で、まずはそちらへ出かけて見る。アンブルサイドバス停から歩き始めて Wansfell Pike
(500m 程)を越えて反対側の Troutbeck を回り戻ってくるコースで、山越えあり、牧草地
あり、湖ありと変化に富んだ景色を楽しめてとても良いコースであった。
パブでビールを一杯飲んだ後、再びバスに乗ってホークスヘッドへ。ここからフットパ
スのコースを歩くには時間がないので、ニアソーリーまで歩いて行くことにする。観光案
内所で尋ねたところ 40 分ということであったが、道は完全に車道で行きかう車はものすご
いスピードで走って行く。湖の景色はとても美しいがこの道は大変危険である。40 分でニ
アソーリー村に到着。
道の脇に Hill Top のサインがあり中に入ってみたが、生憎この「ピーターラビット」の
生みの親ビアトリクス・ポターの家は休館であった(毎週木・金休館)
。写真のみ撮影して、
湖の反対側のボーネスへ渡るフェリー乗り場まで歩く。どこまで行っても湖が見えてこな
いので、道を行く少年に尋ねたところ、フェリー乗り場はまだ2km 先とのこと。ようやく
フェリー乗り場に着き、30 分ほど待って対岸からきたフェリーに乗ってボーネスへ。そこ
からバスでウインダミアへ戻る(18:00 着)。
4月 23 日(金)
本日は最終日ということで、ロンドンへ戻り空港へ移動するが、午前中少し時間がある
ので、昨日ゆっくり見ることができなかったウィンダミアからボーネス間の道を歩いてみ
た。
ボーネスがある湖まで両サイドに店がたくさんあるが、ほとんど地元の人が利用するよ
うな店が多い。ボーネスの湖畔からはウインダミア湖クルーズの船が多く出航している。
11 時 13 分、ウインダミア発。
15 時 20 分、ロンドンユーストン駅着。
16 時 30 分、空港バスでヒースロー空港へ。
18 時、ヒースロー空港着。
21 時 30 分、ヒースロー空港発。
4月 24 日(土)
16 時 20 分、仁川空港着。
19 時 15 分、仁川空港発。
20 時 45 分、関西空港着。
今回の研修ツアーでは、ドイツとイギリス湖水地方での新しいハイキングコースの開拓
と、ホテルトレインを利用した時間の有効利用とその快適さなど、ほぼ当初の目的は果た
せたように思います。1日 12 時間程行動して予定外のものも見ることができたのも収穫で
した。これからも弊社の方針通り自分の目で見て、また実際に歩いて発見したものをツア
ーにどんどん取り込んでいきたいと思います。
最後に、今回貴重なユーレイルフレキシーパス1等 15 日間とユーロスター1等チケット
をご提供いただいた、レイルヨーロッパの皆様へ本当に感謝いたします。ユーレイルパス
を利用するのはこれで2回目ですが、このパスの利便性が大変よくわかり、今後のツアー
企画に生かしていきたいと思います。この度はどうもありがとうございました。