0608027 Medicina Nova seminar 議事録 1) 臨床心理士の経験〜メディエーターについて考える素材として〜 K 病院神経科、臨床心理士(心) 心)駒込病院神経科では移植患者にたいしてリエゾンを行っている。リエゾンとは、問題がない状 況からかかわりをもってサポートすること。また神経科受診してカウンセリングが必要な場合や、 患者さん・家族が自ら相談を求めてこられる場合もある。 厳しい状況における心理的援助においては、医療者に対しての信頼をもてるかどうかが重要だと 認識している。 もも)患者と家族、医療者と家族の間に入ることがあるか? 心)基本的にでしゃばることはしない。患者さんのニーズによる。 患者さんは家族だからこそ言えないことがある、家族が患者にはどうしても言えないことがある。 例えば、家族と医療者が退院を勧めているが患者の顔は浮かない。その背景に、長年の家族の 確執があった。患者の希望を汲んで、その関係をつなぐということはあった。 (以下、削除) M)井西先生の役割をやっている病院はありますか?? 心)知っている範囲では、ここ10年くらい、総合病院の精神科が一般医療での精神的サポートに 力をいれるようになった。 Y)府中病院は精神科の先生が「何かあったら、」と一度だけきた M)駒込病院は病院のシステムでやっているのでしょうか? 心)この活動は病院としてのサービスで、患者の負担はない。(神経科としての治療は別) M)無菌室で生活した人間として、無菌室にいると一人ぼっちになってしまう。なので、心先生のよ うな方がいるのは素晴らしいと思う。何故、他の病院ではないのか? 心)医療者に必要性が感じられているかどうかに関して、、 自分たちの仕事はある意味では贅沢な医療というか、なくてはならない必須の医療ではない。 心)自分の立場から見た医療について。心理学をまなんで医療の現場に入った。医師や看護師 がそれぞれ医学や看護学から医療をまなんできた人に比べ、医療は特殊だと感じられた。 もも先生がいうのはその特殊性のハードルを低くしたいということだと思う。しかし、メディエーター の理念はいいとしても、現実にはそこまでスムースに進むかどうか疑問を感じている。それはそも そも、普段人間は「死」や「病気」についてそれほど考えたくないのではないか、そんな恐ろしいこ とを常に考えていては日々の生活がやっていられないと思う。その意味で、日常には疎遠な病院 においてメディエーターは重要ではあるけれど、専門職の集まりである医療の中でまず、どうやっ てメディエーターが専門職として信頼を得られるようになるのであろうか?現状では、病院内でメ ディエーターの役割を取りやすい人がその役割を取るようにして実績を積んで行くのがいいので はないか?? また、メディエーター導入には、「医療の質を上げる」がキーワードになるのではないか、と感じて いる。もも先生の話は、医療者側として、いろいろ思うことがあった。その中で、医療の質を上げる、 ということが一番納得できた。決して、患者側と医療の対立構造を作るのではないことをはっきり させる必要があると思う。 K)医療は特殊だといわれているけど、それはそうではないのではないか??10年前、バブルの とき、先生と患者との間に高い壁があった。医療はお金を持った人しか受けられないという状況が あったし今も続いている。しかし、インターネットなどで、情報が分かるようになってきた。医療者が 患者にもっと歩み寄って欲しい。難しいことが多すぎる。 F)それをメディエーターに求めているの? K)いえ、医療に対してです。医療全体で考えなくてはいけない。 M)医療メディエーターが必要なのかどうか、を前回、前々回に考えていた。本当にメディエーター みたいな専門職を作らなければいけないのかどうかを考えた。本来は、そういった仕事は普通に できている、全体に広がっているのが普通ではないと思うから。 K)医師などと意思の疎通ができなかった時に誰かに聞いて欲しいということがありました?? M)ももの木の BBS に書いたりしたけど、でもすっきりしなかった。後になって書いたことを見ても しょうがねーなーと思った。 K)誰に聞いて欲しい K)それは主治医です。主治医が全部持っている。だから、主治医に聞きたい。 C)主治医と話すとき、誰かに同席して欲しいと考えたか?? K)それは考えたけどでもだめ。妻(患者)が主導権は自分だといわれた。 Y)私の場合、自分の家族がそれまでやってくれなかったと思う。 E)主導権が自分といわれた理由は。。。 K)患者が自分だから。。 H)主導権が妻(患者)であるというのは本当だと思う。本人でなければ決められない。そうでない と医師もやれない。 K)主導権の結果、妻の性格は自分よりもっとすごい。ノートにいいたいことを書いたが言いたいこ とを80%言えなかった。 KT)自分は手紙を主治医に渡した。 KW)看護師さんには伝えなかったのか?? K)一人の看護師とはやっていたが、大部屋だと話しができなかった。 M)メディエーターの役割として、患者、家族、医療者との関係をつなぐ役割だと思う。主治医の先 生の胸ぐらをつかみたくなった、という状況、関係が問題だったと思う。そこにメディエーターが必 要だと思う。 心)もし、そこで私がかかわったとしたら、その当事者と主治医との関係が保てるよう、きちんと話 し合えるようなサポートを考えたと思う。 もも)患者は先生と話したいですか? M、N)はなしたい もも)何を話したいですか? M)戦友になって欲しい。味方であってほしい。 N)私もその通りだと思う。 MN)病気や苦痛を何とかして欲しい。つまり、病気に関する悩みを何とかして欲しいと願う。しか し、家族の問題や社会の問題なども考えなくてはいけない。しかし、医療の土俵では病気に焦点 が当てられている。メディエーターは、患者だけではなく医師のことも考えないといけない。経済を 考えると病院の中で解決して欲しい。 KT)どうやって病気の子供を預けていいのか、それが分からない。あせりと不安は分からないか ら生じてくる。移植をして GVHD がどうなるのか、とうかそう言う事もわからない。医師に聞くと分 かる。患者の分からないことを教えて欲しい。そういったコミュニケーションがあがればいい。医師 に何を聞きたいかが分かるまで時間がかかり、聞けるようになっても教えてくれない。そこで信頼 関係が薄れていく。 こころ)話をもどして、主治医との関係ということでは、 例えば、主治医とうまくコミュニケーションがとれないという相談があった。主治医の人間性を伝え ることで、根本的な解決ではなくてもコミュニケーションがちょっと楽になることがある。 KT)私はそれはない 心)所謂 IC に通じる医師との関係と、人間的な関係とは、わけて考える必要がある。 医師についての情報という点では、今まで医療では宣伝ができなかった。今は、ある程度許され てきている。 E)病気に対して移植したら生存は、、、で、それを投げるのか、一緒に戦おうといってくれるのか。 そこが問題。 Y)最初、移植のときはデメリットばかり話したので、嫌になり転院した。 I)主治医と日常会話をできるようになったけどそれが逆に病気のことを聞きにくくなってしまった。 やはり、戦友という言い方がいい。 MN)先生とのコミュニケーションのなかでは技術だけでいいよ、、とはいかないと思う。 C)戦友の話で、自分が癌の患者と医師の間に入ったときに、医師は何が何でも治す、ではなく、 患者が理解しているかどうか、を医師は確認しているようだった。 M)悪いニュースも医師は患者にも言わなければいけない。患者に全てを任せる、という突き放し た言い方はいけないと思う。 C)メディエーターという立場がいると、よいのではないかと思う。 KT)造血幹細胞移植を行うしかない、という説明しか受けていない。でも、その後どうなるかは想 像できない。そのときに説明されても患者はわからない。 心)人の気持ちは経過の中で変わってくる。メディエーターは、その患者が考えられるように手伝う こと。私自身は、主治医の意図を推測して伝えることはある。 家族が主治医がひどい告知をしたと怒鳴り込んできた。しかし、ひどい告知をしたかどうかという より、家族のやるせない怒りの気持ちが主治医に向かってしまっていたということだった。 メディエーターの役割は、決して華やかというか表に出るものではない。メディエーターと患者がよ い関係であるのは、患者と医療の関係を支えるための手段であって、目的ではない。大事なのは、 患者さんが安心して医療を受けられることで、患者さんの利益がどこにあるのか、どういう関係が 動いているのか、を冷静にみる視点が必要。 (以上、議事録) 宿題、3日以内に提出のこと 1) 医師と何を話したいか? 患者、家族、それぞれの立場で。 2) 医師や看護師をどうしたら信頼できるか? 3) 戦友(信頼できる)のタイミング 回答 ● 医療者 1)医者と何を話したいか…日常の雑談をしながら自分の病状や今後の方針を話したいです。雑談は コミュニケーションを通して信頼関係が築けるし、円滑な関係により治療効果もあがると思います。 何を話したいか、より何かを話しかけてもらいたいです。 2)医者や看護師をどうしたら信頼するか…言葉や態度です。患者さんは医療従事者が患者さんを観 察している以上に、医療従事者をよくみています。ちょっとした言葉やしぐさ、コミュニケーションの回数 だと思います。医療従事者である前に人と人として接してくれると信頼関係が築けると思います。 4) 戦友になるタイミング…告知を受けてこれからこうやって治療をしていきましょうと言われて納得し て闘病するときからだと思います。 ● 患者+医療者、文中「I」 1)医者と何を話したいか 会の中でも少しお話しましたが、今の私にとって医者は戦友であって欲しいと思います。つまり、過去 のデータ、学会のデータに基づいた治療方針ではなく、私のことを理解したうえでの治療方針の提供が 出来る医者であって欲しい。 自分の場合を振り返ると、まず、MMと診断されて間もない頃は、私がナースであるということもあり、 当時主治医であった医師は様々な情報提供をしてくれました。学会の資料やら先生の私物の専門書を 持ってきてくれたり。聞けば何でも教えてくれたと思います。しかし、私は聞けずにいました。医師の抱 えている仕事量を知っていたからです。ナースでありながら、血液疾患についてはまったくの無知で、こ れは自分で知っておく(調べるべき)内容なのではないか、と思うと聞けずにいた事もあります。無知な ナースであることをさらすことの抵抗感もあったと思います。そして、何を知りたくて、何が分からないの かさえ分からなくもなっていました。 私は看護師です。家族にとっても自分の娘は看護師、なんです。ですから、診断、つまり告知されて も私はなかなか患者になりきれませんでした。遠くに住む家族にどのように説明するべきか、非常に気 を使いました。そして、患者として接する医師や看護師との関係においても、私は患者になりきれずに いました。 当時、看護教育部という専任の教育担当をしていた私は、入院中にお世話になる看護師のほとんど に教育担当者として関わっていました。ですからナースにとっても、患者さんというだけでなく教育部の I さんに見られている、という緊張感がありました。 ですから、私にとっては患者であれる場所がなにより欲しかったのです。何を話せれば満足、何が聞 ければ満足というものではありません。プロフェッショナルとして、私にとって一番よい方法であるという 判断のもとに医療が提供されていればよいんです。もしくは、選択肢が与えられればいいんです。もち ろん、医療者でもありますから一般の方以上に得たい知識は多かったかもしれません。 幸い、当時担当していただいていた主治医はとても配慮して対応してくださりました。どのように対応 すればよいのかを非常に繊細に考えてくれていました。ですから、私も家族も信頼してお任せしていま した。 しかし、ある出来事を機に不幸にして信頼関係は一気に崩れてしまいましたが・・・。 結構、受身的で理想が高いのかもしれません。ですから、自分なりに医者との信頼関係を深めるた めに積極的なコミュニケーションを図ったこともあります。お互いの人間関係の距離を縮めるために。そ れによって、私のことも理解して欲しかったり、先生のことももっと理解したいと思ったり。 しかし、結果はお話したとおりで、医者、ナースとしての人間関係が深まるのみで、いち患者としては かえって接しにくくなりました。 ちなみに、入院中世話になっていたプライマリ・ナースは今では、よき友人でありよき職場の同僚です。 ですが、外来での経過を話すことを拒否されたことがあります。彼女自身をつらい思いにさせてしまっ たのです。 つまり、医療者に戦友であると思い込ませては欲しいのですが、現実問題としては、厳しいのだとも 思います。そして、今現在自分自身にとっての戦友と認識できるのは、同じ病気を抱えるML等で知り 合った患者さん、でしかないのかもしれません。決して裏切られることのない戦友、だと思うからです。 じゃあ医者に何を求めるか、というと、患者から信頼され続けるためのアセスメント能力と十分な情報 提供なのかもしれません。 2)どうしたら医者を信頼できるか いちいち説明すること。相手にとってのメリットをちゃんと説明できること。つまり、なんだかんだいって も医者の提示する医療(商品)を買うか買わないか、どれを選ぶか、ということな気がします。薬を処方 します。その患者さんにとっての期待できる効果だけしか話ません。値段も知りません、副作用なんて たぶん出ないと思って説明もしません、そんなのでは信頼は出来ません。 そして、どれだけ患者さんのニーズに合った医療を提供できるか、ではないかと思います。チャレンジ したい、緩和ケアをして欲しい、寝たきりでも良いから生きていて欲しい、仕事できる時間を長くすること が優先、等個々のニーズにどれだけ耳を傾けているか。そして、時に自分の家族だったら・・・という視 点で話が出来る医師に対しては、信頼感が増すように思います。 3)戦友になるタイミング いつでもいいです。 しかし、第一印象で任せてられる!と思えるのが一番幸せだと思います。 ● 患者、文中「M」 1、医師とどのような話をしたいか? 自分の現在における症状やそれに基づく今後の治療方針(療法の内容、その療法を選択した場合 のメリット、デメリット、当該療法を選択しなかった場合の代替療法の内容とそのメリット、デメリット、ス ケジュール、薬の副作用と副作用が出た場合の対処方法などなど)、検査の目的やその結果の見方 や評価の内容など自分を中心とした各種の医療情報についての話はもちろんですが、そのほか先生 の人間臭いところなどにも是非接したいものと思います。 後者のことはまさに医師と患者の間にある壁というか、垣根を取り払う意味で、さらには、まさに心の 通った最高の戦友になるためにどうしても必要だと自分は思います。患者は難病ともいうべき病気との 闘いをしておりますが、そのことによって人間としての感情までを放棄した訳ではないのですか ら・・・・・。 2,医師や看護師はどうしたら信頼出来るか? 患者の気持ちを忖度した人間としての接し方(態度、言動など)をされたとき、患者は信頼感を覚える こととなると思います。つまり、患者と同じ目線で考え、行動してくれている、患者のことを常に大事に考 えてくれていると感じることが出来れば、患者サイドから見た場合の信頼関係は出来るのではないかと 思います。 3,戦友になる(信頼出来る)タイミングは? 自分の場合は、大阪の総合病院で血液がん(悪性リンパ腫)との告知を受けたときに、ドクターから 言われた「悪性リンパ腫は血液のがんですが、不治ではありません。完治を目指して一緒に頑張りまし ょう!」との説明を受け、その後の闘病姿勢形成され、現在に至っているところです。絶望感や失望感、 不安や自責の念など、自分の心の中で 3 色々な思いが複雑に錯綜するときに、ドクターから言われた たった一言ではあるものの本当に大事な一言、この時に当該ドクターとの信頼関係が出来たものと思 います。このようなドクターばかりになると良いですね! なお、大阪時代の主治医は治療スタート前に、その前に実施した各種の検査結果などを踏まえて、 自分用にオーダーメイドで先生自らが作成されたA4版 6 枚の説明用資料によって 1 時間強の時間を かけてしっかりとインフォームドして下さいましたが、本当に感謝致しておりますことを付記させていた だきます。 また、転院し現在の病院にて移植療法をチョイスするきっかけとなった再発治療のための入院時の 主治医から行われたインフォームド・コンセントの際に、現在の主治医が本当に汗をかきつつ、とても 熱っぽくかつ真剣に移植療法やバンクへの患者登録を勧められたその言動や姿、話の内容などから、 僭越ながらこの先生なら大丈夫との感を覚え得ることが出来たときに現在の主治医と戦友となることが 出来たものと思われます。 そしてまた、移植のための無菌室への入院日や移植日が決定したときに、「未知なる世界のため不 安はありますが、迷いは一切ありません!」との自分の発言に対して、「移植療法は厳しい療法ではあ りますが、病院としても最善を尽くしますので、共に頑張りましょう!」ときっぱりと応じて下さったその一 言で、移植療法施行のおける最高の戦友となることが出来たものと思います。 ● 患者+医療者、文中「N」 1、医者となにを話したいか。 もちろん、病気のことや、今後の治療のこと。でもそれだけではなく、軽いおしゃべりに乗ってくれたと きは、うれしかった。いろんなことを話せること、気さくに話せる雰囲気があるといいのだと思う。 2、医者をどうしたら信頼できるか。 言葉を丁寧に選んで説明してくれる。聞いたことにきちんと答えてくれる。 約束を守ってくれる。(言ったことを忘れない) 患者を一人の人間としてみてくれる。 常に最先端の医療を提供してくれること。勉強してくれていることがわかる医者。 3、戦友になるタイミング。 自分の時のことを昨日からずっと考えていました。 また、1と2の質問の自分の回答をみて、「〜してくれる」が多いなぁ、と今、思いました。それもふま えて、いろいろ思ったこと、気づいたことがあるので書きます。 先生と戦友になったと自分が思った時期は、病気になって、しばらくたったときでした。M さんは、告 知された時から、戦友であったらいい、とおっしゃっていましたが。自分はそうではなかったなぁ。。と思 い、どうしてだったんだろう・・と考えていました。(もも先生がおっしゃっていたように、どれが正解、とい うわけで言っているのではなく、M さんとのご意見の違いが、自分の振り返りになると思ったので、書か せていただきます。) ふりかえってみると、まず、自分の中での病気の受け止めの整理ができていなかったからだと 思うのです。最初のころ、病気も受け止められない、だから、先生やナースの方達も受け止められな い、、また、どうして、「〜してくれない」のだろう、、という考え方。そういう感じだったように思います。 告知の時のことを、今でも映画のコマのように、あのシーン、一字一句出てきますが、そのときの先 生の表情を思い出すと、先生としては、きっとあの瞬間から、ともに戦ってくれる姿勢を持っていてくれ たんだろうにな、と思います。 しばらくしてふっきれて、前向きに行くしかないじゃん!!と思ったとき、まず、先生をよく知ろう!自 分が思ったこと、今思っていることを正直にぶつけてみよう、と思ったのです。そこから、少しずつ自分 の中にあったものが溶けていくような感じになり、いい関係をつくることができたように思います。 「先生は〜してくれない」って思うことってきっとたくさんあるんだと思います。外来で今働いていても、 その声は確かによく聞きます。勇気の必要なことだけれど、そう思っていることを、言葉にして伝える ことって、大事なことだと思います。医者に求めるだけではなく、自分もどうしたらいい関係を保てるの か、そのためにどうしていったらいいのか、その努力も必要なことだと思うのです。 私が、先生から頂戴した言葉で、なによりうれしかったのは、移植前に、「一緒にがんばろうね。」と 言われたことでした。先生が心から言ってくださっていることだということがよくわかったので、ほんとに うれしい言葉でした。 話がどんどんズレました・・なに書いているのか、よくわからなくなったので、もう一度読み返してみて・・。 う〜ん。要するに、戦友になるタイミング・・。一言で言うと、医者・患者がお互いに、「知ろう」とし、 そこから一つの目標、「病気との闘い」を目指したときだと思うのです。 ● 家族、文中「C」 ①医師と何を話したいか ・治療全般 ・闘病哲学 ・余裕のあるときには雑談も ②医師をどうしたら信頼できたか ・私が信頼できる人(医師)が「信頼できる医師だ」と言ったから(笑) ・医学生へ話(医療への姿勢)を聞いたとき、信頼度がぐーんと上がった。 ・私の質問へ対して、毎回的確な回答をしてくれたことで、勉強(努力)をされていることがよくわかり信 頼できると確信した。 ③戦友になるタイミング 戦友という意味が「一緒に闘う」ということならば、闘病で関わった人(医療者も患者も家族も)は全て戦 友なのではないかと思います。 なので、タイミングはかかわりを持った時から・・・なのではないでしょうか。 例えば気に入らない医師でも、関わっている時点では戦友なのではないでしょうか。 でも、私は主治医は戦友なのかなぁ〜?と、そこの部分で引っ掛かりを感じる。。。 私が考える戦友というのは「生死を共にする友」だと思うんですよ。病友は戦友だと思うんですけどね。 医師は患者のために頑張ってもらう人だと思うから。 なので M さんがおっしゃっている医師=戦友と言う意味を十分に理解できていないからかもしれませ ん。 ● 患者、文中「MN」 課題1.医師と何を話したいか。 レポート:患者の立場からの見解 1.病状に関する患者の訴求を、傾聴する。(初診・診療初期) *臨床観点より整理して、患者に説明し訴求点の確認を試みる。(簡潔) *心理的観点より、患者の不安・懸念の解消に努める。 2.紹介情報・初診予測・検査目的などの医療処置を平易に説明する。 *如何なる病気なのか、どれほど深刻か、などの懸念事項について 情報を公開し、患者に目標を持たして検査に参加させる。 3.診断確定と告知は、明快に且つ情報公開の方針で臨む。 *告知不適切な患者の場合は、家族の意見を聴取して、対応する。 *病気の臨床的・病理的説明をし、患者の病状の現在位置を理解させる。 (患者の知識水準に応じた説明が必要。図解などの手法の活用が良い) 4.治療開始の段階では、治療方針について十分に患者と話し合う。 *病状に対する可能な治療方法を提示説明し、選択根拠を説明する。 *治療措置の内容を説明し、治療プログラムを提示する。 (所要期間・受忍程度・予後予想なども含める。) *患者の精神状況・過程状況・社会状況などを、改めて話し合う。 5.治療期間では、病状の経緯・治療方法変更などで、随時説明を与える。 *(前向きな立場で)病状の現在位置を説明し、希望を与え、また 頑張る勇気を与える。 *入院治療はもとより、通院治療の場合でも、病状内容を臨床的・病理的 に説明し、患者自身が客観的に病気を理解し不安をなくす手助けをする。 *予後の説明をする。 課題2.医師や看護師をどうしたら信頼できるか。 レポート: 1. 患者の訴求に耳を傾けることから始まる。 *患者は、実に身勝手な存在である。 苦痛・不安であらん限りの訴えで助けを求めたり、 理詰めに病状や医療措置を知りたがったり、 降りかかった不条理な疾病の精神的鬱積をあらぬ形でぶつける。 *患者は、聞く耳は持たずに、医師や看護師の不誠実(と自分の偏見を省みず)を過敏 に取り上げる傾向がある。 *患者は、自らを弱者と位置づけ、甘えられる対象に、医師や看護師を選び勝ちであ る。 **これらの身勝手を押さえつけず、頷いて、話を進めさせる。 **医療上重要なポイントがあれば、話しに乗って行き、患者主導と思わせながら、相 談と称してあるべき方向へオリエンテーションする。 **勝手気ままな訴求には、一点のみを取り上げ、やんわりと釘をさす。 2. 患者と同じ水準に立って対応する。 *医療上、医師は上位者であり、看護師は同位者と見做す患者が多い。 *医師が、白衣の仮面に隠れて、人間が見えにくい。 *医師は、多くの患者に接して患者を比較できるのに、患者は、医師の比較評価ができ ず、選択の余地がない。(先生ー生徒の関係とは異質である) **対等者としての日常挨拶で患者に接する。(特に、医師) **治療状況の説明は、患者の知識・心理水準に合わせて行う。 **診察は、観察と共に、会話より成り立つ。相槌・返事を的確にする。 **触診なども含めて診察・治療をしたときには、一言感想や説明をする。 3. 個人差を解消する、努力が望まれる。 *医療がサービス業である認識が乏しい。 どれだけの医療サービスを提供できるかの PR が乏しい。 精神面のスローガンは、無用である。 経営上(営業上)患者のリピーターが大切であるが、関心がない。 *箱物(病棟・医療機器)の充実の比べ、医療の行動規範・マニュアルが欠乏している か、浸透していない。(最低水準の向上) *例えば、検査結果を患者に提示するような決まりがなく、医師任せで、 データを書面で受理する患者もあれば、何の説明も受けない患者がいる ようでは、医療運営システムに不信を抱く。(情報開示マニュアルが必要) *また、検査データを開示しても、一覧表を単に渡すだけでも、重要点を 説明して病状と対比するまで説明するのも、情報開示ではやったことに なる。マニュアルには、質の規定も盛り込まねばならない。 課題 3.戦友(信頼できる)のタイミング レポート:これは難しい課題である。マニュアルはない。 1. まず、初診時が大切と思う。 *惚れれば痘痕も笑窪の譬えの如く、第一印象で決まることがある。 *医師の方は、患者がどうあろうと標準的にやるべき仕事があり、相性など二の次で診 断・治療に専念すればすむ。 しかし、患者は、病状はどうなのか生死の不安を抱え、よく診てくれる先生かどうか、 疑心暗鬼の状態にある。 ここでは、医師の側から手を打ちやすいシテュエーションである。 カルテは二の次で、患者を見詰めて大げさでも相槌をいれて、訴求してくる事柄に対応して やると、患者は、手中に落ちやすい。 2.患者は、あらゆる機会を捉えて医師との最良の関係構築に励むべきである。 *医師の強いポイントである治療法や診断技術に関連して、水を向けて 話をしてもらうような機会を作ってみる。こちらは、素人レベルがいい。*患者側のプ ライバシー(趣味や家族や社会背景)をさらけ出し、医師 の関心のある話題を探り出して、コミュニケーションの手掛りを増やす。 3.初期段階で接点が確保できたら、治療の重要な節目で医師と真剣に向き合う. *医師に対する礼節は、欠かさない。 *病気以外にも、家族事情・社会上の立場を打ち明け、治療上出来得る限りの助言を要請し、 協同で論議する雰囲気作りに努める。 *治療の効果に成果の見られたときは、謝意を医師に表明し、病理的な経緯などを討議の 俎上に載せてもらう。 4. 情報の公開と共有が大切である。 *医師の側からは、治療過程での情報を公開し、患者を納得させる。 *常に、ちょっと声をかけ、肩に手を置き、見てるよと言う発信が望まれる。 心理操作 は、信頼構築に不可欠な要件である。 レポート付記 医師との信頼体験記 『ジュッセルドルフ大学付属病院』 手指切断事故の診療のため、救急車により担ぎこまれた病院が、大学の付属病院であった。緊急で あり、全て運命の女神に委ねより手がなかった。 苦痛のある患者の先ず対面したことは、住所氏名などの個人情報と同時に、医療費は誰が支払うの かであった。 何たることか! 次いで、職業を詳細に問われた。その理由は、職業により切断指を接 合するかどうかを判断すると言う。 そんな、阿呆なこと!である。 痛みと腹立ちと会話力欠如で、切 歯扼腕の思いだ。 予診医師は、しかし冷静である。 治療には、全力を挙げる。 しかし、接合には、 切断指の汚染が大きく、感染症や壊死のリスクがある。 その上、イースター中なので、生憎当院きっ ての敏腕美人医師は不在である。 ピアニストででもあれば、接合を試みるが、企業の管理職なら、術 後の安全サイドをとる。 どうだ、同意するか、ときた。 説得力があるのである。女神はいないので、任 せるほかなかった。 目が覚めたら、ベッドの上で、片腕は天井から吊り下げられていた。 巡回看護婦が来て、覚醒に気 づき、医師を呼んでくれた。 手術は 1 時間程度で、順調に経緯し、3週間くらいで退院だろうと優しく話 してくれた。 深夜、看護婦の巡回時、苦痛などあればと各種の薬をみせてくれた。 ほろりとする優し さだ。 動けないので、休暇中の秘書に伝言連絡を依頼した。 治療は、事故時よりも強烈な痛さである。 グローブほどに腫上がった手より、消毒のためにガーゼを 遠慮会釈なく剥がす看護婦は、患者より一回り逞しい体型である。 悲鳴以外に抵抗のしようはない。 おまけに、感染防止に抗生物質が欲しいと、夜間に看護婦に伝えたのが、医師に報告されていて、日 本人を代表して、厳しく医師から叱られた。 昼夜、医師・看護婦が患者の様態を監視し、当然のことで 感染の有無を注視している。 そもそも、日本人は無暗矢鱈と抗生物質を乱用して、世界の耐性菌の 発祥になっている。 その上、ドイツでは、日本よりも寒冷で常在の菌も少ないのである。 必要な治療 措置は確りやっているから、安心して医師団を信頼しろと厳しく言い放った。 ギブスが取れた日、看護婦がリハビリ宣言をした。 腫上がった状態は変らず、傷口はまだ完治して いない。 驚いたことに、どの指も、一ミリも動かそうとしようものなら、指の腱に激痛が走るし、新聞紙 一枚が挟めない。 このような手を、消毒液を入れた微温湯に漬けさせて、指をほかの手でも良いから 動かせと、例の看護婦が命じる。 痛くて動かせないというと、やにわに、大きな手で、指を掴んで曲げ 出した。 悲鳴どころか気絶寸前である。 傷口からは、出血が始まる。・・・・有無を言わせないリハビリ が続いた。 早くリハビリで指を動かさないと、固定化が始まって、将来指の動きの不自由さで困るの はあなただと、説明してくれたのは、少し指が自力で動かせるようになった頃である。 骨に添えてあった金属棒を抜き、一次の治療が完了したとき、医師は、詳細な治療経過と、後日に必 要な二次措置について、書面と共に説明をしてくれた。もし、日本に帰国するのであれば、これら書面 を医師に提示すれば必要な措置が受けられると、優しく 言い添えてくれた。 終わってみると、非常にテキパキとした治療措置で、分かりやすく、すっきりしてい た。 非常に論理的で、説明はとうとうとやるが、患者の意向などそっちのけに感じていたが、本当にや るべきことを的確にしてくれたと、感謝と満足で、病院を去った。 唯一の恨みは、最後まで幸運の女神、 敏腕美人医師に会えなかったことである。 ひょっとしたら、初めから幻の女神だったのかも知れない。 ● 患者、文中「F」 1) 医師と何を話したいか? 患者、家族、それぞれの立場で ベストな治療選択するための模索。それに必要な充分な会話 2) 医師や看護師をどうしたら信頼できるか? データーとしての 個体の患者としてではなく 一人の人格ある人間として扱われれば 3) 戦友(信頼できる)のタイミング 2)を感じられた時 ● 患者 1) 医師と何を話したいか?(立場 :患者) 回答:私は、基本的には話さなくてもいいです。 理由: ゆったりと構え、微笑みながらしっかり診察している医師をみているだけで、心と心で会話ができている 感じられるので、それだけで充分満足です。 2) 医師や看護師をどうしたら信頼できるか? 回答:自然体で思いやる気持ちを感じたら、信頼できる。 3) 戦友(信頼できる)のタイミング 回答:本音を語ってくれた時から戦友 ● 家族、文中「KT」 1. 医師とのコミュニケーション ご自身の経験実績・現在の病状・処置の内容・予想される予後等を訊き たい。患者側からすれば、難 しい内容であり、患者自身が高度な判断を 求められることもあり、どうしても時間を掛け、何度かに分 けてコミュ ニケーションする必要が出てくる。私は、最初に口頭で説明を受け、そ の後は、書簡のやり 取りでコミュニケーションを図りました。病状の変 化があった時、お願い事があった時も、すべて手紙 にしました。答えは 即日もしくは次の日までに戴いており、満足のできる形だったと思って います。 2. 医師への信頼 初めに思い浮かぶことは「先生を信頼してがんばりましょう」という言葉の中には、何も根拠が含まれ ておらず、どちらかと言えば「信仰」に近いのではないかとずっと思っていました。実績・腕前はわから ないけど、その病院のその科に、たまたま居た医師に「信頼してます、病気を治して下さい」と言った場 合、すがるしかないので「信頼」ではなく神頼みのような「信仰」。そして治った場合、やっぱり「信頼でき る先生」になり、逆の場合、信仰が崩れ陰口を叩かれる。医師にとっても、患者にとっても良い関係だと は思えませんが、実際の話としては、この様な例は多いのではないでしょうか。ネットを通して戴く励ま しの言葉にも、この手の話が含まれている事が多かったと思います。 実際に医師を信頼するとは、どういうことなのか。医師に対する信頼は、十分な経験と実績、真摯な 応対、とかを評価することでしょうか。 正直わかりません。私は医師の人柄とは別に、医師の技量を信 頼していました。その根拠をあちこちで探していました。反面、掛けていた、とも言えます。すると、やは り信頼ではなく信仰かな。入院が長くなり、処置の素早さがわかるにつれて信仰から信頼へ変化して行 った、と思います。 3. 医師は戦友 私にとっての戦友は同じ境遇の病気の子を持つ親達でした。ネット上で知り合いました。闘病中のあ らゆるストレスは、その方達の間で吐露し合い、慰め合い、また情報交換も頻繁に行い、自身の行動に 自信を持って看病にあたりました。医師は武器であり、戦友ではなかったですね。病魔と闘う上で、徒 手空拳で闘える筈も無く、最新最強の武器を携える事は、この上もなく心強いことだと思います。 ● 家族、文中「K」 1) 医師と何を話したいか?患者、家族、それぞれの立場で。 <家族の立場として> 私は医師に対して話したい事は、下記の項目です。 ※治療方針 ※薬 ※治療中の進行状態 ※外来の場合での自宅でのケア ※食事 ※緊急時の対処方法 ※身内から見た患者(例として妻)の身体状態変化 (いつもと違うと思った時)の対処法 ※治療生活における精神的な患者のケア、 (一番重要と思われます。実際に妻は病気に対してのストレスに耐えられませ んでした。) 箇条書きではありますが、以上です。もしかするとまだあるかもしれません。 あとひとつ、治療において薬投与等でデメリットがでた場合正直に話してほしい。 2) 医師や看護師をどうしたら信頼できるか? 治療中における患者へのフォロー。 例を上げますと妻が移植後、顔の右側にウィルスによる帯状疱疹でき、神経がかなりダメージ受け た為、痛みを和らげる薬を処方してもらいました。しかし妻にはあわず神経に麻痺が出て、声はうわず り立てなくなりました。薬は飲むのを私が止めさせて救急外来に行き対処しました。外来で担当医に話 しましたが、「普通だと効くのですが」と答えが帰ってきたと妻が言っていたのを記憶しています。妻は 薬による麻痺の時、立てない事に声をあげて泣き叫びました。難しい事ですが、主たる病気を直そうと 当事者は我慢しているのでやはり患者へのフォローは大事ではないでしょうか。一般的な仕事につい てもこれは重要視されております。 3)戦友(信頼できる)のタイミング 上の2)と重複しますが、問題無く順調に治療が運べば信頼は暗黙のなかで築かれるでしょう。しか し治療において問題が起きる事は大なり小なりあります。特に上記のような事が起きた場合、医師を頼 るしかありません。その時患者にどれだけの意志、思い、うまくいえませんが伝わる時信頼がうまれる のではありませんでしょうか。歩み寄りも必要です(患者/家族)。私は疑る前にすべてを預ける形で、 もちろん信頼して妻の治療を見守っていました。 最後にもっと医師・看護士の方たちと話せる時間があると良いのですが。 (以上)
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