Japan Investment Market View CBRE Global Research and Consulting Q2 2014 GDP 成長率 Q2※ -6.8% (前四半期比年率) 期待NOI利回り 4.10% (14Q1比-3bps)/オフィス(大手町) 10年国債利回り 0.56% (3月末比-7.7bps) ※内閣府速報値 海外投資家の投資対象が地方都市にも拡大 ホテルの存在感が高まる; Q2の取得額は前年同期比7割増 2014Q2概要 Summary 2014Q2の収益不動産の取引額は、 7,360億円、前年同期比33%減少した。 Q1に続き、売却物件の品薄が主因と みられる。 J-REITを含む国内投資家による取得が 減少した一方、海外投資家の取引総額 は1,560億円で前年同期比で横ばい、 前期比では55%増加。 海外投資家による投資対象は、エリア ならびにアセットタイプのいずれにお いても拡大傾向がみられる。 取引全体が前年同期を下回った一方で、 ホテルの取引額は1,120億円で前年同 期比69%増加し、全体の15%を占めた。 CBRE の 不 動 産 投 資 家 調 査 (2014Q2)によれば、殆どのエリア ならびにアセットタイプにおいて期待 利回りの低下傾向が続いた。同調査に おけるCBRE短観は引き続き投資家の 前向きな姿勢を示している。 売却価格の先高観からオーナーが売り 控えるケースが一部でみられる一方、 複数の都心大型物件の売却の動きもあ り、これらの価格動向が注目される。 オフィスや商業施設を中心に賃料に更 なる上昇余地があることに鑑みると、 国内投資家は勿論、海外投資家からの 需要も更に高まることが予想される。 また、より高い利回りを求めて投資対 象のエリアやアセットタイプの拡大傾 向も続くとみられる。 1 収益不動産の取得総額 2014年Q2期(4月~6月)の収益不動産の取 引額は7,360億円で、前年同期比33%減となっ た。主体別でみると、J-REITによる今期の取 得総額は2,880億円(10億円以上の取引、IPO に伴う取得を除く)で前年同期比17%減、そ の他国内投資家の取引総額は同51%減となっ た。今期も取引総額の減少は売却物件の品薄 が主因とみられるが、一方で、海外投資家の 取引総額は1,560億円で前年同期比で横ばい、 前期比では55%増加した。また、ほぼ全ての アセットタイプが前年の水準を下回った中で、 ホテルの取引額は前年同期比69%増の1,120億 円となり、取引全体の15%を占めた。CBRE不 動産投資家調査によれば、ホテル(東京主要 5区運営委託型)のNOI期待利回りも2期連続 で低下している。2020年までに訪日外国人客 2,000万人という目標を掲げた政府の今後の 施策に期待が集まるほか、秋の臨時国会でIR 推進法案(いわゆるカジノ法案)が成立すれ ば観光立国の実現への期待も高まるとみられ、 今後もホテルへの投資は活発化すると推察さ れる。 キャップレートは引き続き低下 最新のCBRE不動産投資家調査(2014年7月) によれば、東京のNOI期待利回りは全てのア セットタイプにおいて低下した。また、大 阪・名古屋を含む地方都市においても、殆ど のエリアで期待利回りは低下している。同調 査のCBRE短観ではオフィス(Aクラス)と物 流施設(マルチテナント型)は賃料上昇に対 する期待感を背景にNOIや価格に関するDI指 数は引き続き改善傾向にあり、投資家の前向 きな姿勢を示している。 今後の見通し 当期Q2も収益不動産の取得総額は前年同期の 水準を下回った。しかし、直近で行った投資 家調査の結果を見る限り投資意欲の低下はみ られず、引き続き供給/売却物件の品薄が主 因とみられる。売却価格の先高観からオー ナーが売り控えるケースも一部にあるようだ。 一方で、複数の都心大型物件の売却の動きも みられ、今後はこれらの価格動向が注目され る。エリアやアセットによってはキャップ レートがすでに2007年当時の水準近くにまで 低下しているが、金利に対するスプレッドは 依然としてアジア太平洋地域の中でも高い水 準にある。オフィスや商業施設を中心に賃料 に更なる上昇余地があることに鑑みると、国 内投資家は勿論、海外投資家からの需要も更 に高まることが予想される。また、当期みら れたように、より高い利回りを求めて投資対 象のエリアやアセットタイプが拡大する傾向 も続くと予想される。 Chart 1: 主要不動産取引 (主体別 取引額) 国内投資家(J-REIT) (10億円) 7,000 国内投資家(その他) 海外投資家 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 10億円以上の取引を対象 2011 2012 2013 2013Q2 2014Q2 J-REITによるIPO時の取得物件を除く 出所: CBRE, Q2 2014 © CBRE Ltd. 2014 20% 10% 0% 2005 2006 2007 2008 10億円以上の取引を対象 2009 2010 2011 2012 2013 2013Q2 2014Q2 J-REIT による IPO 時の取得物件を除く 出所: CBRE, Q2 2014 Chart 3: 主要不動産取引 (アセットタイプ別 オフィス 商業施設 物流 住宅 ホテル 割合) ヘルスケア 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 2005 2006 2007 2008 10億円以上の取引を対象 2009 2010 2011 2012 2013 2013Q2 2014Q2 J-REIT による IPO 時の取得物件を除く 出所: CBRE, Q2 2014 Chart 4: 期待利回りの推移 (%) オフィス(大手町) ワンルーム(東京主要5区) 9.5 ファミリー(東京城南・城西) 物流マルチテナント(首都圏湾岸部) リテール(銀座中央通り) ホテル(東京主要5区運営委託型) 8.5 7.5 6.5 5.5 14年07月 14年04月 14年01月 13年10月 13年07月 13年04月 13年01月 12年10月 12年07月 12年04月 12年01月 11年10月 11年07月 11年04月 11年01月 10年10月 10年07月 10年04月 10年01月 09年10月 09年07月 09年04月 09年01月 08年10月 08年07月 3.5 08年04月 4.5 出所: CBRE Research Quarterly Survey, Q2 2014 Chart 5: 期待利回りスプレッドの推移 (%) 8.0 オフィス(大手町) ワンルーム(東京主要5区) ファミリー(東京城南・城西) 物流マルチテナント(首都圏湾岸部) 7.0 リテール(銀座中央通り) ホテル(東京主要5区運営委託型) 6.0 5.0 4.0 3.0 2 14年07月 14年04月 14年01月 13年10月 13年07月 13年04月 13年01月 12年10月 12年07月 12年04月 12年01月 11年10月 11年07月 11年04月 11年01月 10年10月 10年07月 10年04月 10年01月 09年10月 09年07月 09年04月 1.0 09年01月 2.0 08年10月 東京を含め、投資対象となるアセットタイプは引き続きオフィスが中 心ではあるものの、商業施設、ホテル、インダストリアルの存在感も 高まっており、これらの期待利回りも低下傾向にある。ただし、当期 中には金利も更に低下したことから、金利に対するスプレッドでみる と殆どのアセットタイプで大きな変化は見られていない。 © CBRE Ltd. 2014 30% 08年07月 2 40% 東京の全アセットタイプで低下 四半期毎に行っているCBRE不動産投資家調査の最新データ(2014年7 月時点)によれば、NOI期待利回り(平均値)は東京の全てのアセッ トタイプにおいて低下した。利回りが最も低かったアセットタイプは オフィス(大手町)で、期待利回りは4.1%と2008年7月以来の水準と なった。これに商業施設(銀座中央通り)が4.15%、賃貸マンション (ワンルーム)が4.95%と続いた。特に商業施設については、都心オ フィスとの利回り格差の縮小が顕著である。マルチテナント型の物流 施設(首都圏湾岸部)は前期比11bps減の5.35%で、2009年の調査開 始以来の最低値を更新した。大阪・名古屋を含む地方都市においても 利回りは低下傾向が続いている。 地方都市 50% 08年01月 期待NOI利回り 名古屋 60% 08年04月 当期中の取引の中では、三井住友ファイナンス&リースが「クイーン ズスクエア横浜」 の持ち分を約450億円(報道)で取得した事例が最 も高額だった。他に、「京橋トラストタワー」の持ち分を韓国のLG Holdings Japanおよび太陽生命がそれぞれ取得。報道によると太陽生 命の取引は貸床坪単価で1,000万円を超えたようだ。ホテルの取引事 例の中では、ヒューリックが「東京ベイ舞浜ホテル クラブリゾート」 を300億円超(注:報道ベース)で取得したのが最も高額であった。 ヒューリックは今年3月にもメルキュールホテル銀座東京がメインテ ナントとして入居する「銀座アイタワー」を取得している。同社は本 年2月に発表した中期経営計画において、「3K(高齢者・環境・観 光)ビジネス」を意識した戦略を進めるとしており、この方針に沿っ た投資を着実に進めているようだ。なお、当期のホテルの取引のうち 約6割がJ-REITによる取得案件であった。主なものとしてはインヴィン シブルが総額453億円で20棟の物件を取得したほか、星野リゾート・ リートが総額183億円で24棟を取得している(詳細は後述)。 大阪 70% 07年10月 アセットタイプ別では、ホテルを除くアセットタイプ全てで取引額は 前年同期を下回った。一方、ホテルの取引額は1,120億円で前年同期 比69%増加し、全体の15%を占め、前年同期の6%に比べて存在感を高 めている。2020年までに訪日外国人客2,000万人という目標を掲げた 政府の今後の施策に期待が集まるほか、秋の臨時国会でIR推進法案 (いわゆるカジノ法案)が成立すれば観光立国の実現への期待も高ま るとみられ、今後もホテルへの投資は活発化すると推察される。 首都圏 80% 08年01月 地域別では、今期は東京主要5区の取引総額が前年同期比65%減、対前 期比でも69%減少した。価格が高い中心部の取引が減少したことも全 体の取引総額の減少に影響した。それに対して、主要5区を除く東京 都区部は前年同期比70%増となり、前期比でも51%増と大きく増加し た。 東京23区 90% 07年07月 主体別に見た場合、J-REITによる今期の取得総額は前年同期比17%減の 2,880億円(10億円以上の取引、IPOに伴う取得を除く)で、取引全体 に占める割合は39%と、前年同期の32%をやや上回った。J-REITを除く 国内投資家の取引総額は2,920億円で前年同期比で51%減少している。 一方、海外投資家の取引総額は1,560億円で前年同期比では横ばい、 前期比では55%増加した。なお、都心物件を中心に利回りの低下が続 く中で、海外勢においてもアセットタイプならびに地域について投資 対象の分散傾向がみられる。 東京主要5区 割合) 100% 07年10月 2014年Q2(4月~6月)の収益不動産の累計取引額は7,360億円で、前 年同期比33%の減少となり、Q1に引き続き前年同期を下回った。 Chart 2: 主要不動産取引 (地域別 07年07月 取引額減少続くも、ホテルや海外投資家の投資はより活発に Japan Investment | MarketView 不動産投資マーケットの動向 Q2 2014 INVESTMENT MARKET OVERVIEW 注: 10年国債利回りに対するスプレッド 出所: CBRE Research Quarterly Survey, Q2 2014 Q2 2014 INVESTMENT MARKET OVERVIEW 今期の海外投資家による取得総額は1,560億円で前年同期比では横ば いとなったものの、前期比では55%増加した。一方、今期の海外投資 家による売却総額は1,290億円で、前期に引き続き取得総額が売却総 額を上回った。また、取得総額では横ばいだったものの、エリア別に みると東京23区、大阪、名古屋での取引額は前年同期の水準を上回っ ている。また、セクター別でみると住宅は前年に比べて減少したもの の、オフィスの他に商業施設およびホテルの投資額が大きく増加して いる。都心オフィスを中心に優良な物件が引き続き不足しているため、 投資対象とするセクターやエリアを拡大させる傾向が続いている。 アセットタイプ別にみると、今期は全体の40%をオフィス、38%を商 業施設、16%をホテルが占めた。地域別では、東京主要5区が40%、 その他東京都区部が11%で、大阪、名古屋を含む地方都市は47%と前 年同期の33%を上回った。 オフィスの主な取引としては、先述の「京橋トラストタワー」の持ち 分取得のほか、米GreenOak Real Estateがダヴィンチ・アドバイザーズ 組成のSPCが保有する「東京パークサイドビル」を含むオフィスビル 11棟約300億円で取得した。商業施設では、独Union Investmentが Alpha Investment Partnersから約180億円で渋谷区神宮前の「J6 Front」 を取得した。同案件はUnion Investmentにとって5年半ぶりの対日投資 である。また、米Elliott Managementが米Invescoから「プライムスクエ ア心斎橋」を約130億円で取得した。一方、ホテルでは、米GreenOak Real Estateが沖縄の「ルネッサンス リゾート オキナワ」などのリゾー トホテルを米系イシン・ホテルズ・グループから130億円で取得して いる。 Japan Investment | MarketView 海外投資家の投資対象は拡大傾向 Table 1: 主要不動産売買事例 (2014年 4 月~ 6 月 **) 年月** 3 物件 所在 用途 売主 ( スポンサー ) 買主 ( スポンサー ) 取引金額 ( 百万円 )* 2014年5月 クイーンズスクエア横浜 (タワーB・C、ホテル棟) 横浜市西区 事務所 住友商事 三井住友ファイナンス&リース 45,000 2014年7月 都内オフィスビル11棟 東京都 事務所 ダヴィンチ・アドバイザーズ グリーンオーク・リアル・エステート 30,000 2014年7月 東京ベイ舞浜ホテル クラブリゾート 浦安市 ホテル 有限会社舞浜エリートパートナーズ ヒューリック 30,000 2014年4月 京橋トラストタワー 東京都中央区 事務所 森トラスト LG Holdings Japan 20,000 2014年4月 24施設 首都圏、地方都市 ホテル 星野リゾート、ローンスター 星野リゾート・リート投資法人 18,360 2014年6月 J6 Front 東京都渋谷区 店 舗 J6Front特定目的会社 ユニオン・インベストメント 18,000 2014年5月 ブラザー・交通公社新宿共同ビル 東京都新宿区 店 舗 ブラザー工業 国内法人 17,000 2014年5月 インテグラルタワー 東京都杉並区 事務所 荻窪ビルディング 大和証券オフィス投資法人 15,220 2014年4月 麹町住宅 東京都千代田区 住 財務省 住友不動産 14,520 2014年6月 麻布グリーンテラス 東京都港区 事務所 麻布グリーンテラス合同会社 (大和証券) 大和証券オフィス投資法人 14,000 2014年4月 イオンモール京都五条 京都市右京区 店 島津製作所、島津プレシジョンテクノロジー 合同会社ダブルオースリー 13,500 2014年7月 ココ ガーデンリゾート オキナワ、 ルネッサンス リゾート オキナワ 沖縄県 ホテル 葵坂特定目的会社 (イシン・ホテルズ・グループ) 合同会社つばさインベストメント 13,000 2014年5月 プライムスクエア心斎橋 大阪市中央区 店 アクエリアス・プロパティ合同会社 合同会社心斎橋開発 13,000 2014年6月 大崎ウィズタワー 東京都品川区 事務所 NIPPO アクティビア・プロパティーズ投資法人 10,690 2014年7月 京橋トラストタワー 東京都中央区 事務所 森トラスト 太陽生命保険 10,060 2014年6月 北浜グランドビル 大阪市中央区 事務所 合同会社ノースビーチ 大和証券オフィス投資法人 9,481 2014年5月 大阪なんばワシントンホテルプラザ 大阪市中央区 ホテル 間ノ岳合同会社 (イシン・ホテルズ・グループ) Ascendas Japan Namba特定目的会社 (Ascendas Hospitality Trust) 8,900 2014年6月 ビーコンヒルプラザ (イトーヨーカドー能見台店) 横浜市金沢区 店 東急リアル・エステート投資法人 イトーヨーカ堂 8,720 2014年5月 KDX豊洲グランスクエア 東京都江東区 事務所 合同会社KRF50 (ケネディクス) ケネディクス不動産投資法人 8,666 2014年4月 エスティメゾン大島 東京都江東区 住 合同会社AQUA2 積水ハウス・SI投資法人 7,120 2014年6月 目黒東山スクエアビル 東京都目黒区 事務所 明和地所 ツカモトコーポレーション 6,850 2014年6月 ベストウェスタンホテル 札幌中島公園 札幌市中央区 ホテル グローバル・アセット・トゥエンティワン・ ホールディング特定目的会社(モルガン・スタンレー) ジャパン・ホテル・リート投資法人 6,797 エスティメゾン錦糸町Ⅱ 東京都墨田区 住 積水ハウス・SI投資法人 6,720 2014年4月 居 舗 舗 舗 居 居 (アルファ・インベストメント・パートナーズ) (インベスコ) (積水ハウス、スプリング・インベストメント) 合同会社AQUA2 (積水ハウス、スプリング・インベストメント) (グリーンオーク・リアル・エステート) (エリオット・マネジメント) ※会社公開情報および報道情報等によりCBRE作成。J-REIT上場時の組み入れ物件取引は対象外。持分等を含む。*概算金額、推定金額を含む。**契約月、発表・報道月を含む。 © CBRE Ltd. 2014 3 Q2 2014 J-REIT MARKET OVERVIEW Chart 6: J-REITの株価動向 (東証リート指数) Q2の既存J-REITによる公募増資は7件、1,216億円 東証リート指数は2014年初以降、1450から1500のレンジの間で一進 一退を続けていたが、5月以降、政府の成長戦略(6月24日に公表)へ の期待感の高まりを背景に株式市場全体が上昇に転じたのに伴い、東 証リート指数もレンジから脱して上値を追う展開が続いた。年初から 7月末時点までで東証リート指数は7%の上昇となり、概ね全体の株式 市場並みのパフォーマンスとなった。 主な案件としては、インヴィンシブルが総額453億円で20棟の宿泊特 化型ホテルを取得した。いずれも、同投資法人のスポンサーである Fortress Investment Groupが出資する特別目的会社からの取得である。 首都圏、大阪、名古屋のほか、京都と福岡に立地する物件も含まれ、 利回りはいずれも6%から8%のレンジ内にある。なお、これらの取得 により、同投資法人のポートフォリオに占めるホテルの比率は取得価 格ベースで7%から38.5に上昇した。 また、星野リゾートが総額183億円で計24棟のホテルならびに旅館を 取得した。24棟のうち21棟はローンスターグループの特別目的会社か ら取得したロードサイド型ホテルで、いずれも地方物件で利回りは7% 台半ばとなっている。 当期中のオフィスの取得件数は12棟と、前期の19棟に比べて更に少な く、金額は747億円で当期のJ-REITの取得総額の25%にとどまった。オ フィスの中でもっとも金額が大きかったのは、大和証券オフィスが杉 並区で取得した築21年のインテグラルタワーで、取得金額152億円に 対する貸床坪単価は280万円、NOI利回りは4.8%であった。 4 商業施設はJ-REITの取得総額の20%にとどまったが、もっとも金額が大 きかったのは、日本リテールファンドが渋谷区神宮前で取得した築9 年のGビル表参道02であった。売主は同投資法人のスポンサーの三菱 商事が出資するSPCである。取得金額177億円に対する貸床坪単価は 2,107万円で、NOI利回りは3.7%であった。 16 15 14 2000 13 12 1500 11 10 1000 14年8月 14年2月 13年8月 13年2月 12年8月 12年2月 11年8月 11年2月 10年8月 10年2月 09年8月 09年2月 08年8月 08年2月 07年8月 07年2月 06年8月 06年2月 05年8月 05年2月 04年8月 9 500 8 出所: Datastream, Q2 2014 Chart 7: J-REITのインプライドキャップレート 日本ビルファンド ジャパンリアルエステイト 6.5% 5.5% 4.5% 14年8月 14年2月 13年8月 13年2月 12年8月 12年2月 11年8月 11年2月 10年8月 10年2月 09年8月 09年2月 08年8月 08年2月 07年8月 07年2月 06年8月 06年2月 05年8月 05年2月 2.5% 04年8月 3.5% J-REITの取得物件は引き続きアセット・地域ともに拡大 2014Q2のJ-REITの不動産取得総額は3,050億円(IPOに伴う取得を除 く)で、前年同期の2013Q2に比べて17%減少した。アセットタイプ 別では、ホテルが740億円と前年同期比で184%増加した一方、オフィ スの取得額はほぼ横ばい、商業施設は42%減、物流施設も72%の減少 となった。 17 東証リート指数のTOPIXに対する相対株価(右軸) 2500 既存J-REITによる公募増資(新規上場に伴う公募増資=IPOを除く)は 今期中に7件行われ、調達金額は1,216億円であった。前年同期(6件、 1,345億円)に比べて件数は1件増加、調達額は10%減少した。調達額 で最大だったのはジャパンリアルエステイト投資法人の公募増資で、 317億円を調達し、「大手町フィナンシャルシティノースタワー」 (154.6億円)を取得した。これに続くのが大和証券オフィス投資法 人で、215億円を調達し、オフィスビル2棟を総額234.8億円で取得し た。 一方、日本リートとインベスコ・オフィス・ジェイリートの2銘柄が 新たに上場した。インベスコ・オフィス・ジェイリートのスポンサー は外資系のインベスコ・グループで、大都市圏に所在する大規模オ フィスビルへ投資する。「恵比寿プライムスクエア」(東京都渋谷 区)を含む4物件、取得総額626億円でスタートした。同リートの上場 初値は108,900円で、公募価格の103,000円を5.7%上回った。 東証リート指数(左軸) 3000 出所: CBRE, Q2 2014 Chart 8: J-REITによる公募増資(IPOを除く、発行価格ベース) 調達額(10億円) (件) 件数 (10億円) 40 800 35 700 30 600 25 500 20 400 15 300 10 200 5 100 0 0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2013Q2 2014Q2 出所: CBRE, Q2 2014 Chart 9: J-REITによる不動産取得実績(IPOに伴う取得を除く) (10億円) 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 4 400 200 0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2013Q2 2014Q2 出所: CBRE, Q2 2014 © CBRE Ltd. 2014 Japan Investment | MarketView J-REIT市場の概要 Q2 2014 J-REIT MARKET OVERVIEW オフィス 100% 商業施設 物流 住宅 ホテル ヘルスケア インフラ Chart 11: J-REIT エリア別取得比率 駐車場・土地 東京主要5区 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 0% 2013Q2 2014Q2 2005 東京23区 2006 2007 2008 首都圏 2009 大阪 2010 名古屋 2011 2012 2013 出所: CBRE, Q2 2014 東京23区 首都圏 大阪 名古屋 Chart 13: J-REIT オフィス 地方都市 (件数) 取得坪単価 東京主要5区(件数) 首都圏(件数) 名古屋(件数) 坪単価(全国) 100 90% 80 80% 2013Q2 2014Q2 出所: CBRE, Q2 2014 Chart 12: J-REIT オフィスのエリア別取得比率 東京主要5区 100% 地方都市 東京23区(件数) 大阪(件数) 地方都市(件数) 坪単価(東京主要5区) (百万円) 8.0 7.0 6.0 70% 5.0 60 60% Japan Investment | MarketView Chart 10: J-REIT アセットタイプ別取得比率 4.0 50% 40 40% 3.0 30% 2.0 20 20% 1.0 10% 0% 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2012 2013 2013Q2 2014Q2 出所: CBRE, Q2 2014 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 0.0 2013H1 2014H1 出所: CBRE, Q2 2014 主要不動産売買事例 (2014年 1 月~ 6 月 **) Table 2: J-REIT 物件 年月** 2011 0 所在 用途 売主 ( スポンサー ) 取引金額坪単価 ( 千円 )* 買主 (J-REIT) 取引金額 ( 百万円 )* 2014年3月 Gビル表参道02 東京都渋谷区 神宮前 店 舗 合同会社神宮前425 (三菱商事) 日本リテールファンド投資法人 21,070 17,705 2014年3月 JouLe SHIBUYA 東京都渋谷区 宇田川町 店 舗 合同会社ロサンゼルス・ゴールド (オリックス) オリックス不動産投資法人 10,425 7,550 2014年3月 大手町フィナンシャルシティ ノースタワー 東京都千代田区 大手町 事務所 三菱地所、サンケイビル ジャパンリアルエステイト投資法人 9,999 15,463 2014年4月 Gビル吉祥寺01 東京都武蔵野市 吉祥寺本町 店 舗 合同会社GTT3 日本リテールファンド投資法人 7,620 1,700 2014年3月 Gビル渋谷01 東京都渋谷区 神南 店 舗 三菱商事都市開発 日本リテールファンド投資法人 6,749 3,230 2014年6月 ホテルマイステイズ舞浜 千葉県浦安市 鉄鋼通り ホテル Zephyrus特定目的会社 (フォートレス) インヴィンシブル投資法人 6,554 4,870 2014年3月 MG市ヶ谷ビルディング 東京都千代田区 五番町 事務所 MGノーザンストーン 特定目的会社 (オリックス) オリックス不動産投資法人 5,387 3,100 2014年3月 麹町ミレニアムガーデン 東京都千代田区 麹町 事務所 森トラスト 野村不動産オフィスファンド投資法人 5,347 26,500 2014年6月 大崎ウィズタワー 東京都品川区 大崎 事務所 NIPPO アクティビア・プロパティーズ投資法人 4,913 10,690 2014年4月 ザ・ビー六本木 東京都港区 六本木 ホテル 槍ヶ岳合同会社 (イシン・ホテルズ・グループ) ユナイテッド・アーバン投資法人 4,268 3,500 ※会社公開情報および報道情報等によりCBRE作成。J-REIT上場時の組み入れ物件取引は対象外。持分等を含む。 *概算金額、推定金額を含む。**契約月、発表・報道月を含む。 Table 3: 2014 年 5 投資法人名 東証 コード J-REIT の新規上場 上場日 資産運用会社の 主要株主 主な投資対象 発行価格 発行総額 払込価格 払込総額 上場初値 (円) 初値 vs 発行価格 252,000 38,155 243,180 36,820 262,000 +4.0% 103,000 44,412 99,395 42,857 108,900 +5.7% 日本リート投資法人 3296 2014年4月24日 双日 オフィス、住宅、 商業施設 インベスコ・オフィス ・ジェイリート投資法人 3298 2014 年6月5 日 インベスコ 大都市圏の 大規模オフィスビル © CBRE Ltd. 2014 (円) (百万円) (円) (百万円) 5 Q2 2014 CONTACTS 本社 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治安田生命ビル t: 03 5288 9760 横浜 横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビル t: 045 316 4311 高松 高松市寿町2-3-11 高松丸田ビル t: 087 821 2601 関西支社 大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビルディング t: 06 6261 2111 金沢 金沢市鞍月5-177 AUBE Ⅱ t: 076 239 4041 福岡 福岡市博多区博多駅2-2-1 F福岡センタービル t: 092 472 1711 札幌 札幌市中央区北二条西4-1 北海道ビル t: 011 231 6931 名古屋 名古屋市中区錦3-20-27 御幸ビル t: 052 205 6541 仙台 仙台市青葉区中央1-2-3 仙台ワークマン t: 022 262 5651 広島 広島市中区袋町3-17 シシンヨービル t: 082 243 9321 Japan Investment | MarketView 各地のマーケットに関するお問い合わせ Japan Investment Market View に関するお問い合わせ Japan Research 大久保 寛 エグゼクティブ ディレクター Japan Research, CBRE t: 03 5288 9760 e: [email protected] 本田 あす香 シニアアナリスト Japan Research, CBRE t: 03 5288 9760 e: [email protected] + FOLLOW US Global Research and Consulting CBRE Japan Research Teamは、不動産マーケットに関するリサーチ、軽量経済学的予測、コンサルティングサービスをグローバルに協働 して提供する卓越したリサーチャーとコンサルタントのネットワークであるCBRE Global Research and Consulting の日本部門として、世 界中の不動産投資家やオキュパイヤーに向けて本レポートを提供しております。 Disclaimer 6 掲載しているマーケットデータは集計サンプルの情報更新等により、過去に遡って訂正する場合があります。本レポートは貴社の責任 と判断で利用いただくものであり、弊社又は第三者が本レポートに基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律 構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。 本レポートの無断転載を禁じます。 © CBRE Ltd. 2014 6
© Copyright 2024 Paperzz