立-M-2-6 犬の肝細胞癌における抗腫瘍ワクチンと り ンパク トデリタブを

I ¨ M ‐2 ‐6
犬の肝細胞癌 における抗月
重瘍 ワクチンとリンパ ク トデ リタブを用いた症例報告
○有里 正 夫 村 谷 親男 飯 田 秀 松 崎 美果 澤 琴 美
宮本 佳代子 荻 野 雅 宏 廣瀬 武士 杉 山 直也
兵庫ペ ット医療センター
は じめ に
大 の肝細胞癌 は最 も一般 的 な肝臓原発 の悪性腫瘍 で あ るが、今 回、超音波吸引装 置 を用 い て肝葉切 除術
を行 い 、術 後、抗腫瘍 ワ クチ ン ・リ ンパ ク トデ リタブ を用 い て再発予 防 を行 ってい る経過良好 な症例 につ
い て報告す る。
症夕1:犬 10歳 MIX
貧血 ・嘔 吐 に よ り来 院
♀
ヮクチ ン ・フィラリア予 防済み。
rayに て肝臓付 近 に Massを 確 認。CT検 査 に よ り膵臓 ・腸 間膜 を巻 き
触 診 ・X―
込 む腫瘍 を肝臓 に確 認。開腹 手術 :肝 臓尾状葉 。右葉 にお ける腫瘍 で膵臓 ・腸 間膜 を巻 き込 む。超 音波吸
引装 置 を用 い て実質 を破 砕 ・
吸引、血管 ・
胆管 を分離 し、血管 を血管 結紫 ク リップで結紫、肝臓 を部分切 除、
術 中輸血 150ml
病理検査 :肝 細胞癌
術後
抗腫瘍 ワクチ ン 7回 (LAK療 法 は血 液 の状態が悪 い ため行 えず)
リ ンパ ク トデ リタブ 1錠 /b.i.d.に
て再発予 防
6ヶ 月毎 に CT検 査 に よ り再発 の有無確 認
術後 1年 :再発 を認め ず
考察
肝臓における外科処置において、超音波吸引装置を用いることは、実質のみを破砕 し、血管を損傷 させ
ることな く露出でき、確実な血管結紫を行 うことができるため、出血量を減少させることが可能であった。
超音波吸引装置の使用 は、指や ピンセ ットを用いて肝実質を挫滅 し分離する方法に比べ、時間がかかつて
しまうとい う可能性が示唆されているが、特 に手術時間の延長は認められなかった。
一方で、腫瘍が発症する個体 においては、細胞性免疫が低下 していることが考慮されるため、術後にお
いての再発予防処置が重要であると考えられる。今回使用 した抗腫瘍ワクチ ンは、腫瘍細胞 と樹状細胞を
融合 させ、体内に戻す ことで腫瘍に対する抗原刺激を増強するものであるが、素材 となるものが 自己の細
胞 であるため、拒絶反応が起こ りにくい。投与後 も体調の変化は全 く認められなかった。問題は、非常に
高価な治療であ り、現在効果判定のための有効な手技が確立されていない とい うことである。副作用が問
題 となる抗癌治療において、免疫療法や免疫サプリメン トは健康 を損なうことが少な く、QOLの 向上 と
い う点においては有効であると考えられる。
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