「夢冒険・真夏にチャレンジ」 ~続:秘密基地作り・山と湖の大冒険~ 1.趣旨 日常体験できない自然体験や冒険活動の中で、自己をみつめ他人と協力していく機会を設定し、主体性、社 会性を育む。また、長期のキャンプを通し、生活リズムの向上を図ることや活動をやり遂げることで達成感を 味わい、自己効力感や自信を持たせ、新たな仲間との信頼関係を築いていく。 2.期日 メインキャンプ 平成21年 8月 4日(火)~11日(火) ポストキャンプ 平成22年 2月13日(土)~14日(日) 3.対象及び人数 小学校5・6年生、中学生 30名 メインキャンプ 29名/30名 (97%) ポストキャンプ 26名/30名 (87%) 4.概要 本事業は、昨年からの10日間の定住型キャンプに引き続き2年目の定住型キャンプとした。小学校の長 期キャンプのモデルキャンプとして、本年は、7泊8日に短縮して実施した。ねらいは、規則正しい生活を 行い、生活リズムを向上させ、昨今の青少年に不足がちな対人関係スキルや責任感、自己効力感、自信や協 力する姿勢などを育成していく事業とした。 昨年、竹を星型に組んだスタードームを秘密基地として作ったが、今年は、班毎に設計した設計図をもと に丸太と紐で秘密基地を作った。ベースキャンプ地も山間にある休耕田を借りて、より冒険要素を取り入れ た。山や湖への冒険の日、沢登りの日、ホッとする日では、アマゴをつかみ自分で調理して食したり、温泉 に行ったりした。8日間寝食を共にした子どもたちは、いつのまにか家族のような温かい仲間となった。 半年後にポストキャンプとして、みんなが再開した。再会した仲間は、夏の夢冒険を振り返り、互いの成 長ぶりを話し合った。また、夜の曽爾高原を味合おうと『夜の自然オリエンテーリング』を体験し、夏の仲 間の絆は、より強く結ばれた。 5.プログラム メインキャンプ 午前の活動 午後の活動 ・亀山登山、自転車試走 夜の活動 1日目 ・開会式、アイスブレイク ・秘密基地の設計図づくり 2日目 ・出発式、移動、拠点作り、 ・竹で生活道具作り 3日目 ・秘密の基地作り 4日目 ・湖の冒険(青蓮寺湖)筏作り ・湖面探索、筏レース 5日目 ・アマゴつかみ、調理 ・湯煙サイクリング(温泉へ) ・炊飯、 6日目 ・山への冒険(三峰山) ・1235m の山にアタック ・大雨の為、自然の家へ避難 7日目 ・再度キャンプ地へ移動 ・片付け、自然の家へ出発 ・キャンドルサービス 8日目 ・テントと寝袋干し、撤収 ・振り返り・閉会式 ・炊飯、振り返り ・不動滝探検ツアー(沢登り) ・炊飯、作戦会議 ・炊飯、家族への便りを書く ポストキャンプ 午前の活動 午後の活動 夜の活動 1日目 ・開会式、アイスブレイク ・夏の夢冒険振り返り 2日目 ・おやつ作り、炊飯 ・振り返り、閉会式 6.活動の様子 メインキャンプ 1日目 〇開会式・アイスブレイク・なかま作り・準備の日 開会式の後、「仲良しになるゲーム」を行い、お互いの緊張を和らげ、その 後、自転車の試走を行った。 その後、亀山に登り、頂上から曽爾の自然に触れ、長期キャンプへ期待感を高 めた。夜には、班別の旗作りや秘密基地の設計図を頭をつきあわせながら、考 えて模型を作りあげた。 2日目 ○活動拠点作り開始、生活用具作り 午前に自然の家で出発式を行い、自転車でキャンプ地へ向けて元気に出発し た。冒険村へテントを張り、門を立て、掲揚台も手作りで完成させた。しかし、 午後から天候が悪くなり、予定していた秘密基地作りは断念。その代わり竹を 使った生活用具作りを行った。箸やスプーンを小刀を使って作った。 3日目 ○秘密基地作りと沢登り 午前中は、昨日出来なかった秘密基地作りを雨の中開始。設計図通り行かず、 試行錯誤する班。コツコツと地道に完成に向けて進む班。どの班も、仲間全員 協力して個性ある秘密基地作りに没頭した。午後からは、不動滝を目指して、 沢登り。蜘蛛の巣や高い障害物などを乗り越えて前進。最後にもらった温かい レモンティーは、美味しかった。 4日目 〇湖への冒険の日・湖面探索・雨にたたられ・炊飯メニュー争奪筏競争 湖への冒険の日。マイクロバスで青蓮寺ダム湖へ移動。みんなで協力して筏 を作った。途中、雷雨のため、計画していた段ボール筏は取りやめ。その後、 晴れ間に実施した筏レースは、夕食メニュー争奪戦。そのスピードの速かった こと。 5日目 ○ほのぼのとする日 ほのぼのとする日。午前中は、近くの旅行村でアマゴつかみ。お昼はつかま えたアマゴを自分の手でさばき、塩焼きにしていただいた。午後は、前日の夜 に家族宛に書いた杉板はがきを郵便ポストに投函。その後、湯煙サイクリング。 自転車で姫石の湯(温泉)に行き、久々のお風呂。「気持ちいい」の連発だっ た。 6日目 ○山への冒険の日と最大のピンチ 山への冒険の日。三峰山登山開始。朝からの雨にも負けず。誰ひとり文句も 言わない。山道を黙々と歩く子どもたち。雨に打たれながら、途中、山小屋で おにぎり弁当。そしてとうとう、全員が登頂に成功。下山はより慎重に、みん なで励まし合いながら最後まであきらめずに降りきった。冒険村に到着。本当 によく頑張った。 しかし、冒険村は水びたしであった。テントの支柱が曲がったり、テント内 の浸水。これ以上の滞在は、無理と判断。自然の家にバスで待避。大きななか よしホールで全員就寝をした。 ・夜の自然オリエンテーリング 7日目 ○再起を誓う・またも雨中に・思い出のキャンドルサービス もう一度、キャンプ地に戻り、みんなで後片付けをしようと決意を新たに した。自分達で作った秘密基地も冒険村もみんなでかたづけた。その後20 km の道のりを再度、自然の家に向けて自転車で移動した。最後の5km は、急 勾配でほとんど自転車を押しての移動であった。しかも、たたきつけるよう な雨。全員が到着したときには、雨もやみ、曽爾高原から見る景色の素晴らしさに感動し、やり遂げたという達 成感と満足感でいっぱいであった。その夜は、夢冒険の最後の夜。キャンドルサービスで盛り上がり、楽しみ、 そして、この7日間をふりかえった。 8日目 ○片付けと別れの日 とうとう最後の日を迎えた。お別れの日である。今まで使ってきたテント を掃除したり、寝袋を干したりした。移動で使った自転車の整備と掃除はよ り入念に。その後、8日間の活動を振り返った。最後に、所長から労いの言 葉と賞状をいただき、ポストキャンプでの再会を誓いながら帰路についた。 最後に 隣村の御杖村にベースキャンプを張り、沢、山、湖を活動のフィールドと し、7泊8日間の長期キャンプを行った。天候は、雨ばかりで決して良い環 境ではなかったが、この環境の中で誰ひとり、病気や怪我もなく全員無事に キャンプをやり遂げた達成感や充実感は、どんな体験よりも尊いものであった。このキャンプを担当して、一緒 に耐え抜いた子どもたちを褒めてあげたい。「本当によく最後まで頑張ったね」「君たちこそ本当の冒険者だ」 と・・・。 ポストキャンプ 1日目 〇再開・開会式・アイスブレイク このポストキャンプで「夢冒険真夏にチャレンジ」の参加者が半年ぶ りに再会した。あの日を共に過ごした仲間に会うのを心待ちにしていた 顔。バスの集合場所から、あっという間に懐かしさが込み上げてきて、 会話がはずんでいた。 〇夏の夢冒険振り返り ポストキャンプでの新たな班のメンバーで真夏のメインキャンプの 出来事や楽しかったこと、心に残っていることなどを共有しあった。メ インキャンプのスライドで様々な出来事を想いだし、ブレインストーミ ングやKJ法を活用し、その時の記憶や感動を蘇えらせた。 ○夜の自然オリレンテーリング 夜は、メインキャンプ班に戻り、冬の曽爾高原の自然を体感するために、夜の 自然オリエンテーリングに出発した。ライトを消してのナイトハイクや静かに高 原の音を感じたり、暗闇のデザインなどの各ポイントでの課題を楽しみながらク リアしていった。全員でのふりかえりでは、暖かい飲み物を口にしながら、仲間 と向き合う時間を共有できた。真夏に培った絆、そしてそれをもとにして、互い の存在を認め合える一時となった。 ○夏の夜の思い出 メインキャンプでは雨に打たれ、テントではなく大きなフロアで全員で床についたこともあった。そんなこと も思い出しつつ、ポストキャンプでも一つの部屋で夜を共にした。もちろんそこでは、一日では語り尽くせない 出来事が語られたに違いない。 2日目 ○チョコレートフォンデュ バレンタインデーにちなみ、チョコレートフォンデュとカレー鍋を楽しんだ。ここでは班にとらわれない時間 を設定し、真夏の班をこえてさらなる交流の輪を広げていった。準備から後片付けまで、真夏の8日間を経験し ているだけに、 「さすが!曽爾人(そにんちゅ)!」といわせるような手際だった。 ○思い出の作品作り 真夏にみんなで口ずさんだテーマソング「夢冒険」を歌い、レコーデングをし た。また、前日の写真プリントにみんなでメッセージを書き交換しあい、思い出 とした。 最後に あっという間の2日間であった。「またおいでやー!まってるでー!」の言葉 に送られ、互いの再会を誓いつつポストキャンプを閉じた。参加者の中には、今 度はキャンプリーダーとして活動したいという子どもも多く、彼ら彼女らのあり 方に一点の灯となった夢冒険であったのではないだろうか。 7.アンケート自由回答より(抜粋) 《メインキャンプ》 ・夢冒険に参加してふだんできない経験ができて良かった。 ・いろんな体験ができてとても良かった。ゲームやテレビがなくても自然でこ んなに遊べるなんて気づかなかった。 ・7泊8日の長い間自分のできなかった事ができるようになったのが気づきま した。怪我をいっぱいしたので次のポストキャンプでは、怪我をせずに頑張 りたい。 ・班付きリーダーの友達ができて良かった。冒険村の地面をコンクリートにし てください。 ・とても楽しかったので、来年も来られたら来たいなぁと思いました。 ・こんな森の中でもいろんな事ができることがわかった。 《ポストキャンプ》 ・みなさんありがとうございました。わたしはこのキャンプに参加してとて もよかったと誇りに思っています。また参加したいし、ボランティアスタ ッフになりたいと思いました。 ・ボランティアも職員の人もいい人ばかりで良かったです。絶対来年も来よ うと思うので他のみんなも来てください。 ・8月から「夢冒険」に参加していて、すごく楽しかったです。2月の14 日でみんなバラバラになるけど元気でいてください。 ・8月のキャンプ、2月のキャンプ楽しかったです。ありがとうございました。また行きたいと思いました。 ・夏と冬のキャンプでめちゃくちゃ体力を使うのが多かった。 ・一つ一つのプログラムがとても楽しかったです。 8.成果 《メインキャンプ》 ・新しいなかまと出会い、秘密基地を作り、自炊をし、寝食を共にしながら、いかだ作りや湖面探索、登山等を することを通して、自己を見つめ、信頼、協力、達成感を味合うことができた。 ・7泊8日の長期キャンプでは、生憎の雨に見舞われたが、厳しい山登りや起伏の激しい道を自転車で移動する プログラムをやり抜き、素晴らしい達成感と喜びを味わうことができた。また、そのことによって自己肯定感 を高めることができた。 ・「早寝早起き朝ごはん」を実践しつつ、毎回の食事を自炊することにより、食事づくりの大変さを経験し、食 の重要性・親のありがたさを実感した。 ・悪天候の中をやり抜いたことで、普段当たり前であると考えていたことが、大切で有り難いことだと気づくこ とができた。参加者のふり返りに「水洗トイレがあること、お風呂があること、道路は歩きやすいことに気づ いた。」と記されていた。 ・「いろいろな経験ができた。ゲームやテレビがなくても自然でこんなに遊べるなんて気づかなかった。」「魚 をさばくのが初めてで、きれいに内臓をとりのぞけた。」など、初めての体験に子どもたちの目は輝いていた。 ・山登りや自転車の山岳走行など、しんどいことを仲間とともに成し遂げることで、連帯感がわき、達成感を味 合わせることが出来た。 《ポストキャンプ》 ・企画に携わるボランティアが、事前に何度も会議や実踏を繰り返し、企画していく中で、ねらいを明確にし たプログラムを展開することができた。 ・参加者と共に夏のキャンプをふりかえり、交流を深めることにより、夏の夢冒険以降の成長がお互いに確認 できた。 ・冬の曽爾高原の自然を取り入れたプログラムを計画することで、参加者に楽しんでもらえる内容になった。 ・ボランティアが企画運営に積極的に関わることにより、よりよい内容の事業となるとともに、ボランティア の資質向上が図れた。また、今後の活動に向けたボランティア組織の再構築が計れた。 9.今後の課題 《メインキャンプ》 ・ タープテントの強度、簡易設置トイレの不足等、備品、消耗品の充実を図る必要がある。 ・ 完成後の基地の活用など、具体的な目的を考え、計画していくことが大切である。また、材料(消耗品)など 多めに用意しておくべきであった。 ・ 雨天でも備品・消耗品がぬれないような工夫をしておく必要があった。 ・ プログラムの変更を正確に、早く周知する工夫(回覧板・ホワイトボードによる変更連絡など)を考える。 ・ 実踏(事前研修)の中で、道路のコース取り、時間設定など不測の事態(天候)も想定した調査を行うべき であった。 ・ プログラムで、唯一段ボールイカダの製作ができなかったが、ポストキャンプや今後の企画につなげていき たい。 《ポストキャンプ》 ・ 夏の思いを共有するプログラムに動きのある活動を加えることで、よりインパクトのある活動になったと考え る。 ・ ボランティアの熱意や参加者の喜びを考え、またボランティアの資質向上の意味からも今後もポストキャンプ の必要性を感じた。
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