平成 23 年度 第2回学校評議員会

平成 23 年度
第2回学校評議員会
静岡県立沼津聴覚特別支援学校
平成 24 年2月 28 日(水)
10:45~12:00
1
校長から
第2回学校評議員会・学校関係者評価委員会と
いうことで、ご意見をいろいろいただきたい。
子ども達の様子を見ていただき、いかがだった
でしょうか。
学校としては
① 心・安全の学校をきちんとやっていくことを
大事にしている。
3/11「送る会」の途中で地震を受けて、
避難・待機・帰宅と本番を迎えた。
東北地方はもっと大変だった。この一年間、
肝に銘じてやってきた。
②子ども達の成長を保障する。
この学校を卒業した子どもがすべて進路を決めて、卒業式を迎える。
「豊かな言葉、確かな学力そして社会自立へ」という、合い言葉通り社会に出て行く。
責任を果たしている。何よりの姿だと思う。
③キャリア教育
幼稚部から高等部まで一本の筋を通す。すべての段階で考える。
学校だけでなく、家庭でもあらわれが少しずつ出てきている。
「伝えたい」という気持ちがあらわれてきている。
障害理解が進んだ。できないからこうしたいという行動があらわれてきた。
学校全体でいい感じで進んでいると感じている。
課題
①言語指導を進め、一年一年積み重ねている。
②学習する環境を守るということで、情報保障をしっかりやりたい。
資料の表紙:朱鷺祭・学習発表会の写真が載っている。
文字情報を行い、すべての音を子どもに届けることを行った。
子どもにも参観者にも好評だった取り組みである。
③子ども・教員の手話力を高めることが課題になっている。
2
自己紹介、参観授業の感想
I.K 様(東部ろうあ協会会長、沼津市聴覚障害者協会顧問)
今日の授業を見て感じたのは、一年を通して充実感を感じた。
生徒達の積極的な意見、間違ってもいい雰囲気の中で、「はいはい」と手を挙げている。
もう少しつっこんだ雰囲気もあってもいいと思うが、参観者が多い中では難しかったろう
と思う。春休みが近づいているが、もっと勉強したいという雰囲気が伝わってきた。
幼稚部への手話の広がりは喜んでいる。PTAへの対応、子どもへの対応で先生達も精
一杯かもしれないが、卒業するとどうなるだろうと話し合う機会、卒業生の中で、今何が
起こっているのか等、もっとつながりができたらもっといいなあと思っている。
T.Y 様(本校同窓会長)
私は40年も前に卒業した。もう終わりの時だと思う。今日感じたことは2つある。
私たち在学の時と比べて、今は幼稚部があり、聴覚も活用し、言語も進んでいて、昔の
学校と比べると3年ぐらいは進んでいるように感じている。勉強内容も難しくなっている。
いろいろな行事等があった時に、沼津の新聞に載るようになり、学校の様子を知ることが
でき、とても良いと思う。
去年の評議員会の時に、生徒が答えた時に、他の生徒が理解していない状態は問題があ
るのではないかと感じた。一人二人の少人数の学習が多いが、他の生徒がわかる状態が大
切だと感じた。今回あらためて報告しておく。
S.Y 様(第五地区センター長、第五東連合自治会副会長)
来るたびに感動している。枝葉が新緑から濃くなったような感じで、特に幼児の子ども
が健常の小学1年生の教育の受け方に近づいてきたように思う。先生が子どもを好きにな
って、子どもと向き合っている姿が出ていると思う。手話を使って話そうとする、聞こう
とする姿勢が立派な教育だと思う。
プラス思考で、子どもが熱中して取り組んでいる。環境、社会がそこまでできているか
と思うが、教育のあり方を見直そうという土台を作っていると感じた。
地区センターは近くなので、学校と地域のつながりをなお強めていきたい。
O.H 様(沼津市金岡保育所長)
幼稚部といつも交流している。先生方の熱心に教育される姿勢と子どもの様子にいつも
感動する。春に見た時よりも、なお活気に満ちあふれていると印象をもった。
文化祭を見た際に、字幕がわかりやすく、耳の不自由な子どもと健聴者が一体になれる
と思った。視覚に訴える、視覚で訴えるところがいっぱいあり、保育者としても大変参考
になる。
保育指針が変わり、一斉保育から個別対応を大事にしようと指導方法が変わってきたの
だが、指導計画なども個別を大事にしてきている。金岡は大勢の子が多いので、口で話す
だけでなく、参考にさせていただいて視覚的配慮を保育に取り入れようと工夫し始めた。
今後も参考にさせていただきたい。
12 月の金岡保育所でも保護者向けのアンケートを行った。
「聾学校との交流はとてもいい
ので、もっとやってほしい」と意見が書かれてあった。週1回木曜日に交流に来てもらっ
ている。この時間は保護者がいない時間帯。保護者に見てもらっていないのだが、保護者
にも知ってもらい、いろいろな子どもと接することで、金岡保育所の子も一緒に成長する
ことを知らせていきたいと思っている。
K.A 様(聴力障害者親の会)
家の子どもは社会人になっている。
幼稚部は人数が少なく、さみしく感じた。小学部は人数が少なく、以前と違うなと感じ
た。人工内耳の方が多く、発音がきれいな方が多いように感じた。
家の子はここの高等部は卒業していないが、卒業式練習で子ども達が決めた歌に手話を
つけてやっていて、とてもいいなあと思った。今流行っている歌を聞こえる子と同じよう
に音楽を聴いている。音楽を聴くとなると、補聴器からでも聞き取れない。
家の子は、音楽番組で字幕が入ると、歌がわかるので、パソコンができるようになって
から、音楽を聴くようになった。今の子ども達はもっと好きだろうと思うので、幼稚部な
どの音楽の様子も見てみたいと思った。
2
学校評価について(資料)
副校長から
3 各学部主事、地域支援部主任から説明
(1)幼稚部
乳幼児7人、幼稚部6人。
今年度新たな取り組み。①逆交流、②4・5才合同クラス、③本校と金岡との交流。
①逆交流:インテグレーション児を対象に、月1回程度実施。
本校の言語指導のやり方を学ぶ。本校の子も、来る子どもも楽しみにしている。
②4・5才合同クラス(もも組)
:4才1人。
4才児が聞く時間、話す時間と区別できるようになった。
③本校と金岡との交流
ルールのある遊びをする機会。
(2)小学部
①交流
毎年いいあらわれが出ているが、保護者に良さがなかなか伝わらないので、交流ファ
イルを作成した。目的をもって参加し、子どもが記入したものを家庭にもっていくよう
にした。様子がわかるようになったと話す保護者が増えた。
②キャリア教育
小学部に言葉の掲示板を作っている。掲示板を活用し、高等部の現場実習の様子や感
想をはり、学校のお兄さんお姉さんが働いていることを多少意識できるようになってき
たと思う。
今後も課題と思っている。
③本
図書コーナーを昨年度から作り、今年度きれいにした。自分の感想をなかなかもてな
い子が多いので、今後も課題になる。
④音楽
リコーダーにも取り組めるようになってきて、音の違いが分かる子も出てきている。
高学年に女子が多く。AKBのダンスを踊っていて、キッザニアでも舞台でも踊る等、
イメージが変わってきたと感じている。
(3)中学部
①キャリア教育
「みんなに伝えよう発表会」を行った。これまで全員の前で発表する機会は年2回で、
、
長期休みの体験発表会で「~しました。~楽しかったです。
」という感想のみが多かった。
もう少し内面について考え、自分の将来の夢、部活動の試合の中で自分はどういう気持
ちで戦ったのか、教師とのやりとりの中で気持ちを深め、作文を書いて発表するという
活動を行ってきた。前回は3年生は両親と自分とのかかわりを書いた生徒もいた。
自分の気持ちをしっかり伝えたいという気持ちで発表すること、また聞く側もしっかり
聞くということを大事にしてほしいというねらいで行ってきた。
キャリア教育の一つなので、キャリアファイルを持参し、発表の仕方が良かったとか、
手話や発音が良かった、わかりやすかった等を子どもも評価できるようにした。
②外部講師
外部講師(聴覚障害の方から)から「楽しく通じ合う」ということを大事にしながら
手話学習を重ねてきた。中1中心に行った。
和太鼓、本を楽しむ会でも外部講師に依頼し、毎回中身の濃い内容になっている。
③音楽
卒業式の歌はAKBの歌を選んで手話で歌う予定になっている。
(4)高等部
最終的に社会に出すのが、高等部の目標
①学力・働くための力
パソコン検定にも挑戦している。5つの種目ですべて1級に合格できると、賞をいた
だけるが、3年生10人中2人がいただいた。部会長賞も3人いただいた。
漢字検定・英語検定でも力をつけている。英語検定5級をやっと合格できた生徒もい
たが、生徒が非常に喜び、自信になった。学ぶことが嬉しい、という気持ちを今後も大
事にしていきたい。
②手話力
生徒も職員も手話力の向上が必要であるが、朝の打合せもすべて手話で教員も行い、
手話力向上を目指している。生徒もわかりやすい授業になったと意見が出ている。
③キャリア教育・進路
社会で障害をもちながら生きていく力。
高3は10人中、4人が大学合格した。3人は企業。2人は職業訓練校。
1人は専攻科。大学は何をしたいのか、明確に話せるようになっている。
④課題
自分から課題をもって、課題を求めて学ぶ姿勢も主体的になってほしいと思う。
教えてもらうだけ、言われたことをやるだけではいけないと感じている。
交流活動の中で、自分でやらなければいけないという場を設定した。
・交流高校との部活動:後半からは自分でメニューを作成するようになった。
・大学生との交流:同じ年齢の方とのコミュニケーション。
自信をなくす必要がないことを学んだ。
視野を広げる場を設定することが私たち教員のできること。
(5)地域支援部
①外部から
学校評議員の原田先生から、学校の教育活動にもっと参加したいと一緒に行ってきた。
講座を行うなど、専門的立場から参加していただき、好評であった。来年度以降も継続
できるようにしていきたい。
②幼稚部からのインテグレーション
幼稚部からインテグレーション、早い段階のインテグレーションが増えているので、そ
れぞれの学校でよりよく生活できるように支援している。聾学校の子、地域の子と分ける
のではなく、地域にいる子も聾学校の指導を体験しながら、本人も保護者も聾学校とつな
がりを持ち続けることを大事にしている。学校と地域の垣根を小さくしていければと思っ
ている。
③音楽
乳児で人工内耳を早期にしている子が増えている。2才~2才半ぐらいで童謡の歌を聞
き分け、童謡のカードを選んで、歌うという子がいる。曲を聞き分けるというのは、10
年前では考えられなかったことである。聴覚活用がよくなったから、スムーズな社会参加
につながるとは限らないので、今後の10年、20年後の学校を視野に入れ行く必要があ
ると感じている。
3
学校評議員から意見
I.K 様
だいたい聞こえる生徒が非常に増えていると率直に感じている。聞こえる中で、学力と
か、言語力は育っていると思うが、きこえない自身のアイデンティティをどう育てている
かと思う。アイデンティティを育てる場は聾学校にあるのではないかと思う。そのまま社
会に出た場合に、「おまえはできるだろう」「聞こえるだろう」と、周囲に言われると、行
き詰まるのではないかと心配している。
「あんたは聞こえるんだな、あんたは何でもできるんだな、何でも自分でやれよ」と言わ
れるのではないかと心配であるし、気になる。学校にいる段階で、
「ぼくはきこえないんだ。」
「人工内耳をしたり、補聴器して聞こえるんだけど、自分は障害者だ」と言える子どもを
育てることを大事にしてほしい。
学習発表会の字幕は僕は非常に嬉しいです。これは誰のための字幕だったのか、もう一
度考えてほしい。今やっと字幕ができた状況であるので、聾学校はまだまだバリアフリー
になってない所がまだあったのではないか。そういったことが、バリアフリーの壁になっ
ていることに気がつきます。
「会議をやっている中で、バリアフリーはあったのか、なかったのか。」「玄関に入ってき
て、バリアフリーがあったのかなかったのか」等、まだまだ感じます。
もっともバリアフリーが一番進んでいる学校であるはず。
そういう観点で考えてほしい。
S.Y 様
幼稚部で入園してくる親御さんが少ない現状が見えるが、地域の幼稚園との関係がどう
なっていくのか、と懸念する。聾学校では先生方が一生懸命で、一人一人に向かっている
のに、健常の学校の中で、障害を無視した方針をとっていくのではないかと思う。一生懸
命育てた状況が維持できるのか、聾学校としてもっと強く打ち出して、「囲い込む、引っ張
る」等、養護していく必要があるのではないかと思った。毎回見学する度に、すばらしい
と感動しているが、健常者の中に入った時に、どんな感じになっているか心配だなと思っ
た。
校長:教育相談が大きくかかわるのかなと思う。関係を切らない。支援を届けられる関係を
続けていくことが大事。囲い込む、引っ張るという案もあるだろうが、家庭の価値
判断がある。地域の学校の中で、ぶつかってくる問題に対して、「こちらでいつでも
相談にのるよ」という関係を保っていくことが大事かと思っている。
柏木:難しいケースも多い。小学校高学年になり、子どもが自信をなくす等もある。勉強
が出来る子に多い。よりよく生活できるように学校と相談したり、常にコンタクト
をとり続けるようにしている。通級は年間26名、教育相談で150名程度を支援
している状況。
校長:センター的機能を大きくして、学校がやっている。地域支援の担当者は少ないが、
ニーズは非常に増えている。
S.Y 様
教育環境の複雑化。経験して始めて、戻ってくる。違う所を経験する。社会が健常者と
障害者の風評にこだわりすぎていると思う。政府の対策との一体が生まれていない環境が
あるかもしれない。
校長:特別支援教育の流れは止めることはできない。地域で育てたい親のニーズを消すこ
とはできない。地域の学校、地域そのものが聾学校の子を育ててほしいと思っても
らえるようにすることも聾学校の仕事かと思っている。
O.H 様
きめ細やかな教育をされていることをあらためて感じた。交流保育の意味を日々感じて
いる。幼稚部の小さい段階では受ける方も入る方もあまり考えず、素直な気持ちで交流も
できるが、大きくなるに従っていろいろな子どもの気持ちとか、難しくなっていくのかな
と感じた。それがスムーズに小さな時の思いが、そのままつながっていく交流になれば、
世の中も変わると思った。これからも先生方も私達も課題に対して、一緒に取り組んでい
きたいと思う。
地域と学校を出た子ども両方を支えるという一つの大きな仕事になると聞いた。保育所
も親御さんの支援、地域の子どもの支援があり、同じような課題を抱えていると感じた。
保育所はその支援を要求しているが、全然通らない状況で、フリーの職員がいない。職員
の割合が非常に少ない現状にある。
K.A 様
以前は小学部に上がるか、一般の小学校に上がるかという選択だったが、今は幼稚園の
選択もあることがわかった。人数が多いとこで、もまれるのと少人数でもまれるのとでは
違うので、親としては、できるんだったら、地域の学校へ出したい。ついていけなくなっ
たら、戻るつもりで出されると思う。学力はのぞいても楽しく学校生活を送らせたいとい
う親もいると思う。
聴覚障害者、発達障害児関係なく、普通の学校が入れる学校があればいいのだが、幼稚
園の先生もいて、大変ですね。そういうことがわかって良かった。
4
校長から
今回3年になるが、学校評議員会はどきどきする会である。
今年度は、「やって変えたぞ」と各部主事からも報告があった。まだまだ課題はあるが、
もっともっと良い学校にしていくようにがんばっていきたい。
学校への応援団として、あたたかく、厳しい指導をよろしくお願いします。