母子保健法 第1章 総 則 (目的) 第1条 この法律は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明 らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医務その他の措置を講じ、 もつて国民保健の向上に寄与することを目的とする。 (母性の尊重) 第2条 母性は、すべての児童がすこやかに生まれ、かつ、育てられる基盤であることにかんがみ、尊重され、 かつ、保護されなければならない。 (乳幼児の健康の保持増進) 第3条 乳児及び幼児は、心身ともに健全な人として成長してゆくために、その健康が保持され、かつ、増進 されなければならない。 (母性及び保護者の努力) 第4条 母性は、みずからすすんで、妊娠、出産又は育児についての正しい理解を深め、その健康の保持及び 増進に努めなければならない。 2 乳児又は幼児の保護者は、みずからすすんで、育児についての正しい理解を深め、乳児又は幼児の健康の 保持及び増進に努めなければならない。 (国及び地方公共団体の責務) 第5条 国及び地方公共団体は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に努めなければならない。 2 国及び地方公共団体は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関する施策を講ずるに当たって は、その施策を通じて、前3条に規定する母子保健の理念が具現されるように配慮しなければならない。 (健康診査) 第 12 条 市町村は、次に掲げる者に対し、厚生労働省令の定めるところにより、健康診査を行わなければな らない。 1.満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児 2.満3歳を超え満4歳に達しない幼児 【則】第2条 《改正》平 11 法 160 2 前項の厚生労働省令は、健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)第9条第1項に規定する健康診査等指針 (第 16 条第4項において単に「健康診査等指針」という。 )と調和が保たれたものでなければならない。 《追加》平 14 法 103 第 13 条 前条の健康診査のほか、市町村は、必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康 診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない。 (妊娠の届出) 第 15 条 妊娠した者は、厚生労働省令で定める事項につき、速やかに、保健所を設置する市又は特別区にお いては保健所長を経て市長又は区長に、その他の市町村においては市町村長に妊娠の届出をするようにし なければならない。 【則】第3条 《改正》平 11 法 160 (母子健康手帳) 第 16 条 市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない。 2 妊産婦は、医師、歯科医師、助産師又は保健師について、健康診査又は保健指導を受けたときは、その都 度、母子健康手帳に必要な事項の記載を受けなければならない。乳児又は幼児の健康診査又は保健指導を 受けた当該乳児又は幼児の保護者についても、同様とする。 《改正》平 13 法 153 3 母子健康手帳の様式は、厚生労働省令で定める。 労働基準法 第六章の二 妊産婦等 (坑内業務の就業制限) 第六十四条の二 一 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性 坑内で行われるすべての業務 二 前号に掲げる女性以外の満十八歳以上の女性 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業 務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの (危険有害業務の就業制限) 第六十四条の三 使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、 重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害 な業務に就かせてはならない。 ○2 前項の規定は、同項に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、 厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる。 ○3 前二項に規定する業務の範囲及びこれらの規定によりこれらの業務に就かせてはならない者の範囲は、 厚生労働省令で定める。 (産前産後) 第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業 を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。 ○2 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女 性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支え ない。 ○3 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。 第六十六条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項 及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日につ いて同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。 ○2 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項 の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。 ○3 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。 (育児時間) 第六十七条 生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少な くとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。 ○2 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法) (妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置) 第十二条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法 (昭和四 十年法律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することが できるようにしなければならない。 第十三条 事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ること ができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。 2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図る ために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。 母体保護法 第1章 総則 (この法律の目的) 第1条 この法律は、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、母性の生命健康を 保護することを目的とする。 (定義) 第2条 この法律で不妊手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で厚生労働省令 をもって定めるものをいう。 2 この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人 工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。 第2章 不妊手術 (医師の認定による不妊手術) 第3条 医師は、次の各号の一に該当する者に対して、本人の同意及び配偶者(届出をしていないが、事 実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、不妊手術を行う ことができる。ただし、未成年については、この限りではない。 一 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼすおそれのあるもの 二 現に数人の子を有し、かつ、分娩ごとに母体の健康度を著しく低下するおそれのあるもの 2 前項各号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による不妊手術を行うことができる。 3 第1項の同意は、配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができないときは本人の同意だ けで足りる。 第3章 母性保護 (医師の認定による人工妊娠中絶) 第 14 条 都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」 という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行う ことができる。 一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの 二 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの 2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に 配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。
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