世界連邦運動ニュースレター611

世界連邦Newsletter
発 行 所
世界連邦運動協会
World Federalist Movement of Japan
〒110-0015 東京都台東区東上野 1-20-6 丸幸ビル 3F
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1 部 100 円(奇数月 1 回 28 日発行)
2012年度定例総会開催
理事・岡山県支部事務局長)の経歴と業績の紹介が
あり、海部俊樹会長から稲見さんに赤松常子顕彰会
からの表彰楯と賞金が授与され、稲見さんが感謝の
言葉を述べた。
赤松賞を受賞した
稲見圭紅さん
(岡山県支部事務局
長・本部執行理事)
地域清掃活動や福祉
施設への慰問などを
行う。2005 年から会
員。専門は食品関連
のコンサルタント。
続いて議事に入
り、仮議長に坂本章
子氏が選ばれ、総会役員を選出、議長に選出された
平口哲夫執行理事から挨拶があり、松香光夫資格審
査委員から総会の成立が宣言された。
2012 年度一般会務報告:本部の阿久根武志事務局
長から、執行理事会、理事会等の動き、東京・政策
研究大学院大学での日本大会、第五回世界連邦実現
に関する政策提言などについて報告があった。
2011 年度決算報告:阿久根事務局長により、収入
8,749,732 円、支出 9,667,287 円、差し引き当期差
損金 917,555 円の決算報告が承認された。
2012 年度運動方針案について阿久根事務局長から
説明がなされた後、各委員会の活動計画について城
忠彰理論・政策委員長、塩浜修政治活動委員、木戸
寛孝組織委員、教育・広報委員長の代わりに阿久根
武志事務局長、勝見貴弘国際副委員長、木戸寛孝財
務委員から説明があった。
別記の通り 2012 年度活動計画を決定。
支部提案として、北海道支部の荻野忠則支部長か
ら発表があり、世界災害救援部隊の創設や、原子力
の管理についての提言があり、執行理事会等で検討
することが承諾された。
谷本真邦ユースフォーラム支部長から総会宣言
文が発表され、世界連邦の歌を全員で唱和し、閉会
した。
閉会後、第一回理事会が行われ、日下部禧代子理
開会の挨拶を述べる海部俊樹会長
世界連邦運動協会の 2012 年度第 67 回全国総会が、
5 月 13 日、東京・日比谷図書文化館コンベンション
ホールで開催された。2011 年度の一般会務報告およ
び決算報告を承認し、2012 年度の運動方針・活動計
画および予算を決定し、最後に総会宣言を採択して
閉会した。
午後1時に開会。はじめに海部俊樹会長が挨拶を
行い「先日は台湾や中国でも世界連邦について話を
してきた。誰かが何かをやってくれることをあてに
していても世界連邦はできない。それぞれの立場で
発言しつづけることが大事。」と述べた。
次に日下部禧代子理事長から挨拶があり、
「会員の
皆様のお一人おひとりの絶え間ない日常の活動があ
ってこそ世界連邦運動がつながっている。」と感謝の
意を述べた。
続いて宇都宮憲爾筆頭副会長、荻野忠則副会長、
城忠彰副会長の挨拶が行われた。
その後世界連邦日本国会委員会会長の中野寛成衆
議院議員、世界連邦宣言自治体全国協議会の山崎善
也会長のお祝いのメッセージが紹介された。
長年、女性の地位の向上、民主主義の確立、地域
社会の発展などのために地道な努力をしている女性
を表彰する第 41 回赤松賞の表彰に移り、阿久根武志
事務局長から稲見圭紅さん(世界連邦運動協会執行
1
事長の留任を決定。副理事長は今村義治、西山敏和
の両氏。
執行理事 19 名の承認を行い、名誉理事長は高木旭氏、
会計理事は松香光夫氏となった。
第 67 回 2012 年度 世界連邦運動協会総会宣言
昨年三月に起きた東日本大震災においては、途上
動を可能にした。世界連邦運動においても、この情
国も含めた世界の多数の国々からの支援を受け、世
報ネットワークを充分活用して、平和・環境など地
界的な絆の重要性を改めて確認した。私たちはその
球規模の課題に取り組む国内外の NGO との連携を強
支援に篤く感謝するとともに、率先して世界連邦実
化していく。
現に邁進し、人類共生のために努力することを約束
本年はわが国が主権を回復し、国際社会に復帰し
する。
て六十周年となる。また、人間環境宣言が行われて
東日本大震災では、津波による甚大な被害に加え
四十周年、リオ・デ・ジャネイロで環境サミットが
て、深刻な原子力発電所事故が起きたことから、エ
行われて二十周年に当たる。私たちはこの記念すべ
ネルギー資源のあり方が根本的に問われることにな
き年に世界連邦への理解を全国民はもとより全世界
った。私たちは持続可能な社会を継続できるよう、
に広め、大きな世界市民運動へと高めていくととも
全世界の課題として脱原発に向けての論議を進めな
に、この人類最大の事業の達成のため、全力を尽く
ければならない。
すことをここに誓う。以上、宣言する。
一方、インターネットをはじめとする情報ネット
2012 年 5 月 13 日
世界連邦運動協会第 67 回総会
ワークは、距離に縛られず全世界の人々への広報活
2012年度活動計画
【理論・政策】
世界連邦創設に向けた可能性を探求するために、
主として以下の 3 点から理論的研究を行う。
1.欧州連合(EU),東南アジア諸国連合(ASEAN)
といった地域統合の進捗状況の分析、提起され
ている各種の世界連邦憲法草案の分析などを通
して、世界連邦建設に向けた条件整備を研究す
る。
2.国連安全保障理事会をはじめとする国連改革、
国際司法裁判所(ICJ)や国際刑事裁判所(ICC)
の機能拡大など、既存の国連システムを世界連
邦の制度にいっそう近づける方策の研究を行う。
3.地球規模の課題を克服し世界連邦の条件整備を
円滑にするため、国際連帯(取引)税、自然災
害に対応する国際救済組織、原子力・エネルギ
ーの国際管理制度、沖縄の基地問題をはじめと
する安全保障政策、ワールド・エシックス・フ
ォーラム、保護する責任、国連気候変動防止条
約をはじめとする環境条約、といった現在国際
社会で議論されている項目を精査・研究する。
【政治活動】
1.世界連邦実現を我が国の国是とする歴史的な
2005 年国会決議の可決を出発点として、世界連
邦日本国会委員会や、
「地球規模問題に取組む国
際議員連盟日本委員会」
(PGA ジャパン)を始め友
2
好団体との緊密な協力をますます強化し、この
問題の政府の窓口である外務省及び国の関連機
関とは今後更に一層緊密に連携し、国内はもと
より、世界に対して強力な運動を展開する。
2.世界連邦宣言自治体全国協議会と緊密に連携し、
市町村合併による弱体化を補強するため、世界連
邦宣言自治体の増強のために懸命に努力する。
3.過去 5 回にわたる世界連邦実現に関する政策提
言に触れられた内容について、国会委員会所属議
員から質問してもらうなどの手法で具体的進展
を求める。その際 6 月に行われるリオ+20 や 7
月の武器貿易条約交渉会議など、国際会議の動向
を考慮する。
【組織】
1.支部推薦理事に関する規約を見直し、支部の規
模に拘らず各支部から1名は理事を出し、本部
と支部の連携を強めていく。人数が減少して支
部要件を満たさなくなった支部については、た
だちに支部を解散するのでなく、半年から1年
かけて、個別状況に応じた対応をとり、何らか
の形で活動が続けられるようにする。
2.本部と有力支部が連携をとりながら、通常の支
部レベルの勉強会(30~50 人くらい)と、日本
大会(200~300 人)の中間的な規模のもの(80
人から 100 人くらい)を年 1、2 回開催すること
的研究の 3 本柱(下記1~3)を世界の運動と具体
的に連携させ、個別具体的な政策課題に基づく協力
関係を築くために、日本政府、在京の EU 代表部、ニ
ューヨークの WFM 本部、そして国際 NGO との連携を
図る。また本年 7 月に行われるカナダ・ウィニペグ
WFM 世界大会を充分に活用する。こうした動きをニュ
ースレターで紹介して行く。
1.EU など地域連合との連携
・ EU,ASEAN,AU等の地域連合在日代表部表敬訪問
・ 地域連合の諸課題に加え、以下の諸点に対する
取組みについても意見聴取
 ICJ国際司法裁判所と地域連合
 ICC国際刑事裁判所と地域連合
 保護する責任(R2P, Responsibility to
Protect)
 国際連帯税(FTT, Financial Trade
Taxation)
 政治的な地域代表制(UNPA, United Nations
Parliamentary Assembly)
2.ICJとICCの充実
・ 外務省ICJ、ICC担当者から意見聴取
・ ICJ裁判長来日時の表敬、意見聴取
・ PGA(Parliamentarians for Global Action) ICC
キャンペーンとの連携等
3.地球規模問題に対する取組み(外務省地球規模
問題担当官に進捗状況聴取)
・ 国際連帯税(グローバルタックス研究会等)
・ 自然災害に対応する国際組織、沖縄基地問題
(防衛省中央即応集団、在日米軍司令部等)
・ 原子力の国際管理(PNND, Parliamentarians
Network for Non-proliferation and
Disarmament、平和市長会議等)
・ 環境・持続可能なエネルギー(グローブ、Global
Witness等)
・ ワールド・エシックス・フォーラム(国連大学、
IEGL, Institute for Ethics, Governance and
Law等)
4 . 以下のことを日本政府に提言する。
・国際刑事裁判所ローマ規程の条文への核兵器使
用禁止の条項の追加
・同ローマ規程について、2010 年再検討会議にて
採択された侵略犯罪の定義及び管轄権の行使手
続きに関する改正条項、並びに非国際的武力紛
争下での特定武器の使用禁止条項への早期批准
で、運動の促進と、新規会員獲得に努める。
3.新たな支部立ち上げが一部で見込まれる一方、
会員の高齢化は進み、全体としては会員数が減
少していることから、引き続き、各支部は勉強
会やイベント企画などを通じて、会員の増員と
継続のために一層の努力をしていく。
4.政策を共有できる他の NGO と連携を図りながら
最新の国際情勢を活動に取り込むと同時に、彼
らと活動を共にすることで世界連邦運動の活動
が社会に周知されるように努める。
【教育広報】
1.広報活動の手段を充実させ、世界連邦理念の深
化と活動の拡大を図る。
① 「世界連邦ニューズレター」の内容充実を図り、
世界連邦の理念・政策の伝達、平和教育推進の効果
的な魅力的な媒体とする。
②本部ホームページの内容充実を図り、各支部が
互いにリンクし合えるものとし、インターネットを
広報・公聴の有力手段として、有効活用する。
③子ども向けジュニア新聞『平和の種(仮称)』
刊行のための準備委員会を設置し、予算・構成員・
内容等を検討する。
2.各支部はイベント開催や多彩な独自活動等を積
極的に展開し、報道機関等にも進んでアプロー
チする。その際、『世界連邦リーフレット』や、
1.の各種手段を有効活用する。
3.小中学生平和ポスター・作文コンクールの一層
の充実発展を図り、本年度も東京都庁展示室に
展示する。又、各支部が優秀作品並びに世界連
邦に関するパネル展示を行い世界連邦運動の拡
大と平和教育の進展に努める。
4.支部活動の充実を図り、全国の活動を発展させ
る。
①地方からの草の根運動に力点をおいた新たな
活動を創出する。
②相互の連絡を密にし、効果的な情報交換が出来
るブロック活動を強化する。
③青少年対象の『出前平和授業』等を充実・進展
させ、平和意識を高める。
④各組織が、本年度の具体的な行動目標(数値目
標)を設定・公表し、更に年度末には総合評価を行い、
その結果を HP やニューズレターに掲載し表彰する等
で意識高揚を図る。
5.「世界的情報ネットワーク」を活用して、広く国
内外にわたって世界連邦運動を強力に推進でき
るように、もっと多くの人たちに知らしめる。
【財務】
1.リーマンショック以降、本部の財務状況は非常
に厳しい状況が続いており、事務所移転やニュ
ースレターの回数を少なくするなどして経費削
減に最大限努めてはいるものの、年間にかかる
【国際】
理論政策委員会で取りまとめられた 2012 年度理論
3
経費を会費や通常寄付による収入だけでは見込
めないため、有志による毎月 1 万円の登録寄付
を 2010 年から行ってきた。昨年 2011 年度にお
いては、19 人の方々から総額 228 万円(年 12
万円×19 人)の寄付を頂くことで乗り越えるこ
とができたが、新たな大口の寄付者が見つかっ
たわけではないので、2012 年度も引き続き、同
規模の登録寄付を募ることで持続可能な財政状
況を維持していけるよう努める。
2.世界連邦運動と理念や政策を共有する財団や企
業からの助成金プロジェクトへの申込を積極的
に行っていくよう努める。法人格を有すること
を助成への条件としている場合は、NPO 法人格を
持つ世界連邦 21 世紀フォーラム支部が受け皿と
なる。(ただし、認定 NPO ではないため寄付し
た人は寄付金を経費処理することはできない。)
北朝鮮弾道ミサイル発射騒動から見えてくるもの
軍事問題研究家
山﨑 八九生
って打ち上げればその分の速度を利用できるが、縦
方向ではそれができないからだ。
<BMD(弾道ミサイル防衛)への疑問>
大気圏に再突入した弾道ミサイルは、ライフル銃
の銃口を飛び出す弾丸の何倍もの速さになっている。
PAC-3 はそれにダイレクトヒットさせて破壊するの
だが、コンピューターの性能向上による解析能力の
速さと精度の高さによって、実験や訓練での命中率
は上がっているようでも、それは単弾頭の場合であ
って、オトリ(ダミー)の放出や複数弾頭化された
場合の対応能力は低いままのようだ。また単弾頭で
あっても、再突入時にその衝撃で 2 個以上に破断し
て不規則な落下弾道になってしまうと対応が困難と
言われている。さらに大気圏外で迎撃する SM-3 の場
合、弾道ミサイルの射程が延びて ICBM クラスになる
と、必然的に高度が高くなり(弾道ミサイルは逆 U
字型の放物線を描いて飛翔するため、底辺に相当す
る距離が長くなるということは、逆 U 字の頂点が高
くなることを意味する)現在の SM-3 では迎撃高度が
不足することが懸念されている。
<次の核実験は濃縮ウラン型か?>
今度行われるかもしれない核実験には、水爆開発
を視野に入れた濃縮ウランを用いるのではないだろ
うか。1964 年に中国が最初の核実験をした時の原爆
がプルトニウム型ではなくウラン型だったので、「水
爆開発を目指している」と推測された。水爆の起爆
剤としての原爆には、ウラン型の方がプルトニウム
型よりも水爆実験が容易だからだ。その詳しい理由
は不明だが、原爆の核爆発によって生じる中性子放
射量を少なくできるからだろう。ただし起爆方法は、
ウラン型であってもプルトニウム型と同じ爆縮方式
であろう。
<黒鉛型と軽水炉型原子炉からのプルトニウム>
「なぜアメリカは北朝鮮が(小規模な)黒鉛炉を
廃棄すれば、その見返りとして(本格的な)軽水炉
をしかも 2 基提供すると言ったのか? より大規模
<なぜ弾道ミサイル発射と核実験を強行するのか>
「なぜ北朝鮮は弾道ミサイル開発や核実験を強行
するの? そのお金で食糧を輸入すればいいのに、
あの国のやろうとしていることがよく分からない」
という疑問の声をよく聞く。その答えは至って簡単
明瞭だ。
「北朝鮮は“生き残る”ための手段として核
弾頭と長距離弾道ミサイルの開発に奔走している」
のである。他方、食糧不足から国民が餓死しょうと
も、「反政府的な層の数が減るのでかえって好都合」
ぐらいにしか思っていないのかもしれない。
<対米交渉の切り札として>
2003 年にアメリカが「難癖をつけて」一方的に始
めたイラク戦争は、「イラクが大量破壊兵器を保有、
そして破棄しなかったからではなく、保有していな
かったからこそ戦争をしかけられたのだ」と北朝鮮
は分析し、2006 年の核実験に至ったと考えられる。
「核」は小型化させて核弾頭として弾道ミサイルに
搭載すれば、その能力を格段に増し、有力な外交政
治のカードになる。少なくとも北朝鮮はそう確信し
ている。そうすることで、軍事面では「核抑止力」
を得てアメリカの軍事攻撃を防ぎ、政治面では米朝
二国間交渉を目論んでいる。一方、拉致問題のこじ
れで暗礁に乗り上げたままの対日関係は、
「対米追従
の日本など、米朝交渉さえ上手くまとまれば、日本
はそれに従うだけだろう」とタカを括られている感
がある。
<開発が進む弾道ミサイル>
あっけなく爆発・飛散した今回の打ち上げだが、
その能力は確実に向上している。射程が伸びている
ことに加え、今回は北から南という縦方向に発射し
ている。偵察衛星が地球表面を「スキャン」するに
は縦方向の周回軌道に乗せる必要があり、これはこ
れまでの西から東という横方向よりも相対的にやや
高度な技術を要求される。人工衛星を地球の周回軌
道に乗せるには、秒速 8000m以上の速力を要するが、
地球は秒速 400mで自転しているため、自転方向に向
4
な原子炉から取り出したプルトニウムでより多くの
核兵器の材料を与えてしまうのではないのか?」と
聞かれたことがある。詳しくは軍事月刊誌の「丸」
2011 年7月号に掲載の拙論を参照していただきたい
が、黒鉛炉(元々は、発電ではなく、核兵器用のプ
ルトニウムを生成するための原子炉)と違い、軽水
炉の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムで
は核兵器級のそれとはプルトニウム同位体の配分率
が相当異なり、要は「マトモな」原爆には成り得な
い。
<北朝鮮にどう対処すべきなのか>
北朝鮮は日本にとって唯一国交のない国であり、
核兵器開発に狂奔するなど厄介な「隣人」である。
そんな「隣人」に対し、最も短絡的で稚拙な対応が
「日本の核武装」である。日本が核武装したとして
も(諸般の事情から様々な困難が予想され、事実上
不可能)、それでひるむような北朝鮮ではなく、むし
ろそれを口実にしてより一層核開発に奔走するであ
ろう。それは中国とても同じで、日本の配備に優る
核兵器を配備して臨んでくることは十分予想できる。
そのため日本の地政学上の狭隘な国土と人口密度、
政治風土から言って、核武装は日本の安全保障能力
を高めるものでは断じてあり得ない。
一方、冒頭で述べたように北朝鮮の弾道ミサイル
と核兵器開発は、日本を核攻撃するためのものでは
なく、対米交渉のカードであるのだから、
「弾道ミサ
イルと核兵器の開発を放棄するのなら、日本はアメ
リカの極東最大の同盟国として、米国が貴国への軍
事行動をしないよう働きかけ、また日本も経済援助
を惜しまない」とのメッセージを繰り返し伝え、当
面は警戒しつつも静観するしかないのではないだろ
うか。
ベルリンの壁崩壊とそれに続くソ連邦の崩壊など、
多くの矛盾を抱えながらも依然として強固だと思わ
れていた国家であっても、「チョットしたこと」で、
それまで堰き止められていたエネルギーが噴き出す
と崩壊の過程は一挙に進み、もはや誰にもそれを止
められなくなる。北朝鮮が崩壊する時もそのような
ものになろう。それをどのようにして乗り切るかで
我国の力量が試されるのである。
追伸:紙幅の都合上、元原稿を半分に縮小して掲
載しました。縮小前の原文は本会の HP でご覧いただ
けます。
http://www.wfmjapan.org/images/ymzk-nkrreport.
pdf
北京レポート
常務理事
木戸
寛孝
ほか 3 名が、会議に同席した。
丁奎淞氏は、次のように語った。
《中国は国内に対しても海外に対しても“平和の
道”を歩むことを国策として考えており、建国後ず
っと「平和共存五原則」を外交政策の原点としてい
る。中日両国は平和の理念を両国関係の根本的な出
発点とし、協力して地域の安全や安定を維持してい
くことが重要である。
私たちは中国の経済はどこまで発展しても平和発
展の道を歩んでいくという理念を信じている。ここ
には三つの基本的なポイントがある。第一は、私た
ちは中国の発展を持って世界の平和を促進すること。
第二は、地域と世界の安定及び平和を維持し中国の
発展を守っていくこと。また経済発展は省エネ、グ
リーンな発展をしていくこと。第三は、対外関係に
ついて、平和・発展・協力を基本姿勢として関係国
との間の色々な課題を解決していくこと。
貴協会との協力関係の中で、協定を作り急いで宣
言するということではなく、まずは“何が共通点な
のか”また“両国の問題は一体どこにあるのか”
「共
同研究」を通じてこれらを明らかにしなくてはなら
ない。私は貴協会と一緒に平和を促進しまた地域の
今年は日中国交正常化 40 周年ということもあり、
4 月 23 日に、世界連邦運動協会の楊榮展理事の紹介
で、宇都宮憲爾筆頭副会長と木戸寛孝常務理事、松
田創理事が、北京にある中国国際文化センターの要
人の方々を表敬訪問し、日中両国や両団体間におけ
る友好ならびに協力関係について意見を交わした。
まずは午後 3 時からの事務局レベルにおける会議
では、中国国際文化センター事務局長である丁奎淞
氏と、中国政府の対外政策を立案する中国現代国際
関係研究院・日本研究所の馬俊威副所長と徐永智氏
5
中国国際文化センター副理事長である林麗韞氏との
懇親会が開催された。林氏は台湾人でありながら戦
前・終戦直後に日本にも住んでおられ、1972 年の日
中国交正常化の際には周恩来の秘書と通訳を務め、
その後に毛沢東から認められ、現在も中国共産党・
全国人民代表大会の常務委員会を務める日中台友好
トライアングルの鍵を握る最も重要な人物。
林氏は会食をしながら次のように述べた。
「私たち
の上の世代が築き上げてきた“平和”への道を私た
ちが守らなければなりません。そして次の世代の皆
さんが共に力をあわせてその平和を発展させて下さ
い。」
21 世紀の大国・中国との友好関係は、世界平和に
おける重要な論点であるだけに、この度の機会を切
っ掛けにして、民間による日中友好の架け橋となれ
るような取り組みを世界連邦運動協会としても積極
的に努めていきたい。
安定を維持する道を一緒に歩んでいくことを信じて
いる。だから中日関係また地域関係について有益な
「共同研究」をすることが良いと思う。中国国際文
化センターは共同研究の他に「文化交流」もしてい
る。これは中日国交正常化 40 周年の重要な一つであ
る。皆様と一緒に中日の友好を推進していきたいと
考えている。
》
世界連邦運動協会側も「軍事に関わる国家安全保
障問題や、経済に関わる中国との FTA 等のテーマも
あるが、お互いがより共通して取り組みやすい自然
災害対応やパンデミック対応、そして自然環境問題
などの個別テーマごとに日中関係が国境を越えて協
力できる枠組みがどのようなものかを共同研究でき
たら大変に有り難いと思う。また民間人ならではの
平和をテーマにした文化交流も、ぜひ日中両国の架
け橋となるべく推進していきたい。
」と返答した。
会議終了後、午後 5 時過ぎ、会場を北京市内のレ
ストランに移動し、今回の表敬訪問の目的でもある
ユースフォーラム支部 小学校の道徳授業・地区公開講座で特別授業
ユースフォーラム支部長・国連の友 Asia-Pacific 委員長
谷本
真邦
さる 1 月 21 日、東京都江戸川区立第四葛西小学校
で 1 年に 1 度行われる道徳授業・地区公開講座の特
別授業を行なった。
この特別授業は、5 年生、6 年生の児童全員と保護
者や地域の方々で満杯になった同校体育館で、国際
協力をテーマに「助け合う世界、奪い合う世界~世
界の絆~」と題して進められた。私は、「世界は良
い意味でも、悪い意味でも繋がっている。世界の紛
争、貧困、病苦、環境問題などは、私達と無関係で
はない。私達の考えや生活の仕方も世界に影響を与
えている。自分達が欲しがるものが紛争や環境問題
の原因になったりもする。」という事実を、子供達
にも分かりやすい事例を交えて話し、最後に「この
世界全体の正しい秩序を作るには“世界連邦”が必
要である」と締めくくった。
授業は 3 時間で、前半と後半に分けて行い、前半
は私の講話を中心とし、後半は児童たちに感想文を
書かせ、20 名ほどの児童が代表して発表したあと、
私とディスカッションをした。児童の一人は「今ま
で、世界のことを知らなかったけれど、今日からは
世界のみんなのことを考えて、物を無駄にしたりせ
ず暮して行く」などと感想を発表した。
世界連邦運動は伝統ある運動だが、かつては厳し
い国際社会の現実の中で、世界連邦は実現した方が
良いがあくまでも現実性の無い理想とされ、諸先輩
方は大変な苦労をされたと思う。しかし、これから
の時代は、グローバル化、情報化社会、フラット化、
流動化、市民も加えた新しい公共、地域統合、帝国
主義の限界、独裁体制の崩壊などが進み、世界連邦
運動に追い風が吹いてまさに時代の最先端の運動に
なる、というのが私の持論である。
こういった行事を通じ、未来を作る子供たちや若
者たちに世界連邦運動の存在と意義を伝えていき、
今世紀こそ世界を一つにして平和にするという人類
最大の夢を現実のものにしていきたい。
6
支部紹介 世界連邦 21 世紀フォーラムのこと
塩浜
ている次第である。
とりあげるテーマは、環境、国際連帯税、核軍縮、
少年兵などの他、時としては、
「直接は世界連邦と関係
が薄いんじゃないの」と一瞬思うものもある。
しかし、そのあたりが木戸氏の素晴らしい感性であり、
一見関係が薄そうなテーマも究極的には全てつながっ
ているのである。時に企業の在り方を語り、時に科学
の進歩への期待とともに行き過ぎへの警鐘を鳴らす。
歴史・宗教・物理・哲学・経営などあらゆるジャンル
が世界連邦というテーマとのつながりで語られるのは
見事である。
正式に世界連邦の支部として活動したのは 2009 年、
しかし、その 2 年前から毎月講演会を主催していた。
私個人は 2008 年に量子力学・脳科学・不確定性原理
など、理系テーマを中心に行ったシリーズが一番面白
かった。と、同時に、なぜ文系出身の木戸氏がこんな
に理系分野にも詳しいのかびっくりもした。
もう一つ感心している点を書こう。
この支部の一般会員の中に、
「一国一城の主」が多い
のである。支部主催の講演会では一聴衆として聞いて
いる人が、実はベンチャー企業の社長だったり、ご本
人が人気講師だったりするのである。
強いリーダーを持つグループに時々ありがちなこと
として、リーダーに頼りすぎ、他の者はただついてい
くという現象がよく見られるが、
「21 世紀フォーラム」
の会員は一般会員が外に行けばリーダーだったりする
のである。
世界連邦について、運動論的に課題もいろいろある
が、「21 世紀フォーラム」のような支部があることは、
未来に明るい希望を感じるものである。
今、首都圏には若者を中心とする支部が三つある。
その中で最初にできたのが運動協会の常務理事・木戸
寛孝氏を支部長とする
「世界連邦 21 世紀フォーラム
(21
世紀フォーラム)」である。
今まで、世界連邦の支部は地域名を冠するものであ
った。私も自分が住む豊島区に支部を作ろうとしたが、
中々集まらず、先に木戸氏が、地域と関係なく個人的
な人脈で「21 世紀フォーラム」を作り、
「その手があっ
たか」と私も真似して中野岳春氏を支部長に「平和を
考えるフォーラム」を設立、更に谷本真邦氏が「ユー
ス・フォーラム支部」を設立した。
今後、ネットなどで知り合い、地域・職場を超えた
つながりが増えていくと思われる。上記のような支部
の設立も増えていくのではなかろうか。
21 世紀フォーラムは、毎月講師を招いて講演会を開
いている。まず、これがすごい。数人で膝を突き合わ
せての勉強会ならともかく、50 人〜100 人規模の会を
毎月開くのは大変であろう。
そして常に半年くらい先までスケジュールが決まっ
ている。かなり前からスケジュールが決まっているこ
とで、参加者としては予定をたてやすいものと思われ
るが、主催者側は大変ではなかろうか。いつも感心し
著書の紹介
森山
眞弓 著(河出書房新社)
修
http://www.wfmjapan.com/
世界連邦 21 世紀フォーラム
「つまり、政治家とは
激動の時代とともに」
戦後日本の変遷のなかで、「女性初」を歩み続けた著者が、今だから語れるこの国の過去と未来。
森山 眞弓 (モリヤマ マユミ)
津田塾専門学校、東京大学法学部卒。労働省婦人少年局長を経て、参議院議員 3 期、衆議院議員 4 期を務める。
国務大臣環境庁長官、内閣官房長官、文部大臣、法務大臣を歴任。現在、(財)日本カメラ財団理事長。
(財)尾
崎行雄記念財団理事長。世界連邦運動協会会長代行。
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海部俊樹会長に台湾国立中央大学が名誉博士号を授与
2012 年 3 月 8 日、海部俊樹会長が、台湾国立中央
大学より名誉博士号が授与された。海部元首相が 50
年に渡る政治家としての人生を歩んだ中で、教育と
環境保護を重んじ、地球保護における諸問題に積極
的に取り組み、力を注いできた功績が、台湾中央大
学が掲げている「地球と環境保護の持続的成長」と
同じ願い・理念であることから、今回の名誉博士号
の授与に至った。教育と環境問題に取り組んできた
海部元首相は、
「地球環境は、国境、宗教及び人種を
超越して人類が心を一つにして協力してこそ、成功
を収められる。想いを同じくする台湾中央大学の名
誉博士号を拝受いたしましたことは、誠に光栄の至
りに存じます。」と感想を述べられた。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/news/20120329.htm 参照
本部と支部等の動き
3 月 24 日
4 月 20 日
5 月 12 日
5 月 12 日
5 月 13 日
5 月 14 日
5 月 16 日
5 月 19 日
5 月 20 日
5 月 26 日
5 月 26 日 松山支部 総会 コムズ 5F
6月2日
神戸平和祈願祭 ポートアイランド北公園
6月3日
京都支部総会 D.キーン氏講演会
6 月 7 日 近畿協議会総会 泉尾教会
6 月 10 日 武蔵野支部総会 瀬谷ルミ子さん講演会
6 月 16 日 世界連邦 21 世紀フォーラム富田氏講演会
6 月 23 日 京都・大阪府支部総会 日下部理事長講演
6 月 29 日
第一回執行理事会 永田町
6 月 30 日
岡山県支部総会 岡山シティホテル
7 月 26 日
松山市戦争犠牲者平和記念追悼式
都連春の研修会岩浅氏講演 武蔵野市
第 5 回執行理事会 第二議員会館
世界連邦 21 世紀フォーラム 川崎哲氏講演会
世界連邦運動協会 第 2 回理事会
第 67 回全国総会 日比谷図書文化館
第 1 回理事会 日比谷図書文化館
豊中支部総会・社会見学(淡路島)
石川県連合会理事会・総会
世界連邦北海道総会 札幌エルプラザ
加古川支部総会 加古川市民会館
編集後記 ★おかげさまで定例総会が無事終わりました。平素、世界連邦運動を支えて下さっている皆様方
へ心から御礼申し上げます。★各支部の情報を引き続き募集しております。6 月末までに事務局までご連絡
ください。(阿久根)★四国4県は毎年、四国ブロック会議を開催している。高知から高松、松山には頻
繁に出掛けて交流を図っている。その輪を対岸の広島、岡山、兵庫にも広げていきたい。広島の城さんが「環
瀬戸内海」と言い出した。いい響きだと思う。何かできないか模索中です。(伴)
世界連邦運動に参加を
申
世界連邦運動協会の目的に賛同し、その事業に協
力する方は、だれでも会員になることができます。
入会希望の方は申込書へご記入の上、郵送またはF
AXにて下記の本部事務局へお申し込み下さい。折
り返し、最寄の支部を紹介いたします。お近くに支
氏
込
書
名
住 所 〒
電話/FAX
部がない場合は本部直接会員の入会申込書と会費
の納入の郵便振替用紙をお送りいたします。
E-mail
入会されますと機関誌『世界連邦 Newsletter』を
お送りいたします。
□ 普通会員/年額 5,000 円 □維持会員/年額 10,000 円
□ 賛助会員/年額 15,000 円
〒110-0015 東京都台東区東上野 1-20-6 丸幸ビル 3F
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