スポーツ医科学情報 アスリートと血液(貧血)について スポーツ医科学班 はじめに 血液は、体内を巡る主要な体液で、全身の細胞に栄養分や酸素を運搬したり二酸化炭素 や老廃物を運び出す働きをしている媒体ですが、この血液の状態によって競技パフォーマン スにも大きく影響してきます。 今回は、当センターで実施している『体力診断事業アスリート総合診断』に参加した選手の うち、平成 21 年度から平成 23 年度に採血した血液検査結果(高校生)をまとめてみました。そ の中でも貧血等を判断する項目(成分)を取り上げ、近年の高校生アスリートの血液状態(貧 血か否か)をみなさんへお知らせするとともに、結果等から課題を考えていきたいと思います。 成分 赤血球数 (RBC) 血色素量 ヘモグロビン (Hb) 血清鉄 (Fe) 血清 フェリチン 男 子 基準値 365-600 13.1-18 60-176 15-300 女 子 基準値 380-510 12.1-16 40-140 12-150 良好・問題なし ・・ 基準値を満たしている 貧 血 予 備 軍 ・・ 1項目で基準値以下(RBC,Hb,Fe) 結 果 貧 血 ・・ 2項目以上で基準値以下、又はフェリチンが基準値以下 貧血 8% 貧血 予備軍 16% 良好・ 問題 なし 76% 貧血 24% 良好・問題 なし 貧血予備軍 貧血 H21 男子(118 名) 貧血 予備軍 9% 貧血 貧血 3% 予備軍 12% 良好・ 問題 なし 85% 貧血 貧血 予備軍 9% 良好・問題 なし 貧血予備軍 貧血 H21女子(129名) 貧血 38% 良好・問題 なし 貧血予備軍 H22男子(92名) 良好・ 問題 なし 67% 良好・ 問題 なし 53% 良好・問題 なし 貧血予備軍 貧血 H22女子(87名) 貧血 予備軍 15% 貧血 7% 良好・ 問題 なし 78% 貧血 29% 良好・問題 なし 貧血予備軍 貧血 H23男子(209名) 貧血 予備軍 5% 良好・ 問題 なし 66% 良好・問題 なし 貧血予備軍 貧血 H23女子(84名) (3 年間で、男子延べ 419 名、女子延べ 300 名) 結果から ・男子では、貧血と考えられる選手は 10%弱、その予備軍は 14%前後、良好・問題なしは 80%程度であり、3 年間似たような割合(傾向)でした。このことから、みなさん自身や自チーム 内にも上記の割合で貧血等の選手がいる可能性があります。 ・女子では、年度によって割合(傾向)に違いが見られましたが、貧血と考えられる選手は 30%程度、その予備軍は 8%前後、良好・問題なしは 65%弱であり、予想以上に基準値以下 の選手がいることが分かりました。また、検査するまで貧血の自覚がない選手も多数おり、女 子選手については男子以上に注意が必要のようです。 貧血等に気を付けよう! 自分の身体に関心をもとう! アスリートは、競技力向上のために毎日ハードなトレーニングを行っていることから、上記の 結果のように、トレーニングと栄養・休養等のバランスが崩れている可能性が大いにありそう です。 アスリートは、様々な研究データから、一般の方々よりも身体を鍛えている分、貧血になる 可能性が高いようですので、選手自身はもちろんですが、その指導者や保護者は、選手の健 康状態を医科学的な面からも定期的、継続的に管理・指導、アドバイスしていく必要がありま す。特に、女性アスリートについては、採血者の約 30%が貧血と考えられる結果でしたので、 男子以上に注意しておかなければなりません。 (日々の身体状況を把握、定期的な血液検査、栄養・休養指導等)
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