事務情報化―現状 - 東京海洋大学 情報処理センター

事務情報化と情報処理センターへの期待
東京海洋大学総務部長
秦
文
男
1.事務情報化―現状と課題―
事務情報化というと、以前は、人事給与、経理、学務といった専門的な業務の電算化を指していまし
たが、今では、事務局のあらゆる業務に及んでいます。
事務局の職員全員にパソコンが配置されるようになってから、まだ10年も経っていませんが、その
間の事務情報化の急速な進展には本当に驚かされます。10年前(平成7年)というとウィンドウズ9
5がリリースされた年で、この頃を境に、今まで事務室の片隅に1~2台程度しかなかったパソコンが
1人1台体制へと徐々に移行し、学内LANで結ばれ、インターネット、電子メールの活用が一般化し
てきました。他大学でも大体同じような経緯を辿っているようですが、このことは仕事の進め方を大き
く変えることにつながりました。
事務局では、従来から「書類」を介して仕事をしてきました。「事務」というのは「書類・帳簿の作
成・処理など、主として机の上でする仕事」と辞書にもあるくらい日々書類と向き合う仕事です。電子
メールの登場によって、その「書類」のあり方が一変してしまいました。少し年季の入った事務職員で
あれば、文部科学省からの「公文書」というと、(大げさに言えば)襟を正して対峙するような書類だ
ったのですが、今では、事前に電子メールで同一内容のドキュメントファイルが送信されてくることも
多くなり、公文書が届いた頃には既に関係部署には連絡済みであったりします。情報伝達のスピードは
大幅にアップし、公文書の威厳は少し低下してしまったかのように感じます。紙媒体から電子媒体への
変化は著しく、形式としての「書類」から実質的な意味での「情報」へと転換したということになるの
でしょうか。その割に職場でのペーパーレス化がなかなか進まないのは、悩むところです。
情報が容易に受け取れるということは、情報が容易に外に出て行ってしまうともいえるわけで、情報
セキュリティが、ますます重要なものになっています。職場のパソコンが盗難にあって本体のハードデ
ィスクに入っていた個人情報が流出してしまったり、自宅で仕事をするためにデータを持ち帰って盗難
にあったりといった事件が報道されていますが、これらの情報流出を防ぐためには、万全のセキュリテ
ィ対策を取るとともに個々の職員のセキュリティに対する意識を高める必要があります。
現在、事務局では、情報処理センターから提供をいただいているファイルサーバーにより、業務上作
成したドキュメント資産を一元的に保存しており、データを共有することにより業務の効率化を図って
います。個々のパソコンに業務上のデータが残らなければ、盗難等による情報流出を防止することがで
きるため、セキュリティの観点からもファイルサーバーの利用は有意義ですが、今後は、ユーザー認証
の強化や入退室管理も必要になってくるでしょう。セキュリティポリシーを定め、情報の扱いについて
厳格に適用していく必要があると思われます。
情報の共有化に関しては、グループウェア「サイボウズ Office」を事務局に導入しています。もとも
とは、社会連携推進共同研究センター品川オフィスで導入されていたものを、同センターの厚意により
事務局でも試験的に使用させていただいたところ、利便性が高いと判断して、昨年導入を決定しました。
役職員のスケジュール管理、会議室・公用車の予約状況確認等に活用しています。セキュリティの関係
上、現在は、原則として事務局限定で使用しており、また、今のところ十分に機能を生かし切っている
とは言えませんが、これから更に活用を進めていきたいと思います。
事務情報化の非常に重要な課題として、(事務情報化に対応できる)職員の育成ということが挙げら
れます。とりわけ、一部の専門的な業務(人事給与、経理、学務等)の電算処理にあたっては、情報処
理技術を持った職員が求められており、特定の職員への過重負担を防ぐため、計画的な育成が必要とな
っています。また、全職員に対しても情報リテラシーに関する研修等の教育機会が必要になってくるの
ではと考えています。
2.情報処理センターへの期待
学内インフラとしての情報処理基盤は、情報処理技術の進歩によって、益々その重要性を増していま
す。情報処理センターがサポートするコンピュータ・ネットワークがなければ、事務局はもとより、大
学のあらゆる業務が立ちゆかなくなるという事実について、大学構成員は改めて理解する必要があると
思います。
現在、情報処理センターでは機器更新の時期が近づいており、より良い環境を整備できるよう日々努
力されておられます。現行のシステムは旧東京商船大学、旧東京水産大学のシステムであり、統合の際
には 1 大学として機能させるために多大なご苦労があったと推察しますが、更新による新たなシステム
構築は、それ以上の困難な作業となっているのではないかと思われます。情報処理センター教職員の皆
様に感謝申し上げますとともに事務局としてもできる限りの協力を行えればと考えておりますので、東
京海洋大学の情報処理基盤整備のため、よろしくお願いいたします。