褐 斑 病に強い 「京しずく」が経営に適する 「京しずく」が経営に適する

地域概況
∼山形市内で栽培する抑制施設キュウリ∼
の設定や、通路潅水、噴霧による空中湿
度確保を重点的に心掛けています。
ブルームレス台木の導入と前後して、
抑制型栽培では褐斑病の被害が見られる
きな問題となりました。さらに日焼けに
の、一度発生すれば有効な対策がなく大
ようになりました。予防対策は行うもの
∼7 月播種の抑制型が基本です。家族経
よる芯止まりも発生しやすく、生育バラ
回避を目的に取り組んでいます。各自で
ウス栽培における連作障害、塩基の蓄積
件となることで、生産者の負担が増大し
トが重なる上、高温期での播種、育苗条
作業面では春作の収穫中と抑制のスター
日 に1 回 を め ど に
栽 培 は6 節 以 下 の 雌 花 と 側 枝 は 取 り 除
き、 ∼ 節で主枝摘芯を行う栽培が通
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□西
□□
山形
□
□□
部
野菜園芸組合
・
山形市
山形
当地の栽培
月 ∼1 月 播 種 の 加 温 型 、 一
営が中心のため、平均作付面積は5 00
﹁バイオダルマ﹂などの発酵菌を利用し
ます。対策として購入苗による負担軽減
抑制型での重要課題となりました。また、
ンスが崩れ、後半まで影響が続くことが
坪前後の規模です。
部 加 温 型 、 2 ∼3 月 播 種 の 無 加 温 型 、6
が中心で、
現 在 は9 名 が ハ ウ ス で の キ ュ ウ リ 栽 培
を主力に経営しています。作型は年二作
山形丸果中央青果㈱ 営業推進部 太田 和之
組合では三十数年前から有用微生物発
酵による完熟堆肥の使用推進を行い、ハ
た堆肥作りや有機質資材を投入する農家
を図っています。
一に﹁収量重視﹂から﹁品質重視﹂の傾
品種選択においては、出荷先の要望を
入れながら、経営形態に合った選択を第
も増えてきました。一例ですが、堆肥と
しては春作にダルマ菌発酵のもみ殻堆肥
を a 当たり5t 以上を投入することで、
秋作には無施肥が可能な場合もあります。
向へシフトしています。販売メーカー、
半 は 週1 回 、 後 半 は
a 当たりチッソ成分1 ・5㎏ 基準︶。 前
入り液肥を生育に応じて投入します︵
家もあります。基本的な追肥はアミノ酸
肥料︵ a 当たり120㎏ ︶を投入する農
の緩効性化成
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の乾燥が激しい時期だけに潅水チューブ
件でしたが、高齢化対策として労力の均
褐斑病や日焼けに強い品種選択が重要要
型キュウリの導入に当たっては前述した
い栽培条件下での栽培となります。抑制
が、この作型は高温期での育苗など厳し
夏秋キュウリの作付けが減少傾向にあ
り、抑制型への期待が高まっていました
﹁京しずく﹂の導入
きました。
集と実作評価は欠かせない手法となって
種苗店、出荷先との密な連携など情報収
またはオール有機の完熟堆肥︵ a 当た
り200㎏ ︶と、オール
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ぱん
かっ
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潅水と同時に施します。
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京しずく
青森県
秋田県
岩手県
山形県 宮城県
山形市内西南部飯塚地区に山形西部
野菜園芸組合があります。組合数は現
在12名、小規模ながら専業農家として
キュウリを主力に稲作や「フルティカ」
などの中玉トマト、桃太郎系大玉トマ
トなどの野菜作りを行い、山形市中央
卸売市場に出荷する任意組織として活
動を続けています。組合では、都市近
郊の立地を生かしながら土地利用の効
率化や、経営所得の向上を目指した施
設園芸への取り組みを先駆的に進めて
きました。特にキュウリは、早くから
ハウス化を進め、先進産地見学や種苗
会社などとの研修で栽培技術の積極的
な習得を行い、消費動向をとらえた品
種選択で産地の地位を確立しています。
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常です。抑制栽培の初期生育は、高温期
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山形市
→日焼け果も発生せず、色ツヤもいい﹁京しずく﹂
。
皮もやわらかくおいしいと評判。
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褐斑病に強い
「京しずく」が経営に適する
↑山形県天童名産のブドウ
「ピオーネ」
山形県
新潟県
福島県
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2009. タキイ最前線 夏号
↑果形の揃いも生産者に評価。 ↑収穫の山もあり、収量面への不安なしとい
う生産者の一人、武田昭一さん。
↑荒井長栄会長(後列中央)、「京しずく」のタネを供給す
る高橋種苗社長(前列左)と筆者(後列左)ら。
場合は夏秋キュウリの﹁夏すずみ﹂を早
要望のひとつでした。タキイキュウリの
一化や生産・出荷労力の軽減も組合員の
信頼の産地として
形が揃うことから箱詰めも容易です。
量と秀品率を確保しています。また、果
いるので収穫の波が少なく、安定した収
ります。
だけに作型や品種選択が今後も重要とな
でも生産者の主幹を担っています。それ
置を占めることに変わりはなく、経営面
キュウリの消費減少は食生活の変化が
背景にありますが、食材における主要位
くから導入し、秀品率や収量性、何より
耐病性の強さが印象的で労力軽減品種と
高い評価を得ていたこともあり、抑制型
品種についても期待がありました。
% 台の雌花性と着果性
褐斑病に強かった﹁京しずく﹂は、仕
立て方や施肥方法も従来品種と特別な違
いもなく、主枝
があり、極早生で初期からの収穫も上が
出荷物の安全性や信頼を高めるため、
平成 年度に山形県のエコファーマーの
た、べと病、うどんこ病の発生は通常で
めに行うことが肝要かと思われます。ま
極端な乾燥を防ぐ対策と整枝・追肥を早
の揃いも安定していました。注意点は、
せず、側枝を含め枝の発生も順調で果形
た。飽くなき探求心と持続力、選択力を
持つ﹁京しずく﹂はピッタリの品種でし
ています。その中で褐斑病に強い特性を
に安全な農産物提供のための対策を進め
成肥料と化学農薬軽減栽培を進め、さら
認定を組合員全員が受けました。化学合
りました。日焼けによる芯止まりも発生
あり、褐斑病を含めた予防防除をしっか
→褐斑病への強さは、市販品種最高レベルの﹁京し
ずく﹂で生産の強化を図る。
る産地でありたいと思っています。
持ちながら今後も前を目指して歩み続け
ありませんでした。極早生で日焼けによ
テリのある濃い緑色になり、果形も問題
題であった果色も栽培面での改善が進み、
組合員すべてにお願いしました。残る課
ているとして、﹁京しずく﹂の作付けを
いとの声もありましたが、総合的に優れ
ん昔ながらのキュウリの風味が味わいた
ッチしていると評価されました。もちろ
食味は出荷販売を通じて、すっきりし
た歯触りが食感として現代の食生活にマ
り行うことが心要です。
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る芯止まりがなく、枝の発生も安定して
46 2009. タキイ最前線 夏号
↑春作の収穫と抑制作の育苗が重なる時期の労力軽
減が産地の課題。
↑「ピカピカきゅ ↑荒井敬一さんは試作を
うり」の名が付 通じて最初に「京しず
いた山形西部野 く」の褐斑病に注目し
菜園芸組合の出 た一人。
荷ケース。
→
こちらは荒井敬一さんと奥さま。