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フランスの大統領選と当面の政策
2012.09.05
広岡裕児氏へのインタビュー
聞き手:財団法人都市化研究公室理事長光多長温
文責:光多
Ⅰ.今回のフランス大統領選挙
1.
選挙経緯
フランスにおいては、大統領は国の基本方針を体現し、外交活動を行うもので
あり、国防、軍事も内閣で行う。大統領選挙の後に選挙が行われ、大統領が国民
議会で最大多数を獲得した与党から首相を任命、首相が内閣を組成することとな
る。従って、政権交代という意味では大統領選挙というよりは、その後の議会議
員 選 挙 に よ っ て い ず れ の 党 が 政 権 を 取 る か と い う こ と に よ る 1 。す る こ と に よ っ て
政権が固まる。
そ の 意 味 で は 、 今 回 の 選 挙 結 果 は 、( ミ ッ テ ラ ン 大 統 領 以 来 で は な く 、) ジ ョ ス
パ ン 首 相 以 来 10 年 ぶ り の 社 会 党 政 権 と な る 。
従来、首相だった人が大統領選挙に出ると負けるという構図があった(ジョス
パ ン も 同 じ )。こ れ は 、内 政 の 不 満 が 首 相 に 集 中 す る た め で あ る 。今 回 の 不 満 は 何
と言っても雇用問題。
サルコジ前大統領は、アメリカの大統領のように自分で権力を取ろうとして、
サ ル コ ジ 中 心 の 動 き が 多 か っ た( 首 相 は 与 党 の フ ィ オ ン )。そ こ で 、本 来 、首 相 に
行 く 政 策 上 の 不 満 が サ ル コ ジ に 直 接 い っ た 面 が 強 い 。 初 め の 1∼ 2 年 は 良 か っ た
が 、 2009 年 こ ろ か ら サ ル コ ジ の 人 気 は 落 ち て い た 。
サルコジ大統領は、最高税率を下げる等、富裕層を優遇する政策を中心に据え
た。これにより雨漏り効果(トリクルダウン効果)を期待したが、貸し渋りは強
くなったし、失業率も改善されなかったし、結局うまくいかなかった。解散しな
以 前 は 、大 統 領 の 任 期 が 7 年 、議 員 任 期 が 5 年 で あ り 、大 統 領 任 期 の 後 半 2 年 で は
捻じれ現象が起こることが珍しくなかった(ミッテラン大統領―シラク首相等)が、
現 状 で は 、大 統 領 と 議 員 任 期 が 同 じ く 5 年 と な っ て い る た め 、同 一 と な る ケ ー ス が 多
く な っ て い る 。大 統 領 と 異 な る 党 が 選 挙 で 勝 利 し 、首 相 が 出 た 場 合 に は 大 統 領 は 政 治
的実権を持たず象徴的存在となる。
1
い 限 り 任 期 中 は 選 挙 が な く 、任 期 い っ ぱ い サ ル コ ジ 与 党 の 政 権 が 続 く こ と と な る 。
結局、今回はサルコジを追い出すかどうかを選択する選挙とも言えた。
しかし、サルコジは敵が多く、シラクも(半分冗談めかしてはいたが)オラン
ドに投票すると言明した。サルコジは最後は政策的にも壁にぶち当たっていた。
そ し て 、UMP( サ ル コ ジ 与 党 )の 内 務 大 臣 が オ ー ド セ ー ヌ 県 か ら 立 候 補 し た が 落
選した。
社 会 党 も 有 力 な 候 補 者 が 次 々 に ス キ ャ ン ダ ル で 潰 れ て い っ た 2 。結 局 、地 味 な オ
ラ ン ド が 候 補 者 に な っ た が 、元 来 カ リ ス マ 性 は な い 。社 会 党 な 内 部 に 派 閥 が 多 く 、
オランドはその間の調整役を担ってきた。オランドの前のパートナーのロワイヤ
ル は 2007 年 の 選 挙 で 負 け た こ と に よ っ て 人 気 は 下 降 し た 。 現 在 は オ ラ ン ド と ロ
ワイヤルは別れている。
世 論 調 査 で も サ ル コ ジ : オ ラ ン ド は オ ラ ン ド が 45: 55 で オ ラ ン ド 有 利 と 言 わ
れ て い た 。 4 月 22 日 の 第 一 回 投 票 で は 、 オ ラ ン ド 28.3% 、 サ ル コ ジ 27.2%と な
り、第一回目で現職が一位でなかったことは始めてのことである。5 月 6 日の第
二 回 目 投 票 で 、オ ラ ン ド 51.64%、サ ル コ ジ 48.36% と な り 、オ ラ ン ド が 勝 利 し た
3。
大 統 領 選 挙 の 後 の 衆 議 院 選 挙 で は 572 議 席 の う ち 、社 会 党 単 独 で 300 議 席 超 と
社 会 党 が 圧 勝 し た 。中 道 左 派 を 含 め る と 315 議 席 。結 局 、エ コ ロ ジ ス ト や 共 産 党
を 合 わ せ て 、 左 が 346 議 席 、 右 が 、 226 議 席 の 結 果 と な っ た 。 首 相 は ( 教 員 上 が
りで衆議院議員であった)ジャンマルク・エローで実務的な人。首相になる前は
衆議院議員団長ではあったが、一般大衆に名が知られた人ではなかった。
ま た 、 上 院 ( 元 老 院 ) 選 挙 で も 2010 年 選 挙 で 始 め て 左 が 右 を 上 回 っ た 。 地 方
議会のレジオンではアルザスを除いて皆、左になった。県議会も左が圧倒的に有
利となった。
サ ル コ ジ は 野 党 第 一 党 党 首 を 退 い た 。引 退 す る と 言 っ て い る が ま だ わ か ら な い 。
2.
選挙分析
例 え ば 、ド ミ ニ ク・ス ト ロ ス = カ ー ン は 、強 姦 未 遂 事 件 で IMF 専 務 理 事 を 辞 任 し 、
結局フランス大統領選挙に出ることはできなかった。
3 事前の予想よりはサルコジが健闘した感もあるが、サルコジは元来選挙がうまい。
オランドは選挙には不向き。
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中 小 企 業 主 は 70% が サ ル コ ジ 支 持 。 自 由 業 、 管 理 職 は 52% が オ ラ ン ド 、 中 間
管 理 職 は 61% が オ ラ ン ド 、会 社 従 業 員 は 前 回 、サ ル コ ジ 支 持 基 盤 で あ っ た が 、今
回 は オ ラ ン ド が 逆 転 し 、57% が オ ラ ン ド 支 持 。退 職 年 金 受 給 者 は 43% が オ ラ ン ド
支持。
1981 年 以 来 、 フ ラ ン ス 国 民 は 変 化 を 求 め て 左 ⇒ 右 ⇒ 左 ⇒ 右 に 変 わ っ て い る が 、
どちらを向いても同じ。国民からすると「次善の選択」とも言われた。フランス
大統領選挙の中では初めて「改革」が議論にならなかった選挙でもあった。
社 会 党 は 社 会 主 義 で は な い 。元 来 、ケ イ ン ズ 主 義( 大 き い 政 府 )。サ ル コ ジ は 新
保 守 主 義 ( 小 さ い 政 府 ) た だ し 、 SEM や PPP 等 は 、 支 持 し て い る 。
Ⅱ.新政権の政策動向
1.
政策動向
オ ラ ン ド は 選 挙 前 に 60 の 政 策 か ら な る 公 約 を 発 表 。 サ ル コ ジ の 金 持 ち 優 遇 政
策を方向転換させるということはあるが、左派政権としては余り大きな改革とは
言えない。テクニックの部分は変化しても、大筋では余り変化はない。
2017 年 に は 均 衡 予 算 に 戻 す こ と や 、対 外 債 務 を マ ー ス リ ヒ ト 条 約 に 戻 す こ と も
同じ。
政権樹立後、ただちに補正予算を組んだ。
① 残業に対する社会保障費の免除を廃止した。サルコジが「たくさん働いてた
くさん儲けよう」のスローガンのもと残業を奨励、そのインセンティブとし
て 残 業 分 の 社 会 保 障 費 ( 約 60% ) を 免 除 し て い た 。 し か し 、 社 会 保 障 費 用 が
24 億 ユ ー ロ 減 収 し た だ け で 経 済 成 長 に も 雇 用 に も 実 効 性 が な い と 、20 人 未 満
の企業を除いて廃止した。
② 財 産 税 (ISF)の ほ か に 特 別 財 産 税 を 徴 収 。 ISF の 課 税 基 準 で 税 率 は 0.55%か ら
1.8% 。
③ 社 会 保 障 費 特 別 税 負 担 を 減 ら し て 、 付 加 価 値 税 は 19.6% か ら 21.6%に 上 げ る
と し て い た が 、 結 局 、 19% 据 え 置 き と し 、 従 来 ど お り 、 社 会 保 障 費 特 別 税 負
担とした。
④ ストックオプションへの課税の強化
⑤ 非 居 住 者 の 賃 料 収 入 及 び キ ャ ピ タ ル ゲ イ ン か ら 15.1%徴 収
⑥ 配 当 課 税 の 強 化 ( 3% )。
⑦ ファイナンス行き過ぎの是正のためのファイナンス取引税。サルコジ政権末
期 に 「 株 式 上 場 額 が 10 億 ユ ー ロ 以 上 の 企 業 の 株 式 取 引 に 0.1%課 税 。 CDS や
高 頻 度 取 引 (HFT)に つ い て 0.01%課 税 」と し て い た も の を 各 2 倍 に し 、マ ネ ー
ゲーム的な異常な投機的商品取引を減らす効果を狙った。
⑧ 欧州連合で決定した、ヨーロッパ全体の金融安定基金とする大銀行への特別
課税の実施。
⑨ 相 続 税 課 税 基 準 を 16 万 ユ ー ロ か ら 10 万 ユ ー ロ に 引 き 下 げ 。
その他、補正予算外では次の政策を取ることとしている。
① 年 収 100 万 ユ ー ロ ( 日 本 円 1 億 円 ) を 超 え る 超 高 所 得 者 層 に 対 し て 税 率 75%
と す る 。 但 し 、 控 除 制 度 が あ る た め 、 現 実 的 に は 20% く ら い に し か な ら な い
とも言われている。
② 2017 年 度 ま で 、 政 府 支 出 を 金 額 ベ ー ス で 1000 億 ユ ー ロ ( 約 10 兆 円 ) 削 減 。
③ 公 務 員 の 数 は 凍 結 。た だ し 、社 会 問 題 に 対 処 す る た め 教 員 6 万 人( 5 年 間 。1.2
万 人 /年 )、 そ の ほ か 、 警 察 官 を 1.000 人 /年 増 加 さ せ る 。 公 務 員 数 は 据 え 置 き
な の で 、教 員 、警 察 官 以 外 の 公 務 員 は 減 少 さ せ る こ と と な る( 各 省 平 均 2% 削
減 )。
④ 各 省 は 2013 年 度 ∼ 2015 年 度 で 予 算 を 2012 年 度 比 15% 削 減 す る 。( 2013 年
度 は 7% 、 2014 年 度 は 同 4% 、 2015 年 度 は 同 4% )。
⑤ 中 小 企 業 の 新 興 産 業 支 援 の た め の 投 資 銀 行 を ( CDC と は 別 に ) 創 設 す る 。 一
般 金 融 機 関 の 貸 し 渋 り の た め CDC だ け で は 中 小 企 業 へ の 金 融 効 果 は な か っ た
として、新たに創設する。
⑥ 国 内 で 治 安 が 悪 く な っ て い た 15 地 域 に ZSP( 保 安 安 全 保 障 地 域 )を 創 る 。治
安が悪くなっている地域で将来計画を作って、そこに補助金を入れて、若い
人 中 心 に 15 万 人 /3 年 間 の 新 規 雇 用 を 創 出 す る 。
⑦ 定年で辞める人をスムースに補充する世代間契約。定年する人が定年までの
間に若い人を雇用した時に補助を出す。
⑧ 大企業への課税強化。大企業には税制上の種々の控除特典があり、法人税率
は同じでも中小企業の方が税負担が大きいとの批判がある。他方、中小企業
に は 30% の 税 の 減 免 を 考 え る 。
⑨ 社会住宅の拡充。
政 権 構 図 は 、社 会 党 + 中 道 の 2 党 + エ コ ロ ジ ス ト 党( 緑 の 党 系 統 )の 枠 組 み で 、
共産党は入っていない。共産党を主体とした左翼連動からの大きい批判が起こっ
ている。
政 策 的 に 、サ ル コ ジ の 前 に 戻 っ た か と い う こ と に つ い て は 、2002 年 が 終 わ っ た
時点(前の社会党政権時)に戻そうとしていると解釈される。
2.行政改革について
行 政 改 革 は 一 段 落 し て い る 。 機 構 改 革 ・ 地 方 分 権 か ら 始 っ て 2006 年 の 「 財 政
指針法」での予算改革が一つの仕上げだったといえる。
地方分権はいわば第三ラウンドに入る。
サ ル コ ジ の も と で 県 議 会 と 州 議 会 を 合 併 さ せ る こ と が 進 め ら 、法 律 は 通 っ た が 、
社会党としては白紙状態で法律を改正して合併はしないこともありうる。権限を
地方に移譲することは、前政権から行われており、継承する見込み。但し、地方
への財源移譲は今後の課題となる。地方交付金は統合交付金の中で行っている。
統 合 交 付 金 は 総 額 を 政 府 が 決 め 、交 付 税 の 配 分 は 地 方 の 代 表 が 決 め て い く 仕 組 み 。
税そのものを地方に移管するという話ではない。
現状は、環境対策が重点となる。軌道に乗りつつあり、これをいかに動かして
いくかが課題。
新政権の国民からの評価は、白けているというのが実情。シラク大統領・ドビ
ルパン首相時代、大学の新卒者のテスト採用問題が、ゼネストにもなり法案自体
を引っ込めたことがある(中小企業を対象にした同様の制度も欧州連合の裁判で
違 反 と 認 定 さ れ 廃 止 し た )。し か し 、サ ル コ ジ 政 権 下 で は 、下 層 の 人 々 の 雇 用 問 題
がいっそう深刻化し、生活におわれてデモに出る余裕がないという感じで、デモ
は減っていた。
Ⅲ.欧州金融危機と見通し
通貨としてのユーロを潰したい人(投機家+ユーロがダメになると予言した経
済学者)がいる、他方ユーロを守りたい人がいることが問題を複雑化している。
フ ラ ン ス 全 体 で は 、 ユ ー ロ 堅 持 が 70% 、 離 脱 が 30% と い う の が 現 状 。 極 右 ・
保守の一部はユーロ反対。他はユーロ堅持。
アメリカは当初は消極的であったが、現状はオバマも守る立場。経済的にもユ
ーロが潰れたら大変なことになると認識している。
ギリシャは全員がユーロに残りたい立場。
ヨーロッパ連合イコールユーロとの考え方がベースとなる。
(加入基準に達して
いるが過去の国民投票の結果デンマーク、スエーデンは入っていない。英国はは
じめから例外としてユーロには入らないことが認められている)
ギリシャと他の国を区別する必要がある。スペイン、アイルランドはバブル経
済崩壊後の不良債権問題による銀行救済問題、ギリシャは行政改革の遅れに加え
て、ゴールドマンサックスをはじめとする投機筋の対象となっている。ギリシャ
は 公 務 員 が 増 え た が 、議 員 が 自 分 の 票 に な る 人 を 公 務 員 に 入 れ て い る と い う 構 造 。
ギリシャとドイツが同じ金利水準にある。これがユーロの欠陥という批判もあ
るがが、これは、市場に任せたら同じ金利になったということ。ギリシャでもユ
ーロ建ては外債扱い。
ヨーロッパのユーロ問題は、9 月半ばに、独連邦憲法裁判所が無事に欧州安定
メ カ ニ ズ ム( ESM)の 合 憲 性 を 認 め る 判 断 を 下 せ ば 、と り あ え ず は ユ ー ロ に 対 す
る 不 安 が 1 つ 和 ら ぐ と 考 え ら れ る 4。
ドイツは今回のユーロ危機でむしろ得をしている。即ち、ドイツ国債金利は、
ユ ー ロ 安 に よ る 対 外 競 争 力 の 向 上 と い う プ ラ ス 面 が 評 価 さ れ 、4% か ら 2% に 低 下
している。この金利低下分を資金拠出することとしても元が取れている。
ヨ ー ロ ッ パ の 銀 行 は 2011 年 ま で に 既 に ギ リ シ ャ 国 債 を 整 理 し て い る 。従 っ て 、
ギリシャ国債が低落しても欧州の銀行は大きなダメージは受けない構図となって
いる。
注 目 さ れ て い た ド イ ツ 連 邦 憲 法 裁 判 所 の 判 決 は 、9 月 12 日 、
「欧州安定メカニズム
( E S M )」は ド イ ツ の 基 本 法( 憲 法 )に 違 反 せ ず 、条 件 付 き で 認 め る 判 断 を 示 し た 。
基 金 へ の 最 大 の 出 し 手 で あ る ド イ ツ 連 邦 憲 法 裁 判 所 の こ の 判 断 か ら 、財 政 危 機 に 陥 っ
て い る ス ペ イ ン な ど の 国 々 を 助 け る た め 、ユ ー ロ 圏 各 国 で つ く る 救 済 基 金「 欧 州 安 定
メ カ ニ ズ ム 」 が 10 月 中 に 発 足 す る 見 通 し に な っ た 。 E S M は 、 欧 州 中 央 銀 行 ( E C
B )が 6 日 決 め た 南 欧 国 債 の 無 制 限 買 い 入 れ と と も に 、欧 州 危 機 封 じ 込 め の た め の「 車
の 両 輪 」で あ る 。仮 に 違 憲 判 決 が 出 て ド イ ツ が 参 加 で き な く な れ ば 、E S M は 発 足 で
き ず 、南 欧 救 済 の 枠 組 み が 崩 れ か ね な い た め 、憲 法 裁 の 判 断 が 注 目 さ れ て い た 。但 し 、
こ の 判 決 に 対 す る 世 論 の 反 発( な ぜ ド イ ツ が 他 国 の た め に 金 を 使 う の か と い う 反 対 論 )
も強く、政府の支援も限定的なものになるであろうと見られている。
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現 在 で は 、ギ リ シ ャ を ユ ー ロ か ら 追 い 出 す こ と( 2011 年 ま で )か ら 、ギ リ シ ャ
が出ていくかどうかという話になっている。即ち、ギリシャが約束を守らなかっ
た ら 、 ヨ ー ロ ッ パ 各 国 は 援 助 し な い 。 2013 年 こ ろ よ り ギ リ シ ャ の 返 済 5 が 始 ま っ
てくる。
ギリシャはお金を出すこと及びそれに向けての努力をすることをやらなければ、
結果的にギリシャが出ていくということになる。
但し、一つのネックがある。それが、投機筋はユーロを潰したいということ。
ギリシャ、次はスペインを潰すことを狙っている。投機筋は通貨はたくさんあっ
た方が良い。また、ユーロ崩壊等通貨が混乱するときに、莫大な利益を得ること
を狙っている。
ユーロを巡るドイツとフランスの間には大きな隙間はない。両国ともに、ユー
ロによりプラスの効果を享受しているためである。メルケルは国内的な問題で支
持率が低下しており、成長戦略を取ることが求められている。メルケル与党であ
る CDU 内 部 か ら は メ ル ケ ル 政 策 に 反 対 の 議 員 が 増 加 し て い る 、 野 党 の 賛 同 を 得
て政策を進めているのが現状。
ドイツが北ヨーロッパ、フランスが南ヨーロッパの代表という構図となってい
る。
ユーロが崩壊したら大恐慌が起こる。政治は必ず遅れてくる。緊縮政策を取れ
ば庶民に負担がかかってくる。投機筋の動きが市場全体に拡大しないよういかに
抑えるかが当面の着目点である。
ギ リ シ ャ へ の 支 援 は 全 て 資 金 貸 与 ( 金 利 EURIBOR+150 ポ イ ン ト で 、 現 在 3% 前
後)であり、ギリシャはいずれ返済する義務を負う。
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