第 38 回 ドラッカー「マネジメント」研究会 発表<01> 2014.7.15. ドラッカーとリーダーシップ 3.0 2014 年 7 月 15 日 上野 周雄 リーダーシップの定義 そもそもリーダーシップとは何か、フランシス・ヘッセルバイン(元全米ガールスカウト連盟 CEO, ドラッカー 財団初代プレジデント兼 CEO)によると自分なりにたどりついたリーダーシップは、「『どうやるべきか』ではな く『どうあるべきか』 」(フランシス・ヘッセルバイン著『リーダーの使命とは何か』 )の問題だという。 セムコ社とサウスウェスト航空は、この「どうあるべきか」を追及して成功している企業である。 リーダーシップの変遷 非常に分かり易いが実際はどうすれば良いのだろうか、そのやり方も「時代背景や、組織のあり方、フォロワ ーとの関係によって変化してきている。中央集権的な権力者のリーダーシップ 1.0 から、同じ権力者でも分権 を指向した 1.1 の時代、調整者の 1.5、そして変革者の 2.0。現在は、支援者のリーダーシップ 3.0」(小杉俊哉 著『リーダーシップ 3.0』 )だという。 リーダーシップ 3.0 の要素 (小杉俊哉著『リーダーシップ 3.0』 )/ ドラッカーのリーダーシップ 1.ビジョンを持ち、語る/真のリーダーは、人間のエネルギーとビジョンを創造することが自らの役割であ ることを知っている・・・・『未来企業』(1992*原著の発行年を示す) 2.リーダーになる/信頼がない限り従うものはいない。そもそもリーダーについての唯一の定義が、付き従 うものがいることである・・・・『未来企業』(1992) 3.ミッションを持ち、自身の強みを生かす/自らの強み、仕事のやり方、価値観がわかっていれば、チャン スを与えられたとき、職を提供されたとき、仕事を任されたときに、 「私がやりましょう」 「私のやり方は こうです」 ・・と言える・・・・ 『明日を支配するもの』 4.他者を支援する、という自然の成長に従う/ほとんどの人が、下に向かって焦点を合わせる。成果ではな く、権限に焦点を合わせる。組織や上司が自分にしてくれるべきことや、自らが持つべき権限を気にす る。その結果、本当の成果を上げられない・・・・ 『経営者の条件』(1966) 5.人間力を磨く/厳しいプロは、高い目標を掲げ、それを実現することを求める。誰が正しいかではなく何 が正しいかを考える。頭の良さではなく、真摯さを大切にする。この真摯さに欠ける者は、いかに人間好 きで、人助けがうまく、人づきあいがよく、有能で頭がよくとも、組織にとって危険であり、上司および 紳士として不適格である・・・・『現代の経営』(1954) 6.仮面をとる、自らに正直になる/リーダーシップとは、人を惹きつける資質ではない。そのようなものは 先導的資質に過ぎない。リーダーシップとは、仲間をつくり人に影響を与えることでもない。その様なも のはセールスマンシップにすぎない・・・・ 『現代の経営』(1954) 7.ファシリテート(促進)する/部下の弱みに目を向けることは、間違っているばかりか無責任である。上 司たる者は、組織に対して、部下一人ひとりの強みを可能な限り生かす責任がある。部下にたいして、彼 らの強みを最大限に生かす責任がある・・・・ 『経営者の条件』(1966) 8.エンパワーメントの実行/真に厳しい上司、すなわち一流の人間をつくる上司は、部下がよくできる筈の 事から考え、次にその部下が本当にそれを行うことを要求する・・・・ 『経営者の条件』(1966) 9.動機づけを行う/優れたリーダーは、部下を激励し前進させ、誇りとする。部下の失敗に最終的な責任を 持つがゆえに、部下の成功を脅威とせず、自らの成功ととらえる・・・・ 『未来企業』(1992) リーダーシップ 3.0 を活かして成功している企業の例 (1)セムコ社(ブラジル):服装規定や出張規定もなければ、出勤時間もとくに決まりはない。社員の自立性を 極端に尊重し、成功し続けている会社。 (2)サウスウェスト航空(アメリカ):アメリカの LCC、1973 年以来、米国の景気の動向に関わらず黒字運営 を続ける。 「社員第一、顧客第二」を掲げている。2012 年にはスイスの航空輸送格付け機関から「世界 で最も安全な航空会社」の 10 社のうちの 1 社に選定されている。 以上
© Copyright 2024 Paperzz