ITF Seafarers` Bulletin 2012

シーフェアラーズ・ブルテン
国際運輸労連(ITF)
No.26/2012
●ITF船員憲章●2012年の船員需要の見込み
●技術革新●船員のコミュニケーション手段
悪徳船員配乗会社に対する
ITFの取り組み
日
本
語
賃金を
取り戻せ!
便宜置籍船(FOC)
アンチグアバーブーダ
バハマ
バルバドス
ベリーズ
バミューダ
ボリビア
ビルマ/ミャンマー
カンボジア
ケイマン諸島
コモロ
キュラソー
キプロス
赤道ギニア
グルジア
ドイツ(第二船籍)
ジブラルタル
ホンジュラス
ジャマイカ
レバノン
リベリア
マルタ
マーシャル諸島
モーリシャス
モルドバ
モンゴル
北朝鮮
パナマ
サントメプリンシペ
スリランカ
セントビンセント及びグレナディーン諸島
フェロー諸島 (国際船籍登録)
トンガ
フランス(第二船籍)
バヌアツ
ITFによりFOCに指定された船籍
これらのほかに、個別にFOC指定されている船舶もある
隠れ場所などどこにもない
ITF HOUSE, 49–60 BOROUGH ROAD, LONDON SE1 1DR
TEL: +44 (0)20 7403 2733 •FAX: +44 (0)20 7357 7871 • [email protected] • www.itfglobal.org
シーフェアラーズ・ブルテン
2012
海の連帯行動 共に運動を 船員と港湾労働者
11
船員労働力 2012年の船員需要の見込みは?
2011年には、海事産業にとって
多くの出来事があった。何度も経済
の浮き沈みがある一方で、国際的な
様々な場面で船員にとって喜ばしい
成果もあった。
第一に、海賊の脅威から船員を保
護するための継続的な取り組みの一環
として、民間警備員に関する国際協定
が締結された。国際海事機関(IMO)は、そのためのガ
イドラインを発行したが、それが海賊問題に対する長
期的な解決策になるとは見られていない。ソマリア海
域を就航する船に対しては、「最善管理手続き第4
版(BMP4)」が公表されている。
また、海賊の被害に遭った船員とその家族のため
に、関連団体と新たな人道支援プログラムを立ち上
げた。各国政府に海賊対策を強化するよう促すため
に、業界団体と「セーブ・アワー・シーフェアラー
ズ(われらが船員を守ろう)」キャンペーンも立ち上
げた(詳細は8ページ)。
ITFは、直近の船員・港湾の代表による会議で、モ
ルドバとフェロー諸島の2つの船籍を新たに便宜置
籍に指定した。こうした仕事は、決して楽しいもの
ではない。しかし、船員の雇用を守り、最低基準を
守るための取り組みの一環として、我々が厳正に行
うべきことである。
一方、喜ばしいこととして、交渉により全ての協約
において賃上げが達成されたことを報告したい。先ず
国際労働機関(ILO)の最低賃金、次に国際団体交渉協
議会(IBF)、そして他のITF協約が続いた。IBF協約
は、非常に厳しい財政情勢の中で、数年に及ぶ交渉の
末に締結された(詳細は9ページ)。
昨年の功績を誇りに思う一方で、次の成果にも期
待している。とりわけ海事労働条約(MLC)が批准さ
れることを切に願う(詳細は6ページ)。最も新しい
進展として、既にオランダとオーストラリアが同条
約を批准した。
今後も、こうした積極的な協力態勢を長く続けて
いきたい。
デビッド・ヘインデル
ITF船員部会議長
13
ITF船員憲章 ITFと組合があなたに誓う
16
技術革新 グローバル化する海上技術
17
家族 両親不在の子どもたちへの読み聞かせ
18
ITFインスペクターの連絡先
19
女性 組合でトップを目指して
23
東ティモール オフショア産業で地元労働者の
雇用権を主張
25
マダガスカル 海事労組の誕生
26
ITF船員トラスト ITF船員トラストの活動
28
HIV/エイズ 恐怖や偏見と闘って
30
水産 組合の影響力拡大が必須
33
クルーズ船 新協約で保障された新たな権利
34
コミュニケーション 船員のコミュニケーシ
ョン手段
35
2012年1月発行
国際運輸労連(ITF)
〒108-0023
東京都港区芝浦3−2−22
田町交通ビル3F
電話:03−3798−2770
FAX:03−3769−4471
Eメール:[email protected]
ホームページ:
http://itftokyo.org/
日本語以外の言語版(英語、ア
ラビ ア語、中国語、ドイツ
語、インドネシア語、ポーラ
ンド語、ロシア語、スペイン
語、タガログ語、トルコ語)に
ついては、上記までお問い合
わせください。
表紙写真:AlastairFyfe
ITFのFOC
キャンペーン
海事産業におけるITFの活動は、国内の法規や条
件、および労働組合を回避することを目的にした便
宜置籍船(FOC)に反対する世界中の船員や港湾労
働者の労働組合によるキャンペーンが中心とな
っている。
キャンペーンには2つの側面がある。政治面
でITFは、船主と船籍の「真正な関係」を確実
にするために、各国の政府や国際機関と闘ってい
る。産業面で、ITF加盟組合は、あらゆるFOC船に
おいて、許容できる最低賃金や社会基準を確保するた
めに闘っている。
実際においては、ITF.FOCキャンペーンを推進・管理し
ている船員と港湾労働者の労組の共同組織、ITF公正慣行
委 員 会 (FPC)が 定 め た 基 準 以 上 の 条 件 に 合 意 する よ
う、ITF加盟組合は求めている。近年、ITFは、成長著し
い船会社の大きなグループと、公正慣行委員会が規定す
る基準と同等ながら、より柔軟性のある国際団体交渉協
議会(IBF)の枠組みの中で、国際的な団体交渉を行ってい
る。
FOC船の乗組員は、ITFに連絡を取らないよう、厳しく
指示されることが多く、中にはITFと連絡を取らないこと
を契約書で約束させられる場合もある。ITF協約に署名を
しながら、実際には乗組員をだまして、それより低い賃金
を支払う船主もいる。二重帳簿と呼ばれる行為だ。
FOC船の賃金、労働条件、その他の待遇に不満がある
場合は、ITFに直接連絡するか(19頁参照)、世界中の港に
配置されているインスペクターに連絡を(19〜22頁参照)。
2011年にITFインスペクターが訪船し
た船舶数は合計8,078隻
2011年にITFのFOCキャンペーンによって、
2,580万ドルに上る船員の未払い賃金や補償が
回収された
2011年、ITF協約船に乗り組む船員の数は
209,553人だった
www.itfseafarers.org
Paul Box/reportdigital.co.uk
短 信
ILO海事労働条約
間もなく発効の見込み
マニラ会議に参加した船員と家族
「海事労働条約の批准を」
ITFが呼びかけ
乗船する船舶がどの国の船籍であっ
たとしても、船員の仕事は他の分野の
労 働 と 平 等 な 認 識 を さ れ る べ きであ
る 。 こ う し た メ ッ セ ー ジ を 、 ITFは
2011年8月にマニラで開かれた第1回
目の国際船員家族会議で発した。
したがって重要なのは、各国政府が
「船員の権利章典」として知られる海
事労働条約(MLC)、ならびにILO第185
号条約「船員の身分証明書条約」を批
准することである、とITFは述べた。
同会議には、フィリピン労働雇用省
のロザリンダ・バルドス長官が出席し
た。長官はITFに対して、フィリピンは
現在、185号条約を批准する手続きの
最中であり、MLCについても政労使の
三者協議を開始したところで、間もなく
批准されることを期待している、と述
べた。
今回のマニラ会議には1,350人の代
表が参加し、国際船員福祉委員会
(ICSW)を通じてITF船員トラストが資
金を援助した。
2011年9月にルクセンブルク、翌月に
キリバス、そして12月にオーストラリア
とオランダが、海事労働条約(MLC)2006
を批准した。これにより2011年末時点
で、総トン数にして世界の船舶の過半数を
占めるILO加盟22カ国が、MLCの批准国
となった。
世界の船員の公正な労働条件と最低基準
の確立に向けて、MLCの発効に必要な残
りの8カ国も間もなく批准すると見られて
おり、ITFは2013年中の発効を期待して
いる。
ITFインスペクターは、MLCによる苦情
処理を実施し、船員に同条約下での権利に
ついて助言し、港湾当局を指導する重要な
役割を担っていくことになる。
MLCの枠組みにおいて、外国船舶監督
官は船員やその代表者の苦情を調査し、深
刻な不備が頻発する船舶については拘留す
る責務を負う。
ITFは、ILOや海事労働アカデミーと協
力して、2012年夏に開始される組合のた
めの研修プログラム作成に取り組んでい
る。
さらに船員のための様々な概況報告書も
準備中である。
⇒詳細はこちら
www.itfseafarers.org/ILOMLC.cfm
海事労働条約とは…
国 際 労 働 機 関 (ILO)の 海 事 労 働 条 約
(MLC)2006は 、 世 界 の 120万 人 の 船 員
に、労働の最低基準と保護を提供してい
る。
船員には、安全で安定した職場、公正
な雇用条件、そして適切な生活環境や労働
条件を持つ権利がある、とMLCは規定し
ている。
MLCは、特に以下の権利を船員に付与
している。
●乗船中のディーセントな労働条件や生活
環境を保証する雇用契約を、船主ないし船
主の代理人と船員の間で結ぶこと。
●雇用契約や適用される団体協約に基づ
き、毎月の給与が全額支払われること。
●労働時間は、24時間のうち最大でも14
時間、7日間のうち最大でも72時間とす
る。
●傷病、難破、破産、売船の場合の本国
送還。
●最低限以上の広さの部屋、十分な暖房
設備、換気装置、衛生設備、照明、医療
設備を含む、居住設備や休養設備に関する
特定の要件。
●船内および港内における、医療の即応体
制。
船員配乗代理業者に注目
International Transport
Workers’ Federation
海事労働条約(MLC)の目的は、船員の生
活環境や労働条件の水準を向上させること
である。すべての主要な旗国は既に同条約
を批准しており、MLCは間もなくの発効が
期待されている。
MLCは、すべての民間船員配乗代理業者
が規制の下で船員の雇用を保護促進するた
めの効率的かつ適切なサービスを責任を持
って提供しなければならない、と定めてお
り、特に以下の事項を禁止している:
■職業紹介の経費を船員に請求すること。
■賃金から違法に控除すること。
■船員のブラックリストを作成すること。
船主は、MLCの定める最低基準を満たす船
員配乗代理業者を使わなければならない。
ITFは、現在の雇用慣行に関する調査を実
施している。もし、あなたが船員配乗代理
業者と現在、問題を抱えているか、もしく
は以前にトラブルがあった場合はITFまで連
絡を。
メール:[email protected]
ウェブサイト:www.itfseafarers.org
短 信
ソマリア沖海賊によって14ヵ月間ハイジャックされた太原227号
二度の苦難を乗り越え、アフリカの船員がついに帰国
ソマリア沖の海賊に8ヵ月間拘束さ
れ、その後スリランカで14ヵ月間も足
止 め さ れて い た ア フ リ カ の 船 員 一 団
が、ITFの協力を受けてようやく帰国す
ることができた。
シンガポールを出港してから2年以上
が経過し、ソマリア沖の海賊に拉致され
るという苦難を乗り越えながらも、8人
のアフリカ人船員は2011年7月、つい
に母国へ向けてコロンボを発った。
漁船の太原227号が2009年9月にア
ラビア海に向けてシンガポールを出発し
た時、乗組員はその先に何が起こるか知
る由もなかった。
2010年5月17日、海賊により船がハ
イジ ャ ッ ク さ れ 、 船 員 は 拉 致 さ
れ、2011年1月23日まで監禁された。
特集記事
2011年10月、マニラ空港を出ようと
し た フィ リ ピ ン 人 船 員 ら が 襲 撃 さ
れ、ITFが取り返した賃金が再び奪われ
た。
ジブラルタル籍のコンテナ船「フィリ
ップ」の乗組員7人は、2台のバンに無
理やり押し込まれて船員配乗代理業者ベ
ガ・クルーイングの事務所に連れていか
れ、そこで脅迫されて無理やり金銭を取
り上げられた。別の乗組員1人だけは、
空港で別の出口から出たため逃れること
ができた。
同月初旬、英国のトミー・モロイITF
インスペクターが、意図的に雇用契約よ
り少ない賃金を支払っていた同社の二重
そ して 解 放 さ れて か ら 10日 後 、 中
国、フィリピン、ベトナム、ビルマ、ア
フリカの健康な乗組員27人と太原227
号はスリランカのコロンボに到着した。
アフリカの船員8人(ケニヤ人6人、モ
ザンビーク人2人)を除き、船員は帰国す
るためにコロンボを発った。残ったアフ
スリランカで7500ドルを受け取った乗組員
フィリピン船員
マニラ空港で賃金
を強奪される
帳簿の実態を暴いたことから、乗組員は
総 額 23万 ド ル の 未 払 賃 金 を 受 け 取 っ
た。
しかし、フィリップの船主であるドイ
ツのベガ・フリードリヒ・ダウバー社と
その子会社が10月4日にリバプールで支
払いに合意したにも関わらず、船主側の
代理人は船員から賃金を奪い返した。こ
れがジブラルタル海事当局に報告され、
当局が賃金を乗組員に変換するよう同社
フィリップ内で、船員に返還される未払い賃金が数え上げられた
www.itfseafarers.org
リカ人は船に留まり、未払賃金と補償の
支払いを待った。
しかし、台湾に本社を置く船主は破産
を宣告し、その後、現地代理店は船に残
った船員への食糧や物資の供給を打ち切
った。
そのため船員たちは、スリランカ船員
組合(NUSS)を通じてITFにコンタクト
を取った。
現地のランジャン・ペレラITFインス
ペクターは、すぐさま物資供給の手配を
開始し、一方ITFは、裁判所命令で差押
えられていた漁船の売却による売上金
が、乗組員への支払いに使われるよう尽
力した。
最終的に、乗組員には、それぞれ
7500ドルと帰国運賃が支払われた。
に命じた。そこで10月18日、リバプー
ルにおいて、ジブラルタル船籍を代表す
る英国のポートステート・コントロール
(PSC)立会いのもと、ITFにより賃金の
返還が行われた。
モロイは「ある乗組員が昨日、私にこ
う話してくれた。彼は30年以上この業
界で働いていて、全てを見てきたつもり
だったが、まだショックを受ける余地が
あったことに驚き、今回の船員に対する
措置に愕然としたそうだ」と、述べた。
また、モロイは「会社が自らの不正行
為について否定したことはなかった。
我々の提示した証拠に基づいて、奪った
賃 金 を 実 際 に 2度 も 返 還 して い る。 ベ
ガ・クルーイングが単独で動いたのか、
マニラで賃金を奪うように指示されたの
かは分からない。前者であれば、ベガ社
が適切な措置を取るよう期待する。そし
て、もし同社が対応を取らないのであれ
ば、ジブラルタル海事当局や関連組織が
ドイツ船主に対して適切な行動を取るよ
う期待する」と、付け加えた。
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
7
短 信
組合と船主
海賊問題で団結
ITFは、これまで
海運産業のあらゆる
側面から、“みんな
の力”を合わせて海
賊問題に取り組むキ
ャンペーンに参加してきた。
「SOS‐セーブ・アワー・シーフェアラ
ーズ(われらが船員を守ろう)」キャンペー
ンは、2011年3月にITFと船社を代表する
複数の国際団体によって立ち上げられた。
SOSキャンペーンは、ウェブサイトや
世界の主要な新聞の広告に掲載されてお
り、多くの人々が各国政府に海賊行為の
取り締りを要求していくよう訴えかける
ことを目的としている。
当キャンペーンは、政府が海賊問題の
重大局面を認識するよう促している。例え
ば、ソマリアの海賊は現在、800人ほど
の船員の人質を拘束しており、その残虐
性は次第に増加している。
このキャンペーンでは、政府に対して
次の要請をしている。船員の保護と支援
拡大、海賊を拘束する権限を海軍に与
え、海賊を起訴すること、国内法令に基
づき海賊行為をすべて処罰すること、犯
罪ネットワークの背後にいる黒幕と資金
提供者を明らかにすること。
⇒詳細はこちら
www.saveourseafarers.com
ITF、被害者と家族を
援助する新計画を支援
海賊行為に苦しむ船員と家族
を援助するための「海賊被害に
対する人道支援(MPHR)計画」
が立ち上げられた。この計画に
はITF船員トラストとTK財団が
出資しており、海運業界全体を
代表している労組、船主、経営
者、船員配乗代理業者、保険会
社、福祉団体などの連合体が支
援している。
過去8年間で、約4000人の
船員が海賊の被害に遭った。し
かし、これまで被害者とその家
族に対して調整された支援はほ
とんどなかった。「今、それが
変わろうとしている」とMPHRの支援団
体 関 係 者 は 言 う。 業 界 団 体 の 尽 力 に よ
り、海賊行為の被害に遭った船員のため
の最初の対応者やカウンセラーによるネ
ットワークが設立される。
ITFの聞き取り調査によると、人質とな
った船員への対応は企業により大きく異
なるとのことだ。ある企業では、船員は
ホテルに宿泊し、医療を受け、新しい服
や靴が与えられて帰国できる。
海賊は通常、スピードボートで船に乗り込む
しかし一方では、解放後も船で過ご
し、何ヵ月も着たままの服で帰国するケ
ースもある。
これまでの調査結果によると、海賊か
ら解放されてからすぐに適切な対応を受
けた場合、人質だった船員の回復は格段
に早まり、後遺症も発生しにくい。
⇒詳細はこちら:www.mphrp.org
または[email protected]
までメールを。
船主上位20カ国
商船隊上位20カ国
船腹量ランキング (2011年1月1日)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
パナマ*
リベリア*
マーシャル諸島*
香港(中国)
バハマ*
シンガポール
ギリシャ
マルタ*
中国
キプロス*
イタリア
日本
英国
ドイツ
ノルウェー(NIS第二船籍)
韓国
米国
マン島*(英国)
デンマーク(DIS第二船籍)
アンティグアバーブーダ*
船舶数
(100総トン以上)
総トン数
(単位:100万トン)
2010年1月1日の
総トン数
平均船齢
7,986
2,726
1,622
1,736
1,384
2,667
1,433
1,724
4,080
1,014
1,649
6,150
1,638
931
521
2,913
6,371
385
524
1,293
201.3
106.7
62.0
55.5
50.4
44.9
40.8
38.7
34.7
20.7
17.0
16.9
16.5
15.3
13.8
12.5
11.9
11.6
11.5
10.7
190.7
91.7
49.1
45.3
48.1
41.0
38.9
35.0
30.1
20.2
15.5
14.7
17.0
15.2
13.9
12.9
12.0
10.2
10.8
10.0
17
10
8
9
13
8
21
12
22
11
22
16
19
22
14
26
27
9
15
10
出典:ロイズ船級協会船名録。*は便宜置籍登録を示す。
8
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
船腹量別ランキング
船腹量:総トン数
(2011年1月1日)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
日本
ギリシャ
ドイツ
中国
米国
英国
ノルウェー
韓国
デンマーク
香港(中国)
台湾
シンガポール
イタリア
ロシア
カナダ
トルコ
マレーシア
インド
フランス
ベルギー
船舶数
(1000総トン以上)
総トン数
(単位:100万総トン)
平均船齢
3,796
3,213
3,827
3,651
1,972
1,128
1,986
1,189
980
713
662
1,021
836
1,892
436
1,214
526
534
467
249
132.0
118.1
85.4
67.2
43.0
40.7
33.8
30.0
26.4
23.4
20.9
20.0
17.7
14.3
13.2
12.4
10.9
10.8
8.7
8.0
8
13
8
18
16
12
13
15
11
10
13
12
13
25
20
17
13
16
10
12
出典:ロイズ船級協会船名録
www.itfseafarers.org
短 信
便宜置籍船乗組員のため
の3年にわたる賃上げ
ITFとFOC船大手使用者が、3
年間の賃金協定を締結した。そ
れ に よ り 2012年 、 2013
年、2014年のそれぞれ1月1日
に船員の賃上げが行われること
になる。
この新しいIBF協約は、ITFと
使用者側が2011年7月にマイア
ミで交渉し、同年11月にロンド
ンで開かれたITF公正慣行委員会
(FPC)で承認された。
その結果、2012年1月1日に
2%、2013年1月1日に2.5%、
最 後 に 2014年 1月 1日 に 3%の
昇給が適用される。
職員と部員への具体的な昇給
の適用方法については、今後、
各国の労使協議で決定される。
マイアミでは海賊問題も協議
され、軍事的行動区域とハイリ
スク・エリアに関する修正文が
合意された。
加えて、懲戒や苦情処理、い
じめや嫌がらせに関する対応の
手続き作成について企業を支援
する基準、ならびに見習い船舶
職員の研修やIBF協約船上での研
修機会の提供を通じて将来の職
員の供給を維持する責任をカバ
ーする修正協約が締結された。
IBF交渉の終わりに、ITF船員
部会のデビッド・ヘインデル議
長は「ここ数年、IBFの労使双方
に大きなプレッシャーがかけら
れている。世界金融市場の崩壊
により、使用者は困難な状況の
中でコストを最小限に抑えよう
とするようになり、また船員を
代表する労働組合は、船員の利
益と生活を守る一方で、こうし
た財政的な状況を理解せざるを
得ない状況に追い込まれた」と
述べた。
さらに議長は「最終的に合意
に達した今回の協約は、労使双
方が建設的に、またそれぞれの
組織を代表しながらも協力し合
えるということを示した。この
協 約 は 、 IBF交 渉 プ ロ セ ス の 強
み、そして難しい時代に難しい
問題でも結論に達することがで
きる と い う IBFの 能 力 の 証 であ
る」と、付け加えた。
ニュージーランドの漁業規制に批判
ITFは、ニュージーランドでの漁業規制の見直しを求めている。同国
内の労組も、オヤン75号の問題を受け、同様に改善を求めている。韓
国漁船のオヤン75号は、低賃金や心身両面で虐待を受けたと訴えるイ
ンドネシア人船員により、リトルトンで放棄された。
本件の調査の結果、同船の韓国人職員には26件の容疑がかけられる
こととなった。報告によれば、オヤン75号はニュージーランドのサザ
ン ・ スト ーム ・ フィ ッ シ ン グ 社 の チ ャ ータ ー 漁 船 で あ る。 同 社
は、2010年に沈没して6人の乗組員が亡くなったオヤン70号もチャー
ターしていた。
2011年10月、外国企業のチャーター漁船を対象とした調査がニュー
ジーランドで開始された。ニュージーランド海事労組(MUNZ)は、外国
企業のチャーター漁船がしばしば搾取的な労働条件と安全基準違反の温
床になっている、と指摘し、締めだしを急いでいる。
ITFのジョン・ウィットロー船員部長は「対策を講じる必要があるの
はニュージーランド当局だけではない。他国もまた、ILO漁業労働条約
(第188号)の批准と実施などを通じて、漁船の労働条件を改善すべきで
ある」と語った。
争議行為を起こす前に
これを読んでください!
ITFは、便宜置籍船に乗り組む船員が、正当な賃金
と適正な団体協約の適用を受けられるよう、支援す
ることを約束しています。
時には船員が、現地の裁判所に提訴しなければな
らないこともあります。場合によっては、船舶に対
するボイコット行動も必要です。どのような手段が
適切かは、国または場所によっても異なります。あ
る国では適切な行動が、他の国においては全く不適
切なこともあります。
最初に取るべき行動は、先ず、現地のITF代表に連
絡することです。このITFシーフェアラーズ・ブルテ
ンの19〜22頁に記載されている住所と電話番号等
を参照してください。何らかの行動を取る前に、現
地の助言を必ず得てください。
一部の国においては、船舶の乗組員によるストラ
イキが、違法行為となることもあります。そのよう
な場合には、現地のITF加盟組合の代表が、状況を説
明します。
多くの国において、労使紛争での勝利の鍵を握るの
は、ストライキです。この場合にも、現地の助言に基
づいて行動する必要があることは言うまでもありませ
ん。多くの国で、船員には、航行中を除き、入港中の
ストライキ権が法律上、認められています。
あらゆるストライキにおいて重要なことは、規律
と安全を守り、団結を維持することです。多くの国
で、ストライキ権は基本的人権の一部として、法律
あるいは憲法により保障されています。
どのような行動を選択するにせ
よ、事前に現地のITF代表に連絡
することを決して忘れないでくだ
さい。お互いに協力することによっ
て、我々は正義と基本的権利の闘い
に勝利することができるのです。
国際運輸労連
(ITF)
契約にサインする前に
契約書にサインする前の注意事項
雇用契約に関するITFの助言
船員は、ITFが承認する団体協約に準拠した契約を締結して
いれば、ほぼ間違いなく適切な労働条件を約束される。
そうでない場合は、次の項目をチェックしてみよう。
必ず文書による契約を交わ
してから、就労すること。
白紙の契約書、または内容
が具体的ではない、もしく
は聞き慣れない条件を含ん
でいる契約書には、絶対にサイン
しないこと。
契約にサインする前に、団
体交渉協約についての記述
があるか確認する。もしあ
れば、その条件について完全に理
解し、写しを取って契約書と共に
保管しておくこと。
契約の有効期限が明示して
あるか確認する。
船主の一方的な意思で雇用
期間を変更できる内容を含
んだ契約書にはサインしな
いこと。雇用期間のいかなる変更
も、双方の合意なしに行ってはな
らない。
基本給および基本労働時間
(例 え ば 、 週 40時 間 、 44
時間、48時間など)が契約
に明示されているか、常に確認す
ること。国際労働機関(ILO)が規定
する基本労働時間は、最長週48時
間(月208時間)である。
時間外労働手当の支給方法
とレートが契約に明示され
ているか確認すること。基
本労働時間を超過した場合に支払
われる一律の時給と、時間外手当
として毎月支給される一定額を明
示している場合とがある。いずれ
にしても、規定内の残業時間を超
えた場合の時間給は、明確に規定
されなければならない。ILOの規定
では、時間外手当は最低「1.5×通
常の時間給」で計算すべきである
とされている。
1ヶ月に取得できる有給休
暇日数が契約に明示されて
いるか確認すること。ILO
の規定では、有給休暇は年間30日
(月2.5日)を下回らないこととされ
ている。
賃金、時間外手当、有給休
暇が、それぞれ別項目に分
かれて規定されているか確
認すること。
上下船の費用の一部を船員
に負担させる内容を含む契
約書には、絶対にサインを
しないこと。
契約期間中、船主が賃金の
一部を留保できる内容を含
む契約書には、サインしな
いこと。船員は毎月末にその月の
給料全額を受け取る権利を有す
る。
個々の労働契約には、各種
手当てが必ずしも詳細に明
示されているわけではない
ため、以下の場合に、どれだけ補
償金が支払われるか確認しておく
必要がある。(書面の契約書か、契
約上の権利として認めさせるのが
望ましい)
Q
●契約期間中の疾病、障害
●死亡(近親者への補償額)
●船舶の喪失
●船舶の喪失による私物の喪失
●契約満了前の解雇
労働者が自ら選択する労働
組合への加入、連絡、相談
もしくは組合の代表となる
ことを禁じる条項を含む契約書に
は、サインしないこと。
契約書は、サインした後、
必ず写しを取り、保管する
こと。
送還費用が支払われること
が契約に明記されているか
を確認すること
契約解除の条件(契約を解
除するには何カ月前に本人
に通告しなければならない
か等)を確認すること
自らの意思で締結した労働
条件、契約書、協約は、い
ずれも、条件の如何に関わ
らず、ほとんどの司法権の下にお
いて、法的拘束力を持つことを認
識しておくこと。
Q
International Transport
Workers’ Federation
www.itfseafarers.org
港の連帯行動
SOLIDARITY
IN PORTS
共に運動を
船員と港湾労働者
ジェマ・ウォーカー
港湾労働者と船員は、グローバル・サ
プライチェーンにおいて重要な役割を果た
している。この両者が力を合わせれば、
世界貿易に独特の影響を及ぼすことがで
き、雇用を確保し、基準以下の労働条件
を受け入れずに済む可能性も、より大きく
なる。
港湾労働者と船員の連帯は、便宜置籍
船(FOC)キャンペーンの成功に大きく貢献
してきた。船員が問題に直面した時、最
初にコンタクトを取るのは港湾労働者の
場合が多い。今後、ITFの便宜港湾(POC)
活動プログラムの知名度と影響力を高め
る取り組みを進めるにあたり、かつてな
いレベルで港湾労働者が船員に支援を求
めることになるだろう。
しかし、これは何も新しいことではな
い。ITFは港湾労働者と船員の強い連帯
と、両者が団結すれば、より大きな成果
が得られる、との信念に基づき、強化され
てきた。それは、1896年のITF設立当初
から現在まで変わっていない。
行動週間は、長らく船員の福利を守る
というインスペクターや加盟組合の活動
にITFが焦点を当てる手段だったが、最近
www.itfseafarers.org
のITF行動週間が示したように、港湾労働
者と船員が、これまで以上に連携を強め
る必要がある事実を浮き彫りにする機会
にもなっている。
アジアの行動週間
2011年 12月 、 イ ン ド の 港 湾 労 働 者
が、労働条件の改善を求めて乗船してい
る船舶へのITF協約適用を訴えていた船員
を支援し、作業の停止を行い、船員と港
湾労働者が団結した際のパワーを見せつ
けた。
ITFに加盟するインドのカンドラ港湾運
輸労組は、パナマ籍、トルコ所有のベル
デ号の船員が、国際水準をはるかに下回
る賃金で過剰な長時間労働を強いられて
2011年9−10月、南
アジアとロシアなどの
アジア太平洋地域の港
で組合活動家が行動週
間のために団結した。
いると知り、抗議行動に出た。
その結果、労使交渉が行われ、デリ
ー、トルコ、ロンドンからITFの代表者も
支援にかけつけた。港湾労働者の40分に
及ぶ連帯行動が奏功し、船社は乗組員に
よりよい賃金と労働条件を約束するITF協
約の締結に合意した。また、必要な支払
額の送金も済ませ、今後もベルデ号の乗
組員が継続的に今よりも高い賃金と条件
を享受できることが約束された。これは
全て、港湾労組の連帯行動があったから
こそだ。
カンドラ港湾運輸労組のモノハー・ベ
ラニ書記長は、これは船員と港湾労働者
の勝利であり、両者が互いを支援し合え
ば、目に見える真の成果を手にできるこ
とを正に示してくれたと語り、「カンドラ
では船員の権利が保護されていて、船員が
基本権を確保できるように港湾労働者が
支援しているという力強いメッセージが
船会社に向けて発せられた。ベルデ号に
乗船する19名の乗組員全員の賃金が引き
上げられ、社会的な保護も充実した」と
述べた。
BMWの雇用を守るキャンペーン
米チームスターズ労組の要請を受
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
➡
11
港の連帯行動
船員
イブリン・トムソンとポール・シニ
アリクは、エストニアの船員と港
湾労働者を組織するエストニア船
員独立労組(ESIU)を代表し、船員
や港湾労働者から見たバルト海行
動週間について語ってくれた。
ITFの便宜港湾
(POC)
キャンペーン
港湾はグローバル貨物輸送システムの主
要ハブであり、グローバル経済の中核にあ
る。港湾労働者は、多国籍企業に必要な戦
略的サプライチェーンを支える上で、なく
てはならないサービスを提供している。
ITF加盟組合は、最も危険な労働環境に
ある世界中の港で働く男女のため、受け入
れ可能な労働水準を求め、率先して闘って
いる。この取り組みが、便宜港湾(POC)キ
ャンペーンだ。
POCとは、ITFやその加盟組合が許容で
きると考える安全衛生基準や労働条件が採
用されていない港湾や港湾ターミナルを指
す。
多国籍企業はグローバル・サプライチェ
ーンを活用し、その多くが利潤と市場シェ
アの拡大を重視する。最大の成果を上げる
ために労働力を非正規化し、安全基準を切
り下げる企業もある。一部のグローバル企
業は、労働コストが安かったり、安全基準
を守る必要がなかったり、組織労働者を使
わなくて済む港を使うことを選択する。
ITFのPOCキャンペーンは、ITFの加盟港
湾労組が受け入れることのできる基準を世
界中の港湾やターミナルに確実に適用する
ことを目指している。
ITF港湾部会のアプローチとは、組織す
る35万人の港湾労働者が自らの潜在的な
力から確実に恩恵を受け、権利のために闘
い、港湾労働者のため、ひいては世界中の
全ての労働者のための公正な処遇を実現で
きるようにするというものだ。
⇒POCキャンペーンとITF港湾部会の活動
の詳細は、www.itfglobal.org/dockersを
参照のこと。
12
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
ESIUの組織化担当部長
のイブリン・トムソン
は、組合が1995年に
結成された際に採用さ
れた最初の職員。
●2011年10月のバルト海行動週間に見ら
れたような人目を引く行動を行うことが、
船員にとってなぜ重要なのか?
船員が組合やITFの役割を理解する上で
最も効果的な方法は、両組織の活動を見せ
ることだ。両組織が船員の権利を擁護する
ために存在していることを理解している船
員が多いわけではない。それどころか、組
合には注意しろと警告されていたり、複雑
な状況にまき込まれるのは避けたいと懸念
していたりするかもしれない。
行動週間により、船員は数の力による防
御の効果が分かりやすくなり、組合は新た
な未来の活動家に接触する機会が得られ
る。また、支持者の輪を広げ、海事関係組
合が労働者のより良い未来達成のためにお
互いに協力している姿を示す良い機会でも
ある。
例えば、私はチームの仲間を率いて、サ
ンクトペテルグルク、タリン、ストックホ
ルムの間を行き来し、タリンでは最初の便
宜置籍フェリーである「プリンセス・アナ
スタシア号」を訪船した。船上では乗組員
に話しかけ、組合の活動を説明し、組合に
加入するよう呼び掛けた。
キャンペーンのリーフレットや組合誌を
配付した他、団体協約とは何か説明し、署
名付きの協約のコピーも配った。
●船員と港湾労働者の連携が、なぜそれほ
ど重要なのか?
全ての組合の組織化は、労働者どうしの
連帯に基づいている。使用者の多くが絶え
ず労働者を分断させ、労働者の無知を利用
して金もうけをする方策を探している。港
湾労働者の支援がなければ、船員は港で船
を止めることもできないだろう。航海中の
ストは違法なので、ストは港で実施するし
かない。
●ITFの便宜置籍船(FOC)キャンペーンや便
宜港湾(POC)キャンペーンについて船員か
らどのようなフィードバックを受けている
か?
支援が必要になった船員は、世界のITF
インスペクター・ネットワークを通じて
FOCキャンペーンをよく知っている。船員
からのフィードバックは圧倒的に好意的な
ものが多く、キャンペーンの結果、新たな
組合員が増えることもある。
しかし、依然として、団体協約や便宜置
籍船(FOC)関連の組合活動について知らな
い船員は大勢いる。何でも天から魔法のよ
うに降ってくると考えがちな船員もいる。
バルト海の港湾キャンペーンは、まだ揺
籃期にある。要請されれば、船員はより良
い規則や、より安全な労働環境、港湾の組
織化などを喜んで支援するだろう。そのこ
とが、全般的な労働環境の公正化に寄与す
ると確信しているからだ。
港湾労働者
ラウル・シニアリック
は 、 ESIUの 執 行 委 員
で、元港湾代表だっ
た。
●港湾で人目を引く行動を実施することが
港湾労働者にとって重要なのはなぜか?
ITFが活動しているところを港湾労働者
が目の当たりにし、自分の目でITFの潜在
的可能性を認識することが重要だ。そのよ
うな行動を通じ、ITFが港湾労働者にとっ
て単に紙の上の存在ではなく、より身近で
真実味のあるものになる。ITFがいかに船
員のケアをするかを目の当たりにし、ITF
の活動に関与する気になる。
最近の行動週間では、組合の指導者とイ
ンスペクターがグループを作って訪船を行
った。船の上ではグループをさらに2つの
小グループに分け、第一グループは書類や
帳簿を調べ、私が率いた第2グループは乗
組員の居住空間、キッチン、倉庫、食堂な
どを査察した。
乗組員たちには我々の活動に関する情報
ブルテンを配布し、生活条件や自由時間が
あるか、何か問題はないかなどを尋ねた。
●船員と港湾労働者の連携が、なぜそれほ
ど重要なのか?
港湾労働者と船員がお互いに協力しなが
ら仕事をしているので、時に船員が港湾労
働者の仕事をしてしまうこともある、とい
うのが先般実施した行動週間の主要テーマ
だった。お互いに連帯して行動すること
が、船員と港湾労働者の仕事と賃金を分離
し、双方の権利を、よりよく守ることに役
立つ。
●POCキャンペーンについて、港湾労働
者からどのようなフィードバックを受ける
か?
最近、ラトビア、リトアニア、ロシアの
港湾労働者が集まり、リガで行った会議
で、参加者のほぼ全員がPOCキャンペーン
の重要性を理解していることが分かった。
バルト海行動週間の最終日は、地域の海貨
業者を訪問したり、港湾労働者と行動週間
やキャンペーンについて語り合ったりする
ことに充てたが、これは非常に評判がよか
った。
www.itfseafarers.org
➡
け、 ITF加 盟 組 合 と ITFイ ン
スペクターは世界中のBMWの主要
輸出港で集会を開いた。
船員組合と港湾労組の団結力を活
用し、オーストラリア、ベルギー、ド
イツ、メキシコ、オランダ、南アフリ
カ、タイ、英国の港で、労働者がチー
ムスター組合員への支援を表明した。
その結果、自動車大手BMWと米チ
ームスターズ労組が合意に達し、少な
くとも70人の雇用が守られた。
2012年の
船員需要の
見込みは?
Reuters/John Kolesidis
共に運動を
バルト海域の行動週間
2011年10月、デンマーク、エ
ストニア、フィンランド、ドイツ、
ラトビ ア、リトアニア、ノルウェ
ー、ポーランド、ロシア、スウェー
デンの港湾労組と船員組合の組合
員が協力し、各国で船舶の労働条
件と賃金を調査し、バルト海地域
全体に向け、ITFのPOC活動計画と
FOCキャンペーンについて情報を
発信した。
前ページのインタビューから、港
湾・船員の協力関係がいかに皆を
強くしているか、船員や港湾労働
者の生の声を聞くことができる。
例えば
船員と港湾労働者が連帯して行
動した例はたくさんあるが、グロ
ーバル市場で競争が激化し、テク
ノロジーの導入で港湾労働者や船
員の仕事の多くが陳腐化する脅威
も迫る今、船員と港湾労働者が、
これまで以上に寄り添うことがま
すます重要になるだろう。
オピニオン
世界の景気後退が船員需
要にいかに影響したか、
デイブ・オスラーが解説
する。
⇒ジェマ・ウォーカーはITFロンド
ン本部の港湾部会の職員。
欧州北部のバルト海地域で、ITF行動週
間が2011年10月に行われた
www.itfseafarers.org
部員の需給は大
体バランスがとれ
ているが、高い資
格を持った職員
は不足している
船員の雇用情勢を気にかけている人間なら、新しい
年 に 期 待 を 持 つ こ と は 、 ま ず な いだ ろう。 2012年
は、海運業界にとって史上最悪の年になる気配がす
る。
以前に同じように景気が後退した時期からこの業界
に い る 人 間 な ら、 こ の よ う な 厳 し い 時 に あ って こ
そ、ITFや加盟組合が貴重な役割を果たすことができる
ことを思い出すだろう。
皮肉にも、バルチック国際海運協議会(BIMCO)や国
際海運連盟(ISF)などの船主団体や、ドルーリィーやプ
レシャス・アソシエーツなどの民間コンサルタント会
社が行った船員労働市場に関する主な調査では、雇用
保障の観点でいうと、基本的には希望が持てる状況と
されている。
部員の需給は大体バランスが取れているが、特にタ
ンンカーやオフショア補給船など、一定のランクや船
種に対応できる資格を持った職員は不足している。
例えば、BIMCOとISFの調査では、世界の商船隊の
規模と構成、様々な国の商船隊が採用する配乗レベル
や予備船員率に基づき、職員と部員の需要を、それぞ
れ63万7千人、74万7千人と見積もっている。
2012年の予測
これに対し、2012年の世界のSTCW資格を保持す
る船員の供給は、職員62万4千人、部員74万7千人と
見積もられており、需要予測とほぼ一致している。
船員供給は極東だけでなく、複数のOECD諸
国でも増えており、2000年代の後半では新規
➡
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
13
船員労働力
➡
参入船員の訓練数が横ばいか、増えると予測さ
れる。
しかし、この手の調査にありがちなことだが、全て
が 仮 定 に 基 づ い て い る。 調 査 モ デル の ほ と ん ど
が、2008−2009年のリーマンショック後の景気後退
以降に見られた世界貿易の僅かな伸びが維持される
か、あるいは後退が限定的だという仮定に基づいてい
る点を見落とすことはできない。
残念ながら、2011年末の状況を見ると、1年以上
前に苦労してまとめた予測では、2012年の状況がど
こまで悪化するか把握しきれないことが分かる。予測
の「最悪のシナリオ」をも上回る最悪の事態が起きる
可能性もある。
海運業界は、すでに船舶の供給過多、燃料費の高
騰、困難な資金繰り、好況期に新造船建造のために抱
えた多額の負債、底値まで下がった運賃などに悩まさ
れてきた。
これらの状況を全て併せると、驚異的な状況が生ま
れる。海運業界全体の市況は、1980年代半ば以来、
最悪だという報道もあるが、どのような業界も上述の
問題を免れることはできない。
企業倒産と売船
最近、ロイズリストで扱ったいくつかの例を見てみ
よう。 本稿執筆当時、世界最大のあるタンカー運航会
社が倒産したが、銀行と負債の再交渉を行わなければ
ならないという大きな問題もあった。この会社の株価
は価値がなくなった、とあるドライバルクの専門家が
事実上認めた。
用船料を支払わない中国企業が複数あり、最も業績
のよかったコンテナ船の大手会社も大幅な損失を出し
ていた。ある国有コンテナ船社は、船舶を売却し、海
運業から撤退した。
銀行は、もはや新たな船舶購入のために資金を提供
海運業界は、すでに船
舶の供給過多、燃料費
の高騰、困難な資金繰
り、好況期に新造船建
造のために抱えた多額
の負債、底値まで下が
った運賃などに悩まさ
れてきた
14
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
してはくれず、既存の融資についても支払いの延期は
したがらなくなった。一部には、融資を引き上げ、船
舶の差し押さえや競売処分などに出る銀行もあった。
このような状況は、ほとんどの主要国経済が、わず
かとはいえ依然としてプラス成長を見せていたにも関
わらず発生した。成長が続く保障はなく、景気が再び
後退する可能性は、あまりにも現実的だった。
雇用を守るための組合の運動
多くの国で労働運動は、組合員の雇用保障や生活水
準の保護など、基本的な生活の糧を守るべく、既に重
要な運動を展開している。
従来、ITF加盟組合は、そのような闘争の先頭に立っ
てきたし、そうする正当な理由があった。
仕事を失う事は、どのような労働者にとっても、そ
れだけで災難だが、船員にとって、会社が倒産すると
いうことは、他の職種の労働者と比べ、ずっとドラマ
チックな結果をもたらす可能性がある。好況期でさ
え、何の支援も得られず、帰国便を確保する資金もな
いまま、世界中の港で遺棄される船員が多い。残念な
がら、今後、遺棄船員の数は著しく増えると予測せざ
るを得ない。
あらゆる種類の不測の事態が起こり得るという事実
が、さらに不確実性を増す。例えば、1万8千TEUのコ
ンテナ船や40万トンの鉱石運搬船など、最も新しい世
代の船舶の大型化により、労働力需要は下がるだろ
う。
一方、規制面での変化、特に環境面の課題や海賊の
脅威などに直面し、配乗船員数を増やすことが義務化
される可能性もある。
また、2012年には批准が果たされる見込みの海事
労働条約の影響も定かではない。
欧州委員会は、世界で最も重要な船員供給国、フィ
リピンの船員訓練の質に懸念を抱いている。新たに発
給されたフィリピン人船員の資格を取り消すという選
択肢すら、現在、検討されている。これは、以前、グ
ルジア人船員に対して取られた措置だ。
しかし、欧州連合の船主はフィリピン人船員への依
存度が高いため、必要であると考えても、船主が実際
にそのような方策に踏み切ると考える人間は少ない。
フィリピン政府はこれを受け、水準以下と思われた一
部の船員養成所を閉鎖した。
賃金微増の可能性あり
経済の先行きが不透明であることは、市場の賃金上
昇も緩やかであろうことを意味するが、一部の企業は
間違いなく賃金を引き下げようとするだろう。
2012年1月1日より、部員のITFベンチマークレー
トは、月額1,675米ドルから1,709米ドルへと2%引
き上げられる。
しかし、それでは多くの国のインフレ率に見合わな
いし、実際にはその3分の1以下で働いている船員が非
常に多いことも忘れてはならない。船員こそ、まさに
組織化を必要としている。
⇒デイブ・オスラーはロンドン在住の海運日報「ロイ
ズリスト」の記者だが、本稿は個人として寄稿。
www.itfseafarers.org
支援が
必要ですか?
それなら、ITFのインスペクター(19〜22頁のリスト参照)か
ITFサポートラインに連絡してください。
Eメール [email protected]
電話 +44(0)2079409285
FAX +44(0)2073577871
連絡にあたり、最低限必要な情報は次のとおりです。
あなたに関する情報
■氏名
(匿名で扱われます)
■船上での職位
■国籍
■連絡先
(電話番号かEメール)
船に関する情報
■船名
■船籍
■IMOナンバー
■船の現在位置
■乗組員の数と国籍
国際運輸労連(ITF)
困っている問題
■問題を説明する
■当該船舶に乗り組ん
でいる期間
■乗組員全員が同じ経
験をしているか?
Illustrations: Clive Wakfer
ITF船員憲章
船員憲章
ITFと組合があなたに誓う
ITF協約が適用される船舶は、世界中に
何千隻もある。ITF協約とは、使用者と
ITF加盟組合の間で結ばれた船内の最低雇
用基準を定める法的拘束力のある協約で
ある。
ITF協約を締結することで、組合と使用
者は、当該の船舶で雇用されている船員
に対し、最低水準の賃金やその他の労働
条件を保障する義務を負う。
船員に対する組合の誓い
2010年に、ITF加盟労組は船員憲章ポ
リシーを採択した。これにより、加盟組
合はITF協約が適用される船舶の乗組員に
対し、一定の責務を負うことになった。
自国の組合に加盟していない船員もい
るが、そのような場合でもITF協約の下で
組合の保護を受け
ることができる。
新しいポリシー
では、便宜置籍船
(FOC)と協約を結
んで い る ITF加 盟
組合が、協約の適
用を受ける船員に
対して、一定の便
益と支援を提供す
16
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
2010年 に 採 択 さ れ た
船員憲章ポリシー
は、ITF加盟組合がITF
協約下の船員に対する
義務を公式に表明した
ことを意味する。本ポ
リシーが施行されたこ
とで船員にどのような
利益があるのか、ア
ナ・ルウェリンが概説
する。
ることになる。
組合の責務
組合員証:組合は船員に対し、適切な形
態の組合員証を発行する。あなたが自身を
組合員であると証明すること、また組合
があなたを識別し、最適な連絡方法を把
握することは重要である。
組合の刊行物:組合はあなたに対し、ニ
ュースレター、定期刊行物や機関誌を発行
し、組合の活動内容や進展を報告する。
連絡先名簿:また組合はあなたに対し、
連絡先名簿ないし組合員証や機関誌等に
記載するかたちで、組合役員の連絡先を提
供する。
苦情申請の支援:苦情の申請に際して、組
合はあなたを支援する。未払い賃金や乗船
中のけがなど、どのような問題であれ、
協約に基づき苦情を申請する場合、組合
はあなたを支援する。これは組合が組合員
に提供できる最も重要なことの1つであ
り、また組合員になる最大のメリットの1
つでもある。
www.itfseafarers.org
参加する権利:組合は、組合員である
船員すべてに対して組合の問題に参加
する機会を与えなければならない。参
加に当たっては組合員資格の特別な性
質を反映し、参加レベルは状況による
ものとする。
訪船:可能な場合、組合は船舶に代表
者を送り、乗組員の状況を視察する。
船舶の貿易パターンや組合の所在地に
よっては難しいケースもあるが、その
ような場合は、世界中にいるITFイン
スペクター(詳細は19ページ)が組合の
代理として訪船することができる。
責任の分担:組合は船主の居住国にあ
ることが多いが、船員の多くは出身国
の組合に加盟している。現在、これら
の組合間で協定が結ばれており、それ
によってITF協約の適用を受ける船員
を代表する責任を分担している。この
関係は、当該組合間の二者間協定ガイ
ドラインに従っている。
関連する組合は、上記の義務につい
て、どの組合が責任を負うのか協議す
る。それらは当該組合間の協定に記載
され、あらゆる変更についてITFに通
知するものとする。
もし組合が何らかの理由で船員を支
援できない場合、ITFは当該組合と連
携し、インスペクターのネットワーク
を 通 じ て 支 援 を 提 供 する こ と が で き
る。
当憲章は2012年1月1日から施行さ
れるが、各組合は基準を完全に満たす
ための猶予を2014年1月1日まで与え
られる。
技術革新
グローバル化する海上技術
オピニオン
コンピューター・コミ
ュニケーション技術の
革新が良くも悪くも船
員の労働環境に影響を
及ぼしている、とヘレ
ン・サンプソンは言
う。
今日は正に情報技術の時代である。時として隔離された
世界に置かれがちな船員も、技術革新の影響を免れない。
技術革新がもたらす変化の多くは、プラスのものであ
る。船内に乗組員用のインターネットが導入され、自由に
ネットサーフィンやSNS、メールができるようになった船
もある。これらが船員にもたらした恩恵は計り知れない。
インターネットの導入までには至っていない船社も、メ
ールの利用を限定的に認め、船員同士あるいは船員と家
族・友人との間のコミュニケーションの円滑化を図ってい
る。
さらに、携帯電話技術の発達によって、船内の通信シス
テムやSMSを使わずに、電波の届く範囲内で家族や友人
にいつでも電話できるようになった。ISPSコードの導入
以来、入港間近の乗組員の関心は、上陸後の行動計画より
も、携帯の電波が届きやすい場所はどこかに向けられるよ
うになった。
技術革新は、ナビゲーションやエンジン管理にも役立っ
ている。自動衝突予防援助装置(APRA)や電子海図表示シ
ステム(ECDIS)のおかげで、ブリッジ当直員は、より高度
な方法で危険要因を把握・追跡し、安全な航路計画を立て
られるようになった。また、エンジンルームの無人化によ
って、機関士は24時間勤務から解放された。
技術革新は、コンピューターやコミュニケーションの分
野に限られたものではない。素材技術の発達でサバイバル
スーツの性能が向上し、より長時間、冷たい海水の中でも
生存できるようになった。同様に、船舶設計技術の革新に
よって、船体構造の完全性が向上した。
このように、技術革新は多くのプラス面を有する一方、
船員にとってのマイナス面も潜在的に存在する。
例えば、コンテナ化は、ここ100年間で貨物輸送業界
が経験した大規模革新の一つであるが、積み下ろし時間の
短縮という大きな恩恵をもたらした点で祝福すべき出来事
である一方、船舶のターンアラウンドタイムの短縮、都心
から離れた場所への大規模港の新設という現象ももたらし
た。これらは共に、船員が短い上陸休暇を楽しむ上
➡
www.itfseafarers.org
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
17
技術革新
➡
携帯電話技術の発達によっ
て、船内の通信システムや
SMSを使わずに、電波の届
く範囲内で家族や友人にい
つでも電話できるようにな
った
Justin Tallis/reportdigital.co.uk
での障害となりがちだ。
また、コミュニケーション技術の発達は、船長の裁量を縮小
させた。船員も、陸サイドでコンピューターによる貨物プランニ
ング(応力計算を含む)が行われるようになった結果、自らの熟
練技術が必要とされなくなった、と感じていることだろう。
「船乗り」としての資質が重視されなくなったとして、技術革
新による環境の変化を好ましく思わない船員もいる。
さらに、契約労働者−船員は往々にして契約労働者である場
合が多い−は、船内で安全かつ効率的に新技術を利用するため
の訓練を受けていない可能性もある。
国際船員研究センター(SIRC)は最近、ロイドレジスター教育
トラスト(LRET)の資金提供を受け、新技術と訓練に関するアン
ケート形式の調査を実施した。その結果、船内の機器や新技術
の知識を得るためには訓練が重要である、と船員が考えている
ことが分かった。
しかし、このような訓練が常に理想的な形で実施されている
わけではない。初めて機器を使用した後で訓練が行われたり、
訓練ニーズの把握過程にほとんど関与させてもらえない等の声
が上がっている。アンケートに協力したオフィサーの半数が、訓
練費用の一部あるいは全額を自己負担しなければならない、と
回答しており、四分の一が、訓練のために使った休暇の補償を
受けたことがない、と回答している。
⇒ヘレン・サンプソン教授は、カーディフ大学(英国)国際船員研
究センター(SIRC)船員部長。35頁に関連記事。
家 族
両親不在の子どもたちへの読み聞かせ
ポーリーン・ドゥ・ラング
GASFIは、組合が支援するフィリピンの
財団だ。子どもたちが寝る前に毎日20分
間、絵本の読み聞かせをすることを提唱し
ている。読み聞かせは、ただ本を読むだけ
でなく、子どもと一緒に過ごすことで、親
子の絆を深めるところに意義がある。
しかし、実際のところ、フィリピンの多
くの子供たちは、親と時間をほとんど共有
することなく成長していく。子供の教育費
を稼ぐために、両親または両親のどちらか
が海外に出稼ぎに出ているからだ。
このような状況をよく理解していたマリ
ッサ・オカは、2008年に17歳でこの世を
去った息子、ギグを追悼して、船員や海外
で働くフィリピン人のためにGASFIを設立
した。
昨年、マリッサの父、フィリピン船舶職
員部員組合(AMOSUP)創設者のグレゴリ
オ・オカが逝去した。キャプテン・オカが
18
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
生前に掲げていた「全ての人に幸せな人生
を 」 と い う ビ ジ ョ ン に 向 か っ
て、AMOSUPとGASFIは、これまで以上
に活動に邁進している。
ギグは、高校の時の私のクラスメートだ
った。学習や読書、そして人生を愛する、
すばらしい青年だった。
2009年 3月 に 設 立 さ れ た GASFIは 現
在、フィリピン全国のコミュニティーで活
動している。目標は、船員の家族に読み聞
かせを勧めることだが、それだけに止まら
ない。本を読む機会のほとんどない子供た
ちを対象とする様々なプログラムを実施
し、船員の家族や子どもたちに参加を呼び
掛けている。
本の寄付活動として始まったプログラム
が今、さらにすばらしいことへのかけ橋と
なっている。
⇒詳しくはwww.amosup.org
またはwww.gasfi.orgへ
ポーリーン・ドゥ・ラングはGASFIのボラ
ンティア
ITFインスペクターの連絡先
本部
49/60 Borough Road, London
SE1 1DR,
United Kingdom
Tel: +44(0)20 7403 2733
Fax: +44(0)20 7357 7871
Telex: 051 8811397 ITF LDN G
Email: [email protected]
Web: www.itfglobal.org
アフリカ地域事務所
PO Box 66540, Nairobi 00800,
Kenya
Tel: +254(0)20 444 80 19
Fax: +254(0)20 444 80 20
Email: [email protected]
アフリカ・仏語圏事務所
1036 Avenue
Dimbdolobsom,
3rd floor ex immeuble CEAO,
11 BP 832, Ouagadougou,
Burkina Faso
Tel: +226(0)50 30 19 79
Fax: +226(o)50 33 31 01
Email: [email protected]
アラブ地域事務所
Al-Husseini Group
Commercial Building – 5th
floor, Zahran Street, Amman
11821,
PO Box 1392, Jordan
Tel/Fax: +962 (0)6 582 13 66
Email: [email protected]
Web: www.itfglobal.org/itfarab-world
アジア太平洋地域事務所
12D College Lane, New Delhi
110001, India
Tel: +91(0)11 2335 4408/7423
Fax: +91(0)11 2335 4407
Email: [email protected]
東アジア事務所
〒108-0023 東京都港区芝浦
3-2-22 田町交通ビル3F
Tel: 03-3798-2770
Fax: 03-3769-4471
Email: [email protected]
Web: www.itftokyo.org
欧州地域事務所
European Transport Workers’
Federation (ETF), Galerie
Agora,
Rue du Marché aux Herbes
105,
Boîte 11, B-1000 Brussels,
Belgium
Tel: +32(0)2 285 4660
Fax: +32(0)2 280 0817
Email: [email protected]
Web: www.etf-europe.org
欧州小地域事務所
21/1 Sadovaya Spasskaya,
Office 729,
107217 Moscow, Russia
Tel: +7 495 782 0468
Fax: +7 095 782 0573
Email: [email protected]
米州地域事務所
Avenida Rio Branco 26-11
Andar,
CEP 20090-001 Centro, Rio de
Janeiro, Brazil
Tel: +55(0)21 2223 0410/2233
2812
Fax: +55(0)21 2283 0314
Email: [email protected]
Web: www.itf-americas.org
FOCや、組合との協約が締結されていない外国船に乗船中、支援
が必要になった場合は、ITFインスペクターに連絡を。ITFイ
ンスペクターと連絡が取れない場合は、ITF本部のアクション・
ユニットか、最寄のITF事務所へ。
ARGENTINA
Buenos Aires
● Rodolfo Vidal
Tel/Fax: +54(0)341 425 6695
Mobile: +54(0)911 4414 5911
Email: [email protected]
Rosario
● Roberto Jorge Alarcón*
Tel/Fax: +54(0)11 4331 4043
Mobile: +54(0)911 4414 5687
Email: [email protected]
AUSTRALIA
Fremantle
● Keith McCorriston
Tel: +61(0)8 9335 0500
Fax: +61(0)8 9335 0510
Mobile: +61(0)422 014 861
Email: [email protected]
Melbourne
●Matt Purcell
Tel: +61(0)3 9329 5477
Fax: +61(0)3 9328 1682
Mobile: +61(0)418 387 966
Email: [email protected]
Sydney
● Dean Summers*
Tel: +61(0)2 9267 9134
Fax: +61(0)2 9267 4426
Mobile: +61(0)419 934 648
Email: [email protected]
Townsville
●Graham Bragg
Tel: +61(0)7 4771 4311
Fax: +61(0)7 4721 2459
Mobile: +61(0)419 652 718
Email: [email protected]
BELGIUM
Antwerp
● Joris De Hert*
Tel: +32(0)3 224 3413
Fax: +32(0)3 224 3449
Mobile: +32(0)474 842 547
Email: [email protected]
●Marc Van Noten
Tel: +32(0)3 224 3419
Fax: +32(0)3 224 3449
Mobile: +32(0)475 775 700
Email: [email protected]
Zeebrugge
●Christian Roos
Tel: +32(0)2 549 1103
Fax: +32(0)2 549 1104
Mobile: +32(0)486 123 890
Email: [email protected]
BRAZIL
Paranaguá
●Ali Zini
Tel/Fax: +55(0)41 3422 0703
Mobile: +55(0)41 9998 0008
Email: [email protected]
Santos
● Renialdo de Freitas
Tel/Fax: +55(0)13 3232 2373
Mobile: +55(0)13 9761 0611
Email: [email protected]
CANADA
Halifax
● Gerard Bradbury
Tel: +1(0)902 455 9327
Fax: +1(0)902 454 9473
Mobile: +1(0)902 441 2195
Email: [email protected]
Hamilton
●Mike Given
Tel: +1(0)905 227 5212
Fax: +1(0)905 227 0130
Mobile: +1(0)905 933 0544
Email: [email protected]
Montreal
●Patrice Caron
Tel: +1(0)514 931 7859
Fax: +1(0)514 931 0399
Mobile: +1(0)514 234 9962
Email: [email protected]
Vancouver
● Peter Lahay*
Tel: +1(0)604 251 7174
Fax: +1(0)604 251 7241
Mobile: +1(0)604 418 0345
Email: [email protected]
Turku
●Jan Örn
Tel: +358(0)9 613 110
Fax: +358(0)9 739 287
Mobile: +358(0)40 523 3386
Email: [email protected]
CHILE
Valparaiso
● Juan Villalón Jones
Tel: +56(0)32 221 7727
Fax: +56(0)32 275 5703
Mobile: +56(0) 9250 9565
Email: [email protected]
FRANCE
Brest
●Laure Tallonneau
Tel/Fax: +33(0)2 98 85 21 65
Mobile: +33(0)6 85 65 52 98
Email: [email protected]
Dunkirk
● Pascal Pouille
Tel: +33(0)3 28 66 45 24
Fax: +33(0)3 28 21 45 71
Mobile: +33(0)6 80 23 95 86
Email: [email protected]
Le Havre
● François Caillou*
Tel: +33(0)2 35 26 63 73
Fax: +33(0)2 35 24 14 36
Mobile: +33(0)6 08 94 87 94
Email: [email protected]
Marseille
●Yves Reynaud
Tel: +33(0)4 91 54 99 37
Fax: +33(0)4 91 33 22 75
Mobile: +33(0)6 07 68 16 34
Email: [email protected]
St Nazaire
●Geoffroy Lamade
Tel: +33(0)2 40 22 54 62
Fax: +33(0)2 40 22 70 36
Mobile: +33(0)6 60 30 12 70
Email: [email protected]
ICELAND
Reykjavik
●Jónas Gardarsson
Tel: +354(0)551 1915
Fax: +354(0)552 5215
Mobile: +354(0)892 7922
Email: [email protected]
INDIA
Calcutta
● Narayan Adhikary
Tel: +91(0)332 425 2203
Fax: +91(0)332 425 3577
Mobile: +91(0)94345 17316
Email: [email protected]
● Chinmoy Roy
Tel: +91(0)332 459 7598
Fax: +91(0)332 459 6184
Mobile: +91(0)98300 43094
Email: [email protected]
Chennai
● K Sree Kumar
Tel: +91(0)44 2522 3539
Fax: +91(0)44 2526 3343
Mobile: +91(0)44 93 8100 1311
Email: [email protected]
Kochi
●Thomas Sebastian
Tel: +91(0)484 233 8249 / 8476
Fax: +91(0)484 266 9468
Mobile: +91(0)98950 48607
Email: [email protected]
Mumbai
●Kersi Parekh
Tel: +91(0)22 2261 6951 / 6952
Fax: +91(0)22 2265 9087
Mobile: +91(0)98205 04971
Email: [email protected]
Visakhapatnam
● BV Ratnam
Tel: +91(0)891 2502 695 / 2552 592
Fax: +91(0)891 2502 695
Mobile: +91(0)98481 98025
Email: [email protected]
Q
COLOMBIA
Cartagena
● Miguel Sánchez
Tel: +57(0)5 666 4802
Fax: +57(0)5 658 3496
Mobile: +57(0)3 10 657 3399
Email: [email protected]
CROATIA
Dubrovnik
● Vladimir Glavocic
Tel: +385(0)20 418 992
Fax: +385(0)20 418 993
Mobile: +385(0)98 244 872
Email: [email protected]
Rijeka
● Predrag Brazzoduro*
Tel: +385(0)51 325 343
Fax: +385(0)51 213 673
Mobile: +385(0)98 211 960
Email:
[email protected]
Sibenik
● Milko Kronja
Tel: +385(0)22 200 320
Fax: +385(0)22 200 321
Mobile: +385(0)98 336 590
Email: [email protected]
DENMARK
Copenhagen
● Morten Bach
Tel: +45(0)33 36 13 97
Fax: +45(0)33 91 13 97
Mobile: +45(0)21 64 95 62
Email: [email protected]
● Jens Fage-Pedersen
Tel: +45(0)36 36 55 94
Fax: +45(0)36 36 55 80
Mobile: +45(0)22 80 81 88
Email: [email protected]
EGYPT
Port Said
● Talaat Elseify
Tel/Fax: +20(0)66 332 4100
Mobile: +20(0)10 163 8402
Email: [email protected]
ESTONIA
Tallinn
● Jaanus Kulv
Tel/Fax: +372(0)61 16 390
Mobile: +372(0)52 37 907
Email: [email protected]
FINLAND
Helsinki
●Simo Nurmi*
Tel: +358(0)9 615 202 55
Fax: +358(0)9 615 202 27
Mobile: +358(0)40 580 3246
Email: [email protected]
● Kenneth Bengts
Tel: +358(0)9 615 202 58
Fax: +358(0)9 615 202 27
Mobile: +358(0)40 455 1229
Email: [email protected]
●Ilpo Minkkinen
Tel: +358 (0)9 615 202 53
Fax: +358 (0)9 615 202 27
Mobile: +358 (0)40 728 6932
GEORGIA
Batumi
●Merab Chijavadze
Tel: +995(0)222 70177
Fax: +995(0)222 70101
Mobile: +995(0)5 93 26 13 03
Email: [email protected]
GERMANY
Bremen
● Susan Linderkamp
Tel: +49(0)421 330 3333
Fax: +49(0)421 330 3366
Mobile: +49(0)151 1266 6006
Email: [email protected]
Hamburg
●Ulf Christiansen
Tel: +49(0)40 2800 6811
Fax: +49(0)40 2800 6822
Mobile: +49(0)171 641 2694
Email: [email protected]
●Karin Friedrich
Tel: +49(0)40 2800 6812
Fax: +49(0)40 2800 6822
Mobile: +49(0)170 850 8695
Email: [email protected]
Rostock
●Hamani Amadou
Tel: +49(0)381 670 0046
Fax: +49(0)381 670 0047
Mobile: +49(0)170 760 3862
Email: [email protected]
●Bernd Losch
Tel: +49(0)381 670 0046
Fax: +49(0)381 670 0047
Mobile: +49(0)170 760 3863
Email: [email protected]
GREECE
Piraeus
● Stamatis Kourakos*
Tel: +30(0)210 411 6610 / 6604
Fax: +30(0)210 413 2823
Mobile: +30(0)69 77 99 3709
Email: [email protected]
●Costas Halas
Tel: +30(0)210 411 6610 / 6604
Fax: +30(0)210 413 2823
Mobile: +30(0)69 44 29 7565
Email: [email protected]
IRELAND
Dublin
●Ken Fleming
Tel: +353(0)1 858 6317
Fax: +353(0)1 685 5567
Mobile: +353(0)87 647 8636
Email: [email protected]
ISRAEL
Haifa
● Michael Shwartzman
Tel: +972(0)4 852 4289
Fax: +972(0)4 852 4288
Mobile: +972(0)544 699 282
Email:
[email protected]
ITALY
Genoa
● Francesco Di Fiore*
Tel: +39(0)10 25 18 675
Fax: +39(0)10 25 18 683
Mobile: +39(0)331 670 8367
Email: [email protected]
Leghorn/Livorno
● Bruno Nazzarri
Tel: +39(0)58 60 72 379
Fax: +39(0)58 68 96 178
Mobile: +39(0)335 612 9643
Email: [email protected]
Naples
● Paolo Serretiello
Tel: +39(0)81 26 50 21
Fax: +39(0)81 56 30 907
Mobile: +39(0)335 482 706
Email: [email protected]
Palermo
●l Francesco Saitta
Tel/Fax: +39(0)91 32 17 45
Mobile: +39(0)338 698 4978
Email: [email protected]
Taranto
● Gianbattista Leoncini
Tel/Fax: +39(0)99 47 07 555
Mobile: +39(0)335 482 703
Email:
[email protected]
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ITFインス
世界の海で
船員を支援
国際運輸労連(
Reykjavik U is
+354(0)551 1915
EUROPEAN SUB-REGIONAL OFFICE
R
gb
CDN
Vancouver +1(0)604 251 7174
U
U
Hamilton +1(0)905 227 5212 UMontreal +1(0)514 931 7859
Seattle U
U Halifax +1(0)902 455 9327
+1(0)206 533 0995
usa
Portland U
U New York +1(0)718 499 6600 (ext 240)
+1(0)503 286 1223
U Baltimore +1(0)410 882 3977
Los Angeles U
+1(0)562 493 8714
New Orleans
U Morehead City +1(0)252 726 9796
+1(0)504 581 3196
U
U
Houston
Tampa
U
+1(0)713
+1(0)321 U
659 5152
Miami
mex
784 0686
+1(0)321 783 8876
ITF HEAD OFFICE
R
Rb
EUROPEAN REGIONAL OFFICE (ETF)
tr
Haifa
+972(0)4 852 4289
Uil
ARAB wORLD
Port Said U R
+20(0)66 322 3131 hkj
e
Las Palmas U
+34(0)928 467 630
et
Manzanillo
+52(0)314 332 8834 U
U
Veracruz
+52(0)229 932 1367
U San juan +1787(0)783 1755
pr
bf R
U Cartagena +57(0)5 666 4802
AFRICAN FRANCOPHONE OFFICE
ngr
pa
Panama City U
+507(0)264 5101
co
Lagos U
+234(0)1 793 6150
eak
AFRICAN REGIONAL OFFICE
R
ITF HEAD OFFICE
LONDON
+44 (0)20 7403 2733
br
INTERAMERICAN REGIONAL OFFICE
Santos R
+55(0)13 3232 2373U U
U
Paranaguá +55(0)41 3422 0703
INTERAMERICAN REGIONAL OFFICE
RIO DE jANEIRO
+55 (0)21 2223 0410
EUROPEAN REGIONAL OFFICE
BRUSSELS
+32 (0)2 285 4660
EUROPEAN SUB-REGIONAL OFFICE
MOSCOw
+7 495 782 0468
ra
Valparaiso U
+56(0)32 221 7727
rch
Rosario +54(0)11 4331 4043
U
U Buenos Aires
++54(0)341 425 6695
za
Cape TownU
+27(0)21 461 9410
U
Durban
+27(0)31 706 1433
より詳しいITFインスペクターの連絡先は、http://www.itfglobal.org/seafarers/msg-contacts.cfm
ペクター
Q
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Umea
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Taranto
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gr
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Valencia
U Piraeus
PalermoU
U Algeciras
Valletta UM
Bergen
(ITF)
rus
Vladivostock
+7(0)423 251 2485
U
Chiba +81(0)90 9826 9411
ASIAN SUB-REGIONAL OFFICE RU
Tokyo +81(0)90 6949 5469
j UU
Seoul+82(0)2 716 2764
Yokohama +81(0)90 4673 5671
UU
U
Inchon rok U
Osaka +81(0)90 3196 0618
+82(0)32 881 9880 Pusan
+82(0)51 469 0401/0294
OFFICE
ASIA/PACIFIC REGIONAL OFFICE
Keelung
+886(0)2251 50302 U
rc
U Taichung
Calcutta +91(0)332 459 7598
U
U
Kaoshiung +886(0)2658 4514
+886(0)2 2515 0302
U ind
U Visakhapatnam
Mumbai
+91(0)891 2502 695
U Manila +63(0)2 536 82 87
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U Cebu City +63(0)32 256 16 72
Kochi U
rp
CL
+91(0)484 233 8249
U Colombo
R
+94(0)11 243 8326
ARAB wORLD OFFICE
AMMAN
+962 (0)6 582 13 66
AFRICAN REGIONAL OFFICE
NAIROBI
+254 (0)20 444 80 19
AFRICAN FRANCOPHONE OFFICE
OUAGADOUGOU
+226 (0)50 30 19 79
ASIA/PACIFIC REGIONAL OFFICE
NEw DELHI
+91 (0)11 2335 4408/7423
ASIAN SUB-REGIONAL OFFICE
TOKYO
+81 (0)3 3798 2770
aus
U Townsville
+61(0)7 4771 4311
Fremantle U
+61(0)8 9335 0500
Melbourne U
+61(0)3 9329 5477
U Sydney
+61(0)2 9267 9134
nz
wellington
U
+64(0)4 801 7613
Aberdeen
+44(0)1224 582 688
Algeciras
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Antwerp +32(0)3 224 3413
Barcelona
+34(0)93 481 2766
Batumi +995(0)222 70177
Bergen +47(0)55 230 059
Bilbao +34(0)94 493 5659
Bremen
+49(0)421 330 3333
Brest +33(0)2 98 85 21 65
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+40(0)241 618 587
Copenhagen
+45(0)33 36 13 97
Delfzijl +31(0)10 215 1166
Dublin +353(0)1 858 6317
Dubrovnik
+385(0)20 418 992
Dunkirk
+33(0)3 28 66 45 24
Gdynia
+48(0)58 661 60 96
Genoa +39(0)10 25 18 675
Gothenburg
+46(0)10 480 31 14
Hamburg
+49(0)40 2800 6811
Helsingborg
+46(0)31 42 95 31
Helsinki
+358(0)9 615 202 55
Istanbul
+90(0)216 347 3771
Kaliningrad
+7(0)401 265 6840
Klaipeda
+370(0)46 410 447
Le Havre
+33(0)2 35 26 63 73
Lisbon +351 (0)21 391 8150
Liverpool
+44(0)151 639 8454
Livorno +39(0)58 60 72 379
Marseille
+33(0)4 91 54 99 37
Naples +39(0)81 26 50 21
Norrköping
+46(0)10 480 3000
Novorossiysk
+7(0)861 761 2556
Odessa
+380(0)482 429 901
Oslo +47(0)22 825 824
Palermo +39(0)91 32 17 45
Piraeus +30(0)210 411 6610
Porsgrunn
+47(0)35 548 240
Riga +371(0)7 073 436
Rijeka +385(0)51 325 343
Rostock
+49(0)381 670 0046
Rotterdam
+31(0)10 215 1166
St Nazaire
+33(0)2 40 22 54 62
St Petersburg
+7(0)812 718 6380
Sibenik +385(0)22 200 320
South Shields
+44(0)191 455 1308
Stavanger
+47(0)51 840 549
Stockholm
+46(0)8 454 8405
Szczecin
+48(0)91 423 97 07
Tallinn +372(0)61 16 390
Taranto
+39(0)99 47 07 555
Tilbury
+44(0)20 8989 6677
Trieste +39(0)40 37 21 832
Turku +358(0)9 613 110
Umea +46(0)10 480 31 03
Valencia
+34(0)96 367 06 45
Valletta
+356(0)21 2 44451
Vigo +34(0)986 221 177
Zeebrugge
+32(0)2 549 1103
ITFインスペクター
➡
Trieste
● Paolo Siligato
Tel/Fax:+39(0)40 37 21 832
Mobile: +39(0)348 445 4343
Email: [email protected]
日本
千葉
●藤木茂
全国港湾労働組合連合会
〒144-0052 東京都大田区蒲田5-10-2
TEL +81 (0)50-1291-7326
FAX +81 (0)3-3733-2627
Mobile +81 (0)90-9826-9411
Email [email protected]
大阪
●高宮成昭
全日本海員組合
〒559-0033 大阪市住之江区南港中
8-1-34
TEL +81 (0)6-6612-1004
FAX +81 (0)6-6612-7400
Mobile +81 (0)90-3196-0618
Email [email protected]
東京
●大堀二三男*
全日本海員組合
〒106-0032 東京都港区六本木7-1526
TEL +81 (0)3-5410-8330
FAX +81(0)3-5410-8336
Mobile +81 (0)90-6949-5469
Email [email protected]
横浜
●飴俊博
全日本海員組合
〒221-0044 神奈川県横浜市神奈川
区東神奈川1-9-10
TEL +81 (0)45-451-5585
FAX +81 (0)45-451-5584
Mobile +81 (0)90-4673-5671
Email [email protected]
MEXICO
Manzanillo
● Honorio Aguilar
Tel/Fax: +52(0)314 332 8834
Mobile: +52(0)1 314 122 9212
Email: [email protected]
Veracruz
● Enrique Lozano
Tel/Fax: +52(0)229 932 1367 / 3023
Mobile: +52(0)1 229 161 0700
Email: [email protected]
NETHERLANDS
Delfzijl
● Ruud Touwen*
Tel: +31(0)10 215 1166
Fax: +31(0)10 423 3933
Mobile: +31(0)65 331 5072
Email: [email protected]
Rotterdam
● Debbie Klein
Tel: +31(0)10 215 1166
Fax: +31(0)10 423 3933
Mobile: +31(0)65 318 2734
Email: [email protected]
l Aswin Noordermeer
Tel: +31(0)10 215 1166
Fax: +31(0)10 423 3933
Mobile: +31(0)65 333 7522
Email:
[email protected]
Q
KENYA
Mombasa
● Betty Makena Mutugi
Tel/Fax: +254(0)41 249 1974
Mobile: +254(0)721 425 828
Email: [email protected]
KOREA
Inchon
● Jang Kyoung-Woo
Tel: +82(0)32 881 9880
Fax: +82(0)32 884 3228
Mobile: +82(0)10 5268 9346
Email: [email protected]
Pusan
● Sang Gi Gim
Tel: +82(0)51 469 0401 / 0294
Fax: +82(0)51 464 2762
Mobile: +82(0)10 3585 2401
Email: [email protected]
● Bae Jung Ho
Tel: +82(0)51 463 4828
Fax: +82(0)51 464 8423
Mobile: +82(0)10 3832 4628
Email: [email protected]
Seoul
● Hye Kyung Kim*
Tel: +82(0)2 716 2764
Fax: +82(0)2 702 2271
Mobile: +82(0)10 5441 1232
Email: [email protected]
LATVIA
Riga
● Norbert Petrovskis
Tel: +371(0)7 073 436
Fax: +371(0)7 383 577
Mobile: +371(0)29 215 136
Email: [email protected]
LITHUANIA
Klaipeda
● Andrey Chernov
Tel/Fax: +370(0)46 410 447
Mobile: +370(0)699 28198
Email: [email protected]
MALTA
Valletta
● Paul Falzon
Tel: +356 (0)21 2 44451
Fax: +60(0)37 955 1058
Mobile: +60(0)12 292 6380
Email: [email protected]
24
NEw ZEALAND
wellington
● Grahame McLaren
Tel: +64(0)4 801 7613
Fax: +64(0)4 384 8766
Mobile: +64(0)21 292 1782
Email: [email protected]
NIGERIA
Lagos
● Henry Akinrolabu
Tel/Fax: +234(0) 1 793 6150
Mobile: +234(0)803 835 9368
Email: [email protected]
NORwAY
Bergen
● Tore Steine
Tel: +47(0)55 230 059
Fax: +47(0)55 900 152
Mobile: +47(0)90 768 115
Email: [email protected]
Oslo
●Angelica Gjestrum*
Tel: +47(0)22 825 824
Fax: +47(0)22 423 056
Mobile: +47(0)97 729 357
Email: [email protected]
Porsgrunn
●Truls M Hellenes
Tel: +47(0)35 548 240
Fax: +47(0)35 548 023
Mobile: +47(0)90 980 487
Email: [email protected]
Stavanger
●Aage Baerheim
Tel: +47(0)51 840 549
Fax: +47(0)51 840 501 / 502
Mobile: +47(0)90 755 776
Email: [email protected]
PANAMA
Panama City
● Luis Fruto
Tel: +507(0)264 5101
Fax: +507(0)269 9741
Mobile: +507(0)6617 8525
Email: [email protected]
PHILIPPINES
Cebu City
● Joselito O Pedaria
Tel: +63(0)32 256 16 72
Fax: +63(0)32 253 25 31
Mobile: +63(0)920 970 0168
Email: [email protected]
Manila
● Rodrigo Aguinaldo
Tel: +63(0)2 536 82 87
Fax: +63(0)2 536 82 86
Mobile: +63(0)917 811 1763
Email: [email protected]
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
POLAND
Gdynia
● Andrzej Koscik
Tel: +48(0)58 661 60 96
Fax: +48(0)58 661 60 53
Mobile: +48(0)602 233 619
Email: [email protected]
Szczecin
● Adam Mazurkiewicz
Tel: +48(0)91 423 97 07
Fax: +48(0)91 423 93 30
Mobile: +48(0)501 539 329
Email:
[email protected]
PORTUGAL
Lisbon
● João Pires
Tel: +351 (0)21 391 8150
Fax: +351 (0)21 391 8159
Mobile: +351 (0)91 936 4885
Email: [email protected]
PUERTO RICO
San juan
●Felipe García-Cortijo
Tel: +1787(0)783 1755
Fax: +1787(0)273 7989
Mobile: +1787(0)410 1344
Email: [email protected]
ROMANIA
Constanta
●Adrian Mihalcioiu
Tel: +40(0)241 618 587
Fax: +40(0)241 616 915
Mobile: +40(0)722 248 828
Email: [email protected]
RUSSIA
Kaliningrad
● Vadim Mamontov
Tel: +7(0)401 265 6840 / 6475
Fax: +7(0)401 265 6372
Mobile: +7(0)906 238 6858
Email: [email protected]
Novorossiysk
● Olga Ananina
Tel/Fax: +7(0)861 761 2556
Mobile: +7(0)988 762 1232
Email: [email protected]
St Petersburg
●Sergey Fishov*
Tel/Fax: +7(0)812 718 6380
Mobile: +7(0)911 096 9383
Email: [email protected]
● Kirill Pavlov
Tel/Fax: +7(0)812 718 6380
Mobile: +7(0)911 929 0426
Email: [email protected]
Vladivostock
● Petr Osichansky
Tel/Fax: +7(0)423 251 2485
Mobile: +7(0)423 270 6485
Email: [email protected]
SOUTH AFRICA
Cape Town
● Cassiem Augustus
Tel: +27(0)21 461 9410
Fax: +27(0)21 462 1299
Mobile: +27(0)82 773 6366
Email: [email protected]
Durban
●Sprite Zungu*
Tel/Fax: +27(0)31 706 1433
Mobile: +27(0)82 773 6367
Email: [email protected]
SPAIN
Algeciras
●José M Ortega*
Tel: +34(0)956 657 046
Fax: +34(0)956 632 693
Mobile: +34(0)699 436 503
Email: [email protected]
Barcelona
● Joan Mas García
Tel: +34(0)93 481 2766
Fax: +34(0)93 298 2179
Mobile: +34(0)629 302 503
Email: [email protected]
Bilbao
●Mohamed Arrachedi
Tel: +34(0)94 493 5659
Fax: +34(0)94 493 6296
Mobile: +34(0)629 419 007
Email:
[email protected]
Las Palmas
● Victor Conde
Tel: +34(0)928 467 630
Fax: +34(0)928 465 547
Mobile: +34(0)676 057 807
Email: [email protected]
Valencia
●Juan Ramón García
Tel: +34(0)96 367 06 45
Fax: +34(0)96 367 1263
Mobile: +34(0)628 565 184
Email: [email protected]
Vigo
● Luz Baz
Tel/Fax: +34(0)986 221 177
Mobile: +34(0)660 682 164
Email: [email protected]
SRI LANKA
Colombo
●Ranjan Perera
Tel: +94(0)11 243 8326 / 248 3295
Fax: +94(0)11 278 5091
Mobile: +94(0)77 314 7005
Email: [email protected]
SwEDEN
Gothenburg
●Göran Larsson
Tel: +46(0)10 480 31 14
Fax: +46(0)31 13 56 77
Mobile: +46(0)70 626 77 88
Email: [email protected]
●Göran Nilsson
Tel: +46(0)10 480 31 21
Fax: +46(0)31 13 56 77
Mobile: +46(0)76 100 65 12
Email: [email protected]
Helsingborg
● Sven Save
Tel: +46(0)31 42 95 31
Fax: +46(0)31 42 95 01
Mobile: +46(0)70 57 49 713
Email: [email protected]
Norrköping
● Hakan Andre
Tel: +46(0)10 480 3000
Email: [email protected]
Stockholm
●Annica Barning
Tel: +46(0)8 454 8405
Fax: +46(0)8 411 6940
Mobile: +46(0)70 57 49 714
Email: [email protected]
Umea
● Fredrik Bradd
Tel: +46(0)10 480 31 03
Fax: +46(0)90 12 57 22
Mobile: +46(0)76 100 64 45
Email: [email protected]
TAIwAN
Kaoshiung
●Tse-Ting Tu
Tel: +886(0)2251 50302
Fax: +886(0)2250 78211
Email: [email protected]
Keelung
● Huang Yu-Sheng*
Tel: +886(0)2251 50302
Fax: +886(0)2250 78211
Mobile: +886(0)933 906 398
Email: [email protected]
Taichung
●Sanders Chang
Tel: +886(0)2658 4514
Fax: +886(0)2658 4517
Mobile: +886(0)955 415 705
Email: [email protected]
TURKEY
Istanbul
●Muzaffer Civelek
Tel: +90(0)216 347 3771
Fax: +90(0)216 347 4991
Mobile: +90(0)535 663 3124
Email: [email protected]
UKRAINE
Odessa
●Nataliya Yefrimenko
Tel: +380(0)482 429 901 / 902
Fax: +380(0)482 429 906
Mobile: +380(0)503 366 792
Email:
[email protected]
UNITED KINGDOM
Aberdeen
●Neil Keith
Tel: +44(0)1224 582 688
Fax: +44(0)1224 584 165
Mobile: +44(0)7764 2768
Email: [email protected]
Bristol
●Bill Anderson
Tel/Fax: +44(0)151 427 3668
Mobile: +44(0)7876 794 914
Email: [email protected]
Liverpool
● Tommy Molloy
Tel: +44(0)151 639 8454
Fax: +44(0)151 346 8801
Mobile: +44(0)7764 182 768
Email: [email protected]
Tilbury
●Chris Jones
Tel: +44(0)20 8989 6677
Fax: +44(0)20 8530 1015
Mobile: +44(0)7921 022 600
Email: [email protected]
UNITED STATES
Baltimore
●Arthur Petitpas
Tel: +1(0)410 882 3977
Fax: +1(0)410 882 1976
Mobile: +1(0)443 562 3110
Email: [email protected]
Houston
●Shwe Tun Aung
Tel: +1(0)713 659 5152
Fax: +1(0)713 650 8629
Mobile: +1(0)713 447 0438
Email: [email protected]
Los Angeles
●Stefan Mueller-Dombois
Tel: +1(0)562 493 8714
Fax: +1(0)562 493 7190
Mobile: +1(0)562 673 9786
Email: [email protected]
Miami
●Hans Saurenmann
Tel: +1(0)321 783 8876
Fax: +1(0)321 783 2821
Mobile: +1(0)305 360 3279
Email: [email protected]
Morehead City
●Tony Sacco
Tel/Fax: +1(0)252 726 9796
Mobile: +1(0)252 646 2093
Email: [email protected]
New Orleans
●Dwayne Boudreaux*
Tel: +1(0)504 581 3196 (ext 7)
Fax: +1(0)504 568 9996
Mobile: +1(0)504 442 1556
Email:
[email protected]
New York
● Enrico Esopa*
Tel: +1(0)718 499 6600 (ext 240)
Fax: +1(0)718 832 8870
Mobile: +1(0)201 417 2805
Email: [email protected]
Portland
●Martin Larson
Fax: +1(0)503 286 1223
Mobile: +1(0)503 347 7775
Email: [email protected]
Puerto Rico
See separate listing for Puerto Rico
Seattle
● Lila Smith
Tel: +1(0)206 533 0995
Fax: +1(0)206 533 0996
Mobile: +1(0)206 818 1195
Email: [email protected]
●Jeff Engels*
Tel: +1(0)206 633 1614
Fax: +1(0)206 675 1614
Mobile: +1(0)206 331 2134
Email: [email protected]
Tampa
●Tony Sasso
Tel: +1(0)321 784 0686
Fax: +1(0)321 784 0522
Mobile: +1(0)321 258 8217
Email: [email protected]
*Denotes ITF coordinator
www.itfseafarers.org
女 性
海事労組の女性活動家が
リーダーシップについて議論
組合で
トップを
目指して
ボジャナ・マノジュロヴィク著
組合の指導者の素質とは?組織戦略の成功のカギは?組
織労働者の減少という世界的傾向を食い止め、交通運輸労
働者の団結を図り、集団の力で世界の労働者のために、よ
りよい未来を築くには?
これらは、2011年10月に米国メリーランド州、パイ
ニーポイントのポール・ホール海事研修センターでITFが
6日間にわたり開催した「海事労組の女性活動家のための
戦略的リーダーシップ・組織化会議」で、世界25カ国の
女性活動家37人に投げかけられた質問の一部だ。同セン
ターは、ITFに加盟する国際船員組合(SIU)が運営してい
る。
会議参加者は、男性が支配的な海事産業で働く女性労働
者の日々直面する問題について話し合ったほか、ハーバー
ド・ロースクールの「労働と勤労生活プログラム」のエレ
ーン・バーナード事務局長の指導の下、組合の組織戦略や
教育の役割について検討した。
全参加者が、教育や知識なしには、労働時間の改善、雇
用契約期間の縮小、産休期間の拡大、安全な労働環境の確
保といった目標は達成できない、との意見で一致した。
スウェーデンの船員組合、SEKOのアニカ・バーニングITFコーディネーター
(左)とVerdi(ドイツ)のスーザン・リンダーカンプITFインスペクター
⇒ボジャナ・マノジュロヴィクは、クロアチア船員組合
(SPH)の職員。
人生を楽しみたい人は、海へ出なさい!
「海事労組の女性活動家のための戦略的リーダ
ーシップ・組織化会議」で最も活発だった参加
者の一人が、北米国際海員組合(SIU)のベッキ
ー・スリーパー(写真)だ。セントルイスでポー
ト・エージェントを務めるベッキーの組合員歴
は27年。
「ベテランの女性船員だからこそ、この特殊な
職業を若い女性に勧められる」とベッキーは言
う。「確かに厳しい仕事だが、組合が常に側に
いて、助けてくれる。女性も男性も、刺激的で
満たされた人生を送ることができる」
「28歳で組合初の女性役員に就任した後、カジ
www.itfseafarers.org
ノ船の組織化を支援するためにイリノイに派遣
された。とても刺激的な経験だった。その後、
ゆっくりと、しかし着実にキャリアを積んでい
った。今でも学び、成長し続けている。私の人
生はすばらしいと思う。誰だって、すばらしい
人生を歩むことができる。私の息子は、大学で
1年間学んだ後、家に戻り、大学は自分には向
いてない、船員になれるかと聞くので、もちろ
んなれると答えた。同じく、船員になることを
希望する15歳の娘にも、同じ答えを返してい
る。人生を楽しみたい人は海に出なさい!と」
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
23
女 性
家庭を大切に出来る雇用契約を
ジャクリーン・スミス(写真)は、2006年以来、
ノルウェー船員組合の委員長を務めている。
組合は何に力を注ぐべきか?
船員組合は適正な賃金・労働条件の確保に努めるべきだ。
伝統的な海運国の船員の労働条件を切り下げるために労働供
給国の船員が利用されてはならない。公平性が重要
だ、互いに必要な存在なのだから。適正な賃金・
労働条件を確保し、全ての船員が差別されるこ
となく、同一労働同一賃金の原則が守られる
よう活動していく必要がある。
女性船員の労働条件向上のために
何ができるか?
より多くの女性船員を海に送り出したけ
れば、既に女性が乗り組んでいる船に配乗
することだ。船員の仕事は本来、孤独なも
のである。(女性乗組員は通常いない。)小
型貨物船は特にそうだ。海事産業で働く女性
は増えているが、女性船員が船内で孤立しな
いように配慮する必要がある。
通常は9カ月程度の契約期間を短縮することも重要だ。外
航の場合、乗船ごとに雇用契約が締結されるので、下船すれ
ば雇用契約も終了となる。これでは、家族に優しい雇用形態
とは言えない。継続雇用や、2対1あるいは4対2の休暇制
度を推進すべきだ。そうすれば、女性船員にも家庭を持つ道
が開かれる。現在、多くの女性船員が出産を機に船を
下りている。家庭を抱えながら海に戻るのは、ほぼ
不可能だ。
組合の全レベルで、活発な運動や率
先力を根付かせるには? 組合活動に参加し、自分の生活・労働働
条件に責任を持つよう、組合員に呼び掛け
る必要がある。また、教育活動も重要だ。
自分には仲間を代表する力があると感じら
れるよう、様々なツールを与えなければなら
ない。自分たちの権利について知り、それら
を主張する方法も学ばせなければならない。
初めて訪船した時、船長に面会を拒否された。
会う価値のない人物と判断されたのだろう。
ベッティーは22年以上、モンバサ港で
働いている。ITFの女性活動や青年活動に
も積極的に参加し、組合活動家としてのス
キルを身につけてきた。
組合に関わり始めたきっかけを尋ねる
と 、 ベ ッ ティ ー は 次 の よ う に 語 っ た 。
「男性が支配的な職場の女性の多くは、
男 性 に ま か せ て お け ば い い と 考 えて い
る。しかし私は、やって見なければ分か
らない、と言ってきた。アフリカの組合で
は、女性に対する同情心から、女性に名
ばかりの役割が与えられることがある。
しかし、港湾の世界では、それすらな
い」
ベッティーは続ける。「私はポジショ
ンを求め、それを勝ち取ってきた。モンバ
サ港では女性労働者が非常に少ない。男
性と女性では課題も違う。しかし、熱い
24
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
組合魂を持ち、経営の前で堂々と主張で
きる女性がいれば、男性もサポートするだ
ろう」
ベッティーがITFインスペクターとして
初めて訪船した時、船長はベッティーと
面会するために船を下りてくるのを拒否し
た。女性だから無視してよいと思ったのだ
ろう、とベッティーは言う。
しかし、ベッティーはあきらめず、粘り
に粘った末、船長との面会を果たし、乗
組員の賃金問題を解決した。
「船長は私を一瞥し、女性だから重
要ではない、と判断したのだろう。し
かし、私は重要なのだ。女性として
も、ITFインスペクターとしても」
ここ20年間で、港での女性活動
家の扱われ方は大きく進歩したとい
う。かつては、女性は役割(形式的な
役 割 に 過 ぎな い が )を 与 え ら れて
も、意見を聞いて貰えず、国内や国
際の会議にも参加させて貰えなかっ
た。
しかし今は、進歩的な組合指導者
のおかげで、女性組合員が自分たちの
役割を自覚しつつある。「従来、女性た
ちは、台所での役割しか期待されていな
いと考えてきたが、今や多くの女性が外に
出始めた。女性は外に出なければならな
い」とベッティーは言う。
⇒ベッティーのインタビューは、
www.youtube.com/watch?v=ia1j2Ab
bT40.で視聴できる。
Erik Nielsen
ベッティー・マケナ・ムツギ(写
真)は、ケニヤ港湾労組(DUK)の役
員であると同時に、ITFの11番目
の女性インスペクターだ。女性イ
ンスペクターの数は5年前に比べ
て倍増している。
東ティモール
組合、オフショア産業で
地元労働者の雇用権を主張
ITFオフショア・タスクフォース議長
ノリ・マクビカー
2002年5月20日にインドネシアから独立を
確保して以降、ティモールレステ(東ティモー
ル)は不安定ながらも民主主義国家としてスタ
ートした。海と陸の両方で新たに発見された潤
沢な石油やガス資源は、適切に管理されるなら
経済的にも政治的にも救世主となってくれるか
もしれない。
ITFは国際船員開発プログラムを通じ、オー
ストラリア海事組合(MUA)と協力しながら、特
に海事・オフショア石油・ガス産業の労働運動
の強化を助けるなど、東ティモールの労働者に
実質的な支援を提供してきた。
主な取り組みは、2006年に始まった。ITF
は、東ティモールの労働ナショナルセンター
(KSTL)と海事エネルギー運輸労組(SMETTL)の
招待を受け、東ティモールでセミナーを開催し
た。その目的は、海事・オフショア産業の雇用
と訓練を地元出身者のために確保するよう、テ
ィモール政府を説得することだった。
当時は、雇用に適した地元の船員やスキルを
もったオフショア労働者は殆ど存在しなかった
し、東ティモール政府と油田やガス田の掘削・
開発契約を結んだコノコ・フィリップスのよう
な企業は、地元の労働者を訓練して雇う気があ
るようには思えなかった。
転換点は、2008年に訪れた。ITFがアルフレ
ッド・ピレス天然資源大臣と会談した際に、東
ティモール政府はオーストラリアやノルウェー
の政府と労働組合のアドバイスに従い、石油や
ガスの掘削・開発に、これらの国の優良モデル
を採用すると確約したのだ。
その後、ITFは船員、港湾労働者、オフショ
ア石油・ガス労働者の訓練を促進するため、テ
ィモール開発調整委員会を立ち上げた。この委
員会は、新たなオフショア産業だけでなく、東
ティモールのあらゆる産業で最良の雇用慣行の
基礎を築くことも目的としていた。
東ティモールの漁船員の訓練を支援し、彼ら
のスキルレベルを国際海事機関(IMO)の船員の
訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する条
約(STCW条約)の要件レベルまで引き上げるた
め、インドネシア船員組合(KPI)が支援を約束
してくれた。
www.itfseafarers.org
東ティモール政
府と油田やガス
田の掘削・開発
契約を結んだコ
ノコ・フィリッ
プスのような企
業は、地元の労
働者を訓練して
雇う気があるよ
うには思えなか
った
東ティモールのSMETTLの第2回大会にはITFオフ
ショアタスクフォースのメンバーが駆けつけた
ITFやKPIと協力し、ノルウェーのエネルギー
労働者組合(IE)が、2009年にジャカルタのマ
リタイム・アカデミーで教育を受ける最初の訓
練生25名分の学費を援助してくれた。
2011年9月には、その2倍の学生が入学し
た 。 50名 か ら な る ク ラ ス の 生 徒 は 全
員、SMETTLかKPIの組合員だ。
ITFとKPIの協力のもと、IEも昨年10月に、
ティモール海における雇用機会に関するセミナ
ーを首都ディリで開催した。
ITFマリタイム・コーディネーターのスティー
ブ・コットンは、これらの進展を歓迎し、
「ITFとノルウェーやインドネシアのITF加盟組
合が、東ティモールで進めている活動を誇りに
思う。彼らは東ティモールの組合と労働者のた
めに、真の意味での連帯と支援を寄せるため団
結した」と述べた。
「他の国でしばしばそうであるように、石油
とガスの掘削が労働者に災いをもたらすのでは
なく、恩恵をもたらすものになるよう担保した
点で、ITFのサクセスストーリーと言える」
⇒ITFの国際船員開発プログラムは、マダガス
カルでも同様に新設の海事組合を支援してい
る。詳細は裏面を参照のこと
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
25
マダガスカル
ITFのレスリー・ホスナー海事研修開発スーパーバイザー
は、ITFとフランスの民主労働総連合(CFDT)が、いかにしてマ
ダガスカルの船員・港湾労働者・漁船員を組織するSYGMMA
の誕生に一役買ったかを語る。
海事労組
の誕生
26
2002年10月、エルベン号(パナマ籍)の
一等航海士だったRHルシアンは、マダガ
スカル人の他の乗組員12人と共に、ITF協
約締結を要求し、ストを通告した。この知
らせを受けたフランス在住のITFインスペ
クター、フランソワ・カイルは、ルシアン
に会い、マダガスカル船員のための組合を
作ることを提案した。
フランスのナショナルセンターである民
主労働総連合(CFDT)の代表団と、CFDT・
ITF合 同 代 表 団 の マ ダ ガ ス カル 訪 問 を 経
て、2003年5月にマダガスカル海事労組
(Sygmma)が誕生、同年後半にITFに加盟
した。
2003年2月にCFDT視察団の一員とし
てマダガスカルを訪問した際、カイルはト
アマシナ州に寄港中のマリノン・ドゥフレ
スン号(フランス籍)内でMギルバートほか
20人 の マ ダ ガ ス カル 人 乗 組 員 と 面 会 し
た。彼らは船員にすら位置付けられておら
ず、ILOレートを大幅に下回る賃金しか受
け取っていなかった。また、差別的な待遇
も受けていた。マリノン・ドゥフレスン号
はブレスト(フランス)で乾ドックに入る予
定になっており、乗組員らはマネージャー
との面会を数回申し入れた後、全員でスト
を決行した。その4日後、会社側はITF協
約に署名した。
Sygmmaは現在、海事産業全体に2,000
人の組合員を擁する。インフラが脆弱で通信
も困難、インターネット普及率がたった
10%というマダガスカルで、組合を強化・
発展させるべく、書記長となったルシアン
は日夜努力を続けている。
2011年9月、船員、港湾労働者、漁船
員、計50人が、トアマシナで開かれたITF
の3日間のセミナーに参加した。
セミナー参加者は、このセミナーや組合
に何を望むかと問われたところ、口をそろ
えて、船員としての権利、組合への関わり
方、ITFの支援について知りたい、と答え
た。
最 初 の 二 日 間 は 、 ITFや 便 宜 置 籍 船
(FOC)キャンペーン、各種国際条約や海事
労働条約(MLC)で保障される権利のほか、
セミナー参加者は、口
をそろえて、船員とし
ての権利、組合への関
わり方、ITFの支援に
ついて知りたい、と答
えた
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
www.itfseafarers.org
自分たちの団体協約に何が記載されている
のか、自分たちの権利を確保するためにど
うしたらよいかなどを学んだ。
FOCに関するメキシコシティー・ポリシ
ー(2010年)の一部であるITF船員憲章につ
いても学び、同憲章に規定されている組合
の義務をSygmmaが満たしていることを確
認した。
セミナーは主にフランス語で行われた
が、フランス語が得意でない者のためにル
シアンはマダガスカル語の通訳を買って出
た。英語しか話さないオフィサー(職員)に
権利を要求する練習として、英語によるロ
ール・プレーイングが行われ、参加者は船
長やAB船員の役を演じた。中には印象に
残る名演技もあった。
また、争議の体験談も語られた。ITFと
Sygmmaの支援を受けながら、1年間の闘
争の末に7カ月分の給与を受け取った船員
19人 の う ち の 一 人 が、 そ の 体 験 を 語 っ
た。さらに、海難事故の犠牲となった夫の
補償金を請求する際、Sygmmaに援助して
もらった女性が勇敢なスピーチを披露し
た。
セミナー最終日は終日、盛り上がりをみ
せた。
初めに、ITF海事組合開発プログラムの
リー・キャッシュが組織化のセッションを
行い、参加者は様々なアイデアを出し合っ
た。
最後は、参加者全員がITFの会議でよく
歌われる「ソリダリティー・フォーエバー
(連帯は永遠に)」などの組合歌を熱唱する
ことで、「皆が一つの声で同じ歌を歌う」
ことがいかに効果的であるかを実証し、幕
を閉じた。
参加者は、Sygmmaがしっかりと組織され
た、ダイナミックで対応力のある組合にな
ってほしいとの期待を抱きつつ、自分たち
が作成した計画を実現するには、自ら組合
に積極的に関与すべきことで意見の一致を
みた。
トアマシナで書記を務めるSygmmaのマ
リオ・ラコトンドラマナナは、最近着手し
たトアマシナ港のマッピングについて語
り、組合に情報を提供し続けることが組合
の成長にとって非常に重要だということを
参加者に示した。
ITFは、Sygmmaのように民主的かつ活
発で、組織拡大に務めている組合を支援す
ることが重要だと主張してきたが、このセ
ミナーは正にそれを証明したと言える。献
身的な役員の下で、活動家の基盤を拡大し
つつあるSygmmaは、地域を超えて他の交
通運輸労組のモデルとなることをITFは確
信している。
写真:ITFがトアマシナで開催したセミナーの
参加者。最下の写真でマイクを持っているのが
ITFインスペクターのフランソワ・カイル
www.itfseafarers.org
ITF
左:船員センタ
ー前に停車中の
新しい車
右:2011年にオ
ープンしたチッ
タゴンの船員セ
ンター
ITF船員トラストの
ハングラデシュ海運
相と面会
ITF船員トラストのトム・ホーマー
(写真左から3人目)が2011年3月、
船員センター支援のための賦付金に
ついて合意するために、バングラデ
シュのシャジャハン・カーン(写真中
央)海運相と面会した。この面談は、
チッタゴン港の船員センター開所式
の後に行われた。開所式には、IMO
のミトロポロス事務局長も出席し
た。面談に加わったのは、アブドゥ
ル・マンナン・ホーレーダー海運局
長(右から3人目)、バズラー・ラー
マン海運部長(左から2人目)、エム
ダドゥル・ハーク・チョードリー船
員 福 祉 国 際 委 員 会 南 ア ジ ア
(ICSWSA)会長(右端)、シャフィク・
ラーマンバングラデュ船員組合委員
長(右から二人目)、マフズル・ケイダ
ー 船 員 海 外 移 住 者 福 祉 局 職 員 (左
端)。
28
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
ITF船員トラスト運営役員
トム・ホルマー
船員センターを訪れたこと
は?ミッションの車で船からセ
ンターへ送迎してもらったこと
は?港で電話やインターネット
を利用したことは?もし、これ
らの経験があるなら、貴方も
ITF船員トラストの恩恵を受けた可能性が
ある。ITF船員トラストは、これらのサー
ビ ス を 提 供 するた め の 基 金 だ 。 今 度 、
我々のステッカーやネームプレートを探し
てみてほしい。
ITF船員トラストは、ITFの慈善活動部門
で、船員とその家族を支援するための数々
のプロジェクトに資金を提供している。資
金は、直接船員に手渡すのではなく、港で
船員を出迎え、センターに送迎し、憩いの
時間を提供するサービスを担っている人々
を支援するために費やされる。
2011年に30周年を迎えた。各国の港
で船員が温かいもてなしを受けるよう、
この30年間、92カ国でプロジェクトを実
施し、2億ドル以上を費やしてきた。
船員はプロの職業であり、慈善事業な
ど必要ないと考える人もいるかもしれな
い。しかし、安価な料金で家族へ電話を
かけたり、店に気軽に立ち寄ったり、礼拝
する場所を見つけたり等々、陸で暮らす
我々にとって当たり前のことが、船員に
とってはそうでないことが多々ある。上
陸できない時には、これらのサービスを
船に届けてくれる人が必要となろう。ま
た、仲間の乗組員以外の人と会話すると
いう贅沢を楽しみたいと感じることがあ
るかもしれない。
我々は、このような基本的なことを世
界各国の港で提供したいと考えている。
そして、そのために多くの人々が我々と
共に活動をしている。
台中の新センター
2011年、台中(台湾)に新しい船員セン
タ ー が オ ープ ン し た。 中 華 海 員 総 工 会
ご存じですか?
問題に直面した船員を支援するための緊急船員基金があるのをご存じだろうか。
この基金は商船船員が緊急事態に直面した時、最大5,000ドルを緊急援助するも
のだ。これまで、病気になった船員の親類が病院に駆けつけるための航空運賃を補
助したり、外国で法律上のトラブルに直面し、食料や避難場所が必要となった船員
を支援したりしてきた。支援金はITFインスペクターやポートチャプレン(港湾牧
師)、真正な福利団体を通じて支給されるので、これらに連絡を取り、問題に関与
してもらうことが重要だ。基金は、ITF船員トラストとTKファンデーションが共同
で拠出している。
www.itfseafarers.org
船員トラスト
アビジャン港(コートジボワー
ル)での訪船活動。訪船は、船
員トラストが資金提供する重要
なサービスの一つだ
シラチャ(タイ)
の船員センター
の マネー ジ ャ
ー、アピンジ
ャ・タジさん
活動
船員トラストのウェブサイト
⇒ITF船員トラストのウェブ
サイトをご覧ください
(www.itfglobal.org/seafare
rs-trust)。トラストの活動や
資金拠出事業のリストが掲載
されています。
⇒ブログにコメントを入れて
ください。どのような意見で
もかまいません。Eメールに
よる投稿も歓迎します。
([email protected])
(NCSU)とAOSの合同事業として建設され
たこの船員センターは、バースに非常に
近い位置にあり、車両での送迎サービス
や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・ サ ービ ス に 加
え、数多くの温かいもてなしを提供して
いる。
ITF船員トラストは最近、サントス港(ブ
ラジル)のドイツ船員ミッションとステラ
マリスセンターに、コンピューターと備品
の購入資金を贈呈した。近年、サントス
港では船員の上陸が難しくなっている。
しかし、だからといって、寄港船舶がなく
なるわけではない。「毎日、様々な国、
文化、宗教、言語の人たちとコミュニケ
ーションする能力が求められる。訪船には
全力で当たっている」と、ある職員は報
告する。
2011年は、バリやトリニダード等の
26港の車両購入資金や、ブラジルやツバ
www.itfseafarers.org
ハンブルグ・ア
ルトナ・クルー
ズ船センターで
インターネット
を利用する船員
たち
ル等の12の船員センターの改修資金、フ
ィリピンとドイツの船員センターの家具
やゲームの購入資金を提供した。このほ
か、90に及ぶ船員支援プロジェクトにも
資金援助を行った。
インドネシア、ベトナム、台湾、タイ、
シンガポール、マレーシア、カンボジア、
フィリピンで実施されている船員福利施
設拡充プログラムにも資金提供している。
これらのプログラムは、船員福祉国際委
員 会 (ICSW)が 運 営 する。 ICSWの ニ ョ マ
ン・ブディアサ東南アジアコーディネータ
ーが最近マニラを訪れ、シーメンズ・ク
リ スチ ャ ン ・ フ レ ン ド ・ ソ サ エティ ー
(SCFS)センターにコンピューター数台と
車一台を贈呈した。
船員を支援する人々の支援も行ってい
る。船員センターのマネージャーやポート
チャプレンを対象とする船員センター相
互交流研修コースや、卓越した船員福利サ
ービスを提供した企業、船員センター、
港 湾 を 表 彰 する ICSWの 表 彰 式 (2011年
12月にILO主催で実施)にも資金を提供し
ている。
シンガポールの研修コース
最近では、船員福祉団体のスタッフを
対象とする一週間の研修コースをシンガポ
ールで実施した。参加者は業務計画や予
算の作成について助言を受けたほか、訪
船を日課とし、寄港した船員と友人にな
ることを奨励された。ITF船員トラストの
ロ イ ・ ポール は 「 訪 船 は 友 好 活 動 だ 。
我々は皆、海事コミュニティーの中でパ
ートナーとして働いているということを
示すものだ」と語る。
コース参加者は、船員の健康、ICSWの衛
生キャンペーン資料の活用、交通運輸産業
におけるHIV-エイズ、船員センター成功の
ための10の黄金律、ボランティアの活動に
ついても議論した。虐待・搾取されただけ
だった低賃金の漁船員の仕事に就いた、忘
れられた船員に関する非常に強烈なプレゼ
ンテーションも行われた。
ITF船員トラストには、まだまだやるべ
きことがたくさんある。船員施設の拡充
だけでは不十分だ。船員の健康、海賊、
孤立・いじめ・嫌がらせ、安価で利用しや
すいコミケーション設備の不足等の問題
にも対応し、船員とその家族がより幸福
な生活を送れるよう、我々の資金を活用し
ていかなければならない。
各国の組合の好意や海運業界関係各位
の協力によって、船員の労働・生活環境の
向上を達成したい。
ブラジル、カンボジ
ア、ドイツ、インドネ
シア、マレーシア、フ
ィリピン、シンガポー
ル、台湾、タイ、トリ
ニダードトバコ、ツバ
ル、ベトナム・・・
ここ1年間にITF船員トラストが資金
提供するプロジェクトが実施された
国
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
29
☎
ITFは、年中無休、24時間体制の電話紹介サービ
スを、間もなく開始する予定です。FOC船に乗り
組む船員が、世界のどこにいてもITFから支援を
受けやすくするためです。
ITFグローバル・サポートラインは、グローバル
なワンストップ紹介システムです。マルチリンガ
ルのオペレーターが、まず皆さんに最初のアドバ
イスを行い、世界中の港で活躍する130人以上も
のITFインスペクターなど最も適切なITFの担当者
に、あなたの問題や問い合わせを引き継ぎます。
ITF・HIV/エイズ・コーディネーター
アシフ・アルタフ
一定の労働者グループは、仕事がら、特
にHIVウィルスに感染したり、他人に感染
させたりするリスクが高い。非常に移動性
が高く、性的にアクティブな男性がほぼ全
員の職場であり、長期間にわたり家から離
れて働いている船員労働の状況は、極めて
高リスクの行動を誘発する可能性がある。
同時に、船員労働の状況から、HIV/エイ
ズの予防や治療および関連情報を手に入れ
るのが難しい可能性もある。
殆どの研究が陸上で働く交通運輸労働者
に焦点を当てているが、出身地域の人口で
比較した場合、船員のHIV感染率は通常、
極めて高い。また、船員は、HIV感染やリ
スク要因について認識レベルが低いことも
調査から分かっている。
国連児童基金(UNICEF)や国連合同エイ
ズ計画(UNAIDS)などの国連機関は、東南
アジアのメコン河流域出身の船員の22パー
セントがHIVウィルスに感染している可能
性 が あ る と 推 計 し て い る 。 UNAIDS が
2007年に発表した報告書によれば、フィ
リピンで報告されているHIV感染者の35パ
ーセントが外国人労働者であり、33パーセ
ントは船員である。
グ ロ ー バ ル レ ベ ル で は 、 こ の 30年 間
に、HIV/エイズの予防や治療の面で大きな
進展があったが、新規感染者の総数は一日
7000人で高止まりしている。UNAIDSの
最新の推計では、患者・感染者は3400万
人で、約3000万人がエイズに起因する理
由で死亡している。
ITFは、HIV/エイズが労働組合の中核的
問題だ、と絶えず訴えてきた。職場こそ、
予防や治療、ケアを受けるための入り口だ
とITFは考える。HIV/エイズ問題は、ITFイ
また、船員の皆さんは、ITFロンドン本部や世界
150カ国に所在するITFの加盟海事組合から、支
援やアドバイスを受けることもできます。
さらに、ITFと加盟組合は、非営利の船員福祉団
体や世界中の政府の海事関係省庁とも協力関係を
維持しています。
ITFグローバル・サポートライン
年中無休、24時間利用可能
2011年の国際エイズデーにインドネシア船員
組合が行ったイベント
HIV/エイズ
HIV陽性だが…
沈黙を破って
ウクライナのオデッサにある国立海事アカデミーで訓練生が行ったキャンペーン
恐怖や偏見と
闘って
ンスペクター研修の中に組み込まれてい
る。船員の健康情報プロジェクトを通じ
て作成したHIV/エイズ資材を、世界中の
船員センターに間もなく、配布する予定
だ。
独自で、あるいは他団体と協力して、職
場でHIV/エイズプログラムを展開してい
るITF船員組合も着実に増えている。
●メキシコの加盟組合のASOMMMNは、
タンピコ船員学校のカデットを対象にし
たHIV/エイズ意識向上プログラムを開始
した。今後は、同様のプログラムをメキ
シコ全土の船員学校で実施する予定だ。
●インドネシア船員組合(KPI)とノルウェ
ー船員組合は、乗船前のHIV/エイズ教育
プログラムを実施している。また、船員の
家族を対象に、HIV/エイズ意識向上セミ
ナーを実施している。
●イ ン ド 船 員 組 合 (NUSI)の 青 年 委 員 会
も、インド各地で定期的にHIV/エイズ意
識向上キャンペーンを展開している。
●今年の世界エイズデーには、ウクライ
ナ海事労働組合が、4000人の学生が学
ぶ、オデッサ国立海事アカデミーで、安
全なセックスを勧めるキャンペーンを展
www.itfseafarers.org
開した。
●フ ィ リ ピ ン 船 舶 職 員 部 員 連 合 組 合
(AMOSUP)は、船員がなぜHIVに感染し
やすいか、その裏の要因と、感染を防ぐ
方法、HIV感染者としての生活と仕事につ
いて描いた「上陸」という漫画を作成し
た。
正確な情報をもたず、誤っ
た思い込みや、エイズを恥や
タブー視する圧力に苦しむ人
間が多い限り、差別を生む恐
怖がなくなることはない。
ITFと加盟組合は、HIV感
染者が直面する偏見をなくそ
うと懸命に努力している
33歳の若者、リトン・サラは イ
ンドの西ベンガル出身で、以前は船員
だった。だが、サラの生活は、2004
年に乗船前の健康診断でHIVに感染し
ていると判明してから、完全に変わっ
てしまった。
何の話し合いもないまま、解雇され
てしまった。船員に要求される仕事は
何でもできますと主張し、他の船で仕
事を探そうとしたが無駄だった。
そこで、サラは、自分がHIVに感染
して い る こ と を 公 に する こ と に
し、2009年以来、HIVと闘う船員を
支援するITFの仕事を手伝っている。
彼が船員に伝えるメッセージは、シ
ンプルなものだ。「HIV/エイズの基本
的な事実を学んでください。悪いイメ
ージや偏見と闘ってください。安全な
セックスをし、死をもたらしかねない
HIV/エイズについて必ず友人に話して
ください。いつの日か、必ずHIV/エイ
ズを制御できる日がくるはずですか
ら」
海に復帰して
HIVに感染していることを理由に、
長らく様々な斡旋会社や船主から雇用
の機会を否定されてきたインド人船員
が、ITFに連絡してきた。
ITFは、この船員に会うことを承知
してくれた責任ある船主を探すことが
できた。この船員は、HIV/エイズとい
う烙印ではなく、自身のもつ能力と資
格によってのみ判断され、雇用契約を
見事に勝ち取った。
その後、この船員は雇用契約を更新
でき、この船員がHIVに感染している
事実は絶対に明かさないと、使用者側
も保障している。
そのため、この船員は、経済的に家
族を支えることができ、健康を維持
し、働き続け、友人や同僚と付き合う
こともできる、と確信している。
ITFは、HIV感染の有無を採用の基準
とすることは受け入れられないと考え
るし、事実、そのようなことは多くの
国で違法だ。
HIV感染を理由に採用を拒否された
船員は、自分の組合かITFに連絡すべ
きだ。
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
31
ト
イ
サ
報
情
の
め
た
の
世界の船員
ズ
ー
ラ
ア
ェ
フ
ー
シ
ITF
g
r
o
.
s
r
e
r
a
f
a
www.itfse 英語、中国語、
ロシア語、スペイン語
で閲覧可能
船員のための
信頼できる
情報サイト
● 自分の権利について学ぼう
● 自分の船の情報を得よう
捕虜
の
賊
海
た時
っ
な
に
ス
イ
バ
ド
のア
労
事
海
O
L
I
に関
約
条
働
の
F
T
I
る
す
案内書
● 助けが必要なときにどうしたら
よいかを学ぼう
● 組合がしてくれることを知ろう
● 船員仲間と語ろう
● ITFに連絡しよう
線用
回
速
低
ト
ス
キ
テ
の
ー版
リ
ン
オ
も
あなたの権利 ● 海事ニュース ● ITFへの連絡先 ● 賃金・雇用・安全に関するアドバイス
● 船舶情報 ● 港湾情報 ● 便宜置籍船 ● インスペクターのブログ ● 船員トーク ● フォーラム
水 産
捕獲から
小売りまで:
組合の影響力
拡大が必須
Tom Parker/reportdigital.co.uk
世界最大の魚市場
(東京、築地)
2011年1月、ITFと国際食品労連(IUF)の合意に基づき、水産
業の組織化のためのグローバル・キャンペーンが立ち上がっ
た。労働組合の団体交渉に基づく協約の保護を、より多くの
漁業労働者に広げることを目的とするこのキャンペーンの背
景には、どのような考えがあるのか、キャンペーンの主導
者、リズ・ブラックショーが解説する。
グローバル化と魚の消費量の増加は、水産業の構造に
大きく影響してきた。現在では、殆どの企業が総合型の
商業ベースの運営を展開している。つまり、多くの企業
が魚の捕獲、加工、小売りの全てに携わっている。
そのため、水産業のサプライチェーンを通じて、関
係する組合を組織するITFと国際食品労連(IUF)が協力
することは極めて重要だ。
総合型の商業水産業界で働く労働者のわずか1%し
か組織化されておらず、むろん団体協約も持たないと
いう事実から、組織化の必要性は、明白だ。
最近、いくつかのILO条約が第188号条約に統合さ
れたが、ILO曰く、この条約は「漁船員が船員と同レ
ベルで保護されること」を担保することを目指してい
る。遠洋漁業に従事する漁船員は、同条約の恩恵を受
けてしかるべきだ。
ILO第188号条約は2007年に採択されたが、2011
年末の時点で、わずか2カ国しか批准していない。
併せて注目しなければならないのは、国際海事機関
(IMO)が報告するように、水産業で労災死亡事故件数が
年間2万4千件にも上る事実だ。水産業特有の労働災害も
一部にはあるが、国内外で安全基準を守らせる手段がな
いことも、痛ましい死亡事故の主な原因となっている。
水産加工業界の労働条件は、理論的には各国の雇
用・安全基準の範疇だが、決められた労働条件を守ら
せる術は殆どないのが現実だ。加工工場の多くが途上
国にあるため、労働者の多くは立場が弱く、不安感か
ら自らの権利のために闘うこともできない。
欧州や中南米では、運動の末、労働者が権利や組合
www.itfseafarers.org
国内外で安全
基準を守らせ
る手段がない
ことも、痛ま
しい死亡事故
の主な原因と
なっている
の承認を勝ち取った喜ばしい例が見られるが、世界中
で消費されている魚の85%はアジア太平洋地域で養
殖・加工されている。
最近、漁業労働者の働く現場を訪れた結果、下記の
ような驚くべき労働実態が明るみに出た:
●1,300人もの労働者が、手袋も全くつけずに魚の皮
剥ぎ、内臓除去、骨抜きなどの作業に従事していた。
●定期的に賃金や手当てを貰えず、携帯メールでその
都度呼び出されて働いている労働者が400人もいる。
●労働者は防護服もつけず、健康への影響についての
配慮もなされないまま、マイナス15度からプラス30度
まで、非常に温度差のある作業場を行き来して魚を運
んでいる。
●労働者の組合加入の動きを阻止するため、解雇、反
労組組織の結成、労働者を脅迫して組合を脱退させる
などの行為を含む、非公式な全国レベルの協定が結ば
れている。
このITF・IUFプログラムには、社会的・環境的側面
という、もう一つ非常に重要な要素がある。現在、食
物源としての魚の持続可能性について、グローバルレ
ベルで多くの議論がなされている。したがって、労働
組合は他の組織とも協力し、他団体のキャンペーンに
適正な労働基準の確保が必ず盛り込まれるようにしな
ければならない。
主な目的
ITF・IUFプログラムは、以下の目的を持つ:
●産業化された漁業や水産加工部門における多国籍
企業の組合敵対行為や組合回避行為を無力化する。
●他の圧力団体などと協力し、違法・無報告・無規
制(IUU)漁業と闘うよう各国の政府や企業に圧力を
かける。
●ILO第188号条約の批准を急ぐ。
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
33
クルーズ船
Paul Box/reportdigital.co.uk
新協約で保障された
新たな権利
ITF海事オペレーション
部のファブリツィオ・
バルセロナが、ITFクル
ーズ船協約のガイドラ
イ ン に つ いて 説 明 す
る。
ITF加盟組合がクルーズ船協約を締結す
る際の指針として1994年に制定された
ITFマイアミ・ガイドラインが、2011年
に改定された。新ガイドラインは、今や
ITFの海事政策の重要な要素となってい
る。
新ガイドラインは、国際海事機関(IMO)
や国際労働機関(ILO)の最新条約も考慮
し、組合と船社の間で締結される協約が
これらの条約に適合するよう配慮されて
いる。
特に、2006年ILO海事労働条約(MLC)
の勧告内容が盛り込まれ、居住条件や協
約上の規定に関する船員の利益が確保さ
れている。
重要なのは、クルーズ船で働く全ての
労働者が船員として定義されたことだ。
これは、各種規定の調和を意味する。つ
まり、運航要員だけに享受されていた条
件 が、 全 乗 組 員 に 適 用 さ れ る こ と に な
る。これまで、非運航要員の多くは、異な
る権利・義務が規定された様々な契約に
縛られていた。
さらに、MLCは、労働組織や休憩時間
に関する規定を強化したほか、団体協約
が遵守されない場合の苦情申立手続きを
定めたり、船員を供給するマンニンング会
社に対する規制を設けたりしている。
マイアミ・ガイドラインが制定される
に至った理由は、クルーズ船産業が他の
海事産業に比べて非常に競争が激しく、
規制が緩やかだった時代に遡ることがで
きる。
クルーズ船の乗組員は、他の船種の乗
組員と同等の契約条件を享受することは
できなかった。例えば、ホテル・ケータ
リング関連のサービス要員は、保安や適
正条件を確保するための協定が必要だっ
クルーズ船の乗組員の約92%
にITF協約が適用されている
34
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
www.itfseafarers.org
Reuters
た。
しかし、ITF加盟組合が長年にわたりク
ル ーズ 船 各 社 と 鋭 意 、 交 渉 を 重 ね た 結
果、賃金のみならず、以下の条件が保障さ
れることになった。
●居住空間の改善(休養目的のレクリエー
ションエリア等)
●運航当日の過密なスケジュールを考慮し
た拘束・実働時間
●妊娠中の特別規定
●マンニング制度の規制強化
●苦情申立および仲裁手続き(労働争議の
際、船員の代表者が申請できる)
2014年までに、302隻のクルーズ船が
市場に供給されるとITFは見込んでいる(探
検クルーズや沿岸クルーズを含めれば402
隻)。
クルーズ船で働く船員の数は、2012年
末現在、193,000人。休暇中、陸上での
研修中、病気療養中、産休中の船員を含
め れ ば 、 そ の 数 は 250,000〜 270,000
人に上る。
最も多くの船員が雇用されているのはバハ
マ籍船で、その数は約58,000人。その次
に、パナマ船籍(37,000人)、マルタ籍船
(23,000人)、イタリア籍船(21,000人)、バ
ミューダ籍船(17,000人)、オランダ籍船
(8,500人)、英国籍船(6,000人)、米国籍船
(1,300人)と続く。
マイアミ・ガイドラインに基づいたITF
協約が適用される船員は、全体の約92%
に達する。
ITFは、ITF協約の小冊子をクルーズ船の
乗組員に配布している。また、ITF加盟組
合の代表者が、定期的に協約船を訪船して
いる。さらに、船社の中には、組合の代
表者に乗組員の苦情に対応させていると
ころもある。
ITFも各加盟組合も、船員の全ての問題
を解決できるわけではない。しかし、問題
に対応するためには、現場船員の意見が必
要だ。支援が必要な時は、組合やITFに是
非連絡してほしい。
船員の
コミュニケーション手段
イ ンタ ー ネッ ト 、
携帯・衛星電話に
よ っ て、 船 員 と 家
族・友人・外界と
のコミュニケーシ
ョ ン が 変 化 して い
ることがITFの調査
で分かった。
デジタル通信の急速な発展・普及にもかかわらず、
船内のインターネット利用は依然として限界がある。
そのため、財布に余裕のある船員は、家族との連絡手
段として、衛星電話を主に利用している。
ITFの調査によると、Eメールは船内よりも、船員の
自宅や港で多く利用されている。一時上陸中にインタ
ーネットを利用できると回答した船員は80%、自宅で
インターネットを利用できると回答した船員は95%以
上に上った。
この調査は、ITF船員トラストがロンドン・メトロポ
リタン大学の勤労生活研究所(WLRI)に委託したもの
で、エロル・カヴェチ教授監修の下、ベルギー、オラ
ンダ、トルコ、英国で実施された。
58カ国の船員1,000人以上が参加したこの調査の
結果は、2011年に発表されている。その概要は、次
のとおり。
●船員の約80%(部員の97%を含む)が、船内でインタ
ーネットを利用できない、利用できたとしても料金が
高い、と回答している。
➡
www.itfseafarers.org
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
35
コミュ
船内での
Eメール 利用できない
利用状況 乗組員全員が個人のメールアカウントを持っている
個人のメールアカウントはないが、利用できる
送信はできるが、受信はできない
送信できるメールの数は限られている
利用できるが、添付ファイルは送信できない
利用できるが、利用していない
船内で外界と
人数 %
コミュニケーション
をとる上での障害 設備を利用するのが難しい 741 74
(回答者数:1,007人)
費用が高い
685 68
時間がない
426 42
部員(561人)
379 (68%)
64 (11%)
28 ( 5%)
63 (11%)
27 ( 5%)
34 ( 6%)
9 ( 2%)
職員(368人)
102 (28%)
88 (24%)
103 (28%)
22 ( 6%)
41 (11%)
14 ( 4%)
3 ( 1%)
船内から家族への
連絡手段
(回答者数:1,023人)
船内での
人数 %
インターネット
の利用状況 インターネットを利用できない 800 81
(回答者数:991人)
毎日
26
3
週に数回
25
3
12
1
9
1
119
12
その他
95
9
月に数回
なし
47
5
ほとんど利用しない
利用しない
ITFの
調査結果
人数
%
船員センターの電話
871
85
携帯電話
842
82
携帯のテキストメッセージ
761
74
港の電話(公衆電話)
637
61
陸上のEメール
594
58
船内の衛星電話
566
55
船内のEメール
457
45
29
3
2
–
14
1
書簡・ハガキ
連絡は取らない
その他
船員のインターネット
ただし、船内利用は限
➡
ラゴス(ナイジェリア)のアパパ港の船員センター
36
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
●船内のEメール利用は2007年から3倍に増え
ているが、依然として限定的だ。船員の52%、部員の
68%が、船内でEメールを利用できない、と答えてい
る。
●船内でのEメール利用が限られていることから、衛星
電話に頼る船員が増えている。
●家族・友人との連絡手段で多いのは、船員センター
の電話(85%)、携帯電話(82%)、SMS(74%)だ。
● ほぼ全員が、自宅でインターネットを利用してい
る、と回答している。その目的は、連絡通信、ソーシ
ャルネットワーク、ニュース、銀行取引、音楽・映
画・ゲームのダウンロード等だ。
●船内におけるEメールやインターネットの利用率は、
部員に比べて職員の方が著しく高い。
●船内でのEメール利用は、船舶の種類によっても異な
る。例えば、ドライバルク船の船員の67%、一般貨物
船の船員の65%はEメールを全く利用したことがな
い、と回答している。
●回答者の70%がソーシャルネットワークを利用して
いる。最も利用されているのがフェイスブックだ。一
方、中国人船員の78%はQQを利用している。
●船内でも自宅でも、職員は部員よりも頻繁にインタ
ーネット、携帯電話、ソーシャルネットワークを利用
している。例えば、自宅で毎日インターネットを利用
していると回答した職員は82%に上る一方、部員は
39%にとどまっている。
●一時上陸中、部員は職員よりも、船員センターの電
話や公衆電話を多く利用している。
www.itfseafarers.org
ニケーション
船内から
陸上の友人への
連絡手段
(回答者数:1,023人)
No.
%
船員センターの電話
641
63
携帯電話
615
60
携帯のテキストメッセージ
599
59
陸上のEメール
477
47
港の電話(公衆電話)
476
47
陸上のEメール
321
31
船内の衛星電話
242
24
書簡・ハガキ
97
10
連絡は取らない
32
3
8
–
その他
利用は大幅増
定的
●しかし、一時上陸中のEメールの利用に関しては、
部員と職員で大差はない。
調査結果に関して、カヴェチ教授は、コミュニケー
ションの円滑化という観点からのインターネットの役
割は非常に大きいと指摘し、次のように述べた。「ウ
ェブ上の安価な情報交換、コミュニケーション、交流
は、組合にサービス向上と組合員獲得の機会を与えて
いる。組合は、組合員へのサービス向上、労使紛争の
支援、国際労働運動の強化のために、ウェブを活用で
きる」
調査票は英語と中国語のみで作成されたが、聞き取
り調査はギリシャ語、ヒンドゥー語、ロシア語、タガ
ログ語、トルコ語等、さまざまな言語を母国語とする
人物によって実施された。
⇒調 査 結 果 と 報 告 書
は 、 ITFの ホ ーム ペ ー
ジで閲覧できる。
(http://www.itfgloba
l.org/seafarers/com
municating-withseafarers.cfm)
www.itfseafarers.org
組合と連絡を
取り合うには
船員と組合との連絡状況につ
いても詳しく調査した。
調査の結果、分かったこと
は、船員は組合と連絡を取りた
がっているということだ。保護
や条件確保のために、組合との
連絡は特に重要だが、特殊な働
き方ゆえに、組合とは疎遠にな
りがちだ。
組合と連絡を取るには、事務
所に電話をかけたり、事務所を
訪問したりする方法がよく取ら
れている。Eメールやインターネ
ッ ト は あ ま り 用 い ら れて い な
い。しかし、組合から連絡を取
る方法としてはEメールが最適
だ、 と 多 く の 船 員 が 考 えて い
る。
船員関係の雑誌や出版物(上陸
中はウェブサイト)は非常によく
読まれている。特に、ITFのシー
フェアラーズ・ブルテンは、多
くの船員に定期的に閲覧されて
いる。
さらに、かなりの船員がITF
の出版物やリーフレット、ポス
ターを通じて、ITF船員サイトの
存在を知っている。しかし、実
際に利用している人の数は限ら
れている。主な利用目的は、船
舶や船員に関するニュースを読
んだり、船員の福利に関する一
般 的 な 情 報 を 得 たり する こ と
だ。
回答者の半数以上は組合員だ
ったが、その三分の一しか組合
と 定 期 的 に 連 絡 を 取 って い な
い。ITFの認知度は高く、シーフ
ェアラーズ・ブルテンを読んで
いる人の割合は7割に達した。
船員と最も連絡を取りやすい
のは、自宅に居る時か上陸中
だ。約4割が、組合からの連絡
はEメールが最もよい、と回答し
ている。自宅の電話(29%)、携
帯電話(18%)が次に続く。(た
だし、部員は電話を希望するも
のが若干、多かった。)
ITFのマリタイム・コーディネ
ーターのスティーブ・コットン
は、「これらの調査結果は、
我々、そして船員組合が、勤務
時間のほとんどを海上で過ごす
労働者に、いかにして最善のサ
ービスを提供できるかという課
題 を 突 き 付 け て い る。 幸 い に
も、技術はあるので、問題は、
いかにそれを活用可能にするか
だ。組合関係者が、この調査結
果に関心を抱いてくれることを
確信している。海事産業全体に
教訓を与えてくれる可能性をも
秘めている」
「これらの調査結果は、我々、そ
して船員組合が、勤務時間のほとん
どを海上で過ごす労働者に、いか
にして最善のサービスを提供できる
かという課題を突き付けている」
ITF Seafarers’ Bulletin 2012
37
シーフェアラーズ・ブルテン
読者の意見
前号掲載のシーフェアラーズ・ブルテンに関するアン
ケートにご協力いただき、ありがとうございました。こ
のユニークな出版物−国籍、宗教、職種、船舶の種類
に関係なく、全ての船員のために発行される唯一の多
言語情報誌−に対する読者の意見を知る上で、非常に
役立ちました。
いただいた意見は詳しく検討し、本誌の改善に努め
ます。以下に、アンケートの主な結果を紹介します。
★回答者の80%以上が、世界の船員に何が起きてい
るのかを知るためにシーフェアラーズ・ブルテンを読ん
でいる
シーフェアラーズ・ブルテンで
好きな記事は?
「乗組員や船内の条件、ITFの行動
に関する記事が好きだ。ITFの行動
の成功例は、組合加入を後押しす
るものだと思う」
「世界のフリート、ITFのキャンペ
ーン、船員への警報・情報、安全・
法律問題に関する記事が好きだ」
「今、何が起きているかが分かる
もの」
「船員の権利に関する記事。全船
員が自らの権利を知ることは非常
に重要だ」
★回答者の60%以上が、船員の権利がシーフェアラ
「乗組員の苦情申し立ての成功例
や、問題がどのように解決された
かを紹介する記事が特に好きだ。
また、ITFが介入するまで拘束を免
れていた劣悪な基準以下船に関する
記事も好きだ」
「最初から最後まで読んでいる。
現在は、海賊問題が重大な問題だ
と思う」
「インスペクターの名前や連絡先
が国・港ごとに掲載されたリスト
がよいと思う。支援を必要とする船
員がITFインスペクターに連絡でき
る」
ーズ・ブルテンの最も重要な要素だと感じている。
★回答者の80%以上が、船員の個人的な話や乗組員
へのインタビューを、書簡、詩、レビュー形式で掲載し
てほしいと感じている。
★回答者の半数が自宅への郵送でシーフェアラーズ・
ブルテンを受け取っており、四分の一が組合から受け取
っており、五分の一がITFインスペクターから受け取っ
ている。
★好みの言語は、多い順に英語、ロシア語、タガログ
語、スペイン語だった。
★最も関心のある問題は、賃金、安全衛生、船員の権
あなたの意見を
回答者の半数が、もっと多くの読者の意見を望んでいます。我々も
同感です。書簡、詩、話、写真等、船員が関心を抱きそうなものな
ら何でもかまいません。以下の宛先まで郵送またはメールにてお送
りください。
ITFSeafarers’Bulletin
ITF,49/60BoroughRoad,LondonSE11DRUnitedKingdom
Email:[email protected]
送っていただいた物は返却できませんので、コピーを取っておいて
ください。
利である。
次号シーフェアラーズ・ブルテン
を確実に手に入れるには
2012年度版の発行に向けて、読者リストを一新しました。
次号を確実に手に入れるために、下記のフォームをITF出版部宛てに
郵 送 する か (宛 先 : ITF Publications, 49/6- Borough road, London
SE11DR,UnitedKingdom)、Eメール([email protected])で送って
ください。または、次のウェブサイトからも購読申し込みが可能で
す:www.itfseafarers.org/publications.cfm
氏名
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どの言語版を希望しますか?(優先順位の高い順に記入してください)
1 ..................... 2 .................... 3 ....................
海 難 事 故!
と
こ
き
べ
く
お
て
っ
知
が
員
船
貴方の船が海難事故に巻き込まれた場
合、事故に関する取り調べが行われたり、
関係国によって拘束されたりした際に、船
員を公正に扱うための国際ガイドラインが
あることを知っておこう。
このガイドラインの名称は、
「海難事故の
際の船員の公正な処遇に関するIMO/ILOガ
イドライン」である。
ガイドラインは、港湾国、沿岸国、船籍
国、船員の出身国および船主に対し、船員
を公正に処遇するよう義務付けている。
このガイドラインに基づく貴方の権利を
理解しておくことが重要である。これによ
って、もし海難事故の後に、貴方が尋問ま
たは拘留された場合、何をなすべきか、どの
ように自分の権利を守るべきかを知ること
ができる。
貴方の船が関係する海難事故について尋問を受ける場合
■ 貴方が必要と考えるなら、尋問に答える前に、あるい
は港湾国、沿岸国、船籍国の調査員に対して供述を行
う前に、弁護士を要求すべきである。なぜなら、これ
らの回答や供述は、将来の刑事またはその他の法的手
続きにおいて、貴方に不利な材料として利用される可
能性があるからである。
■ 会社または労働組合に連絡し、助言と支援を求めるこ
と。
■ 質問の内容を、必ず完全に理解すること。
公正な処遇に関するガイドラインの詳細は
www.itfglobal.org/fairtreatment
またはwww.marisec.org/fairtreatmentへ。
■ 何らかの点について貴方が理解できない場合
・当局に対し、質問を中止するよう求めること。
・必要なら、通訳の支援を要求すること。
まず、貴方自身の利益を守ることが重要である。そのために
は、会社、労働組合あるいは弁護士から受けた助言を守るべ
きである。情報を提供するように助言を受けた場合には、捜査
員に対し、誠実に真実を述べることが重要である。
海難事故の際には、貴方自身の利益を守ろう。
公正な処遇に関するガイドラインを読もう。
自分の権利を、よく理解しよう。
疑問があれば、助言を求めよう!
国際運輸労連
(ITF)
国際運輸労連(ITF)は、154カ国、450万人
の交通運輸労働者を代表する国際労働組
合連合体。1896年に結成され、船員、鉄
道、路面運輸、民間航空、港湾、内陸水
運、水産、観光の8産業別部会で構成さ
れる。ITFは、国際レベルで交通運輸労働
者を代表し、グローバル・キャンペーン
や連帯活動を通じて労働者の利益の増進
を図っている。国際労働組合総連合
(ITUC)とともにグローバル・ユニオン・
グル ープを形成する10の国際産別組織
(GUF)の1つである。
Images: Paul Box; Duncan Phillips; Timm Sonnenschein; Justin Tallis; Philip Wolmuth/reportdigital.co.uk