FAQ(免疫) 女性での前立腺マーカーについて Q 女性検体でもPSAが陽性化することはありますか。 また、女性が前立腺癌にかかることはありますか。 A PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺上皮および尿道周囲腺で産生されるカリクレイン系の糖蛋白であ り、生理的には精嚢中に分泌され、精液の液化に関連していると考えられています。そのため、過去は 男性だけがもっている臓器と考えられていましたが、17世紀オランダ人組織学者Graafにより女性も前立 腺をもつことが分かり、「女性前立腺(prostata feminina)」と命名されました。この女性前立腺は一般 的にスキーン腺(小前庭腺)とも呼ばれており、尿道平滑筋層内に存在して、全周にわたって広く尿道 を取り囲んでいます。Peroxidase antiperoxidase(PAP)法など免疫組織染色を実施したところ、PSA は特に表層に多く、分泌細胞・基底細胞・導管細胞表面でも局在が認められています。つまり、女性体 内でもPSAが産生されているということです。 最近では、PSAの測定法の高感度化により、健常者女性血清において、最高値は0.9ng/mLにも及ぶこ とが明らかになっています。また、PSA組織染色により、これまで25例の女性前立腺癌が発見されてお り、女性に対するPSA検査の普及が進めば、尿道腺癌との鑑別能の向上もあいまって、さらに報告数は 増えると考えられています。 参考文献 Milan Zaviacic,他. 女性前立腺,前立腺癌とPSA. 臨床検査. 2003;47(9):1015-1018
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