前立腺癌の早期発見と治療法について

前立腺癌の早期発見と治療法について
すこやか検診で腫瘍マーカー(PSA)が上昇し、精密検査が必要な方に対する 2 次検
診施設として実績をあげています。前立腺癌の早期発見を目標に超音波所見、触診所見、PSA
値から、癌の疑いのある症例には積極的に前立腺針生検を行っております。年間100例以
上に生検を施行し、その約40%に癌の確定診断を得ています。そのうち陽性生検数が 2 本
以下のごく早期癌と判断される症例が、4割程度占め、がんの早期発見の目的に沿う結果が
得られつつあります。前立腺癌に対する手術は、最近の5年間においては年間20例前後施
行されており、これまでに200例を超える実績があります。術後6ヶ月後の評価で軽度の
尿失禁が数%に認められ、癌特異生存率は5年81%、10年64%、15年46%でした。
さらに新しい治療法として平成19年3月から小線源治療を導入しました。これは
早期癌に対して開腹手術を行わずに根治的治療効果が得られる放射線治療の一種です。平成
21年1月現在、これまで50例を超える治療実績を上げています。
小線源治療の特徴
1. 体への負担が少なく、入院・治療期間は短い
前立腺に針を穿刺し、線源を挿入しながら抜いてくるだけの操作ですから、出血量は
手術に比べはるかに少なく輸血の必要はありません。入院期間は 3 泊 4
日です。
2. 性機能が維持されやすく、尿失禁は起こりにくい
ホルモン療法では男性ホルモンを低下させるため、性機能はほとんどの場合で失われ
ます。前立腺全摘手術においては機能が保たれる率は2割前後です。放射線治療は前
立腺癌治療の中でも最も性機能が維持されやすい治療で、特に小線源療法ではその率
が高く、5 年後に性機能が維持されている率は 7~8 割と報告されています。また、
手術直後に必発する尿失禁に関しても本治療直後におこることはまずありません。治
療後長期の経過中に発症することはありますが、その率は低いとされています。
3. 放射線障害がおこりにくい
本治療に用いるⅠ-125 などのエネルギーの弱い線源を用いた場合には、前立腺内
部には十分な量の照射が可能ですが、前立腺周囲への照射量は少なく抑えられます。
そのため、皮膚への影響はなく、直腸や膀胱で放射線障害が発生する率も少なくなり、
これが本治療の大きな利点となります。
金沢医療センター
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