Abstract: A. Villar, et al. Abstract 血友病における止血薬の使用:デスモプレシンと抗線溶薬 The use of haemostatic drugs in haemophilia: desmopressin and antifibrinolytic agents A. Villar, V. Jimenez-Yuste, M. Quintana and F. Hernandez-Navarro 過去 40 年の間に,血友病治療は特筆すべき進歩を 遂げた。血漿由来製剤が最初に利用できるように は,遺伝子組換え技術を用いて得られた単一凝固因 子製剤も利用できるようになった。 なったのは 1960 年代で,はじめはクリオプレシピ しかしながら,血友病に対する薬物療法の選択肢 テートが,その後は中間純度血漿由来濃縮製剤が血 は未だ非常に限られたものである。過去 30 年間に血 友病 A および B の治療に用いられた。1980 年代に 友病患者の治療に実際的に利用価値が認められた治 多くの血友病患者が血液製剤を通じてウイルス感染 療薬はデスモプレシン,抗線溶薬,アプロチニン,濃 するという忌まわしい経験があったが,これにより 縮エストロゲン,ならびにトロンビンやフィブリン 優れたウイルス不活化技術の開発と,より高純度の 接着剤などの局所止血薬のみである。 血液製剤の製造が急がれる結果となった。このよう 本稿では,これらの治療薬が出血性疾患をもつ患 な経緯もあって現在では安全で,しかも先天性血液 者の出血治療および出血予防に用いられた場合の薬 凝固障害に関連している欠乏蛋白のみを濃縮した純 理学的基礎とこれまでの経験および研究で得られて 度の高い血漿製剤が利用可能である。 1995 年から いるデータを評価する。 Haemophilia (2002), 8, 189–193 © Blackwell Publishing Ltd. Abstract: J. D. Wiedel Abstract 関節鏡下滑膜切除術:最新技術 Arthroscopic synovectomy: state of the art J. D. Wiedel 関節鏡下滑膜切除術は,1980 年に血友病性関節症 される。この手技は高度な技術を要するとともに, にはじめて施行され,直視下手術に比べて術後罹患 経験豊富なスタッフや優れた外科設備,十分な凝固 率や入院率が低いことに加え,維持される可動域が 因子濃縮製剤などの多くの資源が必要とされるた 大きく,著明な改善をもたらした。長期的成績では, め,この手技の全世界的普及には限界がある。本手 関節血腫の再発を減少させ,関節機能が維持される 技がどの地域において血友病性滑膜炎の治療に適用 ことが示されている。しかしながら,X 線像による となるかは,所在地および先述の資源の利用可能度 観察では,疾患が引き続き進行していることが示唆 に大きく依存している。したがって,この手技は再 発性関節血腫の第一選択療法とみなされるべきでは Haemophilia (2002), 8, 372–374 © Blackwell Publishing Ltd. なく,むしろ他の手段で不成功であった場合の二次 的療法とみなされるべきである。 31
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