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G5RV/JJ7GNQスペシャルアンテナの製作
G5RV アンテナは、アンテナハンドブック(CQ出版)やアマチュア無線ハンドブック(JARL
監修)、ハムジャーナル誌(CQ 出版)の 45 号/1986 等で紹介されて、近年多くの方が使用していま
す。
著者は、このアンテナについて関心を持ち、ローバンドで充実した通信を楽しめるように多くの
実験・改良のすえ、現在のかたちになり、満足する結果が得られましたので本誌をお借りして紹介
することにしました。
[1]G5RVダイポールの基本
はじめに、G5RVアンテナの基本について確認ましょう。
このアンテナは設計したルイ・バーニー(Louis Varney)のコールサインにちなんで命名されて
います。 標準的な G5RV アンテナは、20 メートル(14.150 MHz)バンドで、3 つの半波長(二分
の三波長)102 フィート(30.6m)長のダイポールアンテナとして動作し、チューナーを使用するこ
とで、他のバンドに使用することができるものです。
バーニーのオリジナル設計では、水平部の長さが 102.57 フィート(30.771m)となるように計算
しますが、チューナーを使用する予定でしたので、それをさらに 102 フィート(30.6m)にするこ
とを選んだとのことです。
※
14.15MHz における波長λ=300/14.15=21.2014[m]
3λ/2=31.802[m]
水平部のラジエータ・ワイヤーの速度係数 VF 値は、どのような値を仮定して計算したのか求め
てみました。
VF=30.771/31.802=0.967
もともとは、34 フィート(10.2m)の 500 オームの自作オープン・フィーダーによるマッチング部
にチューナーを配置してマルチバンドで使用したようですが、その後 75 オーム同軸または並列導体
フィードラインを通して供給したようです。
14.15MHz におけるλ/2=10.6[m],
自由空間に比べてフィーダー内で速度が落ちるため、速度係数 VF(Velocity Factor)は、VF<1.0
となり、波長が短くなることから短縮率と呼ばれることもあります。
また、オープン・ワイヤー・ラダー・ラインでは、一般的にVF=0.94∼0.99、ツイン・リード・
ラインでは、VF=0.8∼0.89。
海外で発売されている 450 オーム・ラダー・フィーダーの場合は、絶縁体をラダー状に抜いていま
すので VF=0.9∼0.93 程度と伝送路の絶縁材質の誘電率や充填状態によって異なるようです。
※
①
オープン・フィーダーで、VF=0.962 と仮定すると
λ/2 フィーダー長=(λ/2)×VF
=10.6×0.962
≒10.2[m]
② 450オーム ラダー・フィーダーで、VF=0.92 と仮定すると
λ/2 フィーダー長=(λ/2)×VF
=10.6×0.92
≒9.75[m]
34 フィート(10.2m)のオープンワイヤラインは 20 メートルバンド上の半波長、半波給電線の終端に
おける半波長であり、フィードラインのインピーダンスに関係なくアンテナインピーダンスを繰り
返し表示されます。
このことは、ラダーラインの一部が他のバンドにアンテナをマッチングさせるのに役立ちます。
この長さは、使用するフィーダーによってVF=0.8∼0.99 くらいの幅がありますので、それによ
り長さが異なります。このためフィーダーの長さの再現性としては、同じ条件のフィーダーを使用
しない限り同じ長さになりません。
しかし、長さを調整することにより、チューナーのマッチング範囲に入るようにすることができ
ます。 このためため、使用するバンドによっては多少長さで調整する必要が出てきます。
バーニーは、同軸ケーブルでオープンワイヤを結合する場合に、同軸ケーブルの 8∼10 ターンで
作られたチョークを使用するように勧めています。
彼が言うように、2:1 以上の SWR となる 20 メートルバンド以外においてバランの発熱と焼損の
恐れがあるので、バランを使用しないよう助言していました。
実際にシミュレーションするとSWRは 20 メートルバンド以外の帯域で適度に高いかさらに高
くなります。
バーニーは、高 SWR に起因するフィードライン損失を低減すべく、可能な限り同軸ケーブル短
くし、最小損失の同軸ケーブルを使用することを勧めています。
バーニーが設計した当時にそれがあったとしても、この勧告は、今日においても非常に重要なこ
とです。
今日使われている G5RV アンテナの多くは、300 オームや 450 オーム・ラダー・ライン、600 オ
ームのオープンワイヤーによるラダー・ラインが使われ、さらにバーニーの提案に反してラダーラ
インと同軸の間にバランを使用しています。
今日販売されている G5RV アンテナには、スタンダード、ハーフサイズ、ダブルサイズなどいく
つかのバリエーションがあります。 同軸との接続部には、バランが挿入されていたり様々ですが、
彼らがオリジナルデザインにより性能を向上させることができると信じているのです。
しかしながら、G5RV アンテナをマルチバンドで使用する場合は、必ずチューナーが必要となるこ
とは変わりません。
[2]JJ7GNQスペシャル
G5RVのオリジナルは、14.15MHz で3/2波長動作するダイポールアンテナで、設計周波数
以外において、チューナーを使用することで複数のバンドで使用可能となるアンテナです。
著者(JJ7GNQ)は、G5RVアンテナの特徴であるチューナーを使用することでマルチバ
ンドで自由に使用できるアンテナを目標に、試作を繰り返し、最終的には、AM局が多く集まる
3.757MHz で基本動作し、チューナーを活用することでマルチバンド運用が可能となるアンテナを
完成させました。
水平部エレメントは、3.757MHz の半波長が4つ同相で電流が分布します。
エレメントの太さは約 3mm、長さは、実験の結果として、
(1波長×0.905=72.4[m])×2 = 144.8[m]
としました。
ラダー・フィーダーは、実験の結果、多くのバンドでチューナーのマッチング範囲に収まる長さ
を決定しました。
G5RVのオリジナルのラダー・フィーダー長の考え方と少し異なりますが、基本動作周波数の
1/2波長ではなく1/4波長+αとなっています。
これは、水平部の電流分布が1/2波長が4つ同相給電されるような位相器の役割も担っています。
以下、追試・製作の参考になるよう、アンテナの構造、ならびに MMANA/MMANA-GAL による
シミュレーション結果を紹介します。
また、G5RVに限らないと思いますが、成功のポイントとして、支柱を金属パイプ等で立てた
場合に、ラダー・フィーダーは、マッチングセクションとして動作しますので,金属体から相当な
距離を離す工夫をして架設することが必要です。
輻射パターンは、複雑になっておりますが、国内の交信においては、1/2波長ダイポールに比べ
て数dB 以上強力かつ安定に交信できた実績から考慮すると、かなり有能なアンテナとして期待で
きます。
JJ7GNQスペシャルの構造図
72.4 m
高さ:約 20∼23m 程度
72.4 m
22.3m
4:1
ソーターバラン
5D2V 16∼18 回巻
Z 変換
同軸ケーブル(任意長)
Tuner
TX/RX
MMANA/MMANA−GAL定義ファイル
GNQ_SP_V1.1.maa
G5RV(GNQ_version1.1) 75m,40m,20m,15m,10m
*
3.757
*** ワイヤ ***
5
0.0,
-72.4, 22.3,
0.0,
-0.075, 22.3,
0.0,
72.4,
22.3,
0.0,
0.075, 22.3,
0.0,
-0.075, 22.3,
0.0,
-0.075, 0.0,
0.0,
0.075, 22.3,
0.0,
0.075, 0.0,
0.0,
-0.075, 0.0,
0.0,
0.075, 0.0,
*** 給電点 ***
1,
1
w5c,
0.0,
1.0
*** 集中定数 ***
0,
1
*** 自動分割 ***
400,
40,
2.0,
1
*** 計算環境 ***
2,
0.5,
0,
75.0,
120,
60,
0.0015,
0.0015,
0.0015,
0.0015,
0.0015,
0
-1
-1
-1
-1
-1
MMANA のアンテナ定義
各バンドにおける計算結果
3.757MHz における電流分布
3.757MHz における SWR 特性(給電点インピーダンスを75オームとしている)
3.757MHz における指向性パターン(垂直偏波成分が多くエレメント方向にやや強く輻射している)
3.757MHz における水平偏波成分(4方向に輻射ローブがある)
3.757MHz における垂直偏波成分(エレメント方向に2つの輻射ローブがある)
7.195MHz における電流分布
7.195MHz における指向性パターン
7.195MHz における水平偏波成分
7.195MHz における垂直偏波成分