活動レポート - コープこうべ 商品検査センター

2009年度(平成21年度)
商 品 検 査 センター
活 動レポ ート
2010年7月発行
生活協同組合コープこうべ 商品検査センター
〒658-0081 神戸市東灘区田中町5丁目3-20
TEL.(078)453-0116
M e r c h a n d i s e Te s t i n g C e n t e r R e p o r t
商品検査センター活動概要
商品検査センター活動概要
における検査機能として役割を果たすと同時に、組合員
の方々の安心にお応えする情報発信を心掛けてまいりま
中国製冷凍ギョーザをはじめとする食に関わる事件や
す。
見 学案内
09年度に商品検査センターを見学した人は、65件、
事故が多発した08年度から1年が経過し、09年度はや
1,424人でした(図表1)
。5月に発生した新型インフルエ
図表1 見学数
09年度
08年度
07年度
65
81
101
見学者数
1,424
1,608
1,725
組 合 員
452
817
1,021
職
員
264
186
237
生 産 者
15
162
82
行政関係
95
51
38
ンザの影響で見学数は大幅に減少しました。見学は新任コ
ギョーザ事件の発生以前に戻っています。
●開設 1967年・コープこうべ旧住吉本部内
協の視察研修などが中心になっています。7月には神戸市
しかし、お申し出の内容を見ると、「商品の品質不良」
●移設 1983年・神戸市東灘区岡本
が消費者庁発足に伴い消費者問題専門養成コースとして開
以外にも、商品特性や多少の品質のバラツキに対して不
2004年・神戸市東灘区田中町
講したコンシューマースクールの見学受け入れを行いまし
他 生 協
116
24
19
安を感じられたケースが多く見られました。
●体制 25人(うち正職員は16人)*2010年3月現在
た。夏休みには、子供の糖度実習や大学生の見学も多数あ
一
482
368
328
中には、商品知識があれば防げたお申し出もあり、広
●経費 1億7,300万円 (供給高比0.069%)
*人件費1億1,600万円
りました。
物件費5,700万円
などのテーマで8件234名を対象に行いました。 09年度のお申し出件数5,238件は前年比76.7%であり、
微生物検査室
見学件数
商 品検査センターの概要
や落ち着きを取り戻した年度となりました。
理化学検査室
く事例紹介をする目的で、2009年秋にお申し出事例集
「なぜ?か気になる食と暮らしのQ&A」を発行しまし
ープ委員研修や、店舗のレインボースクール、職員、他生
2009年度 広報活動
2009年度 広報活動
活 動の特徴
2009年度 広報活動
般
見学以外の講師活動については「食品添加物について」
た。
情 報発信について
10年度もコープこうべ・大阪北生協の品質保証体制
衣住関検査室
主 な検査項目と検査件数(2009年4月∼2010年3月の累計)
商品検査センターの活動や役割を知らせる大切な業務の
1つが情報誌の発行です。主に総代・コープ委員・職員に
対して、
「くろまと」を年3回、
「活動レポート」を年1回、
検査項目
微生物検査
検 査 内 容
官能検査室
一般生菌数、大腸菌群、大腸菌などの衛生指標菌、食中毒菌(黄色ブドウ球
菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ、O157、
カンピロバクター、セレウス、
リステリ
ア)、低温細菌、乳酸菌、
カビ、酵母など
検査件数・
検査品目数
9,859件
検査センターだより」などを掲載しました。
学院 農学研究科教授・金沢和樹先生の「健康食品・サプ
2009年度のお申し出について
組合員のお申し出により改善しました
777品
食品添加物検査
保存料(ソルビン酸、安息香酸、デヒドロ酢酸など)、着色料、発色剤(NO₂)、
漂白剤・酸化防止剤(SO₂)、防かび剤(OPP、TBZ、
イマザリルなど)
281件
動物用医薬品検査
抗生物質、合成抗菌剤26項目、
テトラサイクリン系3項目
栄養成分検査
食品工場のパン、麺類、豆腐など5大栄養成分を検査
181件
衣住関連検査
品質基準に基づく検査、包材表示などの調査、品質・性能試験など
195件
官能検査
人間の五感(視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚)
を使った評価
・保存検査
・モニターによる評価
フードプラン誕生
微生物検査、残留農薬検査、異物検査、官能検査、異臭物質検査(石油成
分)、
ヒスタミン検査、簡易毒物検査、赤外分光光度計による異物分析など
見学風景
ホームページでは、商品検査センター顧問の神戸大学大
残留農薬検査
お申し出検査
組合員の暮らしに役立つ情報発信としては「きょうど
う」「ふれんず通信」「グループ・ひまわり通信」に「商品
一斉分析420農薬465成分(有機リン系、有機含窒素系、有機塩素系、
ピレス
ロイド系、その他)、有機リン系85農薬
!
!
発行しています。
37件
リメントのうそ・ほんと」が2009年12月で20回の連載を
終えました。「商品Q&A」は総数200事例を超えました。
ホームページアドレス http://kensa.coop-kobe.net/
な ぜ?か気になる食と暮らしの
Q&A(書籍)の発行
09年度くろまと・活動レポート
2009年10月末、商品検査センターに寄せられたお申し
出とその回答をまとめた事例集「なぜ?か気になる食と暮
らしのQ&A」を発行しました。衣食住全般にわたって、
163の事例を写真入りで分かりやすく紹介しています。新
51件
59品
5,237件
聞各紙やマスコミにも紹介されて評判を呼び、組合員をは
じめ、取引先、行政など多くの方に反響がありました。
定価:1,260円(税込)
A5版・138ページ オールカラー
発売:神戸新聞総合出版センター
「なぜ?か気になる
食と暮らしのQ&A」
周年を迎えて
20
1
2
微生物検査室
全 国商品検査研究会
全国商品検査研究会とは、日本生活協同組合連合会を
中心とした検査に関する研究会組織です。全国の生協
(検査室のある生協)が集まり、検査の手技や基準につ
検 査概要
弁当・寿司類 6%
09年度は、検査手技の共有化を目標に、大腸菌群
農産加工品 6%
(汚染指標菌)に関する検査方法のマニュアルを完成し
題がないか、品質管理のために検査を実施しています
ました。10年度は、微生物検査の精度に関係する管理
ついて月1回定期的に検査しました。生カキについては
商品検査センター
供給期間中、週1回検査を実施しました(図表2)
。
では水産加工品など
するのが重点検査です。迎春蒲鉾、店舗テナント惣菜
類、宅配で取り扱う生食用冷凍鮮魚介類などを重点的に
検査しました(図表3)
。
おせちは年末の重要な商品であり、具材の入れ替えな
ど新規に取り扱う商品については事前に検査を実施しま
検査目的
総検体数
3,198
お
査
1,538
査
1,287
す。09年度は衛生
査
申
し
定
出
期
検
検
625
点検として9件の工
応じて検査を行い、品質管理に役立てています。
489
全 店 抜 き 取 り 検 査
474
場点検を実施しまし
査するモニタリング検査※も計画的に実施しました。検
査対象としては、腐敗しやすいもの、食中毒の危険性が
高いもので、惣菜類、弁当・寿司類、食品工場生産品
(豆腐・麺類)
、半生菓子類などを中心にモニタリング検
査を実施しました(図表4)
。
新規に取り扱いする商品については、商品部からの依
頼を受けて供給前に検査を行っています。半生菓子類、
魚肉練り製品、惣菜類、麺類、漬物などの依頼が多く見
られました(図表5)
。
品質管理強化期間の取り組みのひとつとして、6月か
ら7月初旬にかけてコープの各店舗で加工されたさし
み・焼豚・カットフルーツについて、全店抜き取り検査
を実施しました。検査結果が要注意であった店舗は、総
保
存
重
点
検
検
検
再
検
査
357
査
344
査
290
拭 き 取 り 検 査( 工 場 点 検 )
そ
の
他
の
検
査
合 計
10年度は、店舗や宅配からのモニタリング検査を強
品質システムが一定機能しているか検証するため
の抜き取り検査です。
図表6 アレルゲン検査の割合
工場点検の様子(焼魚の加工)
た。さしみ原料などの工場の衛生点検は、全国的に腸炎
ビブリオ食中毒の増える夏場の前に衛生管理を再徹底す
ることが重要なので、6月に実施しました。点検時には
96
1,161
の拭き取り検査も実施します。拭き取り検査によって汚
9,859
染箇所が明確になり、洗浄・殺菌方法の改善などに役立
漬物 1%
商品別
■検査項目別
検査数
アレルゲン
検査数
魚肉練り製品
12
乳
47
32
麺類
16
卵
パン類
21
小麦
7
菓子類
31
そば
12
80
甲殻類
12
合 計
合 計
110
ア レルギー特定原材料検査
食肉製品
14%
検査可能項目は、表示義務のある「乳、卵、小麦、そ
水産加工品
42%
牛乳
19%
卵
24%
TOTAL
適合率
(自主基準)
ば、落花生、えび、かに」と「大豆」です。
1,287件
98.2%
食品工場生産品を中心に製造ラインからのコンタミ
ネーションがないか検査しました。一部のライン洗浄方
法に不備が認められたため洗浄方法を改善しました。
09年度は、魚肉練り製品を対象に甲殻類の混入の有
図表3 重点検査の商品群別割合
無についても実態調査を行いましたが問題ありませんで
した(図表6)
。
宅配で取り扱う
生食用冷凍
鮮魚介類 30%
手 洗いチェック
迎春蒲鉾
40%
店舗テナント
惣菜類 30%
TOTAL
344件
適合率
95.1%
(自主基準)
手洗いチェックの風景
商品検査センターに来館された組合員や職員には、手
洗いの大切さを説明しています。説明の際には、手洗い
チェッカーを使って洗い残しがないか、目で見て体験で
きる取り組みを実施してきました。
3
■商品別
てています。
化していく予定です。
※モニタリング検査とは
魚肉練り製品
17%
惣菜類
13%
麺類、味噌類、
豆腐類 11%
必要に応じて、工場内で使用している設備や器具類など
図表2 定期検査の商品群別割合
合品質保証室の店舗点検と連携しながら再度検査を行う
など、衛生レベルの改善に努めました。
漬物 10%
の確認をしていま
お
ち
冷凍食品 0%
卵 0%
半生菓子類
24%
食肉製品 8%
環境や製造管理状況
モニタリング検査(抜き取り検査)
せ
弁当、寿司、
サンドイッチ 8%
工場を訪問して製造
新 規 取 り 扱 い 検 査
食品工場生産品 9%
水産加工品 4%
商品については、加
図表1 09年度微生物検査数
した。また、実際に供給したおせちについても、必要に
店舗や宅配で供給されている商品を実際に購入して検
半生菓子類 8%
農産加工品 2%
珍味類 3%
微生物管理が重要な
微生物検査のサンプリング風景
弁当・寿司類 19%
微生物検査室
微生物検査室
09年度は、水産加工品、卵、牛乳、食肉製品などに
惣菜類
27%
図表5 新規取り扱い検査の商品群別割合
工 場点検
高い商品が中心となります。
アイス 1%
その他 1%
水産加工品 7%
手法について検討していく予定です。
主な検査対象は腐敗しやすい商品、食中毒の危険性が
年間計画を立て、検査の対象とする商品群を全品検査
冷凍食品 2%
魚肉練り製品 3%
漬物 3%
乳製品 4%
食肉製品 4%
いて研究を実施してきました。
微生物検査室では、供給している商品に微生物的な問
(図表1)
。
図表4 モニタリング検査(抜き取り検査)の商品群別割合
洗い残しがどこにあるか、
蛍光物質のローションを
用いて、
チェックします。
4
理化学検査室
黄が国の基準を超えたものが1品と表示違反が5品で
取り扱いを中止しました。イカ、エビ、カニについて
図表5 フードプラン、コープス検査内容
商 品 分 類
は、モニタリング検査を強化していきます(図表
フードプラン農産品
4)
。
検 査概要
残 留農薬検査
図表1 理化学検査 検査目的別検体数
理化学検査室では、食品中の化学物質や成分を分析
しています。目的とする物質や成分によって、いろい
ろな分析に分かれており、農薬や添加物、栄養成分な
どの検査を実施しています。
図表1の中の「新規・事前取り扱い検査」は取り扱
う前に行う検査で、「モニタリング検査」は取り扱っ
ている商品の品質の確認を行っている検査です。08
年度は中国製冷凍ギョーザ事件でお申し出検査が大幅
新規に取り扱う商品は、商品の特性に応じて、防か
び剤、保存料、着色料、漂白剤、発色剤などの食品添
添加物自主使用基準』に適合するかどうかを確認して
います。また、必要に応じて店舗や協同購入からのモ
9
6
0
保存料・酸化防止剤一斉分析(16項目)
17
0
着色料
17
0
発色剤(NO₂)
72
0
漂白剤など
(SO₂)
56
6
O P P
8
0
T B Z
8
0
イマザリル
8
0
1
0
281
15
ソルビン酸
安息香酸
合 計
●コープス商品点検
図表3 コープス商品点検(食品添加物)
コープス商品については、検査計画を立てて重点的
商 品 分 類
ープス農産物については、少なくとも年に1回検査を
茶
29
缶詰・瓶詰
22
乾物・穀物粉
14
ています。そして、必要に応じて店舗や宅配からのモ
●検査数及び検査結果
09年度は549品の農作物、加工品、原料に対し約
420農薬の検査を実施したところ、
残留農薬検出せず 374品
検出だが基準値以内など問題ではないもの 175品
基準値を超えたもの 0品
(218)
( 農 産 物 の 内 、果 物 )
(66)
加 工 食 品 及 び 原 料
(
内
、
59
0
593
数
777
824
検出数
検出率(%)
た(図表6・7)
。
10年度は残留農薬検査にGC/MS/MS(ガスク
20
ロマトグラフ・タンデム質量分析計)を導入する
ワイン
2
予定にしています。高感度の最新鋭の分析機器を
瓶詰め・乾物
4
導入することによって、検査工程の簡略化、迅速
化が可能になります。2010年上期に検査法を確
立し、下期より稼動予定です。
査
申
し
検
出
査
輸
入
農
産
物
12
37.5
国
産
農
産
物
82
32.4
(
野
菜
)
56
25.7
(
果
物
)
39
59.1
品
68
33.3
料
13
22.0
体
175
31.9
加
生
工
食
産
部
図表8 検出した農薬の基準に対する割合
1.4g/kg未満
2.0g/kg未満
0.35g/kg未満
0.50g/kg未満
検出した農薬が、基準に対してどれくらいの濃度で
1∼1/10
佃
品
ソルビン酸
0.73∼0.82g/kg
0.70g/kg未満
1.0g/kg未満
検出しているか調査しました(図表8)
。ほとんどの
1/10∼1/100
ン
ソルビン酸
0.17g/kg
0.14g/kg未満
0.20g/kg未満
食 肉 製 品3品
ソルビン酸
1.6∼1.8g/kg
1.4g/kg未満
2.0g/kg未満
ものが1/10以下、1/100以下であり、基準値をかな
1/100∼1/1000
ス ル メ イ カ
二酸化硫黄
0.036g/kg
0.030g/kg未満
エ ビ 5 品
二酸化硫黄
0.005∼0.047g/kg
0.10g/kg未満
し、それに伴って使用される農薬の種類や回数も左右
原
全
(割合)
∼1 0
その年ごとの天候により、病気や害虫の発生も変化
速
総
●検出農薬について
り下回って残留していることがわかります。
迅
図表7 残留農薬の検出数及び率
0.45g/kg
※この商品は、表示がなかったための違反
244
0
1.5∼1.7g/kg
※
204
(68)
59
ソルビン酸
2
)
そ の 他( 土 壌 な ど )
ソルビン酸
イ
米
生 産 部 商 品 原 材 料
魚肉練り製品2品
煮
256
( 農 産 物 の 内 、野 菜 )
しょう が 漬 け
ワ
253
(200)
の高い食品について有機リン系85農薬検査を94商
3
国の基準
物
96
13
自主基準
産
135
魚肉練り製品
検出値
農
( 内 、フ ー ド プ ラ ン 品 )
134
品について検査を実施し、特に問題はありませんでし
添加物名
内
32
法
11
商 品
国
検体数
32
お
魚卵
図表4 食品添加物の使用基準に不適合商品(15品目)
物
94
題となるものはありませんでした。
88
産
549
肉製品など88品の検査を実施しました(図表3)
。問
合 計
農
ギョーザ関連高加工度加工食品
品、また検出限界を上げ人体に影響を及ぼす量の農薬
23
入
また、中国製冷凍ギョーザ事件をきっかけに加工度
検体数
ジャム、栗甘露煮、珍味、乾燥果実
輸
数
が入っていないかを確認するお申し出迅速法で134商
ルビン酸が自主基準値を超えたものが9品、二酸化硫
図表6 残留農薬検査品の内訳
検
8
て実施しました。その結果、不適合品は15品で、ソ
431
でした。
4
食肉製品
24
合 計
品目数
冷凍えび・カニ
冷凍ポテト
菓子(ピーナツ・乾燥果実)
ニタリング検査も実施しています(図表5)
。
かんきつ類、バナナ
09年度食品添加物の検査は、224品536項目につい
5
5
に点検を行っています。09年度は魚肉練り製品、食
●検査結果
18
加工食品についても、定期的に残留農薬の検査を行っ
その他
ニタリング検査も実施しています(図表2)
。
19
米
5
ど)や比較的加工度の低い冷凍野菜やジュースなどの
88
防かび剤など
加物の検査を行い、国の基準と『コープこうべの食品
漬物(原料検査を含む)
理化学検査室
食 品添加物検査
3
飲料(茶、ジュース)
1,352件
不適合
保存料
理化学検査室
おり、08年度に比べても約1/3になっています。
18
調味料類
また、食品工場生産品の原材料(小麦粉、大豆な
検査件数
検査項目
水煮・天津甘栗
農薬検査を実施しています。特に、フードプランやコ
TOTAL
図表2 食品添加物検査結果
に増えたのですが、09年度は徐々に落ち着いてきて
74
超える農薬が残留していないかを確認するために残留
実施しています。
モニタリング検査
51%
200
コープス農産品、コープの産直
冷凍食品
コープこうべで供給する農産物などに、国の基準を
お申し出
新規・事前
検査 18%
取り扱い検査
31%
品目数
26
191
206
1/1000∼
55
0
50
100
150
200
250
(品目数)
され、農作物への農薬の残留実態にも影響します。
6
有 害化学物質など
0
銅
139
139
0.5∼3.7ppm
カドミウム
1
1
0.5ppm
鉛
1
0
り扱い開始する前に、定番品(店舗で常に品揃えして
いる商品)については年3回検査を実施しています。
また、中国産の貝類についても検査を実施しました。
09年度の米の検査ではカドミウムが国の基準の
0.4ppmを超えたものはありませんでした。中国産の
貝類については、国際基準を超えるものはありません
に見直されていています。
今回の大きな変更点は、食塩摂取上限量です。
2ppm
05年度版 10年度版
男性:10.0g未満 → 9.0g未満
女性: 8.0g未満 → 7.5g未満
図表10 動物用医薬品検査品目内訳
1
4
22
2
2
1
7
2
6
1
豚
肉
6
の原因となります。これからも食塩控えめの食事
3
4
3
2
1
鶏
肉
4
類
8
1
1
2
1
26
10
21
4
養
殖
魚
介
合 計
を心がけたいですね。
37
お 申し出関連検査
子
7
食品工場生産品
15
0
合 計
29
0
菓
1
23
1
2
※揮発性化学物質とは、パラジクロロベンゼンやナフタレンなどの防虫剤、
キシレンやトルエンなどの溶剤を含む。
理化学検査室
理化学検査室
石油くさいというお申し出に対しての臭気検査
スタミン検査・石油成分検査・揮発性化学物質の検査
を実施しています(図表13)
。
食品に含まれている油脂成分は酸化され徐々に劣化
虫用剤など)の残留検査を実施しています。特に、コ
進んでいるものはありませんでした。
ープこうべでの取り扱い量の多いコープス商品(フー
ヒスタミンとは、アレルギー様食中毒を起こす原因
ドプラン商品、清浄豚など)を中心に年間計画を立て
物質です。一般的にヒスタミンの量が50∼100
(mg/100g)を超えると、個人差にもよりますがアレ
て検査を行っています(図表10)
。
ルギー性の食中毒を引き起こす可能性があるといわれ
栄養成分検査の検査風景
ています。09年度は23品について検査を実施し、上記
目安を超える水産加工品が2品あり、商品の品温管理
図表11 栄養成分検査の検査品目数
水
た
ん
ぱ
く
脂
食
物
繊
灰
ミ
ネ
ラ
ル
糖
分
156
質
118
質
121
維
4
分
117
類
196
類
16
身近にある揮発性の石油成分は、食品への臭い移り
の原因となることがあり、「石油くさい」というお申
し出があった際には、軽油や灯油などが含まれるかど
うかを検査しています。
09年度は26商品について検査をし、10商品から石油
成分を検出しました。石油成分が移染や付着した原因
を調査し、改善するようお願いしました。
ンゼンなどの防虫剤、トルエンやキシレンなどの塗料
畜産食品 9(3%)
お申し出品をバイアル瓶(ガラスの小瓶)
にいれて、一定時
間加温し、臭気をシリンジ
(注射器)
にはかり取ります。
を徹底するようにお願いしました。
揮発性化学物質とは、ナフタレンやパラジクロロベ
図表12 栄養表示フォーム作成品目数
GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)
に注入します。
などに含まれている溶剤を指します。09年度お申し
日配食品 16(5%)
出のあった21商品について検査を行い4商品からこ
れらの化学物質を検出し、原因究明と対策に活かしま
検査を行いました(図表11)
。栄養表示をつけるため
の分析の他に、その栄養表示が正しいかどうかの確認
惣菜
86(27%)
検査や塩辛いなどのお申し出検査も行っています。
す。09年度のフォーム作成数は319品となっています
品
3
していきます。09年度は29品の検査を行い、酸化が
コープス商品には可能な限り栄養表示を行っていま
品
産
一般食品
て、動物用医薬品など(抗生物質、合成抗菌剤、寄生
●栄養表示フォーム作成
3
産
畜
日配総菜品
コープこうべで取り扱う食肉や養殖魚などについ
品を中心に181品について栄養表示のための栄養成分
2
水
取りすぎは高血圧やがんなど様々な生活習慣病
動 物用医薬品検査
09年度は、パン、麺類、豆腐など、食品工場生産
6
品
19
お申し出関連検査としまして、油の劣化の検査・ヒ
栄 養成分検査
5
産
肉
が、引き続きモニタリング検査を行うようにします
したものはなく、問題はありませんでした。
2
農
牛
(図表9)
。
09年度は、37品について検査を行いましたが、検出
4
検出数
139
※
鉛
栄養調査のデータや、様々な学術論文などをもと
揮発性化学物質
53
検出数
う全銘柄米の原料玄米について産地ごとに、新米を取
0.4ppm
139
米
貝類
0.05∼0.25ppm
カドミウム
米の重金属については、含有量により身体に影響を
及ぼす可能性があることから、コープこうべで取り扱
基準
石油成分
物にもある程度含まれているものです。
検出値
目安以上
にも存在するもので、その上で生活している動物や植
検査数 検出数
ヒスタミン
検査項目
図表13 お申し出関連検査
目安以上
検体名
っています。この基準は5年ごとに、最新の国民
油の劣化検査
カドミウムや鉛などの重金属は、土壌や水など天然
日本人の食事摂取基準2010年度版が発表にな
図表9 有害化学物質など
した。いずれの物質も石油成分と同様に揮発性が高
パン
(ベーカリーを
含む)159
(49%)
一般食品
22(7%)
菓子 8(3%)
麺・豆腐など 19(6%)
く、食品への『臭い移り』が原因と考えられました。
TOTAL
319品
得られたデータを標準品のデータと比較し、解析します。
(図表12)
。
7
8
衣住関検査室
割箸は「防かび剤や漂白剤などの薬剤の溶出量」につい
ての確認を、それぞれ品質規格や国のガイドラインなど
に照らし合わせて行いました。
09年度は、竹割箸については問題ありませんでした
が、トイレットペーパーに関しては、1巻の長さが規格
検 査・調査の概要
を下回っていたことや形状不良が認められたことなどに
より不合格となった商品があったため、メーカーに改善
衣住関検査室では、年間計画や商品部や商品開発室か
要請を行いました。
らの依頼に基づく検査・調査、お申し出が多発した商品
また、年間計画試験として、衣料用洗剤の洗浄力試験
の改善確認試験などを実施しています。繊維製品は09
や、肌に直接触れる用途の商品であるコープスとコープ
年度は33件 (前年比126.9%)
、 家庭用品については162
のコットンパフの異物チェック、コープスのタオルのホ
件(前年比89.0%)実施しました(いずれも、試験・調
ルムアルデヒド試験、及びパイル脱落試験などを実施し
査報告書を作成したものについての集計です)
(図表1)
。
ました。
おむつの試験項目
外観確認
肌への刺激となるような異物の
混入や汚れ、破れや形状不良な
どがないか確認します。
重量測定
1枚当りの重量を測定し、
ばらつきがないか確認します。
吸収速度
使用面を上にして水平に置き、人工尿150mlを滴下し
て尿が完全に吸収されるまでの時間を測定します。
●コープス商品の試験
繊 維製品検査
●年間計画に基づく検査・調査
年間計画に基づき、宅配取り扱いのマフラーや帽子、
コープスの大人用おむつや尿取りパッドをリニューア
繊
庭
製
用
品
品
09年度
26
182
162
た夏物衣料4品、冬物衣料3品について店頭より抜き取
り検査し、薬事法や景品表示法、家庭用品品質表示法な
どに抵触していないか、誤った洗濯や着用を促してしま
うような表示が記載されていないかどうか確認しました。
商 品表示、めーむやチラシの点検
ご存知ですか?SEKマーク
新規開発もしくは改善されたコープス32品の表示に
SEKマークとは、
「抗菌防臭加工」
「制菌加工」
また、コープス以外の商品(化粧品や健康器具、寝具
問題があると思われた商品、または効果についてデータ
など)や「いわゆる健康食品」についても、薬事法や景
を再確認した方がよいと思われた商品に関しては、担当
品において、社団法人 繊維評価技術協議会が定
品表示法などに違反している表現を使用していたり、誤
バイヤーに報告し、改善につなげました。
める認証基準を満たし、同協議会から認証を受け
った使い方を招く恐れがある表現を使用しているなどの
ギフト商品(タオルと入浴剤、石けんの組み合わせ)
やネット限定販売のさをり織りバッグ、袋入りジェルを
使用した涼感グッズ、抗かび加工靴下など計40品に対
し供給前に確認しました。品質についてコープこうべの
基準を満たしているか確認するとともに、加工剤を使用
しているものについては成分の安全性の確認も行いまし
た。
た製品にのみ表示することを認められたマークで
す。このマークが表示された繊維製品については、
安全性や効果に関する一定の基準をクリアしてい
るということになります。
商品検査センターの衣住関検査室からは、社団
法人 繊維評価技術協議会の開催する各種委員会
に生協代表として担当者が毎回出席し、お申し出
事例や組合員からの要望などの情報提供や認証
基準・表示方法などに対する意見を挙げるなどの
活動を行っています。
問題がないか確認しました。
いずれの商品についても、問題がある場合には、開発
担当者や担当バイヤー、メーカーに改善を要請しました
(図表2)
。
基 準やガイドラインの作成・改訂
日生協の繊維製品品質基準が改訂されたことにあわせ、
様々な繊維製品に関する問題やお申し出事例などの蓄積
を元に、コープこうべの繊維製品品質基準を改訂しまし
家 庭用品検査
た。また、家庭用品に関しても、表示などに関するガイ
ドラインの作成を進めています。
●年間計画に基づく検査
その他、組合員対象の「衣類のしみ抜き実演講習」や
コープスおよびコープのトイレットペーパー9品、竹
商品部の新人バイヤーを対象にした研修を行いました。
割箸2品について、定期的に品質の確認試験・調査を実
また「CSさわやかパッド」「CSキッチンクリーナー
施しています。トイレットペーパーは「長さや紙の密度、
強度や水への溶け易さ、風合いなどの使用感」など、竹
抗菌防臭加工マーク
抗かび加工マーク
尿の逆流量
の試験の後、吸収面に10枚重ねのろ紙をのせ、更に
その上に荷重をかけ、1分後の尿を吸収したろ紙の重量
を測り、元のろ紙の重さを引いて逆流量を算出します。
ついて、法律上問題がないかなどを確認しました。
「光触媒抗菌加工」
「抗かび加工」を施した繊維製
●供給前の品質や表示の確認
9
なげました。
33
衣住関検査室
衣住関検査室
家
維
08年度
可能な尿の総量についても試験(右記の「5.静置状態
での最大吸尿量」)を実施し、吸収量の目安の表示につ
調査品目
項 目
いてホルムアルデヒド試験を実施したところ、全て不検
また、UVカットや保温、保湿など各種効果をうたっ
した。吸収性能においては、吸収速度だけでなく、吸収
図表1 検査・調査の内訳(報告書を作成したもののみ集計)
手袋4品と店舗取り扱いのベビー衣料3品の計7品につ
出という結果でした。
ルするにあたり、吸収性能や使用感などの試験を行いま
ターゴットメーター
(洗剤の洗浄力や溶けやすさの試験に用います)
シート」の工場点検も実施しました。
静置状態での最大吸尿量
使用面を上にして水平に置き、10分ごとに150mlの人
工尿を繰り返し滴下しながら吸収速度や吸収の状況を
チェックし、
1枚のおむつが吸収できる尿の最大量を検
討します。
着用試験
実際に着用し、
使用感などについて確認します。
その他、使用薬剤の安全性チェックや材質確認試験など
も実施します。
図表2 商品表示やめーむ・チラシの点検の内訳
項 目
調査品目
08年度
09年度
コープス商品の表示
44
32
め ー む・チ ラ シ の 表 現
1,336
1,308
いわゆる健康食品の表示
30
29
10
官能検査室
コープスみかん味寒天ゼリーと
コープスぶどう味寒天ゼリー
「寒天デザート」の人気が高まっていることより開発
に着手された「寒天ゼリー」について、商品検査センタ
ーの来館パネラーによる評価を行いました。アンケート
検 査概要
を評価し、そのうち36品目がコープスとして09年度また
より、寒天ゼリーはデザートとして食べると答えた人が
は10年度中にデビューする予定です(図表1)
。
圧倒的に多く、20代までの低年齢層、若しくは60代以
人間の五感(視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚)は、機
評価いただいた商品の部門別構成比は、09年度は、
上の年齢層が食しているという傾向がわかりました。試
械などよりも優れた機能をもっています。官能検査で
食品工場、一般食品の商品が多くありました(図表
作品が2社の他社商品と比較してどのように評価される
は、機械などで測定できない味覚の嗜好や使い勝手など
2)
。
かを調査しました。見た目の好み、食感の好み、味の好
について、人間の五感を使って評価を行っています。
09年度も例年に続き、現行品と改善品の比較が一番
み、総合評価について調査した結果、試作品は見た目に
多く(41%)
、次いで新規開発品の評価(22%)となり
ついては綺麗で良いという意見がありましたが、香りが
ました(図表3)
。
弱く寒天くささが残り食感がやや固めという評価になり
モ ニター活動
ました。何度か試作を繰り返し、最終的に甘みを抑えた
商品検査センターでは、コープ商品を客観的に評価す
柔らかい食感の商品へと仕上がりました。コープスとし
るモニター制度として、月1回来館して商品評価を行う
て2010年4月にデビューしています。
来館パネラー(09年度は90人登録:任期1年)と、自
宅にて評価を行う在宅モニター
(09年度は283人登録:任
●職員による官能評価
期1年)があります。いずれも組合員の中から登録して
商品検査センターでは、職員によるお申し出の再現テ
おり、主にコープス商品の開発、改善の評価を行ってい
ストやコープスの賞味期限設定のための保存検査を職員
ます。
で行っています。09年度は51回にわたり職員評価を行
来館パネラーを月2回に分けて実施することにより、
いました(図表4)
。
商品開発、食品工場、商品部の依頼にタイミングよく対
職員評価の事例
応をすることができました。
牛乳パック開封テスト
来館パネラー、在宅モニターを合わせて59品目の商品
「コープスあじわい牛
来館パネラー実施風景
乳」が開封しにくいと
いうお申し出が寄せら
図表1 09年度来館パネラー・在宅モニターによって評価を行った商品(延べ59品目)
商
品
名
商
CSマカロニサラダ
6月
7月
8月
9月
11
CSミートボール
商
CSかつお風味つゆ
2009年
5月
名
10月
CSライ麦食パン
(山食)
CSたまご豆腐
1月
2010年
品
名
れており、コープス商
CS香りさわやか味わいポン酢 品及び他社NB品の牛
CS香りさわやか味わいポン酢 乳パックを4人の職員で3品目各20本の開封テストを行
CSレーズンジャンボ
現行品と改善品と
他メーカー品の比較 2%
現行品と
改善品の
比較
41%
アンケート調査 2%
現行品の単品評価 2%
現行品と
他メーカー品の比較
19%
新規
開発品の評価
22%
図表4 職員評価
3種間において、牛乳Aが一番開けやすいと識別され
1
もっちりこもち
1
1
ましたが、コープスの「あじわい牛乳」と牛乳Bに有意
アロエナタデココゼリー
2
1
メークイン
1
1
阪神友愛たけのこ
3
2
CS食器洗いコンパクト弱酸性
CSこんがりみたらし団子
CS味わいまろやかごまドレッシング
CSライ麦ブレッド
CSところてん
CSまろやか仕立て五目ちらし寿司の素
CS焼きそば
C野菜混合果汁
CSきしめん(温)
CSレーズンロールパン
パッケージメーカーの違いにより開けやすさに影響があ
CS新潟こしいぶき
CSきしめん(冷)
CSレモンカスター
った可能性があります。
CSまろやか信州みそ
CS寒天ゼリー(オレンジ)
CSあたりめ
今回、人によって開け方が異なり、開けにくさについ
ポテチチップス
(コンソメ)
*
CS寒天ゼリー(グレープ)
CSつけ麺
ての判断も一段階目の開封で開けにくいと評価するの
ポテトチップス
(塩味)
*
キッチンペーパー
CSレーズンジャンボ
化粧用コットンパフ
CSレーズンロールパン
か、二段階目の開封で開けにくいと評価するのかは人に
CS寒天ゼリー(オレンジ)
現行品と日生協品
の比較 7%
現行品と他社
PB品の比較 5%
1
CSあらびきウインナー
CSお手軽そば
図表3 09年度モニター商品の目的別分類
2
③牛乳B
CS細うどん
CS無塩せきポークウインナー
一般
食品
25%
5
CSウエットティシュー(詰め替え用) CSかつお昆布風味だしたっぷりつゆ
食品工場
37%
穴子箱寿司
CSライ麦食パン
(プルマン)
*在宅モニター評価品
■デビューしたもの
日配・総菜
15%
おでん
CSさらっとおいしい低脂肪乳
CS無塩せきロースハム
衣住関
15%
1
CSウエットティシュー(本体)
CS果実仕立ての焼肉のタレ
(中辛)
畜産 8%
8
CS中粒納豆 CS無塩せきあらびきウインナー
図表2 09年度モニター商品の部門別構成比
4
CS減塩しょうゆ
CS角食パン
員・組合員が学習会に参加されました(図表5)
。
たけのこ
②牛乳A
12月
ド」を教材に6カ所で実施し、延べ140人のコープ委
11
マキシフレッシュ枕カバー 浅型排水口用水きり袋*
09年度は、「ちくわ」「ポテトチップス」「神戸ブレッ
15
CS小粒納豆 3月
を行う上での注意点などを説明しています。
つるんとおいしいゼリー
いました。
CSこく自慢信濃みそ
CSお手軽そば
比較する商品の選び方、アンケート用紙の作り方、比較
アイテム
<比較サンプル> ①コープスあじわい牛乳
2月
実施しました。「商品比較テスト」を行うにあたって、
12
CSうす塩仕立て鱧入りちくわ
CSかつお風味だしたっぷりそうめんつゆ
年度は一般の組合員を対象とした「商品比較テスト」を
回数
CS薄手ゴム手袋
11月
とつとして「商品比較テスト」を実施しています。09
クッキー
三角コーナー不要・自立型水切り袋*
CS五目ちらし寿司の素
毎年コープ委員の方々を対象に、コープ商品活動のひ
差は認められませんでした。また、評価点よりどちらも
「開けにくい」という評価にはなっていませんでした。
牛乳パック開封テスト
1
3
ミンチ肉
3
4
五味テスト
2
合 計
51
34
図表5 商品比較テスト学習会の参加状況
参加人数
よって基準が違うことが判りました。また、パックが湿
5 地 区コープ 委 員 会
34人
気ている状態かどうかによっても開けやすさは異なり、
3 地 区コープ 委 員 会
18人
4地 区 コ ー プ 委 員 会
48人
6地 区 コ ー プ 委 員 会
20人
K C 姫 路 南 組 合 員
20人
組合員の開け方にも大きく左右し、一概には結論を出す
ことは出来ませんでしたが、コープスの「あじわい牛乳」
が特に開けにくいというわけではないと判断しました。
官能検査室
官能検査室
4月 サンドウィッチ用食パン
品
●コープ委員・組合員対象の
商品比較テスト学習会
12
2009年度のお申し出について
お 申し出内容
合員への報告漏れをなくす目的で、06年度よりお申し
出の進捗管理を行っています。
図表1 お申し出受付の推移
(件)
09年度に受け付けたお申し出件数は5,237件で、過去
最高を記録した08年度と比較して76.7%に落ち着きまし
09年度
08年度
700
た(図表1)。図表1は過去3年の月別受付件数です。
09年度も08年度に引き続きコープこうべ全体の課題
2009年8月に魚崎浜ドライ集配センターにて宅配物流
として取り組み、お申し出受付から組合員報告までの日
に関わる職員と意見交流会を開き物流関連のお申し出削
数を短縮することに努めました。特に第一線所属の意識
減に向けた課題を抽出しました。
向上により一定の短縮を行うことができましたが、一方
また、09年度より物流段階で発生した包材破れや液
で再調査などにより長期化するお申し出も増えています
漏れなどの商品不良発生履歴を定期的に共有化し、包材
(図表5)
。
800
07年度
の強度やお届け方法に問題があってお申し出に至ってい
また、09年度下期からは第一線所属職員を対象にお
申し出対応の現状報告会を開催し、お申し出受付時の注
グラフからは2009年11月以降は中国製冷凍ギョーザ事
600
意点などお申し出対応に必要な知識の共有化を行いまし
件以前の状態に戻ったことが伺えます。
500
た。この取り組みは10年度も引き続き行い、さらなる
全体のお申し出内容では、異物混入、異味・異臭、形
400
組合員満足を高める取り組みを行っていきます。
る商品がないかのチェックを行っています。
ト ピ ッ ク ス
2010年3月に宅
配で届いたシューア
イスの袋の口が全開
であったとのお申し
07年度 5,402件
3月
2月
月
1月
月
10 11 12
月
9月
8月
7月
6月
いました(図表2・3)
。
5月
300
08年度 6,827件
4月
態不良と続いており、構成比は08年度とほぼ一致して
09年度 5,237件
物 流部との交流
出がありました。
お申し出品は一時
製 造者責任のお申し出
的に何らかの衝撃・
図表2 お申し出内容内訳
09年度に寄せられたお申し出で製造者責任と判定さ
変質 4%
れたものは1,450件で全体の27.7%でした。08年度は
有症苦情 5%
1,946件・28.5%でした。
腐敗・変敗 7%
●工場点検
たものと思われまし
た。また、袋の破れ
方から魚崎浜要冷集
異物混入
27%
配センターでの商品
集品担当者が商品不
変色 8%
形態不良
18%
05年度より、コープスの製造者でお申し出が多く寄
圧力を受けて破袋し
機能不良 1%
その他 5%
量目不足 1%
良に気付くと思われ、
異味・異臭
24%
集品作業以降の取り扱い不備による原因と考えられま
せられた製造者についてはリストアップを行い、商品部
した。
毛髪かどうかの判定検査
や総合品質保証室と共に工場点検を行っています。
点検内容は、製造者より提出されたお申し出報告書に
図表3 お申し出分類別の件数と構成比
記載されている今後の再発防止策が実際に実行されてい
お申し出分類
虫管理状態、仕様書の確認などを点検し、必要に応じて
改善を要請しています。
2009年
構成比
物
1,854
27.2%
1,429
27.3%
異味・異臭
1,741
25.5%
1,245
23.8%
形態不良
1,219
17.9%
933
17.8%
色
549
8.0%
420
8.0%
場点検を行った商品の一覧(一部抜粋)です。
腐敗・変敗
472
6.9%
375
7.2%
有症苦情
350
5.1%
276
5.3%
変
質
269
3.9%
200
3.8%
量目不足
66
1.0%
44
0.8%
お 申し出の進捗管理について
機能不良
56
0.8%
38
0.7%
3.7%
277
5.3%
商品検査センターでは、お申し出品の送付漏れ及び組
そ
の
他
251
合
計
6,827
5,237
\ シッパーと呼ばれる大きな保冷箱(内容量80L)
Z
に入れて配達しています。
図表5 進捗管理
お申し出
件数
送付+
調査日数
報告
日数
全体
日数
2006年上期
2,125
12.05
10.22
22.27
2007年上期
2,465
11.59
6.55
18.14
2007年下期
2,937
11.28
6.24
17.52
2008年上期
3,567
11.62
5.25
16.87
2008年下期
3,260
11.81
3.80
15.61
2009年上期
2,928
11.80
4.05
15.85
2009年下期
2,309
11.94
4.01
15.95
この件を、魚崎浜要冷集配センターにて調査したと
\ シッパーの中にあっ
ころ、当該お申し出品は最上段Z
たことがわかりました。
\シ
包材の口が開いた原因は、協同購入センターでZ
ッパーを降ろす際に落とすような形で積み込み場所に
出荷していたためにその衝撃により起こったものと推
2009年度のお申し出について
構成比
変
09年度は21件の工場点検を行いました。図表4は工
2009年度のお申し出について
2008年
異
るかを主に点検します。その他に、工場の衛生状態、防
現在宅配の冷凍食品は、個人別に集品したポリ袋を
髄質があったので
毛髪と確認しました。
察されました。
この度の報告を受け、
\ シッパーの丁寧な荷扱
Z
いの徹底を各センターと
※上期は4月∼9月、下期は10月∼3月 2006年下期は未集計
※日数はすべて平均日数
共有しました。
図表4 09年度の工場点検(一部抜粋)
点検日
13
商 品 名
お申し出内容
点検結果
2009.4.17
CS皮なしウインナー
形態不良
包装前の検品強化を要請。
2009.6.23
CSあじわい紅たまご CSうまみ赤たまご
薬品臭
湿度管理の強化を要請。
2009.8.28
CS清浄豚ミンチ CS清浄豚ロース
異物混入(塗装片)
異物混入対策の強化を要請。
2009.9.2
CSうす塩仕立て鱧入りちくわ
異物混入(ブラシ片)
改善報告書通りに対策が行われていることを確認。
2009.9.25
CS国内産芽ひじき CS伊勢産あらめ
異物混入(毛髪・テグス)
工程管理に問題なし。
2009.10.15
CSなめらかきな粉 CS特選青のり
異物混入(毛髪)
異物混入対策の強化を要請。
2009.11.30
CS七色海鮮せんべい
異物混入(毛髪・テグス)
異物混入対策・清掃の強化を要請。
2010.2.23
CSミックスナッツ5
他商品の混入
改善報告書通りに対策が行われていることを確認。
2010.3.29
CSカットだし昆布
異物混入(昆虫)
異物混入対策・防虫対策の強化を要請。
\ シッパー
Z
所属から届いたメール便でお申し出商品を調査別に振り分ける様子
14
組合員のお申し出により改善しました!
!
改善事例 3
コープス
アカシアブレンドはちみつ 1kg
「コープス1kg」シリーズ(はちみつ、はちみつレ
モン、はちみつブルーベリー)は、開発当初より容器
改善事例 1
が硬くて中身が出しにくい、ボトルの口部が小さくて
コープ化粧品
●ミルクローション ●モイスチュアクリーム
中身を直接取り出しにくいなどのご意見を頂いていま
2009年7月に「コープ化粧品のミルクローション
①トコフェロールの
月1日製造分より容器をすべてリニューアルする運び
とモイスチュアクリームが赤っぽく変色した」とのお
配合量の下限値だ
となりました。
申し出が発生しました。店頭で供給されている段階で
けでなく、上限値
改善点は以下の3点です。
発見されたものが多く、お申し出品を調査したとこ
も設定し、管理を
①1kgの容量の場合、ご家庭での使用期間が長くなり
ろ、いずれも微生物による影響や配合ミスなどの異常
強 化 し ま し た
はちみつが結晶化することが考えられます。そのた
③ボトルのスクイズ性(押し出し
は認められませんでした。更に調査した結果、どちら
(2009年8月製
めにボトル口部を大きくして、結晶部分をすくい取
易さ)については、極力薄肉成
ったり、湯煎する際に容器の底に溜まった結晶を崩
型を試みましたが、過度に柔ら
しやすい用に大きめのスプーンが入るよう配慮しま
かさを追求すると、充填後や家
した。
庭内での湯煎でボトルの減圧変
も原材料の「トコフェロール」の色が濃い目であった
上に配合量も規格内とはいえ若干多めであったこと、
造分より)
。
②変色のお申し出の
および、店頭陳列の際に蛍光灯から出る紫外線などの
あった店舗を中心に、店頭の蛍光灯を紫外線による
影響を受けたことが原因であると考えられました。
影響が減少するといわれているLED照明に切り替
今回の変色は、安全面や使用感においては問題ない
えました(2010年2月終了)
。
のですが、外観上好ましくありません。そこで、現在
③商品の色の変化に関する注意表示を容器に追加して
では以下の改善策を実施し、変色を防止する対策を講
記載します(2010年3月の段階では具体的な切り
じております。
替え時期は未定)
。
その後、容器、製造機材の準備を進め、2010年3
②従来ボトルでは胴径が太すぎて扱いにくいとのご意
型を招くおそれがあるので、目
見より、直径88mmから85mmとひとまわり小さ
付け(容器原料使用量)を現在
くしました。
の55gから50gへの変更にと
また胴の中央部分に幅約15mmの凹みを施し、
「握
どめました。
コープス
つるんとおいしいゼリー
コープス かつお風味
味わいすっきりそうめんつゆ
通常、賞味期限の設定について製造者が責任をもっ
改善前の「コープスかつお風味だしたっぷりそうめ
ち6人の人が「薬品臭がす
て設定していますが、コープス商品の場合、商品検査
んつゆ」については「薬品臭」がするというお申し出
る」と答えています。その
センターでも賞味期限の設定を確認する場合がありま
が年に数件寄せられていました。その臭いは感じる人
他の人は「かつおだしの香
す。つるんとおいしいゼリーについては、賞味期限
と感じない人があり、人によっても表現の仕方がまち
り」「魚の内臓をいぶした臭
180日が設定されています。しかし保管中にゼリー
のよりも2.2倍の速度で変色、退色がすすむことがわ
まちです。この商品の原料に使用している鰹節は、な
い」「焦げくさい臭い」「木
の色が褐色した、桃の色が褐色したというお申し出が
かりました。特にぶどう、白桃の変色がすすむことが
ら・かし・くぬぎなどの広葉樹の薪でいぶしながら乾
のような臭い」と表現し
生じ、酸化防止剤として用いられるビタミンCを添加
わかりました。常温保存分で見た場合、ぶどう以外は
燥する焙乾(燻製)工程を繰り返して鰹節特有の味・
「臭いが気になる」と答え
するという対策がとられました。
賞味期限製造日を含めて226日で食することのできな
香りを付与して作られます。この焙乾工程によって付
ていました。以上の結果よ
与される成分は、その質と強さにバラツキがあるた
り、商品特徴の臭いを「薬
め、この燻製の臭い(スモークフレーバー)を薬品臭
品臭」と感じていることが
のような臭いに感じられたものと思われました。商品
わかり、商品の仕様変更となりました。この商品は、
的な特徴で問題はないものと判断していますが、実際
味わいが非常に支持されている商品でもあり、そのよ
に一般の組合員の人にどのように臭いが判断されるの
さを残すことも留意しました。度重なる試作と来館パ
商品検査センターでは実際に、常温で保存していた
ビタミンCにより退色することがわかり、ビタミンC
かを来館パネラーで評価してもらいました。
ネラーによる評価を行ったすえ、原料の配合が決定さ
ゼリーと恒温恒湿器(温度35℃・湿度60%)で条件
添加の効果がないことが確認できたため、ぶどうのみ
その結果、38名中、「臭いが気になるか?」との質
れ、2010年3月に改善品として「デビュー」しまし
を過酷なものにしたゼリーで比較を行いました。その
ビタミンCの添加はしないことで商品化をすすめてい
問に対し16人の人が臭いが気になると答え、そのう
た。
結果、恒温恒湿器に入れたものは、常温で保存したも
くことにしました。
<確認した商品>
みかん/みかんナタデココ/白桃/フルーツミ
ックス/柑橘ミックス/ぶどう/マンゴーナタ
デココ
い割合が20%未満となっており、安全係数80%をか
組合員のお申し出により改善しました
組合員のお申し出により改善しました
15
凹み
した(3品で計15件)
。
改善事例 4
改善事例 2
!
!
りやすさ」を改善しました。
けて賞味期限180日の設定は可能と判断しました。
ビタミンCを入れることで、大半のゼリーについて
は、退色、変色を抑えることができました。しかし、
ぶどうゼリーについては、ぶどうのアントシアニンが
!
!
16
フードプラン
誕生20周年を迎えて
∼商品検査センターとのかかわり∼
おおや高原
生産者のメッセージ
おおや高原では、開拓した当初からコープこうべと
ともにフードプラン栽培に取り組んできました。最初
は発酵が十分すすんでいない有機物の施肥などによ
り、良質な野菜を育てることができませんでした。
1990年に食の安全・安心の取り組みを強化したフード
うかと、「フードプランの管理規範」に沿った農薬を使用
10年がかりの研究と努力で、現在では地元の但馬牛
プランを発表、2010年には20周年を迎えました。
しているかの確認を行います。
などの牛ふん堆肥「おおや有機」や、カニ殻、鶏糞を
1991年に卵の供給を開始して以来、農産物を中心とし
発酵させたものなどを施肥して、豊かな土壌をつくっ
て牛肉、豚肉、鶏肉、魚、牛乳や米なども増え、現在85
●検査でしっかりチェック
産地、約180品目を取り扱っています。フードプラン商
商品検査を実施する場合には個々の商品が持つリスク
の野菜をコープこうべ向けに出荷することができるよ
品への、商品検査センターのかかわりについてご紹介し
を考えて検査項目を設定します。農産物に対しては残留
うになりました。
ます。
農薬検査を、畜産物や養殖魚に対しては、動物用医薬品
また、フードプランの管理規範に基づき、きっちり
の検査を実施しています。
と記帳・管理を行い、安心できる商品づくりをめざす
フードプランの農産物は、シーズン開始時に残留農薬
とともに、さらなる品質の向上に努めていきます。
●安全・安心のためのルールづくり
∼管理規範などの作成のサポート∼
ています。これによって安定した品質の良い有機栽培
検査を実施することが基本ルールです。産地で他の検査
フードプランのさらなるステップアップとして、
機関にて検査する場合もありますが、商品検査センター
2005年に出来上がった「管理規範」の作成には、商品
においても検査を行っています。
検査センターは実際に残留農薬検査をする立場としてか
また、供給期間中も店舗や宅配から商品を抜き取り、
かわってきました。
モニタリング検査を随時行うとともに、供給期間の長い
『フードプラン商品はトレーサビリティがしっかりし
農産物についても少なくとも年1回の検査を実施してい
た、食べる人にも、作る人にも安全で環境に配慮して生
ます。
産された商品であり、組合員と生協、生産者が信頼しあ
フードプラン農作物の農薬検査では、農薬を検出した際
う商品である。』の基本的な考えのもと、生産者自身が品
には、その農薬が栽培計画書に載せられている農薬かどう
質管理システムの基本であるPDCAサイクルをまわし
かをチェックしています。万が一、栽培計画にない農薬を
て、永続的によりよい商品づくりができる管理規範が出
検出した場合には、即時にフードプランの担当者に連絡を
来上がりました。
し、原因について調査に入ります。原因のほとんどは、近隣
残留農薬検査の流れ
1
の農産物に使用した農薬のドリフト(移染)の場合が多く、
●栽培計画の確認
その対策を商品開発室フードプランが指導しています。
フードプラン農産物については、栽培開始にあたり、
全ての農産物について栽培計画の確認を商品検査センタ
●フードプラン生産者の方々の見学対応
ーと商品開発室フードプランにて行っています。栽培計
フードプラン商品をチェックする機関としての商品検
画書に沿って、「農薬の使用が慣行栽培の1/2以下であ
査センターの取り組みを理解していただくために、生産
る」というフードプラン基準に適合するものであるかど
者の方々の見学にも対応しています。見学の際には、法
検査する食品を細かく切り、均一
にします。
2
ミキ サ ー の 中 で 、食 品 から液 体
(有機溶媒)
に農薬などを溶かし出
します。
3
食品の固形分と液体をろ過で分け
ます。
4
5
6
液体を濃縮します。
液体に溶けている食品成分(葉緑
素など)
を一部取り除きます。
LC/MS/MS(液体クロマトグラ
フ・タンデム質量分析計)などの機
器で分析します。
律や農薬に関しての情報交換を行っています。
●これからもずっと
今後もフードプラン管理規範の作成是正から計画書の
確認などのかかわりを継続します。
ートブランドとして支持されているフードプラン商品の
品質の確かさを、「検査」の視点でサポートし、組合
周年を迎えて
17
員、生産者の方々の期待に応えてまいります。
20
18
周年を迎えて
栽培計画書の確認
20
フードプラン誕生
フードプラン誕生
同時にコープこうべの安全・安心の代表的なプライベ