issue date 2016/11/7

ソニーフィナンシャルホールディングス調査レポート
ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部長 尾河 眞樹
issue date
2016/11/7
トランプリスクへの対応 今週のドル円予想レンジ 103.00-106.00
今週は米大統領選が焦点。日本時間の9日午後~夕方に選挙結果が判明する見通しだが、接戦と
なり時間がかかれば、市場が一時リスクオフに傾く可能性も。選挙終盤にメール問題が再浮上し
たことで、どちらが勝っても後味の悪さが残る可能性も。
10月の雇用統計はおおむね良好な結果となった。非農業部門雇用
今週の注目材料
者数は前月比16万1000人増と、市場予想(17万3000人)を下
【米】11月7日:10月労働市場情勢指数
回ったものの、9月の実績が速報の15万6000人から19万1000人へ
と上方修正された(図表1)。また、U6失業率*は、前月の9.7%
から9.5%に改善。さらに、平均時給も前年比で2.8%上昇と、9月
(同2.7%)から改善した。本来であれば利上げ観測が強まりドル
は一段と上昇したはずだが、ドルインデックス(ドルの名目実効為
替レート)は4営業日続落。背景には「トランプリスク」がある。
米連邦捜査局(FBI)によるクリントン民主党候補の「メール問題
再捜査」は、大統領選間際のタイミングで発表されたため金融市場
【米】11月8日:大統領選
(結果判明は日本時間9日夕方頃との
見方が多いが前後する可能性も)
【中】11月8日:10月貿易収支
【中】11月9日:10月消費者物価指数
【米】11月11日:11月ミシガン大消費者信頼感
(速報値)
■図表1:米非農業部門雇用者数(前月比)
への影響も大きく、市場参加者はトランプが勝利するリスク、いわ
ゆる「トランプリスク」に備えていた。先週、ドル円のリスクリ
バーサル(25デルタ・1カ月物)は急速にドルプット・オーバーが
拡大(図表2)。リスクリバーサルは、通貨オプション市場の需給
の傾きを示すものとして注目されるが、ドルプット・オーバーとは
「ドルを売る権利」の需要が高いことを示す。ところが、米国時間
の11月6日、これまで沈黙を保っていたコミーFBI長官が米議会に
書簡を送り、「再捜査は終了した」「クリントン候補による国務長
官時代の私的な電子メール使用について、犯罪に相当しないという
結論に変更はない」と伝えた。これを受けてドル円は7日のウェリ
ントン市場で急騰。「トランプリスク」の後退による市場心理の改
善が今週のドル円相場を下支えしよう。しかし、いくつかの点で不
透明感は残る。第一に、報道によれば今回再捜査に該当したメール
は数千件とされており、たった1週間余りで結論が出ること自体に
出所:米労働省
■図表2:ドル円リスクリバーサル
(25デルタ・1カ月物)
違和感がある、第二に、コミー長官はそもそもなぜこのタイミング
で再捜査に踏み切ったのか、再捜査の背景など、詳細は一切説明し
ておらず、「選挙操作ではないか」との批判は残る、第三に、トラ
ンプ氏はもともと今回の選挙戦全体に対して「クリントン氏が優勢
になるように不正が行われている」などとクリントン陣営を批判し
ており、今回のFBIの結論にも猛反発している。場合によっては、
自身が敗北した場合、これを受け入れないリスクもあるかもしれな
い。妙なタイミングで再捜査が行われただけに、どちらが勝利して
も違和感が残り、スッキリとリスクオンにはなり難いかもしれない。
仮に選挙結果にトランプ氏が不服を申し立てるなど新たな展開があ
れば、ドル円の重しとなろう。メール問題再捜査発表の直前につけ
た高値、105円53銭を上抜けるには、しばらく時間がかかりそうだ。
出所:Bloomberg
*フルタイムの職を望みながらもパートタイム就労を
余儀なくされている人や就職活動をあきらめた人も
含む広義の失業率
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