青森工業高等学校 鈴木 魁

青森工業高等学校
鈴木
魁
今回の海外エネルギー事情研修会はフランスとスウェーデンのエネルギー
施設見学や現地の高校生との交流、懇談をするなど長期に及ぶ有意義な研修と
なりました。日本と異なった文化や歴史、エネルギーに対する考え方にふれ、
国際的な見識を深めました。私がこの研修会に参加した理由は将来の夢を実現
するためです。私は将来、環境やエネルギーのことを踏まえながらエンジンを
創れるエンジニアになりたいと考えています。そして、日本だけでなく、海外
のエネルギー事情も学びグローバルに活躍できるエンジニアになるために参
加を希望しました。
最初の見学施設として、ランスの潮力発電所を訪れました。この施設は世界
初の潮力発電所で、47年前に建設されました。潮力発電は潮の干満の差を利
用して発電します。潮の干満は予測することができるので、潮力発電は他の自
然エネルギーを利用した発電所と比べ、安定的に電力を生み出すことができま
す。特に印象に残っていることは、環境のことです。発電所建設により、生態
系が変わり様々な生物が生息しはじめ、自然豊かになり、ライフラインが整え
られ便利になったことには驚きました。潮力発電は初めて学んだので興味を持
つことができ、とてもためになりました。
次に、ラ・アーグ再処理施設を見学しました。この再処理施設では約500
0の人々が働いていて、使用済み燃料の貯蔵をはじめ原子力に関する仕事に携
わっていることを知りました。ここでは発電を行っておらず、再処理で使える
ウラン235を取り出して濃縮したり、使用済み燃料をガラス固化体にしたり
して保存していることがわかりました。また、ラ・アーグ再処理施設が六ヶ所
再処理工場と似ていることは、とてもびっくりしました。そして、日本がアレ
バ社のクライアントだったことに驚き、日本と深い関係があったことを初めて
知りました。
高校生との交流ではグリニャール高校を訪問しました。フランスでは化学の
時間は殆どがエネルギーに関する授業をしています。そして、両親のほとんど
が原発施設に勤めていて、現地の高校生はエネルギーについて学ぶ環境や原発
が身近にあることを知りました。日本でもそのような環境を作っていけるよう
に小学校からエネルギーの教育ができれば良いなと思いました。
スウェーデンでは最初にハンマルビー・シェースタッドを訪問しました。こ
こはエコに力を入れていることを知っていたのでとても興味があり、訪問が待
ち遠しかったです。実際、エコタウンとしてゴミの分別に力を入れていること
がわかりました。生ゴミ、燃えるゴミ、その他のゴミの三種類に分けられ、決
まった時間にそれぞれ地下に送られて処理されることを知りました。また、ゴ
ミの処理以外にもアパートにある電化製品のほとんどが環境にやさしいもの
を使っていたり、バスはバイオガスを使用して運行しています。特に印象に残
っているのは、車に関する意識の違いです。ここでは、自家用車の使用を減ら
すため、バスなどの公共機関を増やし、環境に優しい車をレンタルできる施設
があります。そして、ここに住んでいる人たちは、他の地域の人たちより四割
も自家用車を持っている人が少ないことに驚きました。日本でもこのような環
境にやさしい町作りができればいいなと思いました。
最後に訪れた施設はフォルシュマルク中・低レベル廃棄物貯蔵所です。ここ
は中・低レベル廃棄物を400~500年間保存する施設です。高レベル廃棄
物貯蔵所は貯蔵期間が10万年と長期になることに驚きました。
スウェーデンのカテドラル高校との交流では、日本のことやエネルギーのこ
とについてディスカッションをしました。これがとても楽しく、現地の高校生
は原発を必要なエネルギーの一つとして意識していることを知り、とてもため
になりました。カテドラル高校では 授業で頻繁にディスカッションを行って
いると聞いて、驚きました。日本でもこのようなディスカッションを授業に取
り入れれば良いのにと思いました。また、一緒にゲームをしたり、ダンスや隠
れんぼをしたりと、とても楽しく心に残る有意義な時間になりました。
また、モン・サン・ミッシェルやルーブル美術館など世界的に有名な場所や
作品にふれることができてとても感激しました。
研修会に行く前は、ヨーロッパというひとつの集まりとでしか、考えていま
せんでしたが、フランスとスウェーデンを比べただけでも全く異なった、文化
や様々な考え方を持っていることに驚きと、より興味や関心がわきました。ま
た、現地の人との英語での会話や食事をはじめとする日常生活、文化や歴史に
ふれることができ、私にとって大きな財産になりました。そして、この研修会
で学んだこと、感じたことは必ず将来役に立つと思います。これまでサポート
して下さった皆さん、本当にありがとうございました。