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トマト黄化葉巻病の大発生に注意してください

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トマト黄化葉巻病の大発生に注意してください
下都賀農業振興事務所(H23.9 作成)
農薬だけでは防ぎきれない!黄化葉巻病とタバココナジラミをハウスに「入れない」
、
ハウスから「出さない」
、ハウスで「増やさない」
、を徹底してください。
今年は黄化葉巻病が大発生しています
トマトの黄化葉巻病は、タバココナジラミによって伝搬されるウイルスによって発病します。栃
木県では平成 18 年
(2006 年)
1 月 12 日に JA おやまの施設栽培で初めて発見されました。
発病は年々
拡大傾向にありますが、栃木県では過去2年、タバココナジラミの発生が尐なかったため、黄化葉
巻病の発病も尐なく推移しました。しかし平成 23 年 8 月になると、コナジラミ類の発生は引き続き
尐ないものの、黄化葉巻病が過去に例を見ない高密度で発生しています。
次項の対策を踏まえ、栽培にあたっては黄化葉巻病の蔓延防止をお願いいたします。
図1 下都賀管内の露地における黄化葉巻病の発生状況(2011/9/7~9/20)
発生なし
黄化葉巻病発病株あり
著しい黄化葉巻発病株あり
凡例:
下都賀管内の 171 地点の野良生え、家庭菜園等のトマト黄化葉巻発病を調べた結果、104 地点(約
6 割)で発病が確認できました。露地では黄化葉巻病が高い密度で発病していることから、野外の
タバココナジラミは高い確率で黄化葉巻病のウイルスを保毒していると考えられます。
1
対策の実際「入れない」、「増やさない」、「出さない」
防除で最も大切なことは、1つだけの防除方法
に頼ることなく複合防除をすることです。
ハウスの中に「入れない」
0.4mm 防虫ネット展張や、黄色粘着板を設置して、外からのタバココナジラミの侵入を未然に阻
止しましょう。サイド換気はできるだけ早く閉め、飛び込みを阻止するように心がけましょう。
表1 主要病害虫の大きさ(静岡県農業改良課 2005)
害虫名
体長(mm)
体幅(mm)
タバココナジラミのバイオタイプ別ではタ
トマトサビダニ
0.2
0.05
イプ Q よりタイプ B が小さい傾向にあります。
オンシツコナジラミ
1.0
0.2
タバココナジラミ
0.8
0.2
ミカンキイロアザミウマ
1.0~1.7
0.4
マメハモグリバエ
2.0~3.0
0.5~1.0
表2 防虫ネットによるタバココナジラミの通過率(静岡農試 2001)
ネット目合い ネット通過率
防虫ネットを展張すると絶対にタバココナジラミが侵入しな
いわけではありません。この結果を見ると 0.4mm 目合いでも0%
0.3mm
0%
でない事がわかります。一方で 1mm 目合いになると、ネット展張
0.4mm
1.2%
した効果がほとんどありません。
1.0mm
95%
表3 トマト施設周辺におけるコナジラミ類の高度別誘殺数(愛知県)
侵入場所
割合
出入口やサイドからの侵入は多いですが、飛び込みのうち天窓か
らの侵入も 4 割弱あるようです。防虫ネットはサイドや出入口だけ
出入口・サイド
63.6%
でなく、天窓にも展張する必要があるのが分かります。
天窓
36.4%
0.4mm ネット
4mm ネット
2枚の写真は天窓に展張しているネットの目合いの
違いによる黄色粘着板の捕殺状況の違いです。粘着板は
高軒高ハウス2棟に 2011/8/26 設置し、9/9 に調査しま
した。
0.4mm ネットを展張したハウスでの黄色粘着板の捕殺
は、100c㎡あたりコナジラミ類2匹、その他の虫 15 匹
でした(写真上)
。マルハナネット(目合い 4mm)を展
張したハウスでは、100c㎡あたりコナジラミ類 15 匹、
その他 31 匹でした(写真下)
。天窓は開口位置が高いた
め、防虫ネットの目合いは大きくても飛び込みは尐ない
との意見がありますが、黄色粘着板を 2 週間設置したと
ころ、写真の通りの差が見られました。
天窓も 0.4mm 目合いネットの展張が効果的です。
写真1 黄色粘着板の捕殺状況
2
●粘着板の利用
粘着板は 200~300 枚/10a 設置するのが望ましいとされています。また、特に出入口など開口部
に重点的に設置することで、粘着板を有効に活用できると考えられます。
(図2の中間室設置参照)
●近紫外線カットフィルム
360nm 以下であればセイヨウマルハナバチの活動に影響を不えない程度で、コナジラミ類の活動
を抑制することができます。
●中間室の設置
ハウス
出入口
ハウス
中間室
一般的なハウスの出入口は扉1枚で、外と中を仕切っていま
す。これでは管理作業のため人が出入りするときにコナジラミ
の飛び込みをゆるしてしまいます。特に空気には冷たいところ
から暖かい方へ流れる性質があります。つまりハウスでは野外
からハウス内へ風が吹き込み、虫が入りやすい環境となってい
るのです。
そこでぜひ設置したいのが中間室です。ハウスとの間に、境
があることで丌用意な虫の飛び込みを抑えることが期待できま
す。中間室で虫を捕殺すれば出入りのリスクが軽減されます。
(開口部分に粘着板を重点的に設置する。ロール式の粘着板
をハウスの外張りに張り巡らす。
)
図2 中間室設置の提案
●ハウスの衛生環境保全に努める
タバココナジラミはトマトだけでなく、ハウス内
の雑草も好みます。特に暖房機の後ろ側や、ハウス
の外張りと内張の間の雑草などに潜みます。
またハウス周辺の雑草もコナジラミの密度を高め
る原因となります。ハウス内外で虫を増やさないた
めに、ハウス周辺の衛生維持に努めてください。
写真2 ハウス周りにグランドカバーシートを被覆した事例。
他に光反射シートを被覆すると飛び込みを防止効果が高い。
コラム
タバココナジラミ類の生活史(静岡県農業改良課 2005・野菜茶業研究所 2010)
25℃条件下では、20 日で卵から成虫のライフサイクルを繰り返す。
サークル状に約 歩き回る1齢幼 固着した幼虫
60 個産卵する
虫
卵で 7 日
幼虫で 7 日
目のある老齢幼 成虫
虫
さなぎで 5 日
寿命 18 日以上
3
ハウスの中から「出さない」
●発病株の処分について
発病株は袋に入れて持ち出すか、埋設処理をするなどして処理してください。成長点を切断して
発病状況が見えなくても、ウイルスはおさまっていません。ハウス内の健全株に感染のリスクを増
やすだけなので、必ず抜き取り処分します。袋に入れて持ち出すのも良い方法ですが、その後腐る
と臭いもひどく処理に困ります。そこであらかじめ埋設する穴を複数個掘っておき、発病株を捨て
て土をかぶせ、いっぱいになったら次の穴にうつる方法をおすすめします。
(事前に穴を開けておく
ことで、処分の手間を抑えることができます)
●作の終了について
タバココナジラミは以下の様な伝染経路で1年を経過します。春から夏にかけてハウスから露地
へ逃げ出したコナジラミは、秋にハウスに戻ってきます。露地で保毒しているタバココナジラミは
ハウスから逃げ出たもので、冬を越すのはハウスの中です。
そこで、作の最後には蒸し込みを行い、ハウス内のコナジラミ類を完全に死滅させ、野外に放さ
ない必要があります。
春
ハウス
栽培終了時に、
ウイルス
を保毒したタバココナジラ
ミが野外へ逃げ出す
露地
(雑草や野
良生えトマト、
家庭菜園等)
夏
秋
冬
保毒したコナジ
ラミ類が飛び込
ハウス内で越冬
み、徐々に密度
が高まる
逃げたタバココナジラミ
ハウスへ戻り、
によって野外のトマ
野外では越冬で
野外のコナジラ
ト等にウイルスを伝
きないため死滅
ミは激減
搬する
図3 トマト黄化葉巻病の伝染経路
表4 20℃条件下でのタバココナジラミバイオタイプ B の生存率(野茶研 1996)
経過日数(日)
1
2
3
4
5
6
7
水がある状態での生存率
(%) 96
80
64
32
4
0
絶食状態での生存率(%)
92
68
0
蒸し込みは必ず絶食状態で行う必要があります。トマトや雑草など水分があると生存率が高く死
滅させることができません。トマトの茎を地際部分で切断し、雑草をきれいに除去し蒸し込みまし
ょう。
絶食状態で蒸し込めば、
ハウスの温度を高く維持しなくても封じ込めの効果が高いようです。
ウイルスを保毒したタバココナジラミを野外にまき散らさないようにし、次作に影響をあたえな
いように努めましょう。
コラム 黄化葉巻病はトマトだけでなく、以下の植物にも感染します。
感染して発病するもの・・・トルコキキョウ(2010 年に栃木県内でも確認)
感染するが発病しないもの・・・(園芸作物として)ピーマン、ジャガイモ、インゲン、ペチュニ
ア、
(雑草として)エノキグサ、ハコベ、ノボロギク、センナリホウズキ等約 500 種類。
しかしながら、トマト以外に感染した植物からタバココナジラミが黄化葉巻のウイルスを獲
得し、再びトマトに感染させることができるのか、現在は丌明です。
4
ハウスの中で「増やさない」
●農薬を用いた防除
タバココナジラミバイオタイプ B は合ピレ系、有機リン系に抵抗性があり、バイオタイプ Q は更
にネオニコチノイドの一部に抵抗性があるため、効果的な薬剤を選択しなければなりません。更に
新たな抵抗性を持たないよう、同じ系統の薬剤を連用しないことが必要です。以下に農薬の感受性
結果を示しましたが地域やハウスによっても反応は異なるので指標として使用してください。
表5 トマトのコナジラミ類登録農薬の、バイオタイプ Q に対する薬剤感受性結果
成虫
主なグループ
商品名(有効成分)
ネオニコチノイド
スタークル顆粒水溶剤(ジノテフラン)
100
ベストガード水溶剤(ニテンピラム)
100
◎
モスピラン水溶剤(アセタミプリド)
80
①
アドマイヤー顆粒水和剤(イミダクロプリド)
③
1 齢幼虫
卵
速
残
ハ
②
③
攻
効
チ
○
□ 20
③
96
◎
◎
□
○
15
△
○
◎
○
□
3
×
×
○
○ 30
97
アクタラ顆粒水和剤(チアメトキサム)
51
×
×
○
○ 42
ダントツ水溶剤(クロチアニジン)
16
×
×
○
○ 15
バリアード顆粒水和剤(チアクロプリド)
13
×
×
○
○
1
ピラゾール
サンマイトフロアブル(ピリダベン)
97
○
100
○
○
4
ピリジンアゾメジン
チェス顆粒水和剤(ピメトロジン)
39
×
90
□
○
1
マクロライド
アニキ乳剤(レピメクチン)
◎
早
コロマイト乳剤(ミルベメクチン)
×
昆虫成長抑制剤 アプロードエースフロアブル(フェンピロキシメート、ブプロフェジン)
気門封鎖剤
◎
100
×
1
◎
◎
○
×
1
◎
○
△
○
1
エコピタ液剤(還元澱粉糖化物)
100
0
サンクリスタル(脂肪酸グリセリド)
100
1
0
粘着くん液剤(デンプン)
その他
クリアザールフロアブル(スピロメシフェン)
100
ハチハチ乳剤(トルフェンピラド)
◎
◎
コルト顆粒水和剤(ピリフルキナゾン)
×
○
0
○
×
5
早
長
3
表6 トマト登録農薬だがコナジラミ類に登録のない農薬のバイオタイプ Q に対する薬剤感受性結果
主なグループ
商品名(有効成分)
①
④
⑤
速効
残効
ハチ
スピノシン
スピノエース顆粒水和剤(スピノサド)
100
97
100
○
□
7
マクロライド
アファーム乳剤(エマメクチン安息香酸塩)
100
100
○
□
2
感受性評価のうち①、②、④、⑤は死虫率(%)
、③は凡例:◎90%以上、○70~90%、△50~70%、×50%以下
を示す。速効・残効性は防除指針より引用。凡例:○高い、□中程度、×低い。アニキ乳剤とコルト顆粒水和剤は
メーカー HP から引用。マルハナバチの安全日数はバイオロジカルコントロール HP より引用。
①・・・栃木県農業環境指導センター(2006)野木町で採集したタバココナジラミの成虫を使用
②・・・千葉県農林総合研究センター(2009)室内で数世代累代飼育した得られた1齢幼虫を使用
③・・・山梨県農業総合技術センター(2007)中央市のトマトハウスで採集した成虫、幼虫、卵を使用
④・・・長崎県総合農林試験場(2006)島原市のトマトから採集した成虫を使用
⑤・・・福岡県病害虫防除所(2008)久留米市のトマトから採集した成虫を使用
上記の農薬は平成 23 年 9 月 7 日現在のものです。
使用にあたってはラベルの確認をお願いします。
5
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