"Tour of Thailand"(タイ、UCI2.2) 開催日:2015 年 4

BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM
井上和郎
大会名:The Maha Chackri Sirindhon's Cup "Tour of Thailand"(タイ、UCI2.2)
開催日:2015 年 4 月 1 日(水)-6 日(月)
開催地:Nakhon Ratchasima→Udon Thani
アンカーメンバー:井上和郎、ダミアン・モニエ、トマ・ルバ、内間康平、椿大志
出場チーム:コンチネンタル 16 チーム、各国ナショナル 7 チーム、タイ選抜チーム
出走:24 チーム、117 人
UCI アジアツアーのステージレース。
東南アジアの厳しい登りが少ないステージレースでは、
ふとしたタイミングで大きく集団が割れて勝負が決する日があり、
そんな日が 2、3 日ある中で総合勝者が決まるケースが多い。
特に今年は、完全に平坦レースと言っていいほど登りがない。
各チーム 5 人と単独チームで集団をコントロールするのが難しいうえに、
今回は、アジアの名だたる選手が勢揃いしていて、
各チームの力が拮抗していて厳しいレースになると思われた。
チームは、アジア選手権、ツール・ド・台湾を
走ってきて仕上がっている内間康平をエースとして、
総合優勝を目標とした。
4 月 1 日(水)第 1 ステージ Nakhon Ratchasima→Buri Ram 9:00~
天候:晴れ、気温 32~39℃
距離:177km
結果
1 内間康平 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM 3 時間 47 分 53 秒 46.6km/h
2 Ok Cheol KIM - Seoul Cycling Team +0 秒
3 Alexandr SHUSHEMOIN - Vino 4ever +2 秒
19 井上和郎 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +3 分 8 秒
62 トマ・ルバ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +6 分 20 秒
71 椿大志 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +6 分 20 秒
78 ダミアン・モニエ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +6 分 20 秒
リーダーもいなく、24 チームの思惑が入り乱れ、
案の定、終わりがないようなアタック合戦が続いた。
そして、中盤にさしかかり、
内間のアタックをきっかけに数名が抜け出しに成功。
その直後に、更に 10 数名の追走が。
集団の反応が鈍ってきて、勝ち逃げになるのは明確だったが、
椿が乗ったと勘違いしたのと、
一時的に集団後方にいたことで反応出来なかった。
最終的に 14 名となった先頭集団から、
内間が絶妙なレース感で他 2 名と抜けだし、ゴール勝負も冷静に征して、
リーダージャージも獲得した。
アンカーとしては、更に複数名、先頭に送り込むべきだった。
20 名近くの勝負集団に、内間 1 人というのは決していい状況じゃなかった。
好調内間の冷静かつ攻撃的な走りに助けられ成功した日となったが、
内間の次は、井上の 3 分遅れで、内間 1 人に総合を託すしかなくなった。
4 月 2 日(木) 第 2 ステージ Buri Ram→Roi Et 9:00~
天候:晴れ、気温 31~38℃
距離:151km
結果
1 Ma GUANGTONG - Hengxiang Cycling Team 3 時間 17 分 47 秒 45.8km/h
2 Mohd Hariff SALEH - Terengganu Cycling Team +4 秒
3 Anuar MANAN - Terengganu Cycling Team +4 秒
48 内間康平 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +4 秒
75 トマ・ルバ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +4 秒
80 椿大志 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +4 秒
82 井上和郎 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +4 秒
102 ダミアン・モニエ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +51 秒
昨日の結果を受けて、改めて内間の総合優勝 1 本に目標を絞った。
内間と同タイム、もしくは 50 秒遅れの集団に他のアンカーメンバーがいれば、
内間がどうしようもなくなったときに、
リーダーをスイッチすることも考えられる。
しかし、内間の次は井上の 3 分遅れ、
内間自身もやる気満々ということで、内間一人に総合を託すことになった。
前日に獲得した内間のリーダージャージをどう守っていくか。
ロードレースの定石としては、総合成績に絡まない数名を逃がして、
メイン集団はリーダーチームがコントロールすることになる。
しかし、アジアのレースはそれが通用せず、
誰もが逃げに乗ろうと攻撃が続くことが多い。
アンカーは正攻法でスタートから集団をコントロールするが、
案の定、延々と他チームの攻撃にさらされながら進む。
10 名弱の逃げがようやく決まり、落ち着いてコントロール開始。
終盤に、チーム総合を守りたい Seoul Cycling Team もコントロールに加わり、
最後に 1 人に逃げ切られたが、内間の総合は危なげなく守った。
4 月 3 日(金) 第 3 ステージ Roi Et→Mukdahan 9:00~
天候:晴れ、気温 32~37℃
距離:163km
結果
1 Stephen HALL - EDDY HOLLANDS TEAM 3 時間 20 分 4 秒 48.8km/h
2 Muradjan HALMURATOV - UZBEKISTAN NATIONAL TEAM +0 秒
3 Mohammad RAJABLOU - Pishgaman Giant Team +0 秒
9 内間康平 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +4 秒
92 井上和郎 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +4 秒
103 トマ・ルバ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +1 分 6 秒
104 椿大志 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +1 分 16 秒
107 ダミアン・モニエ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +2 分 22 秒
総合成績で内間にとって危ない選手へのチェックは変わらないが、
昨日よりも一歩引いた状態で集団待機し、
他チーム同士でアタックのつぶし合いをしてくれるような走りに切り替えた。
リーダーチームがコントロールしようがしまいが、
アタックの激しさは変わらないので、
わざわざアンカーが積極的に力を使う必要は無いと判断した。
このレースがリーダーチームにとって苦しい点は、
本来なら集団コントロールに加わってゴール勝負にしたい
スプリンターを抱えるチームまでもが、積極的に逃げに乗ってしまうことだ。
こうなると、集団コントロールはリーダーチームのみになってしまう。
各チーム 5 人エントリーなので、アシストはたったの 4 人だ。
総合成績で内間から 1 分以内の選手はまだ 10 数名いて、
そのチェックもしなければいけない。
2 時間近くアタック合戦が続いた後、12 名の逃げが決まる。
ここには、総合成績で危険な選手も含まれていたがどうしようもなかった。
利害が一致しながら、集団コントロールに加わるチームもなく、
アンカーのみで何とかタイム差を詰めていったが、
4 秒差で逃げ切られてしまい、愛三工業レーシングチームの中島選手や、
香港のロック選手に総合成績で詰め寄られてしまった。
4 月 4 日(土) 第 4 ステージ Mukdahan→Nakhon Phanom 9:00~
天候:晴れ、気温 32~36℃
距離:102km
結果
1 Ronald YEUNG - Attaque Team Gusto 1 時間 57 分 2 秒 52.2km/h
2 Ma GUANGTONG - Hengxiang Cycling Team +0 秒
3 Daeyoung JU - Seoul Cycling Team +0 秒
64 内間康平 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +53 秒
77 トマ・ルバ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +53 秒
97 井上和郎 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +53 秒
100 椿大志 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +1 分 7 秒
106 ダミアン・モニエ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +3 分 0 秒
この日は距離が短い分、更に激しいレースになると思われた。
ステージ優勝狙いの逃げに、
総合成績のジャンプアップを狙った選手も乗じるため
相変わらず激しすぎるアタック合戦が続いた。
アンカーのアシスト 4 人も連日のコントロールに悲鳴を上げ始め、
選手の選別がきかなくなった 15 名の逃げを行かせてしまう。
このタイミングを狙っていた中島選手やロック選手を含む、
総合成績 1 分 1 内の選手が合計 4 名も入った。
逃げの人数、メンバーを考えるとすぐにでも捕まえなければいけなかったが、
強力な逃げ集団にあっという間に 2 分のタイム差を与えてしまう。
何とか他チーム数名に集団コントロールに加わってもらい、
必死に先頭を追ったが、時速 50km を超す猛烈なスピードで逃げ切られ、
53 秒ものタイム差をもって逃げ切られ、内間のリーダージャージを失った。
アンカーが正攻法で守りに来ること、
どこかのタイミングで限界が来て有力な逃げができること。
この 2 点を見越して、明確に攻撃に乗じた
愛三工業レーシングチームの中島選手の作戦勝ちだった。
4 月 5 日(日) 第 5 ステージ Ban Paeng→Nakhon Phanom→Nong Khai 10:00~
天候:晴れ、気温 33~38℃
距離:205km
結果
1 Sung Baek PARK - KSPO 4 時間 21 分 40 秒 47.0km/h
2 Mehdi SOHRABI - Tabriz Petrochemical Team +0 秒
3 Chao Hua XUE - Giant-Champion System Pro Cycling +23 秒
27 内間康平 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +1 分 33 秒
30 トマ・ルバ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +1 分 33 秒
82 ダミアン・モニエ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +5 分 13 秒
84 井上和郎 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +5 分 13 秒
90 椿大志 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +5 分 13 秒
前日が終了した時点で、
総合リーダーは愛三工業レーシングチームの中島選手、
そこから 10 秒以内に内間を含む 6 名、1 分以内に合計 13 名と、
もやは第 1 ステージと思っていいぐらいのタイム差。
総合成績で、1 位、2 位は日本人だが、
あくまでアンカーとしての総合優勝にこだわった。
愛三工業レーシングチームのアシストを早くに消耗させ、
エース同士の力勝負に早くに持ち込みたかった。
総合成績のタイム差が少ないためリーダーを狙いたい選手が多く、
それこそステージレース初日のような激しいレースとなった。
ラスト 70km、ついに内間を含む大きな集団が先行。
アンカーからは、更にトマも乗ったが、
少なくともあと 1 人は乗せたかった。
40 人近くの大きな先頭集団で愛三工業レーシングチームは中島選手のみになったが、
ステージを狙う選手が多かったため、内間の攻撃が実らず、
総合成績の逆転には至らなかった。
4 月 6 日(月) 第 6 ステージ Nong Khai→Udon Thani 9:00~
天候:晴れ、気温 28~39℃
距離:209km
結果
1 Sung Baek PARK - KSPO 4 時間 42 分 57 秒 44.3km/h
2 Joon Yong SEO - KSPO +0 秒
3 Ma GUANGTONG - Hengxiang Cycling Team +0 秒
5 内間康平 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +0 秒
66 トマ・ルバ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +0 秒
81 ダミアン・モニエ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +49 秒
86 椿大志 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +1 分 24 秒
90 井上和郎 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +1 分 49 秒
最終日にして今大会最長ステージ。
他チームも総合成績の逆転を狙って攻撃してくれば、
アンカーにとっては追い風になると思えた。
しかし、スタート直後にあっさりステージ優勝狙いの逃げ 6 名が決まってしまう。
愛三工業レーシングチームは Seoul Cycling Team の協力を得てコントロールを開始。
しかし、ここまで 800km を走ってきたことに変わりはなく、
厳しいコントロールを強いられていることは見て取れた。
水谷監督は、すぐにでも攻撃を開始したかったみたいだが、
この膠着状態では、タイミングを計る必要があった。
120km すぎの横風アップダウン区間で様子見の攻撃を開始。
Hengxiang Cycling Team が乗じて攻撃をしてきたことで、
集団全体が戦闘モードに切り替わった。
愛三工業レーシングチームもコントロール出来なくなり、
集団は無秩序なアタック合戦に。
アンカーは、中島選手を置き去りにした先頭集団を形成すべく、
積極的に攻撃していく。
そして、トマを含む 30 名が先行、
お見合いして内間、ロック選手と共に後ろに取り残された中島選手が集団を牽引。
ここに、最大の攻撃チャンスがやってきた。
中島選手が引けなくなたと同時に、内間を引き連れて先頭集団にジャンプアップして、
そのままゴールまで突っ切れば内間の総合優勝、
中島選手が粘って付いて来れば中島選手の総合優勝、
そんな状況だった。
しかし、直後のコーナーで中島選手が痛恨の落車。
内間も攻撃のチャンスを失った。
内間、中島選手、共に後続に取り残された状態となってしまったため、
アンカー、愛三工業レーシング、そしてシマノレーシングにも協力してもらい、
集団を一つに引き戻すことにした。
そして、内間の希望で、集団ゴール勝負で決着を付けることに。
内間が 3 位以内に入りボーナスタイムを獲得し、
中島選手が 4 位以下に沈めば逆転総合優勝。
そうでなければ、中島選手の総合優勝。
内間をゴール前でいい位置に引き上げるために動いていたが、
その前のゴタゴタで先行していた選手を捕らえるために力を使わざるを得なくなった。
結局、自力でゴール勝負に挑んだ内間は 5 位に終わり、
総合逆転はならなかった。
個人総合
1 中島康晴 - AISAN Racing Team 21 時間 29 分 43 秒 46.8km/h
2 内間康平 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +4 秒
3 King Lok CHEUNG - BRIDGESTONE ANCHOR +4 秒
46 トマ・ルバ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +7 分 36 秒
51 井上和郎 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +8 分 51 秒
88 椿大志 - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +13 分 4 秒
93 ダミアン・モニエ - BRIDGESTONE ANCHOR CYCLING TEAM +16 分 15 秒
完走 103 名
好調内間の総合優勝を目指して戦った。
初日に、自力でリーダーを獲得した内間の力は素晴らしかった。
リーダーを守るべく、正攻法で戦いきったチームの働きは、
仕事を完遂出来るだけの強力なものだったと思っている。
ただ、アジアのレースを知り尽くした中島選手の勝負感は素晴らしく、
アンカーを出し抜いてリーダージャージを奪い取ったこと、
うまく立ち回ってリーダージャージを守ったことは素晴らしいと思う。
内間と中島選手、2 人の戦いにチームメイトとして参戦出来たことを誇りに思うし、
その中で猛烈に脚を使い、体調を上げることが出来たのは大きな収穫だった。
機材
フレーム:ANCHOR RIS9 460 RACING RED(GA)
コンポ:SHIMANO DURA-ACE 9000 および 9070(Di2)
クランク:53×39T 170mm
ハンドル、ステム:PRO STEALTH EVO ブラック コンパクト(120mm、420mm c-c)
バーテープ:KABUTO BT-1
ホイール:SHIMANO DURA-ACE WH-9000-C35-TU(11-25T)
ペダル:SHIMANO DURA-ACE PD-9000
ボトルケージ:KABUTO PC-3(ホワイト)
メーター:GARMIN Edge 510J
シューズ:SHIMANO SH-R321(38)
レーシングウエア: WAVE ONE(レジェフィットプロ半袖ジャージ、
レジェフィットプロサイクルパンツ、レーシングソックス)
ヘルメット:カブト ゼナード(チーム別注カラー)
サングラス:OAKLEY RADARLOCK(レンズ Positive Red Iridium)
補給食:SAVAS、VAAM
ボディサポート:SEV ルーパー type 3G、ルーパーブレスレット 2、アンダーインソール、
フラットパネル
アフターレース用コンプレッション:2XU コンプレッション・レッグスリーブ、
コンプレッション・パフォーマンスランソックス