Title 韓国の伝承わらべ歌の研究(2)

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韓国の伝承わらべ歌の研究(2)資料編 : 歌と遊びの実際(
fulltext )
曹, 孝姙; 筒石, 賢昭; 崔, 仁子
東京学芸大学紀要. 芸術・スポーツ科学系, 57: 53-68
2005-10-00
http://hdl.handle.net/2309/809
東京学芸大学紀要出版委員会
紀要57集-06●,筒石,崔4c 05.11.2 11:25 ページ 53
東京学芸大学紀要芸術・スポーツ科学系 57 pp.53∼68,2005
韓国の伝承わらべ歌の研究(2)*
資料編―歌と遊びの実際―
孝姙**・筒石 賢昭***・崔 仁子****
音楽科教育学
(2005年6月28日受理)
1)この街,あの街(イゴリ,チョゴリ)
地域:忠南,清陽
採譜,編曲:金淑卿
【日本語歌詞】
この街 あの街 かっかけ
チョンドゥ マンドゥ トゥマンドゥ
鴨に キムチ 萩の戸
2.遊びの形態
1.由来及び教育的意義
全国的に歌われる遊び歌であり,遊びは同じである
何人かが向かい合って座り,鬼を一人決めて,鬼が遊
が地域ごとにメロディーと歌詞が異なる。教育的意義
びに合わせて足を次々に当てていき,
「ぴったり」とい
は数に対する概念,順序,忍耐力,社会性,語彙など
う時に足を当てられた子供が鬼となる遊びである。
を向上させることにある。
3.遊び方
何人かが互いに向かい合って座り,足を交互にしゃ
* この資料編も,(1)と同様にソウル教育大学校より研究費の助成を受けて作成された。
** ソウル教育大学校 韓国幼初等音楽教育学会 Seoul, Seocho-ku, Seocho-dong 1650, Seoul National University of Education, 137-742
**** 東京学芸大学音楽・演劇講座(184-8501
小金井市貫井北町4-1-1)
**** ソウル大学校師範大学附設初等学校
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東 京 学 芸 大 学 紀 要 芸術・スポーツ科学系 第57集(2005)
んと伸ばした後,皆一緒にじゃんけんして勝った人が
鬼になる。鬼は子供たちの足を順番に当てていき,他
の子供たちは歌を歌う。歌の最後の部分である「ぴっ
たり」という時,鬼に足が当てられた子供は足を抜き
出す。2本の足を最も早く抜き出した子供が鬼となり,
再び始める。最後まで残っている子どもが勝つのであ
る。
♪ この街 あの街 かっかけ チョンドゥ マンドゥ
トゥマンドゥ 鴨に キムチ 萩の戸
鬼は一拍に一本ずつ足を当てていき,他の子供たちは
歌を歌う。
(写真2)その足を抜き出す。
(写真1)ぴったり鬼に足が当てられた子ども
2)シルゴン ダルゴン
地域:江原道,束草
採譜,編曲:金淑卿
【日本語歌詞】
シルゴンダルゴン シルゴンダルゴン
お爺さん 庭掃き 栗二つ 拾って
一つは あなたに 一つは 私が
シルゴンダルゴン シルゴンダルゴン
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・筒石・崔:韓国の伝承わらべ歌の研究(2)
♪ シルゴン ダルゴン
1.由来および教育的意義
韓国の昔の女性たちは糸車を回して糸をより,機織
りで手ずから生地を織った。子どもたちはこれを見て,
機織りのしぐさを真似て遊んだ。教育的意義は,音律
感覚,触手感覚機能を発達させることによって,末梢
神経を刺激して気の循環を円滑にし,尾骨を刺激して
頭がさえ足腰に力が入ることにある。
2.遊びの形態
二人が向き合って座り,糸や手をつかみ合って,互
いに押したり引いたりする遊びである。
3.遊び方
(写真3) 二人が互いに向き合って座り,
「シルゴン)
二人が互いに向き合って座り,太い糸や手をとり合
で押し「ダルゴン)で引っ張る。
い,互い違いに押したり引いたりして歌を歌う遊びで
ある。この時,糸や腕をぴんと張ってつかみ,引っ張
♪ お爺さん 庭掃き 栗二つ 拾って
らなければならない。
(写真4)
他の歌詞もすべて同様に行う。
3)手打ち,足打ち(ソンチギ,パルチギ)
地域:京畿道,富平
採譜,編曲:金淑卿
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2.てうち てうち てを うつといって てうち
あしうち あしうち あしを うつといって あしうち オルス
2.ソンチギ ソンチギ ソヌル チンダゴ ソンチギ
パルチギ パルチギ パルル チンダゴ パルチギ オルス
【日本語歌詞】
1.手打ち 手打ち 手打ち 手打ち スウォルレ
足打ち 足打ち 足打ち 足打ち スウォルレ オルス
2.手打ち 手打ち てを 打つといって 手打ち
足打ち 足打ち 足を 打つといって 足打ち オルス
♪ 足打ち 足打ち 足打ち 足打ち スウォルレ
1.由来及び教育的意義
田や畑または野道を歩きながら楽しんだ歌であり,
教育的意義はリズム感覚の訓練と協同心を発達させる
ところにある。
2.遊びの形態
何人かが一列に立って,歌に合わせて肩とお尻,手
足を楽しそうに動かして歩く。
3.遊び方
一列に立ち,歌に合わせて,最初は2拍に1回ずつ,
肩とお尻を動かし,その後,速度を出して1拍に1回
ずつ計4回動かす。手は手を共に打って前に歩き,足
(写真6)手打ちと同じ動きをしながら,同時に踵で
は足の踵で地面を蹴って後退する。2番は1番と動作
地面を蹴りながら後ろに歩き,速度を増して1拍に1
が同じである。
回ずつ4回行う。
♪ 手打ち 手打ち 手打ち 手打ち スウォルレ
(写真5)何人かが一列で立ち,前に歩いていき,2
拍に1回ずつ肩をいからし,腰をふりながら同時に手
を交代して打つが,1拍に1回ずつ計4回行う。
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4)がまよ(トゥコバ)
地域:京畿道,全国
採譜,編曲:金淑卿
1.由来および教育的意義
京畿道をはじめ全国で口伝されてきたわらべ歌であ
り,教育的には創意性を育て,語義を豊かにし,触覚
を発達させることに意義がある。
2.遊びの形態
土や砂がある庭や砂場で,同じ年頃の子供たちが一
緒になって,近所の草地で捕まえてきた虫(コガネム
シ,アリ,テントウムシなど)やがまなどを用いて遊
ぶ「単独遊び」である。
(写真8)虫をつかんだ左手の甲を上に向ける。)
3.遊び方
捕まえてきた虫を左手につかんだまま,手の甲を上
に向けてその上に湿った砂をかける。次に「がまよ」
を歌いながら,右手で左手の甲の上を一拍に一回ずつ
押し固めていく。この動作を繰り返し,砂の城(がま
の家)がしっかり固まったら歌をやめて,砂の城が崩
れないようにそっと左手を抜いた後,その中に入れて
おいたがま,アリ,カブトムシなどを観察する。
♪ がまよ がまよ ふるや(古屋)をあげる あらや
(新屋)をちょうーだい
(写真9)右手で左手の甲の上に湿った砂を積む。)
(写真7)手に虫をつかんで砂場に座る。
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(写真10)砂の城づくりが完成したら,がまの家が崩
れないようにそっと左手を抜いた後,その中に入れて
(写真11)虫が出てくる。)
おいた虫を観察する。)
5)大きなひさごと小さいひさご
(ハムバク,チョクバク)
地域:全南,和順
採譜,編曲:金淑卿
2.おさ なご いか に いく の
か
ちょっこ ちょっこ ついて いく オルス
2.オ リン ゴ
オン ゴル トン
シ オッ チ ガ
ゴル タ ラ ガ
オルス
2.遊びの形態
1.由来及び教育的意義
何人かが一列に立って,腰に小さいひさごをぶら下
昔,農耕社会で両班たちが引き連れた放浪的下人
(作男)がいたのだが,彼らは農事の時期になればこ
げて,肩とお尻を柔軟に動かして歩く。
の村,あの村と家族たちを連れて両班の家に作男暮ら
しをしに出かけた。彼らは移動するたびに,父は布団
3.遊び方
や服など重い荷物を背負い,ごく幼い子どもはその背
一列に立ち,歌に合わせて,1拍に1回ずつ動くの
中の荷物の上に座らせて置き,母は釜と台所の日用品
であるが,肩は怒らし,お尻はぴくっぴくっとし,手
を頭に載せていき,大きな子どもたちは家財道具を手
をたたいたり,小鼓を打ちながら歩く。
に持ち腰踊りに大きなひさごと小さなひさご(チョク
バク)などを編んでぶら下げて歩いていったが,歩く
度にひさごがぶらりぶらりゆれて,互いにぶつかり合
う様子をみて,この歌が歌われるようになったという。
教育的意義は音律感覚,観察力,社会性,情緒などを
発達させる。
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・筒石・崔:韓国の伝承わらべ歌の研究(2)
♪ おさなご どのように いくのか
♪ ひさご ぶらさげ よめに いく てつ だいさんも い
きたがる
(写真13)上と同様な姿で後ろに4回歩く。
(写真12)何人かが一列で立ち,前に歩きながら,2
拍に1回ずつ肩をいからし ,お尻を振りながら,同
時に手をたたいたり小鼓を打ち,1拍に1回ずつ前進
する。
6)しょうゆ入れを回せ(チョンジルル トルリョヤ)
地域:忠南,瑞山
採譜,編曲:金淑卿
2.こ
ぜ に
を ま
だれ の もと
わ
せ
に あ るの か カルムジェン
2.トン - ジョ ヌル トル リョ ラ
ヌ
グ エ
ゲ イッ スル カ カルムジェン
6-1)犬が 肉を チャルムジェン 終わり
地域:忠南,瑞山
採譜,編曲: 金淑卿
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1.由来及び教育的意義
(写真14)6∼10名程度の子どもたちが一列の円にな
昔から先祖たちは名節や親戚の子どもたちが集まれ
って座り,歌を歌い,手を背中の後ろに組んで,しょ
ば,このような遊びを楽しんだが,この遊びは集中力,
うゆ入れ(または小銭)を回しており,鬼はそのしょ
観察力,触感力,判断力,推理力,瞬発力,社会性な
うゆ入れ(または小銭)が誰のところに行っているか
どが発達しれ,高等精神機能が向上されるところにそ
見極める様子
の意義がある。
♪ チャルムジェン 終わり
2.遊びの形態
歌が3∼4回程度,続く時,鬼は注意深く探り,しょ
何人かが一列の円になって座り,鬼を1人決めて,
うゆ入れが誰のもとにあるのかを当てるために「チャ
中に入れて座らせた後,他の子どもたちが回すしょう
ルムジェン 終わり」と言いながら,歌と動作をやめ
ゆ入れが誰の手にあるかを当てる遊びである。
るようにし,誰のところにしょうゆ入れがあるのか,
その子どもの名を呼んで当てる。
3.遊び方
6∼10名程度の子どもたちがじゃんけんをして,鬼
を1人決めて,全員が互いに体が接するようにぎっし
り丸く座り,両手を後ろにする。鬼は真ん中に入り座
っており,歌が続く間,子どもたちがしょうゆ入れ
(または小銭)を後ろで引き続き横の友達に回せば,
鬼はしょうゆ入れ(または小銭)がどの子どもの手に
あるかを探り,「チャルムジェン 終わり」という。
その時,すべての動作をやめて,誰の手にしょうゆ入
れ(または小銭)があるのかを当てる。上手く当たら
なかった際には再び鬼となり,当てた場合にはしょう
ゆ入れ(または小銭)を持っていた子どもが鬼になる。
鬼になった人は,真ん中に出てうつぶせになる。他の
(写真15)鬼が誰のところにしょうゆ入れがあるのか,
当てる様子。)
友達は人差し指と中指で鬼の背中を歩かせて,「鬼の
拍手,犬の拍手」という歌を繰り返し,鬼が「チャル
♪ 犬が肉を くわえていたら 河に落し 食べるに食
ムジェン 終わり」といえばやめて,再び遊び始める。
べれず チャルムジェン 終わり
鬼になった子どもは真ん中に来てうつぶせになり,他
♪ しょうゆ入れ(または小銭)
回せ,誰のもとに
あるのか
の子どもたちは人差し指と中指で鬼の尾骨から首まで
背中に沿って上りながら,歌を歌う。
鬼は円の真ん中に座り探ってみて,他の子どもたちは
一列の円を丸く作って座り,背中の後ろでしょうゆ入
れを回す。この時,歌は3∼4回繰り返され,速度が
徐々に速まる。
(写真16)鬼に罰則を与える様子
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7)狐よ 狐(ヨウヤ,ヨウヤ)
地域:ソウル,京畿道
採譜,編曲:金淑卿
【日本語歌詞】
峠を 越え行く あーあ 足よ,二つ目 越え行く あーあ 足よ
狐よ 狐 何する,眠ってる 朝寝坊
狐よ 狐 何する 顔洗う かっこいい
狐よ 狐 何する ご飯を食べてる おかずは 何
死んだ 生きてる 死んだ (生きてる)
1.由来及び教育的意義
たちを捕まえる鬼掴みの遊びである。
昔から伝わっていた屋外の遊びとして,規則,概念,
社会性が発達するというところに教育的意義がある。
3.遊び方
1人が鬼になり,眼をつむって逆周りに座り,他の
2.遊びの形態
子どもたちは鬼から5メートル程度離れて向かい合い
何人かでできる遊びである。じゃんけんをして,1
に立つ。初めは,皆一緒に鬼に向かって,一歩出て,
人が鬼になり座っていて,他の子どもたちは鬼を見て,
最初は2フレーズ歌い,また一歩進んで,3,4番目
一歩ずつ出てきて鬼と問答し,最後に鬼が他の子ども
のフレーズを歌う。そのようにしてから,一歩ずつ近
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寄り鬼と問答しながら,鬼の近くに行く。歌の最後に
♪ 死んだ 生きてる 死んだ(または生きてる)
は「死んだの?生きているの?」といって,みな一斉
歌の最後の部分で鬼がどのように答えるかにより,動
に鬼に聞く時,鬼が「死んだ」と言えばその場所にじ
かなければならず,鬼が「死んだ」といった時に,動
っとしていなければならず,動いた子どもが鬼になる。
いたり,「生きている」といった時,逃げたが鬼に捕
もし,鬼が「生きている。」といえば,全員出発の線
まえられれば,その子どもが鬼になる。
まで逃げなければならない。その時,鬼に捕まった子
どもが鬼になり,最初からまた始める。
♪ 峠を 越え行く あーあ 足よ,二つ目 越え行く あ
ーあ 足よ
出発線から鬼に向かい,皆一斉に歌の2フレーズに1
歩ずつ進んでいく。
(写真19)じっとしなければならないのに動いて鬼に
なった様子
(写真17)鬼に向かい,一歩ずつ進む様子
♪ 狐よ 狐 何する,眠ってる 朝寝坊(歌の4行
目まで同じ動作である)
鬼に質問するたびに,一歩ずつ出て聞き,鬼は答える。
(写真20)鬼が逃げる子どもたちを捕まえる様子
(写真18)鬼と歌で問答し,鬼に近づく様子
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・筒石・崔:韓国の伝承わらべ歌の研究(2)
8)セッ セッ セッ
地域:ソウル,全国
採譜,編曲:金淑卿
1番(全国)
セッセッセッ アッチムパラム チャンパラメ ウルゴカヌン チョギロギ
ウリソンセン ケシルチョゲ
ヨプソハンジャン ソジュセヨ
ハンジャンマルゴ トゥジャンイヨ
トゥジャンマルゴ セジャンイヨ クリクリクリクリ カウィバイボ
2番(ソウル)
同じ
3番(全国)
オットンソンカラク オットンソンカラク
ヌガクレッケ ヌガクレッケ
1.由来及び教育的意義
の部分でじゃんけんをして,どの指で首の後ろをすっ
この遊びは昔から伝わる赤ちゃんの最初の手遊びと
と突っついたのか当てる遊びである。
いえる。歌の協力者により,歌の歌詞に込められてい
る話を音律に従い,身体表現する遊びとして老若男女
3.遊び方
がすべて楽しんだ遊びであり,身体表現力,語彙,情
緒を発達させるところに教育的意義がある。
2人1組でやる場合,2人が向かい合って座り,絵
と同じように指遊びをしてから最後の部分でじゃんけ
んをし,負けた人が上半身をかがめて,勝った人は負
2.遊びの形態
けた人の首筋を指一本ですっと押した後,ある指の歌
2人あるいは何人かでできる遊びである。歌の最後
を歌い,どの指であるか当てる。この時当たらなけれ
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ば,別の指でもう一度同じ遊びを繰り返し,当たるま
♪ 鳴き ゆく あの 雁よ
でやる。複数でやる場合は,他の遊びをして鬼になっ
た人を円の中に座らせ,上半身をかがめてうつぶせに
なり眼をつぶった後,ある1人が指で鬼の首の後ろを
すっと触ってから,もとの位置に戻り,皆は誰がそん
な風に歌い,鬼は誰がそうしたがを当てる。
♪ セッ セッ セッ
2人が向き合って座り,手をとり,上下に3回振る。
(写真23)鳴く真似を2回して,右手を天に向けて上
げ,人差し指で雁を指すようにする。
♪ 先生がいらっしゃる時
左右に体を動かして,2本の手を胸の前に引き寄せる。
(写真21)2人が向き合って座り,手をとって振って
いる様子
♪ 朝の風 寒風に
両手を上に上げて,左右に1回ずつ振ることを2回繰
り返す。
(写真24)2つの足を胸の前に引き寄せて,体を左右
に動かす様子
♪ 葉書を 書いてね
人差し指で四角を一度描いた後,手のひらに文字を書
く真似をする。
(写真22)両手を上げて,左右に振る様子)
(写真25)胸の前で四角を描いた後,手のひらに文字
を書く様子
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♪ 1枚でなく 2枚です。2枚でなく 3枚です。
♪ どんな指 どんな指
右手の人差し指で「1」を示し,手のひらを開いて左
負けた人が前にかがみ,勝った人が指1本で負けた人
右に違うといった表現をし,人差し指と中指を広げて
の首の後ろをそっと触った後,どの指であったか当て
2枚を示した後,「2枚でなく 3枚です。」も同じ方
ようとする。
法で動作をつける。
(写真29)どの指なのか当てる様子
(写真26)指で数字を表す様子
♪ クリクリクリ リ じゃんけんぽん
♪ 誰が そうした 誰が そうした
♪ じゃんけんぽん
何人かが鬼に罰則を与える場合,鬼を円の中に入れて
上半身をうつぶせにするように座らせ,子どもたちの
中の1人が鬼の首の後ろを指でそっと触り戻ってきた
後,誰がそうしたか鬼に当てさせる。
(写真27)両足を中に抱えて,上下に糸を繰るように
回してからじゃんけんをする。
(写真30)
る様子
(写真28)クリクリ動作をした後,じゃんけんをする
様子
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何人かで遊ぶ時,誰がそうしたのか当て
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9)大釜に おこげ(カマソッテ ヌルンジ)
地域:ソウル,京畿
採譜,編曲:金淑卿
♪ がりがり こすって
1.由来及び教育的意義
昔はおこげが子どもたちの間食に用いられていた
が,この遊びは友達同士で互いに「豚だ」と冗談を言
両手のひらを打つこと1回,組み合わせが合うように
打つこと1回を2回行う。
いながらからかう内容であり,音律感覚と語彙,およ
びユーモア感覚の発達面で教育的な意義がある。
2.遊びの形態
歌詞に従い,2人1組で行う手遊びであるが,現代
的感覚に合わせて歌の最後の部分の「君が豚でしょう」
からじゃんけんをするようにして面白く行う。
3.遊び方
2人1組で向かい合って座り,絵と同じように動作
を行うが,じゃんけんで勝った人は負けた人の天目を
(写真31)相手の手と合わせて打つ。
打つ。
※天目;顔の両方の眉毛の前の部分で三角形を描き,
ぶつかる頂点に位置する部分ということから,天目
♪ がりがり こすって
互いに右手,左手を一回ずつ交互に雑技を2回する。
というのだが,ここを刺激すれば知性,感情,推理
力が発達するという。
(写真32)組み合わせと手を,互いに交互ににぎる様
子)
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・筒石・崔:韓国の伝承わらべ歌の研究(2)
♪ 君は 1杯 僕は 2杯
相手を指差して,人差し指で1つを示し,自分を指し
て人差し指と中指を開いて2つを示す。
(写真34)手打ちした後,クリクリ動作をし,互いを
指す様子
(写真33)指で数字を表す様子
♪ (応用)君でしょう
クリクリ動作をした後,じゃんけんし,勝った人が負
♪ 誰が 豚か 君でしょう
けた人の天目打ちをする。
4つの手をたたき,相手の手と合わせて2回叩き,ク
リクリ動作をした後,人差し指で互いに相手を指差す。
(写真35)天目打ちをする様子
10)肩組み(オッケドンム)
地域:慶尚南道,海南
採譜,編曲:金淑卿
1.由来及び教育的意義
及び足の運動を目的とするところに教育的意義があ
子どもたちが田んぼ道や畑道を歩く時,遊んだ遊び
る。
として身体的なバランス取りとリズム感覚,拍子感覚
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東 京 学 芸 大 学 紀 要 芸術・スポーツ科学系 第57集(2005)
2.遊びの形態
子どもたちが肩組みをし,歌を歌い,足並み揃えて
歩いてから,すべて座らなければならない遊びであり,
協同心を必要とする。
3.遊び方
2人または3人の子どもが肩組みをして,歌を歌い,
足並み揃えて歩いたが,2フレーズずつ最後の部分で
ひざを曲げて座らなければならないが,拍子感覚が鈍
い子どもと一緒に座ろうとすると,ゆがんですべて倒
れるようになる。
♪ かたくみ おさななじみ 肩組みををして,足並みを揃えて歩くが,「み」とい
う時,すべてその場に座らなければならない。
(写真36)肩組みをしながら歩いていく様子
(写真37)歩いていってから全員で座る様子
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