教科書の音読指導の必要性 #意識# 言葉は音声から生まれたものである。たとえワン・ワードでもその口調によってずいぶん意味の異なった ものを伝えることがある。 a. "Rain." (The weather report is wrong again.) b. "Rain." (At last. After a month with no rain.) c. "Rain." (It's been raining everyday for a week.) d. "Rain." (You're walking to work without an umbrella.) e. "Rain." (You have to cancel the school picnic.) 読み物教材を指導する際、授業では、書き手の意図を伝える音声入力の活動が行われていない場合が多い のではないだろうか。少し実感を持たせた読解をさせることはできないだろうか。 #改善のポイント# 文字を「点」と考えると、文は「線」になる。この「線」の広がりが、段落であり、文章である。この平 面の世界にもう一つの次元(音声)を加えて立体化することで、読解に幅を持たせることができる。つまり、 Oral Interpretation の活用が豊かな解釈につながる。物語教材の話文になっている箇所だけを抜き出して、 文脈を踏まえた読みを教師が提示するか、又は生徒に考えさせる。 #実践例# 下記は中学校教科書 New Crown 3(旧版)三省堂、 Lesson 5 ゙ A Present For You ゙ の話文となって いる箇所を抜き出したものである。 "Is there anything that I can sell?" "Will you buy my hair?" "I buy hair," "Take off your hat." "Twenty dollars," "Jim's gold watch will look nice on this chain," "Don't look at me that way, Jim," "Say 'Merry Christmas'. I've got something that you've wanted for a long time." "I've got this for you," "Oh, Jim!" "My hair grows fast," "Well, I have a present which I bought for you." "You like it, don't you? You'll have to look at the time a hundred times a day now." "Della, I've sold the watch. I sold it to get your combs." この話文になっている箇所を聞くだけで、全体のストーリー展開は理解できる。 ⑴文脈を踏まえた範読を導入時に聞かせると、oral introduction になる。 ⑵学習終了時にロール分けして生徒に読ませると、生徒の本教材の理解度や生徒個人の解釈を判断できる。 3人の組を作って練習させ、後で発表を聞く。 ⑶学習終了時に文脈に現われているもの以外の要素を考慮した音読を聞かせると、さらに広がった解釈につ ながる。事前に AET に頼んでテープ録音しておくとよい。 ①登場人物のジムとデラは 20 歳代と考えられるが、もし 10 歳代としたらどんな調子になるか。 ②デラの髪の毛を買ったお店の人が、心温かい人、冷たそうな感じの人ではどう違うか。 ③ジムとデラがお互いに少し自惚れやさんだったら。 ④ジムとデラが60歳代と年配であったら、想定はどう変わるだろうか。 ⑷物語の解釈にあった BGM を流しながら読む。生徒にどのような BGM がよいのかリクエストをとってもよ い。 ⑸イメージ・マップを書かせて、さらに作品や登場人物の理解を深めさせる。 ⑹音声による十分な教材理解をもとに、その物語の続きの話を豊かに創造させてゆく。 (中井 弘一)
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