1 06 - Deutsch-Japanischer

DEUTSCH-JAPANISCHER WIRTSCHAFTSKREIS
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季刊誌
06
2006 年
DJW ニュース
テーマ 1 「ワールドカップドイツ大会/ファン・フェスト」
1930 年にウルグアイで開催された第 1 回大会より、今年
で 18 回目を迎える 6 月 9 日開幕予定のワールドカップ
2006 ドイツ大会まで、早くもあと 3 ヶ月を残すのみとな
りました。ゲームが繰り広げられる開催国ドイツの各地
12 都市のスタジアムでは、着実に受け入れ準備が整いつ
つあります。
前哨戦で 35-100 ユーロ、決勝戦では 120-600 ユーロと、
当初は値段が高いと言われたチケットも、購入希望者が
殺到し、オンラインによる申し込みの後、競争率の激し
い抽選の末にやっと買うことが出来ます。
また、とある銀行は、預金口座を開くとチケットがもれ
なくもらえるキャンペーンをしたのですが、実際にはチ
ケットがそれほど多く手に入らないことが明らかになっ
たため、チケット目当てに口座を開設した者が「詐欺
だ」と訴え、問題になってもいます。
たとえチケットが手に入らなくても、ワールドカップ開
催期間中は全 12 都市にて「ファン・フェスト」が催され
ます。大型画面による試合のライブ中継を無料で観るこ
とが出来る「パブリック・ビューイング」を含め、その
近辺では各地の魅力を味わえるようなショーや、食事を
楽しむスタンドなど、様々なプログラムが予定されていま
す。スタジアム以外でも、ドイツ人、その他の世界中から応
援に来たサポーターと一緒に盛り上がること、そしてワール
ドカップの試合を楽しめることは間違いないと思われます。
このファン・フェストはドイツサッカー組織委員会と FIFA
による共同コンセプトに基づき、ワールドカップ公式スポン
サーにより運営され、各都市と各地域のスポンサーが主催す
る予定です。ファンフェストについて詳しくは以下のリンク
http://fifaworldcup.yahoo.com/06/de/060216/1/3ggc.html ( 独
語) www.visit-germany.jp/default.asp?ID=256(日本語)をご覧
下さい。
またドイツはワールドカップによる経済効果も十分に見込ん
でおり、FIFA によると 300 万人のスタジアムにおける観戦
客のほか、700 万人以上の観光客を各ファン・フェストにて
予想しているとのことです。
日独におけるスポーツのもたらす経済効果、その多様性につ
いてはデュッセルドルフにて毎年行われている経済シンポジ
ウム(5 月 19 日(金))の枠組みの中で、スポーツ界で著名
なゲストを迎えて取り扱われます。詳しくは裏面の日独イベ
ント情報をご覧下さい。
テーマ 2「EU 内のクロスボーダー(国境を越えた対外国)会社合併」
前回は PWC の天野史子さんによる記事を提供していただ
き ま し た が 、 今 回 は Mütze Korsch Rechtsanwaltsgesellschaft mbH (MKRG)で活躍されているドイツ弁護士
のコバルスキー朝子さん([email protected])より、ド
イツの経済界でのホットトピックを提供していただきま
した。前回の天野さんの記事の続きは都合により次回に
掲載させていただきます。ご了承くださいませ。
2005 年 12 月 13 日付けの欧州裁判所の判決が与えた影響
は、国際的に活動している企業の営業構成オプションを
広めたと言えます。
申し立てられたケースでは、ドイツの株式会社 SEVIC
AG がルクセンブルグの株式会社を吸収合併しようとした
ところ、ドイツの登記裁判所が、ドイツの組織再編成法
(Umwandlungsgesetz)の規定ではドイツ国内に所在地を
有する会社間のみの合併を認めているという理由で合併
の登記を却下しました。
これにより SEVIC AG の告訴を受けたコブレンツ地方裁
判所は「合併をドイツ国内の会社間に制限するドイツ法
は EU 法を侵害するのではないか」という質問を欧州裁判
所に提出しましたが、欧州裁判所は、加盟国間で会社を
合併するという事は EC 条約に定められている、いわゆる
「(会社)設立の自由の原則」に基づくものであり、国内
と他の EU 加盟国の会社合併を禁じる規定は設立の自由を
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日独産業協力推進委員会
妨げるものであると断言しました。設立の自由は根本的な自
由権であり、正当な理由がない限りこの自由を制限すること
は禁止されていると欧州裁判所は述べています。制限の理由
として挙げられるのは、公衆の利害関心における緊急事情
(少数株主、債権者、従業員の保護など)で、制限がこれらの
事情を考慮する際に適切である場合は、「設立の自由」の制
限は正当化されます。よって、加盟国間のクロスボーダー合
併が拒絶される可能性もありますが、この場合は事情を個々
に審査する必要があり、全般的一括拒否は正当ではないとさ
れています。
同時期に(2005 年 12 月 15 日)「EU 合併ガイドライン」が
施行され、加盟諸国はこのガイドラインを 2007 年 12 月末
までにそれぞれの法規定として履行することを義務づけられ
ました。これにより、EU 内のクロスボーダー合併は諸会社
法にも定められる事になります。
弊社は欧州裁判所の判決が下りる以前にも、いわゆるクロス
ボーダー合併の実施に成功した例がありますが、管轄の裁判
官の説得や交渉、協力を必要とし、そのためデメリットとし
て時間とコストの増加が挙げられます。
しかし、上記の判決と来年末までに予期される加盟国諸会社
法の「EU 内クロスボーダー合併」の新規定に基づいて、今
後は状況はより安定し、国際的活動の幅広い措置をとること
が出来るようになると思われます。
コバルスキー朝子
DJW
20 周年
お蔭様で DJW は 2006 年で設立 20 周年を迎えます。
グラフ・ラムスドルフ氏やメッセ・デュッセルドルフの
クルト・ショープ氏のイニシアティブにより 1984 年の東
京晴海のドイツ博にて得られた両国間の産業コンタクト
を温めていこうとしたのが DJW 設立のきっかけとなり、
1986 年より現在に至るまで日独の経営経済における両国
の関係に貢献するという目的に沿って活動してまいりま
した。
20 年前の当時は両国間の産業/経済交流があまりに膨大な
費用のため困難だったこともあり、設立以降すぐに DJW
の活動は具体性を帯びてきました。
国際環境が目まぐるしく変転する中、 当時の日本は外交政
策において、世界における日本のチャンスを有益に生か
そうとしていましたが、世間ではこれに対し反対に日本
市場をおざなりにしているのではないかとの批判があり
ました。輸出振興一途の時代から、海外貿易摩擦の高まりを
経て輸入促進へと重点を移行し、DJWは、JETRO (日本貿
易振興機構、当時は日本貿易振興会)とドイツの経済産業
省による「両国間の偏見と利害の衝突は企業レベルで無
くしていくべきだ」という意図を汲み取り、活動を始め
ました。
このような動きは同じくドイツ側にも見られ、ドイツは
在日ドイツ系企業が成長することに力を入れ始めたところで
した。DJW はこのような機会を逃さないようにと、当時か
ら現在に至るまでそれぞれの企業の第一歩をサポートして参
りました。それ以来、両国それぞれへの投資は年々重要にな
ってきたように思われます。
DJW は日本語やドイツ語で、それぞれの国のビジネスの在
り方についてのセミナーを提供しているほか、求人求職サー
ビスの枠組みの中で日独にフォーカスをおいた人材の仲介を
行っております。様々なテーマで催される年間 20 以上の講
演会は日独経済のプラットフォームとして多くの方にご利用
いただいている他、2001 年に公益団体としての登録以来、
現在 1000 名以上の企業および個人が DJW 会員として数えら
れます。その中から援助会員として NRW 州、デュッセルド
ルフ市、そしてメッセデュッセルドルフが DJW の活動をサ
ポートしています。DJW20 周年を迎えるに際して、今まで
DJW を温かく見守って下さった皆様にこの場をお借りして
厚く御礼申し上げます。グローバル化が進展し、激動する世
界情勢のなか、DJW といたしましては、今後も日独の経済
関係の発展に寄与すべく、20 年間に築いたネットワークを活
用しつつ積極的に事業展開していく所存でございます。関係
各位のご指導、ご鞭撻を引き続き宜しくお願い申し上げま
す。
DJW 委員長 ルプレヒト・フォンドラン
日独イベント情報
「在独日系企業の効果的なリクルーティング方法」
「経済シンポジウム」
日系企業がドイツにおいて有能な人材を確保するにはど
のような方法があるのか、また求職者はどのような事に
気をつければいいのかを専門家を迎えて探ります。
日時:4 月下旬予定
会場:デュッセルドルフ予定
主催:DJW、Pasona Europe など
その他:参加費無料。講演は日本語で行われます。事前
にお申し込み下さい。
毎年恒例の日本デーに引き続き行われる今年度の経済シンポ
ジウムのテーマは、来年 6 月にドイツで開催されるサッカ
ーワールドカップにちなんで「日独におけるスポーツの多様
性(仮題)」です。スポーツビジネス分野で著名な講演者をお
迎えする予定です。席に限りがございますのでお早めにお申
し込み下さい。
日時:5 月 19 日(金)14:30-18:30
主催:日本デー・デュッセルドルフ e.V.、デュッセルドル
フ市、NRW 経済振興公社など
その他:講演は日本語とドイツ語の同時通訳で行われます。
事前にお申し込み下さい。参加費無料。
「ジョブセミナー」
ドイツで日本関連の仕事に就くためにできること、応募
や面接の常識、求人の情報源、日独の会社文化の違いな
どを紹介。当日は DJW 求職ファイル閲覧可能です。
席に限りがございますのでお早めにお申し込み下さい。
日時:3 月 15 日(水)16:00-19:00
会場:ミュンヘン大学 Raum 1.14(Oettingenstraße 67)
主催:DJW、キーンバウムなど
その他:講演はドイツ語と英語で行われます。質問は日
本語でしていただけます。事前にお申し込み下さい。参
加費 5 ユーロを当日受付にてお支払いいただきます。
発行: 日独産業協力推進委員会(DJW)
編集: 西田真奈
発行責任者: DJW, Stockumer Kirchstraße 61,
40474 Düsseldorf, Germany
Tel./ Fax: +49(0)211-4560-8385 / -8511
「効率的な省エネに関する講演会」
在独日系企業にとって効果的な省エネの可能性についてのコ
ンサルティングを含めた講演会です。
日時:6 月 8 日(木)予定
主催:ECOS、DJW、EST など
会場:ヒルトン・デュッセルドルフ
その他:講演はドイツ語で行われます。事前にお申し込み下
さい。
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GfW, Düsseldorf 市の援助により発行されています。
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ておりますが、その内容の正確性および安全性を保証す
るものではありません。当該情報に基づいて被ったいか
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を負いかねます。
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日独産業協力推進委員会