財団活動主要報告 - 滋賀保健研究センター

財団活動主要報告
財団活動主要報告
財団活動この一年を振り 返 っ て
— 安全・正確・迅速・守秘を合言葉に —
4 月に起きました熊本地震は、4 月 14 日の初震以来 1,000 回を超える余震が続きました。被災された方々には心からお
見舞申し上げます。想定外のことだった熊本地震が起きたのですから、いわんや、来るぞ来るぞと言われている南海トラ
フ巨大地震は必ず起きるのでしょう。30 年以内に 70% の確率でマグニチュード 8 から 9 の地震が起きると予想されて い
ます。常に備えておきたいものです。
さて、2015 年度の経済は、緩やかな回復基調が続くと期待されましたが、2016 年の年明けから中国や新興国の経済の
減速や原油安等により世界同時株安となり、日本でも株安、円高傾向で推移しています。これに対し日銀は日本では初の
マイナス金利を導入して金融緩和を促しています。少しでもその効果が行き渡るといいのですが。
一方、前年に続き 2015 年にも 2 人の方がノーベル賞を受賞されました。おめでたいことです。物理学賞の梶田 隆章さ
んと医学・生理学賞の大村 智さんです。おめでたいことと言えば、9 月に開催されたラグビーワールドカップでは日本チー
ムが強豪南アフリカ破るなど 3 勝を挙げました。今年はオリンピックイヤー、日本選手の活躍でこの停滞感、閉塞感を打
ち破ってほしいものです。
こうしたなかで進めてまいりました私どもの、2015 年度の事業活動について、ご報告申し上げます。
1.お客さまへの取組み
1) 新特殊健康診断の実施
特定化学物質障害予防規則等の改正によりナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについて健康障害防
止措置が義務づけられました。そのための健診のメニューを作りました。さっそく、秋からナフタレンの健診を 10
事業場 54 名に、リフラクトリーセラミックファイバーの健診を 12 事業場 442 名に実施いたしました。
2) ストレスチェックの実施
ストレスチェックの実施が、昨年の 12 月から義務化されました。私どもは、全国標準の「全衛連ストレスチェッ
ク」を用いてサービスを開始し、5,808 名に実施いたしました。また、高ストレス者の医師面接は、産業医に委ねる
ことを原則として、精神科専門医が支援する体制を整えました。
3) 生理機能検診車
(S - 15)
の整備
5 月に、生理機能検診車、愛称「ブルースカイ S - 15 号」を導入いたしました。心電図検査、超音波検査等の検
査ベッドを要する検査に活用しています。リフトを搭載していますので、体の不自由な方も容易にご利用いただけま
す。また、聴力検査用防音室を搭載しておりますので、精密聴力検査にも活用しております。
4) 胸部・胃部併用X線検診車(BM - 16)
の整備
この 2 月に、胸部・胃部併用X線検診車、愛称「ブルースカイ BM - 16 号」を導入いたしました。この検診車は、
最新鋭デジタルX線装置を搭載し、被曝線量の低減や撮影画像の鮮明化など利点があります。総合がん検診で威力を
発揮しています。
2.日常活動等の実績
2015 年度の健康診断、各種検査の実施件数は、前年に比べて、事業場健診では、一般定期健康診断、生活習慣病健診、
ドック健診共に増加しました。住民健診では、実施自治体及び健診内容に変動がありませんでした。なお、各種がん検
診等の大半に増加がみられました。一方「高齢者健康確保法」に基づく特定健康診査は減少しました。さらに、学校健
診は、児童・生徒数の減少に伴い、減少傾向が続いています。
1) 産業保健(事業場健診)
一般定期健康診断 122,265 名、雇入時健診 2,301 名、生活習慣病健診 16,921 名、協会けんぽ生活習慣病一般健診
17,053 名、合計 158,540 名に実施いたしました。前年度に比べ 5,638 名増加しました。また、有機溶剤、電離放射線
等の特殊健康診断も、総じて増加しました。
ドック健診は、2,732 名で 334 名と増加しました。
2) 地域保健(住民健診)
「高齢者健康確保法」に基づく特定健康診査は 7,337 名に実施いたしました。373 名減少しました。各種がん検診等
では、結核検診が 574 名増、胃がん検診が 342 名増、肺がん検診が 323 名増、乳がん検診が 169 名増、子宮頸がん検
診が 153 名減、大腸検診が 1,128 名増、と子宮頸がん検診以外で増加しました。
3) 精密検査の追跡結果
2014 年度のがん検診における「要精密検査」対象者について、医療機関における精密検査の結果をご本人の了解
を得て追跡調査し集計いたしました。
胃部エックス線検査では、受診者 40,169 名、要精密検査 2,979 名(受診者の 7.4%)
、結果判明者 1,729 名(要精検
者の 58.0%)から、胃がん 23 名(がん発見率 0.057%)、うち早期がん 14 名を発見いたしました。この胃がん 23 名の
中には、40 歳代の方が 1 名含まれていて、厚生労働省が推奨する「50 歳からの胃がん検診」に疑問を感じます。
胸部エックス線検査では、受診者 167,252 名、要精密検査 1,595 名(受診者の 1.0%)
、結果判明者 997 名(要精検者
の 62.5%)から、肺結核 12 名、肺がん 20 名(がん発見率 0.012%)、じん肺 1 名、肺炎 100 名を発見いたしました。
乳がん検診では、受診者 7,628 名、要精密検査 727 名(受診者の 9.5%)
、結果判明者 587 名(要精検者の 80.7%)か
ら、乳がん 17 名(がん発見率 0.22%)、うち早期がん 13 名を発見いたしました。
子宮頸がん検診の産業保健は子宮頸がん以外の所見も追跡するのに対して、地域保健は子宮頸がんの所見のみを追
跡します。受診者 7,306 名、子宮頸がん所見の要精密検査 36 名(受診者の 0.5%)、結果判明者から、がん関連所見保
有者 39 名を発見いたしました。
大腸がん検診では、人間ドック健診と地域保健を追跡いたしました。受診者 12,123 名、要精密検査 792 名(受診
者の 6.5%)
、結果判明者 590 名(要精検者の 74.5%)から、大腸がん 19 名(がん発見率 0.157%)を発見いたしました。
毎年申しますように、要精密検査者の方が全員精密検査をお受けになり、全例結果報告がいただけますと、単純計
算で胃がん 39 名、肺がん 32 名、乳がん 21 名の発見があったはずで健診の有効性は十分にあるものと存じます。
4) 特定健康診査・特定保健指導
事業場健診、住民健診のうち、特定健康診査に該当するメタボリックシンドローム判定受診者は、85,156 名でした。
結果は、腹囲および血圧・脂質・血糖に関するメタボ基準のいずれにも該当しない「非該当」が 71.0%、逆に腹囲 +2
項目以上が該当する「該当」が 13.5%、腹囲 +1 項目が該当する「予備群」が 12.5% でした。この割合は、前年度と
ほぼ同等でした。
お客様のご要望で特定保健指導階層化を行った受診者は、48,442 名でした。積極的支援が 9.2%、
動機付け支援が 7.9%
でした。この割合も、前年度とほぼ同等でした。なお、この結果は全国平均と比べても大きな差はありませんでし
た。
特定保健指導は 24 健康保険組合等について、「動機付け支援」252 名、
「積極的支援」330 名実施いたしました。
5) 学校保健(生徒・学童検診)
児童・生徒数の減少に伴い、各検査とも減少傾向を示しました。
6) 作業環境測定
作業環境測定は、粉じん、有機溶剤、騒音等の項目を、209 事業場、1,334 ヶ所について実施しました。実施件数
は前年度と同等でした。
7) 環境計量証明
環境計量証明事業は、特定工場の騒音レベル測定が 7 件、特定工場の振動レベル測定が 5 件でした。
3.健康教育・広報等の活動
健診後の保健・栄養指導や健康づくり活動等の衛生・健康教育は、こころの健康づくりを除いて 48 件、110 回でし
た。
機関紙「アクティブライフ」を 4 回発行いたしました。また、健康情報紙「へるす」を 6 回発行いたしました。
4.内部活動の充実
1) 安全に
私どもは、健診が安全に行われることをなによりも大切と心得ています。設備・備品・機械等の保守管理を怠るこ
となく、さらにそれを活用する職員の手技・技術の向上には特に意を用いて、on -job training はもちろんのこと、外
部研修会への参加等の off-job training も積極的に行なって研鑽を重ねています。
何よりも役職員全員が、
「安全第一」の意識を持つように、折あるごとに注意を喚起しています。
2) 正確に
日常業務のなかで、個人情報を保護しながら、親切なサ-ビスを実施し、正確な結果を迅速に報告するために、各
種マネージメントシステムの仕組みを活用し精度管理を実践しています。
そして、今後も誤り無きを期して不断の工夫と努力を継続実践してまいります。
2 月に品質マネージメントシステムのサーベランスを受けました。良好な評価を得て認証の継続を得ることができ
ました。11 月にマンモグラフィ検診施設画像認定更新を得ました。
これらの日頃の努力に加え、外部精度管理事業にも積極的に参加しています。全国労働衛生団体連合会、日本総合
健診医学会、日本作業環境測定協会等が主催する精度管理事業においていずれも良好な評価を得ています。
私どもは、労働衛生サービス機能評価機構の認定、優良総合健診施設認定等を得ております。
加えて、ドック健診の質の向上を目指し、人間ドック健診施設機能評価の認定取得に挑戦いたします。
以上、2015 年度を振返りました。2016 年度におきましても安全・正確・迅速・守秘を合言葉に精進を重ねてまい
る所存です。いっそうのご指導とお引き立てをお願い申し上げます。
理 事 会 の 開 催
○ 第62回 理事会
開催日 2015年5月30日 土曜日
場 所 滋賀保健研究センター診療所 別館研修室
議事内容
第一号議案 第35期(2014年度)事業報告の件
第二号議案 第35期(2014年度)収支決算報告の件
第三号議案 公益目的支出計画実施報告の件
○ 第63回 理事会
開催日 2015年5月30日 土曜日
場 所 滋賀保健研究センター診療所 別館研修室
議事内容
第一号議案 理事長(代表理事)選任の件
第二号議案 副理事長、専務理事(業務執行理事)選任の件
第三号議案 顧問委託の件
第四号議案 事務局長選任の件
○ 第64回 理事会
開催日 2016年3月26日 土曜日
場 所 滋賀保健研究センター診療所 別館研修室
議事内容
第一号議案 第37期(2016年度)事業計画書承認の件
第二号議案 第37期(2016年度)収支予算書承認の件
評 議 員 会 の 開 催
○ 第14回 評議員会
開催日 2015年5月30日 土曜日
場 所 滋賀保健研究センター診療所 別館研修室
議事内容
第一号議案 第35期(2014年度)事業報告の件
第二号議案 第35期(2014年度)収支決算報告の件
第三号議案 任期満了に伴う理事・監事選任の件
第四号議案 理事及び監事並びに評議員の報酬額の件
第五号議案 第35期(2014年度)公益目的支出計画実施報告
第35期(2014年度)事業報告会
開催日:2015年7月9日 木曜日
場 所:大津プリンスホテル 淡海ホール
事業報告会
理 事 長
大道 重夫
専務理事 辻村 市郎
滋賀労働局長 辻 知之様
滋賀県医師会会長 猪飼 剛様
滋賀労働局長 辻 知之様
滋賀県医師会会長 猪飼 剛様
滋賀労働局労働基準部健康安全課長 小林 弦太様
大津労働基準監督署次長 綿貫 晶雄様
東近江労働基準監督署署長 鈴木 孝明様
彦根労働基準監督署署長 寺田 満康様
滋賀産業保健総合支援センター所長 中西 一郎様
特別講演
京都大学国際推進機構国際交流センター
講 師 医師 准教授 阪上 優 先生
演 題
労働安全衛生法に基づくストレスチェックの要諦と管理者のための職場の
メンタルヘルスケア
懇 親 会
診療所長 安田 斎
昭和電工株式会社 彦根事業所長 石橋真一郎様
< 歓 談 >
事務局長 石本 博行
精度管理の取り組み
<内部精度管理>
健康管理事業の計画・実施から結果報告書作成までの精度の確保及び向上のため、診療
所長を中心に成績管理委員会を組織して取り組んでいる。その専門部会として分科会(胃部・
胸部・乳腺等)を開催し、各分野の先生方から読影・判読及び専門技能に関するご意見・
ご指導を受けて各専門技術の向上を図っている。
精度の確保及び向上として、品質保証マネジメントシステム ISO9001 及び個人情報保護
マネジメントシステム(通称:P マーク)を活用している。
品質保証マネジメントシステムでは、健康診断サービス提供の仕組みの管理強化を図っ
ている。また、個人情報保護マネジメントシステムでは、「医療情報システムの安全管理に
関するガイドライン」等を遵守することにより、健康管理データという最も機微な情報を
取扱う事業者として個人情報の安全管理体制の構築に努めている。
品質保証及び個人情報保護等のマネジメントシステムを運用管理することによって、「安
全に、親切な、保健サービスを提供して、正確な結果を迅速に報告」するため、より信頼
される総合健康管理機関を目指して継続的に改善している。
・主な取り組み事項は以下の通り
1)顧客から受けた受注内容を確実に実施するための業務計画と編成の作成
2)健康診断等の実施では、正確な検査とその結果の確認
3)OCR(自動光学読取装置)による正確な結果の入力と入力結果の確認
4)前回値リスト及びヒストグラムを用いた精度管理の確認
5)検査機器等の保守管理を励行することによる機器トラブルの防止
6)正確な結果を迅速に報告するための各段階の進捗管理
7)各種スタッフの教育訓練及び定期的な技術レベルの確認と向上
8)上記の取り組みを行う上で、内部・外部に関わらず個人情報保護への管理体制の向上
<外部機関精度管理事業への参加>
全国労働衛生団体連合会が実施する総合精度管理事業、日本総合健診医学会が実施する精
度管理事業及び日本作業環境測定協会が実施する統一精度管理事業等へ参加している。
これらの精度管理事業における各種精度管理調査において良好なる評価を受けている。
また、医師及び医療技術者等は、実務能力の向上を目的として、各団体が実施する研修会、
講習会等へ積極的に参加している。
全国労働衛生団体連合会が実施する総合精度管理事業
事業の目的及び内容
各種精度管理管理調査を行い、各種検査の技術及び精度を確認するとともに、必要な
指導を行うことにより信頼性の高い優良な健康診断施設を育成する。
① エックス線写真に関する精度管理調査 2015年8月 評価A
胸部X線写真の撮影技術について精度を確認する。
② 腹部超音波検査に関する精度管理調査 2015年11月 評価B
腹部超音波の撮影技術について精度を確認する。
③ 労働衛生検査に関する精度管理調査 2015年11月 評価A
鉛及び有機溶剤業務従事者の特殊健康診断に係る代謝物等の検査精度を確認する。
④ 臨床検査精度管理調査 2016年2月 評価A
健康診断施設及び登録衛生検査所が実施する臨床検査の検査精度を確認する。
日本総合健診医学会が実施する精度管理調査
① 第 1 回精度管理調査 2015年2月 良好
・画像検査、生理検査(胸部X線写真と心電図の判定)
② 第 2 回精度管理調査 2015年6月 良好
1) 3 濃度の項目 TG,TC,HDL-C,LDL-C,AST,ALT, γ -GTP,Glu
2) 1 濃度の項目 HbA1c
3) 2 濃度の項目 尿検査
4) 2 濃度の項目 全血算
③ 第 3 回精度管理調査 2015年8月 良好
1) 2 濃度の項目 TP,Alb,ALP,LDH,A/G,BUN,Cre,UA,CRP
2) 2 濃度の項目 便潜血
3) 2 濃度の項目 全血算
④ 第 4 回精度管理調査 2015年10月 良好
1) 3 濃度の項目 TG,TC,HDL-C,LDL-C,AST,ALT, γ -GTP,Glu
2) 1 濃度の項目 HbAlc
3) 2 濃度の項目 尿検査
4) 2 濃度の項目 全血算
日本作業環境測定協会が実施する統一精度管理事業
事業の目的及び内容
作業環境測定結果報告書の審査、クロスチェック試料の分析結果を集計・解析するこ
とによって、作業環境測定に関する技術上の問題点を明らかにするとともに、個々の作
業環境測定機関の精度管理体制と測定技術の精度を評価し、これらに基づく必要な指導
を行い精度管理の向上を促進する。
第7回 総合精度管理事業
項 目
粉じん(りん酸法)
判定結果
合格有効期限
合 格
平成 27 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
第9回 総合精度管理事業クロスチェック
項 目
判定結果
合格有効期限
デザインクロスチェック
合 格
平成 28 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
サンプリングクロスチェック
合 格
平成 28 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
特定化学物質クロスチェック
合 格
平成 28 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
金属類クロスチェック
合 格
平成 28 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
有機溶剤クロスチェック
合 格
平成 28 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
2015年度 成績管理委員会
○
成績管理委員名簿
成績管理委員会責任者:安田 斎(診療所長) (敬称略)
委嘱委員 放射線科:坂本 力(公立甲賀病院顧問)
循環器科:大西 和彦(大西医院)
循環器科:小田原健一(小田原医院)
循環器科:加藤 孝和(かとう医院)
眼 科:岸本 眞人(岸本眼科医院)
眼 科:山元 力雄(山元医院)
整形外科:山田 忠尚(山田整形外科病院)
婦 人 科:髙橋健太郎(滋賀医科大学 女性診療科 科長)
精神衛生:田中 和秀(ひつじクリニック)
病理・細胞診:賀集 一平(株式会社 メディック顧問 病理医)
臨床検査:嶌田 滋(株式会社 メディック検査 次長)
○
滋賀保健研究センター
理 事 長:大道 重夫
診療所長:安田 斎
技術顧問:中上 和義
技術顧問:井村 壽男
技術顧問:林 剛
技術顧問:新井 康泰
技術顧問:北野 浩
健康管理部 :伊吹 仁(診療放射線技師)
健康管理部健増Ⅱ課:寺嶋 孝和(准看護師)
健増Ⅲ課:山田 裕作(臨床検査技師)
健増Ⅳ課:山崎 真嗣(臨床検査技師)
他事務局
○
2015年度(第29回)成績管理委員会
日 時:2016年3月12日 土曜日 15時30分~17時20分
場 所:ホテルボストンプラザ草津
一、開 会
一、付 議 事 項 ⒈ 2015年健診主要報告
① 健康診断実施集計
② 検査項目別有所見率
③ 精密検査集計結果(2014年度)
⒉ 精度管理の取り組みについて
① エックス線検査
② 循環器検査
③ 超音波検査
④ 検体検査
⒊ 画像分科会の報告
⒋ 心電図の判定基準変更について
⒌ ストレスチェックについて
⒍ その他
一、閉 会
座 長 診療所長 安田 斎
○
2015年度 画像分科会
日 時:2016年3月5日 土曜日 14時00分~17時00分
場 所:滋賀保健研究センター診療所 別館研修室
1. 乳腺分科会
1)2014年度乳腺検査集計結果の報告
2)マンモグラフィ検査のがん症例 検討会
乳房エコー検査のがん症例 検討会
3)意見交換
2. 胸部、胃部分科会
1)2014年度精密検査集計結果の報告
・胸部Ⅹ線検査精密検査集計
・胃部Ⅹ線検査精密検査集計
2)全国労働衛生団体連合会の胸部Ⅹ線撮影コントロールサーベイの結果報告
3)胸部所見コード表について
4)胃部所見(背景粘膜診断)について
5)肺がん症例 検討会
胃がん症例 検討会
6)意見交換
成績管理委員会・精度管理委員会の運営について
1987年12月12日より適用
2011年3月12日 一部改正
(精度管理委員会の設置目的と委嘱委員分野) <運営要綱>
1. 弊財団の事業推進に当って、総合健康管理機関としての在り方・精度上の問題・健診
成績判定基準及び管理区分等の保健事業に関係した諸問題を協議し円滑な運営を計る事
を目的として、成績管理委員会・精度管理委員会を設置する。
2. 成績管理委員会
健康診断業務に伴う精度上の問題、成績判定基準、管理区分並びに成績の読影等の問
題を検討・協議して、総合健康管理機関の社会的責任を確立するとともに、健診システ
ムの向上を図る。
Ⅰ.成績管理委員会の責任者は診療所長とする。
Ⅱ.成績管理委員会は原則として年1回程度開催する。
Ⅲ.成績管理委員は、診療所長の推薦を得て理事長が委嘱する。
3. 精度管理委員会(分科会)
分野ごとの精度向上に対して検討・協議することを目的として設置する。
Ⅰ.精度管理委員会(分科会)は、原則として年1回程度開催する。 Ⅱ.構成する委員は、それぞれの分野における判読・読影の担当医とする。
<成績管理委員の委嘱について>
1. 委嘱期間は2年間とする。
2. 委嘱委員は、診療所長が推薦する者とし、弊財団理事及び顧問を含む。
精度管理委員会(分科会)にて中心となる理事及び顧問は、分科会の責任者として成
績管理委員会への出席を原則とする。
3. 委嘱に関わる専門分野は次のとおりとする。
公衆衛生(産業保健、学校保健、地域保健)、放射線科(胸部・胃部・乳房を含む)、
循環器科、眼科、整形外科、婦人科、精神衛生、臨床検査、病理細胞診検査
4. 委嘱に関わる専門分野は委嘱期間満了時に適宜見直す。
学
会
日程及び学会名
の
発
発 表 演 題
表
発表者及び協力者
CTによる内臓脂肪面積測定検査
の有効性について
2015年7月2日
滋賀県産業医学会
発表者
楠見 慎司
診療放射線技師
小林 篤
<抄録の紹介> 「滋賀県産業医学会」
CTによる内臓脂肪面積測定検査の 有 用 性 に つ い て
発表者 診療放射線技師
【目 的】
内臓脂肪蓄積の測定はメタボリックシン
小林 篤
腹囲 80.0 ~ 84.9 ㎝の受診者数は 24 名であ
った。
ドローム(以下 MS)の判定をおこなう上で
必須の項目である。 通常の健康診断では腹囲を用いて内臓脂
肪蓄積を判定しているが、直接内臓脂肪を
測定しているわけではなく評価の精度が懸
2.MS 診断における VFA と腹囲の比較
下記 3 つの項目のうち 2 つ以上該当した
対象者をカウントする。
高血圧 最 高 血 圧 130m m H g 以 上・ 最
念される。
低血圧 85mmHg 以上のいずれ
そこで、CT による内臓脂肪面積(以下
VFA)測定結果と腹囲測定の結果を比較調
かまたは両方。
脂質異常 H D L-ch 4 0 m g / d L 未 満 ・ 中 性
査すると共に、VFA 測定の有用性について
脂 肪 150mg/dL 以 上 の い ず れ
検証したので報告する。
かまたは両方。
高血糖 空腹時血糖値 110mg/dL 以上
【対象と方法】
n=72
2014 年 1 月から 12 月までの 1 年間に、当
センターの人間ドック健診にて VFA を測定
VFA100㎠未満 VFA100㎠以上
腹囲 85 ㎝以上
1 名( 8名)
12 名(31名)
腹囲 85 ㎝未満
2 名(24名)
3 名( 9名)
された食後 12 時間以上の男性 72 名。(平均
年齢 48.8 ± 9.7 歳)
3.MS 診断に用いる検査項目における該当者数
VFA と腹囲の測定結果を比較し特徴を検
結果 2 で用いた高血圧・脂質異常・高血
証する。また、MS の判定基準である血圧、
糖それぞれの基準を超えた対象者をカウン
脂質、血糖の各項目との相関性についても
トする。
調査する。
(統計的有意水準は 5%未満とする)
A群n=9
該当者数
【結 果】
1.VFA と腹囲測定結果の関係
(散布図にて)
B群n=8
該当者数
最高血圧 最低血圧 HDL-ch 中性脂肪
3
1
0
3
最高血圧 最低血圧 HDL-ch 中性脂肪
2
1
0
0
血糖
3
血糖
1
4.MS 診断に用いる検査との相関
(
腹
囲
㎝
最高血圧 最低血圧 HDL-ch 中性脂肪
)
VFA
0.40※ 0.32※ -0.47※ 0.49※ 0.28※
腹囲
0.51 ※
相関係数 r 0.6(
6 p < 0.01)
0.32 ※ -0.39※ 0.33 ※
0.23
※ 有意性のある相関関係(p<0.05)
内臓脂肪面積(㎠)
図1 VFAと腹囲の散布図
血糖
【考 察】
結果 1 と 2 から、腹囲測定で内臓脂肪蓄
A群
VFA100㎠以上
腹囲85㎝未満の集団
積(VFA100 ㎠以上)を指摘できなかった群
B群
VFA100㎠未満
腹囲85㎝以上の集団
(A 群)が 9 名あった。この 9 名中 8 名は腹
囲 80.0 ~ 84.9 ㎝の範囲にあり、また 3 名が
MS 診断基準に該当する者であった。上記よ
り腹囲 80.0 ~ 84.9 ㎝の集団に VFA 測定を
併用することにより、多くの内臓脂肪蓄積
及び MS を拾い上げることができると考え
る。
結果 3 から、A 群と B 群の各項目をカイ
二乗検定で各項目に有意な差は見られなか
ったが最高血圧・中性脂肪・血糖の該当者
数は B 群より A 群の方が若干名多い傾向が
見られた。
結果 4 から、VFA はすべての項目、腹囲
は血糖を除く項目で有意な相関関係が見ら
れた。特に血中脂質では VFA のほうが腹囲
よりやや強い相関が見られた。
【結 語】
今回の検討では VFA 検査の有用性につい
て若干の傾向をとらえられたが統計的に明
確なものにはできなかった。また腹囲検査と
VFA 測定の併用を薦める条件も腹囲 80.0 ~
84.9 ㎝の集団と広い範囲にとどまった。今後
はさらにデータを蓄積し VFA 検査の有用性
の調査と共に VFA と年齢・性別・問診内容・
各種検査結果などから VFA 測定を薦められ
る条件を検討していきたい。
第22回 滋賀保健ミニ学 会
滋賀保健研究センターでは、関連学会への発表に向けたステップアップの場所及び内部
精度管理の向上を目的として、医療技術者を中心としてその年度内の調査研究の成果を報
告する場として、「滋賀保健ミニ学会」を毎年開催しています。
2015 年度の発表は、診療放射線技師 1 題、臨床検査技師 4 題、人間ドック担当 1 題、環
境測定士 1 題の計 7 題でした。
今回の発表演題は、環境測定士からの発表もあり、医局の先生方の指導の下、関連学会
への発表のステップとしたいものです。
今後も、各職種においていろいろな角度から調査研究を重ねて、皆様の健康管理の推進
のお役に立つ活動を推進していく所存です。
滋賀保健ミニ学会内容
<発表順>
職 種
演
題
の
内
容
診療放射線技師
胃部X線検査によるピロリ菌感染胃炎(胃背景粘膜診断)の傾向
について
臨 床 検 査 技 師
騒音聴力検査時の防音ボックス内の環境音について
臨 床 検 査 技 師
腹囲測定用メジャー保管方法変更による実態調査
臨 床 検 査 技 師
食べる速度と肥満の関係
臨 床 検 査 技 師
超音波検査装置更新による効果の検証
人間ドック担当
人間ドック健診 -結果説明受診率の調査と報告-
環
有機溶剤業務別使用化学物質の集計結果
境
測
定
士
検診車整備1
整備内容 生理機能検診車 一台
〈内訳〉 シャーシ 日野 TKG - FC9JHAG AT 一式
車輌側面
車輌前面
検査室
リフト
この検診車は、心電図検査・超音波検査といった生理機能検査を行え、またリフトを装備し
ているため、体の不自由な方でも容易に検査を受けていただけます。
また、精密聴力検査では、静かな部屋を準備できない場合でも、防音室を搭載しているため
検査の実施が可能です。
現在は、生理機能検診車の主力として日々稼働しています。
検診車整備2
整備内容 胸部・胃部併用デジタルX線検診車 一台
〈内訳〉 搭載機器 東芝胸部・胃部用 X 線システム SREX - D32C 一式
シャーシ 日野 QPG - FH1ALDG 一式
車輌側面
車輌前面
操作室
撮影室
この検診車は、最新鋭デジタル胸部・胃部X線装置を搭載し、被曝量の低減や撮影画像の精
度向上など多くの利点があります。また、胸部、胃部を併用することにより受診者の方に手間
をかけず効率よく実施できる体制づくりを行い、総合がん検診を推進し、早期の肺がん、胃が
んの発見に寄与しています。
2015年度 環境活動の実績及び評価
活動期間:2015年4月1日~2016年3月31日
項 目
目 標 値
実 績 値
達
成
状
況
本
館
電
力
電気使用量
kWh
186506.1
175085.0
○ 106.5%
別
館
電
力
電気使用量
kWh
124671.7
115049.0
○ 108.4%
伊
賀
電
力
電気使用量
kWh
4971.8
4920.0
○ 101.1%
ガ ス
ガス使用量 kg
88.6
91.4
ガ
ン
ソ
リ
( 平 均 燃 費 ) 軽 油
( 平 均 燃 費 ) 灯 油
96.6%
ガソリン車
km/L
16.214
17.843
バ ス km/L
3.193
3.181
△ 99.7%
10.996
10.836
△ 98.5%
L 1065.4
973.5
○ 109.4%
45.5
39.5
◎ 115.3%
感染性廃棄物 L 15400.0
15980.0
1BOX、バン km/L
灯油使用量
㎥
一般産業廃棄物
廃棄物総排出量
△ ◎ 110.0%
△
96.4%
紙購入量/業務量ポイント
1752.2
1691.0 ○ 103.6%
総排水量本館
水資源投入量 ㎥
1752.2
1691.0
総排水量別館
水資源投入量 ㎥
250.0
302.0
グリーン購入
グリーン購入品目数
23
23
環 境 の 配 慮
胸部車の外線使用率 85.5% 89.7%
○ 103.6%
× 82.8%
○ 目標達成
出来た
○ 104.9%
※達成状況 比率は、目標値÷実績値× 100 の計算で数値を表しています。
従って、数値が 100 以上であれば目標値を達成していることを表しています。
目標を達成=○、目標を 10%以上の達成=◎、目標に未達=△、目標に 10%以下の未達=×
2015 年度の環境目標は、
「炭酸ガス排出量、廃棄物の排気量、水の使用量及び紙の購入量
を前年度の実績数量より更に削減する。経営改善に繋がる環境保全活動に注力する。」を目
標に定めました。
電力使用量、ガソリン車燃費、灯油使用量、本館水道使用量、一般廃棄物、グリーン購入
品目数、胸部 X 線車の外線使用率は目標を達成できました。ガス使用量、バス・1BOX 車
軽油燃費、感染性廃棄物、紙類発注量 / 業務量ポイント、別館水道使用量は目標未達成とな
りました。
別館水道使用量は、計画時から内視鏡の開催日が増えたことで使用量が増えました。目標
の再設定を 11・12 月分から行いましたが、累計では大幅な未達となってしまいました。感
染性廃棄物は、今年度から採血検査時にグローブを使用することとなり、予測よりも廃棄量
が増加し、目標が未達となりました。