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【バッテリー編】フル充電、高温を避けて長寿命を実現:PC Online
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バッテリーを長持ちさせる
2011年12月2日 page:1/7
【バッテリー編】フル充電、高温を避けて長寿命を実現
岩元 直久、松永 融=フリーライター
出典:日経PC21 2011年10月号(執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
ノートパソコンを使い続けると、バッテリーで駆動できる時間がだんだん短くなっていく─。こんな体験
をした人は少なくないはずだ。いつもは自宅で使っていて、いざ外に持ち出したら、「予想外にバッテリ
ーが持たなかった」という人もいるだろう。
バッテリーは使い続けるうちに容量が減っていく"消耗品"だ。ノートパソコンを使ううえで、バッテリー
の劣化は避けようがない。だが、劣化を少なくするために努力はできる。「ちょっとした工夫」をするだけ
で電池の劣化を遅らせることができるなら、やらない手はない(図1)。
このパートでは、ノートパソコンのバッテリーとして使われているリチウムイオン充電池の特性を理解
したうえで、劣化を阻止する対策を考えていく(図2)[注1]。
図1 パソコンを使い続けると、バッテリーの容量も徐々に減っていく。ただし、高温
状態を避けるなどの“ちょっとした工夫”で寿命は延ばせる
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2012/03/23
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図2 電子機器で使われているバッテリー(充電池)は、リチウムイオン充電池が主
流。以前のA4ノートなどではニッケル水素充電池が使われていた
[注1] 現在、パソコンなどの電子機器に使われる主なバッテリー(充電池)は、「リチウムイオン充電
池」。リチウムイオン充電池は単位重量当たりのエネルギー密度が高いため、バッテリーをより軽くでき
る。一部の古いパソコンには、安価なニッケル水素充電池が使われている。今回の特集では、リチウ
ムイオン充電池を中心に解説していく
出典:日経PC21 2011年10月号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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2種類ある劣化の要因、使っても使わなくても劣化する
バッテリーの容量が減っていく要因は、主に2つある。1つが「サイクル劣化」、もう1つが「保存劣化」だ
(図3)。
図3 バッテリー劣化の要因には、充放電を繰り返す過程で起きる劣化(サイクル
劣化)と、使わなくても時間とともに容量が減る「保存劣化」がある
サイクル劣化とは、バッテリーが充放電を繰り返す過程で、内部の化学反応により劣化が進むこと。
一般に、フル充電してから完全に放電するサイクルを300∼500回繰り返すと、バッテリーの容量が半
分程度になる(図4)[注2]。ユーザーの使い方にもよるが、だいたい2∼3年程度で電池容量は半分に
なることになる[注3]。
劣化の原因は、充放電を繰り返すことで電池内の電解液が分解したり、電極に反応物質が付着した
りすることにある(図5)。
●充電/放電を繰り返すごとに容量は減る
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図4 バッテリー容量は、充電/放電のサイクルを繰り返すと徐々に減っていく。一
般的に300∼500回のサイクルで容量は50%程度になる
●劣化の原因は電池内部の化学反応
図5 充放電を繰り返すと、電解液の分解や変質が進む。電極にも不動態皮膜と
いう膜ができる。これらによりリチウムイオンの移動が妨げられ、容量が減る
一方の保存劣化は、使わずに放置しておいてもバッテリーの容量が減っていく現象だ(図6)。
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図6 保存劣化により、バッテリーは使わなくても時間とともに容量が少しずつ減っ
ていく。保存劣化は、高温と満充電状態で進みやすい
[注2] 1回のサイクルは満充電から完全放電なので、50%まで使って満充電する使い方なら、充電2回
で1サイクルに相当する
[注3] 電池メーカーは、容量が半分になった時点を寿命としている。寿命といっても、容量は半分残っ
ているため、それ以降使えなくなるわけではない
出典:日経PC21 2011年10月号
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この2つの要因のどちらが大きく影響するかは、ユーザーの利用方法によって変わってくる。携帯ノー
トを出先で頻繁に使う人は、サイクル劣化の影響が大きいが、自宅に据え置きで使っている場合は保
存劣化の影響が大きい。
サイクル劣化の影響は大きいものの、ノートパソコンを出先で使う人は避けようがない。ユーザー側
で対策が打てるのは、保存劣化のほうだ。劣化を遅らせるポイントは、充電状態と温度にある。電池の
劣化は、満充電状態、高温状態だと早く進むためだ。
図7は、充電率が100%と80%の電池で、充放電サイクルを繰り返した場合の劣化の違いを調べたも
のだ。80%充電時で容量が半分になるまでの期間は、100%充電の約1.5倍も長い。フル充電を避ける
だけで寿命は延ばせる。
図8は温度による劣化の違いを示したものだ。20℃で保存したほうが、45℃保存より劣化が進みにく
いことがわかる。なお、手持ちのパソコンのバッテリーの劣化状態はフリーソフトでチェックできる(図
9)。
●満充電状態のほうが劣化が早い
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図7 100%と80%の充電状態で充放電を繰り返したときに、容量が半分になるま
での期間(充放電サイクル)を比較したもの。80%のほうが約1.5倍長く使える
●高温のほうが劣化が進みやすい
図8 温度の違いによる、劣化の違いを示したグラフ。20度よりも45度で保存した
ほうが劣化の進みが早い。長期間になるほど差が広がる
フリーソフトで容量をチェック
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図9 フリーソフトを使えば、バッテリーの設計容量と、現在フルに充電したときの
容量(現時点での最大容量)を確認できる。その比率が劣化の度合いとなる
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高温を避け、満充電にしない、4つの対策で長持ちを実践
「高温」と「満充電」を避けることが寿命を延ばすポイントであることを理解したところで、次に対策を講
じていこう(図10)。
図10 バッテリーを長持ちさせるポイントは、高温と満充電を避けること。クルマの
ダッシュボードに置かない、自宅ではバッテリーを外すといった対策は有効だ
まずは高温にしないように心掛ける(図11)。例えば、クルマのダッシュボードにパソコンを放置しな
い。パソコンの放熱口をクッションや布団などでふさがないようにする。パソコンを起動したままカバン
に入れるのもNGだ。
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図11 バッテリーは、高温状態だと劣化が進みやすい。炎天下のクルマの中にパ
ソコンを放置するのは避ける。布団などで放熱口をふさがないようにする
自宅などで使う場合には、バッテリーパックをパソコンから外して、AC電源で駆動するのも有効な対
策だ(図12)。バッテリーを付けたままAC駆動すると、バッテリーは満充電に近い状況に保たれてしま
う。さらに温度も高くなるので、劣化が進みやすい(図13)。
ただし、バッテリーを外して運用すると、電源コードに足を引っ掛けたりしてコードが外れると、パソコ
ンの電源がすぐに落ちてしまうので注意しよう。
図12 自宅内で据え置きで使う場合はバッテリーを外したほうがよい。満充電を避
けられる。ただし、突然の停電などに対応できないので注意
●満充電で高温状態が長く続くのでバッテリーを痛める
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図13 バッテリーを付けたまま電源ケーブルをつないで使い続けると、満充電に近
いところで充放電を繰り返す。これはバッテリーを痛める
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フルに充電せず、容量が80%程度になったところで充電を止める手もある。 図7 にあるように、80%
充電にするだけで寿命は確実に延ばせる。出張などで長時間駆動が必要なときだけ100%充電にする
が、日常使用するときは80%程度にするわけだ(図14)。
図14 通常使用時には、80%程度の充電で止めておくのも、電池の寿命を延ばす
のに効果がある。出張などの場合だけ100%フル充電にすればよい
パソコンメーカーは80%で充電を止めるモードを用意しているので、これを活用すればよい(図15)。
この機能がないパソコンの場合はインテルのフリーソフトを利用する(図16、図17)。80%程度までは、
充電時間も短くて済む(図18)。
●メーカーの「いたわり」モードを使う
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図15 ソニーやパナソニックなどは、充電を80%などに抑えるモードを用意してい
る。この画面はソニーのバイオの「バッテリーいたわり充電モード」のもの。80%と
50%の充電状態を選べる
図16 ノートパソコンに専用機能がない場合は、インテルのフリーソフト「スマート
バッテリー」を使おう。75%や50%の充電状態にできる
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図17 ソフトを起動して「Mode Option」を「Balanced」にすると75%にできる。
「Extended Battery Life Cycle」を選ぶと50%になる
●80%までなら充電は早い
図18 充電にかかる時間は、80%程度までは短時間で進むため効率がよい。一
方、それ以降の充電は時間がかかる
出典:日経PC21 2011年10月号
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バッテリーを外して長期保存する際は、充電率を50%程度にして、日の当たらない涼しいところに保
管するとよい。パソコン付属のユーティリティやフリーソフトを使えば、充電状態を容量50%程度にでき
る(図19、図20)[注4]。
図19 ベクターのサイトから、充電率50%まで放電してくれるソフトを入手しよう。
圧縮ファイルを解凍して、その中にある実行ファイルをダブルクリック
図20 初期状態では、目標値が「50%」になっている。「開始」ボタンを押すとバッテ
リーを放電して目標値の50%にしてくれる
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[注4] 容量が少なすぎる状態でバッテリーを放置するのも避けたほうがよい。バッテリーは、パソコン
につないでいない状態でも少しずつ放電する(容量が減る)ため、数カ月に1度くらいは容量を50%に
回復させておこう
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