父親マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンと 分娩時の刺激の効果

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滋賀大学教育学部紀要 教育科学
No. 61, pp. 15-27, 2011
父親マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンと
分娩時の刺激の効果
児 玉 典 子・重 盛 美砂子
Effects of Prolactin and Stimuli at Parturition on Paternal
Behavior of Mice
Noriko KODAMA and Misako SHIGEMORI
Abstract
Care-taking behavior of male mice, paternal behavior, increases after the parturition of their mate. The
important factor is their experience, mating and cohabitation with pregnant female, and hormonal change during
and following the birth of the litter. At parturition, males are exposed to amniotic fluid, placenta, newborns, and
other stimuli. We conducted three experiments to ensure the role of hormone(prolactin and testosterone)and
experience of males(mating and cohabitation, amniotic fluid, placenta, and newborns). Plasma prolactin of
fathers was higher than virgin males and males which experienced mating and cohabitation with female(MC),
but there was no difference in plasma testosterone. Duration of care-taking behavior was different from hormonal
level: fathers had the highest duration, MC the second, and virgin males the lowest. Care-taking behavior
increased when prolactin was injected to MC, and when amniotic fluid, placenta and cesarean-delivered fetuses
were presented to them one day before parturition. Mating and cohabitation with female were not enough for
males to be paternal. Stimuli at parturition are necessary for them, and then would cause prolactin increase.
哺乳類において、第一の養育者である母親の
(Numan & Insel, 2003)、父親の養育行動にも
養育行動研究に比較して、父親の養育行動研究
ホルモン的基礎があるのかもしれない。事実、
は遅れてきた。しかし、社会構造を持つ哺乳類
両親が養育に関与するカリフォルニアマウスで
では、種によっては父親もまた養育に関与し、
は、父親になると血漿プロラクチン濃度が上昇
これは二次的適応としての進化的意味を持って
す る(Gubernick & Nelson, 1989)。 ま た、 血
いると考えられている(Elwood, 1983)。われ
漿プロラクチン濃度はバージン雄ラットに子を
われはこれまで、マウスを用いて、父親の養育
提示した時にも上昇し、この雄は養育行動を早
行動発現メカニズムを離乳前養育環境と雌との
く開始する(Samuels & Bridges, 1983)。従っ
交尾・同居経験について検討し、これらが父親
て、われわれが研究しているマウスにおいても、
の養育行動に影響を及ぼす要因であること見出
父親のプロラクチン濃度に変化が生じている可
した(児玉・松居,2007;児玉・水原;2010)。
能性がある。
母親の養育行動の開始がエストロゲンやオキシ
父親の養育行動研究では、しばしば子に対す
トシンといったホルモンにあり、そしてその維
る攻撃が取り上げられてきた。テストステロン
持が子との接触経験であることを考えると
の投与は、雄マウスの子への攻撃を促進する
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児 玉 典 子・重 盛 美砂子
方 法
(Sandnabba, et al., 1994)。また、マウスの精巣
摘出は攻撃性を抑制するので、その結果、雄の
養育行動が解発されるという考えもある
被験体
(Gandelman & vom Saal, 1975)。 一 方 で、 テ
被験体は、クローズド・コロニー系の Slc:
ストステロンはアロマターゼ酵素によってエス
ICR マウス52匹(父親群26匹、バージン雄群26
トロゲンに変わる(Beatty, 1992)。このことか
匹)であった。両群とも 8 週齢まで 5 〜 6 匹
ら考えると、子への攻撃性の抑制の結果父親の
の同性集団で飼育し、父親群は 8 週齢で雌と交
養育行動が生起するのではなく、むしろテスト
尾し、分娩 4 日後まで同居した。同居日数は21
ステロンからエストロゲンへの変化によって養
日〜 22日であった。このような、雌との交尾、
育行動が生起すると考えた方が適切かもしれな
妊娠雌との同居、分娩への立ち会いを経験した
い。アロマターゼを介してテストステロンがエ
父親の採血を、雌の分娩 4 日目で行なった。バー
ストラジオールに変換されると、カリフォルニ
ジン雄は、父親が採血されるまでの期間と同じ
アマウスの父親の養育行動が促進される
期間バージン雄 2 〜 3 匹で飼育し、採血した。
(Whynne-Edwards & Timonin, 2007)。これら
この集団飼育は、雄の攻撃性を抑制するための
のことは、マウスのテストステロン濃度がバー
ものである。
ジン雄から父親になる過程で生じる変化と攻撃
性との関係、そして養育行動との関係を検討す
採血と血清の分離手続き
る必要性を示している。
採血は、われわれの研究で父親が十分に養育
父親の養育行動を発現させる要因は、先ずは
行動を行なっていると確認されている(児玉・
交尾と妊娠雌との同居経験である(児玉・水原,
水原,2010)分娩 4 日目の14:00 〜 16:00に
2010)。ただし、分娩時を想定して羊水と胎盤
行なった。ホルモンは日内変動をするので、一
を個別に提示しても、マウスにおいては効果は
定時刻に採血することが必要である。そこで、
認められなかった。一方で、父親的なハムスター
Gubernick & Nelson(1989)に示された時刻に
は分娩を手伝い、羊水をなめ、胎盤を補食し、
準じて採血時刻を決定した。
羊膜 を 取 り 除 き、 養 育 行 動 を 示 す(Jones &
採血は頸動脈から行ない、血液をバイアル瓶
Whynne-Edwards, 2000)。従って、自然条件を
に採取した。次に室温で1.5 〜 2 時間放置し、
考えると、羊水と胎盤、および新生児を複合刺
血清を分離しやすくするため針で血餅をバイア
激として提示することによって、雄がより父親
ル瓶からはがし、バイアルを 1 時間氷水につけ
的な養育行動を行なうように変化させることが
て凝血させた。その後 4 ℃の室温で血液標本を
できるかもしれない。
遠心分離器にかけた(20分・3000rpm)。遠心
そこで本研究では、マウスの雄に交尾と妊娠
分離終了後、溶血を防ぐために氷水につけ、パ
雌との同居を経験させ、プロラクチンの濃度を
スツールピペットで血清を吸い上げ、それを−
測定し、さらに羊水・胎盤・胎児を提示するこ
80℃で冷凍保管した。
とにより、父親の養育行動を規定している要因
を明らかにすることを目的とした。
放射線免疫測定(RIA)によるホルモンの定量
定量直前に血清を室温で溶かし、遠心分離器
実験 1 父親のホルモンレベル
( 5 分・1000rpm)にかけて非可溶性の物質を
沈殿させ、それを除いた血漿を RIA の資料と
父親になるまでの間、雄は雌との交尾・妊娠
した。プロラクチンの RIA は液相法で、テス
した雌との同居・分娩への立ち会いを経験する。
トステロンの RIA は固相法で行なった。この
本実験の目的は、このような経験を経ることが
定量は、東京大学理学部の朴民根先生に依頼し
父親のホルモンレベルを変化させているか否か
た。
を検討することである。
父親マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンと分娩時の刺激の効果
結果と考察
17
分布の幅には差異は認められない(Gubernick
& Nelson, 1989)。この個体差の違いは、マウ
1 .プロラクチン
スの特徴だと考えられる。
プロラクチン濃度は、父親群とバージン雄群
プロラクチン濃度に見られた父親とバージン
とで大きく異なった(Fig. 1 )。父親群の平均
雄の差異は、養育行動における両者の差異と類
値は43.41ng/ml であり、バージン雄の平均値
似している。すなわち、父親になると養育行動
は14.76ng/ml であった。図で明らかなように、
はバージン雄よりも増加する(児玉・水原 ,
父親群の分布の範囲は10.41−233.17ng/ml と非
2010)。このことは、プロラクチンと養育行動
常に広く、バージン雄群は8.58−24.86ng/ml と
との間に密接な関係が存在することを示唆して
非 常 に 狭 い。 分 散 が 同 質 で は な か っ た た め
いる。
(F=168.48,df=25/25,p<.01)、U テ ス ト で 両
群間の中央値の検定を行なったところ、有意差
2 .テストステロン
が認められた(z=2.67,p<.01)。
プロラクチンとは異なり、テストステロン濃
父親になるとプロラクチン濃度が高まることは、
度は両群で類似していた(Fig. 1 )。父親群と
カリフォルニアマウス(Peromyscus californicus)
バージン雄群の平均値は8.31ng/ml と7.84ng/
の結果と一致する。ただし、この濃度には種差
ml、 分 布 の 範 囲 は0.26−37.25ng/ml と0.33−
が存在する(Gubernick & Nelson,1989)。P.
30.93ng/ml であった。t 検定を行なったが、両
californicus のプロラクチン濃度は885.6ng/ml
群間に差は認められなかった。このことは、父
であるが、P. maniculatus bairdii の濃度はそ
親になることとテストステロン濃度との間に関
れよりも低い。本実験の父親群の濃度の最大値
係がないことを示唆しており、Gubernick &
は233.17ng/ml であるので、カリフォルニアマ
Nelson(1989)の結果とも一致する。
ウスに比較してもかなり低いことが分かる。
父親のプロラクチン濃度には、大きな個体差
が存在する。それに比較して、バージン雄の個
実験 2 プロラクチン投与が父親の
養育行動に及ぼす効果
体差は小さい。このような特徴は、カリフォル
ニアマウスでは見られず、父親とバージン雄の
実験 1 では、父親になるとプロラクチンレベ
Fig. 1 Prolactin and testosterone in father and virgin male mice.
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児 玉 典 子・重 盛 美砂子
Fig. 2 Prolactin and testosterone in MC, father and virgin male mice.(MC : mating and cohabitation with
female)
ルが高まることが明らかになった。このプロラ
次の予備実験では、MC へ投与するプロラクチ
クチンが父親の養育行動に及ぼす効果を検討す
ン濃度を決定した。養育行動テスト前日および
ることが、本実験の目的である。
テ ス ト 1 日 目 の30−40分 前、 被 験 体 8 匹 に
[予備実験] 雌との交尾および同居経験とホル
236ng/kg あるいは118ng/kg のプロラクチンを
モンレベルの検討
1 回皮下注射し、テストを行なった。その後、
児玉・水原(2010)は、父親が最もよく養育
16:00と17:00の間に被験体の半数に再度 2 種
行動を示し、次に雌との交尾と同居を経験した
類の濃度で皮下注射を行った。これはプライミ
雄(MC)、そしてバージン雄が最も養育行動
ング効果を図るためである。テスト 2 日目から
が少ないことを見出した。この MC のホルモ
5 日目まではテスト開始30−40分前に皮下注射
ンレベルについてはまだ検討されていない。
を 行 な っ た。 こ の 手 続 き は Bridges et
従って、予備実験では MC のプロラクチンと
al.(1990)に従った。養育行動テストの結果は、
テストステロン濃度を検討した。
118ng/kg を 1 回皮下注射した場合に最も総養
被験体は、雌と交尾しその後その雌と同居し
育と巣作りが多くなることを示した。
た雄(MC)13匹であった。同居雌が分娩する
118ng/kg という濃度は、血中に取り込まれ
前日(妊娠18日)に児玉・水原(2010)と同様
ても実験 1 で明らかになった父親の濃度よりも
の手続きで雌と分離し、 4 日間の養育行動テス
かなり高いと考えられるため、より生体内濃度
トを行ない、その後、実験 1 と同様の手続きで
に近づけて、さらに適切な濃度を検討すること
ホルモンを定量した。その結果、MC のプロラ
が必要だと考えた。そこで 3 種類の濃度を設定
クチン濃度は実験 1 のバージン雄と類似し、テ
し、その効果を検討することとした。プロラク
ストステロン濃度は実験 1 の父親およびバージ
チン濃度は、59ng/kg、29.5ng/kg の 2 種類とし、
ン 雄 と 同 様 で あ っ た(Fig. 2 )。 こ の こ と は、
溶媒のみの群を設け、MC の被験体12匹を用い
父親になって初めてプロラクチン濃度が変動す
た。皮下注射は 1 日 1 回とし、 4 日間の養育行
ることを示している。
動テストを行なった。その結果は、総養育と巣
この予備実験の結果から、MC に対してプロ
作りともにプロラクチン濃度に関わらず類似し
ラクチンを投与すれば、父親と同様の養育行動
たものとなった。以上の結果から、本実験での
が生じるという可能性が指摘できる。そこで、
濃度を118ng/kg と59ng/kg に定めた。
父親マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンと分娩時の刺激の効果
方 法
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プロラクチン濃度にかかわらず交尾と同居を経
験した雄であれば行なうことを示している。頻
被験体
度 は、 4 日 間 を 通 し て ほ と ん ど 変 化 せ ず、
被験体は、Slc:ICR の雄78匹であった。こ
PRL118群と VEHCLE 群がほぼ同様の高い頻
れを皮下注射するプロラクチン濃度により、 3
度を示し、PRL59群が最も低かった。分散分析
群に分けた。118ng/kg を注射した群(PRL118)
、
の結果、いずれの要因にも有意差は認められな
59ng/kg を注射した群(PRL59)、溶媒である
かった。持続時間も、 4 日間を通してほとんど
sesami oil を注射した群(VEHICLE)、各26匹
変動せず、PRL118群、VEHCLE 群、PRL59群
である。これらの雄を 8 週齢で発情期の雌と交
の順に短くなった(Fig. 3 )。分散分析の結果、
尾させ、そのまま出産予定の前日(妊娠18日)
いずれの要因にも有意差は認められなかった。
まで同居させた。妊娠18日で雌雄を分離して雄
に皮下注射し、翌日からの養育テストでは、そ
の30−40分前に 1 回の皮下注射を行なった。
養育行動テスト
妊娠18日に、雌雄が同居していたホームケー
ジから雌を除き、雄だけにした。このホームケー
ジを37℃−38℃に保温したパラフィン伸展器の
上に置き、皮下注射後、ケージの中をアクリル
板で仕切った。出生 0 日齢− 4 日齢の新生児 4
匹を、雄とは反対の一角に置き、アクリル板を
取り除き、10分間のテストを開始した。この手
続きを 4 日間繰り返した。テスト中の雄の行動
をビデオ録画し、テスト終了後に再生して行動
を記録した。観察項目は、養育行動としての巣
作り、子運び、授乳態、総養育、および養育行
動以外の行動としての攻撃行動であった。この
手続きは、水原・児玉(2010)と同様であった。
結 果
全ての被験体は、総養育を行なった。すなわ
ち、養育行動はプロラクチンの濃度に関わらず、
雌と交尾しそのまま同居を経験した雄(MC)
であれば行なうことをことを示している。総養
Fig. 3 Care-taking behavior in prolactin injected
male mice.
育 の 持 続 時 間 は、PRL118群 が 最 も 長 く、
子運びを示した被験体の割合は、 3 群とも
PRL59群が最も短かった(Fig. 3 )。分散分析
53.8%であった。総持続時間は、PRL118群と
の結果、群差が認められた(F=4.463, df= 2 /75,
VEHCLE 群で次第に長くなったが、PRL59群
p<.05)。下位検定として WSD 検定を行なった
は 3 日目までに急激に長くなり、 4 日目に減少
ところ、テスト 2 日目と 3 日目に PRL118群と
した(Fig. 3 )。分散分析の結果、日の主効果
PRL59群の間にテスト 2 日目(WSD =54.832,
が認められた(F=2.988,df= 3 /225,p<.05)。
p<.05) と 3 日 目(WSD=53.526,p<.05) で 差
授 乳 態 を 示 し た 被 験 体 の 頻 度 は、 3 群 で
が認められた。
30.8%−34.6%の範囲であった。検定の結果、
全ての被験体は、巣作りを行なった。これも、
群間に有意差は認められなかった。
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児 玉 典 子・重 盛 美砂子
攻撃を示した被験体の割合は、 3 群で11.5%
また、児玉・水原(2010)は父親になる過程で
−19.2%の範囲であった。検定の結果、群間に
雄が受ける経験として羊水と胎盤を考え、それ
有意差は認められなかった。
らを単独提示したが、養育行動には効果が認め
られなかった。これは、自然条件下では刺激が
考 察
複合されているために生じたことではないかと
考えられる。そこで、本実験では羊水と胎盤に
1 .MC へのプロラクチン投与が養育行動に及
ぼす効果
本実験は、MC へのプロラクチン投与が養育
胎児を加え、それらの複合刺激がプロラクチン
を投与された MC と父親の養育行動に及ぼす
効果を検討することを目的とした。
行動のレベル(総養育の持続時間)を上昇させ
方 法
ることを明らかにした。この MC は、養育行
動のレベルとホルモンレベルが対応していない
という点で、変わった動物である。つまり、
被験体
MC の養育行動レベルは、父親とバージン雄の
被験体は、Slc:ICR の雄76匹であった。こ
間に位置する(児玉・水原,2010)が、プロラ
れらを父親群(F)と刺激提示群に分け、さら
クチンレベルは予備実験で明らかなようにバー
に刺激提示群を提示刺激の種類により 3 群に分
ジン雄と同レベルであった。この MC の養育
けた。すなわち、実験 2 と同様、雌との交尾後
行動を父親へ近づけるため、本実験では MC
その雌と同居し、テスト前日に羊水・胎盤・胎
にプロラクチン118ng/kg を投与したところ、
児を提示される群(P−APF)、羊水と胎盤を
この濃度が養育行動を児玉・水原(2010)で明
提示される群(P−AP)、生理食塩水を提示さ
らかとなった父親レベルへと接近させたわけで
れる群(P−S)、各19匹である。羊水、胎盤、
ある。
胎児は、妊娠18日の雌をの帝王切開によって得
プロラクチンは雄の養育行動に関係している
た。羊水は、粘性が強いため、濾紙(3.5cm ×
が、それを雄の交尾経験および妊娠雌との同居
3.5cm)にしみこませた。その濾紙の上に胎盤
経験と結びつけ、父親へ近づけようという研究
( 4 − 5 個)を置き、胎児をその近くに置いて
はほとんどない。本実験は、プロラクチンと父
被験体に提示した。P−S 群には、生理食塩水
親になるまでの経験の重要性をしてきたという
をしみこませた濾紙を提示した。
点で、意味のあるものである。
手続き
2 .プロラクチン濃度
F 群については、妊娠18日までは実験 1 の父
投与したプロラクチンは、濃度によってその
親群と同様であった。妊娠19日で雌が出産した
効果が異なった。118ng/kg は養育行動レベル
後、そのまま 4 日間母親および自子と同居した。
を高めたが、59ng/kg は溶媒を投与した群より
刺激提示群については、テスト前日の刺激提示
も養育行動レベルが低くなった。このことは、
以外は実験 2 の PRL118群と同様であった。妊
ホルモン濃度によっては逆の効果がもたらされ
娠18日でプロラクチン118ng/kg を皮下注射し、
ることを示している。
その30分後に刺激を提示した。胎児は、自発的
呼吸が十分にできるようになったものを用いた。
実験 3 胎児・胎盤・羊水が養育行動に
及ぼす複合効果 予備実験により、初呼吸したばかりの胎児より
も自発的呼吸ができるようになった胎児を提示
されると、雄はよく巣作りをし、提示された 4
実 験 2 で は、MC+ プ ロ ラ ク チ ン(118ng/
個の胎盤を全て食べたからである。
kg)は MC の養育行動レベルを高めることが
提示刺激への反応は、児玉・水原(2010)の
明らかとなったが、一方、それが父親にどの程
チェックリストを用い、30分間観察した。観察
度近づけさせたのかについては検討しなかった。
項目は、においをかぐ、なめる、胎盤を食べる、
父親マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンと分娩時の刺激の効果
21
結 果
の 3 項目に、胎児への反応としての子運び、巣
作り、授乳態、子殺しを加えたものである。そ
の翌日(テスト初日)に、濾紙の状態を記録し
1 .提示刺激への反応
た。
提示刺激への反応を Fig. 4 に示した。におい
刺激提示群に対するテストは、実験 2 と同様
をかいだ被験体の割合は、濾紙については各群
の手続きで行なった。また、F 群については、
とも類似した反応を示し、ほとんどの被験体が
テスト当日に父親だけをホームケージに残し、
においをかいだ。χ2 検定の結果、群間に有意
母親と子どもを別のケージに移した。この状態
差は認められなかった。胎児については、P−
に馴れさせるため、10分間の馴化を行ない、テ
APF 群で63.2% の被験体がかなり頻繁ににお
ストを開始した。テストで用いた子どもは、他
いをかぎ、36.8%が少し( 5 分以内)においを
子とした。それ以外の手続きは、実験 2 と同様
かいだ。
であった。
なめた被験体の割合は、濾紙については P−
S 群が最も多く、他の 2 群はそれよりも少な
Fig. 4 Responses to filter paper with amniotic fluid or saline, placenta, and cesarean delivered fetuses
(newborns)one day before testing. (P : prolactin injection ; APF : amniotic fluid, placenta, and
fetuses ; AP : amniotic fluid and placenta ; S : saline)
22
児 玉 典 子・重 盛 美砂子
かった。χ2 検定の結果、群間に有意差は認め
の状態は、P−APF 群と P−AP 群とで類似し、
られなかった。胎児については、P−APF 群に
半分以上濾紙をかじった被験体の割合は5.3%
お い て68.4 % の 被 験 体 が か な り 頻 繁 に な め、
と15.8%、半分以下の割合は36.8%と31.6%で
15.8%が少しにおいをかいだ。観察時間中の胎
あった。これに対し、P−S 群では、半分以上
盤 捕 食 は、P−APF 群 で36.8 %、P-AP 群 で
濾紙をかじった割合は42.1%と他の 2 群よりも
2
42.1%の被験体に認められた。χ 検定の結果、
多く、半分以下の割合は26.3%であった。しか
群間に有意差は認められなかった。
し、χ2 検定の結果、群間に有意差は認められ
提示刺激への直接的反応ではないが、非常に
なかった。
特徴的であったのは、巣作りである。すなわち、
P−APF 群と P−AP 群では、100%と94.7%の
2 .養育行動
被験体が巣作りを行なったのに対し、P−S 群
養育行動の結果を示したものが Fig. 5 であ
では31.6%の被験体が巣作りを行なっただけで
る。総養育の持続時間は、P−APF 群が最も長
2
あった。そこでχ 検定を行なったところ、群
く、他の 3 群はそれよりも短かった。また、日
差が認められた(χ2 =29.731,df= 2 ,p<.01)。
を追うに従って増加した。分散分析の結果、群
このことは、胎盤と羊水の複合刺激が巣作りを
(F=4.256, df= 3 /72, p<.01) と 日(F=15.110,
活発化させたことを示している。
df= 3 /216,p<.01)が有意であった。さらに下
胎児に対する子運び、授乳態、攻撃を P−
位検定として WSD 検定を行なったところ、 3
APF 群について調べた結果、これらを示した
日 目 に P−APF 群 と F 群(WSD=76.444,
被験体の割合は、各々 26.3%、31.6%、26.3%
p<.05)、P−AP 群(WSD=63.628,p<.05)、P
であった。
−S 群(WSD=84.088,p<.05)との間に有意差
テスト初日のテスト開始前に、胎盤補食と濾
が認められた。
紙の状態を調べた。P−APF 群と P−AP 群と
巣作りの頻度は、P−APF 群が最も高く、他
も、60%の被験体が胎盤を補食していた。濾紙
の 3 群は類似してそれより低かった。また、 4
Fig. 5
Care-taking behavior in father and prolactin injected males exposed to amniotic fluid, saline, placenta,
and cesarean delivered fetuses (newborns) one day before testing.
父親マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンと分娩時の刺激の効果
23
日の間に 4 群ともゆるやかな頻度の上昇を示し
えることができる。すなわち、交尾と妊娠雌と
た。分散分析の結果、群(F=3.379, df= 3 /72,
の同居は、父親になる過程で必ず経験すること
p<.05)と日(F=3.369, df= 3 /216, p<.05)が有
であるが、そのことだけでは雄の養育行動を父
意であった。下位検定を行なった結果、 4 日目
親の養育行動レベルにまでは引き上るには不十
に P−APF 群と F 群(WSD=7.785, p<.05)、P
分である(水原・児玉,2010)。しかし、そこ
−A P 群 ( W S D = 6.480, p < . 05)、 P −S 群
にプロラクチン118ng/kg を投与することによ
(WSD=8.564, p<.05)との間に有意差が認めら
り、父親の養育行動レベルへと到達させること
れた。持続時間は、頻度と同様の特徴を示した。
ができる。このことは、父親になるための社会
P−APF 群が最も長く、他の 3 群はそれよりも
的経験とホルモン的基礎が共に結びついて父親
短かった。また、 4 日間の間に増加した。分散
の養育行動を支えていることを示している。
分析の結果、群(F=4.838,df= 3 /72,p<.01)
さらに、本実験はプロラクチンを投与した
と日(F=6.033,df= 3 /216,p<.01)が有意であっ
MC に羊水・胎盤・胎児という刺激の複合提示
た。下位検定を行なった結果、 3 日目と 4 日目
(P−APF 群)を行なうことによって、MC の
で P−APF 群と F 群(WSD=57.943 and 49.580,
養育行動が父親の養育行動レベルを超えること
ps<.05)、P−AP 群(WSD=63.738 and 58.538,
を見出した。一方、羊水と胎盤の複合提示およ
ps<.05)との間に有意差が認められた。
び生理食塩水の提示は父親の養育行動レベルを
子運びを行なった被験体の割合は、P−APF
超えなかった。つまり、胎児も同時に提示され
群 が26.3 % で あ っ た の に 対 し、 他 の 3 群 は
ること、言い換えると破水して胎児が母親の体
52.6%から62.3%と高かった。しかし、検定の
外に出、後産で胎盤が排出されるという分娩の
結果、群間に有意差は認められなかった。 授
過程全てに立ち会うことが MC の養育行動を
乳態を示した被験体の割合は、F 群と P−S 群
高めることに大きな効果を持つ。プロラクチン
が47.4%と57.9%であったのに対し、P−APF
は、それを一層高めることに寄与している。
群と P−AP 群は26.3% 31.6%と低かった。し
かし、検定の結果、群間に有意差は認められな
2 .攻撃
かった。
本実験において特徴的なことは、父親が子に
対して全く攻撃をしなかったことである。この
3 .攻撃
結果は、児玉・水原(2010)と一致する。一方、
子への攻撃を示した被験体の割合は、P−
他の 3 群は多少の違いはあるが攻撃を行なった。
AP 群が最も高く、42.1%であった。次に P−
このことから、雌との交尾、妊娠雌との同居、
APF 群(15.8 %)、P−S 群(5.3 %) の 順 に 低
プロラクチン投与、羊水・胎盤・胎児の提示は、
くなり、F 群は全く攻撃を示さなかった。χ 2
雄の攻撃性を完全に抑制するところまでの効果
検定の結果、群が有意であった(χ2 =15.041,
は持たなかったと考えられる。父親と他の 3 群
df= 3 ,p<.01)。
との残された大きな違いは、分娩雌との接触経
験である。この経験が、攻撃の抑制に大きな役
考 察
1 .プロラクチン投与および雄の受ける経験と
割を果たしている可能性がある。
全体的考察
養育行動
本実験から明らかになったことは、プロラク
本研究では、父親になってもテストステロン
チンを投与した MC(P−AP 群と P−S 群)の
のレベルは変化しなかった。すなわち、バージ
養育行動レベルが父親レベル(F 群)に到達し、
ン雄および交尾と妊娠雌との同居を経験した雄
同じく MC である P−APF 群は父親レベルを
と同じレベルであった。また、攻撃性にも変化
超えたことである。このことから、父親の養育
は認められなかった。父親になるとアロマター
行動を支える要因のほとんどを以下のように考
ゼがより活性化しそれによってテストステロン
24
児 玉 典 子・重 盛 美砂子
からエストロゲンへの変換が生じると言われて
ただし、プロラクチン投与だけでは、養育行
いるが(Beatty, 1992)、本研究ではそれを確認
動を父親のレベルにまで到達させることはでき
することはできなかった。カリフォルニアマウ
ない。Fig. 6 は、本実験のプロラクチンの結果
スでは、アロマターゼによってテストステロン
と児玉・水原(2010)の養育行動の結果を、父
から変換されたエストラジオールが父親の養育
親、交尾と同居を経験した雄(MC)、およびバー
行動を生じさせると報告されている(Wynne-
ジン雄について示したものである。MC のプロ
Edwards & Timonin, 2007)。本研究の結果と
ラクチンレベルはバージン雄と同じであるのに
合わせて考えると、テストステロンの低下によ
対し、MC の養育行動のレベルはバージン雄よ
る攻撃性の低下、その結果としての養育行動の
りも父親へと少し近づいている。おそらく、こ
増加という結論を下す段階ではないようである。
れは MC が得た経験(交尾と妊娠雌との同居)
一方、本研究では父親になるとプロラクチン
によるものであろうが、この経験だけでは、ま
レベルが上昇した。また、カリフォルニアマウ
だ父親のレベルには至っていない。両者の経験
スでも父親になるとプロラクチンレベルが上昇
の大きな差異は、分娩時に雄が受ける経験であ
す る(Gubernick & Nelson, 1989)。 両 種 は、
り、それが養育行動の差に現れてきたのであろ
雌雄が密接に長期の関係を持って生活するとい
う。
う特徴を持っている。すなわち、マウスは野生
そこで実験 2 では、交尾と同居を経験した雄
では雌雄が小集団で生活する比較的単純な社会
にプロラクチンを投与し、さらに分娩時に雄が
形態を持ち、カリフォルニアマウスは一雌一雄
受ける様々な刺激(羊水・胎盤・胎児)を複合
の社会形態を持つ。このことは、雌雄が親密な
提示した。これは、雄をできる限り自然条件下
関係を持つ齧歯類に共通する父親の養育がプロ
での状況に近づけるという考え方に基づくもの
ラクチンによって維持されることを示している。
であった。実験 2 の結果を、児玉・松居(2007)
プロラクチンは、雄の養育行動を高める。実
のバージン雄の結果と比較したものが Table 1
験 2 で交尾と同居を経験した雄にプロラクチン
である。ここから明らかなように、交尾・同居・
を投与すると、総養育と巣作りの持続時間が増
プロラクチン投与(118ng/kg)は、バージン
加した。総養育の大部分を占めるのは巣作りで
雄の養育行動を父親レベルまで引き上げる。さ
ある。従って、プロラクチンには特に巣作りを
らに、胎児の存在は、養育行動のレベルをさら
活発にさせる作用があると考えられる。
に引き上げることが分かる。出生後の子を提示
Fig. 6 Prolactin and total care in Father, MC, and virgin male mice. Total care is from Kodama & Mizuhara
(2010).(MC : mating and cohabitation with female)
父親マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンと分娩時の刺激の効果
Table 1 Duration of total care and nest building in
five groups of mice.
Total Care(sec.) Nest Building(sec.)
P−APF
138.3
113.1
P−AP
94.8
76.7
P−S
85.8
58.8
83.3
59.3
32.0
20.6
Father
*
Virgin Male
25
う。一方、母親の養育行動の主要なホルモン基
盤はエストロゲン(Siegel & Rosenblatt, 1975)
で あ り、 オ キ シ ト シ ン(Pederson & Plange,
1987) と プ ロ ラ ク チ ン(Bridges et al., 1985,
1990)がその補助的役割を果たしている。この
ように、父親と母親はともにホルモン基盤を持
つことは明らかであるが、その主要なホルモン
P:prolactin injection ; APF:amniotic fluid, placenta,
and cesarean delivered fetuses ; AP : amniotic fluid
and placenta ; S : saline
*:Kodama & Mizuhara(2010)
の種類が異なることは明らかである。このこと
することが雄の養育行動を高めることは、ラッ
られる。
ト(Samuels & Bridges, 1983; Sakaguchi, et al.,
なぜ哺乳という生物学的基盤を持たない雄が、
1996) と マ ー モ セ ッ ト(Dixson & George,
養育行動を促進するホルモン基盤を持ち、養育
1982)でも報告されている。それによれば、子
行動を行なうのか、この疑問に対しては、養育
の提示は、プロラクチンレベルを上昇させ子運
が父親自身にもたらす利益と子にもたらす利益
は、脳内の異なるホルモンレセプターが刺激さ
れていることを示すものであり、それが父親と
母親の養育行動の差異を生み出していると考え
びを促進させる。Phodopus cambelli では、母
の 両 面 か ら 検 討 す べ き で あ ろ う。Elwood
親の分娩当日の午後遅くに父親のプロラクチン
(1983)によれば、齧歯類において養育が父親
濃度が上昇する(Reburn & Wynne-Edwards,
にもたらす最大の利益は、雌の獲得にある。雄
1999)。従って自然条件下で胎児が娩出される
が交尾した雌とともにいることは、まず雄の繁
時、父親のプロラクチンレベルが上昇し養育行
殖成功を高める。次に雌雄が同居することで、
動が触発されると考えることは、恐らく妥当で
捕食者からの防御、あるいは安定した食物資源
あろう。母親の養育行動が生物学的基盤によっ
の確保による自己の生存、さらに雌の生存も促
て生じるのと同様に、父親にも生物学的基盤が
す。
あると考えられる。
父親の養育が子にもたらす利益は、保温と保
プロラクチンと父親の養育行動に関係がある
護による生存の促進である(児玉 , 1995)。具
ということは、齧歯類に限らない。雄のミーア
体的には、晩成性の齧歯類の父親が母親と同様
キャットのヘルパーは、ヘルパーとして働き始
巣作りを行なうことにより、子は保温され、ま
めた直後にプロラクチンの上昇を示す
(Carlson,
た捕食者から身を隠すことができる。これが子
et al., 2006)。子運びをするコットントップタ
の生存を高めることにつながる。ヒト以外の霊
マリンのプロラクチン濃度は高く、父親として
長類では、父親のもたらす子にとっての利益は、
の経験が増えるのに対応して増加していく
主に保護されるということである(Higley &
(Ziegler et.al., 1996; Ziegler et al., 2000).。同
Suomi, 1986)。なぜならば、ヒト以外の霊長類
様のプロラクチンの上昇は、ヒト以外の霊長類
には半早成性の種が多く、すでに発毛し体温調
(Carlson et al., 2006; Mota & Sousa, 2000;
節もできるようになっているため、保温の必要
Roberts et al., 2001)でも確認されている。ヒ
性が少ないからである。一方ヒトは運動機能に
トでは、擬娩を起こす夫のプロラクチンレベル
ついては晩成性の特徴を持っているため、保温
が子の出生後上昇する(Storey et al., 2000)。
と保護を必要とする。これらの種を概観すると、
これは子への強い情動的反応と関係している
父親の養育が子に大きな利益を与えていること
(Fleming et al., 2002)。以上のことは、集団生
が分かる。
活を営む哺乳類において、プロラクチンが父親
以上のことから、集団生活を営み雌雄が密接
の養育行動に主要な役割を果たすような進化が
に長期の関係を持つ哺乳類において、父親の養
生じたことを示唆している。
育は、父親と子、そして母親にも利益を与えて
父親の養育行動は、プロラクチンの上昇を伴
いることは明らかである。それが、個体の生命
26
児 玉 典 子・重 盛 美砂子
の維持と集団の維持につながり、最後には種を
維持することとなるのだろう。父親の養育にお
けるホルモン基盤を合わせて考えると、これは
進化の過程の中で固定されてきたものだと考え
られる。
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