株式会社 サンクレスト 20130401 日本経済新聞 起業の軌跡 商品開発女子高生に学ぶ サンクレスト 植田実社長 うえだ•みのる 1972年(昭47年)大阪 府立布施高卒、父親 が営む金属プレスエ 場勤務 を経て、86年 サンクレス卜創業。 大阪府出身。59歳 スマー卜フォン(スマホ) や携帯電話の液晶画面に貼るフィル夕ーや本体ケースを企画 •販売するサンクレスト大阪府東大阪市。他人がメールなどをのぞき見るのを防ぐフィ ル夕-やキラキラしたアクリル製の玉をちりばめたケースなどが女子高生ら若い女性 から高い支持を得ている。創業社長の植田は19歳で起業を志した。第1志望の大学には 合格したが経済的理由で進学を断念。手伝うことになった父の工場は典型的な零細企 業で、孫請けのため仕事は安定しない。「このまま人生を終わらせた<ない」。歳まで 独立資金として1千万円をためる目標を掲げ、平日は工場で働き、週末は警備員のアル バイトをした。1985年、歳の時においが目を真っ赤にしらテレビゲームに熱中する姿 を見て、画面が発する光から目を守るためのフィル夕ーのアイデアを思い付き、翌年 創業した。 大手化学メーカーと相談しながらつくり上げた製品には自信があったが全 く売れない。自己満足だけでは製品は売れないことを痛感した。その後パッケージな どを改良しヽゲーム雑誌に広告を出したのを契機に認知度が上がり、事業が軌道に乗 った。携帯電話でメールをする人が目立ち始めると、画面を周囲からみられないよう にするフィルターがあれば売れるのではないかと考えた。2001年に市場投入したが、 ゲーム用フィル夕ーと同じく当初の売れ行きははかばかしくなかった。わらをもつか む思いで、コンビニエンスストアの前にいた女子高生らに商品を見せて意見を聞くと 「カラフルなのが欲しい」との反応。機能だけを重視して黒いフィルムを採用したの が不人気の理由だった。早速、ピンクや緑色など4色を投入。さらにハローキティなど キャラク夕ーを印刷した製品も発売。ピークには年間450万枚を売る大ヒッ卜商品とな った。中小企業は宣伝広告に多くの費用をかけられない。若い女性に支持されればロ コミでヒットすることを、この時に学んだ。今も若者が多く集まる場所に自ら足を運 び、若い女性からの情報収集を怠らない。ギャルママと呼ばれる若い母親のアイデア を聞<ため、本社にはキッズルームを併設した会議室も用意した。13年5月期の売上見 通しは億2千万円。前期比7%増と堅調だ。「どんなに失敗しても百パーセン卜前向きで 1/2 株式会社 サンクレスト 決してあきらめない」。このバイタリティーこそが若者の心をとらえる源のようだ。 敬称略 (中村厚史) 2/2
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