新しい年・新しいページ・新しい活動 - TOKYO

野 鳥・Tokyo
新しい年・新しいページ・新しい活動
photo. H.Kawachi
名古屋で昨秋開かれた生物多様性条約をめぐるCOP10では、地球レベルの環境保全についてさまざま
な意見が交わされ、いろいろと考えさせられることが多く、意義深いものでした。「生物多様性」という
ことばは馴染みにくい面もありますが、当会が日ごろ主張し活動している、
「多種多様の野鳥がたくさん
いる環境は人間にとっても住みやすい空間である」という考えが、その根幹にあることは間違いないと
思います。タカやフクロウなどが生息する森には、キツツキやウグイスなどの森林性の鳥たちが生き生
きと生活し、里山の林にはアオバズクが鳴き、モズが静かに獲物を狙っている。水面にはカイツブリや
カモが泳ぎ、ヨシの間をサギやバンが歩き、広々とした干潟にはシギやチドリの群れが乱舞する。緑の
多い市街街をツバメが飛び交い、シジュウカラが梢で歌う。野鳥を通して自然保護思想をわが国に定着
させた中西悟堂の精神を継承する団体のひとつとして、より良い自然環境を守り、造るのは我々の使命
だと思います。
東京都は、奥多摩という大きな森林地帯や多摩川、荒川という大河川、東京湾という広大な水辺、また、
南方1000キロメートル先までの島々と海洋、さらに、市街地を中心に、1300万人の住民を擁す巨大な自
治体です。植生は亜高山帯から亜熱帯まで、標高も海抜2000メートルからマイナス数メートルと変化に
富み、年間250種の野鳥が記録されています。その中で、当会は3300人以上の会員からなる都内最大級の
自然保護団体として、年間に約200回の探鳥会や室内例会を実施。また、機関誌『ユリカモメ』を毎月発
行し、2つのホームページを駆使して活動内容を発信しています。
ほかにも、社会的問題となっている東京の「カラス」について提言
したり、東京圏のカモが減っているのを明らかにしたり、新しい東
京都産鳥類目録の作成を推進したりと、日々活動を続けています。
しかし、地球規模でも、地域社会レベルでも、必ずしも自然環境
は良い方向に進んでいないと思われる状況です。東京でも、下町を
除けば、緑比率は減少が続き、山の中に道路が造られ、河川の護岸
工事が続き、東京湾はついにこれ以上埋め立てができないまでに陸
地化されています。そのような状況の中で、日本野鳥の会東京とし
て、良好の自然環境を保つための活動ということで、今年から、日
本固有種で、伊豆諸島に生息するアカコッコの保護研究を開始しま
す。また、今後も会員の皆さんが参加・推進できるようなさまざま
な活動の提案をしていきたいと考えています。このページでは、そ
んな当会の動きや意見を載せていきます。新しいページ「野鳥・
Tokyo」が皆さんに何を伝えるか、ご期待下さい。
ユリカモメ No.663 2011.1
朝日にかがやく多摩川/photo.T.Yoshida
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