閲 (様式3 覧 用 公表の表紙) つ く ば 市 農 業 基 本 計 画 ( 案 ) の 市 民 と行 政 が共 に施 策 をつくる手 続 (パブリックコメント)の実施について 平成26年12月 つくば市経済部農業課 案件名 つくば市農業基本計画 募集期間 平成26年12月1日(月) ~ 平成27年1月5日(月) 担当課 経済部農業課 問い合わせ TEL 029-883-1111 (内線)4410 ■ 意見募集の趣旨 近年,農業従事者の高齢化等による担い手不足や耕作放棄地の増加,さらにはTP P問題などの社会情勢の変化により,農業を取り巻く環境が一層深刻な状況となって います。 このような状況に直面している現在,都市化が進むつくば市において,その課題に どう向き合い,本市の農業・農村のあるべき姿や,健康・安全志向など多種多様な消 費者ニーズにどう対応していくかなど,将来目指すべき方向性やその実現方策を明確 にした農業施策の新たな指針となる「つくば市農業基本計画」の策定を進めています。 つきましては,計画案を公表しますので,市民の皆さんの意見をお寄せください。 ■ 資料 ・つくば市農業基本計画(案) ・つくば市農業基本計画(概要版) ■ 提出方法 ○ 直接持参 ・農業課(4階) ・各窓口センター ・各地域交流センター ○ 郵便 〒305-8555 つくば市研究学園一丁目1番地1 つくば市経済部農業課 ○ ファクシミリ 029-868-7622 ○ 電子メール [email protected] ※ 意見の提出様式は,特に定めておりませんが,住所/市内在勤者は勤務先 住所/市内在学者は在学先住所のいずれか,氏名及び案件名を明記の上,上 記の方法によりご意見をお寄せください。 ■ 提出された意見の取り扱い ・ 提出された意見を考慮した上で,つくば市農業基本計画の最終決定を行いま す。 ・ 提出された意見に対する市の考え方は,意見をいただいた方々に個別に回 答するのではなく,類似する意見を集約するなどして,意見の概要とそれに 対する市の考え方を公表します。 また,案の修正を行った場合は,その修正案を公表します。 ・ 個人情報等の取り扱いには十分注意するとともに,個人が識別できるよう な内容及び個人又は法人等の権利利益を害する恐れのある情報など公表する ことが不適切な情報(つくば市情報公開条例第9条に規定する非開示情報) については,公表しません。 ■ 意見の概要及び意見に対する市の考え方の公表時期並びに公表場所 ○ 公表時期 平成27年3月ごろを予定しています。 ○ 公表場所 市ホームページ,農業課, 情報・閲覧コーナー(庁舎1階), 各窓口センター,各地域交流センター 【パブリックコメント資料】 (案) つくば市農業基本計画 【パブリックコメント資料】 はじめに つくば市の農業は,豊かな自然に囲まれながら, 大消費地の近郊であるという恵まれた立地を活か して,水稲やねぎ,芝などの基幹作物を中心とし た農業が多様な形態で営まれ,地域に根ざした農 業として,大変重要な役割を果たしています。 近年では,地域の消費者層に向けた直売や農業 体験の受け入れ,農産加工品開発などの6次産業化の 取り組みといった新たな農業ビジネスが次々に展開され,様々な形で市民の暮 らしを支えています。 国内の農業を取り巻く環境は,農業従事者の減少・高齢化,耕作放棄地の増 加や農産物価格の低迷など大変厳しい状況に置かれております。しかしなが ら,はじめに述べましたように,つくば市ではこのような時代の中でも,新た な農業経営にチャレンジする農業者や,女性を中心とした起業者が増えるな ど,意欲と熱意ある多くの担い手が着実に育っています。 これまでの農業政策につきましては,国と茨城県の指導のもとに進めてまい りましたが,農業情勢が深刻化する今だからこそ,本市の農業の現状を的確に 捉えた「つくばらしい」計画を作り,情勢の変化にも柔軟に対応できる政策を 展開していく必要があるとの強い認識のもと,このたびの「つくば市農業基本 計画」を策定いたしました。本計画は,以上の思いをこめて,“「つくば」らし い魅力ある豊かな農業の実現”をスローガンに掲げ,①「ひと」の育成・確保, ②「農地」の保全,③「地域の活性化」,④「新技術」の導入,の4点を計画 の重要な柱に位置づけ,実現してまいりたいと考えております。 本計画の推進にあたりましては,農業者の皆様はもとより,市民や事業者, 関係機関の皆様の協力や連携が不可欠であると考えております。つくば市農業 が未来へ向けて元気に歩み出せますよう,今後とも皆様方のご理解とご協力を いただきますようお願い申し上げます。 最後に,本計画の策定にあたり,アンケートにご協力をいただいた農業者の 皆様,また,熱心なご審議をいただいたつくば市農業基本計画策定委員会委員 の皆様や農業基本計画策定検討会議の皆様をはじめ,ご協力をいただいた関係 者の皆様に,心より感謝申し上げます。 平成27年2月 つくば市長 市原 健一 【パブリックコメント資料】 【 目 次 】 序章 計画の策定にあたって 1 策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 計画の位置づけと計画期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 3 計画の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1章 つくば市農業の特性と主要課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1 国と茨城県の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2 つくば市農業の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3 つくば市農業の特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 4 つくば市農業の問題点と主要課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第2章 つくば市農業の基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 1 目指すべき方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 2 基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 3 基本施策の体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 第3章 基本施策と具体的施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 1 「ひと」の育成・確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 2 「農地」の保全・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3 「地域」の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4 「新技術」の導入・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 第4章 重点プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 1 重点プログラム①・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 2 重点プログラム②・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 3 重点プログラム③・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 4 重点プログラム④・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 第5章 計画の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 1 各主体の基本的な役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 2 計画の推進体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 3 計画の達成目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 4 目標の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 ■資料編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 1 策定委員会委員と策定経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 2 用語解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 3 農家意向調査の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 【パブリックコメント資料】 序章 計画の策定にあたって 1 策定の趣旨 近年,農業従事者の高齢化等による担い手不足や耕作放棄地の増加,さら にはTPP問題などの社会情勢の変化により農業を取り巻く環境が一層深刻 な状況となっています。また,国においても農林水産業や地域の活力を取り 戻すべく新たな政策の展開に向け動き始めています。 このような状況に直面している現在,都市化が進むつくば市において,そ の課題にどう向き合い,本市の農業・農村のあるべき姿や,健康・安全志向 など多種多様な消費者ニーズにどう対応していくのかなど,将来目指すべき 方向性やその実現方策を明確にした農業施策の新たな指針として「つくば市 農業基本計画」を策定するものです。 2 計画の位置づけと計画期間 (1)計画の位置づけ 本計画は,本市農業の実情をもとに独自の農業施策を計画するものであり, 平成 27 年度から開始する本市次期総合計画の「つくば未来構想」の下に, 市政の重点的施策として位置づけられる「戦略プラン」と連携し,より具現 化した計画として策定します。 (2)計画の期間 本計画の期間は,平成 27 年度から平成 31 年度までの 5 年間とします。 3 計画の推進 行政をはじめ生産者やJA等の農業団体,関係機関,さらに農産物の流通, 加工,消費に関係する市民や企業,また大学や研究機関など,さまざまな主 体の協力や連携のもと,計画の達成に向けた取り組みを進めていきます。 1 【パブリックコメント資料】 第1章 つくば市農業の特性と主要課題 1 国と茨城県の動向 (1)国の動向 日本は,食料自給率の向上等を目指し様々な施策が展開される中にあって, 農業を取り巻く状況は厳しさを増し,農業生産額が大きく減少するなか基幹 的農業従事者の平均年齢は現在66歳となり,耕作放棄地は,この20年間で 2倍に増えて今や滋賀県全体と同じ規模になっています。 また,今後人口減少が本格化した場合には,食料消費量の減少により国内 農作物に大きな影響を及ぼすとともに,担い手となる農業従事者を確保でき ないなど,さらに深刻な事態となる可能性があります。 このような状況のなか,国では,平成26年6月に改訂された「農林水産業・ 地域の活力創造プラン」において示された基本的方向を踏まえ「食料・農業・ 農村基本計画」の見直しの検討が開始されたところです。 今後10年間で農業・農村の所得を倍増させることを目指し「強い農林水産 業」「美しく活力ある農山漁村」の実現に向けた施策を展開していこうとし ています。 (2)茨城県の動向 本県は,耕作面積 17.5 万 ha,農家戸数 10.3万戸と全国 2 位(H22) の規模を有し,農業生産において全国有数の潜在力を有しています。また, 農業産出額が 4,170 億円で全国2位,東京都中央卸売市場における青果物 取扱額が全国 1 位(H21)と,全国屈指の農業県としての地位を占めてい る状況です。 このような状況のなか,県では,平成 23 年4月に策定された「茨城農業 改革大綱」により,農業・農村を取り巻く情勢の変化に的確に対応しつつ, 儲かる農業の実現による農業者の所得の向上と安定を図り,重要な食料供給 基地として一層発展させるため,様々な施策を展開しているところです。 2 つくば市農業の現状 本市は,市中心部に研究学園都市が形成され,最先端の科学技術等の研究 機関が集積される一方,周辺地域では,緑豊かな自然や田園が広がり,水稲 やネギ,芝などを基幹作物とした様々な形態の農業が盛んに営まれています。 また,近年は,市中心部をはじめつくばエクスプレスの開通に伴う沿線市 街地などを中心に,さらに都市化が進んでいることから,身近な消費者に向 けた直売や農業体験など都市近郊型農業として新たな農業ビジネスの取り組 みも活発化しています。 2 【パブリックコメント資料】 なお,統計からみる本市農業の現状としては次のような状況となっていま す。 (1)農地の利用状況(H25) 本市の総面積 28,407ha のうち,農地の占める割合は 39.6%で, 田 4,671ha(16.4%),畑 6,588ha(23.2%)となっています。 また,*耕作放棄地は 1,322ha(H22)あり,農地に占める割合は約 11% となっています。 (2)産業別就業者(H22) 本市の 15 歳以上の労働人口は 99,865 人で増加している状況にあるもの の,第 1 次産業の就業者は 3,133 人(3.1%)となっており年々減少傾向 にあります。 一方,第 3 次産業については,全体の 69.3%を占め増加傾向となってい ます。 【産業3部門就業者】 第1次産業 3.1% 分類不能 10.3% 第2次産業 17.3% 第3次産業 69.3% 資料:2013 統計つくば ・第 1 次産業・・・農業・林業・漁業など ・第 2 次産業・・・鉱業・建設業・製造業など ・第 3 次産業・・・運輸通信業・小売業・飲食業・サービス業など 3 【パブリックコメント資料】 (3)販売農家数(H22) 本市の販売農家は年々減少しており,3,878 戸となっています。 そのうち専業農家は 634 戸(16.3%)で,近年は微増傾向にありますが, 兼業農家が減少しています。 【販売農家数】 区分 年 (単位:戸) 総数 第1種 兼業農家 専業農家 第2種 兼業農家 昭和 50 年 10,887 1,235 4,573 5,079 昭和 55 年 10,490 965 3,078 6,447 昭和 60 年 10,084 783 2,262 7,039 平成 2 年 9,444 685 1,314 7,445 平成 7 年 8,762 625 1,243 6,894 平成 12 年 7,912 553 585 6,774 平成 17 年 6,784 615 525 5,644 平成 22 年 3,878 634 279 2,965 資料:農林業センサス結果の概要(確定値)・2013 統計つくば (4)農業産出額(H18) 本市農業の総産出額は 129 億 4 千万円で,県内第 10 位となっています が減少傾向にあります。 作物別では,「米」が 46 億 8 千万円(36.1%)で県内第 3 位,「野菜」 が 36 億 7 千万円(28.3%)で,そのうち「ねぎ」が 7 億 1 千万円で県内 第 2 位「花き」が 27 億 7 千万円(21.4%)で,そのうち「芝」が 26 億 1 千万円で県内第 1 位という状況にあります。 【農業産出額】 500 (単位:千万円) 468 450 400 367 350 277 300 250 200 150 100 50 46 46 38 豚 穀物類 果実 30 11 11 0 米 野菜 花き 肉用牛 乳用牛 その他 資料:2013 統計つくば 4 【パブリックコメント資料】 3 つくば市農業の特性 本市農業の主な特性をあげると次のようになります。 ①水稲,野菜,芝を中心に多様な農業生産が行われています。 ②全域的に稲作が行われるほか,概ねのエリアでわけると北部・東部 地区は水稲を主とした土地利用型農業,西部地区は芝,南部地区は 野菜の生産が盛んに行われており,市内でも地域により営農形態の 違いがみられます。 ③市内には研究学園地区や沿線開発地区など新しい市民が多く居住し ,身近なところに消費者地域が存在しています。 ④6次産業化や農業体験受け入れなど,新たな農業ビジネスに積極的 に取り組む農業者が増えています。 ⑤市内には最先端の農業技術等を研究する多数の農業研究機関や 大学が存在しています。 ⑥新規就農者が増える傾向にあります。 ⑦土地持ち非農家や自給的農家が多く農家の半数を超えています。 第2種兼業農家を含めると約8割を占めています。 5 【パブリックコメント資料】 4 つくば市農業の問題点と主要課題 本市農業の主な問題点と課題をあげると次のようになります。 (問題点1)農業従事者の高齢化や他産業への流出等に伴う後継者不足 昨年実施したアンケート調査によると,回答年齢層の 68.5%が「60 歳以 上」で,68.3%が「後継者がいない」と回答しています。 また,農業形態としては「土地持ち非農家」「自給的農家」及び「第2種 兼業農家」の割合が 79.2%となっており,農業収入が主となる「専業農家」 と「第1種兼業農家」は 11.4%にとどまっています。 農業経営としては「50a未満」の小規模な経営耕作地が多く「田 55.3%」 「畑 64.0%」の割合となっています。年間販売金額も「100 万円未満」の 世帯が多く 68.7%を占めている状況です。 このことから,家族経営が大部分を占めるなか,農産物の価格低迷や資材 費の高騰などと相まって農業での安定収入が見込めず,後継者が育ちにくい 経営環境になっていること,また,多種多様な就業機会がある中で,次世代 の後継者が他産業へ流出していると考えられます。 【課題】担い手の確保と経営の安定 担い手となる後継者を確保するためには,大規模農業者のみならず,小規 模農業者を含めた支援を図ることにより,農業経営の安定化と農業所得の向 上を目指し,魅力ある農業経営に結びつくよう支援していく必要があります。 (問題点2)耕作放棄地の増加 本市の耕作放棄地の面積は,国の農林業センサスによると,平成 17 年は 1,266ha,平成 22 年は 1,322ha と増加傾向となっています。 アンケート調査において「耕作できない理由」をたずねたところ「土地の 条件が悪い」「高齢のため管理が行き届かない」をあわせて 67.5%を占め ています。 このことから,今後,農地所有者を含めた農業者の高齢化等が要因となっ て耕作放棄地が増加し,また,耕作放棄地が増加することにより病害虫の発 生やゴミの投棄など周辺環境や集落環境の悪化につながり,農業や農村が持 つ多面的機能の低下が危惧されるところです。 【課題】農地の保全と活用 高齢化等に伴う耕作放棄地の増加を食い止めるためには,意欲ある担い手 6 【パブリックコメント資料】 等への効率的な農地集積を行うための生産基盤の整備,さらに,農家・集落 等と連携した市民参加による農地の活用促進など,農業や農村が持つ多面的 機能を発揮しやすい環境づくりを推進していく必要があります。 (問題点3)農業従事者の営農意欲の減退 アンケート調査によると,今後の経営については 51.5%が「現状を維持 したい」と答える一方で,31.3%が「農業をやめたい」と答えています。 また,経営向上のために取り組んでいることについては「特になし」が 68.4%を占めています。 このことから「後継者がいない」「収入が安定しない」「機械が高すぎる」 など農業継続に対する不安材料が多く,明るい将来像が見えにくいものとな っています。いずれこのことが要因となって,営農意欲が減退し,現状は維 持していくものの,近い将来農業をやめる世帯が増加するものと考えられま す。 【課題】地域農業の活性化 良好な農村環境を保全・活性化していくためには,地域ぐるみの保全活動 等の取り組みを推進するとともに,新しい農作物の導入や多様な農業形態を 推進するほか,市民参加型の農業振興などにより地域農業を活性化していく 必要があります。 (問題点4)都市化の進展による農村環境の変化 都市化や宅地化が進み農業生産における周辺環境が変化するなか,アンケ ート調査によると,今後の経営に必要な取り組みとして 26.4%が「消費者 が求める食の安全・安心対策」と答えるほか,売れるための取り組みとして 「他産地との差別化」と「地産地消の推進」が必要とあわせて 58.8%の方 が答えています。 また,混住化が進むことにより,生産過程における臭いや煙りなどの苦情 や住民とのトラブルなども発生している状況があります 【課題】農村環境の変化に対応した農業の振興 農村環境の変化に対応していくためには,環境に配慮した農業の推進や安 全・安心な農作物を提供するほか,市民との交流促進などにより農業者と市 民・消費者との相互理解を促進していく必要があります。 7 【パブリックコメント資料】 第2章 つくば市農業の基本的な考え方 ここでは,本計画における基本理念であり,今後,本市の農業・農村の目指 すべき方向を基本方針として示します。さらに,この基本方針の実現に向けて 取り組む基本となる施策の体系を示します。 1 目指すべき方向 本市は,平成 27 年度にスタートする「つくば市未来構想」において,未 来の都市像として「住んでみたい 住み続けたいまち つくば」とし,市民, 企業,大学,研究機関,行政が連携し,人と自然と科学が育む「スマート・ ガーデンシティ」の構築をオールつくばで進めていくところです。 農業分野においても,つくば市未来構想を踏まえながら,つくばの特徴で ある田園空間の保全・創出に努め「つくばらしい魅力ある豊かな農業」を目 指します。 【スローガン】 「つくば」らしい魅力ある豊かな農業 【キーワード】 「ひと」「農地」「地域」「新技術」という,それぞれの資源を 大切にし,今後の農業・農村をどのように活性化させていくのか, 4つのキーワードをもとに,実現可能な農業施策を展開していきます。 2 基本方針 本市の農業・農村の目指すべき方向の実現に向けて「ひと」「農地」「地域」 「新技術」のキーワードから次の4つの基本方針を示します。 8 【パブリックコメント資料】 【基本方針①】「ひと」の育成・確保 将来にわたって農業を継続し経営の発展に取り組んでいくためには,農業 者の育成・確保をはじめ「農と食」に関わるすべての「ひと」の連携や信頼 構築が必要です。 このためには,小規模経営者や新規参入者を含む意欲あるすべての農業者 を対象に多様な農業生産の取り組み,生産力及び販売力強化の促進を支援し 生産者の所得向上や営農意欲の高揚を図ります。また,*6次産業化などの新 たな農業ビジネスの推進,健康や安全志向などの多様な消費者ニーズに対応 する安全・安心な農産物の生産,提供を目指し,市民,消費者との信頼関係 の構築を目指します。 【基本方針②】「農地」の保全 食料の安定供給や自然環境の保全,災害の防止など,農業や農村が持つ多 面的機能を発揮する役割を持続的に果たしていくためには,その基盤となる 「農地」を保全していくことが必要です。 このためには,農業者のみならず,自給的農家や土地持ち非農家を含めた すべての農地所有者を対象として,効率的な農地の利用,優良農地としての 確保を促進するとともに,地域と連携した市民参加による農地の保全・活用 の取り組みを推進します。 【基本方針③】「地域」の活性化 「豊かな食」や「地域環境」の恩恵を受けるためには,農業者をはじめ, 市民すべてが「農業・農村」に対する相互理解を深め,地域を維持・活性化 していくことが必要です。 このためには,*地産地消の推進をはじめ環境に配慮した農業の推進により 農村環境を保全していくとともに,農業体験等を通しながら農業の魅力を発 信し,市民と「農」とのふれあいを促進することにより地域農業の活性化を 図ります。 【基本方針④】「新技術」の導入 本市には,国内最大の研究学園都市として,世界からも注目される多くの 研究機関や教育機関が存在し,知財・人材が集積されています。 これらの新技術を活用し,農業生産における低コスト化や省力化,また新 たな作物の導入など,研究機関等と連携した新たな農業形態の導入を促進す ることにより魅力ある農業の実現を目指します。 9 【パブリックコメント資料】 3 基本施策の体系 4つの基本方針に基づき,基本となる施策を体系化し,基本方針の実現に 向けて施策の展開を図ります。 基本方針 基本施策 (1)意欲ある農業者の育成・確保 ①「ひと」の育成・確保 (2)多様な農業生産の振興 (3)都市近郊型農業の促進 「 つ く ば 」 ら し い 魅 力 あ る 豊 か な 農 業 (1)農地の集積促進 ②「農地」の保全 (2)農地の保全・確保 (3)農地の有効活用 (1)地産地消の推進 ③「地域」の活性化 (2)環境に配慮した農業の推進 (3)「農」と消費者のふれあい促進 (1)新たな農業形態の導入 ④「新技術」の導入 (2)先端技術の導入促進 (3)新品種の導入促進 10 【パブリックコメント資料】 基 本 方 針 重点 基 本 施 策 具 体 的 施 策 プログ ラム ①認定農業者の育成・確保 ● ②新規参入者の育成・確保 ● ③女性農業者の支援 (1)意欲ある農業者 ④農業経営の法人化促進 の育成・確保 ⑤集落営農体制の確立 ● ⑥農業用機械等の再利用システムの構築 ① 「 ひ と 」 の 育 成 ・ 確 保 ⑦営農サポート人材の確保 ①売れる米づくりの推進 ②ブランド化・産地化の促進 (2)多様な農業生産 ③特産物の生産振興 の振興 ④6 次産業化の推進 ● ⑤多様な農産物の生産振興 ①立地条件を活かした販売・流通の活性化 ● ②販売力の強化 ③つくば型アグリビジネスの推進 (3)都市近郊型農業 ④安全・安心な農作物の生産方式の普及 の促進 ⑤トレーサビリティシステムの導入促進 ⑥加工事業者の誘致促進 ⑦情報発信拠点の整備促進 ⑧輸出に向けた交流促進 ①地域ぐるみの話し合いの推進 (1)農地の集積促進 ② 「 農 地 」 の 保 全 ②グリーンバンク制度の活用 ● ③農地中間管理事業の推進 ● ①基盤整備の推進 ②基幹水利施設等の整備 (2)農地の保全・確 ③小規模基盤整備の推進 保 ④地域ぐるみの環境保全活動の推進 ⑤優良農地の保全 ①市民農園等の支援 (3)農地の有効活用 ②市民ファーマー制度の活用促進 ● ③再生可能エネルギーを活用した農地利用 ※重点プログラムは,市政の重点的施策として位置づけられる「戦略プラン」と連携し た事業を展開します。事業内容については30ページ以降に記載しています。 11 【パブリックコメント資料】 基 本 方 針 重点 基 本 施 策 具 体 的 施 策 プログ ラム (1)地産地消の推進 ①直売による顔の見える販売 ● ②地元農産物の積極的活用 ● ③事業者への啓発促進 ④地産地消システムの検討 ⑤地産地消の普及・啓発活動の推進 ③ 「 地 域 」 の 活 性 化 ①環境にやさしい農業生産の推進 ● ②耕畜連携の推進 (2)環境に配慮した ③循環型農業の検討 農業の推進 ④有機農業の推進 ⑤農業廃棄物の適正処理促進 ①多様な交流機会の創出 ● ②農業サポーター制度の活用促進 ● ③誘客促進 (3)「農」と消費者 ④子ども達への食育 のふれあい促進 ⑤農のある暮らしの創出 ⑥SNSを活用した身近なふれあいの促進 ⑦農と福祉の連携推進 ④ 「 新 技 術 」 の 導 入 (1)新たな農業形態 ①知識や技術の活用 の導入 ②新たな産地づくりに向けた調査・研究促進 ● ①ICT(情報通信技術)を活用した技術導入促進 (2)先端技術の導入 ②農業生産支援ロボットの導入促進 促進 ③先端技術の導入に向けた実証実験の推進 ● (3)新品種の導入促 ①新品種の導入促進 進 ②新品種導入に向けた連携推進 ● 12 【パブリックコメント資料】 第3章 基本施策と具体的施策 基本方針① 「ひと」の育成・確保 将来にわたって農業を継続し経営の発展に取り組んでいくため,農業者の 育成・確保をはじめ「農と食」に関わるすべての「ひと」の連携や信頼構築 を図ります。 【 基 本 施 策 】 (1)意欲ある農業者の育成・確保 (2)多様な農業生産の振興 (3)都市近郊型農業の促進 ◆基本施策(1) 意欲ある農業者の育成・確保 担い手を育成・確保するため,意欲ある農業者や新規参入者を支援し, 法人化等による経営力や生産力を強化することにより,所得の向上と営農 意欲の高揚を図り,農業経営の安定に取り組みます。 【具体的施策】 ①認定農業者の育成・確保 意欲ある農業者を育成・確保するため,*認定農業者制度の普及促進を図 るとともに,農業経営改善計画書の作成に関する助言・指導を行います。 また,機械の大型化や施設の導入等による経営の規模拡大や複合化を図 るほか,小規模でも高品質化等に取り組む農業者など関係機関と連携して 多様な農業者を支援します。 ②新規参入者の育成・確保 新たな担い手を育成・確保するため,青年等就農計画認定制度(*認定 新規就農者)の普及促進を図るとともに,関係機関と連携して農地の取得 や実践の場の提供,先進農家等への就職・研修などの就農に関する相談体 制を充実させ,農業へ参入しやすい環境づくりを進めます。 13 【パブリックコメント資料】 また,就農直後の経営が不安定な時期に対して,関係機関や地域のリー ダー的役割を担う*農業三士等との連携,協力のもと栽培技術指導など定着 に向けた総合的な助言や指導を行うとともに,就農初期に係る経費の補助な ど経営の安定を図るための支援を行います。 ③女性農業者の支援 直売や農産加工などの起業活動を主体 的に行う女性農業者を育成するため,研修 等の充実を図るとともに,*家族経営協定 の推進や*女性農業士との連携,協力のも と女性農業者が意欲的に農業経営に参画 できるよう支援します。 家族経営協定調印式の様子 ④農業経営の法人化促進 法人化により経営管理能力の向上や対外信用力の向上,また,従事者の福 利厚生の充実など,経営の効率化や合理化によって規模拡大や複合化,経営 力の強化とともに後継者の育成を図るなど,農業経営の維持・発展のため法 人化への取り組みを促進します。 ⑤集落営農体制の確立 集落ぐるみで生産活動を行うことにより,効率的な農地の利用・集積及 び作業の分担化や,農業機械・施設の共同利用を図り,生産コストの縮減 や労力の軽減等による効率的な農業経営を推進するため,集落営農体制の 確立を支援します。 ⑥農業用機械等の再利用システムの構築 リタイヤする農業者が所有する農業用機械や施設について,関係事業者 や機関と連携して情報を収集し,機械等の再利用を図るシステムの構築を 目指します。 ⑦営農サポート人材の確保 高齢農業者が培った知識や技術を若い世代に継承するとともに,市民を はじめ研究者や定年退職者等が持つ幅広い知識や技術と障害者等の労力を 農業生産活動に活かすため「つくば市OB人材活動支援事業」の活用や「ヘ ルパー制度」の導入を検討するなど関係機関と連携して多様な人材を確保 し,営農サポート体制を充実させることにより農作業の効率化や労力の負 担軽減を図ります。 14 【パブリックコメント資料】 ◆基本施策(2) 多様な農業生産の振興 地域の特性を活かした基幹作物等の生産振興を図るとともに,ブランド化 や6次産業化など高付加価値化を目指した多様な農業生産の取り組みを支援 します。 【具体的施策】 ①売れる米づくりの推進 消費者ニーズに対応した安全で安心な 「米」を供給するため,減農薬・減化学 肥料栽培等による高付加価値化や生産 技術の向上により食味の向上を図るなど 品質の高い米づくりを推進します。 また「つくばの米」が消費者に普及し 定着が図れるよう関係機関と連携して PR活動を強化し,売れる米づくりを 目指します。 かつては皇室にも 献上された「筑波北条米」 ②ブランド化・産地化の促進 地元農産物の付加価値を高める生産 活動を推進し,ブランド化や産地化を 目指した作物の生産振興を図ります。 「茨城県青果物銘柄産地」として 県の指定を受けている 『つくばネギ』 15 【パブリックコメント資料】 ③特産物の生産振興 「米」「芝」「ねぎ」「ブルーベリー」の市を代表する特産物について, 品質の向上や栽培管理の徹底などブランド力を高めるための取り組みを促 進するとともに,PR活動により広く情報を発信し,市特産物の認知度の向 上を図ります。 また,新たな市の特産物の確立に向けた研究・開発を促進します。 栽培面積・生産額とも 日本一の「芝」 県内有数の栽培面積を 誇る「ブルーベリー」 ④6 次産業化の推進 付加価値を高めた農産加工品の生産 と競争力のある生産者の育成を目指す ため,講座や研修会等の開催により新 たな商品開発や販路拡大に向けた販売 事業者等への積極的なアプローチ・ PR力を養う場を提供するなど,6次 産業化への取り組みを支援します。 市内農業者が開発したアイス(3種) ⑤多様な農産物の生産振興 高品質な農畜産物を提供し「儲かる農業」を目指すため,優良品種の導 入や栽培方法の助言・指導を行うとともに,農産物の展示会等の開催によ り生産者の競争意識を高揚させるなど関係機関と連携して支援を行い,本 市で展開される野菜,花き,果樹,麦類,林産物及び畜産など地域の特性 を活かした多様な農業生産の振興を図ります。 16 【パブリックコメント資料】 ◆基本施策(3) 都市近郊型農業の促進 消費地に近郊した立地条件を活かし,多様な消費者ニーズに対応した販路 の拡大や安全・安心な農作物の供給による消費者との信頼構築を図ります。 また,生産・販売・流通の円滑化を図るための取り組みを支援します。 【具体的施策】 ①立地条件を活かした販売・流通の活性化 「首都圏に近い」「市内の身近なところに 消費地が存在する」「筑波山を代表とする観 光地がある」といった立地条件を活かし,市 内外における各種イベントでの地元農産物 のPR活動を促進するとともに,飲食産業や 観光業,また流通業など多様な業種との交流 を促進することにより販路の拡大と流通の 活性化を図ります。 「みなと区民まつり」における 農産物販売 ②販売力の強化 直売所や小売店等の*インショップ, *マルシェなど様々な形態の販売活動を 促進し,国等の事業を活用した直売所 の開設支援やPRを強化することによ り,集客力の向上と販売力の強化を図 ります。 市内の直売所 ③つくば型アグリビジネスの推進 つくばの特徴を活かし,直売や農業体 験,農家レストラン,オーナー制度など 都市と農村の交流を図りながら経営とし て確立する「つくば型アグリビジネス」 を推進します。 農産物オーナーによる田植え体験 17 【パブリックコメント資料】 ④安全・安心な農作物の生産方式の普及 高品質で安全・安心な農作物を提供するため,生産者や団体,研究機関 等と連携し堆肥による土づくりや農薬・化学肥料の削減,有機栽培などの 持続性の高い生産方式を普及・啓発するとともに*GAP(農業生産工程管 理)の認証取得を推進するなど生産者の意識の高揚を促進します。 ⑤トレーサビリティシステムの導入促進 *トレーサビリティシステムの導入を促進することにより,生産工程履歴 を明確にし,食の安全に関する情報を提供することで,生産者の意識の向 上と消費者との信頼構築を図ります。 ⑥加工事業者の誘致促進 商品開発などの6次産業化が効率的かつ円滑に取り組めるよう,関係機 関との連携や国等の施策を活用しながら加工事業者の誘致を目指します。 ⑦情報発信拠点の整備促進 市内外に広く地元農産物をPRするため,新たに整備される駅ビルなど を情報発信拠点として活用するとともに,直売所やレストランなどが併設 された複合型施設の整備促進を図ることを目指します。 ⑧輸出に向けた交流促進 海外市場を視野に入れた地元農作物のPRや取引に関し,意欲的な生産 者や団体をはじめ,独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)などの関 係機関との連携・協力を図りながら輸出関連事業者等との交流を促進しま す。 18 【パブリックコメント資料】 【基本方針②】 「農地」の保全 食料の安定供給や農業・農村の持つ多面的機能を発揮する役割を持続的 に果たしていくため,その基盤となる「農地」を保全していきます。 【 基 本 施 策 】 (1)農地の集積促進 (2)農地の保全・確保 (3)農地の有効活用 ◆基本施策(1) 農地の集積促進 大規模農業者等への効率的な*農地の集積・集約化を推進することにより, 耕作放棄地の解消を目指します。 【具体的施策】 ①地域ぐるみの話し合いの推進 土地持ち非農家を含めた地域ぐるみの話し合いの活性化を図り,効率的 な農地の集積・集約化を促進します。 ②グリーンバンク制度の活用 *グリーンバンク制度を活用し,耕作不能となった 農地の集積を図り,耕作放棄地の抑止と解消を目指 します。 ③*農地中間管理事業の推進 農地中間管理機構と連携を図り,担い手となる 経営体が営農しやすい環境の整備を推進します。 19 グリーンバンク制度 PRパンフレット 【パブリックコメント資料】 ◆基本施策(2) 農地の保全・確保 農業や農村が持つ多面的機能を発揮するため,基盤整備や農業用施設の維 持・整備等を推進するとともに,土地改良区や農業委員会等と連携し生産基 盤となる優良農地の保全・確保を目指します。 【具体的施策】 ①基盤整備の推進 地域における合意形成を踏またうえで未整備地区の整備や大規模区画等 への再整備など,生産性の向上を図るため不可欠な基盤整備を促進しなが ら優良農地を確保するとともに効率的な農地の集積を促し,担い手が営農 しやすい環境づくりを目指します。 ②基幹水利施設等の整備 老朽化した基幹施設や用排水施設等の改修,修繕を促進するほか,農道 の改良整備を行い良好な営農条件の確保を図ります。 ③小規模基盤整備の推進 効率的な農業経営や農地の集積が容易な環境づくりを推進するため,国, 県等の施策を活用した小規模基盤整備事業などを促進します。 ④地域ぐるみの環境保全活動の推進 農業や農村が持つ多面的機能を発揮させるため,地域ぐるみで行う農道 や水路などの清掃活動など,地域の良好な環境を維持,保全する活動の推 進を図ります。 ⑤優良農地の保全 「*つくば農業振興地域整備計画」に基づき計画的に優良農地を保全・確保 します。 20 【パブリックコメント資料】 ◆基本施策(3) 農地の有効活用 地域と連携した市民参加等による農地の有効活用を促進し,地域農業の振 興を図ります。 【具体的施策】 ①市民農園等の支援 気兼ねなく農業を体験できる*市民農園や福祉的な意味合いを持つ*福祉 農園を支援するとともに,市民参加による地域ぐるみの交流を促しながら 地域農業の活性化と農地の利活用を図ります。 ②市民ファーマー制度の活用促進 *市民ファーマー制度の活用を促進するとともに, 面積が小さく担い手が敬遠しがちな農地の利活用を 図ります。 ③再生可能エネルギーを活用した農地利用 太陽光や風力などの環境にやさしい*再生可能 エネルギーを農業経営に対し効果的に結びつけ ることにより,農業生産における省エネ化や省 コスト化による所得の向上と地域農業の活性化 を図ります。 21 市民ファーマー制度 PRパンフレット 【パブリックコメント資料】 【基本方針③】 「地域」の活性化 「豊かな食」や「地域環境」の恩恵を受けるため,農業者をはじめ,市民 すべてが「農業・農村」に対する相互理解を深め,地域の活性化を図ります。 【 基 本 施 策 】 (1)地産地消の推進 (2)環境に配慮した農業の推進 (3)「農」と消費者のふれあい促進 ◆基本施策(1) 地産地消の推進 学校給食や直売所等を通じて,新鮮で安全・安心な農作物を供給するなど 地産地消の取り組みを推進し,地元農産物の消費拡大を図ります。 【具体的施策】 ①直売による顔の見える販売 市民や消費者が安心して地元農産物を消費できる よう,対面販売による直売を促進するとともに直売 所マップの作成などPRを強化します。 また,新鮮で安全・安心な農作物を提供するため, 直売所等におけるGAPの認証取得やトレーサビリ ティの導入などの取り組みを促進します。 農産物直売所ガイド ②地元農産物の積極的活用 地産地消を図るため,契約栽培等による 安定的な供給体制づくりを促進し,飲食店 やホテル,学校給食への供給を増やすとと もに公共施設等においても積極的に活用す るよう推進します。 22 市内農産物を活用した学校給食 【パブリックコメント資料】 ③事業者への啓発促進 市内のレストランやホテルなどの飲食 店,観光事業者に対し地元農産物を PRし, その食材を使った料理や商品開発を促進 するなど地元農産物の積極的な活用と地 産地消の普及・啓発を図ります。 地元シェフを招いて開催した 市内農産物活用メニューの提案会 「農産物フェア」 ④地産地消システムの検討 市内での流通システムを確立するため,生産者やJA等の農業団体や 関係機関と連携し生産及び集出荷体制を検討するほか,卸売業や小売業, 流通事業者等との連携を目指します。 ⑤地産地消の普及・啓発活動の推進 生産者や団体が一体となって行う市の イベント参加や自発的な活動を促進する とともに,地元農産物を使った料理を提供 する飲食店等の情報収集や情報発信に努め るなど市民や消費者に対して幅広くPR す ることにより,地産地消の普及・啓発を図 ります。 市内最大の農産物販売イベント 「農産物フェア」 ◆基本施策(2) 環境に配慮した農業の推進 *有機性資源を有効に活用し,環境と調和した持続性の高い農業生産を推進 し,安全・安心な農作物の提供と農村環境の保全に取り組みます。 【具体的施策】 ①環境にやさしい農業生産の推進 有機性資源を堆肥化して有効活用し,化学肥料や農薬の削減など,環境 への負荷を軽減する自然生態系に調和した持続性の高い生産方式への取り 組みを推進します。 23 【パブリックコメント資料】 このため,*エコファーマー認定制度を推進 するとともに,土づくりに必要な有機資材等の 導入また堆肥化やその利用に必要な機械の整備 など環境にやさしい生産方式の導入に向けた取 り組みを支援します。 「いばらきエコ農産物」 認証シール 「農産物フェア」 ②*耕畜連携の推進 耕種農家と畜産農家との連携を図り,家畜のふん尿や稲わら・もみ殻等 を利用した良質な堆肥づくりとその利用促進を図ります。 ③*循環型農業の検討 畜産農家や生産者等が連携して行う堆肥づくりと食物残渣や作物残渣な どの有機性資源を活用した資源を循環する仕組みづくりについて,関係機 関とともに検討します。また,民間主導による循環システムの取り組み状 況も見据えながら自発的な活動や企業参入の促進を図ります。 ④有機農業の推進 安全・安心を求める消費者ニーズに対応 するためには,*有機農業は重要な一つの 生産方式です。このため関係機関や先進 農家等と連携した栽培技術の助言や指導を 行うなど,積極的に有機農業に取り組む 農業者を支援し,生産者をはじめ地域・消 費者の理解促進を図ります。 有機にんじん収穫体験 ⑤農業廃棄物の適正処理促進 農業用プラスチック製品など使用済みの廃棄物について,適正な処理を 啓発・指導し,リサイクルによる資源活用と農村環境の保全を図ります。 24 【パブリックコメント資料】 ◆基本施策(3) 「農」と消費者のふれあい促進 農業体験等を通じた「農」とのふれあいにより,市民や消費者との交流を 促進し,「農や食」に対する相互理解と地域農業の活性化を図ります。 【具体的施策】 ①多様な交流機会の創出 市民や消費者との交流を促進し「農や食」に対する相互理解を深めるため, 気軽に「農」とふれあえる場として農業体験イベントの開催や*農作物オー ナー制度の充実を図るなど,生産者や都市農村交流団体と連携し多様な交流 機会を創出します。 田植え体験 ②農業サポーター制度の活用促進 *農業サポーター制度の活用を促進し,生産者の負担を軽減しつつ市民と の交流を深め農業に対する相互理解を図ります。 ③誘客促進 「農とのふれあい」に関し今後需要拡大が 見込まれる学校の修学旅行や外国人観光 客,留学生などのニーズに対応するため, 生産者や旅行業者と連携して農業体験の 場を提供するとともに,*アフターコン ベンションへのPRや*ハラールなど 外国食文化に対する理解促進など誘客に 向けた取り組みを推進します。 25 市内農業者によるインドネシア 人学生の農業体験受け入れ 【パブリックコメント資料】 ④子ども達への食育 農業体験や学校への出前講座など生産 者との交流機会を創出することにより 「農や食」に対する学習の場を提供し, 子ども達への食育の推進を図ります。 生産者による 小学校への出前授業 ⑤農のある暮らしの創出 農や食,文化,歴史,伝統行事などの 地域資源を活用して,農家や地域が主体 的に行う農家民泊の活用や体験活動等に よる「農のある暮らし」の場を創出する ことにより農業・農村の活性化を図ります。 古民家で「しめ縄づくり」体験 ⑥SNSを活用した身近なふれあいの促進 *ツイッターや*フェイスブックといった*ソーシャル・ネットワーキン グ・サービス(SNS)を活用して,農業者が農業の楽しさや農産物のおい しい食べ方などを消費者へ情報発信し,消費者も商品の感想や農業者への応 援メッセージを簡単に伝えられるような双方向のコミュニケーションの仕 組みを確立することにより,農業者と消費者の身近なふれあいを促進し相互 理解を図ります。 ⑦農と福祉の連携推進 農業分野と福祉分野が連携し農作業活動などの取り組みを推進するため, 生産者と障害者施設や介護施設等との交流を促進します。 26 【パブリックコメント資料】 【基本方針④】 「新技術」の導入 研究機関等と連携した新たな農業形態の導入を促進することにより, 魅力ある農業の実現を目指します。 【 基 本 施 策 】 (1)新たな農業形態の導入 (2)先端技術の導入促進 (3)新品種の導入促進 ◆基本施策(1) 新たな農業形態の導入 魅力ある農業の実現を目指すため,農業者や農業団体,研究機関,大学, 県,民間企業等の「農や食」に関わる産学官の交流促進と連携を図ることによ り,本市の新たな農業形態の導入に向けた取り組みを推進します。 【具体的施策】 ①知識や技術の活用 研究機関や大学,県等が有する多様な知識や技術を活用するため,生産 者等との相互交流を図る機会を創出するなど,新たな農業振興に向けた取 り組みを推進します。 ②新たな産地づくりに向けた調査・研究促進 生産者や団体,関係機関が連携し,新しい作物の導入や産地づくりに向 けた生産体制の確立など調査・研究を促進し,魅力ある農業の実現を目指 します。 27 【パブリックコメント資料】 ◆基本施策(2) 先端技術の導入促進 身近にある多くの研究機関や大学が有する先端技術を有効に活用して,新 たな農業振興に向けた取り組みを推進することにより,生産意欲や農業所得 の向上を目指します。 【具体的施策】 ①ICT(情報通信技術)を活用した技術導入促進 ICTを活用した栽培技術や生産体系の確立により,労働時間の短縮に よる省力化や作業の効率化,また施肥量の適正化などによる低コスト化や 高品質化を図るため,ICT技術の導入を促進します。 ②農業生産支援ロボットの導入促進 収穫作業などを無人で行うロボットや, 農作業時の負担軽減を図るためのアシスト ロボットなど先端技術の導入を促進するこ とにより省力化や作業の効率化を図ります。 無人ロボットトラクター による実証実験 ③先端技術の導入に向けた実証実験の推進 先端技術の習得や導入を目指すため,実証実 験の場を提供するなど生産者や団体,関係機関が 連携した取り組みを推進します。 28 【パブリックコメント資料】 ◆基本施策(3) 新品種の導入促進 研究機関等と連携し,新品種の導入を促進することにより,生産性や品質 等の向上を図ります。 【具体的施策】 ①新品種の導入促進 研究機関において開発された収益性が高く消費者 に望まれる新しい優良品種の導入を促進し,生産性 や品質の向上による所得の向上を図ります。 ②新品種導入に向けた連携推進 新品種の導入や栽培技術の習得を目指すため, 実証研究の場を提供するなど研究機関や生産者, 団体が連携した取り組みを推進します。 29 市内研究所で開発された パン用小麦「ユメシホウ」 実証実験
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