3-7 第3世代携帯電話の特徴 3-7 実務 技術 技術 実務 ◎主なIMT-2000無線通信システム ITUでは各国からの提案を検討し、IMT-2000の移動体通信システムとして、6つの規格が 第3世代携帯電話の特徴 策定されました。 わが国では、この中から、2001年から2002年にかけてW-CDMA方式とCDMA2000の2つの 国際標準規格を知ろう 方式が導入され、その後、2009年からモバイルWiMAXも導入されています。また、同一システ ム間での国際ローミング (3-8参照) に対応した携帯電話端末も発売されています。 現在、携帯電話システムの主流である第3世代携帯電話方式は、ITU 信技術の国際規格です。第3世代方式は、IMT-2000 [*9] [*8] で標準化された通 世界で用いられている主な携帯電話およびPHS通信方式を表3-7-1に示します。 第 3 方式とも呼ばれます。 章 ◎進化する第3世代システム:3.5G、3.9G ◎世界共通の携帯電話サービス規格を目指したIMT-2000 わが国では、2010年6月末現在、全携帯電話契約数の97%を占めるほど第3世代システムの 1980年代中頃から世界各国で提供が開始された携帯電話サービスは、それぞれの国によ 普及が進んでいます。さらに、主としてデータ通信を利用するユーザのパケット通信に対す って運用周波数帯域や通信方式が異なるものでした。このため国境を越えて携帯電話を利用 る一層の高速化ニーズに応えるため、 当初の3Gシステムに加え、 W-CDMA系ではHSPA [*12] 、 することが難しく、国際間においては携帯電話の可搬性(持ち運びができる特性)や相互運用 CDMA2000系ではCDMA2000 1X EV-DOが新たな方式として導入され、現在運用中です。 性を十分に活かすまでには至っていませんでした。その後、1990年代の第2世代サービスとし 特に、HSPA方式を3.5世代(3.5G) と呼ぶこともあります。 て、欧州とアジアにおいては GSM方式という共通の通信方式を採用することで、1台の携帯 電話端末を複数の国間で移動しながら利用することも可能となりました。このGSM方式は、 さらに北米、南米、オセアニア、アフリカ等にも広がりました 第3世代(3G)の規格策定においては、さらにシームレス [*10] [*11] 通 信 ・ 通 話 の 仕 組 み 。 な環境で携帯電話を利用でき るように、国際的に通信規格を統一することが目的として検討が行われました。その結果、 一方、OFDMA [*13] 方式を用い、周波数利用効率向上と移動環境下でのより高速なデータ 伝送を実現するシステムの実用化も進められています。W-CDMA系のLTE [*14] 、モバイル WiMAXがこれに該当し、これらを総称して3.9世代(3.9G) と呼ぶこともあります。日本では、 LTEは2010年に導入される予定で、低遅延で、下り方向で最大37.5〜75Mbps程度の高速デ ータサービスの提供を目標としています。 ITUにおいて、国際標準規格IMT-2000の策定が行われました。 IMT-2000の要求条件は、次のようなものです。 表3-7-1 主な移動体通信方式 ①世界で統一された通信方式と周波数帯域を利用すること。 ②静止時に2Mbps、歩行時に384kbps、車速でも144kbpsという高速データ通信を実現す 方式名 特 徴 PDC NTT方式の第2世代 GSM 欧州規格の第2世代 2008年現在、210以上の国や地域で使用されている 日本ではサービスは提供されていないが、国際ローミング 用にGSMの通信機能を具備した携帯電話は発売されている PHS コードレスホン発展型 日本・アジア諸国 日本ではウィルコムが導入 cdmaOne 米国クアルコム社の第2.5世代 米国・韓国・香港・イスラエル・ベネズエラ・日本 日本ではKDDIが導入 W-CDMA 日欧提案の第3世代 主に欧州・日本 日本ではNTTドコモ、ソフトバンクモバイル、イー・モバイ ルが導入 CDMA2000 米国提案の第3世代 米国・日本・カナダ・韓国・中国等 日本ではKDDIが導入 ること。 ③固定電話並みの通話品質を保つこと。 *8:International Telecommunication Union:国際電気通信連合 *9:International Mobile Telecommunications-2000 *10:ただし、日本ではGSM方式は採用していません。 利用地域・移動体通信会社等 日本 NTTドコモが導入 *11:「継ぎ目のない」という意味で、ユーザが複数のサービスを違和感なく統合して利用できることです。ユーザはあたかも同じサービ スを利用しているかのように複数のサービスを利用することができます。 モバイルWiMAX IEEE技術ベースの第3世代 欧米、アフリカ、アジア、韓国、日本等 日本ではUQコミュニケーションズが導入 *12:High Speed Packet Access(HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)とHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)の総称) XGP 日本 ウィルコムが導入 *13:FDMA(3-5参照)の一種で、データ速度と周波数の配置に特別な関係を持たせることで、周波数利用効率をあげることが可能です。 またマルチパス(3-4参照)干渉に強いという特長があります。 PHS、TDD技術の第3世代 *14:Long Term Evolution 48 49
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