2 著作者の権利とは

2 著作者の権利とは
アジア著作権ハンドブック
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著作者の権利とは?
̶著作権(財産権)
、著作者人格権、そして著作隣接権̶
以下に著作者の権利と、それを構成する著作権(財産権)
、著作者人格権、そし
て著作物などを「伝達した者」に与えられる著作隣接権について考えてみましょう。
著作権とはなにか
著作権は、はじめに説明したように、文化的な創作物を保護するために出来た
権利ですから、他の権利とはちょっと違った性格があります。例えば、あるも
のを所有する人には、通常その所有権が認められています。これは他人に譲渡し、
移転することが可能な「財産権」です。著作権も、同じように、その所有を主張
したり、他人に譲渡することが出来るので、財産権と言えます。つまりお金に
換算できる権利というわけです。また、人間の知的な所作によって生み出された
創作物に対して与えられる権利なので、特許権や、意匠権、商標権などと同じく、
知的財産権(知的所有権)のひとつと考えられています。
では、著作権は単に財産権のひとつ、だけなのでしょうか?
歴史的に見ても、アメリカやイギリスなど、いわゆる英米法の国では、著作権
は長らく財産権的な側面が強く反映されてきました。これらの国々では、おおむ
ね著作権とは即ち複製する権利と考えられてきました。英語の著作権という言葉
は、本来「複製する権利」という意味の COPYRIGHT です。ところが、フラン
スやドイツなど、いわゆる大陸法の国々で考えられてきた著作権というのは、財
葉は、直訳すると「著者の権利」という意味です。簡単に言うと、これらの国で
は「いかに著作者の思想信条などの精神世界が守られるべきか」を考えることが、
「複製してたくさん売ることで財産的な価値を高める」ということより重要視さ
れてきた、ということになります。こうして、財産権と人格権という異なった性
格を持つ著作権思想がヨーロッパを中心に発達してきたのです。このような著作
権思想が、アジアの国々に紹介されたのは比較的新しく、一部の国を除き、多く
の国に著作権法が出来たのは 20 世紀の後半から終わりにかけてのことでした。
以上の説明から、著作権は著作財産権と著作者人格権と言う 2 つの大きな性
格に分けられることがお分かりいただけたと思います。なお、一般には著作財産
権のことを単に著作権と呼ぶことも多く、また両方を併せて著作権と呼ぶときも
あるので、注意が必要です。本書では全体を表す大きな権利として著作権と言い、
財産権をさすときは著作財産権、人格権をさすときは著作者人格権と言っていま
す。いずれにしても、大切なことは、著作権は、世界人権宣言や国際人権規約に
も明文化されている、世界共通の人権であるということです。財産権というのは、
各国の法律でも認められているように、他人が勝手に取り上げたり、無断で利用
したりすることのできない権利です。人格権についても、例えばプライバシーな
どと同じように、他人が勝手に侵すことのできない人権であることを理解したい
ものです。
産権というよりは、ヨーロッパの社会思想の発達に影響を受けた人格権的な側面
の強いものだったのです。従ってフランス語でもドイツ語でも著作権に当たる言
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著作権(財産権)について
② 上演権・演奏権(無断で公衆に上演・演奏されない権利)
上演権、演奏権というのは、自分で作った脚本を基にした演劇を上演したり、
自分で作った音楽を公に演奏する権利のことを言います。こうした権利は、著
れることもある「財産権」について説明します。まず、この権利を大きく分けると
作者に占有されています。ここでポイントになるのは「公に」ということなので、
個人的に練習したり、家族に対して演奏したりすることは含まれません。
「公に」
①複製権、②上演権・演奏権、③上映権、④公衆への伝達権、⑤口述権、⑥展示
しも実演の場合だけに適用されるのではなく、レコードや CD などを公に聞かせ
ここから、
「著作権」の中身の話になります。まず、一般的に、単に著作権と言わ
権、⑦頒布権、譲渡権、貸与権、⑧翻訳権・編曲権・変形権・翻案権、⑨二次的
著作物の利用権
というように分類することが出来ます(日本の場合)。おおむね各国ともこの
ような分け方をしています。
(これらの権利はちょうど枝分かれしているように
見えるため、法律的には支分権と言います)なお、著作権を構成するこれらの権
利は著作者だけに与えられる権利です。では、それぞれの権利をここで分かりや
すく説明してみましょう。なお、最近の著作権法は、技術の進歩など社会の実情
に応じて各国とも頻繁に改正を重ねております。従ってこれからは新しい権利が
生まれてくる可能性もあります。著作権に関するこれらの新しい変化には十分注
意する必要があるでしょう。
① 複製権(無断で複製されない権利)
複製権は著作財産権の中でも、最も基本的な、そして大きな権利であるといえ
ます。ここでいう「複製」とは「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法に
よって有形的に再製すること」です。簡単に言えば、ある著作物の一部または全
部を使って、別の商品を作る、あるいは、コピー、録音・録画などをすることで
す。もっとも古くから知られている複製の方法には出版という利用の形態があり
ます。一般的に、出版に関する権利は出版権と言われていますが、つまり、これ
は複製権のひとつということになります。
そのほか、講演や演劇などの上演や放送を録音・録画することも複製権の行使
ということになります。また、スキャナーやコピー機で文書や絵画などを複写す
ること、あるいは、設計図に従って建築物を建てることなど、この権利は実に広
範にわたって適用されます。
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とは不特定の人もしくは特定の多数が対象の場合を指します。なお、これは必ず
るとか、会場の外にいる人々を対象にスピーカーを通じて聞かせることなども含
みます。
③ 上映権(無断で公衆に上映されない権利)
上映権とは「著作物を映写幕その他のものに映写する」権利を言います。以前
は映画を上映する場合に適用される権利だったのですが、
現在はさまざまな映像・
映写技術等が進み、著作物をディスプレイや液晶画面に映し出したり、液晶プロ
ジェクターなどによる投影が可能になってきたため、多くの国の著作権法は、公
衆に対して視聴覚的に提示する権利として、すべての著作物に対して上映権を認
めるようになっているようです。従って、写真や美術作品の静止画を上映するよ
うな場合にもこの権利は働くようになりました。
④ 公衆への伝達権(無断で公衆に伝達されない権利)
著作者は自分の著作物を公衆に対して伝達する権利を占有しています。
「公衆
への伝達」とはテレビ、ラジオなどによる送信行為、放送衛星からの発信、ある
いは音楽等の有線放送、CATV を経由しての放送、さらにはネットワークにつな
がったパソコンによる著作物の送信なども含まれます。
⑤ 口述権(無断で公衆に口述されない権利)
口述権とは、著作者が自分で作った言語の著作物を公に対して、口頭で伝える
ことが出来る権利を指します。例えば、小説家が自分の小説を公衆の前で朗読し
たり、自分で口述した録音テープなどを公衆に向けて再生する場合などを意味し
ています。
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⑥ 展示権(無断で公衆に展示されない権利)
⑧ 翻訳権・編曲権・変形権・翻案権(無断で翻訳・編曲・変形・翻案されない権利)
これは、美術と写真の著作物の展示に関する権利です。この展示権により、著
作者が美術や写真の作品を公に展示する権利を占有していることが認められてい
著作者は、自らの著作物を翻訳・編曲・変形・翻案して、二次的著作物を創作
する権利を占有する、という規定です。
み。複製品には適用されない)についてのみ働く権利ですが、韓国や中国では複
「言語」とはいってもコンピュータ言語などは含まれません。また、方言から標
が働くのは未発行のものに限られています。なお、キャンバスや紙などに描かれ
た絵画は、通常同じものは 1 点しかありませんから、これが原作品だというこ
とははっきりしています。しかし、写真や版画などの場合は、原作品が複数存在
することがあるため、これらについても原作品とすることが認められています。
ひとつと考えられています。つまり、翻訳権とは、一般的には、外国語に翻訳す
る権利と考えてよいでしょう。
ます。例えば、
展覧会などに原作品を出品して、
たくさんの人たちに見てもらおう、
というような場合に適用されるのです。日本ではこれらの原作品(オリジナルの
製を展示することも含まれています。さらに、日本の場合、写真について展示権
ところで、絵画などの美術作品は売買の対象になることから、所有者が変わる
ことがあります。所有者が変われば所有権が移転しますが、著作権が移るわけで
はありません。しかし、絵画などの所有者が、自分の所有物を展示しようとした
とき、いちいち著作権者に許諾を求めなければならないのは大変です。こうした
場合の展示権はどうなるのでしょうか?
「翻訳」とは、
言語の著作物について原作の言語体系と異なる言語(国語)によっ
て表現することを言います。ただし、人間の話す言葉が対象となっていますので、
準語への変換、暗号化、点字訳なども「翻訳」ではありません。これらは複製の
「編曲」は音楽の著作物である楽曲をアレンジして、新たな創作性を加えた作
品を作ることを言います。クラシックをジャズにアレンジすることなどがその例
です。最近日本ではクラシックの作曲者に無断でジャズに編曲して録音した音楽
会社が、作曲者からの反対でCD販売を断念した、という事件がありました。
「変形」とはある著作物の表現形式を変えることを指します。例えば、絵を立
アジアのほとんどの国ではこの点については明文規定がないようですが、日本
体的に創作して彫刻作品にするとか、写真を独創的な絵画として仕上げるといっ
る原作品の展示が(屋外に恒常的に展示される場合を除いて)認められるという
規定があります。
「翻案」とは脚色したり、映画化したりといった、ストーリーやモチーフを変
では未発表の作品の場合は公表を同意したむねの推定規定とともに、所有者によ
⑦ 頒布権、譲渡権、貸与権(無断で公衆に頒布、譲渡、貸与されない権利)
この頒布権というのは、アジアでは日本・韓国・香港の著作権法に見られる規
たことです。
えずに、表現様式を変えることをいいます。演劇のための脚本化、映画化のほか、
テレビドラマ化なども含まれるでしょう。コンピュータ・プログラムのバージョ
ン・アップなども翻案のひとつと考えられているようです。
ところで、この翻案権をめぐって争いになることがよくあります。それは、著
定です。著作者は映画の著作物をその複製物によって販売・貸与などをする権利
作物の骨子(つまり内面様式)は変えずに、表現の仕方(外面様式)を変える、
フトの販売やレンタルについても頒布権が認められています。なお、頒布とは有
料・無料を問わず、公衆に対してその映画の著作物の複製物つまり、ビデオテー
プや DVD などを売ったり貸したりすることを言います。譲渡権とは映画以外の
いう論議すらあるのです。はじめに述べたように、アイディアは著作権としては
保護されないことになっています。しかし、翻案権は著作権のひとつとして保護
されていることからこのような争いが起きると言えるでしょう。一般的には、ス
を占有することなっています。この権利は、もともとは映画製作者が自分のフィ
ルムを配給することについて与えられてきた権利なのですが、現在ではビデオソ
著作物の原作品や複製物を公衆に譲渡する権利を言います。しかし、日本などで
は、一度正当に譲渡されれば、譲渡権は消滅することになり、権利者に断らなく
ても自由に流通させることが出来ますが、国によってはこの譲渡権が消尽しない
ということが、著作物の翻案なのか、アイディアを利用しただけなのか判断が難
しいためです。そもそも翻案とはアイディアを利用することなのではないか、と
トーリーや登場人物の性格設定をそのまま利用して、時代背景だけ変えた、とい
うような場合は、明らかな翻案と考えられています。
場合もありますので注意が必要です。また、貸与権とは、映画以外の著作物の複
製物を公衆に貸与する権利のことです。
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⑨ 二次的著作物の利用権(無断で二次的著作物を利用されない権利)
「二次的著作物の利用権」と「出版物の二次的利用」について
⑧で述べた翻訳や編曲、変形、翻案によって出来上がった新しい著作物を二次
的著作物といいます。これらの著作者には二次的著作物の著作権がありますが、
上記で述べたように、二次的著作物の利用権とは、著作権法で定める著作権の
支分権のひとつで、著作権者が占有することが認められている権利です。その意
メーション・フィルムなどが作られ、それをビデオにして発売しようとするとき
ということです。
同時にこれらのもとになった原著作物の著作者にも、二次的著作物の著作者と同
等の権利が生じることとなっています。例えば、あるコミックを原作としてアニ
は、このアニメーション・フィルムの著作権者と同時に、原作であるコミックの
著作権者に対してもその複製の許諾を求めなければならないのです。一方の許諾
を得るだけでは、すべての権利処理をしたことにはならないので、十分な注意が
必要です。
味は、「他人が作った二次的著作物(原著作物を基にして作られた新たな著作物)
に関しても、原著作物の著作者は、二次的著作物の著作者と同等の権利を持つ」
一方、出版契約などでよく使われる「出版物の二次的使用」に基づく副次権と
いう言葉は、原著作物から派生した出版物以外のさまざまな利用形態について表
す言葉として、各国の出版業界では広く使われている言葉です。そして、出版契
約書のなかで、こうした利用形態について著作者と出版社の間でさまざまな取り
決めがなされているようです。
なお、レコード製作者や放送事業者、有線放送事業者のほか、俳優、ミュージ
シャンなどの実演家といった著作物の伝達者に対して与えられる権利があります。
これらも大きな意味では著作権という概念の範疇に入ると考えられますが、韓国
や日本などの場合、著作者の権利(著作権)と間違えないように、著作権法の中
で、特に「著作隣接権」という別な名称で権利保護されています。これらについ
ては後ほど説明します。
著作者人格権とは
著作者人格権というのは、
通常、
公表権、
氏名表示権、
同一性保持権などをいいます。
この著作者人格権という概念は本来英米の法体系には無かったものですが、最
近はモラール・ライトという言葉で登場するようになりました。また、ベルヌ条
約(公表権を除く)や WIPO 条約などの国際条約でも取り入れられております。
公表権(無断で公表されない権利)
公表権というのは、著作者が未発表の自分の著作物を公表する権利ですが、そ
の意味は、著作物を原作のまま、あるいは二次的な著作物として公表するかどう
かの決定は著作者自身にゆだねられている、ということです。ただし、著作権 ( 財
産権 ) が譲渡された著作物の場合は、著作者が反対したときに著作権者がその著
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作物を公表できなくなると困るので、展覧会などに出品するような場合は、著者
けではありません。しかし、歌手の表現次第で聴き手の感動を呼ぶように、著作
の規定がありません。
を公衆に伝達するために重要な役割を果たすものに対して与えられる権利を著
作隣接権と言います。国により、まだ、この権利が認められていない場合もあり、
はその作品の公表を同意したものと推定されます。なお、ベルヌ条約には公表権
氏名表示権(名前の表示を求める権利)
氏名表示権というのは、著作者が公表される自分の著作物に自分の名前を表示
するかどうか、そのときに本名にするか、変名やペンネームにするか、あるいは
二次的著作物の公表時に著作者名を表示するかどうかということを著作者自らが
決定できる権利です。決して自分の名前を出さなければならない権利ではありま
せん。
同一性保持権(無断で改変されない権利)
物の創作に匹敵するような創作行為があると考えられます。このように、著作物
また、付与される対象も同一ではありませんが、日本、韓国、中国などを例に取
ると、まず歌手や俳優などの実演家、レコード製作者、そして放送事業者・有線
放送事業者に対して与えられている権利ということになります。
ところで、
この権利は、
著作権と同じく、
特別の手続きを必要とせずに認められます。
また、同時に、実演家等保護条約、レコード条約といった条約によって、国際
的にも保護されています。ところで、著作権と著作隣接権は、それぞれ別個の権
利として保護されるので、許諾を受ける場合はそれぞれ別に得る必要があります。
例えばある歌手のレコードを複製するような場合は、その歌手やレコード製作者
の許諾を受けること(著作隣接権)と同時に、作曲家・作詞家の許諾(著作権)
も受けなければならないのです。
同一性保持権というのは、読んで字のごとく、
「著作者はその著作物及びその
題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他
の改変を受けないものとする」権利です。出版や音楽の場合、ここで問題になる
のは、用字用語の変更や表現上の修正が求められたときでしょう。時代の変化に
伴い、社会通念や使われる言葉や文字が変わるわけですから、出版・編集の立場
からはなるべく読者に読みやすく変更したい、と考えることはよくあるでしょう。
しかし、そうした場合でも著作者に無断で変えてはいけないことになっているた
め、必ず権利者の了承を得ておくようにいたしましょう。
ところで、以上お話しした 3 つの要件以外にも、使用方法が著作者の名誉や
声望を傷つけたりする場合は、著作者人格権の侵害になりますので、注意が必要
です。また、この著作者人格権というのは、日本など、国によっては著作者の死
後も尊重されるため、生存していれば人格権を侵害したと思われるような行為が
あったときは、その遺族が差し止め請求や名誉回復の措置を求めることができる
ようになっています。
著作隣接権について
多くの国の著作権法では、著作物の創作者だけではなく、その著作物を公衆に
伝達する実演家に対しても、一定の保護を行っています。例えば、歌をうたう歌
手は、音楽という著作物を歌いますが、歌うことで新しい著作物を作っているわ
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保護期間について
著作隣接権の保護期間
これまで説明してきた著作権や著作隣接権などの法律上の権利には一定の存続
期間が決められています。これを著作権や著作隣接権などの「保護期間」といい
著作隣接権の保護期間についても同様に各国の著作権法や、このあと説明する
TRIPS 協定などによって定められています。そして、その保護がいつから始ま
保護期間が違うこともあります。ところで、この保護期間が過ぎてしまった著作
きから、有線放送もその有線放送を行ったときから、とそれぞれの行為が発生し
ます。その長さはそれぞれの国の著作権法によって定められていますが、概ね著
作者の死後 50 年から 70 年という長さになります。また、著作物の種類によって、
物については法的な権利は消滅することになっております。その後は、社会全体
の共有財産(パブリック・ドメイン)として自由に利用できるようになるのです。
このように、創作者には創作意欲を高めてもらい、ある程度の期間が過ぎると社
会全体のものにすることによって、文化の発展に寄与する、というのが保護期間
を設けている目的といえるでしょう。
るかというと、実演はその実演を行ったときから、レコードはその音を最初に固
定したときから、あるいは最初に公表したときから、放送はその放送を行ったと
たときからとなっています
著作権(財産権)の保護期間
著作物は現在ほとんどの国では、創作し、公表した時点で、自動的に著作権が
発生し、それぞれの国の著作権法によって保護される対象となります。(これを
無方式主義といいます)しかし、なかには自国の著作権法の保護を受けるときに、
第三者への対抗要件として、あるいはその著作権が存在していることを立証する
ときに有利となるように「登録」という制度を設けている国もあります(アメリ
カ、日本、韓国、中国ではソフトウェアのみ、など)。この場合も登録しないと
保護されないということではありません。
先に述べたように、保護対象となった著作物は、それぞれの国の法律が定める
一定期間、著作権という権利によって保護されることになります。創作後どのく
らいの間保護されるかは、それぞれの国や著作物の種類によって違いがあるので
すが、原則的に今のところ多くのアジア諸国では、著作者の死後 50 年(実名で
発表された場合)となっています。職務著作の場合とか、写真の場合とかいろい
ろ例外はあるのですが、ここでは省略します。なお、保護期間に関する今後の動
向としては、世界は保護期間の延長に向かって大きく流れているように感じます。
すでに欧米では死後 70 年、あるいはそれ以上という動きがあり、いくつかの国
では法律が改正されています。
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