25日(金)午前の部 - 一般社団法人 学会支援機構

25 日(金) 午前の部
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
セッション題目
座長
「超音波と光およびその複合技術による機能イメージングの新展開」
S-2
「超音波イメージングと定量計測の最前線」
S-3
「臨床工学の学問体系構築のための課題と将来展望」
椎名 毅・石原 美弥
金井 浩
戸畑 裕志
パネルディスカッション
セッション題目
座長
P-1 「心磁図の臨床応用現状と将来」
鎌倉 史郎・杉町 勝
オーガナイズドセッション
セッション題目
座長
OS-1 「生物のリズム戦略」
中尾 光之
OS-2 「大地震に備える災害 ME 研究」
福本 一朗・池田 研二・佐橋 昭
一般口演
セッション題目
座長
FC-1 「バイオメカニクス 1」
工藤 奨・出口 真次
FC-2 「バイオメカニクス 2」
山本 創太・蔵田 耕作
FC-3 「バイオメカニクス 3」
片岡 則之・長山 和亮
FC-4 「細胞工学・再生工学 1」
成瀬 恵治・中川 英元
FC-5 「細胞工学・再生工学 2」
舟久保 昭夫・安田 隆
FC-6 「人工臓器」
簗瀬 正伸・磯山 隆
FC-7 「機器開発 1」
山下 紘正・守本 祐司
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生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午前の部
S-1
25
日
シンポジウム
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
シンポジウム 1「超音波と光およびその複合技術による機能イメージングの新展開」 9:00-10:30 第 1 会場
日
25
S-1-1
Dynamic analysis of mental sweating and peripheral vessels by optical
coherence tomography
○近江雅人、谷川基務、玉木学爾、高田太輔、和田裕貴、春名正光
大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻
午前の部
(金)
我々は光コヒーレンストモグラフィ(OCT)を用いて、ヒト指汗腺における精神性発汗の動的解析を行っている。また、
ヒト指小動脈の OCT イメージングを行い、その機能を評価てきた。さらに、OCT とレーザドップラ血流計(LDF)を用
いて、小動脈と細動脈とに分離測定する手法を検討している。今回、これら汗腺と末梢血管系の刺激に対する反応の詳
細な検討について述べる。実験に使用した装置は、波長 1.325 ミクロン帯の SS-OCT である。精神性発汗の測定では、2.0
× 1.6mm の範囲をフレーム間隔 3.3 秒で時系列に測定する。実験では、90dB で 0.5 秒間の音刺激を被験者に与えた。音刺
激に反応して汗腺ダクト内に汗が蓄えられ、徐々に安静状態へと戻るのが確認できた。末梢血管系の反応には OCT によ
る小動脈の中膜厚測定と LDF による細動脈の血流量測定を用いた。刺激後すぐに中膜厚が増加し、元の厚さに戻ってい
く。血流量は刺激後約 10 秒で最小となり、徐々に回復する様子がわかる。今後は個々の反応の差異を詳細に検討し、中
枢と末梢との交感神経活動を評価する予定である。
S-1-2
Transillumination imaging of animal body with scattering suppression of NIR
light
○清水孝一
北海道大学大学院情報科学研究科
Among scattering suppression techniques, CW techniques are useful in
practice. However, they are applicable only to very thin parts of the body.
For transillumination imaging of body parts for which conventional CW
techniques are ineffective, we have developed a new technique to suppress
scattering while securing sufficient signal intensity. Using this technique,
we can extract a low-intensity weakly scattered light component from
high-intensity widely diffused light. The feasibility of the proposed
technique was verified in an experiment. Figure 1 shows the result.
The blurred image of absorbers through diffuse medium was improved.
Significant increase in contrast was confirmed.
S-1-3
Development of the photoacoustic imaging system toward functional deep
tissue imaging
○石原美弥 1、辻田和宏 2、平沢 壮 1、番作 勲 1、佐藤良彰 2、北垣 学 1、藤田真敬 3、菊地 眞 1
防衛医科大学校 医用工学講座、2 富士フイルム(株) R&D 統括本部 メディカルシステム開発セ
ンター、3 防衛医科大学校 防衛医学研究センター 異常環境衛生研究部門
1
組織の深部を高分解能で画像化できる技術として光音響画像化技術が着目されている。光音響画像化技術は,生体の光
計測において最大の問題となる散乱による信号の減衰を直接的には受けないため,光計測と超音波計測の長所を合わせ
持つ技術として,2000 年よりアメリカにて関連する会議が設置され研究が盛んになっている。本発表では,最近の光音
響画像化技術と我々の研究グループで実施している光音響画像化技術開発を紹介する。我々の研究グループの光音響画
像化技術開発における特徴は,原理実証から臨床応用まで独自に実施した軟骨の光音響測定用に開発した要素技術を画
像化技術に利用できる点である。現在は生体ファントムを用いて深部 5cm の深部イメージング,高コントラスト,かつ
100 ミクロン以下の検出能を有していることを実証し,動物実験にて,その性能を検証している。本研究の一部は JST
の研究成果最適展開支援事業 A-STEP の助成を受け実施された。また,本研究を実施するに辺り,全般的に大森努氏の
多大なる尽力により遂行された。
生体医工学 第 48 巻(2010)
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第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Optical Imaging of Biological Tissues Using Ultrasound-modulated Light
視診は診断の第一歩であり,医師は患者の病状に関する様々な情報を視覚から得ることができる.しかし,生体組織は
光の強散乱体であるため,わずか数 mm であっても皮下にある組織を観察する際の空間分解能や色分解能は大幅に低下
する.一方,光よりも波長が約 3 桁大きい超音波は,生体組織による散乱が小さく,超音波診断装置では 100mm 程度の
深さまで実用上十分な空間分解能で断層像を取得できる.しかし,生体組織の音響インピーダンスの違いを可視化して
いるため,組織性状と超音波診断画像の関連は光学像ほど明確ではなく,主として形態的な診断に利用されている.生
体組織の光学特性は,血液の酸素化状態や組織の代謝・性状など多くの有用な情報を含むことから,組織の光学特性を
超音波断層像の高分解能で観察することを目指して,光と超音波を組み合わせたイメージングに関する研究が進められ
ている.本稿では,これまで我々が超音波変調光イメージングに関して行ってきた検討結果を紹介するとともに,この
検討から派生した技術によって超音波音場の可視化を行なう技術についても述べる.
S-1-5
Optically assisted ultrasonic velocity-change imaging
○堀中博道、松中敏行
大阪府立大学工学研究科 電子物理工学分野
We have proposed the optically assisted ultrasonic velocity-change
imaging for medical diagnosis. Optical absorption images which based on
spectroscopic information of the material, and ultrasonic velocity-change
images corresponding to the temperature were obtained to indentify the
distribution of objective material in the biological tissue. Fig. 1 (a) and (b)
show the B-mode image and the ultrasonic velocity change-image of the
phantom including ICG (the imaging agent), respectively. The distribution
area of ICG appears clearly in the ultrasonic velocity-change image.
Experimental results showed the possibility that the biological tissue could
be characterized using our method.
S-1-6
Functional imaging based on ultrasound and photoacoustics for breat
cancer diagnosis
○椎名 毅
京都大学大学院医学研究科
乳がん罹患者は全世界で 100 万人以上に達し、日本でも女性の約 30 人に 1 人が罹患し年間約 1 万人が死亡する。一方、
早期発見により完治できる率が高いことも知られているが、我が国の乳がん検診率は 10%台と低く、乳がんによる死亡
率の減少には、早期がんを高感度に検出できる診断技術の開発とともに、検診率の向上が重要となる。超音波と光によ
る医用計測は、ともに非侵襲性、実時間、簡便性に優れており、検診に適したものと言える。乳がん検診ではマンモグ
ラフィが普及してきたが、乳腺密度が高い 40 歳代では精度が低下し、また、被曝の問題から 30 歳代には適さないと言わ
れている。乳腺密度の高い若年層の乳がん診断には、超音波が適すると言われる。一方、乳腺超音波像の読影には熟練
を要したが、近年、組織の硬さを画像化するエラストグラフィの実用化により、比較的簡便に診断精度を高めることが
可能になってきた。一方、超音波と光計測技術を融合した光音響(超音波)技術は、新生血管の可視化など、乳がんの早
期診断や治療支援につながる新機能イメージング技術として近年、実用化が進められている。超音波像との同時計測も
可能なため、実用化により、乳がん診断の飛躍的な精度向上と合わせて、その検査の簡便性から検診率の向上が期待で
きる。ここでは、乳がん診断を例にとり、超音波および光と超音波の融合に基づいた機能イメージングの現状と展望に
ついて述べてみたい。
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生体医工学 第 48 巻(2010)
25
(金)
午前の部
○工藤信樹、清水孝一
北海道大学大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
日
S-1-4
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
シンポジウム 2「超音波イメージングと定量計測の最前線」
日
25
S-2-1
10:35-12:05 第 1 会場
Multiple resonance piezoelectric transducer for ultrasonic medical imaging
○吉住夏輝 1、秋山いわき 1、斎藤繁実 2、大平克己 3、高橋 修 3、和田有司 4、小山大介 4、
中村健太郎 4
1
湘南工科大学工学部、2 東海大学海洋学部、3 ジャパンプローブ株式会社、4 東京工業大学精密工学
研究所
午前の部
(金)
広い周波数帯域に渡って超音波送受波信号を処理することにより,医用超音波画像の分解能や画質を向上させることが
できる.一方,生体組織は周波数に依存して増大する減衰があり,帯域幅を広くとると,深部からのエコーが受ける減
衰が周波数によって変化し,受信系には広いダイナミックレンジが必要となる.そのため,超音波診断装置で用いられ
る振動子は,帯域幅を抑えて送受波感度が下がらないようにしている.著者らは,有効な帯域内での周波数特性の変動
をある程度許容することによって,感度と帯域幅を向上させた多共振型圧電振動子を開発したので報告する .
S-2-2
Detection and visualization of the diseased tissue structure in liver
○山口 匡 1、蜂屋弘之 2
1
千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター、2 東京工業大学大学院理工学研究科
The probability density function (PDF) of echo envelop is an important factor for the tissue characterization (TC)
by ultrasound. The PDF of the normal liver which has homogeneous scatterer distribution can be approximated to
Rayleigh distribution. On the other hand, the PDF of the liver fibrosis which has unhomogeneous scatterer distribution
can t obey Rayleigh distribution, since the scatterer density of fiber tissues is higher than the normal liver1)2). In order
to detect the fiber tissue quantitatively, we examined the relationship between the scatterer distribution and the PDF
of echo envelopes of unhomogeneous scatterer medium by computer simulation. Then, the high scatterer parts in
fibrotic liver were detected in clinical data sets by our analysis method.
S-2-3
High Frame Rate Cardiovascular Ultrasonography
○長谷川英之 1,2、金井 浩 1,2
東北大学大学院医工学研究科、2 東北大学大学院工学研究科
1
Ultrasonography is a valuable method for non-invasive diagnosis of living organs, such like the artery and heart.
By real-time imaging of the artery and heart, their abnormal shape and macroscopic motion can be diagnosed. As
described above, diagnostic ultrasound significantly contributes to diagnosis of the cardiovascular system. We have
shown that the measurement of the cardiovascular dynamics, such like the measurements of motion and small
deformation of the arterial and heart wall, would be useful for diagnosis of circulatory system [1,2] in addition to the
conventional ultrasonography described above. For more detailed analyses of the cardiovascular dynamics, we are
trying to increase the temporal resolution of ultrasonic imaging without significant degradation of spatial resolution. In
this study, high frame rate imaging over 300 Hz was realized using linear array and phased array probes for imaging
of the artery and heart.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 110 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Tissue Elasticity Imaging and Quantification
25
日
S-2-4
組織の硬さ情報は診断上重要な指標となる。そこで、我々は組織の硬さ情報を超音波により非侵襲的に画像化する研究
を行っている。超音波により組織の硬さ情報を画像化する手法はいくつかあるが我々のところでは組織に微少な変形を
与え、その際生じる組織内部の歪み分布を計測・画像化する。歪み分布をリアルタイムかつフリーハンドで高精度に推
定する手法として我々は拡張複合自己相関法を開発し、臨床的に提案手法の有効性を検証してきた。歪み分布により組
織内部の相対的な硬さ情報を得ることはできるが、歪みは組織変形量に依存したパラメータであるため定量評価は難し
い。そこで、組織変形量に依存しないパラメータとして考えたのが歪み比である。これは、正常な組織(参照領域)の歪
みと腫瘍部の歪みの比を取ることで組織変形量に依存しないパラメータとなり、歪み分布よりも定量的な評価が可能に
なる。しかし、歪み比は応力分布が不均一であると正しい定量評価ができなくなるなどの問題点があった。そこで、よ
り定量的な評価を行うためには応力分布を考慮して弾性係数を推定する必要がある。我々は弾性係数を推定する手法と
して変形型 3 次元有限要素モデルを用いた手法を提案する。この手法は厚さ方向に一様な弾性係数を持つ 3 次元有限要素
モデルを用いることで 2 次元推定ではあるが 3 次元弾性方程式を用いることでより定量的な弾性係数推定が可能になっ
た。
S-2-5
High Frequency Ultrasound Imaging for Medicine and Biology
○西條芳文
東北大学医工学研究科 医用イメージング研究分野
The resolution of the ultrasound image depends on the ultrasonic frequency because the wave length and beam
width are inverse proportional to the frequency. For example, several MHz range ultrasound is used in conventional
echography and 20-45MHz ultrasound is applied for intravascular ultrasound (IVUS). High frequency ultrasound
imaging is desired for (1) high resolution in vivo imaging, (2) basis for understanding clinical ultrasound images and
(3) assessment of biomechanics of the tissue. We have developed a multimode ultrasound microscope system with the
central frequency of 120 MHz. The system is capable of (1) conventional C-mode acoustic microscope imaging of thinly
sliced tissue, (2) ultrasound impedance imaging of the surface of in vivo thick tissue and (3) 3D ultrasound imaging of
inside of the in vivo tissue. In this symposium, recent applications of multimode ultrasound microscope for evaluation
of smart aging of the skin and regeneration medicine are presented.
S-2-6
Ultrasonic imaging for acoustic nonlinearity parameter B/A
○斎藤繁実
東海大学海洋学部
The method previously developed for measuring the acoustic nonlinearity parameter B/A in a liquid sample has
been automated. All of the procedures, including various measurements and data processing for amplitudes and
phases of the signals obtained by the acoustic system, are automated with a LabVIEW program. Time-consuming
operations of the instruments are no longer required. Additionally, LabVIEW moves the mechanical z-stage holding
the sample container directly to the desired position for the measurement. The measurement is completed in only 5
s. Furthermore, by laterally shifting the focus on the excised biological sample, B/A can be successively measured.
By displaying the result of 256 time repeated measurements with an interval of 0.2 mm in two dimensions, a C-mode
image is generated for B/A. The obtained image, whose pattern can be different from those of the density and sound
speed, suggests nonuniform distribution of B/A in biological samples.
− 111 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午前の部
○山川 誠 1、椎名 毅 2
1
京都大学 先端医工学研究ユニット、2 京都大学医学研究科
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
シンポジウム 3「臨床工学の学問体系構築のための課題と将来展望」 10:35-12:05 第 4 会場
日
25
S-3-1
The actual situation of the clinical engineer education curriculum and future
plan.
○中島章夫
杏林大学保健学部 臨床工学科先端臨床工学研究室
午前の部
(金)
臨床工学技士国家資格制度は、1987 年設立から 23 年が経過した。この間、医療技術の進歩に伴い、臨床工学技士業務範
囲の拡大や、医療安全に関わる役割や責任も大きくなった。一方臨床工学教育養成の現場では、2004 年に実施されたカ
リキュラム等大綱化により柔軟な教育育成が可能となったが、根本的な「臨床工学」学問体系確立が充分でない中、養成
定員数はこの四半世紀で約 9 倍と急増した。さらに高度化する医療技術を見据えた教育養成を行うためには、養成数増
加の現状において、卒前から卒後にかけての「臨床工学」という学問体系を構築し、臨床工学技士の資質向上が臨床業務
に直結することが必須であると考えている。本演題では、臨床工学技士の各教育体制(専門から大学課程など)における
資格制度誕生から今日までの経緯を踏まえつつ、諸問題解決のための将来像を提示する。また本シンポジウムでは、各
演者に大学・大学院教育の問題点と今後の在り方、学問体系確立の基礎となる教科書作成の現状、国家試験取得カリキュ
ラムの中での研究の在り方、などについて発表していだく予定である。
S-3-2
Problems that were discovered during the University education of the first
Biomedical Engineering graduate
○見目恭一
埼玉医科大学保健医療学部 医用生体工学科
臨床工学技士は国民への認知度が低く、養成施設は定員割れが生じ、選抜試験が機能しない。入学後工学系教科、数学
の素養不足の学生が多い。大学は臨床工学関連領域の知識の伝授と問題発見能力、問題解決能力を伸ばす卒論との連携
が必要である。工学系と医学系は生命維持装置が関与する体の仕組みを中心に理解させる事にある。学生の特徴は苦手
科目を丸暗記する。系統立てた整理と理解が苦手である。知識の有効活用が苦手である。実験、実習は機械的なデータ
採取に終わっている。実験、実習のレポート作成に多くの時間を要している。実習、実験の結果を基に考察が殆ど出来
ていない等が浮かび上がって来た。今後の対応は知識の伝授量を調整し、より丁寧に解説する。学生が作成した実習計
画に沿って実習を行う。実習レポートは要点記載方式に簡略化する。1,2 年次の理解し難い工学系科目を高学年に移して
理解を高める。臨床系科目を 1 年早々に組み入れ興味と学習意欲を高める。分野毎に必修選択科目郡を作成し一部選択
の自由を設ける。臨床実習を 3 年後期に移す。4 年次は卒論と国家試験に集中させる。臨床工学技士を理解し資格取得の
明確な目標に向かって、高校時に必要な科目履修したやる気のある学生を確保出来るかが臨床工学教育の試金石になる。
関係者全員が連携した啓発活動の努力が求められる。
S-3-3
Issue of Graduate Work Guidance and Education for National Exam in
Training Institution of Clinical Engineering Technologists
○堀 純也
岡山理科大学理学部 応用物理学科
臨床工学技士も現在では他の医療職種同様に 4 年制大学における養成が増えてきている.大学では 3 年~ 4 年次にかけて
卒業研究を行うことが一般的であるが,臨床工学技士の養成大学の多くがこの時期に医療機関における臨床実習を実施
している.当然のことながら,国家試験対策も行う必要があるため,学生は通常の履修科目を含め,「臨床実習」,「国家
試験対策」,「卒業研究」をこの 1 ~ 2 年の間にこなさなくてはならない.私の所属学科の場合,3 年次後半に研究室配属
が行われ,臨床実習は 4 年次後半に実施される.しかしながら 3 年次までは履修科目が非常に多いため,研究室での活動
は実質 4 年次からとなっている.本研究室の場合,前期に実験などを中心に行い,後期にまとめを行っている.そのため,
一般的な大学の卒業研究よりも時間的制約があるのが現状である.本研究室には,臨床工学技士の資格をもつ修士課程
の学生が 2 名いるため非常に助かっているが,一般的に臨床工学技士の養成校の場合,修士課程に進学する学生も少な
いため卒業研究の指導は教員が直接行うことも多いと思われる.大学の学生である以上,学会等での発表も経験させた
いところであるが,臨床工学技士に深く関連する学会(この生体医工学会も含め)は夏頃までに終わることが多いため,
今のところ実現していない.講演では,このような現状を踏まえて,卒業研究,国家試験教育の課題について述べる.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 112 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Creating textbooks for Japan Association of Educational Facilities of
Clinical Engineering Technologists
○出渕靖志
四国医療工学専門学校 臨床工学学科
A problem to step up of the clinical engineer
○戸畑裕志
杏林大学保健学部 臨床工学科臨床生理・医用応用工学研究室
臨床工学技士法成立当初は、臨床工学技士の業務の中心は生命維持管理装置の操作が主体であった。しかし、20 年が経
過し医療の環境がめまぐるしく変化し、生命維持管理装置のみならず医療機器全般の安全管理を行う方向へと動いてき
た。平成 19 年 4 月に発表された改正医療法の中で“医療機器に係る安全確保のための体制の確保に係る措置”が通達され、
同時に“医療機器に係わる安全管理の体制確保に抱える運用上の留意点にてついて”により具体的な内容が示され、さら
に平成 20 年 4 月より医療機器安全管理料が算定された。このように、臨床工学技士に求められていることは、各々の専
門領域を持つことのみならず医療機器の包括的な安全管理を行うことへ変化している。つまり、医療現場において医療
機器の安全管理および効率的な運用をするためのマネージメント能力を求められるようになった。このためには、関連
領域に渡って広範囲な知識・技術が必要であり、単なる「熟練した技術」の向上のみを目指すのではなく、将来的に学際
的な学習を求めている。しかしながら、現状では医療現場で働きながら自己研鑽を行っていくのは大変である。金銭的
な問題も当然発生するが、進学を考えている場合など一番悩むのは通学や学習時間である。現在、多くの大学や大学院
も社会人を迎える努力をしている。その一例として通信制の大学を設置している大学の例を上げ修学上での問題点を検
討したい。
パネルディスカッション 1「心磁図の臨床応用現状と将来」
P-1-1
9:00-10:30 第 4 会場
New measures for assessing fetal well-being using magnetocardiography
○細野剛良 1、明野 遥 1、田口 優 1、宮野聡子 1、井関多久美 1、上田恵子 2、橋本修治 2、
池田智明 2、緒方邦臣 3、宮下 豪 3、神鳥明彦 3
1
大阪電気通信大学 医療福祉工学科、2 国立循環器病センター、3 日立製作所 基礎研究所
High-performance magnetocardiography (MCG) has been developed and can record the electrophysiological activities
of the fetal heart (fetal MCG, FMCG) although recent fetal echocardiography can yield structural and mechanical
information but cannot detect electrophysiological activities. In the clinical practice of obstetrics, fetal heart rate
monitoring using the ultrasound Doppler principle has been commonly used for the surveillance, but it efficacy is
limited due to its low resolution in the time domain. Since MCG has a high resolution in the time domain, FMCG
may be more applicable for new fetal monitoring. The aim of this study was to ascertain the efficacy of the P wave
amplitude and integral MCG (iMCG) as examples of new measures of assessing the fetal status. Amplitudes of P
waves and fetal iMCG may be useful for evaluation of the severity of fetal heart diseases. MCG may provide new
measures for evaluation of the fetal status and prognosis.
− 113 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
午前の部
(金)
1987 年に臨床工学技士法が制定されるとともに本格的な臨床工学技士教育が始まり、約 20 年が経過した。この間、科学
技術は大きく進歩し、臨床工学技士が従事する医療現場でも、新しい医療技術や医療機器が導入され、多くの人の命を
支えてきた。日本臨床工学技士教育施設協議会では、1997 年より「教科書編集委員会」を設け、臨床工学技士育成に必要
な教科書作りについて検討を重ねてきた。当時は教育施設数が少なかったこと、また 1998 年度から始まった規制緩和推
進 3 ヵ年計画のなかで、いわゆるカリキュラム大綱化が臨床工学技士教育制度でも検討されると予想されていたことよ
り、教科書作成事業をしばらく休止した経緯がある。こうした中、政府によって「カリキュラム等を規制している国家試
験受験資格付与のための養成施設の指定制度を見直し、各大学等が社会のニーズに適切に対応した多様な医療技術者等
の養成ができるようにする」との方針が打ち出された。その後、2004 年 4 月にカリキュラム大綱化が行われ、また 2006
年度第 20 回国家試験から国家試験出題基準が大きく改訂されたことを受け、日本臨床工学技士教育施設協議会は 2007 年
度より改めて『教科書検討委員会』を設けて教科書作成事業を再開した。そして、今般、
『臨床工学講座』シリーズとして、
全国の臨床工学技士教育施設で学ぶ学生のために共通して使用できる標準教科書シリーズを発行することとなった。
S-3-5
25
日
S-3-4
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
P-1-2
Deducing the origin of electrocardiographic wave by magnetocardiogramCurrent sources of initial QRS forces
○中屋 豊
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 代謝栄養学
午前の部
(金)
The source localization using magnetocardiogram (MCG) has an excellent spatial resolution and is a useful tool to
analyze current source in electrocardiogram (ECG). Using MCG, we studied the origin of initial QRS force (Ini) in ECG,
which has been considered to be due to activation of intraventricular septum. In patients with inferior (posteobasal)
wall myocardial infarction, isofield map showed that Ini displaced superiorly, suggesting loss of electromotive force
of the posteobasal wall. Ini in patients with left ventricular hypertrophy without normal Ini showed two current
groups in isofield map, i.e. one on the left directed to the left and other on the right directed inferiorly, suggesting the
presence of normal Ini. Thus, Ini is not originated from septal activation alone, but a mean vector representing the
average direction and magnitude of all electric forces of both ventricles produced at this time.
P-1-3
Three-dimensional Spectral Map of Atrial Fibrillation Three-dimensional
Spectral Map of Atrial Fibrillation by a 64 Channel Magnetocardiogram
○中居賢司 1、坪井潤一 2、岡林 均 2
1
岩手医科大学 歯科内科学科、2 岩手医科大学 心臓血管外科
In the present study, we verified the significance of 3D spectral mapping of atrial fibrillation (AFIB). The study
subjects consisted of 16 patients with valvular heart disease who had chronic AFIB. All 16 patients had a surgical PV
isolation followed by valvular repair. We composed a 3D current density map from the 64-ch MCG data. After highpass filtering, the QRST complexes were subtracted. Then, we applied a 2048-point Fast-Fourier transform to obtain
the power spectrum of the non-averaged 3D 64-ch MCG data. We created 3D color-coded frequency spectral maps.
Results: Spectral mapping showed that patients with restored SR after PV isolation had a lower average frequency
than patients with persistent AFIB after PV isolation (6.3 Hz vs. 7.4 Hz, p=0.02). In conclusion, this study showed that
3D spectral analysis and dominant frequency mapping using the 64-ch MCG can be used to evaluate the features of
AFIB.
P-1-4
Detecting Ischemic Heart Disease Using MCG system
○渡辺重行 1、外山昌弘 1、武安法之 1、稲葉 武 1、佐藤陽子 1、新井恵美 1、青沼和隆 1、鈴木大介 2、
緒方邦臣 2、神鳥明彦 2、宮下 豪 2、塚田啓二 3
1
筑波大学臨床医学系 循環器内科、2 日立製作所 中央研究所、3 岡山大学大学院 自然科学研究
科
Ischemic heart disease (IHD) is one of the leading causes of death in population. Ischemia induces changes in the
electrophysiologic properties of the myocardium that sometimes cannot be detected with rest-ECG, which has a
relatively low sensitivity. Magnetocardiography (MCG) which records the magnetic fields generated by heart, is
reported more sensitive to myocardial electric activity. Many analyzing methods of MCG for the diagnosis of IHD
are reported. Those methods can be summarized as follows:1. Magnetic measurement of ST and TQ segment
shift2. Spatial dispersion of the magnetocardiographically determined QT intervals (QT dispersion) 3. ST current
angle rotation of magnetic field (isomagnetic map) at rest or in exercise magnetocardiography4. Integral values
of reporalization5. Newly developed analysis chart6. Current arrow map and characterization of dipolar pattern /
detection of abnormal currentIn this session, we will present MCG detection of 'injury current' of the patients with
coronary stenosis using current arrow map.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 114 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Magnetocardiographic Detection of“Peripheral”Intraventricular Conduction
Disturbance in Patients with Heart Failure and with CLBBB/IVCD on ECG
25
○高木 洋 1、大石醒悟 2、鎌倉史郎 2、杉町 勝 1
国立循環器病研究センター研究所 循環動態制御部、2 国立循環器病研究センター 内科心臓部門
(金)
Multi-channel magnetocardiography (MCG) with high spatio-temporal
resolution may characterize "peripheral" intraventricular conduction
disturbance due to left ventricular dysfunction, which is indistinguishable
from "central" conduction disturbance (i.e, isolated CLBBB). We compared
64-superimposed MCG waveforms of QRS vector magnitude between 14
heart failure (HF) patients with wide QRS ( > 120ms, CLBBB 11, IVCD
3) and 8 Controls with isolated CLBBB. All Controls showed monophasic
QRS waveforms (FigA). Contrarily, QRS in HF was characterized by (1)
slowed initiation (n=7, FigB, D) and (2) multiple peaked fragmentations (n=5,
FigC, D), suggesting irregular, heterogeneous conduction.
オーガナイズドセッション 1「生物のリズム戦略」
OS-1-1
9:00-10:30 第 3 会場
Density sensing in Dictyostelium using synchronized oscillations
○澤井 哲
東京大学大学院総合文化研究科
細胞性粘菌は周期的に cAMP を生成、放出し、これを同期させることで細胞を集合させ、さらには発生期の細胞への分
化を促進させている。FRET プローブを用いた生細胞イメージングによる、我々の最近の研究から、cAMP 波の出現は、
ある特定の細胞が担っているのではなく、それを誘導しやすい細胞外環境が重要であることが示された。本発表では、様々
な細胞密度や希釈速度で、cAMP の振動がいかに変化するかと、単離した 1 細胞の振る舞い、の二つの側面を統一的か
つ定量的に記述できる位相モデルについて紹介する。モデル解析に基づき、集団では細胞外 cAMP が閾値以下であって
も集団的なパルスが発生すること、パルスの発生頻度は細胞外 cAMP 濃度によってクオラムセンシング様の方式で決ま
ること、また波の周期が 1 細胞レベルの周波数特性から決まり、その上限が 5 - 6 分であることを説明する。以上から、
初期の波が閾値濃度以下の確率的なパルスダイナミクスから生じ、それらのサイトのうち細胞外 cAMP 濃度がより高い
場所が高い頻度で発火することが示される。そして、引き込みの結果、最も細胞外 cAMP がたまった箇所が最終的に生
き残り、シグナル中心となることが予測される。この性質により、シグナル中心から遠方にある細胞でも、より高い細
胞外 cAMP 濃度の箇所がどこにあるかについて、細胞は知ることができる。
OS-1-2
The cyclic gene Hes1 contributes to diverse differentiation responses of
mouse embryonic stem (ES) cells by regulating Notch signaling activation.
○小林妙子、影山龍一郎
京都大学 ウイルス研究所
Stem cells do not all respond the same way, but the mechanisms
underlying this heterogeneity are not well understood. Here, we report
that expression of Hes1, a bHLH transcriptional repressor, oscillates in
mouse ES cells, leading to fluctuating expression of its downstream genes.
ES cells expressing low and high levels of Hes1 tended to differentiate into
neural and mesodermal cells, respectively. Hes1-knockout ES cells favored
neural differentiation more uniformly, but Hes1-sustained ES cells favored
mesodermal differentiation and repressed Notch signaling. We conclude
that the cyclic gene Hes1 contributes to heterogeneous responses of ES
cells even under the same environmental conditions.
− 115 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
午前の部
1
日
P-1-5
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
OS-1-3
Temporal precision in a network of rhythmic components
○郡 宏 1,2、河村洋史 3、増田直紀 2,4
1
お茶の水女子大学 お茶大アカデミック・プロダクション、2JST さきがけ、3 海洋研究開発機構、
4
東京大学情報理工学研究科
午前の部
(金)
生物には様々なペースメーカー組織があり、これらは振動性のダイナミクスを持つ細胞の集団が構成している。たとえば、
心臓の拍動を作り出す同房結節、ほ乳類概日リズムの主時計である視交叉上核、電気魚のペースメーカー神経核などが
挙げられる。これらの組織は、活動のタイミングの決定やセンサーなど、生物機能において中心的な役割を果たす。一般に、
細胞ダイナミクスは、種々の内的ノイズのために揺らぎを伴う。細胞における振動もノイズによって揺らぎ、その結果、
振動の精確性が低下する。そのような中で、ペースメーカー組織がいかに精確な振動を実現しているのかが興味深い問
題となる。振動の精確性は、振動と振動の間の時間分布の広がりかた(標準偏差)で定義することができる。例えば、心
筋細胞の場合では、拍動間隔(Inter-beat interval)の分布である。本研究では、できる限り単純で、また、一般的と考え
られる数理モデルを用いて、振動の精確性が、細胞数やネットワーク構造などにどのように依存するかを明らかにした。
この結果から、より精確な振動を実現するための設計原理を議論する。
OS-1-4
Synchronization of nonlinear oscillators by common fluctuating signals
○中尾裕也
京都大学大学院理学研究科 物理学教室
Nonlinear oscillators exhibiting autonomous rhythms are fundamental building blocks of nature at human scales. They
play essential roles in the functioning of biological systems, such as cardiac muscle cells, pacemaker neurons, and
animals or plants following circadian and circannual rhythms. Recently, noise-induced synchronization among nonlinear
oscillators due to common or correlated fluctuating signals has attracted much attention. In this presentation, I
will review some of recent advances in the theoretical analysis of noise-induced synchronization. Starting from the
simplest Lyapunov analysis for limit-cycle oscillators driven by common weak Gaussian noise and sparse Poisson
impulses, the case with gamma impulses possessing intermediate interval statistics between Poisson and regular limits
and more general averaging-based approaches yielding pairwise phase differences will be explained. Furthermore,
recent results on noise-induced synchronization between chaotic oscillators and between collective rhythms of
populations of interacting oscillators will be briefly mentioned.
オーガナイズドセッション 2「大地震に備える災害 ME 研究」
OS-2-1
10:35-12:05 第 3 会場
Disaster Medical Engineering for catastrophe
○佐橋 昭 1,2
長岡技術科学大学、2 株式会社プロジェクトアイ
1
2004 年 10 月 23 日の新潟県中越地震発生直後から被災地医師として避難所診療・災害救急医療に携わった長岡技術科
学大学福本一朗教授は、ライフラインが途絶し、医療機器・薬品が不足する中、不眠不休の診療を余儀なくされた。こ
の苦しくも貴重な経験から不足する災害診療支援システム・災害救助機器の開発が急務であると考え、筆者の Project I
社とともに災害 ME 研究会を立ち上げた。この人命救助の壮大な目的に向けて医学と工学を融合した研究開発をさらな
る事業としてなし遂げる目的で、『大自然災害時に人命を守る新しい生体医工学的支援技術の構築を目指して』オーガナ
イズドセッション『大地震に備える災害 ME 研究』を行い、同学の志のご批判を仰ぐものである。災害 ME システム構築
を目指す当面の研究テーマは 1. 生体情報収集を中心とした災害診療支援システム 2. 災害診療用電子カルテ及び避難所
救急医療情報通信システム 3. Crush syndrome を回避する Rescue Robot 4. 災害時非常電源 5. 災害時診療支援システ
ム 6. 被災者探索システム 7. Economy class syndrome リスク評価研究と診断方の研究開発 8. 災害弱者支援機器開発さ
らに多くの医学・工学研究者に研究参加をしてもらい、大災害がそこまで迫っている今日を“生き延びる”ため、『自然
災害に対する生体医工学的支援技術』構築の研究を行っている。
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 116 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Everybody may become the challenged under disasters
2009.8.9 台風 9 号による大雨で兵庫県佐用町では氾濫や堤防の崩壊が多発し、町全体が水深 1.5m の濁流に覆われ川底と
なったが、豪雨の雨音のため住民の災害行政無線放送聴取が不可能となった結果、17 名もの死者を出した。また米国 9.11
テロでも建物崩壊粉塵で視界が零となり、救助現場では被災者や消防士の視力が奪われ被害が拡大した。つまり大災害
時には視覚・聴覚障害者と同じく健常者も神より試練を与えられた The Challenged となる。さらに現在の日本には身体
障害者 366.3 万人、知的障害者 54.7 万人、精神障害者(含 Alzheimer 型認知症)302.8 万人の合計 723.8 万人の身障者の実に
82%が持家に居住されており、全国民の 5.7%が大災害時には自力での避難を余儀なくされる。戦時災害時には平常時以
上の人的資源を身障者・高齢者に配置する市民防衛システムをもつ北欧とは異なり、人的資源枯渇が必発する我が国で
は自力避難救命システムを備えることが特に重要となる。そこで本研究では universal な災害時避難支援システムを目指
し、緊急放送振動点字表示化機能付きの携帯電話や、報知器自らが最適避難経路を自動的に探索して光・音・振動で被
災者に避難路を指示するインテリジェント報知器等、身障者に優しい抗災技術がそのまま健常被災者の救命にも役立つ
と考えたマルチモーダルな避難救命支援システムを提案する。
OS-2-3
Research and development of rescue robot under natural disaster
○佐橋 拓 1,2、内山尚志 1、佐橋 昭 2、福本一朗 1
長岡技術科学大学、2 株式会社プロジェクトアイ
1
阪神・淡路大震災、新潟県中越地震において、大きな問題となったのが、
クラッシュシンドロームである。瓦礫に埋もれた被災者の瓦礫を取り除く
ことが死因となるだけに、救助を困難にし、結果 DMAT などに危険な救助
活動を強いる結果となっている。我々はこの現状を工学的に打破するべく、
瓦礫の中を進みクラッシュシンドロームの発症を抑えつつ患者を収容し、
医師の許まで運ぶ人命救助ロボットの開発を行ってきた。この度試作機の
開発を行ったこの人命救助ロボットの概要を説明するとともに、本ロボッ
トを実際に運用した場合を想定することで、本ロボットが抱える課題・問
題点を含めた現状と今後の展望を解説する。
OS-2-4
Meta analysis of studies on the electroencephalogram of the dog for an
animal sensor
○内山尚志、福本一朗
長岡技術科学大学 医用生体工学教室
When an earthquake occurs, people who happened to be there begin to find and rescue the suffers. However, in
fact, the shortages of hand and the delays in rescue team arriving made a rescue difficult and sometimes resulted in
the loss of many lives, which might be saved. We've been developing an animal sensor to rescue the sufferers soon
after the earthquake. We have an assumption that a domestic dog wears on this sensor and the sensor detects the
electroencephalogram changes for suffers' smell under rubble. Previous studies showed that olfactory stimulus caused
the increase in electroencephalogram and higher frequency. And the changes by light stimulus were far smaller than
those of olfactory. These began to indicate the availability of this sensor. But the electroencephalogram measurement
for dogs hasn't established yet. Here, we conducted a meta-analysis on dog's electroencephalogram, examined the
availability of our results, and sought future strategies.
− 117 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
25
(金)
午前の部
○福本一朗
長岡技術科学大学工学部 生物系医用生体工学教室
日
OS-2-2
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
午前の部
(金)
OS-2-5
When the big earthquake came, how did the persons with dementia act?
○高橋 聡 1,2
南魚沼市立城内診療所、2 長岡技術大学 医用生体工学教室
1
Two big earthquakes attacked Niigata Prefecture in the past. The first is Chuetsu Earthquake in 2004, the second
Chuetsu-Oki Earthquake in 2007. The magnitude of Chuetsu-Oki Earthquake is same as last, M6.8. The maximum
intensity of Chuetsu Earthquake is measured 7 on the Japanese intensity scale, the maximum intensity of Chuetsu-Oki
Earthquake is measured 6.8. The obvious difference between the situations after the quakes was significant. I worked
as a doctor in Kashiwazaki City where Chuetsu-Oki Earthquake attacked. Kashiwazaki City has more number of aged
persons living alone and less producing population in Niigata Prefecture. Chuetsu-Oki Earthquake attacked the people
with dementia living alone there. Many persons with dementia were admitted into the hospital because they could not
ask for help and find shelter by themselves and there were little persons helping them. I have found how people with
dementia act when the big earthquake comes since that time.
OS-2-6
Deep vein thrombosis in earthquake evacuee: Risk and prevention
○榛沢和彦
新潟大学医歯学系 呼吸循環外科
2009 年 11 月 22 日、23 日、12 月 6 日に中越地震被災者の DVT 検診を行った。小千谷市では 515 人、十日町市では 241 人
に検査し、75 人に DVT を認めた(9.9%)。地震対照地検査として新潟県阿賀町で 327 人に対して行った検査結果では 1.8%
の DVT 頻度であったことから被災地では DVT が多いことが推測された。また検査を受けた方で震災後に脳梗塞を発症
された方が 10 人おり、DVT 陽性では 4 人(5.3%)、DVT 陰性では 6 人(0.9%)であり有意に DVT 陽性者で震災後の脳梗塞
発症頻度が高かった(p < 0.005)
(オッズ比 6.0)。したがって震災後の DVT が脳梗塞発症のリスク因子になっている可能
性がある。また新潟県中越沖地震被災者に対して 2009 年 7 月 18 日、19 日に DVT 検査を行った。検査受診者は 300 人(平
均年齢 65.7 才、男 82 人、女 215 人、不明 3 人)、血栓陽性者は 20 人(6.6%)、そのうち浮遊血栓は 9 人(3%)であった。そ
の中で検査を地震後初めて受けた方は 80 人で、血栓陽性者 5 人(5.6%)であった。初めて検査を受けた方の頻度は中越地
震対照地である新潟県阿賀町で行った住民健診における DVT 頻度 1.8%よりも有意に高く(p < 0.01)、地震の影響が現在
でも残っていると考えられた。中越沖地震では車中泊は少なく、検診受診者は避難所生活経験者が大部分であったこと
から雑魚寝状態の避難所生活に問題がある可能性が高い。これらについて最近の知見を含めて報告する。
OS-2-7
System Safety in Disaster and Accident: Education of Specialists
○門脇 敏
長岡技術科学大学 システム安全系
我が国では,安全確保のために多くの対策を講じているが,人命を脅かす災害・事故が頻発している.この問題に対処
するためには,安全に関する専門職の存在が不可欠である.安全に対応できる専門職には,工学的知識をベースとし,
国内外の安全規格・法規に関する体系的な知識と実務能力及び安全技術の統合的マネジメントのスキルをもつことが要
求される.安全規格・法規の上に立ち,システムの災害,リスク及び安全の解析プロセスを対象に,安全技術とマネジ
メントスキルを統合して応用することを「システム安全」と呼んでいる.安全・安心社会の構築には,システム安全の考
え方の導入が欠かせない.システム安全に関わる人材としては,管理,設計,製造,使用などの種々の分野において,
安全認証,安全規格・安全設計,及び安全管理ができることが必要である.これらの能力を有する人材を総称して,シ
ステム安全専門職と呼んでいる.そして,システム安全専門職の養成が急務であり,そのための教育プログラムが実施
されている.欧米各国においては,システム安全の分野で専門職として活躍する人材は,既に一万人規模に達している.
日本においても,安全・安心に対する社会の要請がますます強まることは明らかであり,国際安全規格に適合すること
を求められる輸出市場への対応とあわせて,システム安全専門職の養成が渇望されている.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 118 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Necessary Conditions of Medical Equipments for use under Natural Disaster
- Mainly Equipments for Vital Sign Monitoring of Rescued Victims ○池田研二
埼玉医科大学保健医療学部 医用生体工学科
FC-1-1
9:00-9:50 第 2 会場
Afferent vagal nerve stimulation suppresses sympathetic nerve activity
regardless of baroreflex sympathoexcitation
○細川和也 1、川田 徹 2、村山佳範 1、砂川賢二 1
九州大学大学院医学研究院 循環器内科、2 国立循環器病センター研究所 循環動態機能部
1
Background: Excessive sympathoexcitation has been shown to be deleterious in heart failure. We have shown
that electrical vagal nerve stimulation markedly improves long term survival in animals with heart failure. We
hypothesized that electrical vagal afferent stimulation (VNS) results in sympathoinhibition irrespective of baroreflex
sympathetic activation. Methods and Results: We vascularily isolated the bilateral carotid sinus baroreceptor regions
in rats (n=8). We changed intra-carotid sinus pressure (CSP) stepwise from 60 to 170 mmHg with and without VNS
while recording renal sympathetic nerve activity (SNA) and arterial pressure (AP). Increases in CSP suppressed SNA
and decreased AP through baroreflex. VNS shifted the CSP-SNA relation downward (-16 ± 17% , p < 0.05), whereas the
SNA-AP relation upward (+16.2 ± 12.0 mmHg, p < 0.05). As a result of these opposite modulations, VNS did not impact
the CSP-AP relation. Conclusion: VNS suppresses SNA irrespective of baroreflex sympathetic activation. The VNS
induced sympathoinhibition would account at least in part for its positive impact in heart failure.
FC-1-2
Real time imaging of ATP release by using cell-surface-binding luciferase
protein
○山本希美子 1、安藤譲二 2
東京大学大学院医学系研究科 医用生体工学講座、2 獨協医科大学医学部 生体医工学研究室
1
血管の内面を一層に覆う血管内皮細胞(ECs)には血流に起因する流れ剪断応力が作用し、血管の機能を調節している。
ECs が流れ剪断応力を関知する機構については未だ明らかとされていない。以前我々はヒト肺動脈内皮細胞(HPAECs)
に剪断応力を負荷すると内因性 ATP が細胞外に放出され、細胞膜に発現する ATP 受容体を活性化し、細胞内へ Ca2+
を流入させる情報伝達機構が存在することを明らかにした。本研究では、剪断応力依存的な ATP 放出が細胞のどこで
起こるのかを細胞外 ATP を画像化することにより検討した。分子生物学的に新規に合成したビオチン化ルシフェラー
ゼ蛋白を HPAECs の膜表面に均一に固定した。平行平板型流れ負荷装置を用いてルシフェリン溶液の流れによる剪断応
力(1 ~ 30 dynes/cm2)をシリンジポンプにより負荷し、ルシフェリンールシフェラーゼ反応によって発生する化学発光
を冷却型 CCD カメラで検出した。剪断応力刺激直後に、細胞膜の辺縁に高い濃度の ATP が検出され、時間経過と共に
細胞膜全体に広がった。画像を取得後、4% paraformaldehyde で細胞を固定し、脂質ミクロドメインのマーカーである
caveolin-1 抗体で染色した。ATP 画像と比較した所、高濃度の ATP が検出された細胞膜の辺縁と caveolin-1 の発現部位
とが一致した。以上の結果から、流れ剪断応力により細胞膜脂質ミクロドメインから ATP が放出し、情報伝達に重要な
役割を果たすことが示唆される。
− 119 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
午前の部
(金)
地震災害の予知が進んでも、地震が何時、何処で発生するかをポイントで示すものではなく、発生確率の大きさを示す
に留まる。このような災害現場で使用する医療機器が満たすべき条件、とくに被災者のヴァイタルサインモニタ機器が
どうあるべきかについて論じる。通常の医療機器を災害現場で使用する場合の問題点を論じ、災害現場で使用する専用
の医療機器を開発、製造、保管し、ヘリコプタ等で急送することを考慮し、その条件として、1. 現場への急送に備えた
小型軽量、堅牢、耐震性、2. 電力供給途絶に備えた手動或いは電池駆動、かつ電池交換が瞬時に可能なこと、3. 機能を
必要最小限に限り、医師、コメディカルスタッフ等が躊躇せずに直ちに使用可能なことを示す。ヴァイタルサインモニ
タについては救助前の被災者を励ますとともに、心拍等の生存情報をモニタできれば非常に有効だが、現状では実現が
困難なので、救出後の被災者についての有用性を述べ、不特定多数の被災者に干渉なく対応できる stand alone な方式
が有利なことを述べる。
一般口演 1「バイオメカニクス 1」
25
日
OS-2-8
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
午前の部
(金)
FC-1-3
Fluorescence live imaging of flow-induced phase transition of cell membrane
○山本希美子 1、安藤譲二 2
東京大学大学院医学系研究科 医用生体工学講座、2 獨協医科大学医学部 生体医工学研究室
1
血流に基づく流れ剪断応力が血管内皮細胞に常に作用することにより、細胞の機能を修飾している。我々は剪断応力依
存的に応答するカルシウムシグナリングが細胞膜脂質ミクロドメインから惹起されることを以前報告したが、流れ剪断
応力による脂質ミクロドメインの動態については明らかではない。本研究では生細胞における脂質ミクロドメインを
可視化する為に、親疎水環境感受性の蛍光色素 Laurdan と二光子レーザー顕微鏡を用いて観察した。ヒト肺動脈内皮細
胞に Laurdan を負荷し、疎水領域と親水領域をそれぞれ検出する 400-460nm と 470-530nm の蛍光強度比を擬似カラー表
示(GP 画像)することで、脂質ミクロドメインを表示した。更に DiIC18(3)を細胞膜に負荷し、fluorescence recovery
after photobleachin 法により、細胞膜の流動性を測定した。静的条件下では、細胞膜の GP 値が高い領域は膜流動性が
低い一方、GP 値が低い領域の膜流動性は高く、両者の相関が確認された。細胞膜コレステロールを除去する methyl-β
cyclodextrin を作用すると、GP 値が低下し、膜流動性が増大した。流れ剪断応力(8 dynes/cm2)負荷により、GP 値は顕
著に減少し、流動性が上昇した。脂質ミクロドメインのマーカーである caveolin-1 の局在と比較した所、GP 値の高い領
域とほぼ一致していた。以上の結果から、流れ剪断応力は細胞膜脂質ミクロドメインや膜流動性を変化させ、膜タンパ
クに影響を及ぼしていると考えられる。
FC-1-4
Measurement of overall and local elastic modulus of an elasto-flexible
polymetic gel particle for simulated blood cell
○新池谷崇 1、鳥山博史 1、田地川勉 2、桜井 篤 3、板東 潔 2、大場謙吉 2
1
関西大学院理工学研究科 システムデザイン専攻、2 関西大学システム理工学部 機械工学科、
3
藍野大学医療保健学部 作業療法学科
動脈硬化症に代表される血液循環器系疾患の発症メカニズムを解明するためには,生体外実験が有効な手段の一つとな
る.しかし,実験にヒト血液を用いると,変質,腐敗,個体差などの原因により普遍的なデータを得ることが困難とな
る.そこで,模擬血球としてアルギン酸ゲル微粒子を開発した.アルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液
が接触すると,カルボン酸イオンとカルシウムイオンとの間で架橋結合が形成され,ゲル化反応が起きる.微粒化した
1wt%のアルギン酸ナトリウム水溶液を 1wt%の塩化カルシウム水溶液に浸漬しゲル化させ,アルギン酸ゲル微粒子を作
製した.本研究ではその弾性を調べるために,マイクロマニピュレータシステムを用いて球粒子全体のヤング率を測定
し,原子間力顕微鏡(AFM)を用いてゲル微粒子表面の局所的なヤング率を測定した.また,引張り試験を行いアルギ
ン酸ゲルのヤング率を測定した.ヘルツ接触理論を適用し,ゲルに加わる外力 F とカンチレバー先端のシリコン基盤と
の接触円半径αから算出した球粒子全体のヤング率は 30.9 ~ 41.2kPa となり,F とカンチレバー先端のチップの押し込み
量 I から算出したゲル表面の局所的なヤング率は 2.3 ~ 3.0MPa となり,球粒子全体の数十倍高い値となった.また,引張
り試験から得られたアルギン酸ゲルのヤング率は 86kPa 程度で,球粒子全体のヤング率に近い値となった.
FC-1-5
Spatio-temporal PLC activation in mechanically stimulated single cells
○塚本 哲 1、林田恵範 2、古川克子 2、牛田多加志 1
1
東京大学大学院医学系研究科 附属疾患生命工学センター 再生医療工学部門、2 東京大学大学院
工学系研究科
単一細胞に機械刺激を加えると幾つかの細胞内シグナルが発生する.更にはそれら細胞内シグナルが単一細胞内を伝播
する場合さえもある.その中で PLC 活性化についてそれが発生することは一部の細胞で知られていたがそれが単一細胞
内を伝播するかどうかは不明であった.そこで PLC 活性化を蛍光タンパク質を用いて PLC 活性化動態を単一細胞内でリ
アルタイム観察したところ,細胞膜微小変形が発生した PLC 活性化が単一細胞内を伝播することが示唆された.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 120 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
一般口演 2「バイオメカニクス 2」
Development of Postural Reflex Measurement System during Static
Standing in Human
○室井昌紀、山田和俊、山本紳一郎
芝浦工業大学大学院工学研究科 機械工学専攻
In vitro calibration of instrumented hip prosthesis after total hip arthroplasty
○松田和真 1、比嘉 昌 2、畑 智陽 2、阿保政義 2、格内 敏 2、谷野弘昌 3、松野丈夫 3
1
兵庫県立大学工学部 機械システム工学科、2 兵庫県立大学大学院工学研究科、3 旭川医科大学 整形外科
【目的】変形性股関節症,関節リウマチ,大腿骨頭壊死症などの股関節の疾患に対する治療法のひとつとして人工股関節
全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)がある.しかし,THA 後において,インプラントのずれ,骨折,脱臼などの
問題点がある.このような問題点を解決することを目的として,様々な方法で股関節にかかる力(股関節反力)を測定す
る研究が行われてきた.しかし,股関節周囲の軟組織の物性値については,未だ不明な点が多い.そこで我々は THA 手
術中に,屈曲時の股関節反力を測定することを目的として,in vivo 測定用の装置の開発を行った.
【方法】股関節反力測定装置として,4 枚の圧力センサを埋め込んだ人工骨頭(ヘッド)を作製した.この装置を用いてキャ
リブレーションを行った.既知の荷重を負荷し,θ,φを測定可能範囲内で変化させた.その時,各センサから出力さ
れる値(F1 ~ F4)を読み取り,股関節反力 F の成分(|F|,θ,φ)を算出した.また,理想曲線と比較し,精度の検
証も行った.
【結果】今回のキャリブレーションでは,測定値が理想曲線に近い値となり,この装置の精度は良いと言える.よって,
今後はこの装置を in vivo 測定に用い,股関節反力を測定する.しかしながら,理想曲線と離れている点もいくつか確認
できる.より正確な股関節反力を測定するため,装置の設計を見直すことも考えている.
FC-2-3
Estimation of tetanic progression of skeletal muscle by a displacement
mechanomyogram
○岡 久雄、石井 圭、北脇知己
岡山大学大学院保健学研究科
Displacement mechanomyogram (MMG) records displacement change of the skin surface caused by muscle
contraction. The fusion index (FI)-frequency curve (FFC) of MMG was measured on the biceps brachii using a laser
displacement transducer before/after muscle fatigue and muscle training, when the electrical stimulation was applied
to the muscle. In the measured tetanic progression, the measured FFC closely resembled an S-shaped curve and was
expressed by the sigmoid function with two parameters, k, which was the stimulation frequency at 50% of the FI, and h,
which reflected the gradient of the FFC. In the muscle training, both k and h increased after the training, and it was
induced from the twitch waveform with shorter contraction/relaxation time caused by the trained FF/FR-MU. On the
other hand, k and h decreased after the fatigue, and it was also induced from the longer contraction/relaxation time
by the fatigued FF/FR-MU.
− 121 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
午前の部
(金)
ヒトは視覚,前庭感覚,体性感覚の三つの感覚入力系からの情報を元に適切な筋活動を行い,立位姿勢を保持している.
特に不測の外乱に対して反射的に行われる防御反応を姿勢反射と呼ぶ.姿勢反射の一つである伸張反射は筋が伸張する
強い外乱であれば容易に誘発されることから,姿勢反射における重要な反射要素であると考えられる.姿勢反射を誘発
する実験装置として,被検者に支持台上で静止立位姿勢をとらせ,支持台を様々な方向に瞬間的に移動させる装置を使
用するものが多い.また,伸張反射から姿勢反射を調査している先行研究では,誘発した際の足関節角度変化を筋の伸
張のパラメータとして反射を評価しているが,実際に筋の動向を直接確認はしていない.伸張反射は筋の伸張によって
起きる反射なので,可視的に筋の動向を調査することが望ましい.そこで前脛骨筋と内側腓腹筋の伸張反射を誘発する
多方向に外乱を与えた時の,筋の挙動を超音波画像装置により計測を行った.前方,後方,底屈,背屈方向に急激に支
持台を移動させ,伸張反射を誘発した.前脛骨筋と内側腓腹筋の筋活動電位と足関節角度を同時に計測した.筋線維の
挙動は足関節角度の変化に対して異なる挙動を示した.また,内側腓腹筋の筋線維は,伸張が確認できないにも関わらず,
反射的な応答を示した.このことから,伸張反射応答は筋が伸張しなくても,誘発される可能性が示唆された.
FC-2-2
25
日
FC-2-1
9:50-11:00 第 2 会場
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
FC-2-4
Measurements and calculation of the hip joint force in patient with
osteoarthritis of the hip
○比嘉 昌 1、谷野弘昌 2、松野丈夫 2、松田和真 1、畑 智陽 1、阿保政義 1、格内 敏 1
1
兵庫県立大学工学研究科 機械系工学専攻、2 旭川医科大学
午前の部
(金)
従来から、人工股関節全置換術(THA)後の脱臼はインプラントや骨の衝突
が原因であると考えられてきた。しかし我々は、骨格筋の関与があると考
えている。そこで本研究では、まず骨格筋による股関節反力を求めるため、
THA を行った後の股関節筋骨格モデルを作製し、肢位を変化させた際の股
関節反力を計算により求めた。さらにその後股関節反力測定装置(図)を開
発し、術中 in vivo 計測を行い、計測結果と計算結果の比較を行った。モデ
ルと実測の違いは、股関節疾患による筋肉の物性値の変化に起因すると考
え、股関節疾患による筋肉の物性値の変化を最適化計算により求めたので
報告する。
FC-2-5
Biomechanical analysis of horizontal rotation technique in snowboard jump.
○稗島利明 1、山本敬三 2、清水孝一 1、川初清典 1
北海道大学大学院情報科学研究科、2 北翔大学大学院生涯学習学研究科
1
スノーボードが普及してスポーツ障害や,用具の開発などに関する研究が
多く報告されているが,スノーボードの技術に関する研究はまだ少ない.
本研究ではそのジャンプ競技の試技の分析を試みた.今回は一般的に多用
される水平方向の回転運動を取り上げる.実際のスノーボードジャンプを
模して,トランポリン跳躍を課して EMG 計測,および両足を固定した回転
動作のモーションキャプチャを行った(Fig.1).その結果,空中では下肢の
筋がほとんど活動せず,空中での回転は上肢の筋によってコントロールさ
れることが示唆された.目下スノーボードジャンプ実試技を対象に実験を
進めている.
FC-2-6
演題取り消し
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 122 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Assessment of Walking Stability in Normal Subjects
We assessed walking stability, using an acceleration measurement system. We measured the acceleration
displacement at the center of gravity (COG) of a normal walking subject and evaluated walking stability. We noted
the dispersion of high and low acceleration at the COG in every walking cycle that is a factor of walking stability.
We analyzed the two coefficients of variation of high and low acceleration for the subjects wearing normal, flat
shoes compared to slippers while walking. Comparing subjects with normal, flat shoes and slippers, we found that
the difference of the two coefficients of variation. In the case of the subjects wearing normal shoes, the coefficients
of variation were within 20% . The other hand of the case of wearing slippers that is hard to walk, the coefficient
of variation for high or low acceleration were over 25% . These dada provide useful information for understanding
walking stability in preventive medicine and rehabilitative medicine.
一般口演 3「バイオメカニクス 3」
FC-3-1
11:00-12:10 第 2 会場
Validity of a porcine ligamentum flavum for evaluating insertion resistance of
the epidural needles
○苗村 潔
東京工科大学医療保健学部 臨床工学科
硬膜外麻酔に用いられる針は、体内の硬膜外腔に針先を止めてカテーテルを導くために用いられている。針先を止める
ために、穿刺抵抗が減少することを利用している。著者はこれまでにブタの脊椎を用いて、針の評価をおこなってきた。
その結果、針が黄色靭帯を貫通して、針先が硬膜外腔に達する前に、黄色靭帯が 2mm 余り伸びる現象を見出した。同様
な現象がヒトでも発生しうるかどうかを検証することを目的とし、本研究では黄色靭帯の厚さとヤング率を比較検討し
た。屠畜場よりブタ脊椎を入手し、黄色靭帯部位をメスで切り出した。ホルマリン固定後、エラスチカ・ワンギーソン
染色して、顕微鏡画像からエラスチン繊維の層の厚さを黄色靱帯の厚さとして求めた。6 頭分の脊椎の胸椎部位から 14
箇所、腰椎部位から 10 箇所で、合計 24 個を対象とした。胸椎は 1.3 ± 0.3 mm、腰椎は 0.94 ± 0.4mm、全体を平均すると、
1.2 ± 0.4mm であった。引張試験では幅 4mm,長さ 6 mm ほどで切り出した黄色靭帯を 1mm/s の速度で引張った。試料
の断面積は X 線 CT で求めた。ヤング率は平均すると 7.5MPa であった。ヒトに関する文献値と比べると、厚さは半分程度、
ヤング率は 7 分の 1 程度であった。発表では、これらの結果から有限要素解析を用いて、更に詳しく調べた結果を報告する。
FC-3-2
Development of method for measuring tension generated in cytoskeleton
○杉田修啓 1,2、安達泰治 2,3、植木洋輔 4、佐藤正明 4,5
名古屋工業大学 若手研究イノベータ養成センター、2 理化学研究所 VCAD システム研究プログ
ラム細胞シミュレーションチーム、3 京都大学大学院工学研究科 機械理工学専攻、4 東北大学大学
院工学研究科 バイオロボティクス専攻、5 東北大学大学院医工学研究科 医工学専攻
1
Contractile forces generated by cytoskeleton have been believed to contribute to cellular dynamical processes such
as a migration. However, methods for directly measuring the forces have not been developed enough. This study
proposes a novel method to quantitatively measure the forces in the cytoskeletal filaments by applying external forces
to the cytoskeleton. Magnetic particles conjugated with phalloidin were attached to actin stress fibers, and forces of
several hundred piconewtons were applied in the direction perpendicular to the fiber axis using a magnetic tweezer.
Displacement of the stress fibers was measured under a fluorescence microscope, and then tension in the stress fibers
was estimated based on a force balance with the applied forces. The result revealed that the tension in the stress
fibers was 2.5 ± 1.7 nN, which was comparable value to that estimated in previous studies. Therefore, the proposed
method will be applicable to measure forces within fibrous proteins.
− 123 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
25
(金)
午前の部
○鶴岡百合子 1、田村義保 1、柴崎亮介 2、鶴岡政子 2
1
情報・システム研究機構統計数理研究所、2 東京大学 空間情報科学研究センター
日
FC-2-7
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
FC-3-3
Biomechanical Analysis of Three-Dimensional Finite Element Compound
Model of Transformed Standard Canine and Orthodontic Appliances
○森川 一 1、本多周平 2、富樫達識 2
1
旭川工業高等専門学校 制御情報工学科、2 旭川工業高等専門学校 専攻科生産システム工学専攻
午前の部
(金)
歯科矯正治療時の歯槽骨リモデリングは,骨リモデリングの中でも特に顕著であるうえ,歯に加わる力学条件と結果
として生じる歯の移動量が比較的容易に把握できるため,骨リモデリングの力学条件を解明するのに適していると考え
られる.これまでにも,歯槽骨内応力の有限要素解析や,それを用いた歯槽骨のリモデリング・シミュレーションなど
が報告されている.これらの研究の多くは,犬歯や第 2 小臼歯の解剖学的平均形状を表す標準歯とその周辺組織を対象
としていることが多い.しかし,解析で用いる標準歯と患者の歯形状は異なるために,標準歯の解析結果をそのまま臨
床に適用できない.このため,標準歯形状を基本として患者個別の歯形状に対応させて形状編集し,解析に利用するの
が適当である.我々は,これまでにも犬歯とその周辺組織の三次元有限要素モデルを用いた歯槽骨内応力解析やリモデ
リング・シミュレーションを通して,歯槽骨リモデリングを生体力学的観点から明らかにし,効率的な歯科矯正治療に
必要となる力学条件を解明しようと試みてきた.本報では,標準歯形状から患者の個別歯に対応して,歯列模型から形
状計測された歯冠部形状を参照しながら有限要素モデルを編集するアプリケーション・プログラムを Java 言語で開発し,
そのプログラムにより編集した歯形状と矯正装置からなる三次元有限要素連成モデルを構築して,力学解析を実施した
結果を報告する.
FC-3-4
Study of material design based on modeling of tactile sensation
○秋山庸子、三島史人、西嶋茂宏
大阪大学大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻
特定の触感を惹起する材料の設計は,現在触感が重要視されている化粧品や繊維・皮革製品にとどまらず今後幅広い素材・
材料に要求されるようになってくることが予想される.しかし,触感の評価に広く用いられている官能評価は主観的な
手法であるため,触感の背後にある物理的現象を捉えることができない.またその一方で,材料の微細構造を直接触感
に結びつけることも困難である.したがって,材料の触感設計に繋がる客観的な触感の評価手法の確立,さらにはそれ
ぞれの触感を定義づける物理モデルの構築が必要である.本研究では,材料の触感設計を最終目的として,触感の定量
化を試みた.まず,モデル系として,すでに官能評価に基づいて経験的な触感設計が行われている化粧水塗布時の“しっ
とり感”と“さっぱり感”について,市販の数社の化粧品を用いた触感の官能評価の因子分析を行うことにより,その触
感を惹起する主因子を検討した.さらに,それらの主因子の物理的背景を明らかにするため,化粧水の粘弾性などの物
理特性のほか,塗布動作時の皮膚と材料の相互作用に関係すると考えられる摩擦係数,触圧,皮膚表面温,水分蒸散量
の測定を行った.これらの結果から,触感のモデル構築のための考察を行った.
FC-3-5
Analysis of the Propagation of Motions and Oscillations inside Human Body
Caused by Craft
○坂牧孝規 1、土井根礼音 1、瀬田広明 1、伊藤政光 1、藤田結香 2、福井康裕 2、河村剛史 3
1
鳥羽商船高等専門学校、2 東京電機大学、3 河村循環器病クリニック
The conveyance of a patient from islands to a hospital on land using a craft is an effective method, during a huge
earthquake in Tokai area. The objective of this research is to determine the mechanism of changing vital sign on a
craft. In this paper, we describe the analysis of the propagation of motions and oscillations inside the human body
caused by a craft, for a preliminary research.
We have developed an acceleration measuring system. It consists of three accelerometers, a video camera, GPS, and a
computer. Each accelerometer is placed on the human head, the human waist, and the floor of the craft.
We measured data of three subjects for 10 hours on a craft. High frequency of Acceleration is absorbed in the part of
the human body. The time sequential data of the waist and the head correlate closely, and FFT data also correlate.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 124 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Biomechanical Analysis on Walking Improvement after Exercise and
Listening to Mozart Music
○鶴岡政子 1、鶴岡百合子 2、柴崎亮介 1
1
東京大学空間情報科学研究センター、2 統計数理研究所
Proposed mechanism of cellular adaptation to physical environment
○出口真次、松井 翼
東北大学大学院医工学研究科
Several lines of evidence have indicated that mechanical tension in proliferative cells works as a strong regulator of
their destiny such as differentiation and apoptosis. This fact also suggests that the cellular tension should be somehow
regulated and kept more or less unchanged; otherwise, cells are not able to maintain their stable proliferative ability.
A large part of the tension is produced by contraction of actin stress fibers (SFs). Here, we show based on our
experiments that there is an optimal structural strain (or, in plainer word, sarcomere distance if an analogy to striated
myofibril is used) for SFs in terms of contractility. Given that dynamics of cells is in essence dominated by SFs or
nonmuscle actomyosin under suitable regulation by related signaling pathways, the finding obtained here could become
a basis for understanding the unresolved molecular mechanism of the tensional homeostasis and resultant cellular
adaptation to the surrounding environment.
一般口演 4「細胞工学・再生工学 1」
FC-4-1
9:00-10:10 第 5 会場
Cell culture scaffold toward regenerative medicine
○守本祐司 1、宮崎幸造 2、遠藤 修 3、松尾洋孝 1、四ノ宮成祥 1、村松和明 4、アズラン アズヒム 4、
田中眞人 4、脇田晃充 1、村原 中 1、吉川幸尾 1、平山貴浩 1、三宅 裕 1
1
防衛医科大学校 分子生体制御学講座、2 東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター
3
セルリムーバー、4 東京電機大学フロンティア共同研究センター
臨床医工学部門、(株)
生体組織から細胞を除去して残存する支持組織である脱細胞化組織を、移
植片や再生医療として使用する技術開発の研究が盛んである。脱細胞化組
織は、合成高分子に比べ、生体組織に近似した物性を有するため、生体組
織との適合性に優れる。我々は、効率的な脱細胞技術として、SDS などの
界面活性剤に生体組織を液浸させ、さらに振盪処理を加える方法を確立し
た。さらに、独自にリングクランプを開発し、脱細胞化されたブタ血管を
培養細胞のためのスキャフォールド(足場)として活用する基盤技術を構築
した。このスキャフォールドに血管平滑筋細胞を播種培養することで、血
管中膜の細胞と酷似した形状に増殖させることに成功した(図)。発表では、
本デバイスに播種された血管由来細胞の機能変化(平滑筋細胞の収縮能な
ど)につき報告する。
− 125 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
午前の部
(金)
This study analyzed the walking improvement of young students based on stability of COG fluctuations while walking
using a wearable 3 axis accelerometer measurement system. While walking, rhythmic fluctuations of COG were
observed in 20% of them and non-rhythmic fluctuations in the other 80% . Those with non-rhythmic fluctuations
walked with less stability because of the negative influence of problematic posture, i.e., their abdominal or back
muscles were weak, and they had a slight sway back. A problematic standing balance influences the stability of the
COG fluctuation in the maintenance of walking sequence. After they understood how to assume a suitable posture,
begun wearing suitable shoes, had exercised the relevant muscles for one month, and listened to Mozart piano music,
their COG fluctuations were minimized and more rhythmic. It is important to try, during the growth period, to get
into good walking habits for better health.
FC-3-7
25
日
FC-3-6
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
FC-4-2
Functional significance of the negative-feedback regulation mechanisms for
ATP release during ischemia in cardiomyocytes
○功刀聡彦、松山大輔、岩淵禎弘、河原剛一
北海道大学大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
午前の部
(金)
低酸素時に細胞外に放出された ATP は、ATP 感受性受容体(purinoceptors)を活性化することで細胞外の情報を細胞内
に伝搬し、遺伝子発現調節など様々なシグナル伝達に寄与している。心筋細胞では ATP 放出経路として、maxi-anion
channel(MAC)や hemichannels が同定されている。しかし、MAC を介する ATP 放出経路と hemichannels を介する経
路との機能連関、および ATP 放出と虚血・再灌流傷害との関連性は未だ不明確であり、これらを解明することを本研究
の目的とした。虚血時に MAC を阻害すると、当初の予想とは異なり、細胞外への ATP 放出量は増加する傾向が認められ、
この ATP 放出の増加は hemichannels 阻害剤を同時負荷することで抑制された。また MAC 阻害により虚血・再灌流によ
る心筋細胞死は有意に増加したが、hemichannels 阻害剤との同時負荷により細胞死も抑制された。以上の結果より、虚
血早期に放出される MAC 由来の ATP が発端となり、P2 receptors シグナル伝達経路により hemichannels からの ATP
放出を抑制するという、ATP 放出負帰還制御機構の存在の可能性が示唆された。この負帰還制御機構は虚血時の心筋細
胞にとって重要な生存戦略の一つと考えられる。
FC-4-3
Real-time Observation of Effect of Fibroblast in Angiogenesis Research
○井上雄介、中川英元、斎藤逸郎、磯山 隆、河野明正、小野俊哉、時 偉、石井耕平、
中野英美子、井街 宏、阿部裕輔
東京大学大学院医学系研究科
Angiogenesis is essential for tissue-engineered artificial organs and regenerative medicine. However, the mechanisms
have some unclear point yet. So, we monitored growth of blood vessels in a scaffold in vivo with the developed camera
to study the angiogenesis mechanism. A miniaturized video camera device integrated with a scaffold for blood vessels
and tissue induction that is implantable into an animal body was developed. We implanted two kind of devices into the
goat. One was implanted with only the scaffold, and the other implanted with cultured fibroblast cell on scaffold. Tissue
and vessels induction to the scaffold was started from 3rd week and it took about 10 weeks to cover the entire area. In
a comparison experiment, we found a vessel-generating-speed on scaffold with fibroblast is about 30% higher than only
scaffold. In this future, we use this device and change experiment conditions and we study angiogenesis mechanism.
FC-4-4
Development of Dielectrophoretic Cell Patterning for Tissue Engineering
○小林哲也 1、宮田昌悟 2、須藤 亮 3、池田満里子 4、谷下一夫 3
慶應義塾大学大学院理工学研究科 総合デザイン工学専攻、2 慶應義塾大学理工学部 機械工学科、
3
慶應義塾大学理工学部 システムデザイン工学科、4 慶應義塾大学先端科学技術支援センター
1
近年,細胞や細胞外基質との相互作用の解析・研究のために細胞マイクロパターニングが注目されている.本研究では
誘電泳動を用いた細胞パターニング技術の開発を行い,肝組織再生医療への応用を目指す.細胞の誘電率は細胞の構造
によって大きく異なり,同一の交流周波数でも誘電泳動特性が異なる.この性質を利用して,複数種類の細胞を同時に
パターニングする技術の開発が本研究の目的である.φ10µm とφ15µm の直径が異なるポリスチレンマイクロビーズを
10kHz と 1MHz の交流電圧下で誘電泳動させると,10kHz において両者は互いに異なる挙動を示した.このように内部
構造が均一である粒子であっても大きさによる誘電泳動特性の違いを利用して,2 種類のビーズを別々な位置にパター
ニングできることがわかった.すなわち,少なくとも大きさの異なる細胞同士であれば,同時に誘電泳動させたとして
も,位置を分けてパターニングできることが示唆された.今後は,画像解析から周波数・電圧に対する移動速度やパター
ニング精度を求め,周波数および電圧条件を最適化し,より迅速かつ高精度な異種細胞の同時パターニングの実現に取
り組む.そして,初代培養肝細胞・血管内皮細胞の誘電泳動特性の解析を元に,生体内構造を模擬した両者の異種細胞
同時パターニングを行う.最終的に,組織再生技術に応用し,肝微小組織の生体外における再構築のひとつの手法を提
案する.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 126 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
3D Stacked-up structure by rat small hepatocytes and endothelial cells on
PLGA (Poly lactic-glycolic acid) membrane
25
○益田源太 1、須藤 亮 2、三高俊広 3、池田満里子 2、谷下一夫 2
慶應義塾大学大学院理工学研究科 総合デザイン工学専攻、2 慶應義塾大学理工学部 システムデ
ザイン工学科、3 札幌医科大学医学部附属がん研究所 分子病理病態学部門
(金)
生体外での肝組織再生のためには三次元構造,血管構造の導入が必要とされている.生体内の肝構造である秩序だった
肝細胞索を模倣した積層培養が Sudo らにより報告されており,足場に多孔性ポリカーボネート(PCMB)を用いた小型
肝細胞の積層培養では上下の肝細胞間に毛細胆管様構造等が形成されるが,更なる積層に向けて足場の非分解性が課題
である.本研究では,生体吸収性である乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)より作製した多孔質薄膜を小型肝細胞間
及び異種細胞間に介在させた積層共培養による細胞単独の三次元共培養モデルの構築を目指す.まず,PLGA 溶液をス
ピンコート,相分離により多孔質薄膜を作製した.小型肝細胞を薄膜両面へ播種,積層化させると培養 10 ~ 12 日目より
薄膜の分解と共に細胞-薄膜間から細胞-細胞間へと接着に変化が見られた。細胞核は偏平から真球へと変化した。培
養 14 日目には上下の細胞間に毛細胆管様構造が見られ,三次元組織を構築した.また小型肝細胞,内皮細胞をそれぞれ
薄膜に播種,積層化させた共培養系においては,内皮細胞の伸展した形態的変化が生じ,小型肝細胞との細胞配置を維
持した.現在,生体吸収性薄膜を介した小型肝細胞,内皮細胞の三次元共培養における肝機能,細胞間相互作用につい
て検討中である.
FC-4-6
Hepatic stellate cell-mediated three-dimensional hepatocyte and endothelial
cell tri-culture model
○粕谷淳一 1、須藤 亮 1,2、三高俊広 3、池田満里子 1,2、谷下一夫 1,2
慶應義塾大学大学院理工学研究科 総合デザイン工学専攻、2 慶應義塾大学理工学部 システムデ
ザイン工学科、3 札幌医科大学医学部附属がん研究所 分子病理病態学部門
1
Hepatic stellate cells (HSCs) form a functional unit with endothelia and hepatocytes in the liver to play a pivotal role
in heterotypic cellular communication. Here, to investigate this role of HSCs, we established a 3D tri-culture model,
using a microporous membrane to create the functional unit. HSC behavior was controlled by the membrane pore size,
which was critical for achieving proximal cell layers. With a specific pore size, HSCs were intercalated between layers
of hepatocytes and ECs, owing to the limitation on HSC behavior. When only cytoplasmic processes of quiescent HSCs
were adjacent to ECs, while the HSC bodies remained on the side of the hepatocytes, the ECs changed morphologically
and were capable of long-term survival. We confirmed that HSCs mediated the communication between hepatocytes
and ECs in terms of EC morphogenesis. This tri-culture model is useful for investigating heterotypic cellular
communication in vitro.
FC-4-7
Involvement of growth factor receptor signaling in hemodynamic force
induced ES cell differentiation
桝村智美 1、○山本希美子 1、安藤譲二 2
1
東京大学医学部 医用生体工学講座、2 独協医科大学医学部 生体医工学研究室
マウス胚性幹(ES)細胞から分化させた血管内皮増殖因子受容体陽性(VEGFR-2+)細胞は VEGF により血管内皮細胞
(ECs)に、血小板由来増殖因子(PDGF-BB)により血管平滑筋細胞(SMCs)にそれぞれ分化する。最近我々は VEGFR-2+
細胞に血流力学因子である流れずり応力と伸展張力を負荷すると、ECs と SMCs にそれぞれ分化が誘導されることを報
告したが、その分子機構は明らかではない。そこで、血流力学刺激による VEGFR-2 と PDGFR の活性化を検討した。ES
細胞を Leukemia inhibitory factor(LIF)を除いた培養液を用いて CollagenIV をコートした培養皿に播種し、3 日目に
VEGFR-2+ 細胞を単離した。更に 3 日後に平行平板型流れ負荷装置を用いて流れずり応力(10dynes/cm2)を、伸展負荷
装置(STREX 社:ST-140)を用いて伸展張力(8% , 0 ~ 1Hz)を 10min 負荷し、VEGFR-2 と PDGFR のリン酸化をウエス
タンブロッティング法により検討した。静的条件下では VEGFR-2、PDGFR 共にリン酸化されないが、流れずり応力に
より VEGFR-2 がリン酸化された。1Hz の伸展刺激では VEGFR-2、PDGFR 共にリン酸化されたが、0Hz の伸展張力で
は PDGFR のみがリン酸化された。1Hz の伸展刺激の際に作用する培養液の揺れを細胞に負荷する(motion control)と、
VEGFR-2 のみがリン酸化された。以上の結果から、流れずり応力と伸展張力が VEGFR-2 と PDGFR をそれぞれ特異的に
活性化することで、ECs と SMCs に分化を誘導することが明らかとなった。
− 127 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
午前の部
1
日
FC-4-5
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
一般口演 5「細胞工学・再生工学 2」
日
25
午前の部
(金)
FC-5-1
10:35-11:55 第 5 会場
Study on the three dimensional tissue culture with perfluorocarbon
○幡多徳彦 1、野口展士 2、橋浦 匠 2、野中一洋 2、福井康裕 2、舟久保昭夫 2
東京電機大学 フロンティア共同研究センター、2 東京電機大学大学院理工学研究科
1
再生医療における生体外での組織再生において 3 次元構造での組織培養が重要となる.これまで様々な 3 次元培養法につ
いて報告されているが,そのほとんどの培養において細胞および組織への酸素供給が問題となっている.そこで本研究
では,液体呼吸システムに用いられる溶存酸素濃度が高い Perfluorocarbon(PFC)による新規な 3 次元組織培養システム
の開発を目的とした.実験にはハイブリッド人工臓器の構築を想定したマウス繊維芽細胞 NIH 3T3 および薬剤試験デバ
イスの開発を想定したヒト肝癌由来細胞 HepG2 を用いて培養を試みた.培養プレートに PFC を添加後その上に培地を添
加した水性二相系に対して培地へ細胞を接種し,培養中の細胞挙動について観察を行った.3T3 の培養では界面上に細
胞が存在し,比較的球状の細胞凝集塊の形成が多数確認され,細胞凝集塊の肥大も観察された.凝集塊を形成しなかっ
た一部の細胞は界面上に足を伸ばした接着細胞の形態を示した.水性二相系で形成した凝集塊を通常の培養面に移し培
養すると通常の 3T3 と同様の 2 次元での増殖が確認された.また HepG2 の培養では 3T3 と同じく界面上で凝集塊を形成
したが,その形は歪で目視でも観察できる大きさであった.これらの結果より PFC と培地による水性二相系を用いた 3
次元組織培養の可能性が示唆された.
FC-5-2
Microhole Array Device for Derivation and Separation of Liposomes from
Human Lymphocytes
○山中 誠 1、川原浩治 2、安田 隆 1
1
九州工業大学大学院生命体工学研究科、2 北九州工業高等専門学校 細胞工学センター
This paper presents a novel culture device for deriving and separating
liposomes from human lymphocytes. The liposome derivation is induced
by stimulating lymphocytes with sodium butyrate (NaB) (Fig. 1). Those
liposomes have specific membrane proteins expressed in host lymphocytes.
The present device consists of multiple culture wells and microhole arrays
which are opened in a thin SiN layer of well bottoms. First, lymphocytes
were trapped on the microholes and immobilized with a SAM of cell
anchor molecules (Fig. 2a). Then, we succeeded in deriving liposomes
by NaB stimulation and separating them from the host lymphocytes by
passing them through the microholes (Fig. 2b).
FC-5-3
Study on abstraction of cell population behavior on Scaffold
○古関洵也 1、野口展士 1、野中一洋 1、幡多徳彦 2、矢口俊之 3、大越隆文 4、福井康裕 1、
舟久保昭夫 1
1
東京電機大学理工学部、2 東京電機大学 フロンティア共同研究センター、3 ミシガン大学医学部、
4
津田沼中央総合病院
培養状態の管理、診断を行うためには、細胞の培養状態を定量的に評価する工学的手法が必要である。我々はこれまで
画像処理により、Scaffold 上における単一細胞の運動形態の検討や、細胞群の特異的性質の計測および規則性の抽出と
いった細胞が移動・増殖するプロセスを画像処理による非侵襲的な評価を行ってきた。その評価において、任意に決定
した一定の閾値から差分法により細胞群領域の抽出を行った。しかし、従来のプログラムにおける抽出処理では細胞群
の挙動を抽出する際に、細胞群以外における培養中の沈殿物や、撮影時の光源による外乱が抽出されるといった問題点
が挙げられる。そこで本研究では、細胞群抽出処理の問題を改善、および精度向上を目的とし、新たに評価プログラム
を試作し、連続画像を用いた試作プログラムの評価を行った。 初めに、タイムラプス撮影された Scaffold 上における細
胞群画像を取得し、そのタイムラプス画像を対象に連続処理を施した。次に、処理する画像ごとに濃度差分値の平均を
利用した閾値を決定して、細胞群を抽出し、従来のプログラムとの閾値と抽出量の比較を行った。その結果、細胞群を
抽出することができ、従来のプログラムにより現れた外乱が軽減され、細胞領域に限定して抽出を行うことができた。
このことから、本試作プログラムを施すことにより、培養中の細胞群の領域や、被覆面積等の細胞群挙動を抽出するこ
とが可能となった。
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 128 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Study on analysis of cell population behavior on scaffold
Scaffold を含む in-vitro での細胞組織の構築では,培養工程での品質管理が重要である.これまでに,Scaffold 上の個々の
細胞挙動について評価してきたが,用いる細胞は活性や寿命などの不均一性を持つ.そのため培養環境と細胞の不均一
性を同時に評価することが重要であり,より生体組織に近い複数の細胞(細胞群)による評価が必要である.そこで本研
究では,細胞群における画像解析による非侵襲的評価として粒子画像流速測定法を新たに導入し,Scaffold 上における細
胞群に対する本解析手法の有効性について検討した.実験方法として,エレクトロスピニング法によりナノファイバー
(0.76 ± 0.50µm)とマイクロファイバー(5.22 ± 0.58µm)の繊維を一定の方向に薄くガラスプレパラートに紡糸し,ガラ
ス四角筒(寸法 5 × 5mm)を設置した.筒内部に細胞を播種し,コンフルエント状態になるまで培養した後,細胞群の外
周部に対し,10 分間隔のタイムラプス撮影を 7 日間行い,速度ベクトルを求めた.その結果,個々の細胞とは異なり,
細胞群は直進的な動きをせず連携的な動きをすることが観察された.また細胞群の移動速度は 2 つの Scaffold および全て
の時間において約 30µm/h の速度を示した.さらに細胞群の中心部では細胞の移動活動が低下し,辺縁の細胞が Scaffold
上を活発に移動する様子が確認され,本解析手法を用い定量的に評価することで,モニタリングによる品質管理の可能
性が示唆された.
FC-5-5
Study on orientational control of fibrous scaffold as cell culture
○橋浦 匠 1、野中一洋 1、野口展士 1、幡多徳彦 2、矢口俊之 3、大越隆文 4、福井康裕 1、
舟久保昭夫 1
1
東京電機大学大学院、2 東京電機大学 フロンティア共同研究センター、3 ミシガン大学医学部、
4
津田沼中央総合病院
我々は循環器系の人工臓器を対象とし、電界紡糸法(Electrospinning 法;以下 E.S 法)を用いて人工臓器に繊維性 scaffold
を付与し、生体適合性を向上させることを主として研究を行っている。E.S 法は、接地してある scaffold 構築対象に、高
電圧を印加した scaffold 材料が牽引される形で scaffold を構築する手法である。これまでに作製した scaffold において、
その繊維径の差異と細胞増殖能の相関について検討してきた。しかし、増殖能と繊維配向の相関については検討がなさ
れていない。そこで本研究では、より精緻な細胞挙動の評価を目的とし、scaffold の繊維配向制御を行った。実験として
scaffold の材料にはセグメント化ポリウレタンを、scaffold 構築対象には正方形のアルミ平板を複数枚用いた。アルミ平
板を同一平面上に水平に、平板同士の間隔を 50mm にして設置し紡糸した結果として、scaffold は平板間を橋渡しする形
で直線状に配向することが確認された。よって、積層させることで繊維配向を制御した立体構造を繊維性 scaffold によっ
て構築可能であることが示唆された。
FC-5-6
Control of Single Cell Migration Using Caged Cell-Culturing Substrates
○ Choi Wonjun1、八木 透 1,4、中西 淳 2、山口和夫 3、横田秀夫 4、菅原路子 4,5
1
東京工業大学大学院情報理工学研究科、2 物質・材料研究機構、3 神奈川大学理学部化学科、4 理化
学研究所、5 科学技術振興機構さきがけ
本研究はアクチンフィラメントに代表される細胞骨格が細胞運動とどのよ
うに関連しているのかを明らかにすることを目的としている.今回我々は,
培養基板上に形成したマイクロパターンによって細胞運動を制限すれば,
アクチンフィラメント形成と細胞の移動方向との関係を定性的 , 定量的に計
測できるのではと考え,マイクロパターンの形成および線維芽細胞の培養
について実験を実施した.また、播種する線維芽細胞に GFP-actin 融合タン
パク質を発現させ,レーザ共焦点顕微鏡を用いて細胞運動およびアクチン
の経時変化を観察したので報告する。
− 129 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
25
(金)
午前の部
○野口展士 1、野中一洋 1、古関洵也 1、橋浦 匠 2、幡多徳彦 2、矢口俊之 3、大越隆文 4、福井康裕 1、
舟久保昭夫 1
1
東京電機大学、2 東京電機大学 フロンティア共同研究センター、3 ミシガン大学医学部、4 津田沼
中央総合病院
日
FC-5-4
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
FC-5-7
Three-dimensional cell culture scaffold fabricated by nano-meshed
microspheres
○種 良典、池内真志、福岡宗明、生田幸士
名古屋大学工学研究科 マイクロ・ナノシステム工学専攻
午前の部
(金)
本研究では、生分解性ポリマーを材料とした新たな再生医療用 3D スキャ
ホールドの開発を行った.電界噴霧(エレクトロスプレー法)により、ナノ
サイズのメッシュで覆われる直径 10µm 程度のマイクロスフィアを作製し、
これらを無数に積み上げることで高い孔度を有する立体的なスキャホール
ドを開発した.その最大の特徴は細胞が接着するのに理想的なナノサイズ
の表面形態を立体的な構造の中に実現しているところにある.またスキャ
ホールドの形や厚さが自由に設計でき、目的に応じた形状が作製可能であ
る.3 次元的な構造を有するスキャホールドを作製することも実現し、実際
にヒト由来の肝細胞を利用した細胞培養を通じて、良好な生体適合性、細
胞接着性、細胞増殖性が示された.
FC-5-8
A hypothesis on the increase of tumor growth induced by the trascutaneous
ultrasonic nitric oxide generation
○遠藤怜子 1、馬目佳信 2、古幡 博 1
1
東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室、2 東京慈恵会医科大
学総合医科学研究センター 分子細胞生物学研究部
We hypothesized that transcutaneous ultrasonic nitric oxide (NO) generation induces the increase of tumor growth.
This hypothesis has been experimentally examined through 8 case of the rat RT-2 glioma model. On 9 and 12 days
after subcutaneously transplantation into the thigh, ultrasound 500kHz, continuous wave 1.0W/cm2 (Ispta) irradiated
transcutaneously for 30 min. Simultaneously, the quantification of NO was monitored by real-time NO electric meter
with needle type sensor inserted to the tumor. The tumor volume was measured non-invasively by 3-D ultrasonic
equipment (vevo770) 40MHz on 9, 12 and 15 days after the transplantation. As the result, no difference of tumor
volume on 9 and 12 days was found, however, significant increase of tumor volume on 15 days was confirmed (p=0.03).
This in tumor growth phenomenon can be reasonably explained by the previous report demonstrating the NO
synthesis (NOS) effect to tumor growth. It is suggested that our hypothesis was correct, despite that quantitative
analysis on ultrasonic NO quantity, tumor volume and NOS quantity has been still required.
一般口演 6「人工臓器」
FC-6-1
9:00-10:10 第 6 会場
Development of a sucking control for the undulation pump ventricular assist
device
○石井耕平、斎藤逸郎、磯山 隆、中川英元、河野明正、小野俊哉、時 偉、井上雄介、
中野英美子、阿部裕輔
東京大学大学院医学系研究科 医用生体工学講座
The undulation pump ventricular assist device (UPVAD) can produce not only continuous flow but also pulsatile
flow by changing the motor rotation. On the other hand, UPVAD fall into severe sucking which causes arrhythmia,
hemolysis, myocarditis and pump damage. In order to prevent the sucking, the drive power has to be adjusted in the
proper range. The control algorism based on the sucking event was developed to output maximum flow in the range in
the proper range. The inflow cannula equipped with an implantable pressure sensor was inserted in the left ventricle
and measured left ventricular pressure to detect the sucking. The drive power was decreased when the sucking
was detected. Otherwise the drive power was increased at regular time intervals. As the results, drive power was
automatically shifted to the power which was able to output more pump flow without causing severe sucking by using
the developed control.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 130 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Preliminary Research and Development for Bi-ventricular assist/Total
artificial Heart utilizing Centrifugal Blood Pumps
25
○三浦英和 1、白石泰之 1、矢部翔太 2、スガイ テルマ ケイコ 2、劉 紅箭 1、馬場 敦 3、山家智之 1,2
東北大学加齢医学研究所、2 東北大学医工学研究科、3 芝浦工業大学システム工学部
(金)
埋込式両心補助/完全人工心臓の問題点としてサイズ、耐久性、解剖学的適合性を満たすデザインがあり、これらを
克服する新しい構造の遠心ポンプを用いた両心補助/完全人工心臓を開発している。左心ポンプのプロトタイプの試作、
水力学的評価をおこなった。外部から DC ブラシレスモーターにて駆動した。作動流体は 33%グリセリン水溶液、液温
は 37℃とした。急性動物実験では成ヤギを用い麻酔下に左心ポンプを左心房脱血、下行大動脈送血にて接続し、右心ポ
ンプを上大静脈と下大静脈から脱血し肺動脈に送血するように接続し両心補助状態でポンプの運転を開始した。その後、
左心房を電気刺激し自然心臓を停止させたのち心室をクランプして人工心臓のみによって循環を維持する状態に移行さ
せた。左心平均拍出量 5L/min 100mmHg の出力は 2070rpm、消費電力 5W(エネルギー効率 22%)にて得られた。これは
一般的な左心補助人工心臓と同等レベルである。また最大 15L/min 以上の流量が得られ自然心臓の機能を完全に代行し
える。急性動物実験では流量は左心 4L/min、右心 3.8L/min、大動脈圧 100mmHg、肺動脈圧 35mmHg 程度で循環を維持
することができた。両心ともに吸着が発生したがポンプ出力を下げて吸着を解消した。慢性動物実験に向け、制御駆動
方法の検討、デバイスのアップデートを進めている。
FC-6-3
Development of the assist device for Total CavoPulmonary Connection with
“shape-memory alloy fibers”
○山田昭博 1、白石泰之 2、山岸正明 3、森山真樹 4、掛川竜馬 4、矢野宏行 4、上田貴由 4、山崎晃司 4、
新垣清貴 4、冨田彩香 4、山家智之 2、望月修一 4、本間 大 5
1
東北大学大学院医工学研究科、2 東北大学加齢医学研究所、3 京都府立医科大学 小児心臓血管外科、
4
大阪工業大学工学部 生体医工学科、5 トキコーポレーション
Total cavopulmonary connection (TCPC) is one of the most widely used for complete congenital heart disease as
the single ventricle and the hypoplastic left heart syndrome. Patients after TCPC have no ventricle in pulmonary
circulation. In this study, the pulmonary circulation assist device for TCPC was developed. The actuator of the
circulation assist device used shape-memory alloy fiber (BMF 100, Toki Corporation). The extracardiac conduit of
TCPC wrapped with shape-memory alloy fibers. Heat generation with electric current contracts these fibers and the
conduit. The contraction rate of this fiber is only 3-4% . It is not enough for the assist device. To increase contraction
rate, the length of the fibers make double with "the horseshoe shape" unit. This assist device was evaluated by
the mock circulation with water. The flow rate was 10mL/min. These results indicate the possibility of pulmonary
circulation assist with this device.
FC-6-4
Magnetically levitated therapeutic artificial heart
○北郷将史 1、増澤 徹 2、浮田啓悟 2、西村 隆 3、許 俊鋭 3
茨城大学大学院理工学研究科 機械工学専攻、2 茨城大学工学部 機械工学科、3 東京大学医学部
重症心不全治療開発講座
1
本研究では,急性心不全患者を対象として,自己心機能回復に主眼をおい
た人工心臓の開発を目的としている.心機能回復には,数カ月にわたる高
流量補助による心臓収縮期の冠動脈血流量増加と負荷軽減が必要であるた
め,流量 20L/min 送出可能な磁気浮上型治療用人工心臓の開発を行ってい
る.図に本人工心臓の概略を示す.磁気軸受ステータとモータステータに
より,永久磁石と磁性体から成るロータを有す浮上インペラを挟み込む構
造とした.磁気軸受側とモータ側で発生する磁気吸引力を釣り合わせるこ
とでインペラの浮上および回転を行う.インペラは流体機械の経験的設計
理論に基づき,目玉径 16mm,羽根枚数 6 枚のクローズドインペラとした.
今回,外径 50mm,高さ 55mm の磁気浮上モータと専用遠心ポンプの設計,
評価を行ったので報告する.
− 131 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
午前の部
1
日
FC-6-2
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
FC-6-5
Flow visualization in a centrifugal blood pump under a pulsatile condition
○中山公博 1、築谷朋典 2、巽 英介 2、大場謙吉 3、石田宏輝 1
関西大学大学院工学研究科 システムデザイン専攻、2 国立循環器病センター研究所 人工臓器部、
3
関西大学システム理工学部
1
午前の部
(金)
人工心臓は心臓病などで弱った心臓のポンプ機能を人工的に補助および代替する装置であり、近年の循環器病治療にお
いて大きな役割を果たしている.補助人工心臓の重要な課題の一つとして溶血・血栓の防止が挙げられる.これらの発
生には人工心臓内の拍動流や乱流が関係しているため、内部流れを理解することは重要である.本研究では遠心ポンプ
型補助人工心臓に注目し、内部流れを PIV および LDV を用いて可視化することで、拍動流下と定常流下での流れ場の比
較、流れの乱流成分(レイノルズ応力)が血球に与える影響について調べることを目的とした.測定箇所は、血液ポンプ
内で最も流路が狭い領域でせん断応力が高いと考えられるインペラ - ケーシング間と、流れの乱れが生じやすい舌部付
近の二箇所で流れの可視化を行った.LDV を用いたインペラ - ケーシング間の流速分布測定より、乱流境界層が存在し、
また高流量時と比較して低流量時の方が壁面せん断応力が高くなることが分かった.よって低流量時での壁面せん断応
力を血球に影響を与えない範囲とするように人工心臓を設計する必要があることが分かった.PIV を用いた舌部の可視
化からは、拍動流による流量の変動が流れ場に及ぼす影響は小さいことが分かった.またレイノルズ応力が粘性せん断
応力よりも大きさが 10 倍以上であることが分かった.よって血球に働く応力としてレイノルズ応力も考慮に入れる必要
があると考えられる.
FC-6-6
Study on development and performance evaluation of the artificial lung for
Total Liquid Ventilation
○横井 涼 1、山中由宇 1、舟久保昭夫 1、野中一洋 1、福長一義 2、矢口俊之 3、福井康裕 1
1
東京電機大学、2 杏林大学、3 ミシガン大学
我々は、再循環回路を付加した完全液体呼吸システム(再循環型 TLV システム)における TLV 専用人工肺の開発を行っ
ている。従来の多段型人工肺では、膜面積の増加に伴い Perfluorocarbon(PFC)流路長も 280mm と長くなるため、流
路の後半部での PFC -ガス分圧差が非常に小さくなってしまい、目標値である PO2 400mmHg 以上、PCO2 5mmHg 以
下に保つことが困難であった。そこで本研究では、更なるガス交換能の向上をはかるため、膜面積 1.1m2、PFC 流路
長 60mm、PFC 充填量 420mL を有する中空糸膜部を一段とした TLV 専用人工肺を作製した。新たに作製した人工肺を
再循環型 TLV システムに組み込み、in-vitro 実験を行った。再循環回路の PFC 流量 1.0、1.5L/min、酸素ガス流量 5L/
min、一回換液量 40mL、呼吸回数 8 回 /min で TLV システムを 60 分間動作させた。結果として、PO2 の値は目標であ
る 400mmHg 以上の値を保つことが可能であった。再循環 PFC 流量が 1.0L/min の場合では PCO2 の値を目標値である
5mmHg 以下に保つことは困難であったが、再循環 PFC 流量が 1.5L/min の場合では PCO2 の値を 5mmHg 以下に保つこ
とが可能であった。以上の結果より、作製した TLV 専用人工肺は多段型人工肺と比べ高いガス交換能を得ることが可能
であると示唆された。
FC-6-7
Evaluation of energy loss of a newly designed paediatric ePTFE heart valve
○矢部翔太 1、鈴木一郎 1、Sugai Telma Keiko1、西條芳文 1、三浦英和 2、劉 紅箭 2、金野 敏 2、
白石泰之 2、山家智之 1,2、田中 隆 3、梅津光生 3、宮崎隆子 4、山岸正明 4
1
東北大学大学院医工学研究科 医工学専攻、2 東北大学加齢医学研究所、3 早稲田大学 TWins、4 京
都府立医科大学
先天性心疾患のための右心流路再建の新しい方法として,生体におけるバ
ルサルバ洞形状(Bulging Sinus;BS)を有する ePTFE 製心臓代用弁による
循環制御の方法論が提案され,小児心疾患の外科的治療法の一つとして国
内ですでに臨床応用されている.解剖学的に生体と類似した新しい形態を
有するため,流体力学的に最適な形状設計のためには医工学的技術を用い
た性能評価を行う必要がある.本研究では,小児心臓代用弁評価のために,
小児肺循環の血圧と流量を模擬する一巡の流体回路を作成し,臨床用心エ
コー装置を用いた人工弁内部の流れ観測が可能なシステムを構築した.作
成した流体回路を用いて BS の有無による心臓代用弁の損失エネルギーの比
較,検討を行った.その結果,弁周囲構造の有効性が示唆された.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 132 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
一般口演 7「機器開発 1」
Basic study of less-invasive heating and thermometric method by the fine
ferromagnetic particle with low Curie temperature for the hyperthermia.
○水戸部一孝、呉 硯峰、鈴木雅史、吉村 昇
秋田大学工学資源学部 電気電子工学科
午前の部
(金)
Cancer cell induces apoptosis by the temperature over 43 Celsius degree.
In this study, we aim to induce apoptosis of cancer cell using a local
heating by the fine Ferrite particle with Low Curie Temperature (FLCT)
that were injected to the malignancy by a syringe. In this research work,
we coated the FLCT with a metal material in order to improve the heat
generation efficiency. The magnetic permeability of FLCT decreased
around the Curie temperature; therefore we can use FLCT as a thermal
probe by measuring of the changing vector of the magnetic flux at the
outside of human body noninvasively. In this paper, we describe about the
experimental setup and in vitro experimental results.
FC-7-2
Development of patch and device for endoscopic coverage of
myelomeningocele - Upgrading of fixed power by better sequence location and
size of pins
○鈴木裕之 1、井手亜希子 1、山下紘正 1、正宗 賢 1、廖 洪恩 2、千葉敏雄 3、土肥健純 1
1
東京大学大学院情報理工学系研究科、2 東京大学大学院工学系研究科、3 国立成育医療センター臨
床研究開発部
胎児脊髄髄膜瘤(MMC)は胎児期に不十分な脊椎の保護により脊髄組織が
露出してしまう胎児期の疾患である.出生後に様々な神経後遺症が残り,
QOL の低下を引き起こす疾患であるため,迅速な対処が必要となる.しか
し,従来の方法である,子宮内でパッチにより患部をふさぐ手法では胎児
に縫い付けることが困難であり,高い手術技量が要求されることがネック
となっていた.本研究では,押し付けるのみで簡単に取り付けることが出
来る内視鏡下手術用パッチと取り付け用デバイスを開発することを目的と
する.本稿では,これまで制作したパッチの水平方向固定力の性能を向上
させることを目的とする.パッチに取り付けられたピンの長さ,太さ,ピ
ンの配置を改善する方法で性能を向上させた.新型パッチを用いた評価実
験の結果と考察を報告する.
FC-7-3
Puncture Accuracy by Guiding Needle with a 2-DOF Non Metal Manipulator
Equipped with Pneumatic Stepping Actuators inside Open type MRI
○佐嶌浩之 1、佐藤生馬 1、山下紘正 1、廖 洪恩 2、土肥健純 1、正宗 賢 1
1
東京大学大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻、2 東京大学大学院工学系研究科
MR 画像誘導下手術支援デバイスには MR Compatibility が要求される。特
に、この制約条件をクリアする際に問題となるのがアクチュエータ部分で
ある。そのため、強磁場環境下で利用可能な超音波モータが広く利用され
てきた。しかし、圧電素子駆動時に発生する電磁波を防ぐためにモータ本
体やケーブルの全てにわたって、電磁シールドを入念に施さないといけ
ない等の問題がある。そのため、我々は電磁波を発生しない空圧式の MR
Safe ステッピングアクチュエータを開発した。また、このアクチュエータ
を穿刺支援マニピュレータに搭載し、光学式 3 次元位置計測機を用いるこ
とで MR 画像上のファントム内のターゲットへの誘導及び穿刺実験を行い、
MR 対応性及び穿刺精度評価を行ったので報告する。
− 133 −
25
日
FC-7-1
10:35-12:05 第 6 会場
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
日
25
FC-7-4
3D error distribution of EM tracking surgical navigation for oral cancer
treatment using retrograde superselective intra-arterial infusion
○大屋貴志 1,2、廖 洪恩 2、王 君臣 2、小林英津子 2、大原良仁 1、岩井俊憲 1、光藤健司 1、藤内 祝 1、
佐久間一郎 2
1
横浜市立大学大学院医学研究科 顎顔面口腔機能制御学、2 東京大学大学院工学系研究科 精密機
械工学専攻
午前の部
(金)
我々は、現在までに浅側頭動脈や後頭動脈よりの逆行性超選択的動注化学療法を施行し口腔癌に対し高い治療効果を得
てきた。この手法は、口腔癌の腫瘍栄養動脈に、先端が彎曲したカテーテルを超選択的に留置し、抗癌剤を投与する手
法である。しかし、この手法はカテーテルの先端が直視できないために留置が困難な症例が存在する。現在は術中に造
影剤を投与しながら C-arm による 2 次元画像により先端の位置を確認しているが、留置困難症例では手術時間が長くな
ることに加え、X 線被爆量や造影剤使用量が増加し患者への侵襲が大きくなる。そこで我々は磁気式位置計測手法を用
いたカテーテルナビゲーションシステムによる新しい術式の考案に着手している。本研究ではまず磁気式位置計測装置
である NDI Aurora electromagnetic tracking system(NDI Inc, Waterloo, Canada)の特性と限界に考慮しつつ手術支援
システムを構築する必要があるため、6DOF センサプローブの位置決め装置を作製し、3 次元空間上の位置誤差分布を視
覚化した。また、理想的環境下の実験室と実際の手術室における誤差分布の比較を行ったため報告する。
FC-7-5
A novel PDT system with a DDS-type photosensitizer and a homogenous
irradiation fiber probe for urinary bladder cancer.
○宮崎幸造 1,2、守本祐司 2、村岡未帆 1,2、熊谷康顕 1、堀江壮太 1、福島重人 1、四ノ宮成祥 2、西山伸宏 1、
片岡一則 1
1
東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター 臨床医工学部門、2 防衛医科大学校 分
子生体制御学講座
光線力学的療法(PDT)は、早期がんに対して既に臨床応用されている低侵襲治療法の一つであるが、現在、膀胱がん
に対して PDT を行う際の有効な光増感剤はない。過去にフォトフリンを用いた PDT の臨床試験が行われたが、膀胱委
縮等の副作用により臨床応用は断念された。我々はこれまでに、腫瘍集積性の高い光増感剤内包高分子ミセルであるデ
ンドリマーフタロシアニンミセル(DPc/M)を創製し、高い腫瘍集積性および抗腫瘍効果を示してきた。さらなる PDT
効果の向上を目指し、膀胱内を均質に照射できる光照射ファイバープローブ(Homogenous Irradiation Fiber Probe:
HIFiP)の開発も行ってきた。本研究では、DPc/M と HIFiP を用いた PDT を行い、多発性、びまん性に増殖する膀胱が
んに対する抗腫瘍効果ならびに副作用(膀胱萎縮)の発現について検証した。その結果、この組み合わせによる PDT では、
保険収載されている光増感剤(フォトフリンやレザフィリン)を用いた PDT に比べ、副作用の発現が有意に抑制された。
さらに HIFiP による光照射では、従来型の光照射ファイバーを用いた場合に比べ、膀胱内腔面の約 80%にわたる広範囲
の粘膜面に均質な光照射ができた。現在、HIFiP を用いた PDT の抗腫瘍効果の解析を進めている。
FC-7-6
Selective treatment of carious dentin using a nano second pulsed laser with
6µm wavelength range
○佐伯将之 1、石井克典 1、吉川一志 2、保尾謙三 2、山本一世 2、粟津邦男 1,3
1
大阪大学大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻量子エネルギー工学講座量子ビーム応用
工学領域、2 大阪歯科大学 歯科保存学講座、3 福井大学附属国際原子力工学研究所
Er:YAG laser is used for carious excavation in Japan. However Er: YAG laser may lead to a less controlled removal
because it is difficult to predict the ablation rate. The objective of this study is to develop the laser caries treatment
technique based on the concept of minimal intervention. From the absorption property of carious dentin, 6 µm
wavelength range which corresponds to the absorption band of Amide I and Amide II was selected for irradiation
experiment. Sound and demineralized dentin samples were irradiated with the difference-frequency generation (DFG)
laser at the wavelength of 6 µm range. In using DFG laser tuned to λ=6.02 µm at the average power density of 15
W/cm2, demineralized dentin was removed selectively with less-invasive irradiation effect on sound dentin. This study
suggests that 6 µm wavelength range can realize the predictable, selective and less-invasive laser treatment of carious
dentin for minimal intervention.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 134 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
Ho: YAG laser sealed irradiation for external drug delivery to the nail.
We have proposed nail modification method using newly developed sealed irradiation of Ho: YAG laser to enhance
permeability of topical antimycotic drug to a nail. We had developed unique sealed irradiation method of Ho: YAG
laser to the nail. Many tiny tunnels were made by this irradiation to enhance permeability of the drugs. We studied
to understand the mechanism to make these tunnels if these were made of laser induced water vapor from whether
inside or outside of the nail. We designed several irradiation conditions, that is, 1) the sealed irradiation described
above, 2) the sealed irradiation that the distance between the fiber-tip and the nail surface was over penetration depth
of Ho: YAG laser against water, 3) non-contact irradiation under air atmosphere without the sealed attachment. The
case 1) only reveals permeability enhancement. Therefore, we found that water vapor both from inside and outside of
the nail account for nail modification.
FC-7-8
Regulatory System of Respiratory Impedance for Improvement of Ventilation
Efficiency
○檮木智彦、若松秀俊
東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
The influence caused by dynamic compliance and obstruction of bronchiole is theoretically reduced by the regulation of
the respiratory impedance. The pertinent system regulates total respiratory impedance to keep its desirable value by
the suitable operation of breathing circuit in the respirator. An unknown patient's respiratory impedance is estimated
by using adaptive identification. Under the same pressure in the airway, the impedance which realizes all the possible
quick inspiration and slow expiration should be required in order to reduce the influence of dynamic compliance and
to prevent the obstruction of bronchiole. The improvement of ventilation efficiency may reduce necessary pressures
of airway and pleura. Thus, the developed system may contribute to the improvement of ventilation efficiency as
well as to the prevention of circulatory disorder, renal failure and insufficiency of alveolar gas exchange due to high
intrapleural pressure.
FC-7-9
Development of the internally reconstructable tool for laparoscopic surgery
廣田和明、○浜島彰徳、加藤大香士、生田幸士
名古屋大学大学院工学研究科 マイクロ・ナノシステム工学専攻
我々は内視鏡手術用ロボット「マイクロフィンガー(MF)」を開発してきた.
MF は先端に直径 3mm の多自由マニピュレータを持ち,把持型・電気メス
型等を使い分けることで多様な術技に対応できる.この MF を腹腔鏡手術
に応用することにより,低侵襲性の向上と高度な手技の実現を両立できる.
しかし MF は柔軟な体幹を持ち,単体での術部到達が困難であった.そこ
で MF を術部まで誘導する「ガイドツール」を新たに開発した.ガイドツー
ルには,体内深部到達のための 2 屈曲関節と広範囲の作業領域を実現する
ための開閉機構が備わっており,手元のコントローラで手動操作する.我々
はこの試作ガイドツールを用いて術技を行い,腹腔鏡手術に対する有用性
を確認した.
− 135 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
25
(金)
午前の部
○奥田 晋 1、古保和也 1、久保田信雄 2、野沢 暁 2、荒井恒憲 1
1
慶應義塾大学大学院理工学研究科 基礎理工学専攻、2 株式会社ポーラファルマ医薬研究所
日
FC-7-7
25 日(金) 午後の部
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
特別講演
セッション題目
SL-1
座長
「Perspective on medical treatment, welfare and nursing in Aging
Society」
千田 彰一
シンポジウム
座長
「脳の活性化と脳機能計測」
酒谷 薫・八木 透
S-5
「医療・福祉の現場を有効に支援する医工看介ユビキタス医療システム」
保坂 良資・室橋 高男
S-6
「オンサイト診療を目指す医工連携研究~都市エリア産学官連携保進事
業(発展型)−びわこ南部エリア−の研究成果~」
小西 聡・来見 良誠
S-7
「日本医療機器ものつくりフォーラム」
土肥 健純・谷下 一夫
オーガナイズドセッション
セッション題目
座長
OS-3
「VR と医療」
大城 理
OS-4
「ニューロリハビリテーションとロボティクス支援」
山本 敏泰
一般口演
セッション題目
座長
FC-8
「イングリッシュセッション:機器開発」
牧川 方昭・杉町 勝
FC-9
「イングリッシュセッション:診断機器」
吉田 正樹・清水 壽一朗
FC-10 「超音波計測・応用」
石原 謙・椎名 毅
FC-11 「機器開発 2」
大内 克洋・石原 美弥
FC-12 「機器開発 3」
中村 英夫・鈴木 隆文
− 139 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
25
(金)
午後の部
S-4
日
セッション題目
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
ポスターセッション
セッション題目
座長
菅 幹生
PS1-2 「治療 2」
加藤 大香士
PS1-3 「治療 3」
荒井 恒憲
25
PS1-4 「マイクロナノテクノロジー」
松浦 宏治
PS1-5 「超音波」
桝田 晃司
(金)
PS1-6 「磁気 1」
樋脇 治
PS1-7 「磁気 2」
清水 寿一郎
PS1-8 「磁気 3」
呉 景龍
PS1-9 「細胞 1」
田畑 泰彦
PS1-10 「細胞 2」
澤田 和也
PS1-11 「細胞 3」
須藤 亮
PS1-12 「細胞 4」
野中 一洋
PS1-13 「手術室の ME」
黒田 知宏
日
PS1-1 「治療 1」
午後の部
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 140 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
特別講演 1
SL-1
13:00-13:55 第 1 会場
Perspective on medical treatment, welfare and nursing in Aging Society
○辻 哲夫
東京大学 高齢社会総合研究機構
S-4-1
14:00-16:00 第 1 会場
Evaluation of cognitive function using NIRS
○酒谷 薫
日本大学医学部 脳神経外科
高齢化社会の進展に伴い,認知症やストレス性のうつ病などの精神神経疾患が急速に増加しており,脳とこころの健康
を維持・増進し,脳疾患を予防する方法を確立することは極めて重要な課題である.このためには、脳機能を客観的か
つ簡便に評価する方法を確立する必要がある。本講演では、近年注目を集めている近赤外分光法(NIRS)による高次脳
機能評価法について述べ、その利点と問題点について考察する。現在、NIRS による脳機能計測にはマルチチャンネル
NIRS が使用されることが多い。マルチチャンネル NIRS を用いたうつ病の評価方法が報告されている。うつ病では言語
課題遂行時の酸素化ヘモグロビン(Hb)の上昇程度が健常例よりも低下していることより客観的にうつ病を診断するも
のである。一方で、2 チャンネル NIRS を用いてストレス課題遂行時の前頭前野の活動の左右差よりストレス度を評価す
る方法が報告されている。マルチチャンネル NIRS は、脳機能の情報量は豊富であるが、プローブ装着に時間がかかる、
プローブ装着の不快感、データ解析が難しく長時間を要する等の欠点もある。一方、2 チャンネル NIRS は、脳機能情報
量は限定されるが、マルチチャンネル NIRS の有するこれらの欠点は少ない。また、短パルス光を用いた時間分解スぺ
クロスコピーは、安静時の Hb 濃度の絶対値計測が可能であり、認知症やうつ病などの診断への応用が期待される。
S-4-2
Everyday use of food supplement can improve cognitive function and
prefrontal activity
○谷田正弘 1、平尾直靖 1、酒谷 薫 2
1
資生堂リサーチセンター、2 日本大学医学部 脳神経外科
Many food supplements aim to improve decrement of cognitive function. However, the neural correlates of improved
cognitive performance associated with ingestion of such food supplements are unclear. Working memory (WM) is
a system for actively maintaining and manipulating information, and forms an integral part of the human memory
system. Extensive data on human and non-human primates have suggested that the lateral prefrontal cortex (LPFC)
plays a central role in WM. In the present study, employing quantitative time-resolved near infrared spectroscopy
(TRS), we measured cerebral blood oxygenation in LPFC at baseline and during Stanberg test (ST) as a WM task, and
compared the results with task performance. And using the same ST measurement, we examined how Ginkgo biloba
extract, α -lipoic acid and L-carnitine (GLC) supplementation could affect neuronal activities at the prefrontal cortices
for improving working memory performance of healthy female subjects in their forties.
− 141 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
シンポジウム 4「脳の活性化と脳機能計測」
25
日
日本においては前例のない高齢化が世界に先駆けて進行している。とりわけ、あと 20 年程度で 75 歳以上の高齢者が倍増
するという未曽有の経験をすることになる。これまでは若死にとの戦いが医療の中心で、いわば病院信仰とも表現され
るような病院医療中心の時代であったと言える。一方近年は高齢期を経て死に至る過程で多くの場合は虚弱な期間を経
る。多くの高齢者は何らかの疾病にかかっていることが一般なので多くの高齢者が虚弱な病人となるといえるが、高齢
者はそれ以前に生活者であり、その人がその人らしく地域の中で生活を享受できるように医療が生活者としての高齢者
にどう向き合うかが問われている。結論から言うと「治す医療」から「治し、支える医療」へ幅を広げることが求められて
いる。すなわち、「病院完結型」から「地域完結型」へ、具体的には「病院の医療機能の分化連携と生活の場を支える在宅
医療の普及」へという転換が求められている。そしてこれと在宅福祉、在宅介護のシステムが連携し、さらには住宅の
バリアフリー化や集合住宅の再開発等のまちづくりに連動させていく必要がある。このような流れの中で、医療福祉介
護関連の機器が大きく発展することが期待されている。
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-4-3
Effects of hand massage on prefrontal cortex activity
○町田明子 1、金丸千枝美 1、高野ルリ子 1、高田定樹 1、酒谷 薫 2
1
株式会社資生堂 ビューティーソリューション開発センター、2 日本大学医学部 脳神経外科
日
25
午後の部
(金)
Hand massage is effective for promoting relaxation; however, the neuronal mechanism has not yet been clarified. In
this study, we evaluated the effects of hand massage on prefrontal cortex (PFC) activity and hypothalamo-pituitaryadrenal gland (HPA) axis function. Subjects comprised 20 women (age, 37.9 ± 4.7 years) who received a 20-minute
massage. Using time-resolved near-infrared spectroscopy (TRS-20, Hamamatsu Photonics, Hamamatsu, Japan), we
measured hemoglobin (Hb) concentrations in the PFC during massage. We also measured heart rate during massage
and State-Trait Anxiety Inventory (STAI) score before and after massage. As control data, the same measurements
were taken during (heart rate, Hb) and before and after (STAI) a 20-minute rest period. Oxy-Hb concentration
significantly decreased during the first 10 minutes of the rest period and during the second 10 minutes of massage.
Heart rate decreased earlier during massage and the decrease in STAI score was significantly larger after massage
compared with control data. This result suggests that hand massage acts on brain activity and reduces HPA axis
activity via a mechanism different from that of rest.
S-4-4
Possibility of Preventive Care by Robot Therapy
○和田一義
首都大学東京 システムデザイン研究科
人の心に働きかけ,人に楽しみや安らぎなどを提供する「メンタルコミット
ロボット」の研究開発を(独)産業技術総合研究所と共同で行っている.特に,
動物型ロボットとすることで,アニマル・セラピーがもつ様々な効用をロ
ボットで実現することを目的とする「ロボット・セラピー」を提唱し,その
研究開発を進めている.動物型ロボットの形態として,犬や猫のようにあ
まり身近ではないため,かえって違和感なく人から受け入れられやすいア
ザラシ型のロボット「パロ」を用い臨床実験を行ってきた.これまでに,国
内外の各種高齢者向け福祉施設や病院において実験を行い,心理的,生理的,
および社会的効果を確認した.本発表では,パロを用いたロボット・セラピー
による介護予防の可能性について述べる.
S-4-5
Effects on the auditory evoked potential caused by ultra-sonic wave
property
○堀田健治
日本大学理工学部 海洋建築工学科
超音波は一般に 20kHz 越え振動する音で、人間は聞こえない音と定義されている。本研究ではこれら超音波が皮膚振動
や骨振動を介して、中枢神経の反応に何らかの影響を及ぼしているのではないかと考え、自然音、楽器音を音源としな
がら、被験者に対し超音波の有無(超音波あり:20kHz-100kHz)その他超音波の特性を変え脳波計測を試みたものである。
また追加実験として伝達経路が鼓膜、皮膚・骨振動によるものかを合わせて計測を行なった。その結果、超音波の有無では、
有りで 8Hz ~ 13Hz の脳波が有意に活性したこと、また可聴域周波数に別の超音波を重ねて提示しても、同様の結果となっ
た。超音波の周波数特性的ではゆらぎを有する超音波でより活性が観察された。また、気導音による伝達経路は耳を介
して伝達される示唆を得た。
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 142 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-4-6
Nature Theraphy
○宮崎良文 1、朴 範鎭 1、李 宙営 1、恒次祐子 2
千葉大学 環境健康フィールド科学センター、2 森林総合研究所
1
S-5-1
Energy Transmission for Implantable Medical Devices Using Capacitive
Coupling
○柴 建次 1、丸山大海 2、檜垣直哉 2
1
東京理科大学基礎工学部 電子応用工学科、2 広島大学
体内深部に置かれる小型医療機器への新しい電力伝送方法として,人体組
織に高周波電流を流すことで,電力を伝送する方法を提案する.人体表面
と小型医療機器にそれぞれ 2 枚の送電電極及び受電電極を配置し,人体組
織の容量成分を介して,電力を伝送する方法である.本稿では,NICT の日
本人男性の数値人体モデルの腹部と背部に,160mm ×横 125mm の送電電
極を貼り付けたモデルを用い,10MHz の電流を流して電力伝送した場合の
受電電力を求めた.その結果,4.7mW の受電電極を得ることができ,伝送
方法として利用出来る可能性があることがわかった.また,電極と人体が
触れる部分において,最も電流密度が高くなることが明らかとなり,この
部分の電流密度を下げることが今後も課題となった.
S-5-2
Availability Estimation of Bed-side Patient Identification by New 950MHz
Band Flexible RFID Tag
○保坂良資、杉本直幸
湘南工科大学工学部 情報工学科
著者らは患者の QOL 向上のため,小型軽量で柔軟な RFID タグを開発した.
このタグは認証距離が大きく,患者が着用して損失が生じても,布団越し
に認証が可能と予測される.本研究ではこれによるベッドサイド患者認証
を想定し,可能性を実験的に検討した.ビニール製リストバンドにこのタ
グを貼付し被験者に着用させ,布団の有無など条件を変えて認可証距離を
測定した.試行数は各条件毎に 20 回とした.リーダは出力 10mW のハンディ
リーダを用いた.実験結果から布団無し・薄手ポリエステル布団・厚手ポ
リエステル布団・羽毛布団のいずれの場合でも 39mm から 46mm の認証距
離が得られた.これはベッドサイド認証の範囲では必要十分な特性である.
またリーダ周辺では,埋込型ペースメーカの安全基準を逸脱する強度の電
界は観測されなかった.
− 143 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
シンポジウム 5「医療・福祉の現場を有効に支援する医工看介ユビキタス医療システム」 16:10-18:10 第 1 会場
25
日
我々は自然に触れたとき、リラックスした感覚を持つ。人間はヒトとなって 500 万年が経過し、自然環境下において、
進化という過程を経て、現代文明下に住む今の人間となった。人間の体は自然対応用にできているのである。一方、こ
のリラックス感を言葉で説明することは難しい。論理的な思考を介することなく、直観的に、非論理的に感じとるから
である。そこで、生理指標が重要な役割を果たすことになる。これまでは、自然がもたらすリラックス感に関する科学
的データの蓄積は十分であるとは言い難かったが、最近の生理的リラックス効果の評価法の進歩を受け、生理データが
急速に蓄積されつつある。本講演では、全国 35 ヶ所の森林、420 名の被験者を用い、唾液中コルチゾール濃度、心拍変
動性による自律神経活動(交感・副交感神経活動)、血圧、心拍数を指標とした生理実験を紹介する。さらに、近赤外時
間分解分光法を用いた絶対値計測による前頭前野活動の鎮静化についても言及する。加えて、森林セラピーによる低下
していた免疫機能の改善効果についても紹介する。我々は、自然対応用の生理機能を持って、現代の都市化・人工化さ
れた社会を生きているため、常に緊張状態が高すぎる、交感神経活動が強すぎる状態にある。この高すぎる緊張状態を
鎮静化させ、人としての「あるべき姿」に近づいたとき、低下していた免疫機能ならびに脳機能の向上が期待されると考
えている。
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-5-3
Application of Surgical Instrument with RFID on Medical Site
○山下和彦 1、岩上優美 1、小松弘英 2、田中慎一 3、倉岡圭子 3、本田 宏 4、小美野勝 4、島田茂伸 5、
大林俊彦 6、齋藤祐平 6、保坂良資 7、井野秀一 8、伊福部達 9、大久保憲 1
1
東京医療保健大学医療保健学部 医療情報学科、2KRD コーポレーション、3 聖マリアンナ医科大
学、4 済生会栗橋病院、5 東京都産業技術研究センター、6 東京大学医学部附属病院、7 湘南工科大学、
8
産業技術研究センター、9 東京大学
日
25
午後の部
(金)
本研究では RFID タグを手術器械に取り付け,手術の安全性向上,手術器
械の適切な管理を目的としている.本報告では,医療現場で使われる洗浄
機器,高圧蒸気滅菌器を用い,洗浄・滅菌耐性,ATP 法で洗浄によるタグ
取り付け部の汚染状況,衝撃による脱落,動物実験による外科医・看護師
の手術器械の使用感について調べた.その結果,洗浄,滅菌による破損,
通信不能事例はなかった.洗浄不良による汚染を調べた結果,タグ取り付
け部が 38.7 ± 6.1[RLU],鉗子ボックスロック部が 39.8 ± 6.0[RLU]であり,
十分な洗浄状況を確認した.衝撃による脱落試験についても故障や脱落は
発生しなかった.動物実験による使用感についても不具合はないと回答し
た.以上,手術現場での使用に耐えうる RFID タグ付き手術器械の開発が
行えた.
S-5-4
It aims at safety and efficient operation of the infusion pump and the syringe
pump.
○室橋高男、小柳智康、高橋大樹、完戸陽介、笠島 良、石川俊行、橋本佳苗
JA 北海道厚生連札幌厚生病院 医療技術部臨床工学技術科
近年における医療機器は、治療上重要な存在となっている。今回は、臨床でもっとも多数の人に利用される機会が多い
輸液・シリンジポンプについて管理記録を分析し、現状における運用上の問題点を整理し、IC タグなどを利用した効率
的運用方法を提案する。当院の ME センターは、各科共通で使用する機器を中央管理のもとに効率的に運用することを
目的とし、主に貸出業務、機器の定期点検等を行っている。各種手続きは、伝票を使用した上でバーコードを利用し管
理している。シリンジポンプ回転率 46.6%、点検回数 573 件、修理回数 17 件、輸液ポンプも同様に、76.5%、1,710 件、48
件となっており、内容を検討した結果、取り扱い方法などの周知で防止可能と思われるものが 61%を占め、特に「落下や
転倒や衝撃」は、その中の 52%となった。この結果から、患者様にも医療機器が治療に対し重要との認識のもと、大切に扱っ
て貰う環境作りが必要。しかし、運用上の問題に HOSMA 分析上出てこない機器の「行方不明」がある。その理由は、手
続きを踏まずに貸し借りが発生することにあり、伝票に記入するという行為が利用者の障害となっている。回転率の向
上と点検作業の効率化を狙い、手続きの簡素化および業務軽減を図るために、IC タグの利用が望まれる。しかし、セキュ
リティー上の問題を考え、ユビキタスという概念に基づくシステムを組み合わせたものが有効と考える。
S-5-5
Care for patients with Duchenne muscular dystrophy using noninvasive
ventilation and assistive technology
○竹内伸太郎
国立病院機構八雲病院 看護課
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、進行性の筋力低下と筋委縮を伴う小児期発症の遺伝性神経筋疾患で、思春期に呼
吸不全・心不全を呈し生命予後を大きく左右する。欧米では呼吸機能障害に対して気管切開をせず、鼻マスク等によっ
て人工呼吸器を接続する非侵襲的陽圧換気療法が選択され、全身筋力低下に対する電動車いすの使用によって、QOL は
低下することなく維持されると報告がある。しかし我が国ではこれらの医療情報が行き渡らず、気管切開や離床困難な
例が多発している。この現状を鑑みると適切な医療情報の共有システムや、支援機器に関して医工看介のさらなる連携
が求められる。そこで八雲病院における筋ジストロフィーケアと支援機器の活用を示し、
(1)呼吸管理の問題(2)電動車
いす乗車に関する問題(3)パソコン操作の問題を述べる。(1)については、呼吸ケアの概要として不要な気管切開による
離床困難や酸素投与による炭酸ガスナルコーシス。呼吸ケアの現実的な問題として、人工呼吸器は故障するという認識
の不足。救急蘇生バッグの AED 並みの普及。(2)については、電動車いす搭載の人工呼吸器や外部バッテリー。自走時
のコントローラー入力装置と制御。(3)については、入力装置やモニター画面、画面スタンドとアーム類などに関して
検討する。これらから慢性疾患の難病ケアにおける情報共有システムの重要性と、医工看介連携で患者の QOL が広がる
可能性について考えたい。
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 144 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-5-6
Discussion of the safety of the medical instruments in home care for
children
○守口絵里
明治国際医療大学看護学部 看護学科小児看護学講座
Potential Applications of a Novel Actuator Using a Metal Hydride Alloy in
Healthcare and Welfare Services
○井野秀一 1、佐藤 満 2、細野美奈子 3、山下和彦 4、中島佐和子 3、泉 隆 5
産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門、2 昭和大学、3 東京大学、4 東京医
療保健大学、5 東海大学
1
Recently, social demands for home-based rehabilitation and assistive
technologies by healthcare and welfare services have been globally driven
by an aging society. The development of quality-of-life technologies is
particularly important for elderly and disabled people as well as for their
caregivers. Thus, we developed a novel actuation device using a metal
hydride alloy, called the MH actuator, as a flexible mechanical power
source for healthcare services. This paper highlights potential applications
of the MH actuator in rehabilitation and assistive services, which require
a passive motion machine for joint rehabilitation and a power assistance
system for people with restricted mobility.
シンポジウム 6「オンサイト診療を目指す医工連携研究~都市エリア産学官連携保進事業(発展型)-びわこ南部エリア-の研究成果~」 14:00-16:00 第 2 会場
S-6-1
High Functional Endoscope Developed by Medicine-Engineering Cooperation
○来見良誠 1、谷 徹 1、仲 成幸 1、森川茂廣 3、平野正夫 5、齋藤康晴 4、藤山佳秀 2、小西 聡 6、
野方 誠 6、田中克彦 7、深尾典久 8、藤井利徳 8、斎藤公寿 9、保坂 誠 10
1
滋賀医科大学 外科学講座、2 滋賀医科大学 内科学講座、3 滋賀医科大学 看護学科基礎看護学
講座、4 滋賀医科大学医学部附属病院 光学医療診療部、5 滋賀医科大学 バイオメディカル・イノ
ベーションセンター、6 立命館大学理工学部、7 立命館大学総合理工学研究機構、8 滋賀県工業技術
総合センター、9 富士フィルム株式会社、10 山科精器株式会社
【はじめに】
「オンサイト」、
「癌」、
「低侵襲を」を基本コンセプトとして、高機能内視鏡に関する研究開発を大学、研究所、
企業が連携して行った。【研究開発の方法】内視鏡の開発に際しては、空間的アプローチとして、1. 内視鏡先端部、2. 内
視鏡操作部、3. 内視鏡全体、の 3 つの観点から、また機能的アプローチとして、1. 病変観察、2. 組織採取、3. 手術、の 3
つの観点から研究を行った。【結果】内視鏡本体に関連する開発研究では、1. 先端アタッチメントの開発、2. 鉗子孔直線
化内視鏡、3. 曇りなしレンズ搭載内視鏡、4. 多頭式内視鏡の試作および動作実験、5. 多内視鏡システムにおけるナビゲー
ションソフトを開発した。デバイスに関する開発研究では、1. 空間確保のためのレトラクタ、2. マイクロ波鉗子、3. 細径
鉗子、4. リニアアレイ型超音波プローブ、5. 内視鏡用自在鉗子を開発した。診断用触覚センサ、光診断センシングに関
する基礎研究を行った。【考察】医工連携による開発研究は、ゴール設定が異なることが多く、乱雑な成果物の集合体と
なることが多いが、臨床応用を最終目標にすることにより、機能集約が可能になると考えられた。【さいごに】
「ニーズ
に対するシーズの開発」と「シーズを基にしたニーズの探求」は、医工連携を通して理解が深まり、今後基礎技術の医療
への応用が短縮されるものと期待できる。
− 145 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
S-5-7
25
日
近年、小児科領域においても子どもたちが病気を抱えながらも発達課題を達成し QOL を向上できるよう在宅ケアが重
要視されてきており、在院日数の短縮化に伴って高度な医療的ケアをもって退院する患児が増加している。短い入院期
間の中で家族がケア技術を習得し、退院後在宅では家族がケアを継続している。小児在宅では制度上まだまだ社会資源
の活用は難しく、家族が 24 時間子どものケアに当たることが前提となっているなど、家族にかかる負担は非常に大きい。
在宅において高度な医療的ケアを行う上で精密医療機器の利用は不可欠である。医療スタッフではない家族がケアの中
核を担う状況において、在宅ケアにおいて使用される精密医療機器は可能な限り簡便化され、家族が容易に取り扱うこ
とができるシステムであることが求められる。また、子どもが自己管理できる年齢であれば退院後は子ども自身が医療
機器を取り扱いセルフケアを行っているという事例も少なくない。子どもの QOL の向上にむけて安全・安楽な在宅ケア
が提供されるために、子どもや家族がトラブルなく安全に医療機器を使用・管理できるシステムがさらに期待される。
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-6-2
Design and Development of d1mm Micro Grasp and Biopsy Forceps for
Endoscopic Submucosal Dissection
○野方 誠
立命館大学理工学部 ロボティクス学科
日
25
Laparoscopic forceps and catheters enabling min-imally invasive surgery
(MIS) require microscopic tools. The microforceps we designed using
a minimum number of parts uses Electric Discharge Machining (EDM)
and Metal Injection Molding (MIM) to realize strong mass production.
Microforceps installed in the tip of a catheter. Stress analysis verified its
capability to grasp, bend and turn within the confines of a blood vessels
model.
午後の部
(金)
S-6-3
Endoscopic submucosal dissection retractor based on soft micromachine
○小西 聡 1、来見良誠 2、齋藤康晴 2、藤山佳秀 2、谷 徹 2
立命館大学理工学部、2 滋賀医科大学
1
Recently, minimally invasive surgery is demanded to improve patient's quality of life (QOL) such as recovering rapidly
and reducing damage of patient. However, it is difficult for doctor to operate surgical tool such as forceps in the low
invasive surgery such as endoscopic surgery because operator have to manipulate medical devices in working narrow
space. This paper proposes a novel surgical tool for endoscopic submucosal dissection (ESD) based on pneumatic
balloon actuator (PBA) as soft micromachine.
S-6-4
Liquid Manipulation Technique for Diagnostics from Minute Volume of
Blood
○小林大造 1、小西 聡 2
1
立命館大学 グローバル・イノベーション研究機構、2 立命館大学 マイクロ機械システム工学科
Blood diagnostics have been indispensable for the measurement of the kinds or levels of patient's diseases. Some kinds
of easy-operated diagnostics have been developed, for example Self Monitoring Blood Glucose (SMBG) [1]. Recently,
even mobile type diagnostic systems become possible to measure constituents from minute blood in case that
complicated preparation processes are not required. However, most of diagnostic constituents for health-care testing
or on-site surgery require cell/plasma separation, reagent/sample quantitative dispensing and mixing, and so on. Our
group has developed some devices for these preparation processes of minute blood with the view to improve essential
factors, for example high throughput operation, high collection efficiency of separated plasma and easy-operation. This
paper introduces two types of cell/plasma separation techniques and a quantitative droplet generation technique based
on micro-TAS technology as results of 'City Area Program' at Southern Area of Lake Biwa (development stage).
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 146 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-6-5
Using the power of green nanogold against cancer: Diagnostics and therapy
○犬伏俊郎
滋賀医科大学・MR 医学総合研究センター
25
日
近年、腫瘍の診断・治療が低侵襲で行える手法の確立が望まれ、これに向けた様々なナノ素材の開発が進められている。
中でも金ナノ粒子は表面プラズモン共鳴による光吸収特性を示し、これを利用したバイオイメージングやセンシング技
術の開発、さらには癌の光温熱治療も試みられてきた。しかし、これまでに知られている通常の金ナノ粒子は赤紫色を
呈し、可視光吸収を持つため、動物体内では血液等の色素による光吸収に阻害され、生体内でその光学的な効果を発揮
させることは難しかった。都市エリア事業では新たに 700nm 以上の近赤外帯に特異な吸収を持つ緑色を呈した金ナノ粒
子をはじめて見出し、その合成法を確立した。さらに、生体・医療へ応用するために親水性を付与するとともに、癌細
胞のセンシング機能を付加し、生体内での腫瘍組織への集積を可能にした。また、光温熱治療に適した近赤外の光源を
探索し、この緑色金ナノ粒子を用いた癌の光温熱治療用の近赤外光の照射システムを開発した。講演では、本事業の中
で確立した新しい金ナノ粒子を利用した癌の診断と治療法に関する幅広い分野での成果を報告したい。
午後の部
(金)
シンポジウム 7「日本医療機器ものつくりフォーラム」
S-7-1
16:10-18:10 第 4 会場
The activity of Japan Medical Manufacturing Technology Commons
○谷下一夫
慶應義塾大学理工学部 システムデザイン工学科
本学会にように医工連携を主目的とする学会も多く設立され、活発でレベルの高い研究がなされている。活発な研究実
績の割には、その成果が医療現場まで届いていないという状況が何故続いているだろうか。この問題に関しては 3 つの
要因があると考えられる。即ち医療技術を統括する厚生労働省による規制・審査のあり方、ものつくり分野と医療との
接点、並びに医工連携の人材育成である。規制のハードルの高さに加えて、ものつくりを中心とする工学分野と医学分
野との融合が遅れており、両分野の融合に携われる人材が限られている点が大きな問題である。このような問題意識の
基に、ものつくり基盤分野、臨床医学分野、産業界並びに官界が遭遇できるプラットホームを設立し、医工連携の問題
と向き合うという事を目的に「日本医工ものつくりコモンズ」を設立させた。コモンズの特徴は、それぞれの分野の基盤
的な学会が集まったという点であり、それぞれが同等・共通な立場で情報・意見交換を行えるようにする事が中心で、
その意味で「コモンズ」という名称になっている。即ち、それぞれの立場から医療機器開発の問題に向き合い、将来の解
決策を探る事を目標にして、医工連携共同研究開発の体制を実現させる事を目標にしている。
S-7-2
Manufacturing is the Treasury of Inspiration and Source of Profit
○石原 謙
愛媛大学大学院医学系研究科 医療情報学
「ものつくり」は過去の遺物か? 観光立国や著作権ビジネスは、その国の文化が海外に認められてこそ成り立つもので
あり、投資や海外債権も当該国の状況次第でいつ紙切れになる危険を孕んでいる。結局、日本は完成度の高い、そして
高付加価値商品を提供し続けるしか生きる道は無い。一方、医療福祉介護の分野での強いニーズは、後日世界中で使わ
れる「ものつくり」の最適の刺激である。
医療福祉介護分野における「ものつくり」こそが、これからの日本の戦略産業である。各種の現場があるが、つねに何
らかの新しい「ものつくり」を触発してくれる。現場が呈示する課題や解決のヒントは多い。手や頭を動かし五感がフル
活用される「ものつくり」の過程は、さらに多くのアイデアと改良を提供してくれる。
理系の知識と感性のみで良い製品を出せる時代は終わった。「ものつくり」は理系・文系の枠を越えたところから生ま
れる。経済に明るく、他人とのコミュニケーションを楽しみ、そして技術と数理的学問に通じたデザインセンスのある
ものだけが高感性商品を開発できる。文系・理系という分類と教育を早々に廃止し、「ものつくり」の価値を理解できる
よう、教養のある日本人を育てなければ、明るい未来の日本はない。
高い技術や手仕事の職人や、浮利を追わない教養ある研究者や経営者が、少なからず日本に残っている。今こそ「も
のつくり」の再認識と行動を行うべきである。
− 147 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-7-3
Problems and strategies for collaborative research and development of ME
devices in Japan
○篠原一彦
東京工科大学バイオニクス学部
日
25
午後の部
(金)
わが国では人工臓器を先駆けとした医工連携が第二次大戦直後から続いているにも拘らず、実用化への種々の障壁は寧
ろ増大傾向にすらある。その原因として医・工 産・学間の理解不足・インセンティブの相違、世界市場をにらんだ開
発戦略の欠如、医療機器研究と事業化のためのインフラおよび認証制度の不備、そして regulatory sciences も含めた学
際的教育・人材育成の欠如である。さらに先端技術開発に内在するリスクへの医療従事者・マスコミ・国民全体の理解
不足だけでなく、若年者の工学離れ・外科系急性期医療離れも深刻な阻害要因となっている。これらの課題を解決しわ
が国の医療機器研究と産業を活性化するためには、医工連携のための医・工双方に対する教育研究体制の整備、医療機
器研究開発のための公的インフラ整備、医療機器の開発・販売を支援するコーディネータなど関連職種の育成、薬事・
認証・国民風土等の社会的障壁に対する関連学会・業界団体からの社会的発信などとともに、工学と医療に関する初等
教育からの啓蒙活動も不可欠である。
S-7-4
Current Development Status of Artificial Heart
○増澤 徹
茨城大学工学部 機械工学科
Recently, the ventricular assist devices, have been developed to support the cardiac function of the patients. Turbo
pumps such as centrifugal pump, axial flow pump, and mixed flow pump have been investigated as miniaturized
ventricular assist devices and become commercially available in last decade. However, the commercialization speed
of the artificial heart is different between abroad and Japan while a lot of Japanese researchers have performed
significant roles in the development of the artificial heart in US and Japan. Researchers, government, and medical
professionals are working to make the development speed faster in Japan. One of efforts is establishment of
development guideline for the medical devices. International data harmonization is next important effort to enhance
the development. Sharing of clinical data is negotiating among US, Europe, and Japan. We should establish good
environment for the development of medical devices and also good education system for the bio-medical engineers.
S-7-5
New University for Biomedical Engineering Education
○生田幸士
東京大学大学院情報理工学系研究科 システム情報学専攻
本学会の主要課題である医療用機器の開発には、工学と医学、生物学など典型的な学際的シンセサスアプローチが必
須であることは言うまでもない。中でも、欧米から発信された装置コンセプトの実用化や技術のライセンス生産ではなく、
コンセプトレベルからの装置システム開発で実用化まで到達させることが鍵になる。しかし、現在の日本の大学ではまっ
たく対応できていない。すでに 20 年以上前から欧米の主要大学には、Bioengineering 学科が機械や電気と同等に存在し、
多くの有能な研究者、技術者を輩出してきた。注意すべきは、卒業生が医療機器メーカに就職する者はほんの一部に過
ぎないことである。車や電子機器メーカなど、一般企業への就職が大半である。シリコンバレーでバイオセンサが急速
に伸びた背景でもある。他には、大学を卒業しないと入学できない医学部に進学する者や、政府機関で活躍する者など、
真の意味で社会の中に浸透してきた。欧米追従型で来た日本の大学が、この点だけは抜け落ちてきた。その理由はなぜか?
参加者も考えて欲しい。
上記の背景を踏まえ、多くの志の高い先駆研究者により東北大学と東大の一部に、医工学者を養成する研究科と専攻
が実現した。素晴らしいことである。しかし、まだ圧倒的に数が少ない。かつてロボット工学やマイクロマシン工学が
各大学に配置され、専門家の講義を受け、工学者のリテラシーレベルまで到達していることと同じレベルになって初めて、
新産業の発信が見えてくる。具体的戦略については、学会で講演したい。
生体医工学 第 48 巻(2010)
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第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
S-7-6
To foster the development of innovative medical device by Monozukuri
through METIS
○梶谷文彦
川崎医療福祉大学
OS-3-1
14:00-16:00 第 3 会場
Direct Medical Image Deformation
○中尾 恵、湊小太郎
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
This presentation introduces a concept of direct medical image
deformation that allows medical practitioners to manipulate rendered
images intuitively and interactively. We focus on the importance of
avoiding three things: non-intuitive manipulation, unfriendly modeling
tasks and time-consuming segmentation processes by the user. Specifically,
we are exploring an adaptive volume proxy mesh designed to encode
structural, physical information. This structure is laid over the image
space as a background structure, and used in volume deformation process.
We demonstrate several examples of direct medical image manipulation
during volume exploration and surgical simulation.
OS-3-2
Forefront of haptic display by using air pressure
○橋本 渉
大阪工業大学情報科学部 情報メディア学科
人間に力触覚の情報を提示する装置の中でも,空気の力によって情報を提
示する装置がある.代表的なものとしては,空気圧アクチュエータを用い
た装置であり,その機構的な安全性から,人工筋肉やリハビリ支援などの
医療分野において広く応用されている.最近では,風圧を用いたものやバ
ルーンの膨張などによる装置が開発されており,空気の力を用いた装置開
発において,新しい展開を見せつつある.ここでは,空気の力を用いた装
置の特徴について論じ,提示や制御方法を分類する.また著者らが開発し
ている装置について紹介し,医療応用を中心としたアプリケーションにつ
いて述べる.
− 149 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
オーガナイズドセッション 3「VR と医療」
25
日
日本は革新的医療機器を開発するポテンシャルを有しており“高品質なものづくり”技術などは産業の大きな強みである.
しかし近年多くの医療機器,特に治療機器における新しいアイデア,技術開発を海外に大きく依存している現状にある.
そこで革新的な日本発の医療機器の開発を促進し国際競争力を高めるため,産官学が一体となって行動することを使命
として 2001 年 METIS(医療技術産業戦略コンソーシアム)が設立された.重点 7 テーマを選定するとともに,環境やイ
ンフラの整備,臨床研究の推進が行われた.2009 年 4 月から第 4 期が開始されたが,その活動テーマは「革新的医療技術
の実用化と産業基盤整備による成長戦略の推進」である.そこでは日本の医療機器の挑戦のためにはイノベーションに対
する適正な評価,医療の場へ反映されること(早期保険適用等)への必要性が指摘され,それに基づき“適正評価”,
“レギュ
ラトリーサイエンス”,“臨床研究”,“アジアとの連携”の 4 つのワーキンググループの活動が開始された.一方,米国
NIH では,前理事長の Zerhouni EA が米国医療のパラダイムシフトとして 4P's(Predictive,Preemptive,Personalized,
Participatory)を掲げた.4P's の重要性は我が国でも同様であり,それを実現するためにも日本における医療機器ものつ
くりの進展と METIS の貢献を期待したい.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
OS-3-3
Elasticity Constitution of Liver Fibrosis
○村山嘉延
日本大学工学部 次世代工学技術研究センター
日
25
午後の部
(金)
The fidelity of modeling relying on parameters that must be determined from experiments and is important for
diagnosis and displaying realistic tissue behavior in VR, however, most of the data reported have been obtained
under an assumption that whole organ is consist of uniform materials. In this study, a scanning haptic microscopy
(SHM) was developed to obtain 2D elasticity distribution image in order to study the cause of hardening of liver
cirrhosis. The elasticity distribution image of the sliced rat liver was obtained using SHM. Although unevenness of
the elasticity is clearly seen in a liver, the result clearly shows that the fibers in interstitium is not harder but rather
softer than hepatocyte, which is inconsistent with the clinical observation. It follows from this that an approach to
the biomechanical analysis of tissues should be taken not only by the constitutive parameters but by defining an
appropriate constitutive 3D model.
OS-3-4
Application of VR information to urological practice
○滝内秀和 1、倉田裕之 2、北川 修 2、田ノ岡征雄 3、山本新吾 4、黒田嘉宏 5、大城 理 5
1
西宮市立中央病院 泌尿器科、2 西宮市立中央病院 中央放射線部、3 兵庫医科大学 中央放射線部、
4
兵庫医科大学 泌尿器科学教室、5 大阪大学大学院基礎工学研究科 生体計測学講座
日常診療の中で VR によって医療行為の質の向上や安全性が担保される機会が増加しつつある。尿路生殖系の臓器を対
象疾患として扱う泌尿器科医としての立場から、前立腺癌の組織診断や腎臓癌の腹腔鏡下摘出術における VR の有効性
につき詳述する。近年人口構成の高齢化に伴い、前立腺癌が増加しつつある。血液検査で前立腺特異抗原(PSA)が高値
の場合、前立腺癌が疑われる。しかし、この検査は前立腺癌のみならず、前立腺肥大や前立腺炎でも高値となり、MRI
画像検査を行った上で最終的には侵襲を伴う組織検査(前立腺生検)により確定診断をする必要がある。残念ながら組織
検査での癌陽性率は 5 割程度であるが、VR 技術を応用することにより無駄な検査を減らす方法を開発した。通常前立
腺の組織検査は、直腸に挿入した超音波プローブで得られたリアルタイム画像を基に行われるが、この超音波画像上に
MRI 画像を重畳表示することにより、癌の疑わしい部位を正確に組織採取できるようになった。当院での組織検査の陽
性率は 8 割以上あり、MRI 画像ナビゲーションガイド下前立腺生検は無駄な検査を回避する有用な手法であると考える。
また、腹腔鏡下腎摘術において CT 画像より作製した 3 次元画像を、手術モニター画像上に重畳表示しながら行う手術で
も、工学的な手法を応用して腎血管の正確な部位や分岐を術者に提示し、出血量を軽減させる有用な方法である。
OS-3-5
Skill analysis in a laparoscopic dissection maneuver by force measurement
○吉田健志 1、黒田嘉宏 2、鍵山善之 3、井村誠孝 2、木下秀文 1、松田公志 1、大城 理 2
1
関西医科大学大学院医学研究科 医科学専攻生体応答系泌尿器科学、2 大阪大学大学院基礎工学研
究科、3 大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
The dissection maneuver in laparoscopic surgery differs between expert and novice surgeons, which relates to the
application of force on the instrument tip. However, it is difficult to ascertain the applied force from endoscopic images.
Therefore we developed a system to measure the force on the instrument tip. A spatula-shaped instrument was
cut 61mm from the tip, and a 2cm square sensor capable of detecting vertical forces (VF) and shear forces (SF) was
installed between the cutting edges. The dissection skill of experts (n=10) and those of novices (n=10) were analyzed.
During a dissection maneuver, experts began to increase VF with a little SF and subsequently SF was gradually
increased with declining VF. Novices gradually increased VF and SF without decreasing either force. It is considered
that expert surgeons tried not to move the instrument tip into greater depths of the dissection point.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 150 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
オーガナイズドセッション 4「ニューロリハビリテーションとロボティクス支援」 16:10-18:10 第 3 会場
OS-4-1
Clinical effects of robotics for the hemiplegic arm after stroke
○佐伯 覚
産業医科大学医学部 リハビリテーション医学講座
Rehabilitation system for upper limbs and lower limbs with robotics
technology
○古荘純次 1、原口 真 2
1
福井工業大学 機械工学科、2 三ツ星ベルト株式会社
脳卒中患者は約 200 万人いるといわれており,また高齢者の運動機能低下も深刻な問題となりつつある.リハビリテー
ションへのロボティクス・メカトロ二クス技術の導入が強く望まれている.我々古荘研究室は 3 次元アクティブ型上
肢リハシステム「EMUL」
(5 ヵ年 NEDO プロジェ クト「身体機能リハビリ支援システム」),手首・肩・肘の協調動作の
リハビリ支援が可能な 6 自由度アクティブ型上肢リハシステム「セラフィ」
(NEDO 次世代ロボット実用化プロジェク
ト),およびパッシブ型上肢リハビリ支援システム「PLEMO」シリーズを研究開発してきた.「PLEMO」シリーズには
プロトタイプ機である「PLEMO-prototype」,共同運動を検知可能である「PLEMO-P3」,量産化を目指している実用化
機「PLEMO-P4」,アクティブ型とパッシブ型を切り替えることのできる「Hybrid-PLEMO」,運動方向逆向きの抵抗力
を常に発生可能な「Neo-PLEMO」,運動方向逆向きから一定の角度だけ傾いた抵抗力を任意に発生可能な「RedundantPLEMO」,さらに手首振動グリップが備わり手首に促通を与えることのできる PLEMO が存在する.また,下肢のリハビ
リの為に歩行支援を行うことができる免荷装置も研究開発し,その有効性を確かめた.
OS-4-3
Development of a New Mobility Device Having Standing-position Walk and
Seating-position Movement
○鈴木重信 1、松井勇樹 1、高橋将人 2、垣本 映 1、太田裕治 3
職業能力開発総合大学校 機械制御システム工学科、2 セントラルソフト株式会社、3 お茶の水女
子大学
1
We developed a new mobility device with which a paraplegic person can seamlessly choose standing-position walk
with a gait orthosis (knee ankle foot orthosis with medial single hip joint) or moving by wheelchair, depending on
situations. This device is a system to be incorporated in a wheelchair, with the mode of putting on and removing a gait
orthosis without help and that of changing posture and supporting the standing-position walk with a gait orthosis. The
size of the device is 1100 (L) × 820 (W) × 1030 (H), and its mass is about 60kg. The evaluation showed that conversions
between modes can be completed without interfering between frames. However, slipping down of buttock during
posture conversion came out as a problem to be solved. In other words, burden to a user to sustain his own weight is
heavy. Therefore, it is clear that some improvements in performing of posture conversion are needed.
− 151 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
OS-4-2
25
日
1. 片麻痺上肢訓練用ロボット:Arm Trainer(AT)は鏡像の両手動作の運動が片麻痺の回復を促進するという理論に基
づいて開発され、両側手関節の屈伸あるいは前腕の回内外運動の多数回反復訓練を可能とする。左右共に AT が他動で
動かす「他動-他動モード(PP)」と、左右のどちらか一方を自分で動かすとそれに連動して他方が鏡像で動く「能動-他
動モード(AP)」が選択できる。2. 訓練モードの違いによる臨床効果:訓練モードの違い(AP vs. PP)が運動機能および
痙性に及ぼす影響を検討した。脳卒中慢性期片麻痺上肢(8 例)を無作為に 2 群に振り分け、1 日あたり約 20 分のロボット
補助訓練(AT1 群:PP > AP;AT2 群:PP < AP)を、週 2 日、12 週間実施した。訓練開始前、訓練終了後(12 週)およ
び追跡時の時点で、上肢麻痺の運動機能および痙性を評価し改善度を比較検討した。その結果、両群で上肢運動機能の
改善を認めたが、群間の改善度に差はなかった。痙性の改善度は、肘関節では両群間で差がなかったが、手関節および
手指関節で AT2 群の方が大きいという傾向がみられた。両上肢鏡像運動下の健側上肢の随意運動回数を増やすことで、
患側上肢遠位部の痙性の改善度が大きくなることが示唆された。3. 経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を併用した複合訓練:
tDCS などの手法が脳卒中片麻痺の回復を促進することが報告され、tDCS と AT を組み合わせた複合訓練に関する研究
を進めている。
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
OS-4-4
Measurement of brain activity during cycling movement by NIRS
○田川善彦 1、今泉洋平 2、天野 智 2
1
九州工業大学大学院工学研究院 機械知能工学研究系、2 九州工業大学大学院工学府 機械知能工
学専攻
日
25
午後の部
(金)
本研究室では,家庭でも利用できる FES サイクリングを利用した下肢訓練装置を製作した.製作した訓練装置は,下
肢に電気刺激を印加することでサイクリング動作を実現し,下肢機能の訓練を行うものである.この装置が中枢神経系
に与える影響を調べるため,サイクリング動作時の脳活動を計測する.脳活動の計測には,近赤外分光法(NIRS)を利
用して大脳皮質の血液中のヘモグロビン濃度長変化を計測する光トポグラフィ装置(日立メディコ,ETG-7100)を用いた.
安静時とサイクリング動作時の相対的なヘモグロビン濃度長の変化を計測した.サイクリング動作は,随意と FES,
受動によるものの 3 種類である.計測部位は,運動野と感覚野とした.この部位を計測するため,頭部に 24ch のプロー
ブを配置した.サイクリング動作と安静状態を 1 セットとして,計測開始時に安静状態を設けた後に数セット繰り返した.
計測の結果,頭部が大きく動くことで生じる血流変化が原因となる,急激なヘモグロビン濃度長変化はみられず,サ
イクリング動作時の脳活動の計測が可能であることが示された.しかし,計測結果に高周波成分が含まれるチャンネル
がある,計測日によって再現性がみられないなどの問題が残った.今後,計測条件や計測方法などの検討が必要である.
OS-4-5
Development of a Prototype of Wireless Surface Electrical Stimulation
System for Rehabilitation Training with FES
○渡邉高志 1、杉本 賢 2、三浦尚人 2、関 和則 3
東北大学大学院医工学研究科、2 東北大学大学院工学研究科、3 東北大学大学院医学系研究科
1
Functional electrical stimulation (FES) has been studied on applying to restoration of motor function and enhancing
motor recovery with paralyzed patients. For motor rehabilitation with FES, surface electrical stimulation would be
useful because of its noninvasive nature. However, electrical stimulator for surface FES is usually required to generate
high stimulation intensity pulses, which leads increase of size and power consumption of the stimulator. In this study,
wireless surface electrical stimulator was designed to attach it easily on the body keeping its size to be relatively
small. Then, the wireless surface FES system was developed implementing the fuzzy FES controller based on the
cycle-to-cycle control. The wireless surface FES system was examined in controlling the maximum knee flexion and
extension angles consecutively with neurologically intact subjects. The experimental results showed that the wireless
surface FES system would be practical in controlling repetitive movements of the limbs for motor rehabilitation with
FES.
OS-4-6
Development of Body Weight Support Gait Training System Powered by
Pneumatic Mckibben Actuator
○柴田芳幸 1、今井進吾 1、三好 扶 2、山本紳一郎 1
1
芝浦工業大学大学院工学研究科、2 岩手大学工学部
The purpose of this study is to develop a body weight support gait training system for stroke and spinal cord injury.
This system consists of a powered orthosis, tread-mill and equipment of body weight support. Part of the powered
orthosis is based on the lower limb orthosis (Hip-knee-ankle-foot and trunk support) and driven by pneumatic Mckibben
actuator. Mckibben actuator was arranged like a human musculoskeletal system such as agonist-antagonist muscles.
Equipment of body weight support suspend subject by wire harness, and body weight of subject is supported by
counter weight. The orthosis was attached crane by parallel linkage and limited movement of sagittal plane. Weight
of the powered orthosis was compensated by parallel linkage with gas-spring. Walking speed of tread-mill was
controlled by PC. In this study, we developed integrated system which consisted of powered orthosis, equipment of
body weight support and tread-mill.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 152 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
OS-4-7
Pilot Study for Trunk Control with Special Trunk Orthosis
○矢野英雄
富士温泉病院
The objective of this pilot study is to investigate a part of the trunk control system with a certain orthosis, which is
manufactured to maintain the lateral shift of body weight during walking with pelvic girdle system and erected bars
from iliac crest to sub-axiller site of both lateral wall of trunk.This report was designed to aim to uncover the trunk
control system owing to a references of cutaneous sensory system of trunk and so on.
日
25
午後の部
(金)
OS-4-8
Control of interlimb reflexes by electrical stimulation of sensory nerves
around the foot in body weight support treadmill walking
○山本敏泰、山本直輔、久野弘明
岡山理科大学 知能機械工学科
Neuronal interlimb coordination pattern is quantitatively studied on reflexive walking patterns by electrical stimulation
of the sural nerve around the foot. We tested the hypothesis that interlimb reflexes are phase-dependently and taskdependenly modulated. EMG and kinetic analyses are conducted for the reflexive patterns in the body weight support
treadmill walking training. Significant phase-dependent modulation of interlimb cutaneous reflex responses was seen
in most muscles. The joint moments of lower legs have showed significant flexive responses on the swing leg, and
extensive responses on the supporting legs, to stably assist the ongoing walking. The interlimb control is strongly
holded by task-dependently adjusting the reactive motion patterns. It will be useful to make the CPG model, from the
viewpoint of practical neuroprosthesis.
OS-4-9
Effects of somatosenrory information on corticospinal and reflex excitabilities
during assisted stepping with Lokomat.
○中澤公孝
東京大学大学院 総合文化研究科
Excitability of both corticospinal and spinal reflex pathways is known to
be modulated phase-dependently during human walking. It is, however,
still not well understood to what extent both descending and afferent
inputs contribute to the phase-dependent excitability modulation of those
neural circuits. In this presentation, recent findings concerning effects of
somatosensory inputs on the corticospinal and spinal reflex excitability,
mostly from our own experiments are shown (Fig.1 as an example). Those
data are discussed in relation to locomotor rehabilitation for individuals
with spinal cord injuries.
− 153 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
一般口演 8「イングリッシュセッション:機器開発」
FC-8-1
16:10-17:00 第 2 会場
DURABILITY AND ANTI-THROMBOGENICITY OF MERA MONOPIVOT
CENTRIFUGAL PUMP
○ Takashi Yamane1, Ryo Kosaka1, Masahiro Nishida1, Osamu Maruyama1, Yoshihiro Yamamoto2,
Katsuyuki Kuwana2, Hiroshi Kawamura3, Yoshiyuki Sankai4, Tatsuo Tsutsui4
1
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST), 2Senko Med. Instr.
Mfg. Co. Ltd., 3Tokyo Univ. Sci., 4Univ. Tsukuba
日
25
午後の部
(金)
A durability test and in vitro anti-thrombogenic tests were conducted for a MERA monopivot centrifugal pump made
of polycarbonate newly developed for circulatory assist and open heart surgery. The 50 mm impeller is composed
of 4 straight paths and a monopivot with a 8 mm washout hole. A durability test has been conducted for 4 weeks at
300 mmHg-4L/min with a closed circuit filled with 37'C saline. In vitro anti-thrombogenic tests were conducted at 200
mmHg-4L/min with a closed circuit filled with 37'C bovine blood together with sodium citrate and calcium chloride to
keep ACT at 200 s for two hours. As a result, the wear rate was 2.1 mm/day for the first week. The thrombus found
in the female pivot was successfully removed by redesign. It was verified that the MERA monopivot centrifugal pump
has sufficient durability and hemocompatibility.
FC-8-2
Study on detection and induction of plastic changes in rat brain while
connected with a vehicular BMI RatCar
○深山 理、小濱卓也、鈴木隆文、満渕邦彦
東京大学大学院情報理工学系研究科
A vehicular brain-machine interface (BMI) for a rat, which we call "RatCar", has been developed to observe and induce
plastic changes in the brain. The system consists of micro electrodes, a features extractor from neural signals, a
locomotion estimation model, an electric stimulating device, and a vehicle body. The system operated in two modes;
(a) the rat locomoted with its natural limbs towing the vehicle body, or (b) the vehicle controlled by neural signals
suspended the rat so that its limbs gently touched the ground. While correlation parameters between locomotion and
neural firings were identified and observed in mode (a), the rat could control the vehicle with its neural signals in mode (b).
In addition, a preliminary study to correlate neuronal activities near electrodes with a specific action was achieved by
electrical stimuli to effectively extract motor-related components from neural signals.
FC-8-3
Animal experimental results of the undulation pump total artificial heart
version 4
○阿部裕輔、磯山 隆、斎藤逸郎、時 偉、井上雄介、石井耕平、中川英元、河野明正、小野俊哉、
井街 宏
東京大学大学院医学系研究科
The undulation pump total artificial heart (UPTAH) is an implantable total artificial heart (TAH) using undulation
pumps. The UPTAH version 4 was designed to perform long-term physiological experiment including pulsatile
and nonpulsatile TAH with 1/R control. The UPTAH version 4 was implanted in 31 goats weighting from 38.5 to
60.4 kg. The survival period was from 0.1 to 153 days (average 14.5 days). The causes of termination were postoperative bleeding in 10 goats, respiratory failure in 4 goats, device failure in 14 goats, dissected aneurysm in 2
goats and thrombus in 1 goat. The acute bleeding was mainly from the anastomosis of aortic canula or atrial cuff.
The respiratory failure was supposed to be occurred during the extra-corporal circulation. The thrombus case was
the longest survived goat that was sacrificed because of anemia by hemolysis that was caused by the friction of the
thrombus formation inside the pump.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 154 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-8-4
Estimation of hemolysis by computational fluid dynamics (CFD) analysis
高橋紗佳 1、甘利修一 1、○三田村好矩 2、村林 俊 1、岡本英治 2、西村生哉 1
北海道大学大学院情報科学研究科 生体システム工学講座、2 東海大学生物理工学部 生体機能科
学科
1
EXPANGING CAPSULE FOR DIET CONTROL
○山家智之、白石泰之、三浦英和
東北大学 加齢医学研究所
Obesity and metabolic syndrome are the most important problem in all over the world when we consider the
economical situation of medical fee in all over the world. Almost patients with severe obesity failed to control their
weight by only the diet. Surgical operation must be considered. By the use of the technology of micro-machining and
nano-technology, mechanical expanding capsule for diet control had been started to be developed. TETS with nano
technology was used in the development for the energy transmission to the expanding capsule in the stomach. When
the patients will feel hungry, then, just drink the newly developed expanding capsule. The capsule will go into the
stomach, and then the patients attach the first coil of TETS from outside of the human body surface. Energy will be
transmitted to the capsule to expand. After the finishing of the session, if the patients take of the first coil of TETS.
The capsule will shrink and the reduction will enable the capsule go into the intestine and go out by defecation form
anus. If the diet effet is satisfactory, we want go into the clinical application.
一般口演 9「イングリッシュセッション:診断機器」
FC-9-1
17:00-18:10 第 2 会場
Continuous monitoring of cardiac output by pressure and doppler velocity
profiles of easily accessible peripheral artery
○上村和紀、杉町 勝
国立循環器病センター研究所 先進医工学センター 循環動態機能部
We have developed a novel technique for continuously monitoring cardiac output (CO) by mathematical analysis of
blood pressure and doppler velocity profiles of peripheral arteries. To compute CO, we based our technique on the
three-element Windkessel model of aortic impedance. Windkessel compliance is continuously estimated from femoral
arterial pressure-flow relationship, where femoral pressure is estimated from radial arterial pressure trace through
transfer function analysis and femoral flow is directly measured by doppler velocimetry. Central aortic pressure
is continuously estimated from radial arterial pressure trace through transfer function analysis. Using Windkessel
compliance and pressure thus estimated, our technique estimates CO. To validate the technique, we performed six
acute canine experiments in which radial arterial pressure, femoral arterial velocity, and gold standard CO with
transit-time aortic flow probe were simultaneously measured over a variety of hemodynamic conditions. Our technique
was able to estimate CO with reasonable accuracy with error of 24 % .
− 155 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
FC-8-5
25
日
A low rate of hemolysis is an important factor for the development of a rotary blood pump. Evaluation of hemolysis
on a computer is useful for developing rotary blood pumps. Two models were studied; one was a nozzle (FDA project
model) and the other one an axial flow pump. The flow fields in the models were analyzed three-dimensionally using
CFD software. Hemolysis was calculated on the basis of the changes in shear stress with time along streamlines.
Hemolysis was measured according to the standard test method using human blood transferred from the Hokkaido
Red Cross Blood Center. In the nozzle model the CFD analysis predicted higher hemolysis in a conical diffuser than a
sudden expansion models. This was confirmed by the experiments. Hemolysis in the pump increased with the increase
in differential pressure across the pump. The computed hemolysis values were in good agreement with experimental
results (r=0.90). In conclusion CFD analysis is useful for estimating hemolysis.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-9-2
Reliability of detection of cardiac abnormalities by using integrated
information of electrocardiogram and pulse wave recorded from steering
wheel
大坂元久 1、○林 洋史 2、村田広茂 2、牧口 実 3、酒井一泰 4、松永真也 4、加藤貴雄 2
1
日本獣医生命科学大学 基礎部門、2 日本医科大学医学部 内科学、3 トヨタ自動車株式会社、4 株
式会社デンソー
日
25
午後の部
(金)
About 5% of motor vehicle deaths are assumed to be due to the occurrences during driving of a cardiac event. We
reported a system to make electrographic recordings outside the driver's awareness from the steering wheel in
2007. In the present we examined whether various physiological cardiac abnormalities could be detected reliably by
electrocardiogram and pulse wave-related blood pressure recorded from the steering wheel. We could discriminate
sinus bradycardia, atrioventricular block, sinus tachycardia, and atrial fibrillation by measuring RR-intervals. We could
discriminate premature ventricular beats and premature atrial beats by measuring width of QRS. The ST change
and pulse wave could be detected only without any movement of steering. It was indicated that when detecting any
cardiac abnormalities, a driver is recommended to pull over and ST change and pulse wave are measured again so
that the risk of cardiac abnormalities are graded on the basis of these integrated information.
FC-9-3
Cloth with embedded electrode matrix for continuous monitoring of six lead
electrocardiogram
○ Juha-Pekka M. Hamina1,2, Tomohiro Kuroda1,3, Hideo Nakamura4, Masayuki Nanbu4,
Timo Rahkonen2, Kazuya Okamoto3, Naoto Kume1,3, Tadamasa Takemura1,3, Hiroyuki Yoshihara1,3
1
Graduate School of Informatics, Kyoto University, 2Department of Electrical and Information
Engineering, University of Oulu, 3Department of Medical Informatics, Kyoto University Hospital,
4
Department of Health and Sports Science, Osaka Electro-Communication University
Embedding electrocardiogram electrodes to a cloth would make electrocardiogram recording less intrusive, thus
allowing it to be used comfortably even outside hospital environment. To obtain a multiple lead cardiogram of a
human heart several electrodes are required to be placed on precise positions on a chest. However, the positions
of the electrodes depends on the body shape. The proposed solution for this was to use a cloth containing an 18x18
array of electrodes and select some of them for amplification. This report presents an electric circuit for selecting
these electrodes and measuring the ECG signals. Electrodes used for the electrocardiogram are selected to 6 amplifier
channels with a multiplexer network placed before the amplification stage of the ECG circuit. The circuit includes
capabilities also for wireless transmission and digital filtering of the ECG signal.
FC-9-4
Core Temperature Rhythm of Bedridden Patients with Sequelae of Cerebral
Infarction
○ Ming Huang1, Wenxi Chen1, Tetsu Nemoto2
Graduate Department of Computer and Information System, Aizu University, 2Department of
Clinical Laboratory Science, Kanazawa University
1
circadian rhythm in core temperature was report unclear in bedridden patients with neurodegenerative diseases and
sequelae of cerebral infarction who are suffering from sleep disorder and motor disturbance. This study is to find out
whether there are rhythmic disorders in core temperature in bedridden patients who are suffering from the sequelae
of cerebral infarction. By using a zero-heat-flow deep body thermometer, core temperature data were collected in 6
bedridden patients (aged from 77 to 96, 2 males and 4 females) with Sequelae of Cerebral Infarction. For each patient,
2 whole days'data were employed by Cosinor analysis to reveal the biorhythm's features. The result shows that the
mean and the standard deviation of the mesors among 6 patients are 36.55°C and 0.18°C respectively and suggests
that there are 6 hours and 12 hours cycle components in this kind of patients.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 156 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-9-5
Estimation of the seasonal biorhythms based on pulse rate during sleep
○ Ying Chen, Wenxi Chen
Graduate Department of Computer and Information System, The University of Aizu
25
日
Seasonal changes in biorhythms have been noted to be an intrinsic phenomenon. However, interpretation of the nature
of the seasonal variations of pulse rate (PR) and pulse rate variability (PRV) in healthy subjects is rarely described. Our
study aims to estimate underlying seasonal biorhythms in pulse rate over a long-term period. PR data were collected
from a 30's healthy female subject during sleep throughout a 12-month period. Some time-domain measures and
Poincarè plots were used to assess and compare the variations in PR and PRV among the four seasons. A significant
seasonal fluctuation of PR and PRV was observed where PR was statistically higher in winter than in autumn and
PRV was lower in winter than in autumn and summer. Results indicating a higher sympathetic tone in winter might
reflect not only a human adaptation but also a contribution to greater morbidity and mortality of certain diseases in
winter.
午後の部
(金)
FC-9-6
Armband for Monitoring of Continuous Blood Pressure
○ Kwang S. Park1, Kang M. Lee2, Seung M. Lee2, Do U. Jeong3
1
Department of Biomedical Engineering, Seoul National University, 2Interdisciplinary Program in
Bioengineering, Seoul National University, 3Department of Psychiatry and Behavioral Science,
Seoul National University
A new method to monitor blood pressure continuously was suggested. Armband, which is consisted of two types
of sensors to measure pulse arrival time, is applied around the arm similar to the conventional nonintrusive blood
pressure (NIBP) cuff. One type of sensor measures ECG through capacitively coupling of electrodes to the body
and the second type of sensor measures heart beating from brachial artery using EMFi or PVDF sensor. We have
increased the signal to noise ratio of ECG, which is strongly dependent on to the area of electrodes, by using the
flexible and thin CC-ECG electrodes which can bend to adapt the curved human body surface. Pulse arrival time and
heart rate are measured from these two types of signals and SBP and DBP are estimated from these parameters
for each beat. In contrast to the blood pressure estimation based on pulse arrival time using ECG and PPG in two
different locations, we can monitor blood pressure continuously and simply in a single unit and can estimate the blood
pressure with equivalent accuracy, even with their clothes on.
FC-9-7
Evaluation of pressure sensors to adjust the air-cellular types cushions for
wheelchair
○新妻淳子
国立障害者リハビリテーションセンター研究所
For wheelchair users that are classified into a high risk group to cause decubitus ulcers, an air-cellular type cushions
are used popularly. The reason is the cushion has the ability to decrease pressure as enough. It is important that an
adjustment of the cushion's internal pressure. When the cushion has been adjusted by one's healthcare professional,
it is the time to record internal pressure of individual calibration. It is important to use the cushion by the same
air pressure as when adjusted by the expert to suit to the individual. If we have a sensor that 1) measure internal
pressure, 2) record it and 3) warn the decrease in pressure, the wheelchair users can use their cushions at ease. Using
"i-PRESSURE" that was designed to measure cushion's internal pressure, we've experimented and obtained a useful
result whether the air pressure was able to be adjusted while the user is positioned on its cushion.
− 157 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
一般口演 10「超音波計測・応用」
FC-10-1
14:00-15:20 第 4 会場
Development of an automatic recognition software of left ventricle by
processing successive echocardiograms
○竹島昇吾、内堀 駿、吉永 崇、桝田晃司
東京農工大学大学院生物システム応用科学府
日
25
午後の部
(金)
これまでの超音波断層像における左心室内腔の認識及び追跡手法には,
ウェーブレットフィルタによるフーリエ変換や Snakes 等の動的輪郭モデル
等が用いられているが,これらの手法では処理コストが高く,初期設定を
手動で行う必要があり,リアルタイム処理が困難である。また心腔内に弁
や乳頭筋が存在した場合,内腔面積を過小に評価するという問題がある。
そこで本研究では我々がこれまでに開発した左心室運動ベクトルの交点可
視化アルゴリズムを動画像に適用し,運動ベクトルの重心を原点とする極
座標を設定することで,初期設定の不要な内腔形状の認識を実現した。更
にこの結果を利用して,弁や乳頭筋を除いた左心室内腔の形状を高速に認
識する画像処理アルゴリズムを開発した。その結果,正常 10 例・疾患 60 例
を対象として,85%以上の認識精度を得た。
FC-10-2
Development of visualization system of acoustic field by using 3-dimensional
optical position tracker
○田口侑人、加藤俊和、吉永 崇、宮崎 航、桝田晃司
東京農工大学大学院生物システム応用科学府
我々はこれまで,超音波とマイクロカプセルを用いた薬物伝送システムの
実現を目指し,分岐を有する模擬血管において超音波照射によるマイクロ
カプセルの能動的流路選択法に関する研究を進めてきた.しかし,人体へ
の適用のためには血管の形状を予め把握し,限られた範囲に超音波音場を
集中させる必要がある.そこで本研究では光学式 3 次元位置計測装置を用
いて,断層像観察用プローブ及びカプセル制御用トランスデューサの位置・
姿勢計側を行い,プローブやトランスデューサ,血管の位置関係を定量的
に評価し,OpenGL による CG で可視化を行う VR(Virtual Reality)システ
ムを開発した.さらにトランスデューサの音場の CG を断層像に重畳表示す
る事で,生体内での音波照射位置を確認する事が可能となった.
FC-10-3
Small calcification detector for ultrasonography using decorrelation of echo
caused by calcification
○瀧 宏文 1、阪本卓也 1、山川 誠 2、椎名 毅 3、佐藤 亨 1
京都大学大学院情報学研究科、2 京都大学先端医工学研究ユニット、3 京都大学大学院医学研究科
1
We have proposed a novel method to detect small calcifications in ultrasound B-mode images using decorrelation
of echoes. The waveform of a transmit pulse changes at a calcification position, resulting the echo waveform of a
scan line with a calcification quite different from that without a calcification. Using this waveform characteristic the
proposed method predicts the existence of a calcification from the waveform difference between adjacent echoes.
To evaluate the proposed method we applied the method to raw ultrasound in-phase and quadrature (IQ) data of a
calcification phantom output from a commercial ultrasonographic device. 11 of 15 wire targets 0.2-0.4 mm in diameter
were detected, yielding a sensitivity of 73.3% and a specificity of 100% , where upon clinical inspection these targets
were hardly detected in ultrasound B-mode images. This study establishes a strategy to decrease the detectable
calcification size using US devices by more than one order of magnitude.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 158 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-10-4
Study to control microcapsules in vivo by forming aggregation under
ultrasound emission
○江田 廉 1、渡會展之 2、中元隆介 2、桝田晃司 2、宮本義孝 3、千葉敏雄 4
1
千葉大学大学院融合科学研究科、2 東京農工大学大学院生物システム応用科学府、3 名古屋大学、
4
国立成育医療センター
我々はこれまで、薬物を内包したマイクロカプセルを用いた DDS の実現
のため、音響放射力がカプセルに作用する力を利用し、分岐を有する流路
においてカプセルが流れる経路を能動的に選択する手法を検討してきたが、
分岐部付近のみで音波を照射していたためその効率には限界があった。そ
こで今回は分岐の上流において周波数 5[MHz]の進行波を図の(a)または
(b)のように照射し、分岐部と別の音響力を発生させることで誘導効率の向
上を図った。その結果、分岐部においてカプセルが凝集体を形成すること
を確認し、特に(b)の条件ではカプセルを壁面に押し付ける力も作用する
ため、(a)の条件よりも誘導率が向上した。これから生体内でのカプセルを
能動的に制御できる可能性が示唆された。
日
(金)
午後の部
FC-10-5
25
Analysis of microbubble contrast agents under ultrasound exposure
○馬場 渉 1、中村洋治 2、池田貞一郎 3、一柳満久 4、葭仲 潔 2、高木 周 1、松本洋一郎 1
東京大学大学院工学系研究科 機械工学専攻、2 東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニア
リング専攻、3 日立研究所、4 東京大学 インテリジェント・モデリング・ラボラトリー
1
超音波造影剤を用いた超音波診断においては,生体組織からの信号と造影剤からの信号をより効率良く分離ることが求
められる.本研究では,より効率的な造影剤の利用のために,超音波を照射下における造影剤の挙動を解析した.照射
超音波は 3.5MHz 集束型超音波発振器により 3 パルスだけ発生させ,マイクロバブルの放射音圧を焦点より 50mm の位置
に取り付けたハイドロフォンにより計測した.マイクロバブルは SonazoidTM の,バブル数密度を 14, 140, 1400, 14000/
mm3 に調整して使用した.MI 値は 0.1-1.0 の間を 0.1 刻みで計測し,得られた音圧データの周波数解析を行った.測定結
果より,バブル数密度が 1400/mm3 と 14000/mm3 の間に大きな違いが見られた.放射音圧において,各周波数における
強度を比較すると,バブル数密度 14000/mm3 のみに,数百 kHz の低周波の領域に緩やかなピークが見られた.低周波信
号強度は,本実験の条件においては,MI の値に対して単調増加する傾向を示した.この低周波信号は,多数のマイクロ
バブルが集まって群として反応していることが要因として考えられる.本実験において,バブル数密度が 1400/mm3 と
14000/mm3 の間において,マイクロバブルからの信号の遷移領域があることが示唆された.
FC-10-6
Noncontact measurement of breath and heartbeat using airborne ultrasound
福島遼介、高山潤也、○蜂屋弘之
東京工業大学理工学研究科
空中における音響センシングは非接触に周辺物体の位置,形状,材質,運
動などのさまざまな情報を取得できる有力な方法のひとつである.われわ
れは , 疑似ランダム信号である M 系列信号を送信信号とし , 人表面からの
反射信号に相関処理を用いることで,人表面の微小振動の高精度計測を試
みた . 振動振幅の測定精度を検証したところ , 1/100mm 程度の微小振動が
計測できることが明らかとなった . 図は被検者を仰臥位にした状態で表面の
振動を計測した結果である . 通常呼吸をしている 40 ~ 100s の間は , 呼吸由
来の数秒周期で数 mm 以下の振動が良好に検出された . さらに , 呼吸を止め
た 0 ~ 40s の間には , 心拍に同期した周波数 1 Hz 程度のわずか 0.1mm 程度の
振動が観測可能であるということを確認し , 空中超音波による非接触での呼
吸・心拍検出の可能性を示した .
− 159 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-10-7
Development of a new exposure system for studies on premature ventricular
contractions induced by exposure of cultured cardiac myocytes to
ultrasound
白 冰、山本将也、○工藤信樹、清水孝一
北海道大学大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
日
25
午後の部
(金)
超音波診断装置は安全な診断法として広く利用されている.超音波造影法は超音波診断の可能性を大幅に拡大する手法
として臨床応用が進められているが,心臓を診断する際には,期外収縮の発生頻度が増加することも報告されている.
これまで我々は,ラット培養心室筋細胞を用いて超音波照射による期外収縮の発生に関する検討を行い,期外収縮の発
生が超音波の照射時相に関する閾値を持つことを報告してきた.しかし,これまで用いてきた培養細胞では,試料毎に
拍動周期が大きくばらつくことが照射時相の検討を行う上で問題となっていた.そこで本研究では,培養心筋を電気信
号によってペーシングすることによって心筋の拍動周期を一定に制御することを考え,これを実現する新しい超音波照
射システムの開発を行った.新しい照射システムでは心筋細胞を培養する容器として OptiCell を用い,長い注射針を用
いて容器の局所に心筋細胞を播種し,自律拍動が再開される 3 − 5 日後に,同様にして導入した注射針を電極としてペー
シングを試みた.実験の結果,心筋細胞を 1 週間程度培養可能であること,パルス電圧を印加することにより培養の細
胞のペーシングが可能であることを確認した.
FC-10-8
Non-Invasive Vein Occluding Method by High Intensity Focused Ultrasound
○牛嶋裕之 1、妹尾直彦 1、鈴木 潤 2、一柳満久 3、葭仲 潔 1、出口順夫 2、高木 周 1、宮田哲郎 2、
松本洋一郎 1
1
東京大学大学院工学系研究科、2 東京大学医学部 血管外科、3 東京大学 IML
現在,下肢静脈瘤に対する根治的治療法としては,切開を必要とする手法しか存在せず,切開箇所が潰瘍を起こす等
の問題が指摘されている.そのため,本研究では現行の治療法に代わる非侵襲的な下肢静脈瘤治療法として,集束超音
波を用いた手法の開発を行っている.集束超音波による下肢静脈瘤治療は以下の手順による.1. 静脈瘤のできた血管を
焦点として体外から集束超音波を照射する.2. 集束超音波の焦点領域が圧力振動により加熱される.3. 加熱により血管
内膜が変性し,血管壁が収縮する.4. 血管壁同士が癒着し,血管が閉塞される.5. 閉塞した血管が線維化し,消失する.
集束超音波による血管閉塞手法を開発するため,ウサギの腹壁や外頸静脈を対象として集束超音波を照射し,実験を
行った.ウサギの腹壁への照射実験により,血管閉塞に用いる超音波は,その焦点での超音波エネルギー密度を 900W/
cm^2,照射時間を 20sec と決定した.また,超音波が照射されることによる皮膚の熱傷を防ぐための皮膚処理方法等に
ついても知見が得られた.外頸静脈を対象とした血管閉塞実験では,集束超音波によって切開なしに外頸静脈を閉塞さ
せることに成功した.また,その閉塞状態が,時間が経っても持続し,加熱により変性した部分に血栓が生じることが
確認された.
一般口演 11「機器開発 2」
FC-11-1
14:00-15:20 第 6 会場
Influences on Smooth Muscle Cells with Stretch-fixing by Novel Short-term
Thermal Angioplasty
○國尾美絵 1、島崎夏美 1、伊藤亜莉沙 1、林 智章 1、伊神優香 1、荒井恒憲 1,2、桜田真己 3
1
慶應義塾大学大学院理工学研究科 基礎理工学専攻、2 慶應義塾大学理工学部 物理情報工学科、
3
所沢ハートセンター
We have proposed novel short-term thermal angioplasty, Photo-thermo Dynamic Balloon Angioplasty: PTDBA for
the treatment of arteriosclerosis. We found that smooth muscle cells were fixed with stretched condition in vascular
wall after PTDBA in earlier study. To determine the optimum heating parameter of the angioplasty, we studied the
influences on smooth muscle cells stretch-fixing. We measured the stretch-fixing rate of smooth muscle cells' nuclei
in vivo. This rate was increased with rise of the balloon temperature of PTDBA. It was observed that proliferation
rate of stretch-fixed smooth muscle cells was changed by the stretch-fixing rate of the cells in vitro. With the results
of in vivo porcine study, we found that the distributions of basic Fibroblast Growth Factor: bFGF (the growth factor
of smooth muscle cells) and its receptor FGFR-1 were different. These results suggested that stretch-fixing of smooth
muscle cells might not be harmful for chronic angioplasty performances.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 160 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-11-2
Charring Prevention Method at the Laser Catheter-tip during Laser
Irradiation in Blood
○高橋芽意、伊藤亜莉沙、梶原拓郎、松尾洋希、荒井恒憲
慶應義塾大学大学院理工学研究科 基礎理工学専攻
Acute and permanent electrical conduction block of myocardial tissue with
photosensitization reaction in vivo
○伊藤亜莉沙 1、松尾洋希 1、末成 元 1、梶原拓郎 1、木村雄弘 2、三好俊一郎 2、荒井恒憲 1
慶應義塾大学大学院理工学研究科、2 慶應義塾大学医学部 呼吸循環器内科
1
We have studied non-thermal myocardial electrical conduction block with photosensitization reaction. Photochemically generated singlet oxygen may induce myocardial cell damage without heat generation. To demonstrate
photosensitization reaction-induced acute and permanent electrical conduction block in vivo, the electrophysiological
and histopathological study were examined in surgically exposed porcine left atrial appendage. A water-soluble
photosensitizer, Talaporfin sodium, was used for photosensitization reaction. Fifteen to thirty minutes after the
photosensitizer injection (5-10 mg/kg), red laser light (λ= 663 nm) was irradiated to the myocardial tissue with the
total energy density of 100-200 J/cm2. The conduction delay time of the electrical potential waveform increased with
the extension of the irradiation line length. The microscopic observation of Azan stained specimen 2 weeks after
the procedure indicated the fibrous scarring at the irradiated area. These results demonstrated the possibility of the
photosensitization reaction-induced electrical conduction block for arrhythmia therapy.
FC-11-4
An anatomical landmark point-based registration using tissue thickness
correction based on Bayesian estimation
○植松美幸 1、中野喜隆 2、許 家群 2、坂本 怜 3、梅津光生 2,3、青見茂之 4、中村亮一 5、鈴木孝司 6、
村垣善浩 6、伊関 洋 6
1
国立医薬品食品衛生研究所 療品部、2 早稲田大学大学院先進理工学研究科 生命理工学専攻、
3
早稲田大学理工学部 機械工学科、4 東京女子医科大学 心臓血管外科、5 千葉大学大学院工学研
究科 人工システム科学専攻、6 東京女子医科大学先端生命医科学研究所 先端工学外科学分野
われわれは大動脈人工血管置換術を対象にした手術ナビゲーションシステムを開発してきた.手術ナビゲーションは画像
空間と手術空間のレジストレーション精度がターゲットの位置を知るのに十分であることが求められる.ここで,本シス
テムは頭足方向の肋間動脈の位置特定に十分な頭足方向 5mm 以内を精度目標とする.胸腹部手術では,
位置合わせ用マー
カの配置ができないため,手術者が体表上から選択した解剖学的特徴点を基準にレジストレーションする.今回,各特徴
点の特性に応じて誤差を補正するレジストレーションを提案し,評価したので報告する.まず,ファントムを用いて,レ
ジストレーション点である 4 つの解剖学的特徴点(胸骨角,左・右前腸骨棘,恥骨稜)の目標値と皮下組織厚を含む計測値
との誤差を算出し,ベイズ推定により解剖学的特徴点の方向別誤差傾向を求め,方向別の重み付けパラメータを与えるレ
ジストレーションを行った.体型が異なる患者 2 例(A, B)の臨床結果に応用したところ,A に対し 44.6%,B に対し 26.4%
の改善が見られた.ここで,
どちらも頭足方向の誤差は 5mm 以内であったが,
全体誤差に差がみられた.つまり,
ナビゲー
ションには十分な精度を実現だが,
結果の信頼性が異なるといえる.以上より,
本手法の皮下組織厚補正ではナビゲーショ
ン施行に十分な精度が実現できたが,今後体表の変形を考慮することでより誤差の削減が期待される.
− 161 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
FC-11-3
25
日
The purpose of this study is to elucidate the mechanism of blood charring by laser irradiation and to examine the
methods for preventing charring at the laser catheter-tip for atrium fibrillation treatment with photodynamic therapy.
We investigated the influence of red laser irradiation upon the blood elements in particular shape of red blood cells
(RBCs) Diffuse reflected light, transmitted light, and temperature were simultaneously and continuously measured
by microscopic optics with a model blood sandwiched between glass plates during the laser irradiation. The RBCs
aggregation, the round formation, and hemolysis were found before charring. Measured light power and temperature
were changed specifically during the irradiation. We found that measured optical changes were originated with RBCs
degeneration by heat and capable to detect pre-charring process. We demonstrated the usefulness of laser power
control to prevent charring at the laser catheter-tip using these optical changes.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-11-5
Error measurements for tissue thickness on an anatomical landmark pointbased registration
○坂本 怜 1、植松美幸 2、中野喜隆 3、許 家群 3、梅津光生 1,3、飯村 浩 4、青見茂之 5、中村亮一 6、
鈴木孝司 7、村垣善浩 7、伊関 洋 7
1
早稲田大学理工学部 機械工学科、2 国立医薬品食品衛生研究所 療品部、3 早稲田大学大学院先
進理工学研究科 生命理工学専攻、4 東京女子医科大学病院 画像診断部、5 東京女子医科大学 心
臓血管外科、6 千葉大学大学院工学研究科 人工システム科学専攻、7 東京女子医科大学先端生命医
科学研究所 先端工学外科学分野
日
25
午後の部
(金)
胸腹部大動脈瘤の人工血管置換術に特化した手術ナビゲーションシステムを 2006 年度より 42 例の臨床に応用してきた.
当初は開胸後に重要な肋間動脈の位置と走行を確認する局所ナビゲーションのみ行っていたが,2008 年度より,開胸前
に肋骨位置を確認する大局ナビゲーションも導入している.最終目標は大局レジストレーションへの機能統合であるが,
現状は血管の弁別に必要な頭足方向 5mm 以内の精度を実現できていない.本論文では大局レジストレーションの誤差要
因を明らかにするため,レジストレーション点として使用する各解剖学的特徴点の計測由来誤差を調査した.ヒトの骨
格と皮下組織を模擬したレジストレーション評価用ファントムを作製し,解剖学的特徴点 7 点(左右鎖骨頭,頚切痕,胸
骨角,左右腸骨棘,恥骨稜)をツールで指し,誤差を算出した.皮下組織厚は患者平均値を基準に 3 段階に設定し,目標
値と計測値との誤差の平均と分散を求めた.被験者は非医療従事者 12 名とした.頭足方向の平均誤差はいずれの条件下
においても誤差は 5mm 以内であった.また,各点に方向に依存した誤差があり,特徴点が左右対称の場合でも誤差傾向
が異なった.これは特徴点の立体性と被験者との位置関係によると考えられる.今回調査した解剖学的特徴点ごとの計
測誤差傾向を重み付きレジストレーションに応用することで,大局ナビゲーションの信頼性向上が今後期待される.
FC-11-6
An automatic image segmentation method assisting for endovascular stentgrafting
○許 家群 1、植松美幸 3、中野喜隆 1、坂本 怜 2、梅津光生 1,2、東 隆 4、青見茂之 4、中村亮一 6、
鈴木孝司 5、村垣善浩 5、伊関 洋 5
1
早稲田大学大学院先進理工学研究科 生命理工学専攻、2 早稲田大学理工学部 機械工学科、3 国
立医薬品食品衛生研究所 療品部、4 東京女子医科大学 心臓血管外科、5 東京女子医科大学先端生
命医科学研究所 先端工学外科学分野、6 千葉大学大学院工学研究科 人工システム科学専攻
In the endovascular stent grafting therapy, the contrast media are needed to visualize the shape of aorta during
intraoperative X-ray imaging. To maintain recognizing the location of aorta, surgeons often trace the edge of aorta
manually. This article describes an edge-based region growing algorithm to segment the contour of aorta from
intraoperative X-ray images in real time. At first, an edge map served as a criterion for growing. Next, a onedimensional Gaussian filter smoothed the boundary of regions at the end of each growing process. Here, the threshold
value and one-dimension Gaussian filter size were estimated instinctively by CT value of contrast media and vessel
diameter. The method was applied to two clinical cases of stent-grafting. As result, we found the algorithm had
lower sensitivity to noise than the classical region growing counterparts. This new framework provides surgeons to
generate the contour of aorta automatically without complexly procedure.
FC-11-7
Development of a blood pump for emergency life support system
○斎藤逸郎 1,2、根本 功 2、磯山 隆 1、河野明正 1、小野俊哉 1、中川英元 1、時 偉 1、井上雄介 1、
石井耕平 1、阿部裕輔 1
1
東京大学大学院医学系研究科 医用生体工学講座、2iMed Japan 株式会社
Although the percutaneous cardio pulmonary support (PCPS) is very useful to survive the cardiopulmonary arrest,
the PCPS is not widely used in the emergency medical because the PCPS is large and complicate. We develop the
emergency life support system (ELSS). We combine an artificial lung, a blood pump, a pump driver and a battery as
an energy source of the pump driver and develop the emergency life support system (ELSS). Even though the ELSS is
very small and simple, the ELSS has the same function as the PCPS. We develop a suitable blood pump for the ELSS
that is named troidal convolution pump (TCP). The TCP has a rotated vane like the regenerative pump. The TCP can
produce over 6 l/min against 350 mmHg of pressure load on condition that the motor speed is 1,400 rpm. The TCP
has enough performance as the blood pump of the ELSS.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 162 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-11-8
The development of a hemostatic kit for severe hemorrhage on the premise
of using in the open air
○服部秀美 1、川上真弘 4、野上弥志郎 5、天野嘉子 1、熊野 勲 2、高瀬凡平 3、石原雅之 1
1
防衛医科大学校 防衛医学研究センター 医療工学研究部門、2 防衛医科大学校 外科学講座、
3
防衛医科大学校 集中治療部、4 自衛隊中央病院、5 航空自衛隊 航空機動衛生隊
FC-12-1
16:10-17:30 第 6 会場
Development of the economy-class syndrome prevention device using the
EHD phenomenon
○寺阪澄孝、三井和幸
東京電機大学工学部 機械工学科
Recently, the economy-class syndrome shows the tendency of the increase. The leg massage method by the air
pressure is used as one of the treatment method of this syndrome. However, when this method is used, a peripheral
device such as a compressor is necessary, and moreover the occurrence of the noise by use of these equipment causes
a problem, too. To solve these problems, we paid attention to the EHD phenomenon, which generates flow of insulation
fluid by applying high voltage. Then, in pressing the human body by the EHD phenomenon, human body pressure
device which promotes flow of blood was developed. In addition, by using the thermography device for measuring the
temperature on the body surface, performance of developed device was evaluated.
FC-12-2
Effects on Asthenopia by Using the New Visual Presentation Method to
Unconsciously Induce Undogenous Eye Accommodation
○鈴木優介 1、福島省吾 1、前田史篤 2、可児一孝 2、田淵昭雄 2
パナソニック電工(株) 先行技術開発研究所、2 川崎医療福祉大学 感覚矯正学科
1
長時間の VDT 作業などの視環境下では,毛様体筋が過緊張し眼精疲労の一因となっていると考えられている.本研究で
は,視作業中の被験者の視距離を光学的に持続変化させ,その眼精疲労の軽減効果に関する予備実験を行なった.視標
の呈示には,凹面鏡による虚像結像原理を応用した.本手法は,視距離の大幅な変化(数 10cm から無限遠方まで)が容
易である.また視距離の遠近に関わらず,視標の視野角および明るさをほぼ一定に保つことが可能であり,視作業中の
被験者に対して,調節の変化を無意識下で誘発することができる.試験では,調節緊張傾向を有する被験者 3 名に,視
距離が眼前約 0.5m から約 5.0m まで 2 分周期で連続的に変化する映像視標を 2 時間呈示した.また,その対照として,視
距離を 0.5m に固定した一般的な PC ディスプレイで,同様の映像を 2 時間呈示した.それぞれの視聴の前後には,自覚
症状,オートレフラクトメータによる他覚的屈折値(レフ値)を計測した.その結果,一般的な PC ディスプレイでは,
呈示前後でレフ値が平均 1.60 D 有意に近視化したのに対し,本装置では,平均 0.11 D 遠視化したのみで,変化が無かった.
自覚症状においても,3 名中 2 名については,同様の変化がみられた.これらの結果より,本視標呈示方法を用いた視環
境は,従来 VDT 端末のそれに比べ,眼精疲労を引き起こす可能性が低いことが示唆された.
− 163 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
一般口演 12「機器開発 3」
25
日
In cases of severe trauma, especially severe hemorrhage, complication such as shock may occur if the patient is not
treated appropriately and expeditiously. The appropriate arrest of hemorrhage is one of the important life-saving
measure at the disaster site. We previously have reported on a photocrosslinkable chitosan hydrogel that contains
both lactose moieties and photoreactive azide groups, and ultraviolet irradiation of the solution resulted in an insoluble
hydrogel within 90 seconds. The hydrogel have a strong tissue-adhesive function and effectively seals air leakages
from pinholes on isolated small intestines and aorta. Meanwhile, it is reported that calcium alginate belonging to the
same polysaccharide as chitosan is effective as a hemostatic agent. Calcium alginate releases calcium ions on contact
with blood; the increased local calcium concentration stimulates rapid coagulation. Then, we developed a hemostatic
kit for severe hemorrhage using this photocrosslinkable chitosan hydrogel and calcium alginate.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-12-3
A basic study of kinesthetic feedback by tendon vibration to control
prosthetic arms
○矢口博彬、戸川和樹、深山 理、鈴木隆文、満渕邦彦
東京大学大学院情報理工学系研究科
日
25
Kinesthesia plays an important role in motor control in human nervous system. Therefore, functional prosthesis with
kinesthetic feedback is promising to improve its usability and accuracy. In this research, a method to evoke illusionary
movement in elbow, wrist and fingers by vibrating tendons has been studied. We succeeded in evoking illusions of
elbow extension, and wrist flexion and extension. The sense of extension in the elbow was more clearly evoked by
concurrent vibration on both distal and proximal end of biceps compared to one-point vibrations on an end of biceps.
We are now working on combining those results to present kinesthetic feedback more clearly to improve the function
of prosthetic arms.
午後の部
(金)
FC-12-4
Acupoint stimulation device using focused ultrasound
○鶴岡典子 1、関 隆志 2、渡部正司 2、松永忠雄 1、芳賀洋一 1
東北大学大学院医工学研究科 医工学専攻、2 東北大学大学院医学系研究科 医学部
1
東洋医学における鍼灸治療では、鍼、灸などで経穴に刺激を与え治療を行っている。しかし、これらの刺激方法は日常
的に装着し続けることが難しく、刺激の際にわずかな痛みを伴ってしまう。そこで、体外から収束超音波を用いて経穴
を刺激することにより、日常的に装着し必要な時にだけ刺激をするような経穴刺激装置を試作した。皮膚を傷つけない
ので感染の心配がなく、適切な強度の超音波を用いることにより鍼や灸に比べて危険性が少ないので、ベットサイドに
おいても使用者や介護者が装着し、刺激を与えることが可能になると期待できる。また、収束超音波という新たな刺激
方法を用いることによって超音波の温熱作用と物理作用を組み合わせた新たな治療効果も得られる可能性がある。今回、
この装置を用いて両足の太衝穴を刺激し、その前後での上腕動脈の血流量の変化を測定した。鍼での刺激の場合は、交
感神経の働きにより刺激中に一時的に血流量が減少し、その後増加することが分かっている。この鍼での刺激の場合と
同様のプロトコールで測定を行った結果、収束超音波を用いた刺激では刺激中に血流量の変化はほとんどないが、刺激
後に増加傾向にあることを確認した。
FC-12-5
Improvement of Motor Function of Severe Handicapped People by
Performance of Barrier-free Musical Instrumetn Cymis
○赤澤堅造 1、奥野竜平 2、江頭眞弓 3、佐々木智香子 3、蓬莱元次 3、益子 務 4
大阪工業大学工学部 生体医工学科、2 摂南大学、3 希望の家、4 武庫川女子大学
1
身体障害者施設利用者の日中活動充実のために,障害者が気軽に本格的な曲目の演奏を楽しむことができる電子楽器
Cymis の開発を行った.楽譜情報を内蔵し,演奏者の障害の程度,さらに上達に合わせて演奏方法を選択することが可
能である.脳神経障害などの重度身体障害者に本楽器を週 1 度で約 1 年間使用していただき,日中活動充実の面で顕著な
効果があり,18 名の使用者および演奏支援者のアンケート結果より,その有用性が確認された.特に,1 名の障害者では,
50 数年の間ほとんど動かなかった指が演奏開始後約 6 か月で数 mm 動き,1 年後には 10mm 以上の動きが実現できた,他
の 1 名では最初上肢により大きな動きでスイッチが押せる程度であったが,1 年後にはタッチパネル上の 10mm 程度の音
符を指でポインティングができ,約 60BPM での演奏が可能となった等,運動機能の改善を行うことができた.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 164 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
FC-12-6
A basic study on muscle fatigue evaluation using M-wave for rehabilitation
with electrical stimulation
○三浦尚人 1、渡邉高志 1,2、金井 浩 1,2
1
東北大学大学院工学研究科、2 東北大学大学院医工学研究科
Clinical trial of FES to improve swallowing disorders
○久野弘明 1、青柳陽一郎 2、山本直輔 1、山本敏泰 1
1
岡山理科大学知能機械工学科、2 川崎医科大学 リハビリテーション医学教室
【目的】嚥下障害を改善するために、健常青年において舌骨上筋群を電気刺激して甲状軟骨の挙上動作支援させる初期的
検討を行ってきた。本報告では、嚥下障害患者に対して行った臨床試用と合わせて報告する。【実験方法】被験者には事
前に実験に関する詳細な説明を行い、同意の得られた 20 代の健常青年 12 名と 60 代の嚥下障害患者を対象とした。通常
嚥下は飲食物を摂食・嚥下させ、筋電計、加速度計、VTR、内圧トランスジューサなどにより動作を計測した。一方、
電気刺激による嚥下は、開発してきた電気刺激装置を用い、舌骨上筋群を刺激して甲状軟骨の挙上動作を支援し、ゼリー
状の食物を飲みこむなどの動作を計測した。刺激パターンは、立ち上がり・持続・立ち下がりともに 0.5 秒の台形状で、
強度は平均 36.5V、周波数は 20Hz である。【結果及び考察】健常青年の甲状軟骨は、電気刺激により通常嚥下の平均 76%
挙上することができた。また、嚥下障害患者の甲状軟骨は、電気刺激により通常嚥下と比較してほぼ同等の挙上が可能
であった。また、嚥下時に電気刺激を併用して甲状軟骨の挙上を補助することで、通常よりも嚥下反射動作をスムーズ
に行うことができた。【結論】嚥下障害を改善するために、舌骨上外側筋群に電気刺激を行い、嚥下障害患者の嚥下反射
動作支援を試みた。その結果、電気刺激による甲状軟骨の挙上動作支援により、嚥下運動を補助することができた。
FC-12-8
Effects of therapeutic electrical stimulation by means of mapping method
○渡辺拓也 1、田川善彦 2、志波直人 3
1
九州工業大学大学院工学府 機械知能工学専攻、2 九州工業大学大学院工学研究院、3 久留米大学
医学部
Restoration training for the patients with paralyzed limbs' function brings the improvement of their quality of life.
Functional electrical stimulation (FES) is one of the methods of restoring paralyzed function. To restore paralyzed
hand function, we examined the effect of FES on the task-oriented motion of the hand using the method to clarify
sensitive points from skin surface. We underwent the experiment of therapeutic electrical stimulation (TES) on the
incomplete paralyzed hands of 2 patients (1 male and 1 female, 5 and 6 years after injure, respectively) with stable C6level spinal cord injury, and found that the improvement of finger extension when they were stimulated. But we could
not find any improvement about their voluntary hand motions. Now we are developing the orthosis that can be used
for daily FES training.
− 165 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
FC-12-7
25
日
Recent years, applying FES to motor rehabilitation or motor relearing has been reported. However, early occurrence
of muscle fatigue is one of problems on FES. We focused on using the M-wave in muscle fatigue evaluation with
the surface FES system. In our previous report, we proposed a fatigue evaluation method of using M-waves elicited
by additional pulses inserted into a stimulus pulse train, and found the effectiveness of the method for prolonged
continuous electrical stimulation under the isometric condition. In this report, we tested preliminary under the
conditions of intermittently repeated stimulation in order to find an effectiveness of using M-waves in training with
FES. When the muscle force was decreased gradually as the number of burst stimulation increased, the peak-to-peak
amplitude of the M-waves elicited by the additional pulses were decreased earlier than M-waves elicited by other
stimulus pulses. These results suggest that M-waves elicited by the additional pulses could provide useful information
for muscle fatigue evaluation.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
ポスターセッション 1-1「治療 1」
PS1-1-1
14:00-14:18 ポスター会場
Progress process analysis method using surgical navigation information in
brain tumor resection
○相沢知明 1、中村亮一 2、村垣善浩 3、丸山隆志 4、田中雅彦 4、伊関 洋 3
1
千葉大学工学部 メディカルシステム工学科、2 千葉大学大学院工学研究科 人工システム科学専
攻、3 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所、4 東京女子医科大学医学部 脳神経外科
日
25
午後の部
(金)
近年の医療の急激な発展により,手術の複雑化・高密度化が進んでいる.本研究では手術を効率化・最適化すべく,
手術作業の工程解析を行っている.本報告では手術作業の現状把握として,手術ナビゲーションによって得られた患者
の解剖学的情報と術者の術具操作情報から,脳腫瘍摘出術における手術操作の工程解析法の開発を行った.具体的には,
作業対象と術具先端位置情報記録の干渉解析により,作業進捗度の把握を行った.現在の作業進捗度を元にした未来の
進捗予測として,摘出終了時刻の予測を行った.臨床 3 例の解析結果から,摘出進捗度は摘出速度を反映した上昇傾向
にあり,実際の摘出率に大きな差は見られないのにも関わらず,症例によって最終摘出進捗度にばらつきが見られた.
進捗予測については,摘出進捗が 30%に到達した以後の時間帯では摘出終了時刻は平均約 33 分程度,腫瘍本体が摘出さ
れた時間は平均約 18 分程度の誤差で予測が可能であった.摘出速度の変化を考慮した重み付けを施した結果,予測精度
が約 10[%]向上した.進捗度評価,進捗予測共に誤差の要因としては元データ(診断画像,術具位置ログ記録)の位置形
状精度,ナビゲーションでの術具認識率の悪さ,摘出作業における種々の外乱や進行速度変化等が考えられる.これら
の課題に対する対策を反映したシステム・アルゴリズムの構築により,より正確な作業評価・予測が可能になると考え
られる.
PS1-1-2
Basic investigation of boron neutron capture therapy (BNCT) using HVJ-E
and accelerator-based neutron source
○酒井真理 1、藤本尚弘 1、石井克典 1、村田 勲 1、金田安史 2、粟津邦男 1,3
1
大阪大学大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻、2 大阪大学大学院医学系研究科、3 福井
大学附属国際原子力工学研究所
ホウ素中性子捕獲療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)とはホウ素(10B)と熱中性子の核反応を用いたがんの
治療法である。腫瘍にホウ素を集積させることにより周囲の正常細胞を傷つけずにがん細胞のみを死滅させることがで
きる。しかし BNCT には中性子源として原子炉が必要となるため、その臨床応用は極めて限られている。不活化したセ
ンダイウイルスを基にしたベクターである HVJ envelope(HVJ-E)を用いることにより、従来法に比べ細胞内ホウ素濃度
を 10 倍程度まで高められることが動物実験により確認されている。これにより原子炉に比べ低線量の加速器中性子源を
用いても BNCT が可能になると考えられる。そこで本研究では大阪大学強力 14 MeV 中性子工学実験装置(オクタビアン)
を用いて BNCT 用中性子照射体系を構築し、加速器 BNCT の効果を評価した。その結果、オクタビアンの中性子発生量
3e10 n/s において照射場での熱中性子束が 5e6 n/cm2/s となり、本研究に必要な熱中性子線量を達成することができた。
また従来のホウ素薬剤 BSH を HVJ-E に封入した HVJ-E-BSH を用いて腫瘍細胞に対する殺細胞効果を測定したところ、
50%の殺細胞効果を得ることができた。このことから加速器を用いた BNCT の可能性が示された。
PS1-1-3
Development of training device for endovascular aneurysm repair under
pulsatile hydrodynamics
○清水秀二 1、中井幹三 2、丸山良浩 3、町野圭司 4、川田 徹 1、神谷厚範 1、宍戸稔聡 1、杉町 勝 1
国立循環器病センター研究所 先進医工学センター 循環動態機能部、2 独立行政法人国立病院機
構岡山医療センター 心臓血管外科、3JUNKEN MEDICAL 株式会社、4 株式会社バンドー
1
Endovascular aneurysm repair (EVAR) is a surgical option for aortic aneurysms. Surgical trainees need to train
the handlings of devices for the proper implantation into the aorta against pulsatile aortic flow. We developed a
simulator for the training of EVAR under pulsatile hydrodynamics. Our simulator consisted of a roller pump provided
in conventional cardio-pulmonary bypass (CPB), a customized CPB circuit, a reservoir and an aorta model with
aneurysm, which required no special circumstances. We primed the circuit with saline and maintained the flow using
a conventional CPB. When a roller pump provided the pulsatile aortic flow (-0.4 to 4.2 l/min), we were able to insert a
stent graft into the aorta model and deploy it as covering the aneurysm. The exclusion of aneurysm can be identified
by angiography. Our simulator may provide the excellent training for surgical trainees.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 166 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
ポスターセッション 1-2「治療 2」
PS1-2-1
14:18-14:36 ポスター会場
Development of a flexible forceps with strong grasping forces for
endoscopic surgery
○篠原一彦 1、柳沢源内 2
1
東京工科大学 バイオニクス学部、2 エンジニアリングシステム(株)
25
日
内視鏡外科手術は術式と適応を急速に拡大したが、結石が充満した胆嚢や自動吻合器のアンビルなど既存の内視鏡手術
用鉗子では把持面の形状と把持力不足故に確実な把持が困難な状況にも直面する。我々は、単純な機構による強力で確
実な把持能力とフレキシブルな先端を有する鉗子を開発したので報告する。鉗子は有効長 40cm、径 5mm で、バネによっ
て 4 本のつめの把持力を発生させるものである。ノブを押し込むことでつめが開放。ノブを緩めるとバネにより自然に
つめが引き込まれ、確実な把持力を発生させる機構である。また先端 4cm が受動的に屈曲可能である。ドライラボでの
作動試験によりバネに把持力を委ねることで術者の疲労なしに硬度の高い物体を大きく確実に把持が可能なことが示さ
れた。また先端部が撓うことで、腹腔内における自動吻合器本体へのアンビル装着や種々のプローべの円滑な走査など
において有効であることが示された。
午後の部
(金)
PS1-2-2
Registration method of 3D X-CT volume for therapy evaluation of
percutaneous treatment
○藤生賢士朗 1、山口 匡 2
千葉大学大学院融合科学研究科、2 千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
1
The therapeutic effect of the percutaneous local treatment for hepatocellular carcinoma (HCC) is evaluated visually
using X-ray CT volumes accumulated in before and after operation. However, since the shape of liver changes nonlinear by posture, a respiratory phase, etc. at the time of each image observation, the objective evaluation is difficult.
In this study, we propose the 3D-CT image deformation method of a postoperative 3D-CT volume for the registration
to a preoperative volume. The degree of coincidence of liver shape in two volumes is judged by local coincidence
degrees of the surface form of liver. The registration of internal liver is performed by the finite element method
(FEM) in consideration of the inner structure and solid state properties of each tissue. In this report, we describe the
effectiveness of our method from results of the registration on some clinical data.
PS1-2-3
Development and Basic Examination of Wrist Vibration Grip Device with
Rehabilitation System for Upper Limbs
○小澤拓也 1,2、赤井弘樹 2、泉 巌 2、古荘純次 2、森川隆浩 3
社会医療法人協和会加納総合病院 人事企画課、2 大阪大学大学院工学研究科 機械工学専攻、
3
福井工業大学
1
脳卒中片麻痺患者は健側上肢による代償で日常生活動作を行うために,麻痺肢を使用する機会が乏しくなり,機能回復
が不十分となっている.それに対し,効果的なリハビリテーションとして,大脳皮質の再構成が促進されるような運動
学習を伴う高度な動作訓練の実施および異常な共同運動パターンから分離した運動の獲得を目指すことが重要とされて
いる.さらに川平らは,運動中の麻痺肢に振動刺激を与えることで上肢リーチングが改善したと報告しており,これら
の利点を取り入れた上肢リハビリテーション支援システムの開発が求められている.そこで本研究では,異常な共同運
動パターンの発生を予防し,手関節を中心とした上肢の分離運動を促通するために,手関節に対して方向づけられた振
動を運動の誘発のための感覚入力とする手関節振動機構を搭載した新グリップユニットの開発を行い、加えてその性能
評価を行った.グリップユニットは 2 リンクモデル及び 3 リンクモデルの 2 つの力覚提示モデルを考慮して開発を行い,
両機構において振動提示及び力覚提示性能を比較,検討した.また,グリップユニットの有効性を検証するための評価
用アプリケーションを開発し,健常者に対して手関節に振動刺激を入力した場合と入力しない場合にて,刺激入力に対
する手関節の反応時間を手関節位置のエンコーダ及び橈・尺側手根伸筋の筋電図にて評価を実施し,グリップユニット
の有効性を明らかにした.
− 167 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
ポスターセッション 1-3「治療 3」
PS1-3-1
14:36-15:00 ポスター会場
Adhesion technology using integrated low level energies
○加藤綾子 1、増澤 徹 2、青代敏行 2、河野貴宏 2、岸田晶夫 3、木村 剛 3、樋上哲哉 4
1
埼玉医科大学保健医療学部、2 茨城大学工学部、3 東京医科歯科大学生体材料工学研究所、4 札幌医
科大学医学部
日
25
午後の部
(金)
Chemical adhesives and ultrasonic scalpels are studied for alternative to suturing and angioohaphy. But chemical
adhesive doesn't have enough adhesive strength. And ultrasonic scalpels deliver too much energy output. The
purpose of this study is to develop a technology which can adhere tissues with less-damage. A new adhesion device
that enables adhesion through the integration of low-level energy sources, such as heat, pressure, and vibration was
developed. Basal adhesive conditions essential for tissue adhesion was examined by shear tensile tests and bursting
pressure tests on adhered specimens of porcine aorta. Adhesive strength increased in proportion to heat energy and
vibration amplitude. The average bursting pressure of the 15 specimens was 231 mmHg, while the maximum and
minimum pressures were 360 and 116 mmHg. This technology can also adhere tissues to artificial materials such as
PTFE, which has a melting temperature of 200℃ , and stainless steel. Thus, the adhesion technology that enables lessinvasive was established.
PS1-3-2
Examination of the system support operating master-slave robotic forceps
○清水和洋、和多田雅哉
東京都市大学大学院工学研究科 生体医工学専攻
近年,外科手術では患者の早期回復や術後の生活を考えた低侵襲手術が普及している。低侵襲手術の 1 つである腹腔鏡
下手術では,直径 10mm 程の小さな穴を体に数箇所開け,手術器具をその穴に通して処置を行う。これにより,手術創
痕が小さく,早期の社会復帰や医療費の軽減を実現し,患者の負担が軽くなる。しかし,術者は小さな穴から手術器具
を用いて患部に治療を施すため,動作が制限され作業領域が狭くなることが問題点として挙げられる。この問題に対し,
腹腔鏡下手術において動作範囲の拡大や新たな機能の付加を目的とし,ロボット鉗子が開発されている。しかし,ロボッ
ト鉗子は従来の鉗子に比べて質量増加,操作の複雑化が術者の負担として懸念される。本研究では,術者の負担軽減を
目的とし,マスタ・スレーブ一体型ロボット鉗子の操作支援システムの開発を行う。操作支援システムの概要として,
マスタ・スレーブ一体型ロボット鉗子に支持装置を接続し,術者が手術器具に加える力に対応して支持装置によりアシ
スト力を加えるシステムを考える。支持装置の機構は,手術空間に用いることから強度などを考慮し,リンク機構を用
いることを検討する。本稿では,ロボット鉗子の操作支援システムの概要とシステムに用いるリンク機構の構造を提案し,
操作支援システムの動作シミュレーションについて検討を行う。
PS1-3-3
Dissection of Polyacrylamide gel with water jet driven by spark discharge
○小松 真、佐藤英一
岩手医科大学共通教育センター 物理学科
Penetration depth into artificial soft tissue with single pulse water jet induced by underwater spark was investigated
as preliminary study on detail of Coanda effect around blood vessel in incision. The artificial tissue was 6 % W/V
Polyacrylamide gel and Young's modulus was about 65.4 kPa. Depth measurement was carried out with high-speed
photography. When initial velocity of the jet varies along with spark gap and range of the average velocity was from
41 m/s to 63 m/s. Meanwhile, the maximum average penetration depth was varied from 4.88 mm to 3.6 mm in this
range. This means that penetration increases with decrease of initial velocity. A reason of the phenomena is influence
of complicate pressure fluctuation in nozzle on impact of the released jet to the artificial tissue. We can suppose that
impact of the jet contributes to incision of tissue rather than mechanical energy of jet, and pulse jet is effective for
incision.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 168 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-3-4
A continuous monitor of sevoflurane using a cataluminescence-based gassensor
○岡林 徹 1、尾崎眞啓 2、中川益生 2
1
千葉科学大学危機管理学部 医療危機管理学科、2 岡山理科大学理学部 応用物理学科
PS1-4-1
15:10-15:46 ポスター会場
Development and characterization of flexible L-glutamate biosensor
○小竹直樹、鈴木隆文、深山 理、竹内昌治、満渕邦彦
東京大学
We describe a fabrication method and characterization of a flexible L-glutamate sensor made of parylene. L-glutamate
is a major excitatory neurotransmitter in the central nervous system, and it is involved in most aspects of normal and
abnormal brain function. Although previous studies have reported several types of sensors to determine L-glutamate in
the brain, these were based on rigid materials such as silicon or ceramic. Our flexible sensors were designed to reduce
brain tissue invasiveness caused by sensor implanting. We fabricated the sensors consisting of a parylene thin film
structure and four-channel recording sites using MEMS technology. Then L-glutamate oxidase was immobilized onto
the surface of each recording site. L-glutamate detections were performed using chronoamperometry. The sensors
could be used in the range of 0 to 5 µM L-glutamate solution which corresponded to basal extracellular concentrations
in vivo.
PS1-4-2
Luminescent nanocrystalline silicon particles modified amino group with
silane solution for bioimaging
○宮川明久 1、星野祐太 1、藤岡宏樹 2,3、平栗健二 1、佐藤慶介 4、山本健二 2
1
東京電機大学大学院工学研究科 電気電子専攻、2 国立国際医療センター研究所 国際臨床研究セ
ンター、3 東京慈恵会医科大学 DNA 医学研究所、4 独立行政法人物質・材料研究機構
量子ドットは生体内の動態観察や薬物送達システムなどの様々な医療分野への応用が期待されている。特に、単一励起
源での多色発光が可能であることから、量子ドットは医用イメージング材料として注目されている。しかし、現在使用
されている量子ドットの材料である CdSe、CdS、ZeS などの化合物半導体は材料自体の毒性が高いため、人体への影響、
環境負荷に対する影響を考慮した場合、直接的な医療応用は難しい。そこで、次世代の発光材料として期待されている
ナノ Si 粒子に着目した。ナノ Si 粒子は人体に対して毒性が低く、資源が豊富である Si の単一元素から構成されている量
子ドットである。しかしながら、医用イメージング材料としてナノ Si 粒子を応用するためには、タンパク質や癌細胞な
どの特定物質を認識することができる抗体として使用される生体分子との結合が不可欠である。従って、これらの生体
分子に対して選択的な反応性を示すアミノ基(-NH2)との結合法の開発が必要となる。このアミノ基を直接表面に修飾す
る方法としてシランカップリング剤の導入が提案されている。そこで、本研究では医用イメージング材料としてナノ Si
粒子を応用するために、シランカップリング剤によりナノ Si 粒子表面にアミノ基を修飾し、修飾後のナノ Si 粒子の表面
構造と発光特性を調査した。さらに、in-vitro 試験による細胞親和性についても調査した。
− 169 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
ポスターセッション 1-4「マイクロナノテクノロジー」
25
日
Sevoflurane is a typical anesthesia agent, and is used to anesthetize patients during one's surgery. Although it is
important to control the concentration of anesthetic vapor during a surgical operation, only a feed-forward control has
been conducted by controlling mixing-ratio of anesthetic vapor and carrier gas, so far. A convenient sevoflurane sensor
to monitoring concentration continuously is expected to avoid anesthetic accidents. We have studied cataluminescencebased gas sensors measuring combustible organic vapors. Cataluminescence (CTL) is chemiluminescence emitted
during catalytic oxidation of combustible gases, and the emission mechanism is based on the recombination radiation
of electron-hole pairs originated from adsorbed species produced during catalytic oxidation. We observed CTL
by sevoflurane vapor of 20 ppm in air on Tb-doped γ -Al2O3 catalyst heated to 823 K. The sensor shows the 90%
response time less than 3 min. As the CTL-based sensor has such high-sensitivity, it can monitor the concentration of
sevoflurane-vapor in oxygen by dilution of the mixed gas with air. The detailed characteristics of the sensor will be
presented.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-4-3
Research on a micro filter to separate blood cells
○河野 司、岡垣秀典、筒井博司
大阪工業大学大学院工学研究科 生体医工学専攻
日
25
午後の部
(金)
【目的】本研究ではマイクロ化学デバイス内に集積可能な血球分離フィルタの作製,評価を行っている.従来,血球分離
のためにメンブレンフィルタや遠心分離機が用いられてきたが,マイクロ化学デバイス内の微小領域でこれらの機能を
発揮させることは非常に困難である.本研究が目指す血球分離フィルタは,赤血球がフィルタ面全体で捕捉され,かつ
血漿成分がスムーズにフィルタを通過することを基本的な考え方として,これら 2 つの条件を満たす構造を微細加工技
術によって作製し,微小領域での血球分離を実現することである.
【方法】この考え方に基づき,目詰まりすることなくフィ
ルタ全面で血球分離を行うために,多数のポケットを有する迷路構造によるフィルタを提案し,実際にデバイスの作製
を行った.フィルタの迷路構造は,多数の柱状構造物を一定の間隔で配置することで作製でき,構造物の隙間を利用し
て血球と血漿の分離を行う.フィルタの寸法は,面積が 510 × 510µm,柱状構造物面積 3.4 × 3.4µm,隙間 0.85µm および
高さが 10µm である.フィルタは MICRO CHEM 社製フォトレジスト SU-8 シリーズを用いたフォトリソグラフィによっ
て作製した.【結果】作製したフィルタを用いて血液を使った実験を行った結果,フィルタ内部において赤血球と血漿の
分離がみられ,血漿成分のみをフィルタ外に取り出すことが可能となった.
PS1-4-4
Automatic pH measurement system for biological applications using 96-well
microplate
○山田 章 1,2、毛利 聡 2,3、中村通宏 2、成瀬恵治 2
広島工業大学工学部 機械システム工学科、2 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 システム生理、
3
川崎医科大学 生理学 1
1
我々は,pH を感知する ISFET(Ion-sensitive field effect transistor; イオン感応型電界効果トランジスタ)をセンサに用い
て,96 穴マイクロプレートに対応した自動 pH 測定システムを開発した.差動型センサプローブ(昨年報告),送液・吸
引用ポンプ,移動用 XYZ ステージを PC により自動制御し,各種条件を最適化した結果,わずか 26µL(約 1 滴)の検体量
で,センサプローブの洗浄から測定までの 1 サイクルを 135 秒 / 検体(洗浄 60 秒,移動 20 秒,吸引 3 秒,測定 52 秒),測
定誤差 0.01pH オーダーで自動測定に成功した.これは,一般には測定の困難な緩衝能の低い(β値 =0.1mM/pH オーダー)
検体に対する測定値であり,本法の測定性能が極めて高いことを示している.なお,本法では pH 測定に不可欠な較正過
程も含めて完全自動化した.従来のガラス電極では,電極サイズが大きく,応答性が低いため,自動化には不適であり,
ISFET を用いることで初めて測定時間,精度面で実用的な段階に到達した.低緩衝能の溶液に対しても高速,高精度測
定可能な本システムは,細胞外液の酸性化に基づく活性測定など,生物試料の自動評価系への応用展開を期待できる.
PS1-4-5
Pullout Test of Hybrid Stereolithographic bars for Development of
Microsurgical Tool by Rapid Manufacturing
○加藤大香士、生田幸士
名古屋大学大学院工学研究科 マイクロ・ナノシステム工学専攻
次世代マイクロ手術ツールをラピッドマニファクチャリングによって開発
することを目的とする.ハイブリッド光造形法は,造形途中で間欠的に金
属や異素材部品を既硬化樹脂に埋込み,複雑で高密,微細構造を作製できる.
本報では,樹脂基質にステンレスチューブを埋込んだハイブリッド光造形
試験片の引抜き試験により,臨床使用に十分な強度を有することを確かめ
た.また,ステンレスチューブの基質への埋込長を様々に変化させた試験
片を用い,測定した最大引抜き力から層間せん断応力を計算した結果,複
合材料の力学理論と合致していることも確認できた.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 170 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-4-6
TEM observation of human sperm vacuole and elemental analysis
○松浦宏治 1、橋本英樹 2、古谷満寿美 3、黒田ユカ 1、成瀬恵治 4、高田 潤 2
岡山大学 異分野融合先端研究コア、2 岡山大学大学院 自然科学研究科、3 岡山大学医学部、4 岡
山大学大学院医歯薬学総合研究科
1
PS1-5-1
15:46-16:16 ポスター会場
Laser-Based Measurement of Ultrasonic Vibration for Regenerating Cartilage
Evaluation
○新田尚隆
(独)産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門
【目的】再生軟骨の性状変化が経時的に捉えられれば、再生度評価において有益である。本研究では超音波振動を加えた
ときの薄厚サンプル表面における振動変位をレーザー振動計にて計測する再生軟骨評価法を検討した。【方法】超音波プ
ローブ(中心周波数 1MHz)表面上に、ウレタン製音響カプラ(10mm 厚)を置き、そのカプラ表面上にサンプルを配置し
て、サンプル下部から超音波パルス波を印加する。サンプルの上部 30cm の位置にはレーザー振動計(周波数レンジ<
10MHz)を配置し、サンプル表面での粒子速度をデジタルオシロスコープで記録する。さらに粒子速度波形を時間積分し、
振動変位波形を求める。変位は、媒体の弾性率と逆数的な関係があるので、この振動変位波形における振幅を計測する
ことにより、相対的な弾性評価が可能になる。【結果】再生軟骨を模擬した均質の寒天ファントム(重量濃度 3%、5mm 厚、
散乱源なし)を用いた実験を行った。上記の方法により、寒天サンプルがない場合、すなわち音響カプラのみの場合の
振動変位 A とサンプルがある場合の振動変位 B を求めた。その結果、振動変位の比は B/A=0.425 となり、寒天サンプル
の弾性率に応じた振動変位の低下が観測された。さらに、再生軟骨性状の経時変化を模擬するため、寒天濃度を変化さ
せたファントムに対して振動変位計測を行った結果、濃度上昇に伴う振動変位低下を認めた。これらの結果から、本手
法の実現可能性が示唆された。
PS1-5-2
Development of a catheter type ultrasonic sensor for the evaluation of
diastolic dysfunction.
○入谷直樹 1、春田峰雪 2、村山嘉延 2、尾股定夫 2
日本大学大学院工学研究科、2 日本大学工学部
1
心不全は症状により収縮機能不全、拡張機能不全に部類される。中でも拡張機能不全は心室スティフネスが増大するこ
とで血流量、充満速度、血圧が変化し、末梢組織まで十分に血液を循環させることができなくなる症状を指す。現在の
診断法は心エコー・ドプラ法、RI 心プールシンチグラム法、血圧を指標とする総合的評価に留まり、診断法が確立され
ていない。そこで、右心室の硬さ変化を利用した評価法が有効であると考えられる。本研究では、超音波を用いた硬さ
評価法を提案する。超音波振動子からの送信波及び反射波の位相差を検出することで、対象物体の音響インピーダンス
Z の評価を行う。位相シフト法を用いて位相差を周波数変化量Δ f として計測し、高 SN 比、リアルタイム計測を実現さ
せた。本計測システムをカテーテル先端に取り付けて右心室内まで挿入し、低侵襲に拡張機能不全評価を目的としたシ
ステムを開発する。本報告では、従来法であるパルス透過法を用いた計測値及び、本計測システムを用いて計測した試
6
-3
]、1.12、1.17、1.26)におけるΔ f の線形相関から推定したブタ右心室の Z を比較し、Z を用いた
料(Z=1.00 × 10[Nsm
拡張機能不全評価の可能性について検討した。結果、パルス透過法の計測値(1.68)及び本計測システムの推定値(1.71)
が近似した。よって、拡張機能不全評価を目的としたシステムの可能性が示唆された。
− 171 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
ポスターセッション 1-5「超音波」
25
日
最近、ヒト生殖補助医療において、顕微授精時に高倍率で精子を拡大し、染色体が含まれている頭部に空胞を有する精
子を選別する技術が一部の機関で用いられるようになった。大きい空胞を持たない精子を顕微授精した群において妊娠
率が上昇した例も報告されている。現時点では精子空胞の実態については明らかにされていない。一般の組織化学染色
法では三種類の重金属(Pb,U, Os)を用いて多重染色を行う。細胞内の生体分子と各金属が結合する割合は違いが見られ
る。このことを利用して、透過型電子顕微鏡(TEM)によって精子空胞内部の元素分析を行い、空胞内の実体解明を試みた。
ヒト精子を樹脂内に分散させて組織化学染色し、厚み約 300nm の切片を TEM グリッドに載せることによって試料を作
製した。エネルギー分散 X 線分析(EDX)によって、精子空胞内外の鉛(Pb)とウラン(U)原子数の割合(NPb:NU)を比
較した。直径 100nm 程度の空胞内では NPb:NU が 4:6 であり、空胞外では 7:3 であった。血液内の Pb は 99%が血液内の蛋
白質に結合することから、本実験で観察された Pb は主に蛋白質に結合していると推測される。一方、U は蛋白質に結合
するものの、DNA にも結合し TEM 像に強いコントラストを与えることが知られている。従って、空胞内で観察された
像は他の頭部と比較して DNA 量の割合が高いことが示唆された。
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-5-3
Development of continuous measurement system for the bladder volume
using ultrasonic wave
○田中玲子 1、阿部貴志 1、野口 満 2
1
長崎大学工学部 電気電子工学科、2 佐賀大学医学部 泌尿器科
日
25
午後の部
(金)
Determination of the bladder volume is important clinically for patients suffering from the voiding dysfunction. The
measuring instrument of bladder volume has been eagerly waiting, that is accurate, portable, low-cost, safety for the
patients and easy to use. Then, we developed a new measurement system for the bladder volume using a limited
number of ultrasonic transducers. First, the ultrasonic transducers were efficiently assigned in order to measure a
wide range of the bladder. The drive system which is capable of continuous measurement was also developed. As
the results of these methods, the bladder of volunteers was able to be measured during urination with this system.
Additionally, the measured volumes were in reasonable agreement with the calibrated volume data available through
urination. In our measurement system, a wide range of shapes and volumes of the bladder were accurately measured.
Furthermore, it is possible to measure continuously the bladder volume during urination.
PS1-5-4
Development of automatic body mark system for ultrasonic diagnostic
equipment
○竹内陽一郎 1、中口俊哉 2、山口 匡 3
1
千葉大学大学院工学研究科、2 千葉大学大学院融合科学研究科、3 千葉大学フロンティアメディカ
ル工学研究開発センター
In the ultrasonic diagnosis, acknowledgment of probe position is important in order to prevent the leak of an
inspection. In this research, we developed automatic probe position recognition system that consists of two optical
color sensors and the color pattern fixed on the measurement object. Two color sensors are attached to an ultrasonic
probe, and the current position of the probe is detected by judging the color on a color pattern. In our system, it is
possible to detect the current position of the ultrasonic probe in real at the same time as we observe the inside of
human body by ultrasonic diagnostic equipment. Moreover, mitigation of the omission in an inspection was realized by
memorizing the locus of the past observation position.
PS1-5-5
Relationship between Heating Value and Effective Area of Heating Element
for Soft-Heating Hyperthermia
○村津宏樹 1、降矢健太郎 1、田倉哲也 2、佐藤文博 2、松木英敏 1、佐藤忠邦 1
東北大学大学院医工学研究科、2 東北大学大学院工学研究科
1
温熱療法であるハイパーサーミアは,がん組織が正常組織より熱に弱いことを利用した治療法である.インプラントハ
イパーサーミアでは,体外からエネルギーを伝送し,患部に配置された素子を加熱するため,低侵襲な治療方法である
利点をもつ.ソフトヒーティング法は,温度制御機能を有する感温磁性体を腫瘍に埋め込み,高周波磁界によりエネルギー
伝送を行い,磁性体を発熱させる方法である.ここでは,腫瘍を確実に壊死させる組織温度まで上昇させるため,ソフ
トヒーティング法を応用した高温ハイパーサーミアの手法を適用している.高温ハイパーサーミアでは,感温磁性体と
金属環を組み合わせることによって,発熱量の増大を実現している.さらに,素子はキュリー点による自動温度制御機
構を有する.本研究では素子の加温能力を評価するため,発熱素子の発熱量と加温領域に関する検討を行った.発熱素
子を RL 直列回路の等価回路に置き換え,素子パラメータから抵抗値とインダクタンスを算出した.その値から金属環に
流れる短絡電流を求め,発熱量の推定を行った.このようにして求めた発熱量から,加温領域のシミュレーションを行い,
実際に測定した結果との比較・検討を行ったのでここで報告する.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 172 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
ポスターセッション 1-6「磁気 1」
PS1-6-1
14:00-14:30 ポスター会場
Decoding of the brain activity associated with image recognition using MEG
signals
○宮村昂宏 1、河本隆史 2、栗城眞也 3、田中慶太 4、内川義則 1,4
東京電機大学理工学研究科、2 北海道大学情報科学研究科、3 東京電機大学先端工学研究所、4 東京
電機大学理工学部
1
本研究では,視覚刺激に対する好ましい,あるいは好ましくないといった
ヒトの内的状態を評価することを目的として,自発性脳磁界を計測し,α
リズムの特定周波数について位相解析を行った.被験者に 30 枚の食品画像
(正常画像)と,それらの色相を反転させた食品画像(反転画像)の 2 種類を
ランダムな順番で呈示し,被験者がそれらを眺めている時の脳磁界を 76ch
脳磁計により計測した.自発性脳磁界データに対してαリズムの特定周波
数について刺激呈示に位相同期した成分の解析を行ったところ,正常画像
と反転画像間におけるαリズムの強度分布に差異が確認された(図).以上
の結果より,αリズムの特定周波数の同期成分からヒトの内的状態を定量
化する可能性が示唆されたので報告する.
日
(金)
午後の部
PS1-6-2
25
Study of noise effects on auditory systems using MEG
○田中慶太 1、内川義則 1、川勝真喜 2、根本 幾 2
東京電機大学理工学部 電子・機械工学系、2 東京電機大学情報環境学部
1
We measured auditory steady state responses (ASSRs) in magnetoencephalogram to an ongoing sinusoidal amplitude
modulated tone presented to the subject's left ear while bursts of white noise of various intensities were presented
to the right ear. Because the power and coherence as functions of the noise intensities differed considerably among
subjects, we used their maximum values as test statistics for testing the group data. The results showed a significant
enhancement in the phase coherence of ASSRs obtained over the right temporal regions by the presence of white
noise of appropriate intensity. The observed SR most likely occurred within the central nervous system.
PS1-6-3
Differences in AEF to major and minor chord tones
○大貫和仁 1、根本 幾 2、田中慶太 3、内川義則 1,3
東京電機大学理工学研究科、2 東京電機大学情報環境学部、3 東京電機大学理工学部
1
音楽は「喜び」,
「悲しみ」,
「怒り」,
「恐れ」など様々な感情を表現している.
そして,そのような作用に対して一つの重要な役割を持つのが和音である.
しかし,和音を聞いた時の感覚のメカニズムは明らかになっていない.本
研究では明るい印象を受ける長三和音,暗い印象を受ける短三和音に着目
し,視覚刺激と組み合わせたとき,明暗の感覚がどのように誘発脳磁界に
反映されるか調べた.課題は,刺激画像として笑顔と悲しい顔を呈示した
後に,刺激音として純音を用いた長三和音と短三和音を左耳に聞かせ,そ
の際の脳磁界を計測した(図).被験者数名において組み合わせが適切だっ
た場合に比べ不適切だった場合に,早期潜時(N1)で磁場強度の増大が確認
された.このことより,長短三和音の相違が早期で確認されたので報告する.
− 173 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-6-4
mismatch MEG in response to omission of One Tone in a descending major
scale
○小田翔一朗
東京電機大学情報環境学部 情報環境学科
日
25
午後の部
(金)
先行研究として,ハ長調の完全な上行音階と 1 音省略した上行音階を用いて誘発 MEG の差を測定した研究があり,それ
と比較するため,本研究ではハ長調下行音階について同様な測定を行った.ハ長調の完全な下行音階 CBAGFEDC を標
準刺激とし,その内の C 音以外の 1 音を省略し,省略された音の箇所では省略音の直前の音を繰り返したものを逸脱刺
激とする Oddball 課題を行い,誘発 MEG を計測した.どの省略音についても,逸脱刺激に対して,音が繰り返されて約
80ms から 200 ms の間に大きな反応が見られ,上行音階のときと同じように,逸脱刺激応答には標準刺激との差から生
ずるミスマッチ反応が起きることが分かった.また省略される音が終結に近いほど反応が大きくなる傾向が上行,下行
音階のどちらにも見られた.ハ長調音階は誰にとっても既知の音列であるため,各音の予測に対し強い拘束力があり,
また省略が遅れるほど完全音階と同じ音列を多く聞くことになるため,脳が標準刺激が呈示されると予想し,予想に反
した音が流れた際に反応が大きくなるためだと思われる.さらには,フレーズの終結の仕方が,フレーズの性格を強く
決定づけるということを意味しているとも考えられる.また上行,下行音階のどちらの B 音省略時にも大きな反応が見
られた.これは B 音のもつ導音としての役割の重要性によるものだと考えられる.
PS1-6-5
mismatch MEG in response to omission of One Tone in a minor scale
○安藤浩瑞
東京電機大学情報環境学部 情報環境学科
本研究では無視条件における自然的短音階の知の脳過程を調べるため,C-minor 音階(C-D-Eb-F-G-Ab-Bb-C)を高頻度刺
激,主音である C 音以外のいずれか 1 音を省略し,その直前の音を反復する 1 音省略音階を低頻度刺激としたオドボール
実験を行った.刺激提示中の脳磁界を計測し,1 音省略時にミスマッチ反応があるかの検証及び,省略音によってミスマッ
チ反応の大きさに差があるか比較検証を行った.その結果,全ての省略音に対しミスマッチ反応が確認され,意識して
いなくとも音列の違いに対する反応が起きることが確認できた.その中でも,D 音,F 音,Bb 音省略時に比較的大きな
ミスマッチ反応が確認されたことから,これらの音が短音階の認識に重要な役割を持っているということが考えられる
が,実験方法を変更するなどしてさらに検証する必要がある.また,先行研究で行われた長音階の結果と同様に,省略
音が音列の後半になるほど反応が大きくなる傾向があることが確認された.その一因としては,音階を途中まで聞くこ
とで脳がその音列が音階であることを認識し,次の音を予測するが,それが外れることで反応が大きくなるということ
が考えられる.
ポスターセッション 1-7「磁気 2」
PS1-7-1
14:30-15:00 ポスター会場
MEG Study of Relationships between Prediction and Cognition for Visual
Motion Changes
○三尾恭史 1、林 伴明 2、青山 敦 3、小山裕徳 1、川澄正史 1
東京電機大学工学部 情報メディア学科、2 東京電機大学大学院未来科学研究科 情報メディア学
専攻、3 東京電機大学先端工学研究所
1
ヒトはスポーツやコミュニケーションなどの日常の中で,視覚的な運動情報である視覚性運動を予測する場面が多く
ある.しかし,予測することが結果となる情報の認知にどのような影響を及ぼしているかは明らかではない.そこ
で本研究では,視覚性運動の変化に対して予測を行っている際のヒトの期待を反映する SPNm(Stimulus Preceding
Negativity)と,変化に対する認知を反映する P300m に着目し,変化が入力される前の予測の脳活動と変化に対する認
知の関係について誘発脳磁界計測を用いて検討を行った.実験では,手掛かりに対応する運動変化を予測させ,結果に
対しなるべく早く弁別を行わせる課題下で,予測に反する視覚刺激を 10%で呈示した.SPNm と P300m の共通の活動源
とされる右半球 MT 野を含む 8 チャンネルにおいて,単一試行毎に RMS(Root Mean Square)解析を行った結果,SPNm
と P300m に正の相関がみられた.このことから,変化に対する認知を反映する P300m は,変化を呈示する前に出現する
SPNm に依存し,SPNm の強度から P300m の強度がある程度推測できることが示唆された.さらに,視覚刺激の認知に
伴う視覚野の活動による影響を考慮し,手掛かりを与えず視覚刺激に対する認知のみを検出する非予測の条件を加え検
討を行った.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 174 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-7-2
Response of finger movement to transcranial magnetic stimulation in
maintenance of constant finger force
○小田垣雅人、福田浩士、樋脇 治
広島市立大学大学院情報科学研究科
The effect of the brain activity by the repetitive transcranial magnetic
stimulation (rTMS)
○野嶋和久 1、松永 淳 2、岩橋正國 1、片山喜規 3、伊良皆啓治 1,3
九州大学システム生命科学府、2 九州大学工学部 電気情報工学科、3 九州大学システム情報科学
研究院
1
経頭蓋磁気刺激(TMS)は,頭皮上のコイルにパルス電流を流し,脳内の神経を刺激する手法である.この TMS を繰
り返し行う,反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は脳の活動を変化させることができる.近年の研究では,1Hz 以下の低頻度
rTMS を与えることにより,運動誘発電位(MEP)の振幅の減少が,1Hz 以上の高頻度 rTMS により振幅の増加が確認さ
れている.しかし,MEP における現象は,筋電位によるものであり,rTMS が脳波活動に与える影響は明確になってい
ない.そこで本研究では,TMS が脳波に与える影響を調査する為,rTMS を左半球の第一次運動野に与え,脳波を計測
した.計測した脳波から,γ帯域におけるパワースペクトルを算出することによってその影響を確認した. 実験は,刺
激前 5 秒間,刺激中 5 秒間,刺激後 5 秒間を 1 試行とし,全 20 試行を連続して行った.1 試行目の rTMS を与えていない
刺激前 5 秒間と 10 試行目の刺激後 5 秒間,20 試行目の刺激後 5 秒間を比較することで,その変化を調査した.解析に用
いた電極は,刺激部位に近い FC3,FC3 の対側に位置する FC4,FC3 と FC4 の後方に位置する P3,P4 である.γ帯域
の FC4 において,1 試行目の刺激前 5 秒間に対し 20 試行目の刺激後 5 秒間では,パワースペクトルが有意的に増加するこ
とが確認できた.一方,FC3,P3,P4 では,有意的な変化は 10 試行目,20 試行目共に確認されなかった.
PS1-7-4
Estimation of brain activities in response to major and minor chords and
cadence sequences by event-related fMRI. ○藤巻拓哉 1、根本 幾 1、王 力群 2
1
東京電機大学情報環境学部 情報環境学科、2 東京電機大学先端工学研究所
伝統的な西洋音楽において,調は半音程の配置により長調(major)と短調(minor)に分けられている.長調の主和音は
長三和音で短調の主和音は短三和音である.人は長・短三和音に対して,明暗や悲喜の感覚を受ける.長調,短調に対
しても同様である.本研究では,それが脳の情動活動とどのように関連するか調べる第一歩として,長・短三和音及び,長・
短調カデンツに対する脳活動を,事象関連 fMRI で計測した.この方法により,単一の刺激に対する反応を計測できるだ
けでなく,音楽聴取の実験で,スキャン時の騒音による妨害から逃れることができる.現在まで,被験者数は和音実験
が 11 人,カデンツ実験が 11 人で,グループ統計において確実に述べることができる結果は得られていない.しかし,活
動の大きさや活動部位に個人差が大きく,個人内の統計では情動と関連する部位として知られる辺縁系の帯状回に活動
が見られたり,言語野に活動がみられた.そこで,個人のデータから,長・短調の刺激の受容が,どの様なメカニズム
で情動的反応を引き起こすのか検討した.今後は,さらに被験者を増やすこと,特に音楽家(音楽的訓練を積んだ人)と
非音楽家のグループの測定を行う予定である.
− 175 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
PS1-7-3
25
日
身体の随意運動は大脳皮質の第一次運動野(M1)から末梢神経に向けて伝達される運動指令がダイナミックに制御され
ることにより遂行される.随意運動中に M1 に対して経頭蓋磁気刺激(TMS)を行なうことにより随意運動の制御系に対
して外乱を与え,その応答を解析することにより随意運動の制御システムを解明できると考えられる.本研究では,手
指の等張性随意運動において,M1 への TMS を行った時の手指の運動の応答について検討した.被験者の拇指の指尖部
に力覚デバイスの先端を固定し,伸展方向に一定の負荷を与えた.被験者には,極力指の力を抜いた状態で負荷に対し
てバランスを保ちながら拇指を一定の位置に保持するように指示した.対象の拇指の対側の M1 に TMS を行い,刺激後
の拇指の先端の運動軌道を計測した.拇指に負荷を与えた場合,TMS 直後に拇指の先端は屈曲方向に変位したが,その
後,伸展方向に変位し TMS を行った時点における位置に戻った.また外力が大きくなると屈曲方向の変位は大きくな
る傾向があった.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-7-5
Visualization of multiple source activation in a human heart model
○ Massimo De Melis, Yoshinori Uchikawa
Graduate School of Advanced Science and Technology, Tokyo Denki University
日
25
Non-invasive measurements of the heart magnetic signals (MCG) can be used to assess the cardiac electrical activity.
In this study, we used MCG data acquired from patients suffering from irregular myocardial activation and healthy
subjects at rest and under stress to reconstruct the current source that originates the recorded field distributions.
The volume conductor model used was a four compartments model that considers the torso, two lungs and the heart
geometries. The source space region was considered divided in two or four cavities, with a single dipole to be localized
in each cavity. The analyses are repeated also with a distributed source model, and an equivalent dipole is obtained
from the current density calculated in each cavity, to be compared with the single dipole localizations.
午後の部
(金)
ポスターセッション 1-8「磁気 3」
PS1-8-1
15:10-15:52 ポスター会場
Study of visualization of current distribution in human body using 3D
magnetic field measurement
○岩崎秀明 1、田中慶太 2、内川義則 1,2
1
東京電機大学理工学研究科、2 東京電機大学理工学部
現在,SQUID 磁束計を用いた生体磁気計測が盛んに行われている.生体磁
気計測は,生体の電気的活動に伴う微弱な磁界を計測することが可能であ
るため,医療などへの応用が期待されている.しかし,計測磁界データか
ら生体内の電流源を推定する手法は確立されておらず,重要な課題の一つ
となっている.我々は,一つの測定点で,体表に対して垂直な法線磁界成
分と,水平な接線磁界成分を同時計測可能な三次元磁界検出コイルを用い,
磁界の三次元計測を行った.そして,その磁界データから電流源を三次元
的に可視化することを目的としている.今回は法線磁界成分と接線磁界成
分における位相情報に着目した解析を行ったので報告する.
PS1-8-2
Two-dimensional current transformation of magnetocardiographic signal by
using current-arrow map
○緒方邦臣 1、神鳥明彦 1、宮下 豪 1、塚田啓二 2
(株)日立製作所基礎研究所、2 岡山大学工学部
1
The aim of this study is to develop a method for transforming the pseudo two-dimensional (2D) currents obtained
from current-arrow map (CAM) into physical currents. The physical current is given by minimum norm method with
Tikhonov regularization (MNMTR). The depth (zd) of a reconstruction plane is chosen by coordinate of the sinus node.
Pattern differences (ΔJ) between the CAM and MNMTR with regularization parameters (α) are calculated from
magnetocardiograms of 14 subjects. Correlation coefficients and regression lines are calculated from the currents of the
CAM and MNMTR. The Δ J with α of 10^-10 had minimal value. The correlation coefficients of the currents of the
CAM and MNMTR (α= 10^-10) were greater than 0.9. Slopes (y) of the regression lines are correlated with depths (zd)
(-0.93), and regression line was y = -11792 zd - 177. We concluded that the result of the CAM can be converted into
physical currents.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 176 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-8-3
Biomagnetic Sensing System for Sensitive Detection of Magnetic
Nanoparticles
○リ シン 1、工藤信樹 1、栗城眞也 2、清水孝一 1
北海道大学大学院情報科学研究科、2 東京電機大学先端工学研究所
1
Magnetic nanoparticles have been used as biological markers in various
applications owing to their unique properties and high potential. A
system using an induction detection coil for the measurement of magnetic
nanoparticles (Fe3O4) was developed (Fig. 1). It was tested to evaluate the
minimum detectable amount of nanoparticles. In this system, an excitation
coil was used to magnetize magnetic particles and two coils of the same
turn connected in series but wounded in opposite direction were used to
detect magnetic signal from nanoparticles. We could detect magnetic field
produced by 278 µg nanoparticles placed at the distance of 10 mm from
the detection coil.
日
(金)
午後の部
PS1-8-4
25
Broad Range of Communication System of Direct Feeding Method FES by
Phase Difference of carrier
○酒巻貴子 1、木幡陽介 2、加藤健太郎 1、田倉哲也 2、佐藤忠邦 1、佐藤文博 2、松木英敏 1、関 和則 3、
半田康延 3
1
東北大学医工学研究科、2 東北大学工学研究科、3 東北大学医学系研究科
交通事故などによる脊椎損傷の結果,脳から四肢へ神経伝達が行われない
場合,麻痺となって運動機能に障害が現れる.外部から末梢神経に適切な
電気刺激を加えることで,失われた運動機能を補助あるいは再建する方法
を機能的電気刺激(FES)という.我々は,コイルと刺激生成回路を内包し
た小型素子を体内に埋め込み,体外コイルとの磁気的結合により,非接触
で電力および信号を伝送する直接給電法による刺激を目指している.運動
機能再建時の体内外コイルの相対的な位置ずれを考慮し,体外コイル内全
体で給電・通信可能な励磁システムが必要となる.本検討では,100 mW
電力を安定供給しながら、既存の 2 つの通信コイルに流すキャリア電流に
位相差をつけることで,体外コイル内全範囲で電気刺激を行えることが見
込まれたので報告する.
PS1-8-5
Feeding Method for FES System Using Implant Stimulators
○加藤健太郎 1、木幡陽介 2、佐藤忠邦 1、佐藤文博 2、松木英敏 1、関 和則 3、半田康延 3
1
東北大学大学院医工学研究科、2 東北大学大学院工学研究科、3 東北大学大学院医学系研究科
電気刺激を神経に印加すると筋収縮が発生することから,これを用いた
FES(機能的電気刺激)による四肢麻痺の治療は広く知られている.刺激を
印加するものとして衛生面,安全面,低侵襲性,刺激精度の観点から,直
接給電方式による完全埋込電極による方法を採用している.また,複数の
素子設置しなければならないことから,設置容易性を考えて刺入可能な針
状小型素子の開発を目指す.四肢全体に埋め込まれた素子へ給電を行うた
めには,複数個のコイルを用いた広範囲励磁が必要となるが,結合干渉に
よる共振条件変化が問題となる.これらを解決し,直接給電法 FES に適合
する安定励磁システムの構築を目指す.
− 177 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-8-6
Frequencies of Multidirectional Exciting System for Soft-Heating
Hyperthermia
○降矢健太郎 1、村津宏樹 1、田倉哲也 2、佐藤文博 2、松木英敏 1、佐藤忠邦 1
東北大学大学院医工学研究科、2 東北大学大学院工学研究科
1
日
25
午後の部
(金)
ハイパーサーミアは温熱療法のことで,加温方式により様々な手法が存在する.我々はそのうちの一つであるソフト
ヒーティング法について取り組んでいる.これは体内に小型の発熱体を埋め込むインプラント式で,体外コイルから発
する交流磁界を用いて非接触でエネルギー伝送して加温する方法である.発熱体は感温磁性体を金属環で包んだ構造で,
磁性体のキュリー温度を基準とした温度の自動制御性を素子自信に有する.従って壁温一定型の発熱をするため加温範
囲が特定でき安全である利点を持つ.ソフトヒーティング法に使用する発熱体は断面積が 0.6mm × 0.6mm で,長さが
10mm 程度の非常に細長い形状をしている.このような針状で体積も大きいため,比較的低い条件で温度上昇が見込め
るが,その形状ゆえに発熱量は発熱素子の設置角と磁界方向に依存する.しばしば励磁コイルに用いられるソレノイド
コイルやスパイラルコイルでは,ほぼ一定方向の磁界を用いるため,様々な角度に複数設置することを想定した発熱素
子を的確に加温できない恐れがある.そこで多方向の磁界が得られる励磁構成について検討を行った.これまでに二つ
の励磁コイルをそれぞれ異なる周波数や電流位相で駆動する方法を提案してきたが,今回はこの手法の要となる周波数
について検討を行った.
PS1-8-7
Multi-directional Excitation System With One Power Supply for Real-time
Internal Irradiation Dose Measurement Device
○小竹弘晃 1、田倉哲也 2、佐藤文博 2、佐藤忠邦 1、松木英敏 1、山田章吾 3
1
東北大学大学院医工学研究科 医工学専攻、2 東北大学大学院工学研究科、3 東北大学大学院医学
系研究科
放射線治療はがん治療の 1 つであり,他のがん治療法との併用療法として重要となっている.近年,CT や MRI などの画
像診断処理装置や外部照射機器の進歩により照射精度は向上している.しかし患部付近においてどれくらいの線量が照
射されているか,定量的なデータが要望される.このため,体内埋め込み可能な線量計と体内線量情報を体外へ伝送す
るためのワイヤレス信号伝送システムが必要となる.また体内素子を駆動させるためのワイヤレス給電システムも必要
となる.そこで給電用コイルとしてヘルムホルツ型コイルを採用してきたが,体内デバイスの位置によって体内回路駆
動に必要な電力を給電することが困難となる.この問題を解決するためスパイラルコイル 2 つを直交に配置した場合に
ついて検討を行った.これまでの検討から,取り扱いのしやすい 100 kHz 前後の中間周波数帯を用いた.2 つのコイルの
電流位相が同位相の場合,一定方向の磁界しか生み出すことができない.しかし回路的に工夫することで,2 つのコイ
ルの電流の位相差が 90°,さらに 2 つのコイルに流れる電流比が 1 のとき回転磁界を発生させることが確認できたのでそ
れを報告する.
ポスターセッション 1-9「細胞 1」
PS1-9-1
14:00-14:24 ポスター会場
PLA nanofiber conduit bearing AG73 neurite outgrowth promoting peptide
for peripheral nerve regeneration
○柿木佐知朗 1,2、山岡哲二 1,2
国立循環器病センター研究所先進医工学センター 生体工学部、2JST-CREST
1
In some traumatic nerve injuries, autologous nerve grafting is a first choice for bridging the gap between the cut ends
of the nerve, which cannot be connected by an end-to-end repair. However, this procedure has some problems, for
example, the extraction of normal nerve results in permanent loss of the donor function. Artificial nerve conduits have
been developed to bridge the gap between the nerve stumps instead of autologous nerve. Poly (L-lactic acid) (PLA) is
widely used as the substrate for them because of its good biodegradability, but its biological activities are not inherent.
In this study, we developed the PLA nanofiber conduit modified with the amphiphilic conjugates composed of oligo (lactic
acid) and the neurite outgrowth promoting sequence, AG73 (RKRLQVQLSIRT), by electrospining procedure. And then,
we treated the 10 mm gap of rat peripheral nerve by PLA/OLA-AG73 nanofiber conduit.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 178 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-9-2
Focal photolytic flash-induced neuronal death by using caged-glutamate in
neuron/astrocyte co-culture
○渡辺知晴、岩淵禎弘、河原剛一
北海道大学大学院情報科学研究科
Control of cellular organization around collagen micro-beads using
dielectrophoresis
○杉本 遊、宮田昌悟
慶應義塾大学理工学部 機械工学科
再生医療では,正常な細胞を三次元的に集積し直接欠損部に移植すること
で,自己組織の再生を促す治療法が検討されている.このような再生の場
では,培養担体への細胞の集積化技術および生理活性物質を徐放する技術
(DDS)が重要となっている.本研究では,集積化方法として複数の微粒子
を扱いやすいことから誘電泳動に注目した.誘電泳動と流れを利用し,再
生医療と DDS の複合的な基礎研究として,ドット型電極を用いて生体内で
組織再生の足場となる生体吸収性材料であるコラーゲンビーズに,細胞を
三次元的に集積化する方法を検討したので報告する.(図 1. ドット型電極を
用いたコラーゲンビーズへの軟骨細胞の集積(a:集積前のビーズ,b:集積
後のビーズ,c:ビーズへの軟骨細胞の集積,d:集積後の拡大画像))
PS1-9-4
Hysteresis in electric field induced contraction of cultured muscle
○高島祥伍、小橋良丞、藤里俊哉、宇戸禎仁
大阪工業大学院工学研究科
培養筋に電気刺激を与えた場合に収縮運動を行うことは知られているが、
培養筋をアクチュエータに応用する場合、与えた電気刺激の強弱で収縮運
動の様子がどう変化するかを定量的に評価する必要がある。そこで、本研
究では培養筋管細胞の顕微鏡像をディジタル画像処理することによって収
縮運動を定量的に評価し、収縮運動の印加電界依存性について調べた。周
期 1[Hz]、パルス幅 10[ms]のパルス波の電圧を 5・10・15・20[V]と変化
させ測定した結果を図 1 に示す。縦軸は顕微鏡像の輝度の変化を示してい
るが、この値から収縮運動を定量的に評価した。その結果大きな電圧を印
加することによって特性が変化するという履歴特性が観測された。詳細は
当日報告する。
− 179 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
PS1-9-3
25
日
脳虚血時、高濃度の細胞外グルタミン酸による神経細胞の過剰興奮が急性細胞死を生ずる原因となっている。また虚血
から回復しても、急性細胞死が生じている領域の周囲では遅発的な神経細胞死が認められる再灌流障害が報告されてい
る。昨年度の本会では、ケージドグルタミン酸を神経細胞・グリア細胞共存培養系に付加した状態で紫外光を照射すると、
1)照射領域(flashed area; FA)内で急性の神経細胞死が生ずること、2)再灌流 1 日後には照射周囲領域(surround FA;
SFA)に遅発性神経細胞死を誘発できること、3)SFA では引き続く虚血ストレスに対して抵抗性を有することを報告し
た。本手法は各種 in vivo 脳虚血モデルよりも簡便であり、さらに脳虚血時における神経細胞とグリア細胞間での機能連
関を解明することも可能であるため虚血性脳疾患の病態解明に役立つと考えられる。今回は、ケージドグルタミン酸解
除からの再灌流時間の相違による虚血耐性効果の有無を確認した。照射 6 時間後から 48 時間後では SFA に遅発的な神経
細胞死が認められ、照射 6 ~ 24 時間では引き続く致死的な虚血に対して抵抗性を有していた。一方、48 時間後では虚血
耐性効果は消失する傾向にあり、これらは従来 in vivo 虚血モデルで認められたものと同様に虚血耐性効果が一過性の現
象であることを示している。さらに、SFA 内の神経細胞やグリア細胞の遺伝子発現や形態学的な変化を解析した結果に
ついても報告する予定である。
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
ポスターセッション 1-10「細胞 2」
14:24-14:48 ポスター会場
PS1-10-1 Application of Cultivated Skeletal Muscle to Bio-actuator
○中尾 誠 1、竹下和樹 2、及川裕輝 2、黒田純平 2、藤里俊哉 1、筒井博司 1
1
大阪工業大学大学院工学研究科 生体医工学専攻、2 大阪工業大学大学院工学部 生体医工学科
日
25
午後の部
(金)
【目的】骨格筋は,軽量で柔軟かつエネルギー変換効率が高いなどの優れた特性を有しており,バイオアクチュエータと
しての応用が期待できる.我々はこれまで筋芽細胞に機械的伸展刺激を負荷することは骨格筋組織として成熟させるた
めに有効であることを示してきた.今回,機械的伸展刺激の負荷時間を変更した培養実験,および培養骨格筋の成熟に
与える影響を評価したので報告する.【方法】筋芽細胞である C2C12 細胞とコラーゲン溶液を包埋しゲル化させたスキャ
フォールドを用い,その両端部に機械的強度補強のため無細胞生体由来組織を組み込み培養した.培養 2 日目からスキャ
フォールドの一端に周期的な機械的伸展刺激を負荷しながら培養した.1 日に負荷する時間は 0,1,6,24 時間の 4 種類
で行った.培養 14 日目に培養骨格筋の等尺性収縮力の測定および,HE 染色による断面の評価を行った.【結果】機械的
伸展刺激の有無に関わらず伸展方向へ細胞の配向がみられた.また,培養骨格筋に電気パルス刺激負荷により培養骨格
筋の収縮力を測定した結果,機械的伸展刺激負荷時間が長くなるにしたがって等尺性収縮力も増加する傾向がみられた.
【結論】等尺性収縮力の測定結果から,機械刺激負荷が培養骨格筋の成長促進に有効であることが確認された.さらに細
胞への刺激負荷時間を長くすることにより,骨格筋組織としてより成熟させることの可能性が示唆された.
PS1-10-2 CNT-coated silicone rubber for the electroconductive biomedical materials.
○松岡真琴 1、赤坂 司 2、戸塚靖則 1、亘理文夫 2
北海道大学大学院歯学研究科 口腔学顔面外科学教室、2 北海道大学大学院歯学研究科 生体理工
学教室
1
Silicone is used as medical materials, because of its chemical stability and flexibility. However, they hardly have
cellular adhesiveness and sometimes cause problems. On the other hand, Carbon nanotubes (CNTs) have attracted
much attention across various fields because of their nanoscale dimensions, high strength, flexible structure, and their
electrical conductivity. In this study, a coating of carbon nanotubes (CNTs) was applied to surface of silicone rubber
to improve its cellular adhesiveness. Surface structure were observed using AFM, and electrical conductivities were
measured. C2C12 cells were cultured on the CNT-coated silicone rubber, and cell morphology and proliferation were
evaluated. As the results, CNT-coated silicone showed electrical conductivities and was still flexible. C2C12 cells
cultured on CNT-coated silicone showed higher proliferation compared to untreated silicone. These findings indicate
that CNT-coated silicone would become useful biomedical materials which can be used for electrical stimulation.
PS1-10-3 A study about the stem cell local injection technology to the embryo.
○高橋晴隆 1、村山嘉延 2、横尾 隆 3、尾股定夫 2
日本大学大学院工学研究科、2 日本大学工学部、3 東京慈恵会医科大学
1
腎不全疾患において透析患者数は 1 年に約 1 万人増加傾向にあるなか移植希望者が増えているのにも関わらず、慢性的ド
ナー不足となっている。今日、社会問題でもある腎不全疾患に対して再生医療が注目されている。再生医療における一
手法として、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)を異種胎仔内に注入し胎仔の発生プログラムを利用して臓器再生を可
能とする技術により臨床応用間近と期待されている。しかしながら、幹細胞の注入は手で行われており、注入量及び位
置の再現性が悪く成功率を低下させている。本研究は注入ピペットの穿刺深度を定量化する方法として胎仔の幹細胞注
入スポットが決まることから、胎仔体表からの穿刺深度が一定となることで再現性の向上が期待できる。工学的な提案
として異種胎児に対する注入ピペットの穿刺深度、幹細胞の注入量を自動制御するためのシステムが必要であると考え
られる。本報告では、穿刺深度を制御するために用いる胎仔体表への接触検知を目的とし注入ピペット内に白金線を通し、
改良型 I-V コンバータを用いたセンサを試作した。また、センサでもある注入針の先端が対象試料に接触・穿刺する際
の注入ピペット内液と外溶液のアクセス抵抗(Ra)の測定を行った。結果、穿刺深度が進むにつれて Ra の増加が得られ
たことから、Ra の測定による接触検知の可能性が示唆された。
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 180 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-10-4 PLGA membrane sandwich culture model of biliary epithelial cells for
reconstruction of bile duct
○松尾 薫 1、小松那也 1、須藤 亮 2、三高俊広 3、池田満里子 2、谷下一夫 2
慶應義塾大学大学院理工学研究科、2 慶應義塾大学理工学部、3 札幌医科大学医学部付属がん研究
所 分子病理病態学部門
1
14:48-15:18 ポスター会場
PS1-11-1 Biological properties for nitrogen-doped hydrogenated amorphous carbon
film coated on artificial heart blood pump
○世良穂高 1、鳥生敦子 1、大越康晴 2、平栗健二 1、福井康裕 2
東京電機大学大学院工学研究科 電気電子工学専攻、2 東京電機大学理工学部 電子・機械工学系
1
生体内に埋め込んで使用する医療用デバイスは、体液など生体成分を多量に含む媒体に接触するため、材料表面で惹
起される生体反応を避けなければならない。このことから、医療用デバイスに用いられる生体材料に、良好な生体適合
性を付加することができれば、さまざまな医療用デバイスへの応用が可能となる。生体材料に関しては、Hydrogenated
amorphous carbon(a-C:H)膜が、細胞親和性、組織適合性、生体内における安定性など、優れた特性を有することから、
医療デバイスへの表面改質手段として注目を浴びている。そして、a-C:H 膜の表面制御技術として、a-C:H 膜中に炭素と
水素以外の不純物を添加させる、不純物添加 a-C:H 膜が検討されている。なかでも、a-C:H 膜中に窒素添加することによっ
て生体適合性(特に細胞親和性)の向上が報告されており、長期間の生体内留置や溶血の低減が見込まれる。さらに、窒
素添加量を多くすることにより、内部応力の小さな柔軟な膜になる。そのため、材料が変形するような医療デバイスに
対しても応用が期待できる。本研究では、a-C:H 膜中へ窒素を添加することによる細胞親和性の向上に着目し、実際に使
用されている医療デバイスの一つである人工心臓血液ポンプ上へ窒素添加 a-C:H 膜を形成し、細胞親和性について検討
した。
PS1-11-2 Study of Hybrid Type Inlet Cannula for Ventricular Assist Device
○中野英美子 1、磯山 隆 3、井上雄介 3、中川英元 3、斎藤逸郎 3、河野明正 3、小野俊哉 3、
時 偉 3、石井耕平 3、阿部裕輔 3、野城真理 1,2
1
北里大学大学院医療系研究科、2 北里大学医療衛生学部 医療工学科、3 東京大学大学院医学系研
究科 医用生体機構分野
補助人工心臓(VAD)は、重症心不全患者に対する補助循環治療で用いられているデバイスであり、今日ではなくてはな
らないものである。しかし、長期的に人工材料が血液と接触する環境下での使用となるため、血栓形成が問題となって
いる。そこで、本研究では、特に血栓が形成されやすい VAD の脱血カニューレの左心室挿入部に着目し、生体組織を人
工材料に組み合わせ、血栓形成の抑制が可能となるハイブリッド型脱血カニューレの製作を目的とした。方法は、これ
までの成果として人工弁のハイブリッド化があげられる生体内インサート成型法を選択した。この方法は型に骨格とな
るインサート品を入れ、その周りを生体組織で覆う手法である。実験は、インサート品としてポリエステルのベロア生
地を円筒状のチタンに組み合わせ、型内に入れたものをヤギの背面皮下に埋め込み行った。実験終了後(43 日間)、得ら
れた新生組織を取り出し組織化学染色を行い評価した。結果として、意図した形状にハイブリッドのカニューレを得る
ことができたので報告する。
− 181 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
ポスターセッション 1-11「細胞 3」
25
日
生体外での肝組織再構築では,生体内の組織のように複数種の細胞が管状のネットワークを形成し,組織立った三次元
構造を形成する必要がある.具体的には,肝細胞が構築する毛細胆管と,胆管上皮細胞が構築する胆管がつながってい
る状態が求められる.そのため,肝細胞と胆管上皮細胞の共培養を実現する必要がある.従来,胆管上皮細胞はコラー
ゲンゲルによるサンドウィッチ法を用いた単独培養が行われている.この方法で細胞は管腔構造を形成し,胆管を構築
することがわかっている.しかしサンドウィッチ法により形成された胆管の上下には,ゲルが残存している.そのため,
胆管上皮細胞と肝細胞との共培養を行うために,構築された胆管の上部に肝細胞を重ねて培養しても,両者の間にコラー
ゲンゲルが存在するために,両細胞が接触せず,三次構造の形成が難しい.その解決策として本研究では,生体吸収性
PLGA 薄膜を用いた.コラーゲンゲルの代わりにコラーゲンコーティングした生体吸収性 PLGA 薄膜によって,管腔構
造形成を行う.その後,上部に肝細胞を培養し,PLGA 薄膜が溶解すれば,三次元構造,および肝臓特有のネットワー
クの形成が期待される.PLGA 薄膜のサンドウィッチ法によって,胆管構造が構築することがわかった.そのため,現
在はコラーゲンコーティングの濃度,および薄膜の孔径が,構築される胆管構造への影響について調べている.
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-11-3 Cytocompatibility of DLC coating on a synthetic vascular graft
○武田直幸 1、星野祐太 1、大越康晴 2、平栗健二 1、福井康裕 2
東京電機大学工学研究科 電気電子工学専攻、2 東京電機大学理工学部 電子機械工学系
1
日
25
午後の部
(金)
人工血管材料として用いられる ePTFE やポリエステルなどの高分子材料は、血漿タンパク質や細胞等の生体内物質と
の接着を阻害する特性から血栓形成反応の抑制が期待されている。しかし、これらの高分子材料は、一定期間の血液適
合性を持つが、長期間の使用においては、生体内組織に定着しない。そのため、人工血管内壁面に内皮細胞を被覆させ、
生体内物質に模擬させる手法が期待されている。この問題を解決するためには、人工血管の開発において生体適合性(特
に細胞親和性)を持つ材料の開発が重要である。ダイヤモンド状炭素(DLC)膜は、生体適合性や化学的安定性などの優
れた特性を有することから生体材料の表面改質手段として注目を浴びている。近年、DLC 膜をコーティング後、表面処
理を施すことで DLC 膜のバルク特性を損なわずに新たに優れた付加価値を与える表面処理技術が注目されている。本研
究では、人工血管内壁面へ DLC 膜をコーティング後、酸素、アルゴン、窒素による表面処理を施し生体適合性の改善を
試みた。細胞親和性評価は、内皮細胞を用いて、48 時間毎に計 192 時間の細胞数カウントする in-vitro 試験によりを行っ
た。表面特性評価の結果、ePTFE 製人工血管内壁面へ形成した DLC 膜に表面処理を施すことにより、細胞親和性の向
上が確認された。
PS1-11-4 Effect of pulsatile flow on three-dimensional microvessel network formation
○阿部順紀 1、須藤 亮 2、池田満里子 2、谷下一夫 2
1
慶應義塾大学大学院理工学研究科、2 慶應義塾大学理工学部 システムデザイン工学科
The control of microvessel formation is a challenge in the field of tissue engineering. Shear stress is known to enhance
the function of endothelial cells as well as their morphogenesis. In particular, steady and pulsatile flow differently affect
gene expression involved in angiogenesis and morphogenesis of endothelial cells. However, the effect of pulsatile flow
on three-dimensional (3-D) microvessel network formation is still unclear. Here we investigated the effect of pulsatile
flow on 3-D network formation using an in vitro 3-D angiogenesis model in a parallel-plate flow chamber. Endothelial
cells were exposed to steady and 1-2 Hz pulsatile flow for 48 h. Formation of 3-D networks depended on the frequency
of the pulsatile flow. In particular, we found that the pulsatile flow also affect the distribution of lamellipodia formed at
the tip of 3-D networks, which might promote the network extension in the depth direction.
PS1-11-5 Effect of ELF electrostimulation on endocytosis of oxidized LDL
○加川宗芳 1、下岡聡行 2、清水孝一 1
1
北海道大学大学院情報科学研究科、2 埼玉医科大学保健医療学部
ELF 電磁界によるさまざまな細胞機能への影響が知られている.我々は,
体外からの電気刺激による免疫機能調節の可能性を検討している.これま
で in vitro において,ELF 電気刺激によりマクロファージの細胞機能の変化
について報告してきた.本研究では,生体組織由来の酸化 LDL を用いて,
電気刺激による貪食能変化について検討した.定法により採取した腹腔滲
出性マクロファージに容量結合性電気刺激(30µA/cm2, 30min)を与えた.
その後,酸化 LDL を 1 時間貪食させ,oil-red で酸化 LDL を染色した.顕微
鏡画像における染色面積を図に示す.横軸は実験番号,縦軸は酸化 LDL の
染色面積を表す.paired-t 検定の結果,有意に貪食能が低下していた.この
ことより,体外からの ELF 電気刺激による免疫機能調節の可能性が示され
たと考える.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 182 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
ポスターセッション 1-12「細胞 4」
15:28-15:52 ポスター会場
PS1-12-1 Carbon thin film coating for anti-infective property
○岩月正人 1、星野祐太 1、大越康晴 2、平栗健二 1、福井康裕 2
東京電機大学大学院工学研究科 電気電子工学専攻、2 東京電機大学理工学部 電子・機械工学系
1
○橘 洋一 1、圓見純一郎 2、アグデロ カルロス 1、飯田秀博 2、山岡哲二 1
1
国立循環器病センター研究所先進医工学センター 生体工学部、2 国立循環器病センター研究所先
進医工学センター 放射線医学部
Magnetic resonance imaging (MRI) as a high-resolution technique for imaging stem cells in vivo would provide
important insights about the fate of transplanted cells. The purpose of this study was to develop novel polymergadolinium chelate conjugates (Gd conjugates), which are of interest as potential MRI contrast agents for labeling
stem cells. Gd conjugates were designed to have important properties for in vivo cell tracking, including low toxicity,
high cellular stabilities, and no leakage through plasma membranes for long period of time. The aforementioned
properties were achieved by using poly (vinyl alcohol) as carrier materials. Electroporation was selected to introduce
Gd conjugates into cells. Gd conjugates were retained stably in cytosolic compartments for long period, and produced
significant MR contrast enhancement of cells in vitro and in vivo. Synthesized Gd conjugates demonstrated potential
use for in vivo cellular imaging agents over prolonged period of time, thereby the fate and function of transplanted
cells might be clarified.
PS1-12-3 Decellularization of meniscus using ultrasonic chemical solution for tissueengineering scaffolds
○高橋哲也 1、アズラン アズヒム 2、成田吉隆 1、村松和明 1、守本祐司 3、田中眞人 1
東京電機大学 生命工学専攻、2 東京電機大学 フロンティア共同研究センター、3 防衛医科大学
校 分子生体制御学講座
1
Decellularized tissues and organs have been studied to apply to biological scaffolds for various tissues in regenerative
medicine. The efficiency of decellularization of tissue is dependent on the origin of the tissue and the specific,
chemical, and enzymatic treatments that are used. To decellularize the rigid connective tissue such as meniscus,
we have attempted to improve the efficiency of decellularization using ultrasonic chemical treatment. We have
developed a novel system of decellularization, which using ultrasonic irradiation in circulated-sodium dodecyl sulfate
(SDS) solution to establish the preparation method of decellularized scaffold. It was demonstrated that ultrasonicirradiated decellularization method was superior to conventional chemical ones. In conclusion, it was suggested that
a combination of ultrasonic chemical and detergent approaches is the most effective protocols, and has potential for
complete decellularization even in meniscus tissue.
− 183 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
PS1-12-2 Development of Polymeric MRI Contrast Agent for Cell Tracking
25
日
医療現場において生体留置用デバイス(特に生体内カテーテル)による感染症は、院内感染の最大要因となっており、そ
の予防が求められている。この原因の一つとして、カテーテルなどに用いられる生体材料として幅広く使用されている
高分子材料(PTFE や polyurethane 等)が、生体内組織に定着しづらいことが挙げられる。その原因は、生体内組織に定
着しないことで生じた生体材料との隙間に菌が侵入し、繁殖の場となることで感染症の発症を引き起こすと考えられて
いる。現在、この問題を防止・緩和させる一つの手法として、感染源となる生体留置用デバイスと生体との隙間を生体
組織で埋めることで、菌の繁殖を防ぐ方法が期待されている。そこで、生体内カテーテルの開発において、細胞親和性
の向上が重要な課題となっている。一方、ダイヤモンド状炭素(Diamond-Like Carbon:DLC)膜は、生体適合性や組織
適合性、撥水性などの優れた特性を有することから生体材料への表面改質手段として注目を集めている。本研究では、
カテーテルを模擬した PTFE 製円筒状構造物外壁面へ DLC 膜をコーティングし、細胞親和性の向上を目的とした。そ
して、DLC 膜を医療応用するための基礎評価として、繊維芽細胞を用いた in-vitro 試験により細胞親和性評価を行った。
また、細胞培養後の試料表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、成長状態を評価した。
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-12-4 Nano vibration cell stimulus device
○加藤綾子 1、増澤 徹 2、青代敏行 2、小林亜美子 2、木村孝之 2、岸田晶夫 3、伊藤由樹子 3
埼玉医科大学保健医療学部、2 茨城大学工学部、3 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所
1
日
25
午後の部
(金)
Nano-vibration which has nanometer order vibration amplitude in audible frequency influences adhesive cellular
functions such as adherence and proliferation. But the mechanism of altering cellular function has not been clarified.
The purpose of this study is to develop a nano vibration cell stimulus device to investigate cell function under the
nano-vibration stimuli. The nano-vibratile culture dish using elastic hinges has been developed to stimulate cells. The
elastic hinges limit the vibration to one direction to simplify the interaction between vibration and cellular function.
Also the device can be placed on microscope stage to observe cell morphology during vibration. The developed device
vibrates in the intended direction with a vibration amplitude of 70 nm over a frequency range of 100 Hz to 10k Hz.
Nan-vaibration stimuli were provided on cultuered cells for 60 min at room temperature. Number of adhered cells at
the condition of 0Hz, 1 kHz and 10 kHz are 443 cells, 461 cells and 101 cells, respectively. The cultured cells indicate
different behavior with diferrent nano-vibration frequency.
ポスターセッション 1-13「手術室の ME」
15:52-16:16 ポスター会場
PS1-13-1 Washing effect of Diamond-Like Carbon film (DLC) coating for Medical
Instruments
○岸野寛生 1、大越康晴 2、中森秀樹 3、平栗健二 4、福井康裕 2
東京電機大学大学院理工学研究科 生命理工学専攻、2 東京電機大学理工学部 電子・機械工学系、
3
ナノテック株式会社、4 東京電機大学工学部 電気電子工学科
1
医療現場において、使用済みの手術器具の洗浄は病院内の材料部で一括処理を行う施設が急増している。この処理方法
では、手術器具が洗浄されるまで数時間から数日が経過し、手術器具表面で血液などの乾燥が発生する。これにより手
術器具の洗浄効率の低下を引き起こし、錆や腐食の発生の原因となり、機能低下や破損を引き起こす。こうした背景か
ら、手術器具は洗浄効果が高く、対腐食性に優れる材質であることが求められている。本研究では、非晶質炭素(DLC:
diamond-like carbon)膜に着目し、材料表面の洗浄効果の向上を目的とした。DLC 膜は対腐食性や高い撥水性などの優
れた特性を有する。DLC の成膜はイオン化蒸着法により SUS304 基板に成膜を行った。SUS304 基板(SUS 基板)と DLC
膜を成膜した SUS304 基板(DLC 基板)において、牛血液に対する洗浄試験を行った。各基板に付着した血漿タンパク質
量をビシンコニン酸(BCA:bcinchonic acid)法により検出し、汚染に対する洗浄効果を定量的に評価した。評価は、洗
浄試験回数が 1 回、7 回、14 回、21 回ごとに行った。洗浄試験を行った結果、洗浄試験回数が 21 回までにおいて、DLC
基板では血漿タンパク質が検出されなかった。それに対し、SUS 基板では 14 回目以降から血漿タンパク質が検出された。
ことから DLC 膜はタンパク質の付着を抑制し、洗浄効果の向上が期待できることが示唆された。
PS1-13-2 Development of RFID Surgical Tray system Enabling Location of Surgical
Instruments on the Tray as well as Their Identification
○菅 龍平 1、石井宏章 2、福井康裕 1、宮脇富士夫 1
1
東京電機大学理工学研究科 生命理工学専攻、2 東京電機大学理工学部 知能器械工学科
我々の研究室では Scrub Nurse Robot(SNR)システムを開発している.そのサブシステムとして,手術野で使用される
手術器具情報を自動で取得できるサブシステムを RFID 技術で構築した.さらに,手術器具トレイ上の器具情報も SNR
に伝えるために,手術器具の個別認証と位置同定が可能な RFID 手術器具トレイシステムを考案した.しかし,試作
RFID 器具トレイ上での手術器具の個別認証及び位置同定は可能となったが,位置情報の空間分解能を上げるためには
多数のループアンテナとそれに対応するリーダが必要となる問題があった.この問題の克服をアンテナ切替器で行うこ
ととし,アンテナの自動切替が可能なプログラムを完成させたが,RFID による器具情報取得とアンテナ切替を同時に
自動で行うには至らなかった.本研究目的は,RFID 手術器具トレイシステムに対応し,手術器具の個別認証と位置同
定及び,リアルタイムでのアンテナ切替を自動で行うことである.そこで上記の点を考慮したプログラムを作成した.
評価方法としてまず,各 RFID アンテナの中心に RFID タグを 1 つ配置した.次に 1)RFID タグ情報の読み取り 2)RFID
アンテナ切り替えという 2 点の動作を全てのアンテナで行い評価をした.結果として手術器具の個別認証及び,位置同
定を正確に行うことができ,リアルタイムでのアンテナの切替を自動で行うことが可能となった.
生体医工学 第 48 巻(2010)
− 184 −
第 49 回 日本生体医工学会大会 JSMBE(June 2010)
PS1-13-3 Mechanism Detecting Electrocautery-Associated Signals to Prevent False
Recognition in RFID-Based Acquisition System of Surgical-Instrument
Information
○岡本 遼
東京電機大学理工学部 生命工学科
○並木裕美 1、橋本大定 2、宮脇富士夫 3
1
東京電機大学大学院理工学研究科 生命理工学専攻、2 埼玉医科大学総合医療センター、3 東京電
機大学大学院理工学研究科 先端科学技術研究科
器械出し看護師ロボット(SNR)システムのサブシステムとして,鏡視下手術用器具のシャフトに RFID タグ,トロカー
ルカニューレ(TC)入口に RFID アンテナを取り付け,タグとアンテナ間の RF 通信によって,各手術器具の同定と挿入
抜去時刻を自動で取得できるシステムを開発している.電気メス使用時の電磁干渉による誤認識をソフトウェアのみで
解決できる方法を昨年度の本学会で報告し,非常に詳細な器具使用情報が自動的に取得できることを示した.しかし,
アルゴリズムの性格上,器具時刻情報の出力にわずかな時間遅れを起こす欠点があり,SNR に手術進行の状況や器具交
換のタイミングをリアルタイムに伝えるためには難があった.そこで,器具の挿入抜去を RFID に依存しない方法を考
案し,電気メス使用時でもリアルタイムに器具情報を SNR に出力できるシステムを作製した.TC 入口の RFID アンテナ
に反射型光ファイバセンサを内蔵させ,手術器具の挿抜は光センサにより,器具同定は RFID による方式である.各種
手術器具を用いて実験を行った結果,電気メス使用時でも 100%の確率で器具使用情報が取得でき,さらにその情報をリ
アルタイムに出力できることも確認できた.しかし,器具抜去時には器具先端が光センサを横切るのが RF 通信の終了
よりも少し遅いため,器具抜去を SNR により早期に伝えるという我々の基本方針にはそぐわない面のあることも判明し
た.
− 185 −
生体医工学 第 48 巻(2010)
(金)
午後の部
PS1-13-4 Development of Real-time System to Acquire and Analyze Information on
Surgical Instruments Used in Endoscopic Surgery
25
日
器械出し看護師ロボット(SNR)システムのサブシステムとして、鏡視下手術用器具のシャフトに RFID タグ、トロカー
ルカニューレ入口に RFID アンテナを取り付け、タグとアンテナ間の RF 通信によって、各手術器具の同定と挿入抜去時
刻を自動で取得できるシステムを開発している。電気メス使用時の電磁干渉による誤認識をソフトウェアのみで解決で
きる方法を昨年度の本学会で報告し、非常に詳細な器具使用情報が自動的に取得できることを示した。しかし、アルゴ
リズムの性格上、器具時刻情報の出力にわずかな時間遅れを起こす欠点があり、SNR に現在の手術進行状況や器具交換
のタイミングをリアルタイムに伝えるためには難点があった。そこで、電気メス使用時でもリアルタイムに器具情報を
出力させ、電気メスの使用の有無を信号として捉える機構を考案したので報告する。対極板の導線にコイルを設置し、
電気メス使用時に発生する磁界から誘導起電力を得ることによって、RF 通信の途絶が電磁干渉によるものか、実際に器
具が抜去されたためか、判定する。トランジスタのスイッチング特性を利用し,誘導起電力が得られた時のみスイッチ
が ON となる装置を作製した。動作検証の結果、電気メス出力が低レベルの場合は動作が不安定であったが、実際の手
術で使用する最低出力レベル以上では信号検出に成功したため、電気メス使用時の RFID 誤認識を防止できる有用な解
決法と結論した。