日本列島快走論~高速道路はタダにできる 「将来無料化」のはずが、30年前に反故にされた約束 1956年 1972年 1990年 そもそも無料化前提で スタート(償還主義) 財政余力がついたのに プール制導入 返済終了後も有料 同法施行令改正 z 国会の決議を経ず 償還主義を転換 1990年、世銀へ返済終了 z 見直しの好機だったが 東名・名神とも有料 継続 道路整備特別措置法制定 z 高速道路で復興加速 z 当時は復興途上国で、 財政的に困難 (ガソリン税わずか200億円) 世銀借款と財投で建設 z 返済後は無料にする 予定(償還主義) z 外部監査+コスト削減 ⇒1,150億円で名神完成 7兆4,389億円 すべての借金を返済する まで有料に z 2兆円/年のガソリン 税は一般道路限定 東名・名神 建設費合計* 実質的な「半永久的有料化」 出所:「高速道路はじめて辞典」、「高速道路づくりの物語 はじめての挑戦」、「高速道路便覧」、 道路関係4 道路関係4公団民営化委員会資料等を基に山﨑事務所作成 4,573億円 2001年までに 国民が支払った料金 (約16倍) * 1969年、東名高速竣工、1965年名神高速竣工。 日本列島快走論~高速道路はタダにできる 山﨑 養世 1 高速道路無料化論の骨子 高速道路を「生活道路」にして、 地方分散/生活者の街作り/経済再生を実現する 高速料金は無料 国民の移動コストを引下げる (大都市は有料を維持、過密緩和) 出入口を増設 一般道路とのアクセス向上と渋滞緩和 (PA、SAを開放、新しい街つくりを促進) 財 源 運 営 「低利借換」と「既存財源の活用」で 「道路権限と財源」を大幅に地方に移し、 新設・保守・利払を実施 (新税なし) インセンティブでコスト管理を実現 z 課題: 金利負担が大きいこと z 手法: 既存借金は2%30年の国債で借り替えて z 執行権限: 一般/高速新線、出入口、建設、保 守等は都道府県が執行 金利負担を軽減(▲60兆円) z 予算配分: 面積/人口などに比例、一括交付 z 財源: 約2兆円/年の新設・保守・利払の原資は z コスト管理: 建設予定が安く終われば、残りは 現在の道路予算(9-10兆円)から配分 使途自由(コスト削減インセンティブ) 日本列島快走論~高速道路はタダにできる 山﨑 養世 2 今の巨大な道路予算を振り向ければ、 新税なしで実現可能 【海外比較】 日本の道路予算は巨大 国土面積 道路支出 日本 12兆円 2.5兆円 同じ ドイツ (日本の1/5) 25倍 25倍 道路財源の2割を充てれば無料化可能 米国 13兆円 ・アメリカに匹敵:25倍の国土をもつ。 ・ドイツの約5倍:国土面積が同じ 欧州最大の道路予算 ⇒ 既に道路延長もドイツの2倍近い 注: 一般道路向け投資額には地方単独事業分4.2兆円を含む。 出所:「世界の道路統計2001」、国土交通省 現在 料金収入 など 無料化後 高速道路 (2.6) 20% 道路整備 特別会計 など 一般道路 (9.3) 計11.9兆円 /年 11.9兆円/ 無料化財源 (2) 道路支出 (8) 計10兆円/ 計10兆円/年 日本列島快走論~高速道路はタダにできる 山﨑 養世 3 どうすれば無料化できるのか (道路公団の高金利借入の処理) 資本市場 (機関投資家、外国人、 個人投資家) 30年国債で 30年国債で 資金調達 国 放っておけばいずれ 国(国民)の負担に 跳ね返る * 残高40兆円、期間30年、金利2% 64兆円** × 財投借入れ 国債だから最低コスト • 超低金利時に金利確定 莫大な金利負担 「連結子会社 のようなもの」 国債借替え 料金は無料化で利用活発化 道路公団 高金利借入を 一括返済 郵貯、簡保、 年金 永久有料(最低50年) 財投金利では利息≫元本 • 将来コスト上昇リスク大 残高40兆円、期間50年、金利4% 総負担額 120兆円 低金利の時期+国の信用力を活用して国債に借り替える ⇒ 試算では56兆円の費用削減効果 * 国鉄民営化と同様のことが起こる可能性(国鉄債務は結局28 兆円の国民負担になった。) 国鉄民営化と同様のことが起こる可能性(国鉄債務は結局28兆円の国民負担になった。) ** ここでは30 年債のみとして計算しているが、実際には、10 10年債、 年債、20 20年債なども発行され、金利コストは一層低下する。 年債なども発行され、金利コストは一層低下する。 ここでは30年債のみとして計算しているが、実際には、 仕組みとしては、財源は毎年均等ベースで確保、国債の元利払いとの調整のために特別会計を設けることが現実的。 また、財投の早期返済には補償金が必要だが、この試算には盛り込んでいない。 注: 実際の発行額は債務の返済に加えて、高速道路出入口の増設 日本列島快走論~高速道路はタダにできる 山﨑 養世 費用も織り込んで決定すべき。 4 高速道路無料化がもたらすもの 高速道路無料化論による 移動コストの減少と地方への財源委譲 【国民】 生活圏の拡大 「職・住」の都市集中の緩和 z 移動コスト(時間・費用)が下がり、 住宅の安い地域へ移住促進 z 企業立地も各種コスト低下から地 価の安さがクローズアップ z 豊かな自然のある地域が身近にな る(木更津、淡路、徳島など) 【企業】 生活産業の活性化 「人の移動に伴なう産業」活性化 z 住居-建設業、不動産業 z 生活-商業・農林漁・サービス・ 飲食・観光・医療・教育 z 移動-運輸、物流 (当然周辺の企業活動も活発化) 【自治体】 地域の活性化 「地方分権」の実現 z 通勤・生活圏拡大 ⇒人・企業の引越し ⇒新しい街/就職先増える z 権限と財源の委譲で自治体による 自由度・主体性の向上 (人口増による税収と財源配分) 経済成長と道路関連の効率化で 国の税収増加/財政再建 日本列島快走論~高速道路はタダにできる 山﨑 養世 5 「無料化」と「民営化」の比較 道 路 無料化 料金 無料原則に 道路公団 廃止 道路財源 無料化の財源 道路支出 減少 一般道路 高速と一本化 コスト 60兆円 地 方 民営化 世界一高いまま 民営化して存続 手をつけない 今までどうり作る 120兆円以上 財 政 無料化 経済効果 巨大 産業構造 サービス型 財政 改善 地価 地方で上昇 高齢化問題 大きく緩和 不良債権問題 大きく改善 無料化 地方分散 大きく進む 地方自治 大きく進む 地方財源 巨大な財源 雇用 大きく改善 農林漁業 コスト低下 民営化 東京一極集中続く 無関係 無関係 無関係 無関係 生 活 民営化 なし 変わりにくい 大きく悪化 無関係 これから深刻 無関係 無料化 生活コスト 大きく低下 住宅コスト 大きく低下 民営化 高いまま 無関係 日本列島快走論~高速道路はタダにできる 山﨑 養世 6
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