磁気ノズルを用いた無電極ヘリコンプラズマスラスタにおける 電磁推力の直接計測 東京農工大学 西田研究室 博士1年 中村隆宏 研究背景および目的 有人火星探査輸送機や太陽光発電衛星といった次世代型の 電磁加速型 無電極電気推進 宇宙ミッションでの推進システムとして,低燃費で高推力かつ長 寿命な推進システムが主推進システムとして期待されている.そ の候補の一つとして大電力を用いた電気推進システムが考えら れている. Magnetic Coil Plasma Production Antenna 電気推進 => 低燃費 電磁加速=> 高推力 無電極 => 長寿命 Plasma Acceleration Antenna B B Propellant Jθ×B Jq このスラスタの推進特性を理解する には,推力の直接計測が必要不可欠. y B B Glass Tube x Helicon Plasma Source Plasma Acceleration 2種類のRFアンテナと電磁コイルに より高密度プラズマの生成と,プラズマ の電磁加速をプラズマと完全非接触で 行う.高密度なプラズマを電磁加速す ることで,高推力と長寿命を同時に達 成する. z Fig. 2 無電極電気推進機のコンセプト 目的 スラスタの実験機と推力計測システムの開発 Fig. 1 大電力電気推進システムを 用いた次世代型宇宙ミッション例 様々な運転条件での実験機スラスタの推進特性の理解 ねじり振り子型スラストスタンド スラスタの実験機 スラスタを構成する部品:ガラス管(放電室),永久磁石(静磁場生成用), プラズマ生成用アンテナ 電磁加速を行う前段階として,実験機の基本的な推進性能を調べるため に今回はプラズマ加速用のアンテナを設置しない. End Port Gauge port Magnetic Circuit & Flange Glass Tube O.D. 30mm S Plasma Production Antenna スラスタが発生する推力のうち,スラスタが形成する静磁場を介してスラスタにか かる電磁推力のみを計測するために,永久磁石のみをねじり振り子型スラストスタン ドに搭載する. Fig. 4 ねじり振り子型スラスト スタンドの全体図 Fig. 5 実験装置の上面図 Laser Displacement Sensor Thrust Stand B Fdiamag Ar Gas N Fthermal N Vacuum Chamber I.D. 700 mm Plasma Jet Air -300 Vacuum Thruster Unit Magnetic Circuit B S -190 -100 -50 0 Fig. 3 実験機スラスタの全体図 z [mm] 電磁推力は,ねじり振り子の振れ幅をレーザー変位計 で計測して変位-推力校正係数から算出する. Acceleration Antennas スラスタの実験機を用いた推力計測とプローブ計測 実験条件 Vacuum Pressure Propellant (Argon) Mass Flow Rate 3.6 X 10-2 ~ 1.6 X 10-1Pa 0.2, 0.4, 0.6, 0.8, 1.0 mg/s Plasma Production Frequency 27.12 MHz Plasma Production Power 100, 200, 300, 400 W 電子温度と電子密度はプラズマ生成アンテナ中心の位置で静電ダブルプローブを用い て計測する. 全推力(=電磁推力+熱圧力)と比推力*は,推力の直接計測で得られた電磁推力と, プローブ計測で得られた電子温度,電子密度,スラスタのサイズを用いて以下の式か ら算出する. *比推力: 燃費を表す推進機の性能 290 μN RF OFF RF ON RF OFF Thrust Jump Fig. 2 投入電力,推進剤流量 に対する電磁推力 Helicon Plasma CCP/ICP Fig. 3 電子温度 比推力: 𝐼𝑠𝑝 = 𝐹𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 𝑚𝑔 実験結果 →Thrust Fig. 1 典型的な振り子の 変位の時間履歴 𝜋 2 全推力: 𝐹𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝐹𝐸𝑀 + 𝑛0𝑟02𝑘𝐵𝑇𝑒 Density Jump 磁場を介して磁気回路にかかる電磁推力が,スラストスタンドの変位として正し く計測されている.(Fig. 1) 電磁推力はプラズマ生成RFパワーと推進剤流量の増加と共に上昇する.(Fig. 2) プラズマ生成RFパワーが300 W付近の時に,電磁推力と電子密度の急激な 上昇がみられる.これは,300 W付近を境に,放電形態がCCP/ICPからヘリコ ン波励起プラズマに遷移したことに起因していると考えられる.(Fig. 2, Fig.4) 本実験での運転パラメータ領域では,全推力と比推力はそれぞれ最大 650 μN (1.0 mg/s, 400 W) ,210 s (0.2 mg/s, 400 W)と見積もられた.(Fig. 5, Fig. 6) Fig. 4 電子密度 結論 スラスタの実験機とスラストスタンドを開発し,推力の直接計測実験に成功した. 推進特性は,プラズマ生成RFパワーと推進剤流量によって大きく変化する. プラズマ生成メカニズムがCCP/ICPからヘリコン波励起プラズマに遷移するこ とで電子密度が増加し,それに伴って推力が急激に増加する. Fig. 5 全推力 Fig. 6 比推力
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