平成 16 年度事業実行報告 I 理事会及び評議員会 1. 評議員会 平成 16 年 5 月 21 日ホテルメトロポリタンエドモントにおいて開催,亀若議長のもと議案を審議 し,原案通り決定した。 議案 ① 平成 15 年度事業報告及び収支決算について ② 平成 16 年度事業計画(案)及び収支予算(案)について ③ 理事の選任について 評議員総数 23 名(出席者 17 名,委任状提出者 6 名) 2. 理事会 平成 16 年 5 月 21 日ホテルメトロポリタンエドモントにおいて開催,塚本議長のもと提出議案を 審議し,原案通り決定した。 議案 ① 平成 15 年度事業報告及び収支決算について ② 平成 16 年度事業計画(案)及び収支予算(案)について ③ 評議員の選任について 理事総数 19 名(出席者 14 名,委任状提出者 5 名) II 事業報告 1. 国際林業協力人材育成事業 国際林業協力に従事するにふさわしい人材を育成するため,人材の発掘・登録,及び国際林業 協力に携わる NGO・NPO 等(以下「林業 NGO 等」という)の連携と技術研鑽のための海外現地研 修等を実施した。 (1) 人材登録・支援システムの整備 調査票により林業協力を担う人材を登録した。平成 16 年度新規登録者は 3 名。 (2) 海外林業人材育成研修事業 緑化技術者の資質向上のため,開発途上地域で森林造成活動を行っている林業 NGO 等の -1- 活動家を対象に,ミャンマー国において海外研修を実施した。渡航前には,国内での事前研修を 行って林業 NGO 等の協力活動に必要な技術の向上と情報の交換を図った。 実施時期: 平成 16 年11月 26 日〜12 月6日(参加者 15 名) 2. 国際林業協力情報事業 国際林業協力を推進するために必要な国際協力及び海外の森林・林業に関する技術・情報を 収集,整理し,提供を図るため,技術情報誌「熱帯林業」,情報誌「緑の地球」を発行するとともに, 文献類の収集等を通じて一層の情報活動の充実に努めた。 (1) 国際緑化関係資料の収集・分析 国際緑化に携わる個人,団体,企業等の関係者に対し,技術情報,知見を提供するため,世 界各地での緑化活動等に関する資料を収集した。 (2) 技術情報誌等の発行・配布 技術情報誌『熱帯林業』(No.60〜62 号),情報誌『緑の地球』(No.74〜77)を発行し,林業 NGO 等や国際協力機関等に配布した。 3. NGO 等民間活動支援事業 我が国の林業 NGO 等が行う国際林業協力及び開発途上地域における森林の保全・造成活動 を推進するため,次の事業を実施した。 (1) NGO 連絡会議 林業 NGO 等間の情報交換と連携活動促進を目的として,NGO 等植林活動部会に併せて連 絡会議を開催した。 (2) 林業 NGO 等活動支援事業 開発途上地域の森林保全・造成等に参加する林業 NGO 等が,①国際機関等と連携してその 活動を強化するため国際会議等へ参加する経費,②森林造成プロジェクトや森林資源の持続可 能な利用を目指す農村開発プロジェクトなどを形成するための調査,③相手国カウンターパートの 技術向上を図る受入れ研修の実施等を支援した。 ① 国際 NGO 連携促進 参加組織 1 (特活)FoE Japan 会議名称 第 2 回日中共同シンポジウム -2- ② プロジェクト形成調査 実施機関 調査名称 1 (特活)環境修復保全機構 タイ東北部における耐塩性樹木の植林による塩類土壌修復 保全(フェーズ2) 2 (特活)草の根援助運動 インド・オリッサ州丘陵地帯の焼畑荒廃地における植生回復 可能性調査 3 (特活)国際マングローブ生態系協会 ブラジル国パラ州におけるマングローブ保全協力 4 (特活)地域国際活動研究センター 東ティモール国における住民参加型学校農園モデル植林活 動 5 緑のサヘル ブルキナファソ国スム県におけるアラビアゴムプロジェクト形成 調査 ③ カウンターパートの受入れ研修 実施機関 1 (財)オイスカ 研修名称 タイ緑化プロジェクトリーダー研修 2 (特活)呼倫貝爾地域緑化推進協力会 呼倫貝爾地域植林プロジェクト推進のための人材育成事業 3 宮城県日中友好協会 吉林省緑化事業推進のための人材育成事業 (3) 「緑の募金国際緑化公募事業」及び「日中民間緑化協力委員会資金助成事業」の審査事務 (社)国土緑化推進機構の委託を受け,緑の募金国際緑化公募事業について,募集・取りまと め・一次審査を行った。また,日中緑化交流基金からの委託により,日中民間緑化協力委員会 資金助成事業について一次審査を行うとともに,「中国における植林緑化政策と日中民間緑化 協力委員会資金助成事業の効果的な推進に関する調査」を実施した。 (4) 日中緑化協力モデル林造成プロジェクト(平成 14〜16 年度) 中国各地で緑化運動に参画する日中双方の林業 NGO 等民間団体に対し,森林造成技術・ 手法等において総合的な指標となる実証的モデル林を造成した。 本事業は,日中国交 30 周年記念事業として日中民間緑化協力委員会が行うもので,当セン ターは日本側の実施機関となり,四川省都江椻市において 3 年間で約 237 ヘクタールの水土 保全林,崩壊防止林,経済林,風景林のモデルとなる森林造成が計画されている。16 年度はこ れまで 2 年間で造成した約 149 ヘクタールの保育及び新たに展示,研修用の各種モデル林約 88 ヘクタールの造成等が行われた。 4. 熱帯林保全・造成等技術研究開発事業 熱帯林の保全や造成に関する研究開発を図るため,次の支援事業,調査事業を実施した。 (1) 人工林における天然更新技術に関する調査(平成 15〜17 年度) 林齢の高い人工林が急激に増加しつつあるなかで,天然更新の活用により,森林造成コストの -3- 縮減を図りつつ,多様な樹種・林齢からなる森林へ誘導していく観点から,天然更新による稚樹 の発生・成育に必要な条件を検討し,人工林における天然更新技術のマニュアルを作成する。 調査は委員会を設置し,調査事業の方針や調査計画,実施方法について検討しつつ実施するこ ととし,16 年度はドイツの山岳混交林,北海道のトドマツ林,広島県のヒノキ林等について文献調 査,現地調査を行った。 (2) CDM 植林人材育成事業(平成 15〜19 年度) CDM 植林の推進を図るため,開発途上国及び我が国の CDM 植林プロジェクト・スタッフの人材 育成を行い,CDM 植林の推進を通じて,開発途上国の持続可能な森林経営への取り組みを支 援することを目的とする事業である。 16 年度は,平成 16 年 8 月に,インドネシア国西スマトラ州における海外研修(参加者:70 名),平成 17 年 2 月に,国内における研修(参加者:初級コース 17 名,中級コース 23 名)を 実施した。 (3) CDM 植林基礎データ整備事業(平成 15〜17 年度) 平成 13〜14 年度に実施した「CDM 植林促進技術開発事業」の成果を引き継いで行う調査で, 平成 15〜17 年度の 3 カ年に,熱帯アジアの乾燥林,半乾燥林,多雨林の 3 タイプの森林地域 において,小規模環境林を対象として炭素吸収量の簡易な算出法,事業の実施体系とプロセス, コスト等を調査し,CDM 植林プロジェクト形成のための基礎データの整備を目的とする事業である。 16 年度は,ミャンマー国中央乾燥地帯に当センターの協力により造成された「日本・ミャンマー 友好の森」等で,バイオマス成長予測,土壌炭素量測定,植物・動物相の多様性,小規模環境 植林における管理方式など社会・経済的な検討のための現地調査を実施した。 (4) CDM 植林技術指針調査事業(平成 15〜19 年度) CDM 植林事業への開発途上国および我が国の事業者の参入を容易にするため,事業参加者 が OE(運営機関)に事業申請を行う際に,事業審査を通りやすくするような CDM 植林技術指針 を作成する事業である。CDM 植林の推進を通じて,開発途上国の持続可能な森林経営への取り 組みを支援する。 16 年度は,ベトナム国における婦人によるコミュニティフォレスト造林地でのケーススタディを基 に,小規模植林 CDM の PDD(プロジェクト計画書)作成の手引きを取りまとめた。 (5) 黄砂対策植生回復実証調査事業(平成 16〜20 年度) 黄砂問題の解決策として,黄砂発生源地域における森林を含む自然植生を回復するため, 黄砂発生源地域の土地利用形態別に,モデル的に植生回復を実行するとともに黄砂抑制効 果を実証的に調査し,黄砂発生源地域の植生回復技術指針を作成する事業である。 -4- 16 年度は中国寧夏回族自治区の黄砂発生地帯において植生変化の原因とされる人為的 な活動の社会的・経済的条件を調査するとともに,植生回復のためのモデル試験地を設定し 実証調査を開始した。 (6) 地域住民森林管理実証調査事業(平成 13〜17 年度) 地域住民による自主的で継続的な森林管理の推進を図るためのアグロフォレストリーの手法を 確立するため,調査と実証を行う事業である。 16 年度は調査対象地であるインドネシア国ロンボク島において,西ヌサテンガラ州森林局並び にマタラム大学の協力を得て住民ヒアリング,ショウガ類等の林内耕作,山火事対策,林内照度 等の現地調査を実施した。 (7) インドネシア炭素固定森林経営実地実証調査事業(平成 16 年度) JICA(国際協力機構)からの委託により,標記プロジェクトのカウンターパート研修を次のとおり 行った。 ① 「森林 CDM コース」 平成 16 年7月 20 日より7月 29 日まで 10 日間(研修員 1 名) ② 「植林 CDM 研究コース」 平成 16 年 9 月 27 日より 10 月 24 日まで 28 日間(研修員 2 名) (8) 森林火災跡地復旧計画(フェーズⅠ) このプロジェクトは JICA がベトナム国カマウ省ウ・ミンハ地区で,平成 16 年 2 月から 3 年間の予 定で実施している技術協力プロジェクトである。 当センターでは JICA の委託を受け,平成 16 年度はマーケティング及び木材用途開発分野の 2名の専門家を派遣し,用途開発のためのプロトタイプ炭化施設等の建設,実証実験活動,及び 市場調査,現地意向調査に基づいたメラルーカ材利用促進計画の策定等を行った。 (9) 森林バイオマス利用による森林造成・地域住民生計向上事業可能性調査 フィリピン国において国際協力銀行(JBIC)が融資を検討している森林造成・地域住民生計向上 事業に対し,森林バイオマス利用の観点からの事業の実施可能性を検討する調査事業である。 16 年度末から 17 年度にわたる事業である。 5. 国際緑化推進・普及事業 (1) 地球温暖化防止普及推進事業 「地球温暖化防止京都会議(COP3)」で採択された「京都議定書」の実施に向けた国際的な -5- 検討が行われるなか,京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)の活用等による民間植林協 力の推進を図るため,以下の国内説明会と国際フォーラムを開催した。 ① CDM 吸収源事業についての説明会 平成 16 年 6 月にボンで開催された SBSTA20 の報告会を 7 月 21 日に,平成 16 年 12 月にブエノスアイレスで開催された COP10 の報告会を平成 17 年 1 月 13 日に,それぞれ実 施し,CDM 吸収源事業に関する国際会議の動向を紹介した。 ② 吸収源 CDM 国際フォーラム CDM 理事会植林ワーキンググループ議長,並びに ITTO,コロンビア,ケニア及び我が国の 有識者 5 名をパネラーとして,京都議定書が発効した平成 17 年 2 月 16 日に開催し,今後 の吸収源 CDM への取組について論議した。 (2) 植林適地等把握調査 開発途上国において活動を行う林業 NGO 等に対し技術情報の提供を行うため,植林適地, 植栽樹種,植林コストなど現地データを把握する調査事業である。 16 年度は最終年度の事業として,インドネシア及びタイで現地調査を継続して行うとともに, データベースの構築を行い,情報公開方法の検討を行った。 (3) 国際緑化普及啓発事業 国際緑化の普及啓発を図るため,展示パネルを「みどりの感謝祭」,「森林の市」に出展した。 また,日本郵政公社より年賀葉書・年賀切手の寄附金の配分を受け,地球温暖化問題とその対 策における森林の重要性を普及啓発する CD-ROM「地球温暖化問題と国際緑化活動」を作成し た。 6. 熱帯林造成基金事業 地球の緑を守るために当センター熱帯林造成基金に寄せられた浄財をもとに,次の活動を実施 した。 (1) 日本・インドネシア「友好の森」プロジェクト(フェーズⅡ)(2002 年 11 月〜2006 年 10 月) インドネシア国ロンボク島において,(財)イオン環境財団,(株)竹尾,(株)ホームダイレクト, (株)和漢薬研究所からの寄附により社会林業の手法で,2003 年から 3 年間で 130 ヘクタール の環境保全林を造成する。2 年目の 2004 年は 10 月までに 40 ヘクタールの植林を行い,累計 100 ヘクタールの植林を完了した。 -6- (2) 「梅田の森」造成プロジェクト(ベトナム第 3)(2003 年 9 月〜2006 年 12 月) ベトナム国ホアビン省ルオンソン県ホップホアコミューン内の荒廃地にアカシア・マンギウムとア カシア・ハイブリッドによるコミュニティフォレスト 53 ヘクタールを造成する。1 年目の 2004 年は 6 月末までに 53 ヘクタール全域の植栽を完了した。2005 年以降の 2 年間では保育作業を行う 予定である。 (3) インドネシア「エプソン エコ・フレンドリーフォレスト」(2000 年 11 月〜2003 年 10 月,2003 年 11 月〜2004 年 10 月) セイコーエプソン(株)の寄附により,インドネシア国南カリマンタン州でアグロフォレストリーの手法 を用いて 300 ヘクタールの植林事業を行う。2004 年は 30 ヘクタールの植林を 10 月までに完 了し,初期目標(300 ヘクタール)を達成した。100 戸の農家が参加し,社会林業を展開した。 (4) マレーシア「富士通の森」(2001 年 11 月〜2004 年 10 月) マレーシア国サバ州キナルートにおいて,3 年間で 70 ヘクタールの郷土樹種と果樹の植栽を 行う。この事業は SAFODA(サバ州森林公社)が計画しているエコフォレストパーク構想の一環とし て位置付けられている。2003 年 11 月から 2004 年 10 月までは,3年目事業として,郷土樹種 24 ヘクタール,果樹 1 ヘクタールの植栽を行い,初期目標(70 ヘクタール)を達成した。 (5) 緑の地球の森Ⅲ ワーキンジー・コミュニティフォレスト(2003 年 4 月〜2006 年 3 月) (社)山梨県治山林道協会,(株)上越観光開発からの寄附により,ミャンマー国マンダレー管 区ニャンウー地区ワーキンジー村及び周辺地域において「地域住民による地域住民のための森 づくり」をモットーとして 90 ヘクタールのコミュニティフォレストの造成を行う。2 年目は 2005 年 3 月末までに 30.5 ヘクタールの植林を行い,累計 50.5 ヘクタールの植林を完了した。 (6) 婦人によるコミュニティフォレスト造成事業(2003 年 4 月〜2006 年 3 月) 独立行政法人環境再生保全機構からの助成により,ベトナム国ホアビン省キーソン県モンホア コミューンにおいて,地域婦人会のメンバーが 3 年間でコミュニティフォレスト 100 ヘクタールの造 成を行う。地球環境の保全を目的とする婦人参加によるベトナムではじめての森林造成実証モデ ルである。2 年目の 2005 年は 3 月末までにアカシア・ハイブリッドによる植林 35 ヘクタールを行 い,累計 70 ヘクタールの植林が完了した。 (7) マレーシア「富士通の森 第二フェーズ」(2004 年 11 月〜2007 年10月) マレーシア国サバ州キナルートにおいて,3 年間に 70 ヘクタール(郷土樹種のみ)の植林を行 う。1 年目は 2004 年 11 月から 2005 年 10 月までに 20 ヘクタール植林することとしている。 -7- (8) マレーシア「アドバンテストの森」(2004 年 11 月〜2007 年 10 月) マレーシア国サバ州キナルートにて造成中の「富士通の森」の隣接地に,3 年間で郷土樹種に よる 30 ヘクタールの植林を実施する。1 年目は 2004 年 11 月から 2005 年 10 月までに 10 ヘクタール植林することとしている。 (9) 板橋区民の森 板橋区民からの寄附により,ミャンマー国マンダレー管区ニャンウー地区ワーキンジー村におい て,2004 年 4 月から 2005 年 3 月末までにコミュニティフォレスト7ヘクタールを造成した。 (10) 小平市民の森 小平市民からの寄附により,ミャンマー国マンダレー管区ニャンウー地区ワーキンジー村におい て,2004 年 4 月から 2005 年 3 月末までにコミュニティフォレスト 2.5 ヘクタールを造成した。 -8-
© Copyright 2024 Paperzz