2009.11 PART:Ⅳ 先日は、アンケートに御協力いただきありがとうございました。アンケート結果より、 ラッテクスアレルギーという言葉は聞いたことがあるが、ラテックスアレルギーとは どういうものなのか・具体的にどのような人がなり易いかを知らないという人が多くみえました。 現在、手術室では手術が安全に受けていただける様に取り組んでいます。 そこで、皆さんにラテックスアレルギーについて少しでも知ってもらおうと思い、 オペ室便りにてお伝えしたいと思います。 ラテックスとは・・・? 天然ゴムのことを指します 天然ゴムを含む製品によって引き起こされる疾患とは? 1.刺激性接触皮膚炎 …免疫反応ではない非特異的な物理刺激・皮膚の乾燥・皮脂の欠失 によるバリア機能の低下により引き起こされる皮膚炎 2.アレルギー性接触皮膚炎…天然ゴムの採取時や製品の製造過程で添加された、低分子の 化学物質の曝露、感作などで引き起る。炎症は、接触してから 24∼48 時間後に始まる 3.ラテックスアレルギー…天然ゴムに含まれるラテックス本来のタンパク質により感作され、 ラテックス特異 Ige 抗体が産生されておこる即時型アレルギー反応 ラテックスアレルギーの症状としては、以下の症状が挙げられます 1)接触蕁麻疹・血管浮腫 2)粘膜浮腫 3)口腔アレルギー症 4)鼻炎・結膜炎 5)アナフィラキシー、アナフィラキシーショック 6)喘息発作 手術室ではどんな対応をしているの? ラテックスアレルギー患者は、空気中にラテックス分子があるだけで発症したり、診療材料 などを梱包する時にラテックス手袋を使用しただけで発症する患者様もみえます。そのため、 ラテックスに接触しない環境を整えることが大切です。 通常の手術や入院において、ラテックスアレルギーの検査をすることはないため、私たち 手術看護師は、ハイリスクグループの患者様をみつけ、アレルギーを発症しないで、 安全に手術を受けて頂くために手術室独自のフローチャートを使用しています。 ラテックスに接触する頻度が高いとラテックスアレルギーに罹患するリスクが高くなります。 また、ラテックスと交叉反応性がある、バナナ・キウイ・アボガドなどの食物アレルギーの ある患者様のラテックスアレルギーの発症の確立が高いため、以下のハイリスクグループ の確認を術前訪問で行っています。 ラテックスアレルギーのハイリスクグループ 【接触及び既往歴】 □ゴムなどで発疹や痒みの出る人(ゴム手袋・輪ゴム・コンドーム等) □繰り返し医療処置・手術を受けている患者(二分脊椎症や泌尿器の形成異常、 NICU小児の手術) □医療従事者 □アトピー素因を有する患者 【南国系フルーツ】 □アボガド □キウイ □バナナ □栗 □パパイヤ □メロン □いちじく □グレープフルーツ □胡桃 □トマト □ピーナッツ □ジャガイモ 術前訪問でラテックスアレルギーの疑いがある患者様には、ラテックスフリー対応を しています。(ラテックスに接触しないような部屋準備) ex)・ゴム製の駆血帯やテープ類は部屋の外へ出し使用しない。又、血圧マンシェットのゴムの部分が 直接当たらないように工夫する ・麻酔の呼吸バック・マスク・バルンカテーテルをシリコン製へ交換する ・医者・看護師の手袋はラテックスフリーを使用する など ラテックスアレルギーは、アレルギー症状を引き起こすと最悪の場合死に至るとても怖い アレルギーです。しかし、緊急手術の場合は、術前訪問へ伺えないこともあります。 病棟でのアナムネ聴取の際に患者様から少しでもラテックスアレルギーの疑いが確認 されたときには、患者様の命を守る為、その情報の共有をお願い致します。 最後に、私たち医療従事者もラテックスに感作され易い、ハイリスクグループに いるので皆さんも注意してください。
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