平成21年8月18日 見頃の植物【長崎県亜熱帯植物園】 一度絶滅したと考えられていた、中国・雲南省の秘蔵花《幻の珍花・地湧金蓮花》が咲きました。 1、チユウキンレンカ(地湧金蓮花) バショウ科、中国原産。 1 ジャパンフローラ2000・淡路花博や2005年に福岡で開催され ました、アイランド花どんたくで紹介されて一躍有名になった 《幻の花》と呼ばれるチユウキンレンカです。 英名をチャイニーズ・イエロー・バナナと言いバショウの仲間です。 名前のように地面から湧き出た金の蓮の花のようです。 一度絶滅したと考えられていた品種で、2800mの高地に自生 しています。耐寒性は高く関東あたりでも路地で越冬できます。 冬に葉は枯れますが春に伸長し、3年ほどかけて花が咲きます。 花径30cmほどの大きさで、花弁に見えるのは仏炎苞と呼ばれ る花苞で、2cmほどの小さな花がアップの写真で確認できると 思います。1mほどの茎の頂上にドーンと大きな花を咲かせます。 青々とした葉は1mほど伸び、芭蕉の特徴が良く出ています。 しかしこの花の最大の特徴は、その花の開花時期の長さだと思 います。一度の開花で200日から300日は花が付いた状態に なるとの事です。最大ほぼ一年間の間、開花状態といわれ花期 の長さでは世界1位です。花言葉は「幸福を招く」だそうです。 1 1 2 芭蕉と実芭蕉 バショウはミバショウと呼ばれるバナナと非常に よく似ていて、間違いやすい多年草です。バショウとミバショウの 見分けかたは、バショウの苞が緑色か薄色黄に対しミバショウ (バナナ)の方は紫色です。ミバショウの実は食用で非耐寒性、 バショウの実は食べられず耐寒性はあります。 世界で食用に栽培する種無しバナナは、東南アジアで少なくとも 3 紀元前数千年の頃には栽培化されていたようです。これは、後に アフリカを経由して中央・南アメリカに入り、現在は3・400品種 あると言われています。 バショウ科Musaceae(芭蕉科)はユーラシアの熱帯に3属約50種 があり、バショウ属Musa(芭蕉属)は40-50種があり、熱帯アジ ア・西アフリカ・カナリア諸島・西インド諸島など、世界の熱帯を 中心に分布しています。原種のバナナは小豆大の種があり、今、 私たちが食用にしているものは品種改良された無種子の3倍体 植物です。バナナは大きな葉をつけた一見ヤシの木に似た植物 ですが、厳密に言えば樹木ではありません。直立した茎のような 部分も実は茎ではなく、葉のつけねが茎を取り巻いている葉梢 と言う部分がたくさん集まったもので、「茎」ではない「茎」という 意味で「偽茎」と呼ばれています。本当の茎は土の中にあります。 英名のbananaは西アフリカのウォロフ語によるバナナの現地名 3 Banana(バナナ)から由来しています。 芭蕉をJapanese banana(ジャパニーズ バナナ)と言うのは日本原産と考えられた事から と言うのが通説になっています。中国では、芭蕉の根茎を芭蕉根、葉を芭蕉葉、花・蕾を 芭蕉花、種子を芭蕉子、茎の汁を芭蕉油と呼び、それぞれが薬用として利用されます。 ちなみに江戸時代の俳人 松尾芭蕉は、1680年深川村六間堀に草案を営み、翌年門人か らバショウ一株を送られて以来、それを芭蕉庵と呼びました。 4 2、ミバショウ(実芭蕉) バショウ科、アジア、マレーシア原産。 3、バショウ (芭蕉) バショウ科、熱帯アジア他原産。 4、ヘリコニア・ロストラータ バショウ(オウムバナ)科、ペルー~アルゼンチンなど熱帯アメリカ原産。 高さ3mほどにもなる多年草で、ヘリコニアの中では一番大きくなり、植物学的にはバナナに近いそうです。 熱帯アメリカを中心に80種ほどが確認されていて、現在はオウムバナ科に分類されています。 鳥のクチバシとかロブスターのハサミにたとえられる事が多いのですが、いづれにしても鮮やかで目立つ花です。 クチバシのように見える赤い物は苞の部分で、その先に、更に小さい黄色いクチバシに見えるものが花です。 蕾の状態のときは、ナイフをぶら下げたような平たい形をしていますが上の方から一枚づつ横に広がって咲き、 長い間、鑑賞できます。 ヘリコニアとはギリシャ神話の女神ムサーサが住んでいたと言うヘリコン山に由来し、 ロストラータとは「くちばし状の」の意です。 5、ムラサキナツフジ マメ科、熱帯アジア、日本、台湾原産。 4 夏に咲く藤の花です。鮮やかな紫色をしています。 通常、藤は下垂して咲くものですが、これは横もしくは上に向い て咲くため、登り藤との別名もあります。 江戸時代に当時の琉球から伝わったようです。 霜があまりない暖地では路地での越冬も容易です。 白や紅色のものはタイワンサッコウフジとかサツマサッコウフジ 言う名前で流通していますが、紫色のものは、ムラサキナツフジ として、園芸店などに出回ってます。 5 5 6、グロッパ・ウィニティー ショウガ科、タイ原産。 6 インドから東南アジアに約80種が分布する。生姜に似た姿の日本では まだ新しい草花の一つで、下垂する穂状の赤紫色の苞と黄色の花の コントラストが綺麗で、多年草です。飛び出した花柱はまるで京都・宇治 にある国宝の平等院鳳凰堂の屋根の上に立つ鳳凰(ホウオウ)のように みえる複雑な形態の花です。非耐寒性なので温室で育てるのが望ましく 、一般的にはあまり見かけられない花のようです。 英名では(ダンシング レディスジンジャー)とか姿が踊っているように 見えるので(モウブ ダンシング レディス)などど呼ばれています。 6 ちなみに、Mouveとは藤色のという意味なんですがフランス語では同じ スペルで赤紫という意味があります。どちらかといえば赤紫の方が 色あいを表していると思われます。ピンクの花は『シャムの舞姫』(シャム とはタイの昔の呼び方)と言い、 白い花は、『ホワイト ドラゴン』と呼ばれるそうです。一つの花の種類で色が違えば通称が変わります。 この不思議な花は今月末くらいまで見頃が続きます。 〈本館にて展示中〉
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