2004年ゴルフ規則改訂解説 ゴルフ規則はR&AとUSGAが中心となって4年毎に見直しを行うことが慣例となって おり、2004 年度はその変更の年にあたります。 今回の改訂は規則書全般にわたっており、それにともない裁定集も新・改裁定だけでも 90 例以上も大幅に見直され 1984 年以来 20 年ぶりの広範な改訂となりました。 JGAでは、2003 年 12 月 7 日∼9 日、R&A規則委員長マイケル・ブラウン氏と規則セク レタリー、デビット・リックマン氏の来日のもとにR&A・JGA合同規則委員会を開催 し、細部にわたり最終確認がなされました。その中から今回改訂に当たってのR&Aの基 本的考え方をうかがい知ることができます。 1.原文の英語版は用語も言語学的に見直され、世界的な視点でも分かりやすくフォーマ ットも箇条書きや・印を取り入れた構成で多くのゴルファーに使いやすいようにと考 えて作られている。 2.ゴルフ規則の中のエチケット面について広範な具体的なガイダンスが示され、それら を無視してエチケットの重大な違反をするプレーヤーに対し競技委員会がしかるべき 罰を課することができることが示された。多くのゴルファーの権利を守ろうとしてい る。 3.実際のプレーの楽しみを考えた上で過度な規制や、そう解釈されやすい点を見直し不 当に重い罰や、罰の重課とストロークプレーの罰などを軽減し、誰にもなじみやすい ように改めた。それらは、今回から規則に含まれることとなった裁定集や委員会の定 める競技の条件の中で補われている。 4.規則改訂までの4年間に寄せられた質問や、実際の競技でおきた事例を積極的に取り 入れルールを実際面から見直して行こうとしている。 − 1 − Ⅰ エチケット項の変更 これまでは“ゴルファーはこうあるべき”と人から人へ伝承されてきたマナーについて 「他のプレーヤーに対しての心配り」を重点とし、安全確認・プレーのペース・コースの 保護などについて細かく具体的にこれまでの倍のページを費いやして述べられている。目 新しいものでは冒頭に「ゴルフの精神(スピリットオブザゲーム)」が掲げられ、ひとりひ とりがルールを守り、他の人に心配りしてプレーするという誠実さに頼ってゲームは成り 立っていると言っている。 具体的な行為としては、 ・安全のため「フォアー!」と大声で ・コース内に持ち込んだ電子機器(携帯電話)の音で他の人の集中を乱すことのないように ・前の組に遅れないようにするのはその組全員の責任である ・自分のプレーする順番になったら、すぐにプレーできるようにしておくべきである ・バッグやカートは次のティにすぐに行ける所に置いておくべきである ・時間節約のため暫定球をプレーすべきである ・怒ってであろうと何であろうとクラブヘッドを地面に叩きつけるなど、不必要な行為で コースを損傷してはならない。 など他にも多くの例を述べている。 重要なことは、結びとして皆がエチケットのガイドラインを守ってくれれば、すべての人 にとってゴルフはよりもっと楽しいものになろう。もしこれを無視して絶えず他の人に迷 惑になるようであれば、そのプレーヤーに対して委員会は懲戒として、一定期間の出場停 止や競技失格の処置を考えることを勧めると述べていることである。 エチケットの重大な違反の意味は、新裁定(規則 33-7/8)で次のように示している。 Q:33-7 で、エチケットの重大な違反の意味は? A:エチケットの重大な違反とは、プレーヤーが意図的に他のプレーヤーの気を散ら したり、気分を害したというように、エチケットの章の内容を全く無視した行為 である。委員会はエチケットの重大な違反と思われる 1 回の行為に対して規則 33-7 に基づいてそのプレーヤーを競技失格とすることができるが、多くのケースでは、 そのような競技失格の罰はさらに重大な違反があったような場合にのみ課すこと を勧める。 最終的には、規則 33-7 に基づくエチケットの重大な違反に対する罰の適用は委員 会の裁量となる。 − 2 − Ⅱ 用語の定義の変更要点 ゴルフ規則の中で使われている言葉の中で、ゴルフ規則にだけ勝手に特別な解釈をして いるものを抜き出して「用語の定義」としてあげてますが、これまでの52語が 2004 年改 訂で61語に増え、内容が変更になっている定義もあります。 プレーの規則の各項の中で使われている言葉でも定義通りに解釈するときは、アンダーラ イン(原文はイタリック)をつけ、各項の冒頭にその旨を記し、定義は○○ページに記載 されていることを繰り返し述べ、規則を適用する場合の基準となる「ものさし」である用 語の定義を覚えることを促しています。 7.インプレーの球 これまでのインプレーの球の定義だけでは、1 ホールのスタートの時にティの区 域外から球のプレーされた球のいくつかのケースで、完全にカバーされていな いケースであったのでそれらを補完した。 マッチプレーの例外としてティー外からプレーしたものの相手がその取り消し を要求しなかった場合は、インプレーの球であることなど。したがってもしプ レーヤーがティショットをティの区域外からプレーしそれがOBであれば、相 手も取り消しを要求しない筈だから、プレーヤーがそのOBをティの区域内か らプレーし直せばその時点で、誤所からのプレーでプレーヤーのそのホールの 負けとなる。 9.バンカー バンカーの側壁が積み芝で構成されている場合は、その側面は草が生えていよ うといまいがバンカーの一部ではない。一方、草に覆われていないバンカーの 壁やへりはバンカーの一部であると追加された。 15.コース 規則文中ではコース上にドロップなどが使われている。 これまでの「プレーの許される場所全域をいう」から「委員会の定めたOB境 界の内側全域をいう」と改められた。2000 年にアウトオブバウンズの定義が「プ レーの許されない区域」から「委員会の定めた区域」に変更となったので、相 対的なコースもそれと整合させた。 「プレー禁止の修理地」は、コースではないという人もいなくなる。 27.ラテラル・ウォーターハザード、59.ウォーターハザードの注 1 両定義の注 1 で、ウォーターハザード(ラテラル)の範囲を決めるために使わ れる杭や線は黄色(赤色)でなければならない。範囲を決めるために杭と線の 両方が使われる場合は、杭はウォーターハザード(ラテラル・ウォーターハザ ード)であることを示し、線はそれによってそれらの限界を決めると定められ た。 − 3 − 31.紛失球 これまでの定義(b)項が「球を探そうとしなかった場合を含み、別の球をインプ レーにしたとき」であったのを「プレーヤーが取り替えられた球をストローク したとき」に変更となり、一般には分かりやすくなった。 もともと「別の球をインプレーにしたとき」は分かりにくく多くのゴルファー は、どうすれば別の球がインプレーになるか?ドロップの場合は球が手から離 れていると時か?コース上に落ちた時か?転がって行って止まった時か?誤所 にドロップした時は?自分の体に当たった時は?再ドロップした時はどの時点 でインプレーになるのか?またプレースする場合は球から指が離れた時か?な ど知らないことが多い。 さらにティインググラウンドではストロークしたときに別の球がインプレーに なっていることも分かりにくくしていた原因であった。 そうしているときに初めの球が5分以内に「あった!」と叫ばれると混乱して しまう。 これらを分かりやすくするため「ストロークしたとき」と変更したものである。 そのためドロップしてからストロークするまでのわずかな時間に生じる希なケ ースについては、裁定や解釈で補うこととした。 35.救済のニヤレストポイント 本質的内容は変わらない。これまでは定義 32 で、救済のニヤレストポイントと は・・・・・と説明し、それを決める方法は・・・・・とすべきであると述べ、規則 24、25 の規則文中では「救済のニヤレストポイントを決めなければならない。」 と書かれていたために、定義の勧める方法で決めなければ直ちに違反と厳しく 解釈されることが多かった。 そのため定義では救済のニヤレストポイントの説明として(ⅰ)(ⅱ)と分け(ⅱ)で、 救済を求めている物や状態(障害となっているものの意味)がそこになかった ら、そこでしていたであろうストロークが、球を別の所に移すことによってそ れらの障害は無しにできるとこと述べ、注:で正確にニヤレストポイントを決め るためには、障害がなかったら使っていたはずのクラブで決めるべきであると した。 ※また規則 24、25 の本文の中では「球を拾い上げてニヤレストポイントか ら・・・・・にドロップしなければならない。」とし、「ニヤレストポイントを決め なければならない。」を削除した。 ※新裁定 24-2b/2 では、仮に定義で勧めているような方法でニヤレストポイン トを決めなかったとしても、結果として正しいニヤレストポイントからワン クラブの範囲内にドロップされ、再ドロップ規定に反していなければ違反で はないことが示された。 47.規則 「規則」という語の定義にこれまでの他に a.規則裁定集の中で示されている規 − 4 − 則の解釈、b.委員会が規則 33-1 と付属規則Ⅰ(C)で定めた競技の条件が追加さ れた。 53.取り替えられた球 これまでは、球のステータスを定義で説明していたのは「インプレーの球」「紛 失球」「暫定球」「誤球」の4語だったが、今回から「取り替えられた球」が仲 間入りした。 「取り替えられた球」とは、次の球に替えてインプレーにされた球をいう。 (イ) インプレーの初めの球 (ロ) 紛失球となった初めの球 (ハ) アウトオブバウンズであった初めの球 (ニ) 拾い上げられていた初めの球 と定義された。 これについては古くから「代替球」や 1996 年誤球の範囲の制限から論議されて きた非常に難解な語であった。今回のこの定義化により、プレーヤーが取り替 える意思もなく取り変わっていることも知らずにドロップやプレースしてイン プレーにすれば、すべて取り替えられた球になるかどうか確認の意味もあり、 12月8日のR&Aとの合同ミーティングで次の質問をした。 (ⅰ)質問 「取り替えられた球」の定義化は、1996 年から続いている誤球 のプレーを減らそうとしている方針の一つか? 回答 (ⅱ)質問 その通り 遺棄されている球や他人のインプレーの球を自分の球と思い込 み、ドロップやプレースすれば「取り替えられた球」となるか? 回答 その通り これにより、裁定 28/15 や他の裁定も「取り替えられた球」であることの語句 に改められた。 54.ティ 「ティ」とは球を地面から離し高く置くためにデザインされた物で、長さは 4 インチ(約 10 センチ)以下でプレーの線を示したり、球の動きに影響を与えか ねないようなデザインや作りであってはならない。 誤解してはならないのは、現在、日本で市販されているような多彩なティを対 象としていることではない。球の飛距離の増大から将来を考え、ティを異常に 長くし、横なぐりで飛距離増大へ向かうのを今のうちに制限しておこうという のが主目的である。 これまでも、プレーの線を示すつもりの物を取り付けたり、異常な飛びをさせ るために作られたものは規則 14-3 で制限されていた。 従って、現在、日本で市販されているようなものや、ティを見失わないように 紐で結ぶこと、あるいは短いティを複数重ねることも長さが 4 インチ以下であ れば許される。 − 5 − Ⅲ プレーの規則の変更 規則書だけの 2004 年改訂の要点だけでは、大幅変更は読みとれませんが、裁定集と併せ て読むと罰の重課を少なくすることや、実際的ではない規制の改廃を幅広く行っているこ とが分かります。以下の規則の変更はないが、裁定が必要となったもののいくつかも含め ました。 規則1−4 適用できる規則がない場合(公正の理念)の関連裁定 裁定 1-4/12、罰の重課に対する一定の原則を①∼⑥まで示し、どのようなケ ースでは複数の規則違反をしていても1回の罰か、あるいは重複して罰が加 わるのかの基準を示した。 (例)ハザード内でルースインペディメントを取り除いたら球が動いた。 裁定 13-4/15 で、これまでは 13-4(2 罰打)と、18-2a(1 罰打)計3打 を加え、リプレースしなければならなかったが、2004 年改訂では 2 罰打 (13-4)だけでリプレースしなければならないことになる。 裁定集の中にあるたくさんの重複違反の罰は、この 1-4/12 に照らし合わ せ変更することになった。 規則2−4 次のストロークやホールやマッチのコンシード これまでの解釈と同じだが、分かりやすく書き改めた。 プレーヤーはマッチプレーを始める前であろうと終える前であろうと、いつ でもマッチやホールをコンシードすることができることが書き加えられた。 ※裁定 2-3/6 ドーミーで相手がコンシードしたときのマッチの結果 ドーミーで相手が握手を求めた場合の 5 例をあげ、どのケースがそのホー ルをハーフとするか、勝ちとするかの基準を示した。 結論として相手の握手に応じた場合そのホールはその時点で双方の次のス トロークをコンシードしたものとみなして、マッチの結果を表示すること になる。 12 月 8 日のR&Aミーティングの質問: 日本ではマッチをコンシードするのに握手に限らずいろいろ仕草があるが、 その意思が伝われば良いという回答であった。 規則2−5 処置についての疑問:紛議とクレーム 委員会からの権限を与えられている人がすぐにはその場に現れず、あとから 裁定を求めることにしプレーを続ける場合、委員会がクレームを取り上げる条 件が(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)と箇条書きで明確となった。これまで 34-1aに書かれていた内 容が 2-5 に移項された。 − 6 − 規則3−3 処置についての疑問 処置について自信のない事態が生じたあと、次の行動に入る前と簡潔にし、「原 因となる状況」という紛らわしい部分が削除となった。 また2つの球をプレーした場合「両球でのそのホールのスコアが同じであろう が異なっていようが」委員会に報告しなければ競技失格となった。もともと競 技者は処置が分らないから2つの球をプレーしているので罰を含めたスコアが いくつだか分からないことが多く、当然の改訂といえる。 ※裁定 3-3/13 と 3-3/14 が新設された。 ここでいう「初めの球」とは、それまでインプレーを続けてきたオリジナル の球をいうもので、2つの球をプレーする際に先にストロークした球を初め の球というものではないこと。さらに初めの球を必ずしもあるがままにプレ ーをすることを要求しておらず、初めの球で救済処置をとり、2つ目の球を 拾い上げられた所にプレースして、両球をプレーすることも認められるとい う従来の解釈を明文化して誰もが簡単に規則 3-3 を使いやすいものとした。 規則5−3 プレーに適さない球 内容や手順はこれまでと同じである。書き方を規則 5-3 と規則 12-2 とほぼ全 く同じように書き揃えた。また、プレーに適さない球と認められないのに球を 取り替えてプレーしたときは規則 5-3 の違反であることが明記された。 規則6−4 キャディ 複数のキャディを使用した場合の罰が競技失格からマッチプレーではそのホ ールの負け、ストロークプレーでは 2 罰打となり、1ラウンドではマッチで 最高 2 ホール、ストロークプレーでは最高 4 罰打となった。 これまでの失格の罰を軽減し、超過クラブの違反 4-4a,bやワンボール条件、 移動の条件と同じ罰則となった。また、違反を発見次第、訂正しなければな らない点については、その考え方を新裁定 6-4/5.5 で示している。 注:が新設され、委員会は競技の条件の中でキャディの使用について禁止した り、プレーヤーによるキャディの選択を制限することができるようになった。 これは従来の裁定 6-4/2 や 33-1/10、33-1/11 の内容をゆるやかにして注:とし て取り入れたものである。 規則6−8d プレーを再開する場合の処置 プレー中断中に球やボールマーカーが風や水その他で動かされた場合、元の 位置にプレースしなければならないが、これまではその箇所が確定できない 場合、規則 20-3cでドロップしなければならなかったが、2004 年改訂で元の 位置を推定し、必ずプレースしなければならなくなった。 ボールマーカーが動かされた場合も同じで当然の改訂である。 日本語版では、規則 6-8 で使用していた語句「プレーの一時中止」をすべて「中 断」に書き改めた。 − 7 − ※規則 6 に関する新裁定(6-3a/2.5)スタート時間の意味 Q:公式組合わせ表にスタート時間 9:00 と記されていたプレーヤーが、 9:00″45 秒(45 秒遅れ)に1番ティに到着した。 A:9:00 に1番ティ近くにいてプレーの準備が出来ていなければ 6-3a で失格。 規則9−2 マッチプレーの打数の報告に関するもので、これまでは長文で分かりにくかっ たが箇条書きに改められた。9-2aは相手はいつでもプレーヤーのストローク数 を確かめる権利があることを述べている。9-2bは誤報を与えた場合は、そのホ ールの負けであることを先に記し、次に誤報を与えたとみなされる行動につい て、(ⅰ)a,b,(ⅱ)(ⅲ) に分けて説明し、最後に規則上罰が付加されることを 知らなかったとしても誤報を与えたことになる。 規則を知っておくことはプレーヤーの責任であると付け加えられた。 規則10−1bと10−2b 1ホールのプレー中のプレーの順番についてマッチプレーにもストロークプレ ーにも注:が付け加えられ、これまで裁定 10/1、10/2、10/3 に記された内容を 取り入れられた。元の位置に戻って球をプレーすることを要する場合と、それ 以外の所からプレーする場合に分けて順番を決める位置が示された。 マッチプレーでウォーターハザードに入ったあとの打順などで適用される。 規則11−1 ティイング 11-1 の末尾にティイングするときに不適合のティやその他の物を使ったときは 14-3 違反ではなく規則 11-1 の違反で競技失格となることがつけ加えられた。規 則 11-1 に競技失格が付け加えられた。 規則11−4a ティインググラウンド外からのプレーの規則文に変更はないが、ティの区域外 からプレーした球のインプレーかどうかの定義が付け加えられたため、それに より ※新裁定 11-4a/1 で、マッチでオナーがティ区域外からプレーし、相手が直ち に打ち直しを求めた場合、プレーヤーはオナーを続けることになり、打ち直 しの球は 10-3 でいうところの2つ目の球ではないことが明記された。 規則13−2 球のライや、意図するスタンス・スイングの区域、プレーの線の改善 内容は変わらないが、明確化のため英文もリフォームされ、あたかも日本語版 規則 13-2 を見ているように・(中黒丸印)がつけられている。 ※新裁定 13-2/1.1 では、公正にスタンスをとろうとした結果、木の枝やOB杭 などの固定物が曲げられたような場合でも、実際にストロークをする前に元 − 8 − の位置に戻されていれば罰はないとしている。 ※新裁定 13-2/29.3 では、バンカー外からプレーする際にドロップした球がバン カー内に転がり込み、それを拾いに行くときにできた足跡をならしても罰な しという裁定がなされている。 規則13−4b 球がハザード内にある場合:禁止行為 罰を受けるのはハザード内の地面やウォーターハザードの水に手かクラブで触 れてるときに限定された。レーキやバッグなどを引きずったりして偶然に触れ ても、罰はないことが明確化された。 規則13−4 例外2 球がハザード内にある場合、禁止行為の例外規定の変更 これまではキャディは自分の意思であれば(プレーヤーの承認なしに)、いつで もバンカー内の砂を平らにならすことは許されていたが、「キャディはいつで も・・・・」が削除されプレーヤーと同じ規定となった。 規則15−2 取り替えられた球 これまでの規則 15-1 と内容は同じだが、球の取り替え違反の罰が本項で2罰打 となっていたのが削除となり、該当する規則の罰ということになった。 規則の各項では無条件で取り替えが許される場合は、太字で球(原文 a ball) とし、その他では「球が直ぐには取り戻せない場合は、別の球に取り替えるこ とができる」とあり、それ以外では取り替えが許されていない。従って取り替 えの違反を犯した場合、その行為がどの規則の取り替え違反かを判別し、その 規則に設けられている罰を適用することになる。 ※R&Aの説明では、15-2 の2罰打を削除したのは、該当する規則の罰と 15-2 の2罰打を重複して課するような誤りを避けるためということであった。 ※グリーン上でキャディが球を取り違えて渡し、プレーヤーがそれに気づかず にリプレースしてストロークすれば、取り替え違反はグリーン上で起きてい るので 16-1b の違反の2罰打となる。 規則16−1a パットの線に触れること 16-1a(ⅰ)でルースインペディメントを取り除くとき、何も押えつけなければど のような方法で取り除いてもパットの線に触れる違反とはならなくなった。 ※裁定 16-1a/8「タオルや帽子」は良いことになる。 またパットの線上のミミズや毛虫をティぺッグで払い除けて触れても許され ることになる。 規則17 旗竿 旗竿については分かりやすいように書き改められた。 規則 17-1 は球をプレーするプレーヤーに対して旗竿に関する規定を示し、 注:1.2.3 もつけ加えられた。規則 17-2 はマッチの相手、ストロークプレーの同 − 9 − 伴競技者に対して無断で旗竿に付き添ったり、球の動きに影響を及ぼす行為に ついての規定となっている。規則 17-3 では、簡明に書き改められ(b)項で付き 添っている人が持っていた物が削除となった。 規則17 に関する新裁定 ※17-1/7 はプレーヤーが取り除いてグリーン上に置いた旗竿を相手や同伴競技 者にプレーヤーの球が当たりそうなので取り除くと、規則 1-2 または規則 24-1 の違反となる。 ※17-2/2 ではAがグリーン外から旗竿を立てたままアプローチし、球が動いて いる最中に同伴競技者が、球が当る恐れもない状況では旗竿を取り除いても 17-2 の違反にはならないなどが新設された。 規則18−2c スルーザグリーンで球から 1 クラブ以内のルースインペディメントに触れたあ とで球が動いた場合は、プレーヤーが動かしたとみなされていたが、今回削除 となった。 球の近くにルースインペディメントがあって、それに触れたために球が動いた のであれば「球の動く原因となることをしたとき」にあたり、18-2aが適用と なるので、18-2cはもともとプレーヤーに無用の規制をしていたようなもので あるから、削除は当然の改訂といえる。 規則18−6 「測定中に球が動かされた場合」が新設 規則 10-4 が削除となり、規則 18-6 に移項されたもの。規則に従って処置をす るために測っているとき球やボールマーカーが動かされても無罰と規定された。 規則18−注2 新設 プレースやリプレースする球の初めのライが変えられていた場合は規則 20-3b 参照となる。 規則18に関する新裁定 規則変更は少ないが、裁定例では大きな変更が行われている。 これまでは、インプレーの球を規則に反して拾い上げ、リプレースせずに前に プレーした所からプレーする場合は 18 の罰 2 打が付加されていたが、2004 年 改訂ではこうしたケースはすべてストロークと距離の罰が優先し、18 の一般の 罰が無視されることになった。 ※裁定 18-2a/1 や、18-2a/2 のようにティショットをミスし、空振りやかすっ ただけの場合に地上に落ちた球を拾い上げ再ティアップしたり、空振りのあ とティを地中に押し込んだ場合はいずれもリプレースしなかったとして、規 則 18 の 2 罰打付加で次のストロークは 4 打目であったが、改訂裁定ではスト ロークと距離の罰で 1 打付加となり次のストロークは 3 打目となった。 − 10 − ※R&Aと 12 月 8 日のミーティングで本件を取り上げ、 「4 打目ではかわいそう だから 3 打目にしたのか?」と質問したらその通りであるとの返事であった。 規則20−3c 例外 プレーの中断後再開するとき(規則 6-8d)に球をプレースする箇所が確定でき ない場合は、その箇所を推定しプレースしなければならないと定められた。 規則20−7a 誤所からのプレー通則(ⅰ) 「ストロークを行ったり、球をドロップやプレースすることを規則で許してい ない所のコース上で、自分のインプレーの球をストロークした場合」と改めら れた。 これによりプレー禁止の準環境保護区域やプレー禁止の修理地などからストロ ークした場合もカバーされ、重大な違反の訂正も分かりやすくなった。 規則 20-7(注:1)重大な違反とは(注:2)20-7cの第2の球についての罰打が新 設された。旧裁定 20-7b/0.5 と 20-7b/6 が注:となったもの。 規則20関係 裁定の主なもの ※20-1/16 球の位置をマークする方法。規則 20-1 注:は最も良いマークの方法を 勧めるもので、そうしなくても罰はない。勧められないが罰なしに認められ る方法として ・球の横や後ろにクラブの端を置く ・ティを使用する ・グリーン面をテストすることなくラインを引く (グリーンを傷つけるので勧められない) しかしながら、たまたま地面上にある目印をもってマークしたとは認められ ない。 何らかの「マークする」という物理的な行為を求められている。 規則22 プレーの妨げや援助になる球 規則 22-1「プレーの援助となる球」規則 22-2「プレーの妨げとなる球」となり分か りやすくなった。 規則 22-1 では、ある球が他のプレーヤーの援助になるかも知れないのに、拾い 上げないことに競技者間で合意していたと競技委員会が判定したときは、関係 競技者は全員失格となることが記された。 規則 22-2 の注:ではグリーン以外の所では、自分の球が他のプレーヤーのプレー の妨げになるかも知れないと考えただけでは、プレーヤーは自分の球を拾い上 げることはできない。他のプレーヤーが要求もしていないのに拾い上げれば 18-2aの罰となることが記された。 − 11 − 規則23 ルースインペディメント 規則 18-2cが削除となり、本項の 23-1 救済の構成が改められた。 球がグリーン以外の所にあり、プレーヤーがルースインペディメントを取り除 いたことが球が動く原因となったときは、規則 18-2aが適用となることがここ で明記された。また、グリーン上でプレーヤーがルースインペディメントを取り 除いている際に、球やボールマーカーが動いた場合は、それらはリプレースさ れなければならず、動いたことがルースインペディメントを取り除いたことに 直接的に結びつけられるときは罰がなく、それ以外は1打の罰がつくことが付 け加えられた。 注:ではハザード内に球がある場合にも言及された。 規則24−2 動かせない障害物 ・規則 24-2b救済(ⅱ)(b)が新設された。1打の罰のもとに、ホールと球のあっ た箇所を結んだ線上で、そのバンカーの後方にその球をドロップ。規則 25-1 b(ⅱ)(b)のバンカー内のカジュアルウォーターと同様になった。 ・バンカーの後方に排水溝や砂止めネットの露出などがあり、救済を受けよう としても球がホールに近づいてしまうようなケースもカバーするために設け られたものであるが、障害が生じていれば(ⅱ)aもbも選択することができる。 ・規則 24-2b-(ⅳ) ティインググラウンド上の動かせない障害物の救済が新設 された。 ティインググラウンド上からインプレーの球をあるがままにプレーするよう なときにスプリンクラーなどの障害が生じたとき適用となる。規則 24-2b(ⅰ) がスルーザグリーンだけなので。 規則24−3 障害物の中で紛失 これまで規則 24-2cの動かせない障害物の中で球が紛失した項を動かせる障害 物規則 24-3aとし、動かせない障害物を規則 24-3bとしてまとめ、基点も「障 害物の最も外側の縁を球が最後に横切った地点の真下の地点」にできるだけ近 い箇所にドロップ。グリーン上はプレースとなった。 規則24−3a 動かせる障害物の中で紛失した場合が新設された ※例:作業車に積んである刈芝や砂の中に球が飛び込んだが見つからない。 規則24−3b 動かせない障害物の中で紛失 最も多い例は、排水U字溝に球が入ったのは見えていたが、あるいは入って行 ったという状況証拠はあるが、球が見つからないようなケース。 3b(ⅰ) スルーザグリーン 3b(ⅱ) 3b(ⅲ) バンカー内・・・・・・・・・・・・排水溝に転がり込んで見つからない。 ウォーターハザード・・・・排水管の中に転がり込んだが見つからな い。 3b(ⅳ) 日本のコースでは見かけない。 − 12 − 規則24に関する裁定例 ※新裁定 24-2b/2 救済のニヤレストポイントを正しく決めない・・・・既述 ※新裁定 24-2b/3 救済のニヤレストポイントを決めたが物理的にストロー クできない。 規則25−1b(ⅳ) (図解) 異常なグラウンド状態の救済で球がティインググラウンド上の場合 の新設 ティインググラウンド上のインプレーの球をあるがままにプレーするようなと にカジュアルウォーターの障害が生じているようなケース。 規則25−1c(ⅰ)∼(ⅳ) 異常なグラウンド状態の中で球が紛失した場合は、内容は変わ らない。 語句の変更・合理的立証が合理的な状況証拠となる。 また、異常なグラウンド状態の所に最後に入った地点にあったものとみなすと 表現が異常なグラウンド状態の最も外側の縁を球が最後に横切った地点となる。 規則25に関する新裁定 ※25-2/0.5 球が地面にくい込んだ場合とは 球が地面にくい込んだものとみなされるには、球の一部が自らのピッチマー に地表レベル以下に入っていなければならないが、必ずしも土壌に触れてい なければならないというわけではなく、例えば、芝やルースインペディメン トが球と土壌の間に介在することもある。 ※25-3/2 目的外グリーンでパットしてホールに入れた。 マッチでは目的外グリーンで最初にストロークした時点でそのホールの負け。 ストロークプレーでは、目的外グリーンのパット数と 25-3 違反の2打を付加 し、目的外グリーンのホールを基点としてニヤレストポイントを決め、正し いグリーンでホールアウトしなければならない。目的外グリーン以外のプレ ー禁止の修理地なども同様の考え方が適用となる。 規則26−2 ウォーターハザードの中からプレーした球 これまではウォーターハザード内からプレーした球が、同じウォーターハザード に止まった場合は 26-2a. ウォーターハザード内からプレーした球がそのウォ ーターハザードから出たもののウォーターハザード外で、紛失や OB となった り、アンプレヤブルの場合は 26-2b の規則で、プレーヤーが最後にプレーした 所すなわちウォーターハザード内からプレーする場合に一旦ドロップした球が プレー不可能になった場合もプレーが続けられるように救済が認められていた。 しかし希なケースだがウォーターハザード内からプレーした球が他のウォータ ハザードに入り、最後にプレーした所(26-1a)からプレーしようとしてドロップ したがプレー不可能の場合についてはカバーされていなかった。今改訂でこれ を 26-2a に含めた。 − 13 − そのため 26-2a は ・ウォーターハザード内からプレーした球が一度もそのウォーターハザー ド外に出ることなく同じウォーターハザードに止まった場合。 ・ウォーターハザード内からプレーした球が一度もそのウォーターハザー ドの限界を横切って外に出たもののまた同じウォーターハザード内に止 まった場合 ・ウォーターハザード内からプレーした球がそのウォーターハザードから 出たものの別のウォーターハザード内に止まった場合 の3つのケースを箇条書きにまとめて書き改められた。 規則26に関する裁定改訂 ※規則 26 に関する各裁定、例えば 26-1/3、26-1/4、26-1/5 などで「別の球をド ロップした時点で初めの球は紛失球となる」との文言が、定義:紛失球bで ストロークしたときに変わったため文言修正が行われた。 規則27−2 暫定球 27-2a処置 (注:)新設 注:暫定球が紛失やOBの恐れがある場合、プレーヤーは2つ目の暫定球をプレ ーすることができ、最初の暫定球と2つ目の暫定球の関係は、初めの球に対 する最初の暫定球の扱いとまったく同じである。 旧裁定 27-2a/4 を注:に取り込んだ。 規則28 アンプレヤブルの球 ・自分の球をアンプレヤブルと宣言することができるから「アンプレヤブルと なすことができる」となり、他の人に言わなくても良いことが明確になった。 ・28-bと 28-cが入れ替わり、ウォーターハザード規則 26-1-b,cと同様にし た。 規則33 競技委員会 ・規則 33-5 スコアカード 「注:委員会は各競技者に日付と自分の名前をスコアカードに記入するように 要求することができる」が新設された。 ・33-7 競技失格の罰 「エチケットの重大な違反に当たると委員会が考えた場合、規則 33-7 に基づ いて競技失格の罰を課すことができる」が新設された。 規則33に関する裁定改訂 ※33/1 委員会の指示であればラウンド中でもグリーン上のカジュアルウォー ターやルースインペディメントをスクィジー(ロールドライ)やブラッシ・ブロ アを使用して取り除いてよい。(ルースインペディメントとブラッシ・ブロア が新追加) − 14 − 規則34−1 クレームと罰 aマッチプレー 規則 2-5 に示されたので、これまで 34-1aに記されていることが省略となっ た。 ※改訂裁定 34-3/3 委員の間違った指示に基づいてプレーヤーが処置 Q:委員が間違って誤所からプレーすることを指示し、プレーヤーはその指示 に従ってストロークをした場合 A:ストロークプレーでは、重大な違反が無ければ、罰なしに誤った指示に基 づいてのストロークのスコアを採用しなければならない。 重大な違反があり、次のティからまだストロークしていない場合に限り、 委員長は誤った指示に従った誤所からのストロークを取り消し、罰なし正 しい処置をとるよう指示すべきであう。 − 15 − Ⅳ 付属の規則の変更の要点 付属規則Ⅰの目次がもうけられた 付則Ⅰ(A)5.d これまでの固定スプリンクラーヘッドからグリーンに近接する動かせない障 害物とし、スプリンクラーヘッドを含め類似の物にも適用できるようにした。 付則 1(B)3.b 「プリファードライ」と「ウインタールール」 これまでは日本ゴルフ協会は「プリファードライ」も「ウインタールール」 も認めていないとの前文があった(R&Aも同様 The R&A dose not endose・・・・・)が 2004 年からローカルルール参考例に記されたものを示し適 用することを認め、前文の一部が削除となった。委員会が適用しようと決め たときの掲示するローカルルールは次のものを勧める。 『スルーザグリーン(または芝草を短く刈ってある区域)にある球は罰なし に拾い上げてふくことができる。球を拾い上げる前にプレーヤーはその位置 をマークしなければならない。球を拾い上げた後はプレーヤーは 6 インチ(ま たは 1 クラブなどの許容限度を記載のこと)の範囲内でホールに近づかず、 ハザードでもグリーン上でもない所にプレースしなければならない。 プレーヤーは自分の球を1度だけプレースすることができ、球がプレースさ れた時点でその球はインプレーとなる(規則 20-4)。球がプレースされた箇所 に止まらない場合は、規則 20-3dが適用となる。 プレースした球がプレースした箇所に止まり、その後で球が動いても罰はな い。その球は他の規則が適用となるのでなければ、あるがままにプレーされ なければならない。プレーヤーが球を拾い上げる前にその位置をマークしな かったり、他の方法(クラブで球を転がすなど)で球を動かした場合、プレ ーヤーは1打の罰を受ける。 このローカルルールの違反の罰は マッチプレーでは、 そのホールの負け ストロークプレーでは、 2打 プレーヤーがこのローカルルールの一般の罰を受ける場合、このローカルル ールの罰(1 打の罰)は加える必要はない』 このローカルルールは長文なので『プリファードライを付属規則Ⅰ(B)3.bに基 づき、スルーザグリーンで許容限度 6 インチとして適用する』でもよい。 付属Ⅰ(C)3 競技の条件、キャディ (3)にキャディが新設された。規則 6-4 注:で委員会は競技の条件でキャディの 使用を禁止したり、プレーヤーによるキャディの選択を制限すること(例えば プロゴルファー、親、兄弟、その競技に出場している他のプレーヤーなどの使 用禁止や制限)を望む場合の勧める文言を示している。 − 16 − 付属Ⅰ(C)9 移動 これまでと同じ文章 付属Ⅰ(C)10 反ドーピング 新設された 付属規則Ⅱ クラブのデザイン 付属Ⅱ1.c クラブの長さは、パターを除いて 48 インチを超えてはならないことになった。 注:で長さに違反しているクラブで 2004 年 1 月 1 日以前に使用または市場で販 売されていて長さ以外はすべて適合しているクラブは 2004 年 12 月 31 日まで 使用できる。 付属Ⅱ4.b(ⅰ) クラブヘッドの大きさは、460cc±10cc 以下でなければならなくなった。 注:で長さと同様の許容条件が認められている。 以上 − 17 −
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