2011年度 光通信システム 2011年度『光通信システム』開講 2011年度 光通信システム 資料中、著作権にかかわる資料は意図的に 削除しておりますことをご承知置きください。 参考文献は明記しておりますのでご参照ください。 2011年度 光通信システム 第1回 光通信概観 2011年10月3日(月) 2011年度 光通信システム 参考文献 ・『光波工学』 國分 泰雄 著 共立出版 ・『光通信工学』(1)(2) 羽鳥 光俊・青山 友紀 監修 コロナ社 ・『超高速ネットワーク技術』 河内 正夫 監修 電気通信協会 ・『やさしいディジタル伝送』 山下 孚 編著 電気通信協会 ・『やさしいディジタル交換』 愛澤 慎一・清水 博 編著 電気通信協会 ・『やさしい光アクセスシステム』 由木 泰紀・三浦 秀利 編著 電気通信協会 ・『光導波路の基礎』 岡本 勝就 著 コロナ社 ・『半導体フォトニクス工学』 池上 徹彦 監修 コロナ社 ・『光増幅器とその応用』 石尾 秀樹 監修 オーム社 ・"Fiber Optic Communication Systems", Givnd P. Agrawal, Wiley-Interscience 2011年度 光通信システム 講義内容 第0章 光通信概観 第1章 電話ネットワークとインターネット 第2章 各種 光通信システム 第3章 光変復調技術 第4章 光変復調器 第5章 光ファイバのモード特性 第6章 光ファイバ伝送特性 第7章 ビット誤り率 第8章 光増幅技術 第9章 波長多重伝送技術 第10章 光スイッチング技術 第11章 最新技術動向 第12章 波長変換・光信号再生技術 2011年度 光通信システム 第0章(光通信概観) 光通信はなぜ高速か? 2011年度 光通信システム 光通信はなぜ高速か? 光の光ファイバ中の伝送速度 vp c neff v g : 位相速度 neff : 等価屈折率 電磁波の同軸ケーブル中の伝搬速度 vp c ss v p : 位相速度 c : 真空中の光速 s : 比誘電率 s : 比透磁率 SiO 2の場合、neff 1.48として 2.998 108 m / s vg 2.03 108 m / s 1.48 ポリエチレン絶縁の同軸ケーブルの場合、 s 2.3, s 1として 2.998 108 m / s vg 1.98 108 m / s 2.3 1 光の伝送速度 ≒ 電磁波の伝搬速度 光が電気信号よりも速いわけではない 2011年度 光通信システム なぜ光通信がいいのか? 伝送の高速化 ビットレートf0[Gbps]のNRZ信号を考える。 簡単化のため1タイムスロットの 信号について考える。 1/f 0[s] f (t ) 時間 2 f 0 10 フーリエ変換により周波数成分を解析 1 F ( ) 0 1 1 ) t 2 f0 2 f0 0 (上記以外) 2 100ps幅の矩形波 F( t ) A0 ( 0 0.2 0.2 0 t 時間 0.2 0.2 (ns) f (t )e jt dt 2011年度 光通信システム 光通信の高速性 F ( ) f (t )e jt dt 1/ 2 f 0 j 2ft 0e A dt 1 / 2 f 0 1 1 j 2ft 1 / 2 f 0 A0( )[e ]1/ 2 f 0 jA0 (e j 2f 2f A0 f0 sin( f ) f0 j f f0 e j f f0 ) 矩形波のフーリエ・スペクトル f f0 0.2 -f0 F( f ) 1.35217 10 f0 0.1 10 0 20 30 0 f 周波数 (GHz) 20 30 2011年度 光通信システム 光通信の高速性(続き) 伝送路の周波数特性を重畳 (1) 周波数特性(f特)の悪い伝送路:メタル線に相当 H(2f) H ( ) 1 1/2 0 2f 2f1 逆フーリエ変換 jt F ( ) H ( ) e d 1 (2f / 2f1) 2 : 透過率 伝送後の波形を計算する。 1 f (t ) 2 T 2011年度 光通信システム 光通信の高速性(続き) 伝送路の損失特性 (f特) 10 伝送後のf特 10 0.2 f3dB=1GHz 1 F ( f ) H( f ) 0.1 H( f ) 0.1 0.01 0.01 0 0.1 0.1 1 f 周波数 10 10 (GHz) 0 20 30 0 f 周波数 (GHz) 20 30 2011年度 光通信システム 光通信の高速性(続き) 伝送後の波形 元の矩形波 2 F( t ) 0 1 2 1 1 F3 ( t ) 0.5 0 0 0.2 0.2 0 t 時間 0.2 0.2 (ns) 0 0.5 0.5 0 t 0.5 0.5 (ns) 時間 強度の低下とパルス幅の増大 2011年度 光通信システム 光通信の高速性(続き) 伝送路の周波数特性を重畳 (2) 周波数特性(f特)の良い(理想的な)伝送路:光ファイバに相当 H(f) 1 0 無限 f 2011年度 光通信システム 2 光通信の高速性(続き) 2 元の矩形波 F( t ) 1 0 0 0.2 0.2 0 t 0.2 0.2 (ns) 時間 2 F2 ( t ) 0 0.2 2 伝送後の矩形波 伝送後のf特 F( f ) 1 1.35217 10 0 0.2 0.2 0 t 時間 0.2(ns) 0.2 0.1 10 0 20 30 0 f 周波数 20 30 (GHz) 2011年度 光通信システム 光通信による長距離化 「光通信の高速性」:メタル線の場合のL=0とすると、 H( f ) 1 [ 1 ( f / f 1) 2 ]L H( f ) 1 光ファイバの場合と同じとなる! すなわち、光ファイバの高速性とは高速な信号を長距離まで 伝送できるという意味である。 光による通信のメリットは長距離伝送(広い意味で言えば 低損失が成り立つ適用範囲)の場合に発揮される。 2011年度 光通信システム 【閑話休談】よく出てくる単位について dB, dBmについて dB: 対象とする量P1が基準値P0に対してどの程度大きい/小さいかを 示す相対値 P1 パワー: A[dB] 10log10 P0 E1 電圧: B[dB] 20log10 E0 dBm: パワーP0を示す絶対値(1mWを0dBmとする) C[dBm ] 10log10 P0 1 1 10log10 3.0 , 10log10 10.0 2 10 2 1 1 10log10 10log10 6.0 4 2 などは良く使う 2011年度 光通信システム 現在の光通信を概観する 2011年度 光通信システム たかが10年前はデータが音声を超えると言っていた 通信トラフィックは電子回路技術の進歩を超える速度で成長 電子回路の処理律速を克服する、データ系通信を主体 とした高速・大容量NWの構築が必須 70 日本国内のデータ通信量の推移 データ量(万Tbyte) 60 50 音声移動系 40 音声固定系 年率2倍 の成長 ムーアの法則 音声合計 (移動+固定) データ通信系 30 20 10 0 1997 1998 1999 2000 2001 出展:メリルリンチ証券 2002 2003(年) 2011年度 光通信システム 5年前はビデオトラフィック急増の予兆 水落,2009年第1回PN新世代懇談会. 2011年度 光通信システム 今やIPは当たり前・リッチコンテンツを個人が活用 (最近数年のネットワーク勢力図の変化) 通信系全体 All IP化の流れの加速 NGNの商用化(2008.3.31) 固定電話系 NTTグループ KDDI ソフトバンク 固定系と移動系のシームレス な接続 SNS, SaaS, PaaS, IaaS クラウドコンピューティング 携帯 NTTドコモ au(KDDI) ソフトバンクモバイル イー・モバイル PHS Fixed Mobile Convergence (FMC) サービスのアウトソース化、 オープン化 移動系 ウィルコム スマートフォン オープン化の波 iPhone(Apple) Android(Google) Twitter Facebook iPhone Xperia タブレット端末 iPad 0 年月 2010年12月 2010年12月 2009年12月 2009年12月 2008年12月 2008年12月 2007年12月 2007年12月 2006年12月 2006年12月 2005年12月 2005年12月 3000 2004年12月 2004年12月 3500 2003年12月 2003年12月 4000 2002年12月 2002年12月 2001年12月 2001年12月 2000年12月 2000年12月 加入者数(万人) 2011年度 光通信システム インターネット接続サービスのユーザ数(2011年3月現在) http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/field/data/gt010103.xls FTTH ADSL CATV 合計 2500 2000 1500 1000 500 2011年度 光通信システム 日本のモバイルデータトラフィック量予測 日経コミュニケーションズ 2011年8月号『無線LANオフロード急ぐ携帯事業者』 p.41 図1 700 総務省予測 今はモバイルネットワークが大変! 600 トラフィック量(PB/月) Cisco予測 500 400 300 200 100 0 2010 2011 2012 年 2013 2014 2015 2011年度 光通信システム 北米インターネットトラフィックの占有率 日経エレクトロニクス 2011年7月25日号『テレビは生き残れるか』 p.71 図2 Netflix社配信動画 Webサイトの閲覧(HTTP) YouTube P2Pファイル共有 Flashを使った配信動画 その他 2011年度 光通信システム インターネット・トラフィック増加の現状とルータへの要求 Continuous growth of Internet traffic ~ ×1.2~1.3 yr 270Gbps Year 2004 5yrs 5yrs 5yrs 2.5Tbps 990Gbps 6.3Tbps 2014 2019 2009 High speed, low latency & low power operation strongly required to routers But large power consumption at high speed are issues in electron. router Internet Traffic in Japan Reported from MIC ×1.25 800 2004年9月 0 2005年5月 2005年9月 2006年1月 2006年1月 2006年5月 2006年9月 2007年1月 2007年1月 2007年5月 2007年9月 2008年1月 2008年1月 2008年5月 2008年9月 2009年1月 2009年1月 2009年5月 2009年9月 2010年1月 2010年1月 2010年5月 2010年9月 400 Consumption Power (kW) 1.71Tbps(2010.11) 1200 2005年1月 2005年1月 Traffic [Gbps] 1600 Consumption Power Data of Electronic Router (after HP data) 100 A B C 10 1 0.1 1 10 100 1000 Throughput (Gbps) 104 2011年度 光通信システム Motivation of Photonic Router (Optical Packet Switch) High speed, low latency & low power operation strongly required to routers But large power consumption at high speed are issues in electron. router Traffic Increase (prediction) 1.71Tbps(2010.11) 1200 ×1.25 800 400 100 10 2005年5月 2005年9月 2006年1月 2006年1月 2006年5月 2006年9月 2007年1月 2007年1月 2007年5月 2007年9月 2008年1月 2008年1月 2008年5月 2008年9月 2009年1月 2009年1月 2009年5月 2009年9月 2010年1月 2010年1月 2010年5月 2010年9月 2004年9月 ×190 (×1.3/yr) 1 0.1 2005年1月 2005年1月 0 Traffic [Tbps] 1600 Traffic [Gbps] 1000 Internet Traffic in Japan Reported from MIC 2006 2025 Year After Green IT Symposium, METI (2007). 2011年度 光通信システム エネルギーを年々食っていく通信ネットワーク 日経エレクトロニクス 2011年7月11日号『光配線があらゆる機器へ 光と電気をチップで融合』 p.71 図7 2011年度 光通信システム Traffic & Power Consumption of Network Appliances Power Consumption 120 100 80 60 ×13 (×1.14/yr) 40 20 0 2006 Power per Throughput Power per Throughput [W/Gbps] Power Consumption of Network Appliances [BkWh] Power reduction (efficiency improvement) of electronic circuits are also advancing, but it would slow down due to scaling limitation Further power reduction is desired 2025 Year After Green IT Symposium, METI (2007). 25 20 15 ×0.75/yr 10 5 0 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2011年度 光通信システム 光通信ネットワークの構成 ONU 光アクセス・システム コア・ネットワーク ROADM OLT ルータ スイッチ ROADMリング 100M~1Gbps アクセス・ネットワーク 長距離基幹 ルータ スイッチ 伝送システム WDM 装置 1波あたり:1G~40Gbps 波長数:~数10波 2011年度 光通信システム テラビット(Tbps)伝送実験の報告例 速度:100G超へ 容量:100T超へ 距離:7,000km超@100G/ch, 20T/fiberへ 検波方式:デジタル技術によるコヒーレントの復興 変調方式:多値 and/or 多キャリア方式へ ファイバ:マルチコア・モードファイバ技術の導入 20G/ch ≦10G/ch 40G/ch 80G/ch >100G/ch 単一コア マルチコア 10000 1.0 ) 伝送距離( km 1.1 1000 1.1Tbps 100 1.5 2.6 1.4 1.2 3 1.3 2.3 3.1 1.4 1.0 9.6 1.2 1.1 15.5 1.0 1.5 1.0 6.5 12.5 1.6 13.4 4.2 2.4 12.8 19.8 1.6 16.4 1 2.0 3.0 3.65 1.8 3.5 3 6.0 1 5.0 3.2 8 1.1 1 64 1.2 1.3 20.4 25.6 69.1 O1.3 101.7 10.72 DQPSK OFDM・ 10.2 マルチコア が主 DPSK が主 OOK が主 1.6 10 1996 1998 2000 141Pbit・km 2002 2004 2006 PDM・ ファイバ 109/7 デジタル コヒーレント 2012 2008 2010 年代 『Interface』(2001年9月号を基に追記) 2011年度 光通信システム 光通信はフォトニックネットワークへ! フォトニックネットワーク: Transmission, Multiplexing, Demultiplexing, Switching, Routing などの転送機能を光領域で行うネットワーク フォトニックインターネット推進協議会資料より 2011年度 光通信システム 光通信技術は短距離も目指す! (Necessity of Optics into Data Center) Average growth rate of data traffic (U.S.) : ×45%/yr (After R. Ho et al., OFC2011, OTuH1) Cf. Node growth : ×30%/yr Growth of bandwidth within PCs required Issues in Electronics Merits in Optics Loss of wires Low loss Signal crosstalk No crosstalk Low consumption power Power increase (repeater, pre-emphasis) To further develop Data Center performance, ① Optical Interconnection promising due to merits mentioned above. IP packets ② Optical packet switch (OPS) expected due to ・Low latency ・Fine granularity ・Statistical multiplication possible (High network efficiency) 2011年度 光通信システム 光通信技術の短距離への導入の機運 プリント基板内の電気信号の高速化(> GHz)により、伝送できる距離が 極端に短くなってきた。 (例) スーパーコンピュータの1 IF >20Gbps 数cm 電磁雑音の影響増大 基板設計の負担増大 >GHzの領域で誘電損失が支配的に 日経エレクトロニクス 2005年6月6日号 p.91 図2(a) >2GHzでの損失影響回避の困難 日経エレクトロニクス 2005年6月6日号 p.106 図2(a) 2011年度 光通信システム 電気配線の高周波化にともなう損失増大の解決策 ① 電気の多値伝送による 信号帯域の狭帯域化 ② 光伝送への移行 >10GHzでも損失小 日経エレクトロニクス 2005年6月6日号 p.109 図6 電磁雑音の影響小 光インターコネクション 回路複雑化・SN耐性の低下などの課題 2011年度 光通信システム LSI微細化の危機 日経エレクトロニクス 2011年4月18日号『LSIに歴史的な技術転換期』 p.59 図3 2011年度 光通信システム 伝送速度 対 伝送距離 1000km 1km 伝送距離 1m 1mm 1 m 1Mbps 1Gbps 速度 1Tbps 2011年度 光通信システム 光通信システム技術のレビュー ネットワーク形態の柔軟化 光パケットネットワーク メッシュネットワーク リングネットワーク 適用光ネットワークの規模・機能性 WDM伝送 高周波数利用効率 分散マネジメント 伝送路設計 分散補償 偏波モード分散補償 デジタルコヒーレント伝送 多値変調 マルチキャリア伝送 光インターコネクト 直接増幅中継伝送 アレイ技術 チップ間 チップ内 実装技術 Erドープファイバ増幅 ラマン増幅 器 アクセス系 ソリトン伝送 高受信感度 分散マネジメント・ ソリトン 経済化技術 耐環境技術 コヒーレント伝送 位相・偏波ダイバーシティ 長距離系の実用化と進展 0.8m帯伝送 1.3m帯伝送 1.55m帯伝送 高速・大容量化 動的単一モード化 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2011年度 光通信システム 光通信デバイス技術レビュー 大規模光集積回路 Siフォトニクス 多波長集積 光電融合集積 光波回路(PLC) 適用光ネットワークの規模・機能性 全反射型 分散補償器 AWG 光スイッチ 光ゲート型 MEMS TO型 WSS マイクロオプティクス 波形整形回路 光ファイバ増幅器 EDFA ラマン増幅 外部変調器 広帯域化 LiNbO3変調器 EA変調器 EA/MZ-DFB集積化光源 受光器 導波路型 APD型 pin型 半導体レーザ 量子井戸 構造導入 ダブルヘテロ構造 室温CW動作 歪量子井戸 無温調化 構造導入 広帯域波長可変レーザ 単一横モード化 単一縦モード化(DFB・DBR・VCSEL) 光ファイバ VAD法 1960 低損失化技術 1970 1980 分散制御技術 1990 ホーリーファイバ 2000 2010 2011年度 光通信システム 光通信システムの設計ポイント 中継器 送信器 ① 光送信器の性能 送信パワー・波長変動 (チャープ)・変調方式 ② 光増幅器の性能 利得・雑音 受信器 ④ (3R)中継器の性能 雑音抑制・クロック再生 ③ 光伝送路の性能 中継距離の設計・ 分散制御 ⑤ 光受信器の性能 受信感度・雑音特性 2011年度 光通信システム 光通信システムの基本構成とレベルダイヤグラム 送信器(Tx) 多重変換 回路 LD 受信器(Rx) 中継器 MOD PD 多重 変換 回路 光ファイバの非線形性 (自己位相変調) による送信出力限界 送信出力 光パワー 中継利得 ファイバ損失 受光レベル 光増幅器 伝送距離 最小受信感度(SN比)
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